放射線治療にリニアックを活用する川口市立医療センター
2008年に厚生労働省から「地域がん診療連携拠点」をはじめ、いくつもの指定を受けている地域医療支援病院です。済生会川口総合病院や戸田中央総合病院と連携しながら南部医療圏におけるがん治療ネットワークの一部として運営されています。高精度放射線治療装置「リニアック」を活用した放射線治療が提供されており、放射線治療と外科手術・化学療法を組み合わせた治療も行っています。
三枝 裕和放射線科部長/画像診断センター長
日本医学放射線学会の放射線科専門医・指導医や日本超音波医学会の超音波専門医・指導医です。日本核医学会のPET核医学認定医の資格も取得しています。各診療科のドクターと連携しながら患者の癌の状態に応じた治療プランを構築してくれます。
放射線科では治療と診断の両部門を併設。診断業務や放射線照射だけでなく血管内治療(IVR)も行っています。
なお川口市立医療センター放射線科の画像診断は4名の診断医が診断を担当しており、放射線治療は放射線腫瘍医2名の治療が実践されています。
放射線治療と癌治療への多角的なアプローチ
川口市立医療センターでは地域がん診療連携拠点として、単独の放射線治療に加えてコンビネーション的な治療も行っています。外科手術や化学療法と放射線治療を組み合わせた多角的な治療が可能です。
放射線治療では高精度放射線治療装置「リニアック」を導入。強度変調放射線治療(IMRT)や強度変調回転放射線治療(VMAT)などの高精度放射線治療を提供しています。従来の放射線照射治療よりも、低侵襲性と高い治療効果を両立できるようになりました。患者の健康な細胞や臓器への被ばくダメージを軽減しつつ、癌細胞を取り除けます。
がん患者のQOLを維持・向上するために、緩和ケア外来を開設。各診療科や他の職種と連携して癌や治療で生じる身体的・精神的な悩みを和らげるように努めます。
緩和ケア科では、がんそのものや治療によって起こる様々な体の症状(痛み、息苦しさ、吐き気など)や心の症状(不安、気分の落ち込みなど)に対し、主治医や様々な診療科、多職種と連携をとりながら症状を和らげるように努めていきます。 また、がん相談支援センターと共働し、がん治療中や治療後も快適に過ごせるようにサポートしていきます。
引用元:川口市立医療センター
https://kawaguchi-mmc.org/section/palliative_care/
癌の状態に合わせて放射線照射方法を変える高精度放射線治療
川口市立医療センターでは、高精度放射線治療装置「リニアック」と複数の治療計画装置やMRI、X線CTといった各種検査装置を導入。患者にとってより良い放射線治療のプランニングや実践に取り組んでいます。
リニアックは画像診断システムと連携することで、リアルタイムの癌の画像診断と放射線を活用した照射治療が可能です。癌の形状やサイズ、位置といった条件に合わせて放射線の照射強度や照射方向を調節しながら、患者へのダメージを軽減すると同時に治療効果を高めています。
放射線治療では、リニアックと呼ばれる治療装置を用いて体外照射による放射線治療を行っています。癌の種類や部位に応じて、照射回数や照射方法が異なります。主な対象は、脳腫瘍、肺癌、食道癌、胆道癌、膵臓癌、子宮頸癌、前立腺癌等ですが、全身どの部位の癌に関しても適応がありますので、ご考慮ください。
引用元:川口市立医療センター
https://kawaguchi-mmc.org/section/radiation/
強度変調放射線治療(IMRT)とは、事前に行った癌画像診断によって患者の体内にある癌病巣のサイズや形状を分析し、リアルタイムの画像診断と合わせて、癌細胞へ照射する放射線の強度を随時調整しながら照射を行う治療です。癌の形状に合わせて必要十分かつ最小限の放射線照射を行うため、癌への治療効果を追求しながら患者の体への被ばくダメージを軽減できます。
また強度変調回転放射線治療(VMAT)は、放射線照射装置を患者の体の周りで回転させることで、最適な位置に強度変調放射線治療を実践する治療法です。がんに対して最短距離で放射線照射を行えるため、低侵襲の治療を追求できます。
当科では、高精度放射線治療(IMRT や VMAT)を開始していますが、放射線治療の高精度化に伴い、周辺臓器への被曝を減らすことができ、結果、腫瘍自体への照射線量を増加させることが可能となってきています。従来の放射線治療では根治不可能であったような症例も高精度放射線治療により根治への希望があり、高精度放射線治療の症例数は増加の一途をたどっています。
引用元:川口市立医療センター
https://kawaguchi-mmc.org/section/radiation/
多方向から放射線を照射する定位放射線治療
定位放射線治療は特定の位置にある癌病巣に対して、多方向から複数の放射線を照射・収束することで、患者へのダメージを低減しながら癌への治療効果を高めている高精度放射線治療です。
定位放射線治療では、1本1本の放射線が低レベルに設定されているため患者の体へのダメージを抑えられます。ターゲットとなる癌病巣に多方向からの放射線を集中させることで、癌細胞だけにダメージを与えやすくなります。
患者の状態に合わせたオーダーメイドの外科治療プラン
川口市立医療センターでは患者の症状や癌の状態に合わせて、放射線治療や化学療法を組み合わせたオーダーメイドの治療プランが提案されます。
また治療方針として低侵襲を目指しており、3Dデジタル画像を活用した腹腔鏡手術を実施。患者へのダメージを抑えながら、癌細胞の切除を行っています。
川口市立医療センターで放射線治療を受ける流れについてまとめました。
川口市立医療センターで放射線科の診察を受ける場合、川口市立医療センターの各診療科でドクターの診察を受けている必要があります。なお放射線治療を適応できる範囲は全身の癌です。放射線治療を希望する場合は診察を受けている診療科の主治医へ相談してください。
他の医療機関に作成してもらった紹介状がある場合、放射線科へ診断予約ができます。
MRIやCTの他、放射線治療計画装置を使って画像診断検査を行い、その結果にもとづいて放射線照射プランを構築します。なお川口市立医療センターでは、放射線治療用の入院ベッドが設けられていません。通院治療ではなく入院治療が必要になる場合、治療期間中は各診療科で入院することになります。
放射線照射プランに則って放射線を照射します。また放射線照射が完了した後も各診療科や放射線診断専門医による定期診断を実施。再発リスクや転移リスクに備えます。
川口市立医療センターで放射線科を受診する場合、まず自分の癌に応じた診療科で診察を受けてから、放射線科の診察を予約します。ただし他院からの紹介状を持っていて川口市立医療センターへの通院が可能な患者に限り、放射線科への直接受診が可能です。
なお、入院治療が必要と診断される場合は対象診療科に紹介状を書いてもらった上で、診療科で入院してから放射線科へ進む点にも注意してください。
保険適応の放射線治療は保険診療に応じた費用が発生します。なお保険診療ではない治療を希望する場合は、自由診療扱いになります。金額や治療期間は医師や看護師に前もって確認しておきましょう。
川口市立医療センター | |
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診療科目 | 内科、外科、放射線科、麻酔科、画像診断センターなど診療科数29科 |
診療時間 | 8:30~11:00(診療受付) |
休診日 | 第2・第4土曜日、日曜日、国民の祝日、年末年始 |
所在地 | 埼玉県川口市西新井宿180 |
電話番号 | 048-287-2525 |
ベッド数 | 510床(放射線治療専用の入院ベッドはなし) |
年間治療患者数 | 令和2年度放射線治療部門の新規患者数(新患実人数):246、放射線治療患者実人数(新患+再患):313 |
対応可能な治療方法 | 手術治療、放射線治療、化学療法 |
設備 | リニアック(直線加速装置)、MRI(1.5テスラ 1台、3テスラ1台)、X線CT(16列マルチスライスCT1台、128列マルチスライスCT1台、128列Dual SourceマルチスライスCT1台)、ガンマカメラ(SPECT – CT 1台)など |
URL | https://kawaguchi-mmc.org/ |