いちから分かる癌転移の治療方法ガイド

いちから分かる癌転移の治療方法ガイド » 癌の転移に負けない治療方法について » 医師、いい病院の選び方

医師、いい病院の選び方

治療をする際、自分にあった医師にめぐり合えるかどうかというのは非常に気になるポイントですよね。適当に病院選びをしてもがん治療を得意とする医師がいるとは限りません。

癌の転移があった場合などにもがん治療を得意とする医師に対応してもらえれば高い効果が期待できるかもしれません。医師によって技術や知識なども大きく異なるので、より効果的な治療を受けるためにも医師、病院の選び方のポイントをチェックしてみましょう。

医者選びのポイント

何よりも重視したいのが実績に関することです。ホームページ上などでも所属している医師の説明があり、そこで実績が紹介されていることも多いのでチェックしてみてくださいね。

ここで注意しなければならないのが、病院全体の実績ではなく、医師個人の実績を確認する必要があるということ。たくさんの医師が在籍している病院の場合、手術数自体が多かったとしても、1人ひとりの執刀件数が少なければそれだけを参考に医者探しをすることはできません。

また、どの医師にも得意分野があります。癌の治療や転移の治療の分野で実績のある医師がいる病院を探すことが大切です。

それから、近年はどの病院でもチーム医療を実践しています。実績のある医師が1人いたとしても、その周りのチーム関係者の技術不足・知識不足があった場合、十分な力を発揮できないでしょう。

そういった意味では病院全体での実績数を確認しておくことも大切になります。

医師の実績についてはインターネット上で調べやすいので、チェックしてみてくださいね。

いい病院選びのポイント

どのような医療機器を導入しているかどうか確認しておきましょう。医療機器は非常に高価なものです。それに、新しい医療機器を導入して使いこなすためには勉強も必要になります。

そのような状況の中で新しい医療機器を導入している病院は新しい技術を学んでいるといえるでしょう。

それから、口コミで評価の高い病院を選択するのもおすすめです。口コミを確認してみると、大病院でも「満足のいく結果にならなかった」、「医師や看護師の態度が高圧的だった」などの悪い口コミが目立つものもあります。

癌の治療や、転移の治療を行っていく場合、その病院とは長い付き合いになりますよね。口コミでの評価が高く、信頼できる病院選びをしましょう。

もう一つの判断方法として是非とも参考にして欲しいのが「日本医療機能評価機構」が行っている病院の評価です。自分の住んでいる地域から病院一覧を表示し、評価について確認してみると機構が行った非常に詳しい審査内容を確認できます。

具体的にどのような治療が行われているのか、病院の特色は何なのか、どのような組織運営が行われているのかなどなど、安全性も含めて詳細な情報が確認できます。

病院選びをする際、いろいろな情報を集める手段としてインターネットを活用している方が多いですが、サイトによって得られる情報が違うため、戸惑ってしまうこともあるでしょう。

こちらの調査票は各項目についてまとめてくれているので非常にわかりやすいです。

病院のホームページなどには掲載されていないような詳細な内容が記載されているので、いい病院選びをする際の参考の一つになるでしょう。すべての病院を調べられるわけではありませんが、2022年7月8日時点で2,041の病院が認定を受けているので、自分が検討している病院の評価について確認してみてくださいね。

専門的な立場に立って見た評価ということもあり、実際にその病院を利用した患者さんの口コミ情報だけではわからなかった情報も手に入ります。

よい病院を選ぶ前に知っておきたい用語集

がんセンター

がんの治療および研究を行う専門機関です。質の高いがん治療を提供することはもちろんのこと、各地域にて住民や他の医療機関に対して、がんに関する情報を発信したりがんの専門医を育成したりと、がん医療の中枢機関として携わったりしています。国公立施設のほかにも、民間あるいは医科大学などでがんセンター施設を有しているところもあります。

がん診療連携拠点病院

全国どこに住んでいても質の高いがん医療が受けられるよう、厚生労働大臣が指定した医療機関のこと。がん診療連携拠点病院として認められるには一定の条件を満たしていなければならず、そのうえで都道府県知事によって推薦されなければなりません。

このため、がん診療連携拠点病院として認められた医療機関に対しては、質の高い専門的な癌治療の提供や地域におけるがん診療に関する連携協力体制の整備、住民への情報提供などの働きが求められます。

現在、各都道府県に「都道府県がん診療連携拠点病院」が1ヵ所、二次保健医療圏に「地域がん診療連携拠点病院」が1ヵ所設けられており(例外地域もあります)、4年ごとに見直しが行われます。

病院機能評価認定病院

「病院機能評価」とは、国民が質の高い適切な医療を受けることができるよう、第三者機関である「公益財団法人日本医療機能評価機構」が、国内の病院を対象としてその運営管理や提供している医療について診査・評価することです。この審査において一定の水準を満たしていると評価された病院は「病院機能評価認定病院」と認められ、認定証及び認定シンボルマーク、認定病院ポスターが発行されます。

がん相談支援センター

「がん診療連携拠点病院」や「地域がん診療病院」内に設置されている、がんの相談窓口です。これらの病院は全国どこに住んでいても質の高いがん治療を受けることができるよう、厚生労働大臣により指定された医療機関で、癌の治療内容や設備その他癌に関するさまざまな情報を提供することができます。

多くの場合、対応するのは癌に詳しい看護師やソーシャルワーカーで、誰でも無料で相談することができます。「がん相談支援センター」は総称で、各施設によって「医療相談室」や「地域医療連携室」などそれぞれ異なる名称で呼ばれていることもあります。

専門医/認定医/指導医

各学会においてその分野で高度な知識や技術、経験を持つと認められた医師のことです。その資格を得るには各学会が定める条件を満たしている必要がありますが、たいていの場合「認定医」として認められるためには指定病院で一定期間勤務し、学会や講演会に一定回数出席したうえで試験に合格する必要があります。

「専門医」は認定医よりさらに高度な知識や技術、経験を持つ医師に与えられる資格で、5年以上の専門研修を受けた上で試験に合格しなければならないとされています。

「指導医」はこうした認定医や専門医を指導する医師のことで、たいていの場合は専門医であること、また長期にわたる学会所属歴や豊富な診療経験を持ったうえで試験に合格していることなどが条件となります。

標準治療

科学的根拠に基づき、現時点で最適と推奨される治療法のことです。「標準治療」に相対して用いられることの多い「先進医療」や「最先端医療」は、従来の治療法(つまり標準治療)では得られることのできなかった効果を得られるとして期待されていますが、まだ開発中であり臨床試験によって十分な治療効果や安全性が証明されてはいません。従って今後証明され推奨されれば、現時点での「先進医療」も「標準治療」となるわけです。現在のところ、癌における標準治療とは、外科手術、化学療法、放射線治療の3大治療を指します。

がんゲノム医療

「ゲノム」とは遺伝子情報のことで、「がんゲノム医療」とは癌細胞に存在する遺伝子を調べてその性質を解析し、それに基づいた治療法を提案・実施することです。というのも、同じ臓器の癌であっても病状や進行速度など癌細胞の性質はそれぞれ異なります。これは個々に癌細胞の遺伝子が異なるためです。患者固有のがん遺伝子情報を調べることで、個別に最も効果的と予測できる治療を提案することができるのです。

腫瘍内科

抗がん剤治療に特化した診療科目。かつてがん治療は外科療法が中心でしたが、近年の抗がん剤開発のスピードは著しく、これまで治療困難とされてきた症例でも新しい抗がん剤を使用することで癌細胞を小さくし手術が可能になるなど、集学的治療による効果が認められるようになりました。こうしてがん治療はさらに複雑化・高度化してきたため、化学療法の分野を1つの専門分野として独立させ、より質の高い治療を提供できるようにしたのです。

臨床試験

新しい薬や医療機器、治療法の効果性や安全性を確認するために行われる、人を対象とした試験のこと。開発された時点である程度の効果を予測することはできますが、実際に患者に使用した際に思いもよらない効果や副作用が表れる可能性もあるため、決められたルールに従ってそれら薬や治療法を実際に使ってみるのです。もちろん試験に参加する患者の安全を守るための規制や基準も設けられています。

インフォームド・コンセント

英語表記では「informed consent」、「説明を受け納得したうえでの同意」という意味。医療行為を受ける前に、医師など医療従事者から今の身体の状態や治療内容、検査や処方される薬について分かりやすく十分な説明を受けて納得し、同意してその治療を受け入れることです。がん治療に限らずすべての医療行為において必要とされる手続きと言えます。

セカンドオピニオン

「Second opinion=第2の意見」、つまり医療の分野で言えば現在の主治医以外の医師に意見を求めることです。主治医が提案する治療法以外の選択肢を知りたい、診断に間違いないのか確かめたい、といった場合に利用できる方法です。別の医師の意見を聞くことで、最適と思える治療法を患者と主治医の間で判断し、選択することができます。これがセカンドオピニオンの基本的な役割であり、「セカンドオピニオン=担当医を変えること」ではありません。

繰り返し入院

抗がん剤治療において、副作用の程度やタイミングを見るために投薬前後は入院し、その後は主に外来で治療を続けるという方法。抗がん剤の投薬は複数回繰り返す必要があるため、その度に入院するということで、「繰り返し入院」と呼ばれます。患者にとっては住み慣れた家で家族と過ごすことができ、また医療費も抑えられるというメリットがあります。