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内視鏡治療のメリット・デメリット

内視鏡治療のメリット・デメリットとは?

内視鏡治療は体への負担が少なく、入院期間も短いことから患者さんにはメリットがとても多く感じられる治療方法です。ですがデメリットもあり、がんの状態によっては更に手術が必要になることもあります。ここでは、内科的アプローチの「内視鏡的切除」と外科的アプローチの「腹腔鏡下手術」をうけることについてのメリットとデメリットを紹介します。

内視鏡治療のメリット

内視鏡治療の最大のメリットは体への負担が少なく、回復も早いことです。また傷跡もないか、あってもほとんどわからず、治療をしたことを周りに気付かれないほどです。
その他にも、短期入院で経済的な負担も少ないこともメリットといえます。長期の入院では、入院費用や仕事への影響を不安に思う方も多くいるでしょう。その点内視鏡治療では入院期間も1週間前後と短く、経済的な負担を減らせます。 また、入院中の家族への負担が心配な方にも、回復が早い分すぐに日常生活に戻れることは重要なポイントです。
ただ、内視鏡的切除でがんが取り切れなかった場合や、腹腔鏡下手術中に病変部の状態などに応じて開腹手術に移行した場合は、1週間以上の入院や更なる処置が求められます。

内視鏡的切除

切開の必要がないため傷がつかず、回復も早い

内視鏡的切除では口や鼻、あるいは肛門から切除器具のついた内視鏡を挿入するため、切開の必要がありません。そのため体への負担も少なく、治療後の回復も早いことが最大のメリットです。また、外見上の傷がいっさいないため美容的なメリットもあります。

腹腔鏡下手術

痛みが少なく回復も早い

腹腔鏡下手術において必要な切開は4カ所程度。小さな切開しか行わないため術後の痛みが少なく、回復が早いのは患者さんにとって最大のメリットです。 手術をうけおよそ1週間後には旅行に出かけている、なんてことも。 開腹手術の場合は切開も大きいため、その分痛みも少なからずあり、手術をうけてから1~2週間の入院が必要になります。

手術の跡がほとんどわからない

約4カ所の切開の大きさは、おへそが3~5cm、その他が0.5~1.2cmと、とても小さいため傷の回復が早く跡がほとんどわかりません。術後1週間で手術を受けたことがわからないほどになるので、美容的なメリットを喜ばれる患者さんも多くいます。

腸の癒着が起こりにくい

手術によって傷がついた正常な組織同士を縫い合わせて閉じることによって、その組織がくっついて自然に治っていきます。これを創傷治癒といい、「癒着」のひとつです。 問題とされるのは、くっついてほしくない組織同士がくっついてしまうことであり、一般的にはこの状態を癒着とよんでいます。
腹腔鏡下手術では、腸管癒着による腹痛などもほとんど起こりません。 癒着ができても症状がなければ問題ではありませんが、腹痛や腸閉塞、不妊症などの原因となった場合には再手術の必要になることもあります。

内視鏡治療のデメリット

内視鏡治療は傷も小さく体への負担が少ないことがメリットとされていますが、デメリットもあります。 その多くが「内視鏡治療でがんが切除しきれない場合がある」ということです。内視鏡治療でがんのリンパ節への転移が認められた場合や、モニター画面を確認しながらだけの操作では対応しきれない場合は開腹する外科手術が追加されます。
内視鏡治療でがんが切除しきれればメリットは大きいですが、切除しきれない場合は更に手術が必要になるため体の負担や入院期間に影響し、傷跡も小さいものではなくなります。

内視鏡的切除

がんが粘膜内に留まっていない場合は外科手術が追加されることもある

内視鏡的切除で取り除けるのはリンパ節転移のないがんとされています。ですが内視鏡で観察するだけでは粘膜にあるがんがリンパ節に転移していないかを判断するのは難しく、現状ではがんの大きさや形、深達度や組織型の組み合わせで経験的に判断し内視鏡的切除が適応されるがんなのかを見極めています。
転移の可能性が低いとされてから内視鏡的切除をうけ、切り取った病変部を病理組織検査で転移があるかを正確に確認します。検査でがんの転移が疑われれば内視鏡治療後に外科的切除が追加が必要になることもあります。

腹腔鏡下手術

高度な技術を必要とし、手術時間が長くなりやすい

腹腔鏡下手術のデメリットは、手術が難しいことにあります。体内や病変部を直接見ずに映し出されたモニター画面のみを確認しながらの手術は、高度な技術を必要とし、 経験豊富で技術力の高い執刀医でも病状によっては難しいといわれています。そのため開腹手術よりも手術時間が長くなる場合が多くあり、 患者さんの体の負担は大きくなります。
また、腹腔鏡下手術は開腹手術に比べて執刀医の技術の差が出やすいことも課題となっています。

肉眼で見るより視野が狭いため、大出血が起きたときに止血に時間がかかる危険性がある

手術中は内視鏡からモニター画面に映し出された部分しか見えないため、状態の確認が難しくなります。術部から大出血が起こった際に止血に時間がかかってしまうこともあり、開腹手術よりもリスクを背負うこともあります。

二酸化炭素ガスが血管内に入るとガス閉塞をおこすこともある

腹腔鏡下手術では、おなかの中の様子を見やすくするため、二酸化炭素を注入しておなかを膨らませる過程があります。この時に、二酸化炭素が血管内に入ってしまうとガス閉塞をおこし、血圧の上昇や不整脈が出てしまうこともあります。

腹腔鏡下手術では続行が難しい病状の場合、開腹手術に移行することが多い

モニター画面のみの限られた狭い視野での手術では、病変部の状態によっては対応しきれない場合があります。そのまま開腹手術に移行することもまれではなく、傷跡の大きさや回復の早さ、必要とする入院期間などのメリットが得られなくなります。ただあくまでもがんを切除するための対応ですので、理解が必要です。

内視鏡治療の偶発症

治療や手術をうけた際に、おこる可能性のある症状を紹介します。治療や手術をうけたら必ず引き起こされるということではありません。

内視鏡的切除の偶発症

では、出血や穿孔、薬物アレルギーなどが挙げられます。

出血
腫瘍を切除した場所は潰瘍(傷)になります。治療中あるいは治療後およそ1週間は出血が起こる可能性があります。その場合は内視鏡を使って出血を止める処置をします(輸血を要する頻度は3~4%といわれています)。
穿孔
治療中あるいは治療後数日して、胃に穴が開いてしまうことがあります(1~5%といわれています)。多くの場合は内視鏡を使って縫い合わせる治療で対応可能ですが腹膜炎などで外科手術を要する事もあります。
薬物アレルギーなど
治療の際に鎮静剤,鎮痛剤,のどの麻酔薬などを使用します。まれにショック,不整脈,呼吸困難,蕁麻疹などが起きる可能性があります。症状に応じての対応が必要です。 消化器内視鏡学会偶発症対策委員会による全国調査では、きわめて稀ですが内視鏡検査治療に伴い死に至る重篤な偶発症も報告されています。しかしながら治療の必要性を鑑み、万全の注意を払って治療を行います。
出展:医療法人正和病院
http://mc-seiwa.or.jp/op.html(2018年11月11日確認)

腹腔鏡下手術の偶発症

腹腔鏡下手術の偶発症では、出血や皮下気腫・術後出血/術後感染・腸閉塞・血栓症・ガス塞栓症等が挙げられます。

手術にともなう出血量が多い場合には、輸血の可能性もあります。合併症として、皮下気腫・術後出血/術後感染・腸閉塞・血栓症・ガス塞栓症等があります。癒着が強固な場合には、偶発症として隣接臓器(腸管・膀胱・尿管)損傷の可能性もあります。また術後に行われる摘出臓器の病理組織診断において悪性所見が得られた場合には、再入院および追加治療(再手術)が必要となることもあります。上記合併症ないしは偶発症は腹腔鏡手術に限ったものではなく(但し,皮下気腫とガス塞栓症は腹腔鏡手術に特有)、手術治療全般で起こり得る事柄です。
出展:医療法人 光生会
http://www.koseikai-hp.or.jp/kouseikai_index/kouseikai_clinicindex/01_koseikai_h_26/01_koseikai_h_261.html (2018年11月11日確認)

参考

医療法人 東和会グループ 第一東和会病院
http://www.towa-med.or.jp/first_hospital/endoscope/detail.php?no=5(2018年11月11日確認)

医療法人正和病院

http://mc-seiwa.or.jp/op.html(2018年11月11日確認)

富山逓信病院
https://www.hospital.japanpost.jp/toyama/outpatient/examination/emresd.html(2018年11月11日確認)

医療法人 光生会
http://www.koseikai-hp.or.jp/kouseikai_index/kouseikai_clinicindex/01_koseikai_h_26/01_koseikai_h_261.html(2018年11月11日確認)

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