いちから分かる癌転移の治療方法ガイド

いちから分かる癌転移の治療方法ガイド » 癌治療のメリット・デメリット » 転移した癌へ効果的な放射線治療を徹底分析 » 密封小線源治療

密封小線源治療

通常、放射線治療といえば体の外側から放射線を照射します。密封小線源治療はそれとは違い、体の内側から放射線を照射できる治療法です。

密封小線源治療とは?

子宮頚癌や前立腺癌などの治療に用いられる方法で、子宮腔内や尿道、直腸などに放射線を出すカプセルを挿入して埋め込む治療法です。

放射線を出す物質を直接体内に入れるなんて考えられない…と思うかもしれませんが、20世紀初頭から行われている歴史ある治療法となっています。

挿入するのはヨウ素125という放射性同位元素です。これを純チタン製のカプセルに包んだもので、挿入されたものの放射線は徐々に減少していくことになります。効果がなくなるまでにかかる期間は一年ほどです。そのあと、カプセルを取り出す必要はありません。

どれくらいの数のカプセルを挿入するかは状態によって異なりますが、一般的には50個から100個ほどです。

挿入する際には下半身麻酔を行い、超音波を使って正しい位置を確認しながら挿入します。

密封小線源治療に加えて外からの照射を行う治療法もあるため、更に効率よく腫瘍に放射線を照射できるでしょう。特にアメリカでは密封小線源治療に加えて外からの照射を行う治療を積極的に取り入れています。

手術しか選択肢がなかった方の中にも、密封小線源治療と通常の放射線治療を行い、手術に近い成果を出している例もあります。

メリット

入院が必要ですが、治療時間は1時間ほどとなっており、一般的に入院日数が3泊4日と短くて済むのが魅力です。

体への負担の少ない治療法を検討している方からも選ばれています。外側から放射線を照射するのと違い、直接病巣の近くに放射線のカプセルを届けられるため、効率よく腫瘍に対して働きかけられるのが大きなメリットです。

また、外から照射するタイプの放射線治療ではその時しか効果が得られませんが、密封小線源治療の場合は体内にカプセルが入ったままの状態になっているため、継続して放射線を放ち、腫瘍に働きかけます。

デメリット

必ずしもこの治療法が選択できるわけではありません。例えば、前立腺が大きくなっているタイプの前立腺癌では選択できないケースがあります。ただ、ホルモン療法などを行い事前に前立腺を小さくしてから施術できるケースもあるので、密封小線源治療の治療が可能かどうかは医師の判断によるでしょう。

また、密封小線源治療を行った後の体内は直腸などの組織が弱まっていることもあり、密封小線源治療の後に手術をするのは難しくなるのもデメリットです。

どのような癌治療に有効?

子宮頚癌、前立腺癌など。