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卵巣がんの症状や転移、治療法について

卵巣は子宮の両脇にある親指大の臓器です。女性ホルモンの分泌を司っています。このページでは、卵巣がんの症状や治療法について詳しく解説します。

卵巣がんの症状

  • 腹部の膨満感
  • 腹部や骨盤の痛み
  • 食欲不振
  • 頻尿

卵巣がんは進行しても気づかれにくいがんです。自覚症状が分かりにくい原因に卵巣の大きさが関係しています。卵巣は親指ほどの小さな臓器で、腫れていても他の臓器に影響を与えません。

卵巣がんの症状であるお腹の膨満感があったとしても「お腹が張っている様な気がする」「お腹周りが少し太った」という程度のため、それが卵巣がんの症状だと気づかれにくいようです。しかしこのちょっとした変化が卵巣がんの初期症状である可能性が高いといえます。

腹部の膨満感は卵巣の腫れ以外に腫瘍がお腹に転移して、腹膜の機能が低下することにより腹水が溜まっている場合もあるのです。もし、あおむけで眠れないほどのお腹の膨満感がある場合は卵巣がんがかなり進行している可能性があります。

卵巣がん治療法

日本では卵巣がんを含むほとんどのがん治療で外科手術が優先されます。外科手術が優先される理由は、早期発見であれば腫瘍を取り除くことでがんによる死亡率を低下させることが望めるからです。卵巣がんで外科手術をする場合は、開腹して両側の卵巣・子宮・卵管・大網が摘出されます。

がんの状態によってすべて取り除くのが難しい場合は、腫瘍減量術という手術が適用。できるだけ多くのがん細胞を取り除く手術のことです。妊娠を望む場合、卵巣と子宮を残す妊孕性温存(にんようせいおんぞん)という手術もあります。

卵巣がんの85%は良性といわれており、早期発見でがんによる死亡率を低下させる可能性があります。少しでも気になる症状があれば病院を受診して医師に相談しましょう。

卵巣がんの痛み

卵巣がんは沈黙の臓器と呼ばれており、自覚のないまま進行することが特徴です。進行すると腹部の膨満感のほかに、お腹や骨盤に痛みが出ます。

お腹をさわるとしこりを感じるようなりますが、卵巣はとても小さな臓器であるため気づかれない場合も。骨盤が痛む原因としては、卵巣が骨盤内にあるため、圧迫されて痛みが生じるようです。

鈍い痛みがほとんどですが、まれに腫瘍がねじれを起こして急激な下腹部痛が起こる場合もあります。

卵巣がんの転移先として多い部位

がん細胞は血液・リンパ液によってほかの臓器にうつっていき、移った場所で成長したがんのことを転移と呼びます。

卵巣がんの転移しやすい部位は骨盤リンパ節・傍大(ぼうだい)動脈・リンパ節で、卵巣がん摘出の手術の際に一緒に摘出される場合も。

しかし、この方法が生存期間の延長につながっているかは科学的に証明されていないため、がんの状態によっては実施しない病院もあるそうです。

卵巣がんに関する研究

卵巣がんは婦人科悪性腫瘍の中でも治療が困難で、もっとも予後不良ながんだと考えられています。その理由はがんの転移。その転移のメカニズムの解明に一歩近づくことが期待できる研究発表がありました。

卵巣がん転移の新たなメカニズムを発見(2021/02/08)

摂南大学、東北大学、金沢医科大学の3大学からなる国際共同研究チームによって、セラミドという脂質を生成する酵素にがん細胞の能力を抑える働きがあることが判明しました。

共同研究チームの発見内容

人間の生体を構成する分子である脂質「スフィンゴ皮質セラミド」の生成には「CerS2」という酵素が必要です。共同研究チームによると、転移性のがん細胞においてはそのCerS2の発現量が低下していること、そしてCerS2の発現を抑えると卵巣がん細胞の運動能力と転移能力が高まる、ということがわかったのです。つまり、CerS2にはがん細胞の転移を抑える作用があることになります。

がん細胞の転移を抑えるメカニズム

セラミドを生成する酵素には、これまでに6種類のアイソフォーム(たんぱく質の一種)があることがわかっています。そのひとつがCerS2で、CerS2によって生成された脂質「C24:1-セラミド」が卵巣がん細胞の運動性を低下させることが新たに確認されました。

このC24:1-セラミドは細胞内の器官「小胞体」で生成され、細胞形質膜に移動します。通常はセラミドを分解する酵素「セラミダーゼ」によって代謝、分解されてしまうのですが、このセラミダーゼの働きを抑えると、当然C24:1-セラミドの量は増えます。すると、細胞が運動するために必要な葉状仮足(細胞から突き出した足のような部分)の形成が抑えられるのです。

このように、卵巣がん細胞の運動能力を低下させ、結果として転移を抑えることができるというメカニズムが、この発見の最大のポイントです。

この発見がもたらすもの

いかに医学が進歩したといっても、がんの再発や転移を予測したり抑制したりすることは極めて困難なのが現実です。しかし、今回の研究で明らかにされたCerS2による転移抑制メカニズムの発見によって、卵巣がんの新たな検査の指標や治療薬の開発が進む可能性があります。

また、こうしたがん転移のメカニズムを発見できたことは、卵巣がんだけではなく、さまざまながんに対する新たな治療法開発に大きく貢献できるかもしれません。

   
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