食道への転移
食道癌は進行が早く、転移しやすい癌と言われています。このページでは食道癌の転移する場合の特徴や治療方法などをまとめました。
食道に転移するケースとは
食道はリンパ節が発達しているので、発病して早い段階からリンパ節へ転移する確率が高い臓器です。食道の周囲には、重要な臓器が多く、がんが大きくなると近くにある重要な臓器に浸潤する可能性が高くなります。近くにあるリンパ節から、肝臓、肺などの臓器や骨への転移も多く、転移した場所によって危険度が違うのでがんの早期発見が大事になってきます。
食道がん
症状
- 声がかすれる
- むせるような咳がでて、血の混じった痰がでる
- 食べ物がのどにつかえている感覚がある
- 食べ物を飲み込んだ時に胸の奥に痛みがある
- 胸の奥や背中に痛みを感じる
食道がんは発病初期の自覚症状がほとんどなく、人間ドックや健康診断で早期発見される確率は約20%と言われています。早期発見できれば内視鏡手術で切除することもできますが、進行が早くステージが進んでしまうと内視鏡手術での切除が困難になってしまいます。病気が進むと食べ物を飲み込んだ時、のど元に違和感があったり背中や胸の奥にチクチクとした痛みを感じたりすることも。
飲酒すると顔が赤くなる体質の人が毎日お酒を飲み続けたり、喫煙、欧米化した食生活を続けたりすると食道がんのリスクが高くなることも分かっていて、女性に比べ男性の方が食道がんにかかりやすく、その数5倍以上といわれています。
食道がんの治療方法
食道がんの治療方法は、病気の進行状況によって異なります。内視鏡治療、外科手術、放射線治療、化学療法の4つの治療法があり、ステージ0~1の極めて初期の段階であれば、身体的ダメージが少ない内視鏡治療での適応が可能です。ステージが進むと内視鏡治療が行えず、外科手術・放射線治療・化学療法を組み合わせて治療を行っていくことになります。
現在、食道がんのもっとも一般的な治療法は外科手術となっており、手術の際にはがんを含め食道、リンパ節を含む周囲の組織まで切除。また、食道のどこに発生したのかにより手術法も異なり、様々な検査や深達度などの検査を経てどの手術にするのかを決定します。進行してしまい手術ができないがんに対しては、放射線治療や化学療法でがんを小さくしてから手術を行うこともあります。
食道への転移について
重要な臓器が近くにたくさんある食道は、他の臓器に比べ早い段階で転移する可能性が高いがんです。そのため、早期での発見がとても重要。むせるような咳が続いたり、血の混じったような痰などの症状がでたりした後では手遅れになる可能性があります。そうならないためにも早期発見が重要です。少しでも不安に思う症状がでたら専門の医療機関に相談しましょう。
食道癌のステージ分類
病気 |
説明 |
0期 |
がん細胞が粘膜までにとどまり、リンパ節への転移が見られない場合 |
Ⅰ期 |
がん細胞が粘膜下層までにとどまり、リンパ節への転移が見られない場合 |
Ⅱ期 |
がん細胞が固有筋層までにとどまる、または外膜までに広がり、1~2群リンパ節への転移がある場合に総合的に判断 |
Ⅲ期 |
がん細胞が食道周囲組織に広がっているが切除でき、1~3群リンパ節への転移がある場合に総合的に判断 |
Ⅳa期 |
食道周囲組織に広がり、かつ4群リンパ節への転移がある場合 |
Ⅳb期 |
がん細胞の浸潤具合にかかわらず、遠隔臓器にまで転移が及んでいる場合 |
ステージの分類方法
食道がんにおけるステージ分類は、「T」で表されるがんの浸潤具合と「N」で表されるリンパ節への転移の有無とその広がり方、「M」で表される肺や肝臓などの遠隔臓器への転移の3つの要素によって決められています。
がんの浸潤具合を表す「T」では、がん細胞が粘膜にとどまっていれば「T0」もしくは「T1a」、粘膜下層でとどまっていれば「T1b」、固有筋層まででとどまっていれば「T2」、外膜まで広がっていれば「T3」、食道周囲範囲に広がっているが切除することができるものは「T4a」、切除できないものは「T4b」です。
次に転移の有無を表す「N」では、リンパ節への転移がない場合を「N0」、1群リンパ節への転移がある場合が「N1」、2群リンパ節への転移がある場合「N2」といった具合に増えていき、「N4」まであります。
最後の遠隔臓器への転移を表す「M」は、転移があるかないかの2択で、遠隔転移が認められる場合は、「M1」となります。
ステージで異なる治療方針
ステージ0期、Ⅰ期の場合
ステージ0期、I期における食道がんの治療方針は、内視鏡検査やCT検査、PET検査などを行い、深達度診断、転移診断を行って決定されますが、中でも重要視されるのが、内視鏡検査による壁深達度評価です。どこまで浸潤しているかということで治療方法が判断され、「T1a」がんでは内視鏡的切除が、「T1b」がんでは手術や化学放射線療法がメインとなります。
ステージⅡ期、Ⅲ期の場合
ステージⅡ期、Ⅲ期では、治療前に全身の状態を検査し、手術できる状態であれば、手術治療が第一選択の治療法となります。手術が不可能である場合や患者が手術を希望しない場合は、化学放射線療法や放射線治療、化学療法の単独治療を行うのが一般的です。
ステージⅣ期の場合
ステージIV期食道がんでは、Ⅳa期では化学放射線療法が、またⅣb期では化学療法が標準治療とされています。ただし、患者のパフォーマンスステータス(PS)が不良な場合は、緩和的対症療法が中心です。
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