いちから分かる癌転移の治療方法ガイド

いちから分かる癌転移の治療方法ガイド » 転移癌を諦めない病院 » 平塚市民病院

平塚市民病院

神奈川 放射線治療手術化学療法免疫療法
平塚市民病院のキャプチャ
引用元:平塚市民病院公式HP
https://www.hiratsuka-city-hospital.jp/

様々な放射線治療へ画像誘導システムを活用する平塚市民病院

神奈川県平塚市にある「平塚市民病院」は、1968年に設立された総合病院であり、神奈川県がん診療連携拠点病院としても指定されている医療機関です。放射線治療や手術療法、薬物療法(化学療法・抗がん剤治療)といった癌治療の他にも、免疫療法やがんゲノム治療など多角的な治療法を提供しながら、患者一人ひとりに適した癌治療のプランを構築してくれることが強みです。

また、平塚市民病院では2017年4月に「がん診療戦略室」を設置しており、病院内の治療環境の拡充や刷新、キャンサーボード企画、地域の医療機関とも連携した癌治療ネットワークの構築など、癌治療や癌患者にとって有益な医療サービスを提供できるようにと積極的に取り組まれていることも見逃せません。

平塚市民病院の医師

山田 健一朗院長

山田健一朗院長は2019年に平塚市民病院の院長として就任し、2022年で4年目を迎えています。また、山田院長自身も1984年に医学部を卒業して以来、およそ40年にわたって小児循環器を始めとする分野で医師として活躍を続けており、日本小児科学会専門医や日本小児科学会代議員、臨床研修指導医など複数の資格を有する専門医といったこともポイントです。

加えて山田院長は慶應義塾大学医学部で客員教授も務め、これからの日本の医療業界を担っていく後進の育成に尽力していることも見逃せません。

2022年度には2台目のMRIや手術支援ロボットの導入を予定するなど、医療環境の向上にも積極的に取り組んでおり、患者にとってメリットが多くデメリットの少ない医療サービスを提供できるようにと試行錯誤を繰り返しながら職務を全うしています。

目次

平塚市民病院の特徴

治療レベルを向上させる医療設備を意欲的に導入し活用

平塚市民病院では高精度放射線療法を実現するために、放射線治療装置としてバリアン社製の「TrueBeamSTx」を導入しており、高線量による短時間かつピンポイントの高精度放射線療法を提供していることが特徴です。また、さらに放射線療法の精度を高められるよう、VisionRT社製の光学的ポジショニングシステム「AlignRT」も導入し、高解像度カメラを利用して患者の体表面をスキャンしながら、3次元的なリアルタイムの位置合わせを行える環境を構築しました。この結果、1mm以下という高精度で患者の位置を追跡できるようになり、例えば乳癌治療における深吸気息止め照射(DIBH)といった治療法にも応用しています。

なお、平塚市民病院の放射線治療装置は第三者測定機関(医用原子力技術振興財団)からの評価を受けており、客観的に品質が認められていることも重要です。

平塚市民病院の治療方法

放射線治療

深吸気息止め照射(DIBH:Deep Inspiration Breath Hold)

乳癌の中でも左側の乳癌で、かつ乳房温存手術を受けた患者に対して提供されている放射線療法です。通常の放射線治療であれば自由呼吸を続けながら放射線照射を行いますが、深吸気息止め照射では深く息を吸い、止めた状態で放射線を照射することが特徴です。

これにより、肺の空気量を増やして心臓を照射範囲から外せるようになり、放射線照射による心筋梗塞といった副作用のリスクを低減させられることにつながっています。また、DIBHの実践には光学的ポジショニングシステムが活用されており、同システムの導入によってDIBHを実現できるようになった点は見逃せないでしょう。

限局性前立腺癌に対するVMAT(回転強度変調放射線治療)治療

従来の放射線治療では、癌組織に対して一定強度の放射線を照射するため、複雑な形状の癌組織に対して十分な治療効果を得られなかったり、周辺にある健常な臓器や組織へ放射線によるダメージを与えてしまったりといった課題を解決できませんでした。しかし高精度放射線治療装置を導入したことで、癌組織の形状やサイズに合わせて放射線の照射強度をリアルタイム調節する強度変調放射線治療(IMRT)が行えるようになっています。

さらに平塚市民病院では、治療装置が患者の体の外側で回転しながら強度変調放射線治療を行える「回転強度変調放射線治療(VMAT)」が採用されていることも重要です。

VMATでは多方向から適切な強度の放射線を照射し、ピンポイントで癌組織へダメージを与えつつ、その他の健常組織に対しては放射線被害を抑えられるということがポイントです。そのため前立腺癌の治療においても、膀胱や直腸といった臓器における副作用リスクが低減されました。

当院では、治療装置が回転しながらIMRT(強度変調放射線治療)を行うVMAT(回転強度変調放射線治療)を行っています。
この方法で治療を行うことで、前立腺にはしっかり線量を投与しつつも、周囲にある正常臓器(膀胱や直腸)への線量を減らすことができます。

引用元:平塚市民病院|放射線治療科|治療方法
https://www.hiratsuka-city-hospital.jp/sinryou/housya_chiryou/tiryouhouhou/

放射線品質管理室

技術が発達して放射線治療装置の性能が日進月歩で向上している反面、機器が複雑化して適切に管理することが困難になっているという問題があります。そこで平塚市民病院では、常に安定した性能・品質による放射線治療を提供できるよう、常勤の放射線治療品質管理士を配置した「放射線品質管理室」を設置しました。

放射線品質管理室では、高精度放射線療法などに使用する放射線治療装置などの保守点検や品質管理といった業務を行うと共に、各患者のために医師がプランニングした放射線照射計画や治療計画が現実的に実行できるかどうかの可否を検証しています。

短期照射(寡分割照射)

通院しながらの外来放射線照射を行う患者にとって、少しでも治療期間を短縮することが日常生活の利便性を保ち、ひいてはQOLの維持向上にも寄与することは事実です。そのため、平塚市民病院では一定の条件下において放射線照射の治療期間を短縮できるよう「短期照射(寡分割照射)」が実践されています。

これは1回の照射で用いる放射線の線量を増やして、トータルの照射回数を減らす治療方法です。かつては過度に放射線の線量を高めることで副作用のリスクが増大していましたが、現在は必要最小限の範囲で最大の効果を目指せるように高精度放射線療法が開発されており、副作用リスクも従来の治療法と比較して同程度あるいは軽度だと言われています。

当院では既に短期照射を行っています。主に、50歳以上で抗がん剤治療の行っていない方のうち、腫瘍の大きさが小さく、リンパ節転移の無かった方にお勧めしています。
適応の無い方でも通院が難しい方などは、状況によって短期照射を行うこともありますのでご相談ください。
当院で短期照射を行う場合は、従来の方法で25回の方は16回、30回の方は20回に減らすことができます。

引用元:平塚市民病院|放射線治療科|治療方法
https://www.hiratsuka-city-hospital.jp/sinryou/housya_chiryou/tiryouhouhou/

平塚市民病院の施術について

平塚市民病院で放射線治療を受ける流れについてまとめました。

放射線治療の流れ

神奈川県がん診療連携拠点病院として指定されている平塚市民病院では、治療を受ける前提として、原則的にかかりつけ医からの紹介状を取得していなければなりません。紹介状がなくても診療を申し込むことは可能ですが、基本的に紹介状を持っている患者の診療が優先されるため、どうしても長時間の待機時間が発生してしまいます。

なお、初診受付時間は午前8時半から午前11時までとなっており、その時間内に初診受付などを済ませることが必要です。

具体的な放射線施術までの流れは以下のようになります。

  1. 予約・初診受付
  2. 診察・検査
  3. 放射線治療計画の立案と実現性の検証
  4. 放射線照射
  5. アフターフォロー

予約方法

再診について再診予約制が採用されており、診察時に次回の予約を取る流れになります。なお、初診予約については、かかりつけ医を通して病院へ予約の連絡を行ってもらうか、患者自身で病院へ電話または受付に申し出て確認を行ってください。

初診予約時には保険証や紹介状といった必要書類を用意しておくと手続きがスムーズになります。

治療費について

紹介状を持っていない場合、初診時保険外併用療養費として7,700円(税込)が別途必要です。また、再診時に他の医療機関を紹介されたにもかかわらず平塚市民病院で診察を受けた場合、再診時保険外併用療養費として3,300円(税込)が請求されます。

支払い方法に関しては、現金もしくはクレジットカードでの支払いが可能です。なおクレジットカードの支払い方法は1回払いや分割払い、リボ払いから任意のものを選択できます。

平塚市民病院の基本情報

平塚市民病院
診療科目 内科、外科、呼吸器内科、消化器内科、循環器内科、神経内科、腎臓内分泌代謝内科、緩和ケア内科、呼吸器外科、消化器外科、血管外科、心臓血管外科、脳神経外科、乳腺外科、整形外科、形成外科、精神科、小児科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線診断科、放射線治療科、病理診断科、救急科、麻酔科
診療時間 9:00~(初診受付 8:30~11:00)
休診日 土曜日・日曜日・祝日、年末年始(12月29日~1月3日)
所在地 神奈川県平塚市南原1-19-1
電話番号 0463-32-0015
ベッド数 一般410床、感染症6床(2023年5月18日調査時点)
年間治療患者数 611人(令和3年度初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数)
対応可能な治療方法 手術療法、放射線療法、薬物療法(化学療法・抗がん剤など)、免疫療法、がんゲノム治療
設備 放射線治療装置(Varian社製 TrueBeamSTx)、光学的ポジショニングシステム(VisionRT社製 AlignRT)、IVR-CT、MRI装置 1.5テスラ装置(GEヘルスケア・ジャパン製)、一般X線撮影、320列MDCT(キヤノンメディカルシステムズ製)、80列MDCT(キヤノンメディカルシステムズ製)、80列MDCT(キヤノンメディカルシステムズ製 救命救急センター)、64列MDCT(キヤノンメディカルシステムズ製 IVR-CT)、全身用CT一体型血管造影装置(IVR-CT:キヤノンメディカルシステムズ製)、心臓用バイプレーン血管撮影装置(シーメンスヘルスケア製)など(2023年5月18日調査時点)
URL https://www.hiratsuka-city-hospital.jp/