このページでは、癌による体重減少の理由や注意点などについて詳しく解説しています。
すでに癌患者として診断されている人の場合、癌による直接的な影響や化学療法などの治療の副作用によって体重が減少してしまうことも少なくありません。また、特にダイエットをしているわけでもないのに、急に体重が減ったり体格が小さくなったりすると、癌に限らず何かしらの身体的異常や病気の発症を疑うべきといえるでしょう。
全ての癌患者において体重減少が明確に見られるとは限りません。しかし、普段と変わらない生活を送っているはずなのに、どうしてかどんどんと体重が落ちてしまって止まらない、といったケースも起こりえます。
基本的に、癌や病気による体重減少は、それ単体で起こることはあまりありません。ですが自覚症状に乏しい癌の種類もあり、はっきりと自覚できる症状が体重減少しかないという可能性はあり得ます。
癌の種類や元々の体重によっても減少幅は異なりますが、例えば適正体重の人であっても、癌の状態や発生部位によっては体重の10~20%が減少してしまうこともあるようです。
参考元:MSDマニュアルプロフェッショナル版|がんにおける悪液質
一般的に、病に冒された人は体重が減少して痩せ細っていくイメージが多いでしょうが、例えば癌や病気の影響で腹水などがたまって体重が増えるというケースもあります。
また、心不全などによる血行不良で水分の排出が正常に行えなくなり、むくみが悪化していることも可能性として考えられます。
いずれにしても、体重の増加であれ減少であれ、急な変化を自覚した際は医師へ相談することが望ましいでしょう。特に、元々の体重が適正体重に近い人や、以前はほとんど体重に変化がなかったという人は要注意です。
一方、肥満体質の人の場合、少し食生活を変えたり運動したりすることで体重がまとまって落ちることもあります。ただし、基本的に生活習慣を変えていないのに体重が5%以上も減少した場合や、そこから戻らない場合、改めて医師へ相談することをおすすめします。
癌や癌治療によって体重が減少する理由は色々と考えられます。また、症状によっては手術など外科治療が必要になることもあり、速やかな診察と対処が不可欠です。
例えば食道に癌が生じてしまうと、癌によって食道が塞がれてしまい、食べ物が通りにくくなってしまうこともあります。こうなると食事をすることが困難になるだけでなく、食事をしたいという気持ちがわきにくくなり、結果的に食事量が減って体重が減少するという流れです。また、消化器系の臓器の周囲に癌が生じて、消化管が外から圧迫されることで狭くなり、食事が困難になることもあります。
食道の狭窄や閉塞が進行すると、ただ唾液を飲み込むだけでも困難になるため、ひどくなる前に医師へ相談することが肝心です。
癌が発生する部位によって味覚障害が起きると、食事を楽しむ意欲が湧きにくくなります。
癌が発生すると、胸焼けや吐き気、倦怠感といった諸症状が出てしまい、精神的に落ち込んでしまうこともあります。
食道に癌ができていなくても、精神的に落ち込んで食欲が低下すれば、必然的に食事量が減って体重も減少していくことになるでしょう。
胃や腸などに癌が発生すると、消化機能が低下して、食事をしても十分に栄養を吸収できなくなる場合があります。この場合、普通に食事をしているつもりでも体重が減少してしまいます。また、癌で膵臓の内分泌機能が低下してインスリンの分泌量が減少し、血糖値や体重が不安定になることも問題です。
一部の癌治療では、癌細胞を周辺の組織ごと切除した結果、消化機能が低下するという可能性もあります。
消化器官に癌が発生すると、状態によっては出血が続くこともあります。そして出血が続くことで貧血状態になり、食欲不振へつながるという流れです。
消化器官からの出血は便の色で判明することもあり、部位によって真っ赤な鮮血が便に混じっている時や、真っ黒な塊のような血便が排泄されることもあります。
なお、明らかな便秘などで排便自体が困難になることもあり、異常を感じたら医師へ相談するようにしてください。
当然ながら、癌の発生部位によっては下からでなく口から吐血したり、痰などに血液が混じったりすることもあるでしょう。
放射線治療や化学療法(抗がん剤治療)などの副作用として、吐き気や食欲の減退といった症状が現れることもあります。
副作用が辛いと感じた場合、治療のプランも含めて再検討する必要があります。
なお、放射線治療や化学療法の副作用による問題は、治療を中断すると回復することが多く、改めて食事を楽しめるようになることも特徴です。
例えば胃癌の治療として胃を摘出した場合、食べられる量が減ったり消化機能が低下したりして、体重減少へつながることも珍しくありません。
手術による食事への影響はQOLの維持にも直結するため、必ず治療前から術後のリハビリも含めて医師や看護師らと相談しておくことが肝心です。
なお、手術の内容によっては固形食が食べられず流動食による生活となったり、しばらくは点滴などが中心の生活になったりすることもあります。また、特定の栄養素などを薬やサプリメントで補給しなければならないこともあり、治療後の生活スタイルや食生活を具体的に想定しながら治療方針を話し合うようにしてください。
悪液質とは、体の脂肪や筋肉がそろって減退していく病態を指します。癌患者においてしばしば見られる状態であり、胃癌や膵癌などで起こりやすいことも特徴です。
結果として体重減少によって判明しやすい悪液質ですが、そもそもの仕組みは代謝異常や免疫系の異常などに由来するとされており、食欲不振や栄養不足が原因で引き起こされるものではありません。
そのため、悪液質となっている患者の場合、高カロリーな食事を継続しても体重の改善が見られないことがあり、メンタル面への大きなストレス要因にもなりえます。
参考元:MSDマニュアルプロフェッショナル版|がんにおける悪液質
体重減少の他にも癌の予兆や自覚症状は複数あります。
これらの症状があったからといって、自分は癌かもしれないと過度な不安を抱くことは禁物です。しかし気になる自覚症状がある場合、速やかに医師へ相談して癌検診を受けることが大切です。