いちから分かる癌転移の治療方法ガイド

いちから分かる癌転移の治療方法ガイド » 転移癌を諦めない病院 » 横浜医療センター

横浜医療センター

神奈川 放射線治療化学療法手術
(サイトイメージ)
引用元:横浜医療センター公式HP
https://yokohama.hosp.go.jp/index.html

国立病院機構としてのがん診療連携指定病院、横浜医療センター

横浜医療センターは国立病院機構として神奈川県横浜市の南西部の地域医療を支えている総合病院です。さらに癌患者のために専門性の高い癌治療を提供する「がん診療連携指定病院」でもあります。戦前から続く歴史の中で様々な患者の治療やケアに尽力してきた実績とノウハウを構築しており、幅広いアプローチによって色々な症状を抱える癌患者の治療とケアに取り組めることが特徴です。また、地域の癌診療の要として家族のケアやサポートにも力を入れています。

横浜医療センターの医師

杉山 正人 放射線科部長

杉山正人医師は横浜医療センターの放射線科部長を務めるドクターです。日本医学放射線学会などの医学会へ所属しながら放射線治療専門医としての認定も受けている放射線治療のプロフェッショナルです。高精度放射線治療装置としてアメリカのバリアン社製のリニアックCLINAC-21EXを活用しながら、癌患者の症状や癌の状態に応じて適切な高精度放射線治療を実践。放射線治療専門技師や放射線治療専従看護師とも連携しつつアットホームかつチーム体制による放射線診療を提供しています。

また必要に応じて他科ドクターとも連携しており、外科治療や化学療法と組み合わせた集学的治療にも取り組んでいます。

目次

横浜医療センターの特徴

横浜医療センターは昭和18年に戸塚海軍病院として創設され、その後は何度か名称変更を重ねながらも国立の医療機関として様々な患者の治療を行ってきた歴史を持つ総合病院です。また、横浜医療センターはがん診療連携指定病院として地域の癌治療ネットワークを支える医療基盤としても運営されており、神奈川県横浜市の南西部における癌治療の基幹病院として幅広い癌患者に向けた医療サービスを提供しています。

単独の診療科がそれぞれ患者の治療に向き合うのでなく、複数の診療科が連携しながら院内全体でチーム医療を実践することを方針としています。また、高精度放射線治療装置「リニアック」や各種システムの導入など医療設備の充実と治療環境の拡充にも力を入れていることがポイントです。

横浜医療センターの治療法

放射線治療

高精度放射線治療装置による癌治療

横浜医療センターでは米国バリアン社製の直線加速器(リニアック)を導入しており、16列マルチスライスCTなど治療計画用CTや3次元放射線治療計画専用コンピュータといった各種システムも活用しながら、様々な癌患者のために高精度放射線治療を提供しています。

従来の放射線治療と比較して低侵襲かつ高精度の放射線治療を追求しており、健常な細胞や臓器への被曝ダメージを軽減しながら、ターゲットである癌に対して効果的な放射線照射やアプローチを目指すことが可能となりました。また、放射線治療は放射線治療専門医としての資格を認定されたドクターがプランニングし、さらに癌治療の専門知識を備えた放射線技師や看護師などが適切な治療の実践をサポートしていることが強みです。

当センターの放射線治療装置はリニアック(直線加速器)と呼ばれているものです。新病院開設に併せて、バリアン社製(米国)のCLINAC-21EXを新規に導入しました。
放射線治療計画は16列のマルチスライスCTを使用し、3次元対応の放射線治療計画専用コンピュータで行います。3次元原体照射やピンポイント照射(定位照射)や呼吸に合わせた治療など、最新の高精度放射線治療技術にも対応可能な装置です。

引用元:横浜医療センター 放射線部門のご案内
https://yokohama.hosp.go.jp/outpatient_guidance/houshasenbumon.html

定位放射線治療(ピンポイント照射)

高精度放射線治療装置「リニアック」を用いて行われる定位放射線治療(ピンポイント照射)は、多方向からターゲットの癌に対して放射線を照射する治療法の1種です。定位放射線治療ではあらかじめ治療計画用CTなどによって癌患者の体内の精密画像診断を行い、癌の位置や形状といった情報を詳細に分析します。そして、治療時は患者の体外から複数かつ多方向の低強度放射線照射を行い、目的のポイントでそれぞれの放射線を収束させて癌治療に必要な高エネルギーを獲得させるという仕組みになります。

放射線1本1本はエネルギー強度を抑えられているため、健常な組織や細胞へ危険な被曝ダメージを与えることがなく、一方で収束された放射線は癌に対して適切な治療効果を発揮すできます。

これにより高齢者や合併症のある癌患者でも放射線治療を受けることができ、根治的照射から緩和的照射まで複数のニーズへ対応します。

呼吸を止めることなく肺癌への放射線照射も可能

高精度放射線治療ではターゲットである癌に対してピンポイントかつ精密な放射線照射を行う必要がああります。そのため、常に癌の位置を正確に把握しながら、緻密な精度で放射線照射装置をコントロールしなければなりません。そのため、肺癌のように呼吸で肺などの臓器が動くケースについては、治療が困難になる場合もあります。

横浜医療センターでは定位放射線治療に際してリアルタイムの画像モニタリングと動体追跡を行える環境が整えられており、あらかじめマーカーで識別しておいた癌を常に確認。呼吸で動く癌の位置に合わせて放射線照射をコントロールし照射しています。

なお、横浜医療センターで使用されている放射線治療装置については、第三者機関による調査によって治療のために十分な精度の照射量コントロールが可能であると評価されています。

第三者機関によって当院の放射線治療装置で用いられているX線の出力線量の精度が十分保証されていることを表します。

引用元:横浜医療センター 放射線部門のご案内
https://yokohama.hosp.go.jp/outpatient_guidance/houshasenbumon.html

化学療法(抗がん剤治療)

外来化学療法室

横浜医療センターでは抗がん剤治療を受ける患者のために、専用部門として外来化学療法室を開設。消化器系の癌や乳癌などにおける化学療法については外来通院による治療が可能となっています。

外来化学療法室では13台のリクライニングチェアを完備しており、さらに抗がん剤治療に先駆けて専門の医師が診察や面談を行いながら、それぞれの患者のために治療計画を検討。加えて、外来化学療法室の専属看護師や薬剤師を配置し、常に抗がん剤治療を受ける患者の不安や負担を軽減できるように、ホスピタリティを重視した診療体制を構築している点も見逃せません。

その他、入院患者に対して、緩和ケアチームがペインクリニックや緩和療法などを提供する体制も整えられています。

当院の外来化学療法室は広いスペースに、13台のリクライニングチェアを配置されリラックスした環境で受けていただけるようになっています。
また専属看護師や薬剤師を配備して、患者さんの副作用に対する不安や癌に対する思いなどを傾聴し、必要があれば医師に報告して対応するなどして、治療が少しでも安全に安心して続けられるように努めています。

引用元:横浜医療センター 当院のがんに対する取り組み
https://yokohama.hosp.go.jp/infomation/cancer_torikumi.html

横浜医療センターの施術について

横浜医療センターで放射線治療を受けるまでの流れについてまとめました。

放射線治療の流れ

診察

放射線治療を希望する患者に対して、放射線治療専門医による診察が行われ、治療適応性や治療内容の検討します。また、集学的治療として他科連携による放射線治療が必要な場合、それぞれのドクターが情報を共有した上で患者のための治療方針が検討される点も重要です。

治療計画作成

放射線治療の実施が決まれば、改めて治療計画用CTや3次元対応治療計画用コンピュータシステムなどによって、癌患者の体内にある癌のターゲッティングを行いながら具体的な治療計画をプランニングされます。

放射線照射はあらかじめ作成された治療計画にもとづいて実施され、事前に患者の体には放射線の照射部位を示すマーキングが施されることもポイントです。

治療

放射線照射を行う際には癌治療の専門知識を備えた放射線技師が、放射線治療計画にもとづいて複数体制で照射と装置のコントロール。治療効果に関しては放射線治療医による診察と分析が行われます。

なお、治療は通院外来で受けることが可能となっており、他院からの紹介によって術前術後の放射線治療を受けている場合、治療完了後は手術を受けた病院へ戻れます。

予約方法

横浜医療センターは全ての診療科において完全予約制を採用しており、放射線治療を受けたい人は必ず地域の医療機関の医師が作成した紹介状を用意した上で、事前の予約を行わなければなりません。なお、初診時にはかかりつけ医からの紹介状の持参が必須とされていますが、かかりつけ医のいない人などは癌相談センターで医療機関の相談をすることができます。

治療費について

横浜医療センターは診療ガイダンスにもとづいた標準治療を提供しており、基本的に治療費についても保険適用による費用計算がなされます。なお、実際の治療費は治療計画によって変動するため、詳細は事前に主治医やソーシャルワーカーへご確認ください。

横浜医療センターの基本情報

独立行政法人 国立病院機構 横浜医療センター
診療科目 内科、腎臓内科、糖尿病内分泌内科、心療内科、精神科、神経内科、呼吸器内科、消化器内科、循環器内科、緩和ケア内科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科など計33科
診療時間 平日8:30~17:15
休診日 土曜日・日曜日・祝日・年末年始
所在地 神奈川県横浜市戸塚区原宿三丁目60番2号
電話番号 045-851-2621
ベッド数 490床(一般470床、精神20床)
年間治療患者数 延べ外来患者数188,407人(令和4年度)
対応可能な治療方法 手術治療、放射線治療、化学療法
設備 高機能2管球搭載CT装置(SIEMENS SOMATOM Definition Flash)、3.0T(テスラ)MRI装置1台、1.5T(テスラ)MRI装置1台、リニアック(米国バリアン社製CLINAC-21EX)など
URL https://yokohama.hosp.go.jp/index.html