食道がん

ここでは、食道がんにおける放射線療法(トモセラピーなど)の目的、方法、副作用などについて詳しく解説します。食道がんの治療では、手術療法や化学療法とともに、放射線療法も一般的に行われています。

食道がんで放射線治療を行う目的

食道がんの標準的な治療は、内視鏡やメスを使用した病巣の切除術です。一方で、条件によっては手術ではなく放射線治療が選択されることもあり、治療成績は良好と報告されています。 食道がんにおける放射線療法の目的は、主に根治と緩和の2種類です。

根治目的

がん細胞の広がりを基準に放射線適応と判断された場合、食道がんの根治を目指して放射線治療が行われることがあります。手術とは異なり食道を温存しつつの治療となるため、予後における食生活への影響は大きく軽減されます。

術後における患者のQOLを維持するという観点から見れば、食道がんにおける放射線治療は非常に重要な位置づけとなっています。

緩和目的

がん細胞が広範囲に広がっていることで、がんによる痛みを訴える患者や、食道の狭窄や周辺臓器への圧迫などが見られる患者に対し、それら症状の緩和を目指して放射線治療が行われることがあります。基本的には、手術や他の方法においても根治が難しいとされる症例において選択される治療です。

緩和目的の放射線治療は、根治目的のそれに比べ、一般に短期間で行われます。

食道がんにおける放射線治療の方法

食道がんにおける放射線治療の一般的な流れ、方法について確認してみましょう。

放射線治療の治療計画を立てる

CT画像をベースに、食道透視や内視鏡、PET検査の結果などを加味して病巣を同定します。粘膜がんや表在がんなど、一般的なCT画像での同定が困難な症例においては、内視鏡検査の際、病変の口側と肛門側にクリッピングを行い、その後、CTを撮影するという手順をとることが多いようです。

放射線の照射方法

粘膜がんや表在がんの場合、原発巣から上下2~5cmほどの幅を取った状態で放射線を局所照射します。

進行がんの場合には、原発巣に加え、所属リンパ領域などを含めた広範囲に前後二方向から放射線を照射。のち、病変を中心に対象を絞って局所的な放射線照射を行います。

食道がんの放射線治療における一般的な線量

食道がんの放射線治療における放射線の線量は、国内では50~60Gyが標準的です。この範囲の線量において、6~7週間ほどの放射線治療が行われます(病院の方針により異なります)。ちなみに欧米では50Gyを5~6週で照射するのが一般的です。

また、放射線治療と並行して化学療法(抗がん剤による治療)が行われるのが一般的。化学療法において用いられる薬剤は「シスプラチン+5-FU」が標準的です。

放射線治療の副作用

放射線治療の副作用は、主に放射線を照射した部位の付近に生じます。よって食道がんで放射線治療を受けた場合、食道付近を中心に副作用を自覚することになるでしょう。

また、放射線の副作用には、治療期間中や治療直後に生じる急性期副作用と、治療から半年以上を経過して生じる晩期副作用とがあります。いつ、どの程度、どんな種類の副作用を起こすかについては、患者によって個人差があることを理解しておいてください。

以下、食道がんの放射線治療における主な副作用を確認します。

喉のつかえ・痛み

食道がんの放射線治療でよく見られる副作用が、喉のつかえ・痛みです。放射線の影響により、一時的に食道炎が生じ、つかえや痛みとして自覚されます。違和感がある間は柔らかいものを食べるなど、食事内容に気を配るようにしましょう。

皮膚の異常

放射線を照射された喉や胸の皮膚が、一時的に赤くなったり乾燥したりすることがあります。放射線の照射直後は皮膚が刺激に弱い状態となっているため、直射日光を当てないよう注意してください。また、香水や化粧品などの使用も控えたほうが良いでしょう。

疲労感

放射線の治療中または治療後、全身の疲労感を感じることがあります。気力がなくなるなど、精神的な疲労感を訴える人もいるようです。疲労感を自覚した場合には無理に頑張ろうとせず、ゆっくりと体を休めるようにしましょう。

口内異常

放射線の影響が口内に及んだ場合、口内が乾燥したり口内炎が生じたりすることがあります。乾燥を防ぐために何度もうがいをし、口内炎を防ぐために口内の清潔を保つようにしましょう。歯ブラシは柔らかいものを選んでください。

肺炎

食道に施した放射線が肺に影響を与えると、肺炎を発症することがあります。咳が止まらない等の自覚症状が著しい場合には、医師に相談をして適切な治療を受けるようにしましょう。

【結論】食道がんはトモセラピーで治療できる?

トモセラピーは食道がんの治療にも用いられます。2010年まではトモセラピーの保険適用は前立腺がん・頭頸部腫瘍・中枢神経腫瘍などに限られていました。これ以外の治療に使われることが当時は少なかったためです。しかし、2010年に診療報酬が改定。現在では食道がんや肺がん、すい臓がんなどの消化器系のがんをはじめ、直腸や子宮、膀胱などの骨盤臓器、単発性の骨転移などへのトモセラピーの使用も保険適応範囲内となっています。

トモセラピーとは、X線を用いた放射線治療装置。強度変調放射線治療と呼ばれる照射を行う専用機器として開発されました。装置にはCTが内蔵されており、放射線を照射するがん病巣の位置を精密に測定。がんの大きさ、形を捉えてピンポイントで放射線を照射できるのが特色の装置です。トモセラピーはがんの周辺にある正常組織への放射線の影響を避け、がんだけに線量を集中させることが可能。周辺臓器への影響が少ないために副作用が少なく、がんに高い線量の放射線を照射できることから大きな治療効果も期待されています。

トモセラピー(強度変調放射線)でのがん治療についてもっと詳しく

ちなみに…食道がんはサイバーナイフで治療できる?

サイバーナイフとは、高精度のロボットアームに小型の放射線治療装置を搭載した、定位放射線治療の専用装置のこと。体幹部の腫瘍や、呼吸により動きのある腫瘍に対しても治療可能で、食道がんの治療にも使うことができます。サイバーナイフは搭載されたロボットアームによってあらゆる方向から腫瘍に集中的に放射線を照射。腫瘍には集中的に放射線を照射し、同時に周囲の正常臓器へのダメージは最小限にとどめられるのが大きな特徴です。

同じ放射線治療を行うガンマナイフで治療を行う場合には、金属製ネジを頭蓋骨に直接刺して、金属フレームを固定した状態で、画像検査や治療計画、照射など一連の操作を行う必要がありました。しかし、サイバーナイフは、X線透視システムによる精密な位置補正を行うため、苦痛を伴う固定具をする必要がありません。治療時の負担が軽減できるのもサイバーナイフの利点です。

サイバーナイフ(定位放射線治療)でのがん治療についてもっと詳しく

ちなみに…食道がんはガンマナイフで治療できる?

ガンマナイフは脳をはじめとする頭頸部の治療に使用するのが一般的。食道がんを治療するために使われることはほとんどありません。ただし、食道がんが脳へと転移した場合には、使用される可能性があります。 ガンマナイフとは、脳内の病巣部など特定の部分に200個ちかいの細かいガンマ線ビームを集中照射させる放射線治療装置のこと。開頭手術をせずに病巣をナイフで切り取るように治療できることから「ガンマナイフ」の名がつけられました。より侵襲性の少ない治療だと言えます。そのため、今まで手術が困難であった脳の深部にある血管奇形や腫瘍への治療が可能。また、外科的手術に耐えられない患者や高齢者の人でも治療を受けられます。

ガンマナイフ(定位放射線治療)でのがん治療についてもっと詳しく

ちなみに…食道がんはトゥルービームで治療できる?

呼吸などで動く臓器を追いかけるシステムが搭載されているトゥルービーム(TrueBeam)では、患者に治療中に呼吸を止める負担を強いることなく治療が可能です。食道がんをはじめ、頭頸部がん、肺がん、乳がん、肝臓がん、膵臓がん、直腸がん、前立腺がん、子宮がん、転移性腫瘍、骨腫瘍などさまざまな固形がんの治療に適用されています。トゥルービームとは、定位放射線治療や強度変調放射線治療などを短時間で高精度に行えるX線照射装置のことです。単位時間あたりの放射線の量を高くすることができ、治療時間を短縮できるのが特徴の1つ。通院回数を減らせるので、患者の負担軽減にもつながります。また、治療中に患部の画像を撮影して状況を常時確認できるので、治療の精度を高く保てるのもメリットです。

   
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