放射線治療と聞くと怖いイメージやどのようなものか分からないという不安を持っている人が多いようです。ここでは、患者さんからよく聞こえてくる放射線治療についての質問について解説していきます。
Q:放射線治療の良いところはなんですか?
A:放射線治療は病巣にピンポイントに照射できる治療法です。がん細胞の遺伝子にダメージを与えて、がん細胞を死滅させます。薬物治療は病巣だけではなく、体全体に効いてしまうため、全身に負担があることが考えられます。臓器や腫瘍を取る手術よりも体への負担も少なく済みます。
Q:単発の癌じゃなくて転移していても放射線治療は受けられますか?
A:受けることができます。単発の癌の場合はがんを治すために放射線治療を行いますが、転移している癌の場合は症状緩和のために放射線治療を行います。また、癌だけではなく良性腫瘍や血管異常に対して放射線治療を行うことも。
また、病巣へピンポイントに照射するので、正常な細胞への影響も抑えられます。
Q:効果に差はありますか?
活発に細胞分裂している癌のほうが効果が出やすいようです。反対にゆっくりと成長していく癌には効果が出にくい傾向があります。
Q:妊娠出産には関係ありますか?
A:照射部位が卵巣や精巣でなければ生殖に大きな影響はないですが、まったくないとはいいきれません。担当医への確認をしてみましょう。
Q:子どもも受けられますか?
A:子どもは正常な組織への放射線治療の影響が出やすいので、細心の注意を払って行います。治療中は安静にする必要があるので、安静にできない子どもの治療の場合には全身麻酔や鎮静薬を使って治療することもあります。
Q:放射線治療はどのくらいの日数がかかりますか?
A:1回行って終了する場合もあれば、数か月平日は毎日治療を受ける必要があるものもあります。癌の種類や病状によって回数は変動。放射線治療を受ける前に行う治療計画で回数を決めます。
Q:放射線治療と薬物療法を一緒に行うのはどういう場合ですか?
A:放射線治療だけでは治療が難しい場合や、転移を予防する場合に併用することがあります。
Q:放射線治療と手術を一緒に行うのはどういう場合ですか?
A:術後残っている腫瘍を根絶する目的・再発予防のために併用することがあります。
Q:その他併用したほうがいい治療法でなにか効果があるものはありますか?
A:温熱療法や免疫療法を一緒に行うことは有効性が示されてはいますが、臨床的に十分な成果は得られていないので、はっきり効果があるとは言いきれません。
Q:普段通りの食事をしても大丈夫ですか?
A:口の中や胃などの消化管に放射線を照射するときは食事に気を付けましょう。口の粘膜に炎症が起きて、刺激物が染みることがあります。消化管に照射する場合は消化の良いものを食べるように心掛けましょう。
Q:避けたほうが良いことは何かありますか?
A:温泉・サウナ・岩盤浴や海水浴やプールなどは、照射期間中と治療終了直後は避けることをおすすめしています。
Q:外来で治療を行う場合、家で普通に過ごして大丈夫ですか?
A:仕事や家事など、身体的・精神的負担にならない程度でしたら大丈夫です。旅行やスポーツもとくに制限はありません。
Q:治療中はタバコは吸っても大丈夫ですか?
A:タバコを吸うことによって放射線の副作用が増強されるおそれがあるので、禁煙することが望ましいでしょう。
Q:治療中はお酒を飲んでも大丈夫ですか?
A:担当の医師に相談をしてみましょう。適量を守って飲むようにしてください。
Q:ムダ毛処理をしても大丈夫ですか?
A:照射範囲内は避けたほうが良いです。どうしても行う必要がある場合は、照射する場所の皮膚を傷つけないよう注意しながら毛を剃るように気を付けましょう。
Q:副作用がない=放射線治療の効果がないということですか?
A:必ずしも比例するわけではありません。最近の治療では正確に病巣だけでに当てることができるので、昔の放射線治療に比べると副作用は減ってきています。
Q:副作用はいつ出ますか?
A:治療中から終了後に出現する副作用を急性期と呼び、治療が終ってから数か月経って出現する副作用を晩期と言い、この時期に出ることが多いです。
Q:マーキングが消えることはないのですか?
A:消えにくいインクを使用したりしているので、簡単には落ちません。短い時間なら入浴しても大丈夫です。
Q:放射線治療を行っている最中にくしゃみや咳が出そうになった場合どうしたら良いですか?
A:スタッフは治療中モニタリングを行っているので、くしゃみや咳が出そうになったときは手を挙げたり合図をしてください。肺や肝臓は呼吸によって腫瘍が動いてしまいます。そのため動きを止めて照射したり、お腹の動きに合わせて照射を行っています。
Q:放射線治療を行って効果があったかどうかは、どうやって分かりますか?
A:主に画像検査を行ったり、診療所見や血液検査で分かります。自覚症状が改善していることで効果があると判断することもできます。