いちから分かる癌転移の治療方法ガイド

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癌の「ステージ4」と「末期」の違いとは?

「ステージ4」と「末期」は混同されやすい言葉ですが、同じ意味ではありません。ステージ4は、癌が原発巣から離れた臓器やリンパ節などへ転移していることを示す病期分類です。一方、末期は、癌の進行や全身状態、治療効果の見込みなどをふまえ、根治を目指す治療が難しくなっている状態を指して使われることが多い言葉です。

つまり、ステージ4と診断されたからといって、すぐに末期を意味するわけではありません。癌の種類、転移している場所や数、全身状態、これまでの治療歴、薬の効き方などによっては、薬物療法、放射線治療、手術、緩和ケアなどを組み合わせながら治療を続けられる場合があります。

このページでは、ステージ4と末期の違い、ステージ4でも治療を検討できるケース、末期と説明された場合にできる治療やケア、医師へ確認したいことを分かりやすく解説します。

ステージ4と末期は同じ意味ではない

ステージ4は「癌の広がり」を示す分類であり、末期は「治療の見通しや体の状態」を含めて使われる言葉です。そのため、ステージ4でも治療の選択肢が残されている人もいれば、ステージ4以外でも体の状態や治療効果の見込みによって末期に近い状態と判断される場合があります。

項目 ステージ4 末期
意味 遠隔転移がある状態を示す病期分類 根治を目指す治療が難しく、症状緩和や生活の質を重視する段階として使われることが多い言葉
判断の基準 癌の大きさ、リンパ節転移、遠隔転移など、癌の広がりに基づく 癌の進行度、全身状態、治療効果、治療による負担などを総合して判断される
治療の可能性 薬物療法、放射線治療、手術などが検討される場合がある 根治目的の治療が難しくても、症状を和らげる治療や緩和ケアは受けられる
注意点 ステージ4でも末期とは限らない 医学的なステージ分類そのものではない

ステージ4とは、遠隔転移がある状態

ステージ4とは、癌が最初に発生した臓器や組織から離れた場所へ転移している状態を指します。一般的には「遠隔転移がある状態」と説明されます。

例えば、大腸癌が肝臓や肺へ転移している場合、乳癌が骨や肺へ転移している場合、肺癌が脳や副腎へ転移している場合などは、ステージ4に分類されることがあります。

ただし、ステージの分類方法は癌の種類によって異なります。同じ「リンパ節転移」でも、原発巣に近いリンパ節への転移なのか、遠く離れたリンパ節への転移なのかによって、ステージの扱いが異なる場合があります。そのため、正確な病期は主治医に確認することが大切です。

TNM分類とステージの考え方

多くの癌では、進行度を判断するためにTNM分類が用いられます。

これらを総合して、ステージ0、ステージ1、ステージ2、ステージ3、ステージ4といった病期が判断されます。ステージ4では、M分類で遠隔転移があると判断されることが多くなります。

参照元:がん情報サービス|TNM分類

ステージごとの癌の特徴

以下はステージの大まかなイメージです。実際の分類は、癌の種類や臓器ごとの基準によって異なります。

ステージが高くなるほど治療が難しくなる傾向はありますが、治療方針はステージだけで決まるわけではありません。癌の種類、転移の場所、体力、年齢、持病、治療歴、患者さん本人の希望などをふまえて判断されます。

末期とは、根治を目指す治療が難しくなっている状態

末期とは、医学的なステージ分類そのものではなく、一般的には、癌の進行や全身状態などから根治を目指す治療が難しくなっている状態を指して使われることが多い言葉です。

末期と説明される背景には、以下のような状況があります。

ただし、末期と聞くと「もう何もできない」と感じてしまうかもしれませんが、実際には痛みや息苦しさを和らげる治療、出血や圧迫症状を抑える放射線治療、薬の調整、在宅療養の支援など、できることはあります。

ステージ4だからといって末期とは限らない

ステージ4は、遠隔転移があることを示す分類です。しかし、遠隔転移があるからといって、直ちに治療ができない状態を意味するわけではありません。

ステージ4でも、薬物療法によって癌の進行を抑えられるケースがあります。分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が使える場合、がんゲノム医療によって治療薬の候補を探せる場合、少数の転移病巣に手術や放射線治療を組み合わせられる場合もあります。

もちろん、すべてのステージ4の癌で同じように治療できるわけではありません。治療の可否や目的は、癌の種類、転移部位、転移の数、全身状態、治療歴、遺伝子変異の有無、治療への反応によって大きく異なります。

ステージ4でも治療を続けられる場合がある

ステージ4と診断された場合でも、以下のような治療が検討されることがあります。

治療の目的は、癌を完全に取り除くことだけではありません。癌の進行を抑える、痛みや出血を和らげる、食事や呼吸をしやすくする、生活の質を保つといった目的で治療が行われることもあります。

がんゲノム医療が検討される場合もある

近年では、癌細胞の遺伝子変異を調べる「がん遺伝子パネル検査」によって、治療薬の候補や臨床試験の可能性を検討することがあります。すべての患者さんに適用できるわけではありませんが、標準治療後の選択肢を探すために検討される場合があります。

がんゲノム医療は、癌の性質や患者さんの状態に合わせて治療を考える個別化医療の一つです。対象になるかどうかは、主治医やがんゲノム医療中核拠点病院・拠点病院・連携病院などに相談しましょう。

参照元:がん情報サービス|がんゲノム医療 もっと詳しく

末期でも放射線治療が役立つ場面

末期と説明された場合でも、放射線治療が症状緩和や生活の質の維持に役立つことがあります。放射線治療は、癌を根治する目的だけでなく、痛みや出血、圧迫症状を和らげる目的で行われることがあります。

例えば、以下のような場面で放射線治療が検討されることがあります。

放射線治療が適しているかどうかは、癌の場所、全身状態、これまで受けた治療、期待できる効果、副作用のリスクによって異なります。保険診療で行われる緩和照射もありますが、病状や治療内容によっては自由診療となる場合もあるため、医療機関に確認することが大切です。

ステージ4や末期と説明された場合でも、放射線治療が症状緩和や生活の質の維持に役立つことがあります。

骨転移の痛み、脳転移による症状、出血、癌による圧迫症状などでは、放射線治療が選択肢になる場合があります。標準治療が難しいと言われた方も、放射線治療の考え方を確認しておくと、主治医への相談内容を整理しやすくなります。

緩和ケアは末期だけのものではない

緩和ケアは、癌による体や心のつらさを和らげ、生活の質を保つためのケアです。「緩和ケア=末期になってから受けるもの」と思われがちですが、実際には癌と診断されたときから、治療と並行して受けることができます。

緩和ケアでは、痛みだけでなく、息苦しさ、吐き気、食欲低下、不眠、不安、気分の落ち込み、家族の悩み、療養場所の相談などにも対応します。

癌治療を続けている段階でも、つらい症状や不安がある場合は、早めに主治医や看護師、緩和ケアチームへ相談しましょう。

参照元:がん情報サービス|緩和ケア

ステージ4や末期と言われたときに医師へ確認したいこと

ステージ4や末期と説明されたときは、動揺してしまい、医師の説明を十分に聞き取れないこともあります。診察前に質問をメモしておくと、今後の治療方針を整理しやすくなります。

セカンドオピニオンを検討してもよい

ステージ4や末期と説明された場合、治療方針について別の医師の意見を聞きたいと考えるのは自然なことです。セカンドオピニオンは、現在の主治医を否定するためのものではなく、治療の選択肢や方針をより納得して決めるための方法です。

特に、治療の選択肢が複数ある場合、標準治療が難しいと言われた場合、自由診療や臨床試験を検討している場合、放射線治療や薬物療法の専門的な意見を聞きたい場合は、セカンドオピニオンが役立つことがあります。

セカンドオピニオンを受ける際は、紹介状、画像データ、病理検査結果、血液検査結果、これまでの治療経過が必要になることが多いため、主治医に相談して準備しましょう。

家族ができること

家族は、患者さんを無理に励ますよりも、本人が何を不安に感じているのか、どのように過ごしたいのかを聞くことが大切です。

ステージ4や末期と説明されると、患者さん本人だけでなく、家族も大きな不安を抱えます。治療方針、療養場所、費用、仕事、介護、今後の生活について、一度ですべてを決めようとせず、主治医や相談支援センターと一緒に整理していきましょう。

診察に同席できる場合は、医師の説明をメモしておくと、後から家族で話し合いやすくなります。本人が希望する治療や過ごし方を尊重しながら、必要な情報を一緒に集めることが支えになります。

相談できる窓口

ステージ4や末期と説明されたときは、主治医だけでなく、さまざまな窓口に相談できます。治療のことだけでなく、療養生活、費用、仕事、介護、在宅医療、家族の不安についても相談できる場合があります。

がん相談支援センターは、全国のがん診療連携拠点病院などに設置されています。通院中の病院以外の相談支援センターでも相談できる場合があります。

よくある質問

ステージ4と末期は同じですか?

同じではありません。ステージ4は遠隔転移があることを示す病期分類です。末期は、根治を目指す治療が難しくなっている状態を指して使われることが多い言葉です。ステージ4でも治療を続けられる場合があります。

ステージ4と言われたら余命が短いという意味ですか?

必ずしもそうではありません。ステージ4の経過は、癌の種類、転移部位、治療への反応、全身状態によって大きく異なります。余命について知りたい場合は、主治医に「今の状態でどのような見通しですか」と確認しましょう。

ステージ4でも治療できますか?

治療できる場合があります。薬物療法、放射線治療、手術、緩和ケア、がんゲノム医療などが検討されることがあります。ただし、適応は患者さんの状態によって異なります。

末期と言われたら治療は受けられませんか?

根治を目指す治療が難しい場合でも、痛みや息苦しさ、出血、圧迫症状を和らげる治療は受けられることがあります。緩和ケアや放射線治療、薬の調整など、生活の質を保つための方法があります。

緩和ケアはいつから受けられますか?

緩和ケアは、末期になってからではなく、癌と診断されたときから受けられます。痛み、不安、不眠、吐き気、食欲低下などがある場合は、早めに相談しましょう。

ステージ4で放射線治療は使われますか?

使われる場合があります。骨転移の痛み、脳転移による症状、出血、神経圧迫、気道や食道の圧迫などに対して、症状緩和を目的に放射線治療が行われることがあります。

セカンドオピニオンを受けてもよいですか?

受けても問題ありません。治療方針に迷いがある場合や、他の治療選択肢を確認したい場合は、主治医に紹介状や検査データの準備を相談しましょう。

家族は何をすればよいですか?

本人の希望や不安を聞き、診察内容を一緒に整理することが大切です。治療、療養場所、費用、介護については、がん相談支援センターや医療ソーシャルワーカーにも相談できます。

まとめ

ステージ4と末期は、同じ意味ではありません。ステージ4は遠隔転移があることを示す病期分類であり、末期は根治を目指す治療が難しくなっている状態を指して使われることが多い言葉です。

ステージ4でも、癌の種類や全身状態によっては、薬物療法、放射線治療、手術、がんゲノム医療などを検討できる場合があります。また、末期と説明された場合でも、痛みや息苦しさを和らげる治療、放射線治療、緩和ケア、在宅療養の支援など、できることはあります。

大切なのは、「ステージ4」「末期」という言葉だけで判断せず、自分の癌の状態、治療目的、使える治療、生活への影響を主治医に確認することです。不安が強い場合は、セカンドオピニオンやがん相談支援センターも活用しましょう。