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術後補助化学療法

がんを根治するためには、まずは手術でがんを完全に取りきることが原則です。ただ、目に見えるがんを完全に取りきったとしても、目に見えないような小さながん細胞が残っている可能性があります。そうした小さながん細胞は、いずれ再発の原因になってしまいます。

できるだけ再発を防ぐことを目的として、手術後に抗がん剤を投与する治療を「術後補助化学療法」といいます。この治療が推奨されるのは、再発の可能性が高いステージ後期の患者さんです。また、比較的ステージの早い患者さんでも、再発の可能性が高いと判断されれば術後補助化学療法を検討するのが現在の一般的な考え方となっています。

術後補助化学療法の内容

術後補助化学療法では、1種類の抗がん剤を単独で使用する場合と、複数の抗がん剤を使用する場合とがあります。それぞれ作用が異なる抗がん剤を組み合わせて使用すると、副作用が強くなるというリスクもありますが、高い治療効果を望めるのも事実です。

その内容はがんの種類やステージによって異なり、効果と副作用のバランスや患者さんの生活スタイル、社会背景などを考慮した上で、最適だと考えられる治療法を選択します。十分な再発予防の効果を目指すため、通常は3~6カ月の治療を要します。こちらはあくまでも一般的な考え方なので、詳しくは主治医にしっかり相談しましょう。

カテーテルとポートによる術後補助化学療法

術後補助化学療法に限ったことではありませんが、抗がん剤治療の中には長時間の点滴が必要になることが多くあります。そのような場合は、抗がん剤の薬液が封入された携帯用ポンプを利用することで自宅での点滴を続けることが可能です。

この携帯用ポンプを利用するためには、まず血管につながるカテーテルというチューブと、注射針を刺すポートという部分を胸または腕に埋め込む処置が必要です。このポートに携帯用ポンプを接続すると、抗がん剤の薬液が一定量ずつ注入されていくという仕組みです。

術後補助化学療法の適応

がんの再発が起こる確率は、一般的には最初にがんが見つかったときの進行の程度によって大きく異なります。早期にがんが見つかった場合は再発率が低く、がんが進行してから見つかって手術を受けた場合は再発率が高い傾向に。再発率が高いと判断される場合は、そのリスクをできる限り下げるために術後補助化学療法が推奨されます。

大腸がんを例に挙げてみましょう。国内外のデータによると、リンパ節転移が認められるステージⅢの患者さんは、再発率が約30%に上ります。したがって、術後補助化学療法を検討する余地が十分にあるわけです。一方で早期の大腸がんで術後補助化学療法を受け、再発しなかったとしても、もともと再発率は低かったので術後補助化学療法を受けなくても再発しなかったかもしれない、という考え方もできます。術後補助化学療法は、個人差はあれども多くの場合は副作用を伴います。そのデメリットを考慮すると、再発の可能性が低い場合はあまり術後補助化学療法をお勧めできません。

術後補助化学療法は手術でがんを取り切ったあとに実施するので、攻撃目標や効果が目に見えてわかるわけではありません。つまり、治療が必要かどうかを前もって正確に判断することはできないのです。主治医は今後の見通しなどさまざまな要素を検討し、術後補助化学療法が必要かどうかを判断しています。

特に初期のがんで手術を受けたあとに術後補助化学療法を希望される場合は、メリットとデメリットについて主治医の説明を詳しく聞いた上で判断したほうがいいでしょう。

   
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