悪性リンパ腫

ここでは、リンパ節のがん(悪性リンパ腫)におけるトモセラピーについて詳しく解説します。治療目的や治療方法、起こりうる副作用などについてまとめました。

悪性リンパ腫で放射線治療を行う目的

悪性リンパ腫におけるトモセラピーは、主に以下の2つの目的で行われます。

根治目的

悪性リンパ腫にはいくつかのタイプがあります。それらタイプのうち、全身に広がりにくい局限的な「マルトリンパ腫」や、リンパ腫細胞が固まっている「ろほう性リンパ腫」、欧米人に多く見られる「ホジキンリンパ腫」などについては、がんの根治を目的に放射線治療が積極的に用いられます。薬物療法(抗がん剤治療)と並行して行われる例も、非常に多く見られます。

「マルトリンパ腫」の場合、ステージが1-2期であれば、少量の放射線を3~5週間ほど照射することで、80~90%根治可能です。「ろほう性リンパ腫」についても、1-2期であれば50~80%の確率で根治させることができます。

なお、悪性リンパ腫から転移した病巣に対しても放射線が選択されることがあります。

再発予防目的

他の方法(手術や薬物療法など)で悪性リンパ腫を治療したのち、再発予防を目的に放射線治療が行われることがあります。

かりに手術を受けたとしても、病巣を100%取り除くことができたとは限りません。視認できない病床が付近に残存しているリスクを考慮し、再発予防目的で放射線治療が行われます。

悪性リンパ腫における放射線治療の方法

悪性リンパ腫の放射線治療では、リンパ腫細胞を破壊する目的で、高いエネルギーの放射線(トモセラピーなど)が用いられます。

リンパ腫の種類やステージによっても治療法は異なりますが、通常の放射線治療の場合、月曜日から金曜日までの週に4~5日程度、1日に1回のペースで放射線を照射。これを3~5週間ほどの期間、連続して行います。

放射線治療におけるエネルギー量は、悪性リンパ腫の種類に応じ、おおむね次の通りです。

  • マルトリンパ腫:24~36Gy
  • ろほう性リンパ腫:30~36Gy
  • びまん性大細胞性リンパ腫:30~40Gy

なお、「びまん性大細胞性リンパ腫」は全身的に転移の可能性があるがんのため、治療法の第一選択は薬物(抗がん剤)です。ただし多くの場合、並行して放射線治療を受けることで治癒の可能性が高くなります。

「びまん性大細胞性リンパ腫」は、日本人における悪性リンパ腫の中で、もっとも多く診断されているタイプと言われています。

放射線治療の副作用

放射線治療の副作用は、主に放射線を照射した部位の近辺に生じます。また、治療期間中や治療直後から起こるタイプ(急性期)と、治療から半年や数年経ってから起こるタイプ(晩期)の副作用があります。症状の起こる時期や程度には個人差があることを理解しておいてください。

以下、悪性リンパ腫の放射線治療における主な副作用を確認します。

疲労感

疲れやすくなったりだるくなったりなどの身体症状のほか、気力が出なくなったりなどの精神症状が現れることがあります。疲労感を覚えた場合には、無理をせず体を休めるようにしましょう。

食欲不振

治療期間中、食欲が減退することがあります。胃腸付近に放射線を照射した際に好発する副作用です。食欲不振を覚えた際には、たとえ少量でも高カロリーのものを食べるようにしてください。食事を全く摂れない場合には、医師に相談しましょう。

皮膚の異常

放射線を受けた部位の皮膚が赤みを帯びたり、乾燥したり、かゆみ・痛みを生じたりすることがあります。皮膚に刺激を与えないよう直射日光を避け、かつ、治療部位における化粧品や香水等の使用も避けましょう。

吐き気

胃腸付近、または頭部に放射線を照射すると、吐き気を感じることがあります。自覚した場合には、担当医から処方される薬(吐き気を抑える薬)を服用するようにしましょう。

下痢

腸に向けて放射線を照射すると、腸内が荒れて下痢や軟便を生じることがあります。症状を自覚した際には、消化の良い食事と十分な水分補給を心掛けてください。医師から整腸剤を処方されることもあります。

口内異常

頭頚部などに放射線を照射することで、口内乾燥や口内炎などの副作用を起こすことがあります。柔らかい歯ブラシで歯磨きをしたり、こまめにうがいをしたりなどして対処しましょう。医師から抗炎症剤を処方されることもあります。

脱毛

頭部に放射線を照射することで脱毛を生じるケースがあります。治療が終了すれば毛髪が再生するので、心配しないでください。脱毛中、帽子やウィッグ、バンダナなどを利用して頭部を覆って隠す患者さんが多いようです。

【結論】悪性リンパ腫はトモセラピーで治療できる?

トモセラピーとは、X線を用いた放射線治療装置のこと。原体照射法の応用である、強度変調放射線治療及び画像誘導放射線治療を併用して行います。コンピューター断層撮影装置と一体化されたIMRT専用の放射線治療装置及びその稼動コンピューター・システムのことを言います。

治療装置を360度回転させて治療するのが特徴です。それぞれの方向からの放射線量に強弱をつけながら、がんの形態に合わせて集中的に照射することで、がんの制御率を高めることができるほか、副作用を最小限に抑えることができます。1日1回、5~20分前後の治療で副作用も少ないため、外来通院で治療でき、通常の日常生活を送ることが可能です。また、一部疾患を除いて保険も適用されています。

脳腫瘍や乳がん、食道がんなどに加え、悪性リンパ腫や多発性骨髄腫なども放射線治療の対象疾患となっています。そのため、悪性リンパ腫をトモセラピーで治療するということも十分に可能です。

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ちなみに…悪性リンパ腫はサイバーナイフで治療できる?

サイバーナイフ(CyberKnife)は、体にメスを入れず、がんなどの病巣だけを多方面から狙い、放射線を集中照射する定位放射線治療装置です。

サイバーナイフの特徴は、病変だけを狙い打つ最新の治療「病変追尾システム」が搭載されていること。画像解析技術と巡航ミサイルに使われている情景照合装置を応用した病変追尾システムが病変部分を追跡して正確に治療します。このシステムにより、病変が動いたとしても追跡して治療できるのがサイバーナイフの特徴といえるでしょう。

頭部切開や痛みをともなう頭蓋骨への金属フレーム固定は不要で、治療の際に着脱式のプラスチックマスクを装着するだけで高精度な治療が可能になったのも見逃せないポイントです。

悪性神経膠腫悪性リンパ腫など原発性脳腫瘍で適応することができます。

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ちなみに…悪性リンパ腫はガンマナイフで治療できる?

ガンマナイフとは、ガンマ線と呼ばれる放射線を用いて行う治療法。まるでナイフで病巣を切り取るような方法であることからこのような名前が付けられています。開頭手術をしなくても、頭蓋内の脳内病変もしくは機能的脳疾患の治療やコントロールをすることができる、極めて低侵襲な脳外科治療の1つです。

ガンマナイフの装置の中には、200個ほどのコバルトが同心円状かつ半円球状に敷き詰められており、それぞれからガンマ線が常時放出。それぞれのガンマ線は一箇所に集中するよう設計されているため、標的病変に高線量一括照射ができるようになっています。このため、周囲にある正常な組織への被ばくは少なく、標的脳内病変のみに高エネルギー照射が可能になるのです。また、術後に皮膚炎や脱毛、骨髄機能抑制を起こすことはほとんどありません。これらが通常の放射線治療と大きく異なるポイントです。

ガンマナイフは、頭頸部の治療に使用されるものになります。悪性リンパ腫は体中どこでも発生する可能性があるため、頭頸部に発生した場合は、治療の対象です。

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ちなみに…悪性リンパ腫はトゥルービームで治療できる?

トゥルービーム(TrueBeam)は、定位放射線治療や強度変調放射線治療などを短時間かつ高精度に行うことができるX線照射装置です。呼吸することで動く臓器を追尾するシステムが搭載されているため、患者は治療を受ける時に呼吸を止めるなどの負担がないのが大きなポイント。また、高線量率によって治療の時間を短縮できる点も特徴のひとつ。さらに、治療中に画像を撮影して状況をチェックでき、治療の精度を高くキープすることが可能です。

トゥルービームは、悪性リンパ腫の治療で使われるケースはそれほど多くはないようです。

   
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