肝臓がん

ここでは、肝臓がんにおけるトモセラピーについて詳しく解説します。肝臓がんの治療法において放射線治療は主流ではありませんが、症例によってはトモセラピーなどの放射線治療が検討されることもあります。

肝臓がんで放射線治療を行う目的

肝臓がんの治療における第一選択は、放射線療法ではなく手術です。ところが肝臓がんの患者の中には、肝硬変などで肝機能が低下し、肝臓が手術に耐えられない例が少なくありません。

肝臓が手術に耐えられない場合には、ラジオ波焼灼療法や経皮的エタノール注入療法などの穿刺療法、または冠動脈塞栓術が検討されますが、これらも適用されないほどがん細胞が広がっている場合には、強力な放射線による治療が選択されることがあります。

以上から分かるとおり、肝臓がんにおける放射線治療は、積極的に選択される治療法ではありません。むしろ、やむを得ず放射線治療が選択される、という側面もあります。

肝臓がんの放射線治療を選択する目的は、次のような条件に該当する症例を治療する場合です。

  1. もし肝機能が健全であれば手術が適応される
  2. ところが肝機能が低下しているため手術をできない
  3. 穿刺療法や肝動脈塞栓術の適応にもならない

以上3つの状況を同時に満たす患者を治療する目的として、放射線治療が検討されます。

なお、肝臓がんに対する放射線治療が積極的には選択されない理由は、肝臓に対する放射線の影響が強いと考えられているためです。しかしながら複数ある放射線のうち陽子線など、肝臓がんに対して比較的安全に治療ができる放射線もあります。

肝臓がんにおける放射線治療の方法

肝臓がんにおける放射線治療は、患者の状況に応じて「通常分割照射」「体幹部定位放射線治療(定位照射)」「粒子線治療」の3つの方法から選択されます。

通常分割照射

門脈や静脈内への浸潤が見られ、かつ高齢等の理由により手術等の治療が難しい場合、放射線の通常分割照射が行われます。放射線のエネルギーは50~60Gyと強め。治療期間は5~6週間です。抗がん剤が併用されることもあります。

体幹部定位放射線治療(定位照射)

腫瘍の形状に合わせ、放射線を多方面から照射します。複数の適応条件がありますが、いずれも手術が適応にならない患者であることが前提です。放射線エネルギーは48~60Gy。治療期間は1~2週間と短めです。治療成績は良好と報告されています。

粒子線治療

粒子線治療とは、陽子線・炭素線を用いた放射線治療のこと。線量集中性に優れ、かつ巨大な腫瘍に対しても高い局所制御効果が確認されている放射線治療です。ただし一般的なX線治療とは異なり、粒子線治療を行える医療機関は限られているのが現状です。

放射線治療の副作用

がんの放射線治療における副作用は、主に放射線の照射を受けた部位の近くで発症します。よって肝臓がんの放射線治療の副作用は、腹部の周辺で起こる可能性が高くなります。

また放射線治療の副作用には、治療期間中や治療終了の直後から生じる急性期副作用と、治療を終了して半年以上経過してから生じる晩期副作用の2種類があります。どの時期に副作用が生じるか、また、どんな種類の副作用がどの程度で生じるかについては、患者によって個人差があることを理解しておきましょう。

以下、肝臓がんの放射線治療において起こりうる主な副作用を確認します。

食欲不振

肝臓がんを含め、がんの放射線治療を受けた患者において、副作用として食欲不振がよく見られます。がんの治癒を早めるためにはカロリーが必要なので、もし食欲不振を自覚した場合には、少量であってもカロリーの高い食べ物を摂ることが大切です。食欲がまったくなくなってしまった場合には、速やかに主治医へ相談しましょう。

疲労感・倦怠感

がんの放射線治療を受けた患者において、疲労感・倦怠感が見られることがあります。疲れやすさなどの身体的症状だけでなく、無気力などの精神的症状を自覚する患者も少なくありません。疲労感・倦怠感を覚えたときには、無理をしないことが第一です。仕事や家事を頑張り過ぎず、ゆっくりと体を休めることを優先してください。

腹部の皮膚の炎症

放射線を受けた部位の皮膚に、赤みやかゆみ、痛みなどの炎症を生じることがあります。放射線を受けた直後は皮膚が敏感な状態となっているため、化粧品や香水を使用したりすることは避けましょう。直射日光を当てることも良くありません。

吐き気・嘔吐

放射線の治療中や治療後に、吐き気や嘔吐を自覚する患者もいます。体を休めることが第一優先ですが、場合によっては、医師に吐き気止めの処方をお願いしても良いでしょう。

「いちから分かる癌転移の治療方法ガイド」は、独自に調べた内容をまとめたサイトです。
治療法など詳しく知りたい場合は直接に各医療機関へお問い合わせ下さい。

無断転用禁止(Unauthorized copying prohibited.)