定位放射線治療

定位放射線治療

癌の治療法の中でも特に代表的なのが放射線による治療です。その中でも定位放射線治療とはどういったものなのかについてご紹介します。

定位放射線治療とは?

通常の放射線治療とは違い、多方向から病巣に集中的な放射線を照射する方法です。 定位放射線治療では複数回に分けて行う照射と、1回で行う照射の2種類があります。

一般的な放射線治療では複数回に分けて照射を行いますよね。これは正常な細胞への負担を減らすためです。正常な細胞は、放射線を受けたとしてもそれが低い線量であれば修復できます。

腫瘍細胞は低い線量でも修復できないことを利用し、低い線量での照射を複数回に分けて行うことにより正常な細胞への負担を減らして効率よく腫瘍細胞に攻撃ができるのです。

ですが、定位放射線治療の場合は病巣に対してのみ働きかける方法で正常な細胞への照射は少なくて済むため、1回照射にも対応できます。

ただ、必ずしも1回照射が選択できるわけではなく、病巣の位置や大きさなどによっても1回照射と分割照射のどちらが最適かは変わるため、医師の判断により異なるでしょう。

これまでは手術といった選択肢しかなかったものに対しても選択できる可能性のある治療法なので、年齢や合併症によるリスクが高いために手術できずにいた方などの治療法としても取り入れられています。

メリット

大きなメリットとして挙げられるのが、広範囲に広く働きかける通常の放射線治療とは違い、ピンポイントで病巣をねらい撃ちできるため、正常な組織への放射線照射を極力抑えることができます。

広範囲に働きかける放射線治療だと周辺の正常組織の被曝量も増えてしまいますが、それを抑えられる治療法です。また、痛みがないのも大きなメリットです。照射の範囲が少ないこともあり、入院期間も短くて済むケースがほとんどとなっています。

定位放射線治療をよく使用する癌とその理由

定位放射線治療は、がんの種類によっては保険適用で利用できる放射線療法です。ただ、がんによって研究の進み具合や定位放射線治療を使う理由が若干異なります。がんの種類ごとに、定位放射線治療を使う理由を見ていきましょう。

肝腫瘍

定位放射線治療は、直径の小さな肝がんに対して利用されることが多いです。ピンポイントで照射するという仕組みなので、大きながんを相手にするのはあまり得意ではありません。ただ、小さな肝がんへの影響は少しずつ研究が進められています。

局所効果は良好で,3cm以下のサイズであれば3年局所制御割合は90%以上を見込める。

出典:『肝臓癌に対する定位放射線治療の現状』広島大学病院
http://www.innervision.co.jp/sp/ad/varianreport/201707

頭蓋内腫瘍

頭蓋の内部にできたがんの中でも、病変が落ち着いているものや大きさの小さいがんに対して使用するのが一般的です。誤差1~2mmという制度で照射できるため、悪性原発性脳腫瘍や転移性の脳腫瘍、良性脳腫瘍にも利用されています。

脳転移が1個で脳以外の場所に病巣(肺転移や肝転移)がない場合には,手術または定位放射線照射を行うことで,脳転移が消失し再発しないことがあります。小さな脳転移が1個の場合では,手術で切除するのと定位放射線照射を行うのではどちらも同じくらいの治療効果であるといわれています。

出典:『脳転移の治療について』一般社団法人 日本乳癌学会
https://jbcs.gr.jp/guidline/p2016/guidline/g6/q44/

原発性肺癌・転移性肺腫瘍

原則、直径5cm以内で転移のない肺がんに対して使用するのが基本方針です。

新しい照射技術である体幹部定位放射線照射による治療は,主に肺癌,肝臓癌に対して応用され,特に早期肺癌を対象にして,めざましい治療結果を示している。

出典:『体幹部定位放射線治療ガイドライン』公益社団法人 日本放射線腫瘍学会
https://www.jastro.or.jp/customer/guideline/2016/10/SRT.pdf

デメリット

デメリットとして挙げられるのが、まだこの治療法が開始されてからそれほど長い歴史がないことです。定位放射線治療によって治療を行った方の晩期障害の有無に関する詳細なデータが出揃っていないのがデメリットだといえるでしょう。

もう一つのデメリットとしてこの治療法を選択している病院が少ないことも知っておかなければなりません。 定位放射線での治療を検討しているものの、なかなか実施している病院が見つからなかったり、通いにくいといった理由で断念している方も多いようです。

どのような癌治療に有効?

肝腫瘍や頭蓋内腫瘍、原発性肺癌、転移性肺腫瘍など。

定位放射線治療に用いられる装置

定位放射線治療に用いられる代表的な装置は、サイバーナイフとガンマナイフです。

サイバーナイフ

サイバーナイフは、可動式のロボットアームからX線を照射する装置となっています。ガンマナイフと違って頭を固定する必要がなく、がんの場所に合わせてさまざまな方向から照射できるのが強みです。不必要に正常な組織を傷つけないため、施術時の負担も抑えられていると考えてよいでしょう。

ガンマナイフ

ガンマナイフは、定位放射線治療の先駆けとなった装置です。第一号機は1968年に実用化されており、サイバーナイフとは違ってガンマ線を照射します。ただ、照射装置は可動式ではなく固定式なので、頭部を専用のフレームで固定する必要があり、利用できるのは脳腫瘍だけです。胴体に照射することはできないため、肝がんや肺がんには対応していません。

「いちから分かる癌転移の治療方法ガイド」は、独自に調べた内容をまとめたサイトです。
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