主要5大がんの転移部位

転移を起こしやすい部位の癌を部位別に解説!

癌が発生する可能性はからだのどの部位にもありますが、部位によって転移が起きやすいもの、そうでないものがあります。また、転移先もある程度は限定されていることがわかっています。

ここでは、胃、大腸、肺、肝臓、乳癌といった主要5大癌を中心に、転移を起こしやすい部位の癌転移について解説していきます。

肺癌

肺は、ほかの部位からの転移が多く、また肺癌がほかの部位に転移することも多いと考えられています。転移先として多いのは、原発巣の近くのリンパ節。次に多いのが、左右の肺を隔てている縦隔と呼ばれる組織のリンパ節です。そのほかに、肝臓、骨、脳、副腎などで遠隔転移を起こしやすいとされています。

肺癌は早い段階でも転移が起こり、全身に癌が広がってしまう可能性があると言われています。リンパ節への転移が発見されていないIB期であっても5年生存率は60%と低く、全身転移へのリスクは非常に高いのです。

ですから、肺癌が発見された場合、早期に手術をしたとしても抗がん剤を投与し、再発・転移を防ぐことが多くなっています。

肺癌の治療方法

肺転移が見られる場合、癌が体のあちこちに散らばっている可能性が高く、そうであれば局所治療である手術や放射線治療では対応できません。そのため多くの場合は化学療法が採られることになりますが、原発巣に再発が見られず転移巣も切除可能な場所にあれば、外科手術による摘出も選択可能となるケースもあります。

乳癌

乳癌からの転移癌は、一般的には予後が不良だと考えられています。2001年に保険適用が認められたトラスツズマブによってかなり改善傾向にはあります。

乳癌は、骨、肺、肝臓、脳、乳房、リンパ節、皮膚などに転移が起こりやすいとされています。最初は1か所だけの発見でも、時間の経過とともにほかの部位でも発見されるケースが多いようです。乳癌の遠隔転移は全身に広がっていることが多いため、切除手術よりも、抗がん剤による生存期間の延長や、痛みの緩和によるQOLの向上が治療の中心になります。根治を目指すというよりも、残りの生存期間を上手に癌と共存することが大切です。

ただし、トラスツズマブによって乳癌の治療成績は飛躍的に向上しており、5~10年の生存ができる可能性もあります。乳癌からの転移が発見されても、決して希望を捨てる必要はありません。

乳癌の治療方法

局所再発であれば根治を目指して乳房切除術を行い、癌を取り除きます。一方、遠隔転移が見られる場合には体中に微小な癌細胞が散らばっていると考えられるため、抗がん剤を使った全身療法が採られることになります。

胃癌

胃癌は、胃の周りにあるリンパ節や、腹膜、そして肝臓への転移が多いとされています。

胃癌は粘膜で発生し、徐々に粘膜の下の胃壁へと侵食していきます。粘膜表層の癌にとどまっているうちは、転移の可能性は低いとされています。しかし粘膜の下層まで達すると、リンパ節転移は約20%の割合で起きていると考えられます。リンパ節へは特に転移しやすいこともあり、再発や転移を防ぐために原発巣近くのリンパ節を切除することも多くなっています。

また、転移のほかに、胃壁を破った癌細胞が腹腔に散らばることで起こる「腹膜播種」のリスクもあります。腹膜播種は非常に発見しにくく、予後は芳しくありません。

胃癌の肝臓への転移は、多発する可能性が多く、切除しても数か月以内の再発のリスクが非常に高いとされています。肝転移を起こしやすい因子を持つ患者には、あらかじめ予防処置を取ることが重要になります。

胃癌の治療方法

一定範囲内のリンパ節にのみ転移巣が見られる場合には、外科手術で周辺組織とともに切除してから食べ物の通り道をつくるバイパス手術を行います。しかし、切除可能範囲を超えて広がっている場合には完全切除は不可能であるため、手術と化学療法で対処します。

肝臓癌

肝臓癌の転移は、肝臓内で起こることが非常に多いようです。肝臓癌の再発の80%は肝臓内転移だとも言われています。そのほかに転移先として挙げられるのは、肺、骨、リンパ節、副腎等です。

肝臓は血管が多く、特に門脈と言われる血管は肝臓全体に広がっているため、肝臓内転移の危険性がとても大きいのです。

肝臓癌の転移は、負担の小さい腹部と超音波検査で見つけやすいとされています。小さなものは発見できないこともあるので、半年から1年に一度はCT検査が必要になります。

肝臓内転移はさまざまな治療方法があり、場合によっては長期延命も可能です。しかし、肺への転移を始め、遠隔転移の場合は効果的なものが発見されていません。小さな転移に関してはラジオ波での焼灼などが可能ですが、抗がん剤などを投与するぐらいしか方法がないのが現状です。

肝臓癌の治療方法

転移性肝癌でも、切除量が安全範囲内で転移巣を完全に切除できると判断された場合には、外科治療が第一選択肢となります。しかし現実には癌の広がりが著しく切除しきれないことが多く、そのようなケースでは外科手術と薬物治療を組み合わせて行います。

大腸癌

大腸癌の転移は、圧倒的に肝臓が多いとされています。次に多いのは肺です。大腸から転移した癌は比較的おとなしく、早期の切除ができれば長期生存の可能性が比較的高いと言われています。

大腸から肝臓へ流れ込む門脈という血管を通じて、肝臓への転移が起きます。大腸癌の転移の多くは、肝臓にまず転移し、そののちにほかの臓器に転移するという特徴があります。ですから、肝転移を早期に発見して、積極的に切除ができれば、治癒の可能性が高いとされています。

大腸癌の治療方法

転移巣が数か所にとどまっており切除が可能な場合には、外科治療が第一選択肢となります。また近年大腸がんに効果のある薬剤が次々と登場しているため、最初の時点では切除不可と判断されていた転移巣が化学療法によって小さくなり、切除可能になるというケースもあります。

その他の癌の転移

主要5大がん以外の食道癌、前立腺癌、脳腫瘍などの癌の転移についてご紹介します。

食道癌

食道の粘膜で発生した癌は、徐々に粘膜下層へと侵食し、やがて食道壁を貫いてほかの臓器へと広がり、転移を起こします。期間や肺、大動脈、心臓といった重要な臓器が多く、また食道壁にはリンパ管や血管が非常に豊富なので、転移を起こしやすいようです。

食道癌の転移のほとんどは、リンパ節、肺、肝臓、骨で発見されるようです。

食道癌の治療方法

リンパ節も含めて癌を全て摘出できると判断できれば、外科手術が採られます。ただしリンパ節への転移を起こしやすい食道癌の場合、癌が広がってしまっていることも多く、摘出が不可能判断される場合には化学療法や化学放射線療法が行われます。

前立腺癌

前立腺がんにはいくつものタイプがあり、無害なラテント癌というものもあれば、成長が速く転移しやすいものもあります。転移のしやすさは、グリソンスコアと呼ばれる指標でかなり高い精度をもって判断することができます。

前立腺に癌がとどまっているうちは、治療成績は比較的良いのですが、浸潤を起こしてしまうとリンパ節などへの転移を起こします。

前立腺癌の治療方法

前立腺癌の再発のうち、転移が認められず局所に留まっているケースでは放射線治療が効果を発揮しますが、転移性であれば内分泌療法が第一選択肢となります。とは言え腫瘍の転移の有無がハッキリする前に再発が見つかることが一般的で、そのような場合には状況に合わせた治療法を選択していきます。

脳腫瘍

ほかの臓器から転移した癌が脳に生着したものを転移性脳腫瘍と呼びます。

脳腫瘍は、呼吸や体温調節など、生命維持のための機能を脅かすもの。したがって、QOLの低下を著しく起こしやすいと考えられています。脳幹部分の脳神経に腫瘍ができると手の施しようがないのですが、そこから外れた部位であれば、脳神経への圧迫を取り除くことで症状を緩和することができます。

脳への転移を起こしやすいのは、全体に60%を占める肺癌、16%の消化器系癌、10%の乳癌、6%の腎泌尿器系癌、2%の婦人科系癌。特に肺癌はあっという間に腫瘍が広がってしまうため、注意が必要です。

現在では、ガンマナイフという手術で、1泊2日での治療を行うことができます。転移の戸数が多い場合は、放射線の全脳照射が行われることもあります。

脳腫瘍の治療方法

転移した脳腫瘍の多くは定位分割放射線治療や放射線外科治療で治療効果を得ることができます。放射線治療では効果が得られないほど大きな腫瘍に関してのみ、脳外科手術が採られることになります。また5個以上の転移が見られる場合には、脳全体に放射線を当てる全脳照射が必要と判断されることがあります。

転移癌を治療できる良い病院を探すには

初回のがん治療では癌の根治を目標としますが、再発や転移癌は多くの場合根治が困難であるため、癌の進行を抑えたり癌による症状を和らげたりすることが治療目的となります。

とくに転移癌の場合は、他の器官にも見えない小さな癌細胞が散らばっているという可能性を考えた治療法を採らなければならず、外科手術で転移巣を切除した後も残されている癌細胞への対策として、化学療法などの治療を継続的に行っていく必要があります。

では具体的にどのような治療が選択されるのかというと、多くの場合それは転移の種類によって判断されます。転移の種類は大きく分けて「血行性転移」「リンパ行性転移」「播種性転移」の3つ。

「血行性転移」とは、癌細胞が血管内に侵入し血液の流れに乗って他の器官に転移することです。この場合、抗がん剤の効果が高いとされています。抗がん剤の多くは水溶性であるため、血液中に存在する癌細胞に効きやすいというわけです。

一方で「リンパ行性転移」とは、癌細胞がリンパ管に侵入しリンパの流れに乗って移動するタイプの転移です。リンパ管は殆どが脂でできているため、リンパ行性転移癌の場合水溶性抗がん剤が効きにくいという問題点があります。

「播種性転移」とは、腹腔や胸膜などの隙間に癌細胞が増殖し広がっていくタイプの転移癌です。これも抗がん剤では効果の出にくい、治療の難しいケースとなります。

従って転移癌治療の場合、どのタイプの転移癌であるかに応じて、それぞれの治療を得意とする病院を選ぶことがポイントとなります。

例えば、血行性転移であれば化学療法に強い病院が向いていますが、リンパ行性転移や播種性転移であれば、化学療法よりも免疫療法に強いところや他の先端治療を扱う病院のほうが良いでしょう。

転移癌に関してはさまざまなケースがあるため、納得がいくまでよく話し合える病院であることも大切です。

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