いちから分かる癌転移の治療方法ガイド

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臨床試験

新しい薬の開発を目的として、今までに患者さんに使われたことのない薬、もしくはその病気に対して使われたことのない薬の効果や安全性を調べるために、実際に患者さんの治療に使用することを臨床試験といいます。

その中でも厚生労働省の承認を目的にしたものを「治験」といい、主に製薬企業によって実施されます。

この臨床試験の結果、一定の基準を満たして効果も安全性も認められれば承認され、通常の診療に取り入れられることになります。

臨床試験を受けるには

床試験は多くの患者さんの協力のもと、長期間にわたって実施されます。実施している医療施設では、医師から治療の選択肢の1つとして臨床試験を紹介される場合もありますが、試験によっては対象薬群といって新しい薬ではない従来の薬を投与される可能性があります。また、診療試験はそれぞれに参加基準、除外基準が決められており、希望すれば誰でも参加できるわけではありません。

また、臨床試験は多くの場合は無料で参加できますが、場合によっては患者さんも金銭的な負担が発生することもあります。

癌患者さんにとっての臨床試験

臨床試験は新しい薬の承認を受けて実用化するための調査研究です。ただ、がん患者さんにとっては重要な治療の選択肢となっている面があるのも事実です。

がん治療は手術でがんを取り除くか、放射線治療でがん細胞を死滅させる治療が基本です。幸いにも寛解する患者さんも多くいますが、それは早期がんで転移などがない場合に限られます。がんが進行して周辺臓器に広がっていたり、離れた臓器に転移したりしている場合は、手術ができないので全身に作用する抗がん剤治療を行なうことになります。

しかし、がんのタイプやステージによっては有効な抗がん剤がないこともあります。また、抗がん剤治療を続けていくうちにがんが耐性を持つようになって効果が得られなくなることもあるでしょう。最終的には使える抗がん剤がなくなるということも少なくありません。

このような場合、もし患者さんの状態に合った抗がん剤の臨床試験に参加することができれば話は変わってきます。臨床試験中の薬は効果や安全性の評価も定まっていませんが、通常では受けることのできない新たな可能性を秘めた治療を受ける機会を得られるのです。

臨床試験実施の情報

がんの臨床試験は多数実施されていますが、その情報はわかりやすく公開されているわけではありません。臨床試験に参加することが重要な治療選択肢だと考えられる場合は、主治医に相談すれば調べてくれるでしょう。

また、抗がん剤の臨床試験の状況は、国立がんセンター・がん対策情報センターのホームページに関連施設の情報も含めて掲載されているので参考にしてみてください。