脊椎腫瘍へのトモセラピー(放射線)治療

脊椎腫瘍におけるトモセラピーなどの放射線療法の目的、方法、副作用などについて解説しているページです。「脊髄腫瘍」と呼ばれる病態には脊髄や脊椎からできた腫瘍とそのほかの臓器から転移したものがあり、腫瘍が脊髄を圧迫することで症状が発生します。首、胸、腰のどの部分に腫瘍ができるかによって症状が異なるのが特徴です。脊椎腫瘍について、さらに詳しく見ていきましょう。

脊椎腫瘍で放射線治療を行う目的

脊椎腫瘍とは、脊椎骨に発生した腫瘍で、原発性の腫瘍と転移性の腫瘍があります。原発性脊椎腫瘍は骨を構成する組織から腫瘍が発生するもの。他の腫瘍と同様に良性と悪性があり、転移性の腫瘍は体の別の部位の悪性腫瘍、つまり癌が脊椎に転移したものです。脊椎腫瘍の放射線治療の目的には、以下の3つが考えられます。

根治目的

「根治目的の治療」とはその名の通り、がんの根治を目指して放射線治療を行うことです。放射線治療を単独で行うほか、薬物などの化学療法と組み合わせて「集学的治療」を行うことも。根治を目指す放射線治療の場合、長期間に渡る治療が必要となるケースもあります。しかし、最近では国内の医療機関にも徐々に導入されている「定位放射線治療」という高精度放射線治療によって短時間で治療を終えることが可能です。

緩和目的

がんが進行してしまったり、再発によって周囲の臓器に広く染み込んだりして全身にがんが転移してしまった場合、がんの根治が困難となることがあります。そのような時に行われるのが「緩和目的の治療」です。がん病巣による痛み、しこりや出血などの症状を和らげることができます。「がんを制御する」「がんをコントロールする」といった表現が用いられる治療です。

予防目的

手術や薬物療法などで治療を行い、肉眼では明らかながんの病巣が残っていない場合であっても、顕微鏡で見ると分かるような小さな病巣が原因で再発が起きる可能性があります。そのようなケースでの再発を防ぐための目的で放射線治療を行うことを「予防照射」と言います。予防照射のように、再発を防ぐことを目指して行われる治療が「予防目的の治療」です。

脊椎腫瘍における放射線治療の方法

脊椎腫瘍には、摘出が可能なものと難しいものとがあり、腫瘍の性質によって治療方法は大きく異なります。 上衣腫の場合は、手術用顕微鏡を使った手術で、脊髄の後正中切開を行い、全摘出または亜全摘(一部を残して大部分を切除すること)をすることが可能です。部分摘出の場合は、術後に放射線治療を追加する場合もあります。

星細胞腫(脳や脊髄の神経細胞の働きを助ける星膠細胞から発生する腫瘍)は、正常な脊髄組織との境界が分かりにくいことが多く、手術用顕微鏡を使った手術でも全摘出は困難です。そのため、できる範囲で腫瘍の摘出が行われます。全摘出が困難な場合、腫瘍の摘出度と病理組織診断によって術後の治療方針を決定。腫瘍の悪性度がグレード1や2の場合、残存腫瘍が多い場合は放射線療法や化学療法を追加。また、残存腫瘍が少ない場合には経過観察とする治療のパターンもあります。一方、腫瘍の悪性度がグレード3または4だと、放射線治療や化学療法を追加するのが一般的です。

血管芽腫(成人の小脳、延髄、脊髄に発生する良性腫瘍)は、手術用顕微鏡を使った手術での全摘出が可能。海綿状血管腫は、髄内の出血による症状を示している場合には、手術用顕微鏡下の手術での摘出術を行います。転移性髄内腫瘍では、経過から診断が明らかな場合は、手術を行わずに放射線治療を行う症例もあるようです。

放射線治療を行う場合の治療の流れは次のようになります。

初診

事前もらった診療情報を元に診断を行い、放射線治療の適応の有無を判断。放射線治療の効果・副作用・治療期間・治療費などを説明し、患者が充分に納得した上で、治療を進めていきます。

シミュレーション

放射線治療では裸体の上にラインを書きながら治療をするのが一般的です。ただ、病院によっては画像誘導放射線治療による高い位置合わせ技術の導入により、体にラインを書かず、薄手の衣服を着たまま治療を行えるケースもあります。

治療計画による評価

がんに放射線を集中させるための治療計画を立案し、計画通りに装置が動作することを1週間ほどかけて検証。ここでは通常、複数の医師や専門スタッフが集まって、多面的に治療内容を検討します。

治療

1回の治療にかかる時間は20分ほど。受付や診察、治療などを含めると1日の所要時間は1時間程度です。複数日に渡り治療を行い、治療回数は、定位放射線治療で4回~10回程度、画像誘導放射線治療で5回~30回程度となります。

治療後のフォローアップ

治療後は、定期的に診察を行い、治療効果や副作用の現れ方を確認していきます。

放射線治療の副作用

脊椎腫瘍で放射線治療を行う場合、副作用は照射中や照射直後に現れるものと、治療を行ってから数か月または数年たってから生じるものとがあります。

照射中・照射直後に現れる可能性のある副作用

  • 皮膚炎:日焼けに似た症状が見られ、塗り薬などで対応します。
  • フレア現象:放射線治療を行った後、疼痛が一時的に強くなることがあります。
  • 咽頭炎:頸部や胸部に放射線を照射した時に見られる副作用。食事で食べ物を飲み込む時に疼痛やつかえ感があります。
  • 腸炎:腹部や骨盤付近に放射線を照射した時に見られる副作用。下痢の症状が見られる場合は下痢止めの内服薬を使用することもあります。
  • その他:倦怠感や悪心など

照射をしてから数か月~数年して現れる可能性のある副作用

  • 皮膚炎:皮膚が硬くなったり、潰瘍になったりします。
  • 放射線性肺炎:発熱や咳、息苦しさを感じます。胸部の放射線治療を行った時に見られる症状です。
  • 食道炎:食道の潰瘍や狭窄などの症状があり、こちらも胸部に放射線を照射した時に見られる副作用です。
  • 腸炎:腹部や骨盤付近に照射した時に見られる症状。下痢や出血などがあり、重篤化すると穿孔、腸閉塞となることもあります。
  • 放射線性脊髄症:頻度はそれほど高くありませんが、下半身麻痺などの重篤な症状が見られることもあります。

脊椎腫瘍はトモセラピーで治療できる?

トモセラピーは、アメリカで開発された放射線治療装置で2002年から治療が開始。それ以降、世界中で導入の動きが広がっており、国内でも数多くの医療機関で稼働しています。CTのように患者の周りを回りながら細い放射線のビームを組み合わせて治療を行うのが特徴。転移性脊椎腫瘍や原発性脊髄腫瘍、髄膜腫、脊髄神経鞘腫といった脊髄腫瘍も適用の対象となっています。

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ちなみに…脊椎腫瘍はサイバーナイフで治療できる?

サイバーナイフは、スタンフォード大学のジョン・アドラー教授によって開発された放射線治療装置。国内でも30台ちかい数が導入されており、大きな効果の報告が上げられています。治療することができる疾患として、脊髄動静脈奇形のほか、がんの脊髄転移や脊椎転移、髄膜腫、神経鞘腫などの脊椎脊髄腫瘍があります。

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ちなみに…脊椎腫瘍はガンマナイフで治療できる?

ガンマナイフは、脳の腫瘍などを治療するための放射線治療装置。基本的には頸部腫瘍を対象としたものに限られると想定されるため、活用する機会は多くないかも知れません。頭部や頸部にも腫瘍が生じている場合には使用される可能性があります。

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ちなみに…脊椎腫瘍はトゥルービームで治療できる?

トゥルービームは、従来の放射線治療装置と違い、正常な組織を守りながら治療効果をあげる強度変調放射線治療と呼吸の動きを補正する機能を組み合わせたがん治療システム。全身の様々な腫瘍に幅広く適応しているため、脊椎腫瘍にも対応することができます。

   
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