日本国内の癌治療や癌研究をリードする、希少がんセンター
希少がんセンターは国立がん研究センター中央病院において、特に希少癌に対する癌研究や癌治療を専門的に取り扱う医療機関として2014年6月に発足されました。
2018年4月からは国内の希少癌対策における中心的役割を担っており、国立の癌治療機関として癌治療の提供や癌研究の他にも、様々な癌情報を国内外に発信して癌治療・転移癌治療・再発癌治療を積極的にサポート。放射線治療や外科治療、化学療法など複数の治療法にもとづいた癌治療を提供しています。
秋元 哲夫医師
秋元哲夫医師は、希少がんセンターにおいて放射線・陽子線治療を担当している医師です。また、国立がん研究センター東病院では放射線治療科長や副院長、先端医療開発センター粒子線医学開発分野長といった役職を兼任しています。
放射線治療の専門医・指導医として日本医学放射線学会から認定を受けている他、日本がん治療認定医機構からもがん治療認定医として公認されています。
患者の立場や家族の立場を考えながら、医療スタッフが一丸となって癌患者の不安や悩みに寄り添える医療環境の構築がモットー。質の高い放射線治療を提供できるように心がけてくれています。
集学的治療を支える基盤の1つとして放射線治療の最適化も目指しており、治療法の研究や治療効果の開発、副作用の防止などにも取り組んでいます。
希少がんセンターは、国立の医療機関として癌治療の研究や臨床現場での実践を進めています。国立がん研究センターの中でも、特に希少癌への専門部署として設立されている医療部門です。高精度放射線治療装置を活用した放射線治療を提供している他、国内外の医学界で報告されている学会発表や論文の内容を検討して、放射線腫瘍医のグローバルネットワークを通して必要な情報収集にも当たっています。
また、可能な限り最新情報や知見にもとづいた治療法を検討しプランニングし、より効果的な治療方法を追求するための癌患者の年齢や状態、既往歴といった情報を多角的に分析して提案。患者の要望に応じてセカンドオピニオンの橋渡しも行います。
希少がんの治療を放射線治療で行うことを推奨、または選択肢となる場合には、放射線治療の専門医である放射線腫瘍医が担当します。それぞれの患者さんに最適な治療方法を提案・決定するために、これまでの報告(論文や学会発表など)を検討することはもちろん、必要に応じて国内外の放射線腫瘍医のネットワークで情報を収集します。多少時間がかかることもありますが、ほとんどの希少がんについて、その情報に基づき放射線治療の可否や適切な方法について説明を行うことができます。
引用元:希少がんセンター
https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/treatment/radiotherapy/index.html
治療選択が容易でない場合、同じ施設だけでなく、多施設の放射線腫瘍医がその疾患の治療経験や専門的な知識をもっている場合には、セカンドオピニオンの橋渡しも行って、治療の選択がスムーズに進むように努めますので、それぞれの専門医や医療者に説明を聞き、よりよい選択の助けとしてください。
引用元:希少がんセンター
https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/treatment/radiotherapy/index.html
希少がんセンターでは、放射線治療法の選択肢として外照射と小線源治療の2つを提供しています。
外照射は患者の体の外側から放射線照射装置を活用してX線や電子線、また陽子線や重粒子線などを照射し、癌細胞を攻撃して治療を進める治療です。
小線源治療は放射線を放出する物質を患者の体内に投与。患者の体の内側から放射線を照射して癌細胞へアプローチする治療法です。
外照射であっても小線源治療であっても複数の選択肢が用意されており、の癌患者の状態や適性、症状、各治療の特性を比較検討しながら治療プランを提案してくれます。
他の医療機関の医師の意見を聞きたい場合には、希少がんセンターに伝えることでセカンドオピニオンを案内にも対応しています。
希少がんセンターでは、従来の放射線照射装置よりも高精度な放射線治療を行う装置として、直線加速器「リニアック」を導入しています。また、強度変調放射線治療(IMRT)や画像誘導放射線治療(IGRT)といった治療にも対応可能です。
強度変調放射線治療は、事前のCT検査などによって癌のサイズや形状、位置などの詳細を分析・確認。癌の形状に合わせてリアルタイムで放射線の照射レベルを調節しながら放射線照射をして治療します。
癌に対して必要十分かつ最低限の放射線照射により、患者の健康な細胞や肉体への被曝ダメージを抑えつつ、治療効果の最大化を目指しています。
切除不能鼻・副鼻腔悪性腫瘍といった外科治療が困難な癌に対して、国立がん研究センター東病院では陽子線を使った粒子線治療を提供しています。
陽子線は水素元素の原子核を加速させたもので、重粒子線を使った治療と同様に粒子線治療の1つとして研究されている治療法です。
同医療機関では陽子線治療によって3年無増悪生存・全生存率について49%及び59%という結果を得ており、放射線抵抗性を持つ癌に対しても一定の数値を残している点は見逃せません。
国立がん研究センター東病院での切除不能鼻・副鼻腔悪性腫瘍に対する陽子線治療で、3年無増悪生存および全生存率が49%および59%と良好な治療成績が得られています。放射線に抵抗性がある疾患の悪性黒色腫についても、大きい分割線量を用いた寡分割照射法を用いることで3年生存率が58%と、X線による放射線治療に比較して良好な初期効果が得られています。
引用元:希少がんセンター
https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/treatment/radiotherapy/index.html#ryushi
小児がんも粒子線治療、特に陽子線治療が有用な疾患で、化学療法・手術・放射線治療を含めた集学的治療で治療成績が向上した代表です。成人と異なり治療後の晩期有害事象や生活の質(QOL)の重要性が認識されています。現時点では陽子線治療施設で小児がんの受け入れが可能な施設は、国立がん研究センター東病院、筑波大学、静岡県立静岡がんセンター、重粒子線治療では群馬大学と限られていますが、今後は受け入れも整備されて、増えていくことが予想されます。
引用元:希少がんセンター
https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/treatment/radiotherapy/index.html
骨転移が発生している全身性の癌など、一般的な化学療法や外科治療では効果が認められないと懸念される場合、放射性同位元素を服用して患者の体内から放射線照射する小線源治療も検討できます。
希少がんセンターの小線源治療では、ラジオアイソトープ(RI)を全身投与する「非密封小線源治療」と、専用の容器に封入したRIを使って病巣を内側から治療する「密封小線源治療」の大きく2種類を用意。密封小線源治療はさらに、癌病巣へ線源を直接に挿入する組織内照射と、気管などへ線源の入った管を入れて放射線を照射する腔内照射へ分類されます。
希少がんセンターでは様々な希少癌や特定の症例に対して、集学的治療の一環として確立されている薬物療法を提供していることが重要です。
保険適用の薬剤としてエビデンスに則った標準治療や、複数の薬剤を併用する多剤併用療法などケースに合わせた治療プランが選択されます。
希少がんセンターで放射線治療やその他の施術を受ける流れについてまとめました。
希少癌の治療について放射線治療を実施すべきか検証し、選択肢として認められる場合は放射線腫瘍医が担当医を務めます。また各種データを比較して治療プランを検討します。
事前にプランニングした治療計画にもとづいて治療を実施します。治療が希少がんセンターだけで困難な場合、他の施設でのセカンドオピニオンや治療をサポートしてくれます。
治療効果を検証し、さらに再発リスクや転移リスクに備えたアフターフォローを関連医療機関において行います。
希少がんセンターの予約方法については公式サイトに記載がありませんでした。電話などで直接お問い合わせください。
標準治療として保険適用の治療法が提供されている他、先端治療などについての相談にも応じており、詳細は改めて担当医・主治医へご相談ください。
国立研究開発法人 国立がん研究センター 中央病院 | |
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診療科目 | 放射線治療、内視鏡検査・治療、リハビリテーション、病理診断、IVR、画像診断、外科手術、薬物療法 など |
診療時間 | 9:00~16:00(受付時間) |
休診日 | 土曜日・日曜日・祝日、年末年始 |
所在地 | 東京都中央区築地5丁目1-1 |
電話番号 | 03-3547-5130 |
ベッド数 | 公式サイトに記載なし |
年間治療患者数 | 放射線治療件数(2009年から2013年):508件 |
対応可能な治療方法 | 手術治療、放射線治療、化学療法 |
設備 | 直線加速器(リニアック)、CT、MRI など |
URL | https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/index.html |