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癌にまつわる専門用語集

「わからない」を解決する癌の専門用語集

あ行

アポトーシス

細胞の自然死のこと。生体には個体を健康な状態に保つために異常のある細胞や不要になった細胞を自然死へと導く機能が備わっており、たとえばオタマジャクシがカエルになる際に自然と尻尾がなくなるのは、その代表的な例と言えます。一説によると健康な人の身体にも1日5,000個もの癌細胞が発生すると言われていますが、その癌細胞を自然死へと誘導しているのも人に備わったアポトーシス機能のおかげなのです。

異型度

癌細胞が正常細胞とどれだけ異なった様相を呈しているかを示す程度のことです。正常な細胞は異型度が低い、つまり皆同じような形をしていて整然と並んでいるのですが、癌細胞は形が歪んでいたり細胞内の核が大きくなっていたりと、異型度が高いわけです。診断の際に、この細胞の異形度を2~5段階に分類する「異型度分類」が用いられることも少なくありません。一般に異型度が高いほど悪性度が高い、つまり癌の進行速度がはやく、予後も悪いとされています。

インフォームド・コンセント

インフォームド・コンセントの意味は「説明を受け、納得した上で同意する」ということです。つまり、医師から病気や症状、検査結果、治療内容などについて十分な説明を受け、患者さんはその内容をよく理解し、納得した上で同意して治療を受けることを指します。

院内がん登録

各病院において、院内で治療したすべての癌患者の情報を集めて1つのデータとして登録することです。これにはその患者が受けた診断や治療、また退院後の生活や亡くなるまでの記録が含まれており、これを基にその病院のがん診療を客観的に評価することができます。またこの登録を複数の病院が同じ方法で行うことにより、情報を比較することができ、病院ごとの特徴や改善点も浮き彫りになるのです。

IL-2(インターロイキン2)

細胞同士の情報伝達物質である微量生理活性タンパク質・サイトカインのうち、免疫機能のためにはたらくタンパク質。リンパ球の1つであるヘルパーT細胞は、異物を見つけるとこのインターロイキン2を送ってキラーT細胞を増やし、異物を総攻撃させます。このインターロイキン2を利用した抗がん剤も開発されており、主に腎臓がんや血管肉腫に使用されます。

遺伝子検査

採血などの方法で採取した患者の遺伝子を調べ、遺伝子による癌のリスクを予測したり癌の有無を診断したりする方法です。もともと癌とは細胞の遺伝子異常が原因で発生するため、この検査により癌に特徴的な遺伝子が見つかれば、早期発見となり完治の見込みも高くなります。

遠隔転移

癌細胞が最初に発生した器官から増え広がって近くの血管やリンパ管に入り込み、血液やリンパの流れに乗って別の器官まで移動すると、その移動先でさらに増殖していきます。この「癌細胞の移動」が遠隔転移。通常、血液の流れが豊富な肝臓や骨、肺、またリンパの流れが集まるリンパ節に遠隔転移が多く見られます。

栄養サポートチーム

医師、看護師、薬剤師、栄養管理士、歯科医師など多職種の医療従事者で構成される、患者の栄養管理チームのこと。体重や食事量のコントロールは癌患者のQOLに欠かせない要因であるため、栄養管理の専門的知識を持った医療関係者が連携して患者の栄養状態を把握し、適切な状態になるようサポートします。具体的には、摂取しやすい調理法を考案したり、経口摂取から点滴に変えたりするなど、栄養の摂り方を調整することがあります。

HTLV-1(エイチティーエルブイ-1)

「Human T-cell Leukemia Virus Type 1」の略で、日本語にすると「ヒトT細胞白血病ウイルス-Ⅰ型」。血液中の白血球を構成する成分の1つ、リンパ球・T細胞がこのウィルスに感染すると悪性リンパ腫やリンパ性白血病を引き起こします。主な感染経路は母子感染と性行為感染で、一度感染すると一生涯ウィルスを持ち続けることになります。ただし感染しても症状が出ない場合が多く、日本でも約108万人ほどが感染しているとのことですが、実際にリンパ性白血病や悪性リンパ腫を発症する人は全体の5%ほどと言われています。

エレクトロポレーション法

日本語では「電気穿孔法」。電気パルスを送って細胞の膜組織に一時的に穴を開け、がん細胞に直接抗がん剤や遺伝子を注入、吸収させる投薬方法です。これにより少量の抗がん剤で高い癌細胞殺傷効果が望めるため、副作用の影響を最小限に抑えることができます。

オンコロジー

日本語では「腫瘍学」と言い、その名の通り腫瘍について研究する学問のことを言います。とくに日本においては癌や肉腫といった悪性腫瘍全般についての研究であり、その検査や診断、治療、緩和ケアや精神的なケアまでを包含します。癌細胞についてはまだまだ不明な点が多く種類も個人差もあるため、オンコロジーが取り組むべき課題は非常に多いと言えます。

か行

化学療法

本来細菌やウイルス感染による疾患に対し抗生物質や抗ウィルス薬を使って治療することを意味していましたが、現在では癌に対する抗がん剤を用いた治療法のことを指す場合がほとんどです。抗がん剤には細胞分裂を抑制する作用があるため、癌の増殖を防ぐ効果が期待できるのですが、同時に正常な細胞までも壊してしまうことから、副作用も大きいことで知られています。現在、抗がん剤には飲み薬と点滴の2種類があり、投与することで血液に乗って体中を巡って癌細胞を攻撃します。そのため、血液の癌や体の至る所に転移していると考えられる癌に対して選択される治療法です。

がんセンター

がんセンターとは、がんの治療と研究を専門的に実施している医療施設の名称です。がんセンターは地域におけるがん診療の中核施設として、高度な医療の提供、近隣の医療施設との連携、地域住民への情報発信、そしてがん専門医の育成などの重要な役割を担っています。

がん診療連携拠点病院

がん診療連携拠点病院は、がん対策基本法に基づいて厚生労働省の指定を受けた医療施設です。「都道府県がん診療連携拠点病院」と「地域がん診療連携拠点病院」があり、がん診療の地域格差を解消し、全国どこでも一定水準以上の高度ながん治療を提供することを目的とします。

がんゲノム医療

主に患者さん本人のがん組織を用いて多数の遺伝子を同時に調べ、遺伝子変異を明らかにすることで患者さん一人ひとりの体質や症状に合わせた治療を行なうのががんゲノム医療です。一部のがん治療では、遺伝子の変化に対応した薬剤の選択がすでに行なわれています。

がん相談支援センター

がん相談支援センターは全国のがん診療連携拠点病院などに設置されている、がんに関する相談の窓口です。患者さん本人や家族のほか、地域住民は誰でも無料で利用することができます。がん治療や療養生活全般に関すること、地域の医療機関などについて相談に乗ってくれます。

がん抑制遺伝子

体内で癌の元となる異常細胞が発生した際に、その細胞の増殖を抑制したりDNAに付いた傷を修復したりするタンパク質をコードとする遺伝子のこと。これまでに発見されたものとしては、「p53遺伝子」や「RB遺伝子」が有名です。

完全寛解

すべての癌細胞が消失し、4週間以上新たな癌細胞が出現していない状態のことを完全完解と言います。とくに白血病の治療の際によく使われる言葉で、この場合、骨髄中の白血病(癌)細胞が全体の5%以下に減り、癌細胞が悪影響を及ぼせない状態になることを指します。とはいえ、癌細胞が根絶されたわけではないため「完全寛解」と「完治」とは異なる意味を持ちます。

緩和ケア

癌そのものではなく、癌にともなう身体的・精神的な苦痛を和らげる治療のことです。この中には物理的な体の痛みだけでなく、落ち込みや死への恐怖、人生に対する問いなどの症状に対するケアも含まれており、患者のQOLを向上させ前向きに、自分らしく生きられるよう患者とその家族をサポートします。緩和ケアには多種多様な側面があるため、通常医師、看護師、栄養士、薬剤師、ソーシャルワーカーなど多職種の医療従事者がチームとなって行います。

QOL(Quality of Life:クウォリティ・オブ・ライフ)

あえて日本語に訳せば「生活あるいは生命の質」ということになりますが、適訳がないためそのままQuality of Lifeの略である「QOL」という言葉が使われることがほとんどです。どのような生活・人生を「質が高い」と呼ぶのかはそれぞれの考え方によって異なりますが、身体的・精神的・社会的に良好な状態を保つことで充実した生活を送っている状態を「QOLが高い」と表現できるでしょう。癌との闘病生活は患者の身体的・精神的・社会的状態を著しく損なう可能性があるため、がん治療にはこのQOLに対するケアも求められます。

救援療法

別名「サルベージ療法」。初回の治療では効果が得られなかった難治性の癌や、癌が再発した場合に行われる治療法のことを言います。主に造血器腫瘍(白血病)の治療において用いられる言葉で、多くの場合これまでとは異なる複数の薬を組み合わせた化学療法が選択されるため、「救援化学療法」とも呼ばれます。また分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬、あるいは造血幹細胞移植が選択されることもあります。

局所療法

癌細胞とその周辺組織にピンポイントで働きかける治療法のことで、外科療法や放射線療法、光線力学的療法がそれにあたります。癌が原発巣に留まっていたり転移していたとしても限られた場所にのみ見られる場合に有効な方法です。

強度変調放射線治療

コンピューター制御により放射線の照射範囲を常に変化させ、いびつな形態の癌細胞に対しても集中した放射線投与を可能にする放射線治療です。これにより正常細胞にまで放射線が照射されてしまうことを防ぎ、副作用を防止しながら根治性を高めることができます。

繰り返し入院

文字通りですが、肺がんの化学療法を受ける際には、点滴で抗がん剤を投与する前後数日間のみ入院し、その後は通院で治療を行なう病院が増えています。患者さんにとっては住み慣れた自宅でストレスなく家族と過ごすことができ、医療費も抑えられます。肺がんの化学療法は何クールか繰り返しますので、それに合わせて繰り返し入院が必要になります。

グリソンスコア

前立腺がんの悪性度を診断する際の基準となる分類法のこと。癌がどの程度広がっているかを示すのが「ステージ」であるのに対し、グリソンスコアは個々の癌細胞がどのような形態であるかを調べて評価したものです。正常な細胞であれば「分化」のプロセスを経て必要とされる機能や形態を持つ細胞へと成長するのですが、癌細胞は分化が不十分、つまり未熟な細胞で、それ故に本来果たすべき役割を果たすことができません。グリソンスコアはこの癌細胞の分化度を測るものであり、点数が高いものほど悪性度が高いと判断されます。

原発巣

最初に癌が発生した部位にある病巣のこと。たとえば原発巣が胃にあれば胃がん、大腸にあれば大腸がんという風に、原発巣が癌の診断基準となり、治療計画が立てられていくことになります。たとえ他の臓器に転移したとしても依然その癌細胞は原発巣と同じ性質を持っているため、原発部位を特定することは非常に大切です。しかし、転移した癌は見つかったもののその元となっている原発部位が分からないこともあり、このような癌を「原発不明癌」と呼びます。

光線力学療法

レーザーを病巣に照射して活性酸素を発生させ、活性酸素の力で癌細胞を破壊する治療法です。まず光に感受性を持つ光増感剤を血管に注入します。この光増感剤は正常な細胞からはすぐに排出され、癌細胞にだけ長時間留まるという性質があるため、癌細胞にのみ留まっている頃合いを見計らってレーザーを照射します。光は光増感剤内の色素と反応してがん組織内で活性酸素を発生させ、癌細胞を攻撃すると同時にがん組織周辺の血管も傷つけることで栄養素が届かないようにします。こうして正常な細胞を傷つけることなく癌細胞のみを壊死させられるのです。

骨髄抑制

抗がん剤の副作用の1つ。抗がん剤は癌細胞の増殖を抑制する作用がありますが、これが同じく増殖の盛んな骨髄にも影響を及ぼすと、血液細胞を作る機能が低下してさまざまな症状を引き起こします。たとえば白血球が少なくなると免疫力が落ちて感染症にかかりやすくなりますし、赤血球が少なくなると貧血に、また血小板が少なくなると出血しやすくなります。

骨シンチグラフィー

骨に癌が転移してるかどうかを調べる検査方法。全身の骨に集まる性質を持った放射線同位元素(RI)を使用した薬を投与すると、骨に吸収されたRIは弱い放射線を放ちます。その放射線を用いて骨の画像を撮影することができ、もしRIが異常に集まっている部分があるならそこに癌が転移していると判断できるわけです。

さ行

再建手術

病気や事故あるいはその治療によって失われた器官や臓器を作り直す手術のこと。たとえば胃がんにより胃を切除した後残った胃と十二指腸とをつなぎ合わせる手術や、乳がんにより乳房を切除した後患者本人の脂肪や人工物を用いて乳房を整える手術がそれにあたります。前者は生きて行くために必要な機能の維持のために行われる再建手術、後者は外見的に損なわれてしまった部分を補うための再建手術ということができます。

サイトカイン

細胞が生産する微量生理活性タンパク質の総称。このたんぱく質が細胞表面の受容体に結合し、その細胞が分子反応を起こすよう誘導します。免疫反応や細胞の分化、増殖などもすべてサイトカインがその指令を出すためで、細胞同士の情報伝達物質とも言えるでしょう。最も有名なのは「インターフェロン」というサイトカインで、白血球から作り出されるこのサイトカインにはウイルスに感染した際にそれを排除するようリンパ球内でNK細胞やT細胞を増殖させる働きを持ちます。この働きから、骨髄性白血病や脳腫瘍、腎臓がんなどの抗がん剤の1つにも利用されています。

細胞表面マーカー検査

細胞の表面には「抗原」と呼ばれるその細胞の性質や起源を示すさまざまな目印が存在しています。この抗原を解析することで異常細胞(つまり癌)の有無や成熟度を評価するのが、細胞表面マーカー検査。フローサイトメーターという機器を使い、蛍光色素を標識した抗体の発光強度を測定することで検査します。これにより、顕微鏡では判断の付かない癌細胞のタイプを見分けたり、治療後に癌細胞が残っていないかを調べたりできます。

支持療法

癌のような重篤な疾患を抱える患者のQOL改善のために行われる治療のこと。「緩和ケア」とほぼ同義語なのですが、一般的に緩和ケアが精神的なケアを含むニュアンスが強いのに対し、支持療法は抗がん剤の副作用や痛みを緩和するといった身体的なケアに用いられることが多いのが特徴です。具体的には、抗がん剤の副作用である貧血に対し輸血療法を用いたり、嘔吐に対して制吐剤を処方したりします。

重複癌

同じ患者の異なる臓器に発生する癌のこと。1つの臓器に発生した癌が転移する「転移癌」や同じ臓器に幾つもの癌が発生する「多発性肝細胞癌」は「同じ癌」と見なされますが、重複癌は原発部位を異にしているため、癌罹患数では別々に集計されることになります。

腫瘍内科

腫瘍内科は内科の専門領域のひとつで、診療範囲はがんの診断や治療のほか、予防から終末期医療まで幅広く対応します。治療は主に化学療法を専門としますが、他の診療科のように臓器別ではなく、ひとつの領域としての抗がん剤治療の専門診療科ともいえます。

腫瘍マーカー

癌細胞が作り出す特殊な物質の濃度を、血液や体液などから割り出して指標にしたものです。腫瘍マーカーを調べることで癌の発生や種類、進行度などを判断することができます。

樹状細胞ワクチン療法

樹状細胞とは白血球中に含まれる単球系の免疫細胞の1つで、弱った異常細胞や病原体を取り込んでその特徴を覚え、T細胞に伝えてその特徴を持つ細胞を攻撃させる司令塔としての役割を果たします。しかしもともと正常な細胞から発生している癌細胞は樹状細胞でも見分けるのが難しく、そうして癌細胞が増えすぎると樹状細胞の仕事が追いつかなくなり、癌が進行します。「樹状細胞ワクチン療法」とは樹状細胞の働きを活性化させる治療で、患者の血液から樹状細胞の元となる単球細胞を取り出し、樹状細胞へ育てながら癌の特徴を目印として覚えさせます。こうして癌を攻撃する司令塔の役割を与えてから体内に戻すことで、T細胞に癌細胞を直接攻撃させることができるという仕組みです。

上皮内癌

体内の臓器は、体の表面を覆う表皮のような「皮」につつまれており、その「皮」部分を「上皮」と呼びます。上皮内癌はその名の通り臓器の上皮内に留まっている癌のことで、上皮細胞の下、基底膜を破って臓器の深いところまで浸潤していない状態です。

神経ブロック

癌の痛みを和らげるため、神経やその周辺に局所麻酔を注射する方法です。痛みを伝える知覚神経をブロックすると痛みを感じなくなりますし、運動神経をブロックすると筋肉の緊張が、また交感神経をブロックすると血管が広がり、血流が良くなることで痛みが緩和されます。

セカンドオピニオン

患者さんが治療に際してより良い選択をするために、主治医以外の医師に意見を求めることをセカンドオピニオンといいます。主治医の変更を前提としたものではなく、他の医師だったらどのように考えるのか、その意見を主治医のもとに持ち帰って治療を続けるのが本来のあり方です。

専門医・認定医・指導医

国内の医歯学系学会が、高度な知識や技術、経験を有するとして医師や歯科医師に付与する資格の種類です。医学の進歩と高度化、そして専門化にともない、その診療科や分野に特化した医師や歯科医師が学会認定専門医の資格を有するようになってきています。

全身療法

全身に癌が転移してしまっている場合に選択される治療法で、抗がん剤治療やホルモン治療、免疫療法などがそれにあたります。血液を介して全身に薬を巡らせ、各所に散っている癌細胞に作用することを目的としていますが、正常な細胞にまで影響を与えてしまう点(副作用)が課題となっています。

センチネルリンパ節

原発巣の癌が増殖していく過程で、最初に到達するリンパ節のこと。その原発部位に最も近いリンパ節とも言えます。センチネルリンパ節に転移がなければ他のリンパ節にも転移していないと考えられるため、そこに転移がないかどうかを調べるのが、「センチネルリンパ節生検」です。

造血幹細胞移植

「造血幹細胞」とは骨髄の中にある血液細胞の元となる細胞のことで、この造血幹細胞が分化して赤血球や白血球、血小板へと成長していきます。造血幹細胞移植とは、化学療法や放射線治療などを行った後で、患者の造血力や免疫力を回復させる目的で行われる治療で、あらかじめ採取しておいた患者本人の造血幹細胞を移植する方法と、ドナーから提供された造血幹細胞を移植する方法とがあります。

た行

多発がん

同じ患者の同じ臓器に独立した癌が複数発生することです。独立して発生しているものの同じ臓器であるため、1つの癌としてカウントされます。

テストステロン

主に精巣から作られる男性ホルモン。このうち男性円形脱毛症の原因にもなる「ジヒドロテストステロン」は前立腺にあるアンドロゲン受容体と結合し、癌細胞の発生や増殖を促進することが分かっています。このため、前立腺がんの治療においてはジヒドロテストステロンの分泌を減らしたりその働きを抑制する薬を用いたホルモン療法が選択されます。一方で、他のテストステロンが減少すると抵抗力が落ち悪性度の高い前立腺がんの原因になるとの報告もあります。

TNM分類

国際対がん連盟によって定められた、癌の病期分類法。それぞれT(tumor)=癌の大きさ・進展度、N(nodes)=所属リンパ節への転移の有無や広がりの程度、M(metastasis)=遠隔転移の有無を表します。これらを指標として病期(ステージ)をⅠ~Ⅳまでに分類します。

凍結療法(凍結融解壊死療法)

腫瘍に専用のニードル(針)を刺し、そこから高圧ガスを噴出してマイナス185度の超低温にします。凍らされた癌細胞は破壊され、次いでヘリウムガスで加熱することにより壊死します。局所麻酔での施術が可能であるため、高齢者や合併症を患っている患者など外科手術が困難とされる場合に有効な治療法と言えます。

トリプルネガティブ乳がん

通常の乳がんは女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンが発生と増殖因子であり、また細胞増殖と関係のあるタンパク質であるHER2もがん細胞の増殖に関係しているのですが、これら3つ(エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体・HER2)が癌細胞に発現していないタイプの乳がんを「トリプルネガティブ乳がん」と呼びます。女性ホルモンが関係する場合ならホルモン療法が、HER2が関係するなら分子標的薬が有効となるのですが、いずれも持たない新しいタイプの乳がんであるため、抗がん剤治療を採るよりほかありません。乳がん全体の10~15%、とくに若年性乳がん患者に多いと言われています。

な行

内分泌療法

一般に「ホルモン療法」とも呼ばれる治療法。乳がんや前立腺がんなど、癌細胞の増殖に特定のホルモンが関わっている場合、そのホルモンの作用を抑える薬を投与したりホルモンを分泌する器官を取り除いたりすることで癌の進行を抑えることができます。

肉腫

英語で「Sarcoma(サルコーマ)」とも呼ばれる、骨や脂肪、筋肉、神経などの非上皮組織から発生する悪性腫瘍の総称です。もう1つの悪性腫瘍「癌」は各臓器を覆っている上皮組織から発生するするため、この発生部分の違いによって「肉腫」と「癌」とに呼び分けられているわけです。肉腫は非常に希少な悪性腫瘍で、全体の約1%しか見られないのですが、老若男女問わず全身のさまざまな部位に発生する可能性があるため、症状や治療法も多岐にわたります。肉腫のうち約25%は骨、残りの75%は筋肉や脂肪などの軟部組織に発生するとも言われています。

二次性発癌

がん治療目的で抗がん剤や放射線療法を受けたことが原因で、治療後数年~数十年経って発症する元の癌とは別の種類の癌。代表的なのは白血病で、アルキル化剤やトポイソメラーゼ阻害が関係する薬剤による治療を受けた後、1~7年くらい経って急性白血病を発症することがあります。その他、放射線の胸部照射による乳がん、頭蓋照射による髄膜種や悪性神経膠腫などの二次性発癌もあります。

NK(ナチュラルキラー)細胞療法

ナチュラルキラー細胞とはその名の通り生まれながらの殺し屋、つまり癌細胞を含めた異常細胞や病原体に感染した細胞を見つけ次第、速やかに攻撃し殺してしまう細胞です。この攻撃力の高い細胞を患者の血液から採取し、そのパワーを強めてから点滴注射によって患者の体内に戻すことで癌細胞に対する免疫力を高めるのが、「NK細胞療法」です。同じく免疫力を高める治療法として「樹状細胞ワクチン療法」がありますが、樹状細胞の働きとはまず癌細胞の特徴を覚えてそれをキラー細胞の1つであるT細胞に伝え、攻撃するよう指令するというもの。ところが癌細胞の中には自身の特徴を隠してしまうものがあり、T細胞の攻撃をすり抜けて増殖してしまいます。しかしNK細胞は樹状細胞の指令を待たずして自ら異常細胞を攻撃する性質があるため、T細胞の攻撃をすり抜けた癌細胞に対しても攻撃、殺傷能力を発揮します。従って、樹状細胞ワクチン療法を補完する治療法として併用されることの多い治療法です。

は行

播種

体内で小さな癌細胞が種をまいたようにパラパラと広がっている状態。たとえば胃がんや大腸がんが臓器の壁を突き破ってお腹の中にこぼれると、腹膜内にパラパラと散らばった種のように転移巣が形成されます。これを「腹膜播種」と言いますが、このような状態になると最初のうちは転移巣が小さく散らばっているためにCT検査や超音波検査では見つけることができません。また散らばってしまっているために切除などの局所療法も難しくなります。

HER2型乳がん

HER2とは細胞の増殖に関係するタンパク質のことで、正常な細胞にもわずかに存在し細胞の増殖を調節する役割を果たしていると考えられますが、これが過剰に活発化すると細胞増殖がコントロール不能となり癌細胞となります。HER2型乳がんは、このHER2を過剰に持っているタイプの乳がんで、女性ホルモンによる増殖という通常の乳がんが持つ特徴を持っていません。かつてHER2型乳がんは難治性の乳がんとされていましたが、現在ではHER2を標的とした分子標的薬の登場により治療成績が改善されつつあります。

分子標的薬

抗がん剤の一種ですが、従来の抗がん剤が増殖スピードの速い正常細胞と癌細胞の両方に作用し殺傷するのに対し、分子標的薬は癌の増殖に関係する特定の分子のみを標的としてその増殖を抑制する点に違いがあります。つまり副作用の少ない薬であるため、現在研究開発されている抗がん剤の多くはこちらの分子標的薬です。

分化度

細胞の成熟度を表す指標。人の細胞はもともと1個の受精卵から始まり、細胞分裂を繰り返しながらそれぞれ必要とする機能や形態を持った細胞へと成長しその役割を果たすようになります。この成長過程が「分化」であり、正常な細胞は分化度が高い=成熟度が高いのですが、癌細胞は正常に分化しないあるいは逆行していくことさえあるため、分化度が低い=未熟な細胞が多く見られます。このため、分化度を調べることで癌の悪性度を判断することができます。

病院機能評価認定病院

公益財団法人日本医療機能評価機構による第三者評価を受け、一定の水準を満たした病院を病院機能評価認定病院といいます。認定病院は、地域医療に貢献し、信頼性が高く納得の得られる医療サービスを提供するために日常的に努力している病院だとされます。

標準治療

標準治療とは、ある病気に対して効果や安全性が確立されており、広く普及している治療法のことです。その効果や安全性は科学的な臨床試験によって多数の症例で証明され、医師からも広く支持されています。がんの場合は手術、化学療法、放射線療法が標準治療とされます。

扁平上皮癌

扁平上皮とは体の表面や食道など空洞になっている臓器の内側の粘膜組織のことで、そこに発生するのが扁平上皮癌です。その中でも皮膚に発生する癌は「有棘細胞がん」と呼ばれます。食道がんの90%は扁平上皮癌、また子宮頸がんや肺がんなどもそのほとんどが扁平上皮癌です。

ま行

メトロノーム的治療(メトロノミック化学療法)

リズムを刻む「メトロノーム」のように、低用量の抗がん剤を頻繁に投与する治療法。最大耐用量を間隔をあけて投与する通常の化学療法と比べて副作用が軽く腫瘍の増殖をコントロールできると考えられています。ただしその分効果もマイルドで癌細胞への殺傷能力は弱いため、補助的な治療法として選択されることがほとんどです。

免疫療法

患者自身が持つ免疫力を高めることで癌細胞を攻撃・排除させる治療法。たとえば樹状細胞ワクチン療法やペプチドワクチン療法などがあり、患者自身の免疫細胞を採取・活性化させてから体内に戻すことで癌細胞を攻撃させます。他の癌治療に比べて副作用が少なく、従来の治療と併用することも可能というメリットがあります。近年、外科療法・化学療法・放射線療法の3大がん治療に次ぐ「第4のがん治療」として注目を集めています。

や行

UICC

「Unio Internationalis Contra Cancrum」の略で、日本語では「国際対がん連合」。1933年に設立された民間組織で、世界中に広がる癌克服を目標として癌研究や癌に関する知識の普及、国際的統計の作成などさまざまな活動を行っています。とくにUICCが作成した癌のステージ分類「TNM分類」が有名。スイスのジュネーブに本部を置き、現在世界155か国で成る800の団体が参加しています。

予後因子

予後とは病気やその治療についての今後の見通しのことで、予後因子とはその判断材料のことを言います。主に癌に使用される言葉で、因子(判断材料)の中には癌の発生部位、リンパ節や他の臓器への転移の有無、合併症の有無、年齢なども含まれます。

ら行

リンパ行性転移

原発巣にいた癌細胞が周囲のリンパ管まで浸潤し、リンパの流れに乗って体の各部にあるリンパ節にたどり着いて増殖するタイプのがん転移のことです。まずは原発巣に近いリンパ節に、ついでさらに遠くにあるリンパ節へと広がっていきます。

リンパ節郭清

癌の切除手術の際に、癌周辺のリンパ節も一緒に切除することです。がんの転移経路の1つはリンパ液の流れに乗って移動するという「リンパ行性転移」で、その場合一定のリンパ節経路をたどって移動していくため、がんが転移している可能性のあるリンパ節を予測することができます。そのような転移が予測されるリンパ節も切除することで、癌の再発や転移を防止します。

臨床試験

今までに患者さんに使われたことのない薬、もしくはその病気に対して使われたことのない薬の効果や安全性を調べて実用化するために、実際に患者さんの治療に使用してデータを集めるのが臨床試験です。その中でも厚生労働省の承認を目的にしたものを「治験」といいます。

臨床病期

癌の進行度を表す病気分類の1つで、生検や画像検査により得られた情報を基に治療前に判断するものです。これに対して「病理病期」とは手術により切除した病変を詳しく調べて判断するもので、臨床病期と異なる病期になることもあります。また放射線治療や化学療法を行ってから外科手術により病変を採取・検査した場合には、「治療後病理病期」と呼ばれて通常の病理病期とは区別されます。

   
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「いちから分かる癌転移の治療方法ガイド」は、独自に調べた内容をまとめたサイトです。
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