お見舞いとは病気や怪我で療養している人を慰め、そして励ますこと。健康なときなら気にならないようなことも、体調を崩して精神的に不安定なときには気に障ることもあります。ましてや病気は癌。「気を遣いすぎてもいけない…」「言葉選びを間違いたくない…」そう悩むかもしれません。
ここでは癌患者さんをお見舞いするときのポイントについてお伝えします。
友人や仕事関係の人であれば、本人が希望しない限りはお見舞いを控えてもらったほうがよいでしょう。しかし、家族であればそうもいきません。ちょっとした買い物や洗濯など、お見舞いというよりは日常的なお世話で頻繁に病室を出入りすることになるはず。
同居している家族なら、お互いに本音を出せるというメリットがあります。本人のちょっとした変化にも気づきやすいでしょう。だから本人もわがままを言ったり、治療のストレスをぶつけてきたりするかもしれません。きっとそれは、本人が家族に心を許していることの裏返しです。
たとえば、ストレスをぶつけられた時、何を言われようとも黙って我慢するというスタンスは必要ありません。患者さん本人だけではなく家族もストレスはたまります。精神衛生上、よろしくありません。
つらい時は無理にお見舞いをするよりも、行かない、もしくは早めに帰るといった選択肢をとりましょう。本人も治療でつらい思いをしているのは当然ですが、患者さんに寄り添う家族も人間なので、つらい気持ちを抑え込む必要はないのです。
癌患者さんに限ったことではありませんが、大勢でお見舞いに行くのはマナー違反です。もし大部屋だったら同室者の迷惑にもなります。
現在は談話室を設けている病院がほとんどですが、患者さんの体調によっては移動がつらいこともあるのを忘れないようにしましょう。
お見舞いで長居は禁物です。患者さんが疲れてしまいますので、ありがた迷惑にならないように注意しましょう。
病院は治療や処置、検査の時間を考えて面会時間を設定しています。癌患者さんの場合は特に安静が必要なこともあります。面会時間は必ず守るようにしましょう。
「がんばって」と励ましの言葉をかけたくなる気持ちはわかりますが、癌患者さんはすでに十分すぎるほどがんばっています。とくに治療中は「言葉」に敏感になっていることが多いので、「がんばって」といわれると「これ以上がんばれっていわれても…」とマイナスに受け取られることもあります。
癌の治療中は食欲が低下して食べられなかったり、治療の影響で食べ物のにおいが受け入れられなかったりすることがあります。
また、生花は細菌が付着していることもあるため、感染症防止の観点からも避けたほうがよいでしょう。
癌患者さんへのお見舞い品は、単なる品物ではありません。つらい入院生活にひと時の楽しみを与えてくれたり、お見舞いに来てくれた人の温かさを感じられたりするものです。
もちろん人には趣味や好みがありますから、その品物を喜んでもらえるかどうかはわかりません。ただ、その品を選んだ思いは伝わるはず。どれを持っていくと喜ばれやすいのか、お見舞い品選びに役立ててください。
入院中のちょっとしたときに「あったらいいなぁ」と思えるような、何気ないけれども役に立つものを選んでみましょう。
たとえば、入院中は時間があるので本を読んだりテレビを見たりで、普段よりも目が疲れやすくなることがあります。そこで、ホットアイマスクをお見舞いに持っていくのはいかがでしょうか。温熱効果が気持ちよく、ちょっとした気分転換にもなるでしょう。
生花は衛生上の問題があったり、治療の副作用で患者さんが香りに敏感になっていたりする場合があります。
その点、花飾りなら安心です。かさばらないような小さいサイズの花飾りをベッドサイドに置いておくと、眺めるだけでも心が和むでしょう。
写真立てに家族の写真などを入れて枕元に置いておくと、患者さんにとって癒しになります。
病室は基本的に無機質な場所で、自宅のようにくつろぐことはできません。でも、そこに家族の存在がわかる写真などがあると、プライベートな空間に少し近づいていくのではないでしょうか。
ページを開くと病室から違う世界に連れ出してくれるような、そんな気持ちが明るくなる本はお見舞い品にぴったりかもしれません。そういう意味では美しい景色や草花の写真集などがおすすめです。
また、ちょっと長めのシリーズ漫画は入院中のベッドで読むのにベストかもしれません。とにかく入院中は時間があるので、普段あまり読まないジャンルの本でも意外と夢中になれることがあるようです。
お見舞金を持っていくのがもっとも一般的かもしれません。実際、入院中は何かとお金が必要ですので、確かに現金はいちばん役に立つといえそうです。
とはいえ、現金はちょっと…という場合もあるでしょう。何回もお見舞いに行くのであれば、毎回お見舞金を持って行くのは負担になりますし、相手も恐縮してしまいます。
お見舞金はもう渡している場合や、相手が上司など目上の人の場合は、ギフトカードや商品券がいいかもしれません。インターネット上で使えるギフトカードや商品券だと、入院中でも使いやすいでしょう。
パジャマやルームウェアは入院生活の必需品ですが、とくに相手が癌患者さんの場合は選び方にポイントがあります。
癌の治療中は体調を崩すことが多く、着脱が困難な場合もあります。着やすく脱ぎやすいストレッチ素材のものや、前開きのタイプを選びましょう。また、抗がん剤治療の副作用で肌の状態が悪くなることもあるので、肌に優しい素材のものを選び、化学繊維が使われているものは避けるべきです。点滴をすることも多いので、袖は窮屈ではなく、まくりやすいものをおすすめします。
実用品ではシンプルにタオルがいちばんかもしれません。とくに大判のものはシーツ代わりにベッドや枕に敷いたりするので、何枚あっても多すぎることはないでしょう。
抗がん剤治療中の人は副作用で目がチカチカすることがあるので、無地で優しい色合いのタオルがおすすめです。パジャマやルームウェアと同じく、素材にも配慮したいところです。