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重粒子医科学センター(閉院)

重粒子医科学センターは、重粒子医科学センターは2019年に「QST病院」に名称が変更になり、体制変更されています。

QST病院については別のページで紹介しています。

千葉 放射線治療
(サイトイメージ)
引用元:重粒子医科学センター公式HP
http://www.nirs.qst.go.jp/hospital/index.shtml

高エネルギー放射線でがん細胞を叩く!重粒子医科学センター

重粒子医科学センターは、国立研究開発法人 放射線医学総合研究所の中にある、癌の放射線治療を専門とした病院です。高エネルギーの放射線を2回に分けて照射する重粒子線治療は、肝臓がんを中心に高い効果が期待できます。

※重粒子医科学センターは2019年に「QST病院」に名称が変更になり、体制変更されているようです。

QST病院のページを見る>>

重粒子医科学センターの医師

鎌田 正重粒子医科学センター センター長

1979年、北海道大学医学部卒業。放射線腫瘍学、骨南部腫瘍を専門とする。日本医学放射線学会、日本放射線腫瘍学会、日本癌治療学会放射線治療に所属。日本医学放射線学会専門医。

目次

重粒子医科学センターの特徴

放射線治療のパイオニア的存在

数多くの重量子線治療実績

重粒子医科学センター病院の前身となる「放射線医学総合研究所病院」は、放射線診療を基礎に、がんの診断・治療から核医学、被ばく医療まで幅広い治療を行っている病院でした。

「放射線医学総合研究所病院」から現在の新病院「重粒子治療センター」が開設されたのは平成7年。重粒子線治療ががんに対する新しい治療法として開始された翌年のことでした。以来、平成21年までに重粒子線治療だけでも患者数は述べ数で5,000例を数え(1995年~2009年)、国内でも有数の重粒子治療の拠点となっています。放射線医学総合研究所病院がこれまで担ってきた重粒子線治療の歴史について、少し見ていくことにしましょう。

重粒子線治療の有効性と安全性を証明

重粒子治療センターの前身となる放射線医学総合研究所病院は、重粒子線がん治療装置(HIMAC)による治療の有効性と安全性を証明した病院です。重粒子線がん治療装置(HIMAC)は、世界初の医療目的の重粒子加速器として1993年に完成された設備で、国の「対がん10カ年総合戦略」の一環として建設されました。当初は、重粒子線のうち、どの重粒子線ががん治療に適しているかを探るところから始まった同プロジェクト。1994年に臨床試験が開始した初年度には21名の登録患者数だったのが、2003年には年間333人の患者数になるまで発展を遂げました。

重粒子線治療の安全性と抗腫瘍効果が認められたのは、2003年のこと。2003年10月には厚労省が「固形がんに対する重粒子線治療」を高度先進医療として承認しています。

日本では、放射線医学総合研究所(以下、放医研)の重粒子線がん治療装置(以下、HIMAC)が、重粒子線の有効性と安全性を証明した。∼中略∼昨2008年度の登録患者数は684名(内、495名が先進医療の対象)で、治療を開始した1994年度からの登録患者数累計は4504名となり、今年度中には登録患者数累計5000名を突破する予想である。?中略?これまでの経験をまとめると、重粒子線治療は、疾患部位としては、頭頚部(眼を含む)、頭蓋底、肺、肝臓、前立腺、骨・軟部組織、直腸癌の骨盤内再発に対して、組織型では、従来の放射線が効きにくいとされる腺癌系(線癌、線様嚢胞癌、肝細胞癌)や肉腫系腫瘍(悪性黒色腫、骨・軟部肉腫など)に対して有効であり、さらに生物学的効果の利点を生かすことにより、色々な疾患で短期小分割照射方が有効であった。

引用元:「重粒子線がん治療装置(HIMAC)の現状と展望」低温工学,44(11),2009(PDF)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcsj/44/11/44_11_480/_pdf/-char/ja

さらなる照射法の開発も

この上に、重粒子線治療の場として国を挙げての治療法の追究・検証が行われてきた重粒子治療センターでは、さらなる臨床成績の向上に加えて、呼吸移動性の臓器に対しても的確に線量を照射するためのスキャニングシステム、患者が体の向きを変えなくても自由な方向から照射するための回転ガントリーシステムなどの開発にも取り組んでいます。

例えば、呼吸移動性の臓器に対するスキャニングシステムとして開発されたのが「動態標的3次元スキャニング照射法」です。放医研では固定標的に対する3次元スキャニング法を開発し、世界でも放射線照射治療に適用された実績を持ちます。

また、2018年1月には、抗がん剤シスプラチンと併用した重粒子線治療の悪性中皮腫に対する効果を世界で初めて確認、アメリカがん治療の専門医学誌『Oncotarget』にもオンライン掲載されました。

国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(理事長 平野俊夫。以下「量研」という。)放射線医学総合研究所(放医研)の放射線障害治療研究部・粒子線基礎医学研究チームの崔星主任研究員、鈴木雅雄上席研究員らは、X線と比較して、重粒子線単独、または抗がん剤シスプラチンとの併用により悪性中皮腫細胞を殺傷する効果が向上することを細胞実験レベルで確認しました。

引用元:国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構プレスリリース「重粒子線の悪性中皮腫に対する効果を世界で初めて確認」2018年1月30日
http://www.qst.go.jp/information/itemid034-003514.html

重粒子線で痛みも熱もあまりない治療

重粒子線治療は、前室長を務めた加藤博敏医師が画期的な治療成績を学会で発表して以来、注目されている先端医療です。核物理学の理論を応用したもので、従来のX線の3倍もの殺細胞力を持っている上に、痛みも熱さも生じにくいというものです。

重粒子医科学センターの治療方法

放射線治療

癌細胞だけに効果を発揮する「重粒子線治療」

重粒子線は、皮膚表面などの浅い部分ではエネルギーが低く、特定の深さに達したところで急激にエネルギーが高まり、そこから先は急激にエネルギーが落ちるという性質をもっています。そのため、がん細胞だけに強力な殺細胞力を発揮し、周囲には影響をあまり与えません。

強力なエネルギーを持っているので、現在は2日間に分けて2回だけ照射する、2回分割照射法が主流となっています。1度の治療は20~30分ほどなので、負担は小さいものとなっています。

しかも、治療中は痛さも熱さもまったく感じないとのこと。照射した皮膚の表面に茶色い跡が残る程度で、日常生活にはまったく影響がないそうです。

通常のX線治療よりもあきらかに治療成績がよく、とりわけ肝臓癌、前立腺癌、直腸癌の骨盤内再発、頭頸部癌、骨軟部腫瘍に効果的とのこと。

重粒子線治療のはたらき

重粒子線治療を受けられるのは、

というもの。多発転移がんの治療は得意としませんが、切らずに高い確率で癌が治療できるのは大きな強みです。

重粒子医科学センターの基本情報

重粒子医科学センター
診療科目 放射線科
診療時間 予約制
休診日 土・日・祝日
所在地 千葉県千葉市稲毛区穴川4丁目9番1号
電話番号 043-206-3306
ベッド数 100床
年間治療患者数 626人(※2017年の登録患者数) ※参考:1994年~2018年3月までの総登録患者数は、先進医療等で7,388人、スキャニングで2.233人
対応可能な治療方法 重粒子線治療(炭素イオン線を使用)、陽子線治療、放射線治療、X線治療、小線源治療など
設備 重粒子線ガン治療装置 HIMAC、C1シュミレーター、高エネルギーリニアック、CT血管造影など
URL http://www.nirs.qst.go.jp/hospital/index.shtml