いちから分かる癌転移の治療方法ガイド

いちから分かる癌転移の治療方法ガイド » 転移癌を諦めない病院 » 川崎病院

川崎病院

神奈川放射線治療化学療法手術
(サイトイメージ)
引用元:川崎病院公式HP
https://www.city.kawasaki.jp/32/cmsfiles/contents/0000037/37856/kawasaki/

川崎市の癌治療ネットワークの土台を支える、川崎病院

神奈川県川崎市が運営している市立病院であり、公立の医療機関として地元住民の健康を支えています。2022年からは厚生労働省が指定する地域がん診療連携拠点病院として地域の癌治療ネットワークの基盤構築にも貢献している病院です。

化学療法や外科治療、放射線治療など幅広い癌治療を提供しているうえ、医療環境の拡充を目指して2021年8月には放射線照射装置である直線加速器「リニアック」を導入しました。

川崎病院の医師

栗林 徹 放射線治療科部長

川崎病院の放射線治療科において部長を務めており、日本専門医機構が認定する放射線科専門医の資格や、日本放射線腫瘍学会と日本医学放射線学会が共同で認定する放射線治療専門医といった資格を複数取得しているドクターです。また、日本がん治療認定医機構がん治療認定医として、癌治療に特化した放射線照射に関しても専門的なスキルを有しています

加えて、日本核医学会核医学専門医の資格も取得しており、核医学検査などについても精通。放射線治療全般を専門領域としており、リニアックを使った高精度放射線治療などをリードしています。

目次

川崎病院の特徴

医療設備を拡充しながら専門医による治療で信頼性も強化

公共の病院として地域住民の健康を守るために責任を果たすことを重視。より安全で高品質な治療を提供できるようにと専門性の強化や医療環境の充実に取り組んでいます。

放射線治療では癌治療に精通したドクターが、リニアックを使って高精度放射線治療を実践。外科治療では手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」によって低侵襲性を維持しながら治療効果を追及するなど、多角的なアプローチで治療を提供しています。

それぞれの診療科が連携して、院内全体でチーム医療を実践する集学的治療が行われているいます。

川崎病院の治療方法

放射線治療

直線加速器「リニアック」による放射線治療

川崎病院では2021年8月に放射線治療科における放射線治療装置をリニューアルしており、新しい放射線照射装置としてリニアック(直線加速器)や画像誘導高精度患者位置決めシステム(ExacTrac)、体表面誘導患者位置決めシステム(Align RT)などを導入。従来の放射線照射だけでなく、より正確な体内の癌状況をモニタリング可能になり、放射線照射と位置照合を同時に行える治療環境を構築されました。

結果、強度変調回転照射(VMAT)や定位放射線治療といった高精度放射線治療が可能になり、これまでよりも放射線被曝によるダメージや副作用リスクを軽減しながら、癌への治療効果を向上させています。

2021年8月に放射線治療装置(直線加速器「リニアック」)をリニューアルしました。

引用元:川崎病院|放射線治療科
https://www.city.kawasaki.jp/32/cmsfiles/contents/0000037/37856/kawasaki/shinryou/houshasenchiryo.html#koushin

強度変調回転照射法(VMAT)

高精度放射線治療の1つである強度変調放射線治療(IMRT)を発展させた放射線治療の1種です。

そもそも強度変調放射線治療は事前の精密な画像診断によって癌患者の体内にある癌組織の大きさや位置、形状などを詳細に分析した上で治療計画を作成。さらに放射線治療中もリアルタイムで癌の位置をトレースしながら癌の形状に合わせて照射する放射線の強度を調節する治療法です。

強度変調回転照射法はその強度変調放射線治療の品質をさらに強化しており、照射範囲を一層に細かく調節できるようになったため、患者の健常な組織や細胞へのダメージを一層に低減。照射時間についても短縮されており、治療期間中の患者への負担を抑えられるように考えられています。

今回導入した強度変調回転照射法(VMAT:Volumetric Modulated Arc Therapy)は、従来行われてきた強度変調放射線治療(IMRT: Intensity Modulated Radiation Therapy)と比べて照射範囲をより細かく制御するため、周囲の正常組織への影響を抑えることができます。また、照射時間の短縮も可能となります。

引用元:川崎病院|放射線治療科
https://www.city.kawasaki.jp/32/cmsfiles/contents/0000037/37856/kawasaki/shinryou/houshasenchiryo.html#koushin

定位放射線治療

癌患者の体の中にある癌の位置を正確に分析して、多方向から低レベルに抑えた放射線を大量に照射する治療法です。

放射線1本あたりの強度は患者の健康な臓器へダメージを与えないレベルであり、同時にそれを多方向からターゲットへピンポイント照射。目的の癌細胞で放射線を収束させます。一つひとつの威力は小さいものの、癌組織に照射される放射線の強度は治療効果を叶えるために十分なレベルとなり、周辺の健常な臓器や細胞へのダメージは抑えられます

川崎病院では脳転移癌や肺癌の治療を目的として定位放射線治療を提供しており、6軸可動の治療寝台に加えて、画像誘導高精度患者位置決めシステム(ExacTrac)や体表面誘導患者位置決めシステム(Align RT)といったシステムで正確な位置補正を実践しています。

脳の疾患の治療においては、従来機では金属フレームを直接頭蓋骨に固定するなどして治療を行っていました。リニアックの更新に伴って、患者さんごとに頭部専用固定具を作成し頭部の固定を行う方法となり、金属フレームによる固定と比べると患者さんへの負担が大きく軽減できます。肺の疾患の治療においては、患者さん専用の体幹部の型を作成し、精度よく治療を行います。どちらの疾患も今回新しく導入された装置や機能を組み合わせることで、より高精度な定位放射線治療を行うことができます。

引用元:川崎病院|放射線治療科
https://www.city.kawasaki.jp/32/cmsfiles/contents/0000037/37856/kawasaki/shinryou/houshasenchiryo.html#koushin

外科治療

手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」

川崎病院では前立腺癌の外科治療に手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」を導入しています。2023年6月末現在ではさらに腎癌や膀胱癌、腎盂尿管移行部狭窄症といった泌尿器科領域の癌や、胃癌や直腸癌といった消化器領域の癌に対してそれぞれダ・ヴィンチによるロボット支援下手術を実施しています。

ダ・ヴィンチには複数のロボットアームが搭載され、それぞれの先端には高精度なデジタルカメラやメス、鉗子といった器具が装着されており、執刀医は患者の体へ直接に触れることなくカメラ映像をモニタリングしながらリモート環境で手術を行います。

ダ・ヴィンチのカメラは高解像度で患部を拡大するため、肉眼よりも術野の確認がしやすく、ロボットアームによる手術や創傷範囲を抑えられることで肉体的負担が軽減してくれます。

川崎病院の施術について

川崎病院で放射線治療を受ける流れについてまとめました。

放射線治療の流れ

診察

川崎病院では放射線治療専門医による診察が行われ、患者のかかりつけ医や川崎病院内の各診療科のドクターとも連携しながら、患者の状態や癌の性質などを診断します。

治療計画作成

治療計画用CTを使って患者の癌を、実際の放射線治療を想定しながら画像診断し、正確に治療プランをシミュレーションします。実際の放射線治療は治療計画に沿って実践され、位置決めには各種システムが利用されることもポイントです。

治療

治療計画に従って放射線治療を実施し、また放射線治療専門医による治療効果の確認と計画のチェックが同時に行われます。治療回数や治療期間についてもあらかじめ放射線治療医に確認しておいてください。

予約方法

川崎病院は地域がん診療連携拠点病院であり、放射線治療科への予約は地域のかかりつけ医療機関の主治医から連絡して行ってください。また、川崎病院内の診療科から放射線治療の診察が依頼されることもあります。

治療費について

川崎病院は保険診療による放射線治療を実施しており、治療費については保険適用となります。正確な治療費については主治医に確認するようにしましょう。

川崎病院の基本情報

川崎市立川崎病院
診療科目 内科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、血液内科、糖尿病内科、内分泌内科、腎臓内科、脳神経内科、感染症内科、新生児内科、肝臓内科、緩和ケア内科、外科、呼吸器外科、心臓血管外科、消化器外科、乳腺外科、小児外科、整形外科、脳神経外科、形成外科、血管外科、精神科、リウマチ科、小児科、皮膚科、泌尿器科、産科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線診断科、放射線治療科、病理診断科、救急科、麻酔科、歯科、歯科口腔外科
診療時間 初診8:00~11:00
休診日 土曜日・日曜日・祝日・年末年始
所在地 神奈川県川崎市川崎区新川通12-1
電話番号 044-233-5521
ベッド数 713床(一般 663床、精神 38床、感染 12床)
年間治療患者数 2021年度診療実績:消化器系疾患、肝臓・胆道・膵臓疾患(836例)、呼吸器系疾患(252例)、腎・尿路系疾患及び男性生殖器系疾患(164例)、乳房の疾患(79例)など
対応可能な治療方法 手術治療、放射線治療、化学療法
設備 直線加速器(リニアック)、手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」、画像誘導高精度患者位置決めシステム(ExacTrac)、体表面誘導患者位置決めシステム(Align RT)、CT、MRIなど
URL https://www.city.kawasaki.jp/32/cmsfiles/contents/0000037/37856/kawasaki/