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造血幹細胞移植治療のメリット・デメリット

血液の癌など様々な目的に対して効果があると言われる造血幹細胞移植。造血幹細胞移植には自家移植、同系移植、同種移植があり、その移植方法によってもそれぞれのメリットとデメリットが異なっています。
造血幹細胞移植は手術・放射線治療・抗がん剤治療などの標準治療と併用することで治療効果が向上すると期待されており、年々移植の件数が増えています。
がんの治療を考える際は、メリットとデメリットをしっかりと知り、選ぶようにしましょう。

造血幹細胞移植治療のメリット

最大限の化学療法や放射線治療を行える

造血幹細胞移植を行うことによって、化学療法や放射線治療を通常よりも多く行うことができます。つまり、通常の癌治療だけを行うより、大きな効果を発揮することが期待できるのです。。

癌細胞に対対する化学療法や放射線治療は、抗腫瘍効果があると同時に患者の身体には負担がかかってしまいます。そのため、化学療法も放射線治療は行なえる頻度や量に限りがあるのです。
何もしないままで最大限の化学療法や放射線治療を行うと、癌細胞とは関係のない健康な臓器にまで悪影響を及ぼしてしまいます。また、中でも骨髄は癌治療の影響を受けやすい臓器。癌治療を開始すると骨髄で作られる白血球の量が著しく減少します。白血球は身体に害を与えるウィルスや細菌を破壊してくれる免疫細胞の一種です。白血球が減少することで感染症や合併症を起こしてしまうリスクが増大します。そこで注目されたのが造血幹細胞移植。
最大量の化学療法や放射線治療を行う前に造血幹細胞を採取しておき、治療後に採っておいた細胞を移植することで骨髄のダメージを回復することができると考えられています。
造血幹細胞移植を利用することで、化学療法や放射線治療の効果を最大限に発揮することができるのです。

参考:日本造血細胞移植学会HP「移植の適応となる疾患」(2018年10月18月確認)

同種造血幹細胞移植でがんを縮小できる効果が認められている

同種移植には抗腫瘍効果があります。がん細胞にアプローチをするのは免疫といわれています。この免疫は、身体の中の病気や悪いものを発見し闘おうとします。
もしも、同種移植(自家移植や同系移植以外のヒトからの造血幹細胞移植)をした場合、移植された造血幹細胞が作り出したリンパ球は、移植先の体内にがん細胞が残っていると取り除こうとしてくれます。
これは免疫療法の1つとも言われ、移植片対腫瘍効果、GVL効果と呼ばれています。

平成26年度の日本造血細胞移植学会による全国調査報告でも、造血幹細胞移植の件数は、年間5000件を超えており、自家移植や臍帯血、非血縁骨髄の割合も増えてきています。

状態に応じて治療の組み合わせを選べる

癌治療には手術・抗がん剤治療・放射線などいくつかの種類があり、それぞれに副作用が異なります。がんの状態などによって適した治療法は変わりますが、高齢になると副作用に身体が耐えられず、ベストな治療法を受けられないことも。
同種造血幹細胞移植では移植そのものにがんを縮小させる効果が期待できるので、あえて移植前に行う抗がん剤や化学療法を軽いものにして、患者の身体への負担をある程度軽くすることも可能です。

造血幹細胞移植治療のデメリット

ドナー探しが難しいという

同系移植と同種移植のいずれの移植法も白血球の型が完全に一致していなければなりません。白血球の型が一致する可能性が高いのは一卵性双生児の兄弟や姉妹など。しかし、この白血球の血液型、HLAが一致する確率は兄弟・姉妹でも約25%。親や親族となると1%にまで下がります。他人の中からHALが一致している人を見つけ出すのはとても難しいでしょう。HALを精密に検査することができるDNA型をするとドナーが適合しないことがあります。HLAが一致するドナーを見つけることができなかった場合は骨髄バンクなどでドナーを探す必要があります。もしも、適合しないドナーから移植した場合は、GVHDなどの副作用が起きる可能性が高くなってしまいます。

また、自家移植は基本的に65歳以下、同種移植は55歳以下というように年齢制限も設けられています。

造血幹細胞移植はリスクや痛みを伴う

造血幹細胞移植をする場合、ドナーに何かしらの副作用が見られることがあります。骨盤から造血幹細胞を取る場合には、全身麻酔をして腰のあたりから針をいれますが、全身麻酔にはリスクがありますし、麻酔が切れると針を刺した事による痛みが現れます。
抹消血幹細胞から造血幹細胞を採る場合は、はじめに造血幹細胞を増やす必要があるので、G-CSFという薬を体内に注射しますが、この注射によって熱が出たり、骨に痛みが出るなどの副作用が起きたりすることがあります。
臍帯から造血幹細胞を採取するという方法もありますが、臍帯とは赤ちゃんのへその緒のこと。採取できる造血幹細胞の量は骨盤から採る場合よりどうしても少なくなります。ドナー自体の負担がないというメリットはありますが、患者にとっての移植に必要な分の造血幹細胞が手に入らないというデメリットもあります。

移植によってGVHDが起きる可能性もある

ドナーから移植された造血幹細胞によってできたリンパ球には、がん細胞を攻撃する移植片対腫瘍効果「GVL効果」が期待できます。一方でリンパ球は、移植された患者の健康な臓器や皮膚までも攻撃してしまう可能性があるのです。これをGVHD、移植片対宿主病、と呼びます。同種移植の副作用のリスクを抑えるには、白血球の血液型・HLAを可能な限り一致させる必要があります。HLAが一致する度合いが高いほど、GVHDは起こりにくいと考えられているのです。同種移植が成功するかどうかはドナーとのHLAの一致が鍵となります。

このGVHDには急性のものと慢性のものがあるため、移植後すぐに発症するとは限りません。急性のGVHDになると、皮膚・肝臓・消化管に何らかの異常が発生します。また、慢性のものになると、皮膚や口、目に黄疸が出たり、呼吸をはじめとする身体全体の機能に異常が現れたりします。移植後100日以上が経過してから、何らかの症状が現れたGVHDは慢性。移植後は、GVHD以外にも合併症や感染症の注意も必要です。

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