50~70歳の男性に発症しやすいと言われているのが膵臓がんです。膵臓には消化酵素やホルモンを分泌する働きがあるため、がんを発症すると機能がうまく働かず、がん以外にも糖尿病を発症する場合があります。このページでは膵臓がんの症状や治療法、痛み、転移しやすい部位について解説していきます。
膵臓は3つの区分に分けることができます。膵頭部、膵体部、膵尾部に分けることができ、がんが発症した部位によって症状が異なってくるのが特徴です。
膵頭部にがんができた場合は黄疸が見られ、膵頭部の真ん中では黄疸と腹痛、膵頭部の下側だと腹痛が症状として出現。膵体部と膵尾部では、黄疸は見られず腹痛が主な症状として見られます。
膵体部と膵尾部にがんが発症した場合、初期の段階ではあまり症状が現れないため腹痛が起きた際にはかなり進行している可能性も。
また、膵臓がんの場合、がんが小さいうちから膵臓の周囲に広がり、他の部位へ転移しやすいという特徴があります。
膵臓がんの治療で中心となるのが外科手術で、膵頭十二指腸切除術・膵尾部切除術・膵体全摘術の3つがあります。
しかし、膵臓は血糖値コントロールやホルモンの分泌、消化機能の調整などを担う器官のため、全摘することはあまりありません。
そのため、膵臓を3つの区分に分けてがんのある部位を切除するようになったのです。外科手術のほかには、放射線治療・化学療法(抗がん剤治療)などがあり、併用治療が行われます。
膵頭部がんになった場合は、膵管ががんによって侵されてしまい胆管と合流する部分が塞がれて胆汁をうまく流せないことも。
たまった胆汁を排出できるように、対症療法として内視鏡を使ったドレナージをおこなう場合もあります。
膵臓がんはお腹や腰に痛みが現れます。悪性度の高いがんのため、腹痛や腰背部痛が起きている場合進行しているケースも。
がんが小さくても膵臓の周りにある神経や血管、胆管へ浸潤していくため、リンパ節への転移や肝臓への遠隔転移が起きることもあるのです。
その結果、食道や胃腸などの管腔臓器に炎症や閉塞が起こって痛みが生じます。また、感覚を伝える神経に損傷が起こり、神経障害性疼痛が起きることもあるのです。
がんが大きくなった場合は、十二指腸や横行結腸が狭くなり、通過障害が起きて腹部が張ったり、痛みを感じたりします。
膵臓がんはがんが小さいうちでも周囲の臓器に広がるのが特徴です。転移にはがんの病巣(原発巣)から血流にのって転移する血行性転移、リンパ液にのって移動するリンパ行性転移、がん細胞が腹腔内に散らばる腹膜播種(ふくまくはしゅ)の3つがあります。
とくに膵臓がんの場合は、血行性転移による肝臓への転移と腹膜播種が起こりやすいです。血行性転移によって骨へ転移した場合は、骨転移となります。
肝臓や骨への遠隔転移が分かった場合、ステージⅣと判断されて、外科手術ではなく化学療法や放射線治療を主体とした治療が行われます。