子宮頸癌・子宮体癌からの転移、子宮癌への転移についてまとめました。
子宮癌は子宮頸癌と子宮体癌に分かれます。そのため、どちらを発症したかによって転移しやすい場所が変わるのです。
一般的に、子宮癌の検診で検査される癌は子宮頸癌の方ですが、次のように、子宮体癌は子宮頸癌よりも奥の方にできるため、遠隔転移や骨への可能性が高いとされているため、子宮癌検診を受けている方でも注意が必要です。
腟の一番奥にある子宮の入り口を「子宮頸部(しきゅうけいぶ)」といい、その部分にできるがんを「子宮頸(頚)がん」。そして、子宮頸部の奥にあり、妊娠した時に赤ちゃんが育つ場所を「子宮体部(しきゅうたいぶ)」と呼び、そこにできるがんを「子宮体がん」といいます。
子宮頸がんは、子宮の入り口(子宮頸部)に発生するがんで、周囲の組織に広がりやすい特徴があります。特に浸潤しやすいのは骨盤内の臓器や器官であり、膀胱、直腸、腹膜などが主な浸潤部位とされています。
子宮頸がんは病期が進行すると、骨盤内のリンパ節や隣接する臓器に広がりやすく、さらに遠隔転移として肺、肝臓、骨などに至ることもあります【※1】。
一方、子宮の内膜に発生する子宮体がんも、進行すると膀胱や直腸といった隣接臓器への浸潤が見られるほか、血行性あるいはリンパ行性により、肺、肝臓、骨、脳などへの遠隔転移を起こすことがあります。
2020年以降の臨床データでも、子宮体がんの遠隔転移は決して稀ではなく、特に高分化型以外の組織型では注意が必要です【※2】。
早期に発見された子宮がんは手術によって根治が可能ですが、診断が遅れると放射線療法や化学療法などの集学的治療が必要になるケースが多くなります。
子宮がんの進行に伴い、骨盤内臓器への浸潤が起こることがあります。特に子宮頸がんでは、膀胱や直腸への直接浸潤が比較的早期から見られることがあり、症状としては血尿や血便、不正出血などが挙げられます。
骨盤内には多くの神経やリンパ管が存在するため、がんの浸潤によって神経が圧迫されると、下半身のしびれやまひ、下肢の浮腫(むくみ)といった症状が現れることもあります。また、尿管が圧迫されることで腎臓に尿がたまり、水腎症を引き起こし、腹部の激しい痛みを伴うこともあります【※3】。
子宮体がんにおいても、骨盤内への浸潤により同様の症状が出ることがあります。いずれの場合も、早期の診断と適切な治療が重要です。
癌による圧迫によって症状が出るのも子宮頸癌の特徴です。神経を圧迫すると下半身がしびれて下半身まひを起こすきっかけに。尿管を圧迫すると、量が急激に増えた尿により腎臓に圧力が加わるため、腹部に激しい痛みが起きる「水腎症」を起こす可能性があります。
骨盤内への浸潤が確認された場合、治療方針はがんの広がり方や患者の全身状態によって異なります。根治を目指す場合には「骨盤除臓術(pelvic exenteration)」という大がかりな外科手術が選択されることがあります。
この手術では、子宮、卵巣、卵管に加え、必要に応じて膀胱や直腸も切除することがあります。長期的な生存が期待される一方で、生活の質(QOL)に与える影響や合併症のリスクも高いため、慎重な判断が求められます【※4】。
骨盤除臓術が適応とならない場合や、補助的治療としては、化学療法および放射線療法が行われます。化学療法ではプラチナ系薬剤(例:シスプラチン)を中心に使用し、がんの縮小を図ります。放射線療法は、骨盤内の限局した病巣に対して有効であり、腫瘍の大きさや位置に応じて外照射や組織内照射が選択されます。
近年では、これらを併用する「同時化学放射線療法(CCRT: Concurrent Chemoradiotherapy)」が子宮頸がんの局所進行例で標準治療とされており、治療成績の改善が報告されています【※5】。
子宮癌からの遠隔転移で多いのが肺です。肺に転移するということは血流に乗って流れてきた癌細胞が全身に及んでいる可能性が高いことを表しており、癌の進行がかなり進んでいる状態といえます。
肺に転移した場合の症状は風邪の症状にも似ているため、転移に気づきにくいです。転移による咳は癌が気管支や肺を長く刺激し続けるので、しつこく長く続くのが特徴です。それ以上になると血痰や気管支炎になり、胸に水が溜まることで起きる呼吸困難の症状へと進行していきます。
子宮癌が肺に転移した場合は、病巣の数や癌の大きさによって手術か抗癌剤治療のどちらかで治療を行います。子宮頸癌の場合は病巣が3つ以下で腫瘍の大きさが3センチ以下であれば手術を行います。それ以上や数が多い場合は抗癌剤治療を用いて改善を目指します。
子宮癌は骨に転移することがあり、骨に転移した癌は「転移性骨腫瘍」と呼びます。もっとも多いと言われているのが太もも部分の大腿骨(だいたいこつ)です。
転移してすぐは症状がほとんど出ませんが、腫瘍が大きくなると骨の組織を圧迫し、強い痛みが出たり、痛みが長く続いたりします。骨への転移は日常生活に大きく関わる障害になりやすいので、早めの治療が必要です。
子宮癌が骨に転移すると、転移した部分がもろくなってしまい、転移した部位には強い痛みを感じます。部位によっては別の症状を引き起こすこともあり、脊髄に転移した場合は脊髄まひを起こす可能性があります。
骨に転移した場合に有効的な治療法は放射線療法です。放射線療法は部位の痛みを緩和させ、骨折が起きるリスクを低くすることができます。
骨粗しょう症の治療によく使われる「ビスフォスフォネート製剤」による治療も、骨転移が見つかった際に用いられる治療法です。ビスフォスフォネート製剤には骨が破壊されるのを防ぐ効果があります。ほかにも痛みを緩和させるために、鎮痛剤のモルヒネを使った緩和治療や症状に応じた対症療法が用いられています。
子宮頸癌は、性交渉によりヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することが主な原因とされていますが、感染したすべての人が癌を発症するわけではありません。
子宮体癌は排卵の障害により女性ホルモンの一種であるエストロゲンの刺激が絶えず続き、子宮内膜が増えることで癌の発生につながります。ほかから転移して子宮癌になるということはほとんどないといっていいでしょう。
しかし、まれに別の癌から転移して子宮癌になることも確認されています。ある癌センターでは昭和59年から平成元年までの間に4例の転移性子宮癌があったことを報告(※1)しています。内訳は胃癌が2例、大腸癌の一種であるS状結腸癌が1例、卵巣癌が1例でした。
子宮癌の治療法は癌の進行具合によって異なります。初期の場合は切除や全摘出手術で癌を克服することが可能です。しかし癌が進行していくにつれて、放射線治療や抗癌剤治療などの体力の消耗を伴う治療へと変わっていきます。そうなる前に子宮癌の進行を食い止めなければなりません。
※1参照元:J-STAGE/転移性子宮癌の4症例 子宮外臓器原発の悪性細胞が子宮頸部および内膜細胞診に出現した症例の検討も加えて
子宮癌の転移は非常に厄介で、子宮癌の治療を行ったとしても、骨盤に転移していれば様々な臓器に転移する可能性があります。転移した癌の治療は原発癌よりも困難になる上、骨折や脊髄麻痺など、重篤な症状を引き起こすため、生活の質が著しく損なわれてしまいます。
もしも子宮癌が転移していたら、より良い治療法を知るためにも、セカンドオピニオンを受けるのがおすすめです。転移した癌でも適切な治療を受けることで、症状を和らげることができるだけでなく、今後の生活のしやすさは大きく向上するでしょう。
特に、子宮癌は生存率が高い癌であると言われているため、適切な治療を受けることで、これからもその方らしく生きていける可能性もあります。まずは、癌治療で評判の良い医院に相談してみましょう。
子宮癌は初期症状が出にくい病気です。定期的に診察を受けている人であれば初期の段階で治療が可能でしょう。しかし癌が進行してしまったときに発見して、実は転移してしまっていた、ということもありえるのです。
でもあきらめてはいけません。進行した癌や転移してしまった癌の治療を行う医師がいるのです。癌治療のスペシャリストを見つけて治療しましょう。日本には癌治療の実績が豊富な医師がたくさんいます。
子宮癌(子宮体癌)の治療法については、組織型によって異なるという特性上、類内膜癌G1など低悪性度タイプでは手術が主軸となる一方で、漿液性癌や明細胞癌といった高悪性度タイプでは、2021年以降、初回治療から補助的に放射線治療や化学療法が推奨される症例が増加しています。
基本的には全てのステージにおいて可能な限り手術による子宮及び付属器(卵巣・卵管)の摘出が第一候補となります。
その上で、ステージによって初回治療として選択される手術内容が変更されたり、またそもそも手術困難である場合には放射線治療や薬物療法などが行われたりと、個々の患者の状態に合わせた対応策を検討する流れが一般的です。
その他にも、妊孕性を温存するかどうかといった患者の要望やライフステージに合わせた検討材料も存在するため、まずはステージごとの治療の基本形を把握した上で、自分がどのような選択をしたいのか主治医としっかり話し合うことが大切です。
事前の診断でステージⅠ期として推定されており手術可能、さらに類内膜癌のグレード1もしくは2、そして筋層浸潤が2分の1未満の場合は、以下の治療のいずれかが初回治療の候補となります。
患者本人の希望がある場合、妊孕性温存治療も検討されます。
またステージⅠ期の手術可能な他の患者に対する一般的な初回治療候補は以下の通りです。
ステージⅠ期において手術が困難とされる場合、根治的放射線治療が第一候補となります。
※参照元:がん情報センター| 子宮体がん(子宮内膜がん) 治療
ステージⅡ期に関しても基本的に手術可能か不可能かを最初に診断し、手術可能であれば以下の治療が第一候補となります。
また、以下の治療法が検討されることもあるでしょう。
なお手術後に再発リスクが判定され、低リスクであれば経過観察、中リスクであれば薬物療法(細胞障害性抗がん薬)や放射線治療、そして高リスクであれば薬物療法(細胞障害性抗がん薬・内分泌療法薬)や放射線治療といった術後治療が行われるという流れです。
ステージⅡ期においてもⅠ期のケースと同様に、手術困難とされる患者については根治的放射線治療による初回治療が検討されます。
※参照元:がん情報センター| 子宮体がん(子宮内膜がん) 治療
ステージⅢ期の子宮癌については手術による子宮摘出術が第一候補となり、手術可能な場合には後腹膜リンパ節郭清と合わせて子宮全摘出術及び両側付属器摘出術が検討されます。
また、手術によって子宮を完全切除した後、改めて化学療法による術後治療が行われるでしょう。完全切除が行えなかった場合、症状緩和や局所制御を目的とした放射線治療が候補です。
手術困難な患者に対しては化学療法や放射線治療、支持療法といった選択肢が検討されます。
※参照元:がん情報センター| 子宮体がん(子宮内膜がん) 治療
ステージⅣ期の患者についても基本的にはステージⅢ期のケースと同様の考え方が為されます。ただし、ステージⅣ期では他の臓器へ癌が転移しているため、子宮癌の状態だけでなくその他の癌や全身の症状も踏まえて治療法が検討されることもポイントです。
子宮癌の中でも子宮体癌は腫瘍組織が子宮の奥深くに存在しており、手術前に正確な癌の進行度や状況を判断することが困難となります。そのため子宮体癌の治療はまず手術を検討し、可能であれば手術を行った上で、その際に得られた情報にもとづいて改めて子宮癌の進行期(ステージ)を判断して治療法を選択していくという流れになることがポイントです。
子宮体がんは子宮の奥に発生するため、手術の前に正確な進行期を判断することが難しいがんです。このため、子宮体がんの治療では、手術が可能な場合にはまず手術を行い、手術により得られた情報に基づいて、その後の治療法を決めていきます。
子宮体癌の進行具合を示す指標として「進行期」という段階型の分類が行われており、それぞれの癌の程度や性質などに応じて進行期が指定されます。なお進行期は「ステージ」や「病期」と呼ばれることもあります。子宮体癌の進行期には大きくⅠ期~Ⅳ期の4段階が存在し、さらに各ステージの中で細かな分類が行われることも重要です。
※参照元:がん情報サービス|子宮体がん(子宮内膜がん) 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/corpus_uteri/treatment.html)癌の進行期としてⅠ期(ステージⅠ)は最も初期の段階であり、Ⅰ期は前提として子宮体癌が子宮体部にとどまっている状態になります。なお、子宮体癌ではさらにⅠ期の中でも「Ⅰ期A」と「Ⅰ期B」という分類が定められています。
Ⅰ期AとⅠ期Bの違いは子宮筋層を占める癌組織の割合になっており、子宮体癌の割合が子宮筋層の半分未満であればⅠ期A、子宮筋層の半分以上が癌になっている場合はⅠ期Bとして区別されるといった判断基準です。
癌組織が子宮体部だけで収まらず、子宮頸部にまで広がっている場合、その癌はⅡ期として分類されます。ただし子宮体部と子宮頸部の範囲の中で収まっており、子宮の外まで癌が広がっていないこともポイントです。
子宮体癌におけるⅡ期は細かな分類がなく、子宮体部から子宮頸部に癌が進行していれば全てⅡ期として診断されます。
子宮の外に癌細胞が広がっているものの、小骨盤腔を越えて外にまで広がっていない状態はⅢ期にとして分類されます。また、子宮癌が骨盤リンパ節や傍大動脈リンパ節に転移している場合もⅢ期です。
子宮体癌のⅢ期は大きくA・B・Cに分類され、さらにⅢC期はC1とC2の2つに小分類されるため、合計で5つの区分が存在します。
小骨盤腔を越えて他の組織や臓器へ癌が広がっていたり、膀胱や腸の粘膜、また離れた他の臓器へ遠隔転移していたりする場合は「Ⅳ期」として分類されます。なお、膀胱や腸粘膜まで癌が広がっている場合は「ⅣA期」、遠隔転移がある場合は「ⅣB期」として区別されることもポイントです。
子宮体癌の進行の程度や腫瘍組織の状態は進行期によって区別されますが、さらに子宮体癌には複数の組織型があり、それぞれ性質が異なる点も見逃せません。
また癌の悪性度を示す指標として「グレード(G)」という区分も設定されており、悪性度によって再発リスクなどが検討されることも特徴です。
※参照元:がん情報サービス|子宮体がん(子宮内膜がん) 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/corpus_uteri/treatment.html)癌細胞は正常な細胞と比較して特徴的な形状や外観をしており、顕微鏡下の癌細胞の見え方によって「組織型」が分類されます。子宮体癌の組織型は大きく分けて「類内膜癌」・「漿液性癌」・「明細胞癌」といったものが存在しており、レアケースとして「癌肉腫」といった組織型も存在します。組織型によって予後が変わることが重要です。
癌といっても全ての癌が同じ性質を持っているのでなく、それぞれの患者によって癌の悪性度が異なっている点も注目しなければなりません。子宮体癌の悪性度は「グレード(G)によって分類評価され、悪性度が低い方から「グレード1(G1)、「グレード2(G2)」そして「グレード3(G3)」となります。
ただし漿液請願と明細胞癌はそもそも悪性度が高いため、グレードによる分類は通常行われません。
手術によって子宮体癌の状況をチェックし、また採取した細胞の生検などによって癌の分類と術後の再発リスクの検証が行われます。基本的にグレードが低いほど再発リスクが低く、グレードが高いほど予後も悪くなることがポイントです。
そのため、類内膜癌のG1もしくはG2、類内膜癌のG3、そして漿液性癌・明細胞癌という順番で予後の悪化が考えられ、それに合わせて術後再発リスクを「低中高」の3段階で判断し治療方針を決定します。
前提として、術前に詳細な癌の確定診断が難しい子宮体癌では、手術が可能な場合は手術を実施します。そして手術によって改めて癌の状態を医師が診断し、また手術時に採取した細胞を病理医が顕微鏡下で観察して組織型などを分類するという流れが一般的です。
そのため基本的には、手術可能な患者ではまず子宮と、子宮の両側にある付属器(卵巣・卵管)の切除が行われます。その後さらに子宮癌の進行期や悪性度、術後再発リスク分類を診断した上で、患者本人の希望や体の状態、生活環境などを総合的に考慮して治療プランが検討されるというフローになります。
子宮体癌では術前に画像診断などを実施して、可能な限り癌組織の形状や大きさ、状態などを診察しますが、それでも全ての情報を術前に得ることは困難です。また術前の画像診断の結果と実際に患部を観察した時の状況が合致しないこともあり、基本的には子宮体癌治療における第一選択肢として手術が選択されています。
なお、どうしても患者の状態や年齢などから手術に耐えられないと診断される場合などにおいては、手術でなく根治的放射線治療が検討されるケースもあります。
※参照元:がん情報サービス|子宮体がん(子宮内膜がん) 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/corpus_uteri/treatment.html)子宮体癌治療として実施される手術は一般的に開腹手術が行われますが、早期の子宮癌などの場合に腹腔鏡手術やロボット支援下手術などが行われることもあるでしょう。
ただし、2018年に発表された国際多施設共同研究(NEJM誌掲載)では、早期子宮頸癌に対する低侵襲手術は、開腹手術に比べて再発率・死亡率が高いという結果が報告され、2020年以降はリスクに応じた術式の慎重な選択が求められるようになっています。
また手術の方法としても子宮と付属器だけを切除する方法や、さらに広範囲の組織をまとめて切除する方法など癌の状態に応じていくつかの選択肢から適切なものが採用されます。
子宮体癌の手術として最も狭い範囲の切除を行う術式です。切除対象となる範囲は子宮と、その両側にある卵巣や卵管といった付属器です。また場合によっては膣壁の一部もまとめて切除することがあります。
単純子宮全摘出術を行うケースは、まず術前診断で膣など子宮周辺に癌が認められておらず、子宮体部に癌がとどまっている「ステージⅠ」として推定される必要があります。
なお類内膜癌のG1もしくはG2で、さらに子宮筋層の2分の1未満(ステージⅠA期)と推定される場合はリンパ節郭清が行われないこともあるでしょう。単純子宮全摘出術では術後の妊娠が不可能となりますが、膣などは温存するため性交渉は可能です。
子宮や付属器に加えて、子宮を支えている「基靱帯」という組織と膣壁の一部を切除する手術です。単純子宮全摘出術よりも広い範囲を摘出しますが、膀胱にある神経の大部分は温存できるため、術後の排尿トラブルなどを避けやすいことがメリットになります。
なお単純子宮全摘出術と同様に子宮や卵巣などを摘出するため妊娠ができなくなりますが、術後の性交渉は可能です。
広汎子宮全摘出術は文字通り広い範囲の切除術であり、準広汎子宮全摘出術における手術範囲に加えて、膣や子宮の周辺組織も含めた広範囲を切除・摘出します。また骨盤内にあるリンパ節もまとめてリンパ節郭清によって切除します。なお、広汎子宮全摘出術では腹部傍大動脈リンパ節郭清を併用することもあります。
広汎子宮全摘出術は広範囲を全て摘出するため、術後の再発リスクを軽減しやすいことがメリットです。反面、リンパ節郭清や神経切除の影響でリンパ浮腫や排尿トラブルといった副作用が生じやすくなります。術後の性交渉に関しては、膣のサイズが短くなるものの、行為自体は可能です。
まず子宮体癌の手術は原則として開腹手術になるため、術後は傷跡が完治するまで痛みを感じたり、下腹部に上手く力を入れられなくなって動作や移動に困難が生じたりすることもあります。加えて、手術の切除範囲によって足や下腹部にリンパ浮腫が生じやすくなったり、排尿トラブルや便秘、腸閉塞といった症状が起きたりするケースもあるでしょう。
その他にも、閉経前に卵巣を切除した患者は女性ホルモンの分泌に影響が生じて、更年期障害で見られるような体のほてりや発汗といった症状(卵巣欠落症状)が起こる場合もあります。
なお腹腔鏡手術やロボット支援下手術では傷の大きさによる合併症リスクは低減できるものの、そもそも合併症の症状や期間は個人差もあるため、どのような手術を選択した場合でも必ず医師の指示に従ってください。
子宮体癌の患者で、加齢や肉体的な状態によって手術が困難だと判断されるような場合、手術を選択せず、高エネルギーのX線やγ線を照射して癌細胞を攻撃する根治的放射線照射を実施することもあります。
また手術を行った上で、再発リスクや転移リスクがあると考えられる場合、術後の再発防止を目的として術後放射線治療が行われることもあります。その他にも、標準治療による癌の根治が困難だと思われる場合、癌による苦痛を軽減してQOLを向上させるための緩和的放射線治療が行われることもあるでしょう。
放射線治療には一般的に実施されている放射線照射の他にも、高精度放射線照射装置を使用した高精度放射線治療といった治療法が存在しており、どのような治療を受けられるかは放射線治療を実施している医療機関の設備や患者の状態など複数の条件を踏まえて検討されます。
放射線治療では強力なエネルギーを患者の体へ照射して癌組織を攻撃したり、体の中にある微少な癌細胞を攻撃したりするため、同時に健康な臓器や組織にもダメージを与えてしまうことがあります。そのため放射線治療では様々な副作用が考えられ、特に子宮体癌の放射線治療では下腹部に放射線を照射することで大腸や膀胱などにダメージを与えてしまうため、直腸炎や膀胱炎、下痢、腸閉塞といった副作用に注意しなければなりません。
なお、放射線治療の副作用の程度によっては治療計画が見直されることもあるため、異常や不調を感じたら速やかに医師へ相談してください。
薬物療法は抗がん剤などの医薬品を使用した治療法であり、子宮体癌の治療としては、手術が困難な場合や手術で癌を取りきれなかった場合、また再発癌や転移癌といったケースにおいて薬物療法が選択されます。
子宮体がんでは、手術後に、再発のリスクを減らすことを目的として点滴や飲み薬による薬物療法を行うことがあります。また、がんが手術で切除できない場合や、切除しきれない場合、がんが再発した場合にも薬物療法を行います。
薬物療法に試用される医薬品には抗がん剤を含めて複数の種類があり、子宮体癌の薬物療法では症状や患者に合わせて試用する医薬品が検討されます。
細胞障害性抗がん薬とは、癌細胞が増殖していく仕組みを阻害して、癌の拡大を抑えたり縮小を目指したりするための抗がん剤です。ただし細胞障害性抗がん薬で増殖を阻害されるのは癌細胞だけでなく、全身のその他の細胞も影響を受けるため、色々な症状が引き起こされてしまうリスクもあります。
細胞障害性抗がん薬の治療としては、アントラサイクリン系またはタキサン系の医薬品と、白金製剤と呼ばれる医薬品を組み合わせた併用療法が一般的です。
副作用の状況などにより、細胞障害性抗がん薬を複数使った併用療法が実施できなかったり、実施しても十分な効果が認められなかったりした場合に、内分泌療法薬として黄体ホルモン薬を使った治療が行われることもあります。
分子標的薬は特定のタンパク質分子などをターゲットとして作用する薬であり、免疫チェックポイント阻害薬は癌細胞が持っている「体の免疫システムを回避する能力」を阻害して、体の免疫システムが癌細胞を攻撃しやすくするための薬です。
再発癌のケースにおいて、すでに白金製剤の治療歴がある患者に対しては、分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬の併用療法が選択されます。
ただし検査結果によって免疫チェックポイント阻害薬の治療効果が十分に期待できる場合、免疫チェックポイント阻害薬を単独で使用した薬物療法が選択されることもあるでしょう。
上述したように、細胞障害性抗がん薬は全身の細胞を攻撃対象に選択してしまうため、患者や薬の種類によって様々な副作用が症状として引き起こされる恐れがあります。
薬物療法の副作用としては嘔吐や脱毛、味覚障害、運動障害、四肢のしびれ、出血、また白血球の減少による免疫力の低下(骨髄抑制)などが考えられ、副作用の症状があまりにも強くて耐えがたい場合は薬物療法の治療計画も再考しなければなりません。
また内分泌療法薬の副作用として、血液の塊が生じやすくなり、血栓リスクが高まるといったものがあります。
なお分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬についても薬の種類によって副作用の生じやすさが検証されていますが、実際には患者の体質や薬の種類、投与量などに応じて症状は色々と変わります。
免疫療法とは、文字通り患者の体がもともと備えている免疫システムを利用して癌細胞を攻撃し、治療を行う方法です。上述した薬物療法における免疫チェックポイント阻害薬を使った治療法が、まさに免疫療法となります。
免疫療法は世界中で色々な治療法が研究されていますが、2023年12月時点では、子宮体癌の治療として保険適用またはガイドラインで推奨されている免疫療法は、再発癌を対象とした免疫チェックポイント阻害薬の使用に限られます。他の免疫療法については臨床研究段階です。
免疫療法は、免疫の力を利用してがんを攻撃する治療法です。2023年12月現在、子宮体がんの治療に効果があると証明されている方法は、再発がんに対する免疫チェックポイント阻害薬を使用する薬物療法のみです。その他の免疫療法で、子宮体がんに対して効果が証明されたものはありません。
そもそも人体の免疫システムは異常な細胞や異物を発見し、除去して体内の状態を健全に保とうとする機構です。しかし癌細胞には免疫細胞を騙して発見されないようにする機構が備わっており、これによって免疫システムを回避しています。免疫チェックポイント阻害薬は、この癌細胞の機構を阻害することで、免疫細胞が適切に癌細胞を発見・攻撃しやすい環境を構築します。
免疫システムが活性化されすぎて、癌細胞だけでなく体内の健常な細胞を攻撃してしまう場合があり、薬物療法における副作用の1種として注意しなければなりません。
スクリーニングは潜在的なリスクや病気を発見するための方法であり、様々な検査や診断によって子宮癌の発生や転移・再発などをチェックするものです。
子宮癌ではきちんとリスク管理をして予防するだけでなく、定期的なスクリーニングで早期発見に努めることも大切です。
子宮癌の発生リスクにはHPVの感染が関与していると考えられているからこそ、まずは適切なHPVワクチンを接種することが予防対策として推奨されています。ただし、HPVには色々な型が存在しており、ワクチン接種だけで全てのリスクを回避できるとは限らないため、生活習慣などの改善による癌予防へ取り組むことも大切です。
HPVワクチンは、HPVへの感染を予防するためのワクチンであり、子宮癌の発生に関与しているとされる一部のHPVへの感染を防ぐ効果があると期待されています。そのためHPVワクチン接種は子宮癌の予防に対して直接的な効果を有する方法の1つであり、適切なHPVワクチンの接種を行うことで将来的な子宮癌リスクを低減させられることがポイントです。
ただし、HPVワクチンはそもそもHPVへ感染する前に接種することが望ましく、その時期を検討する際にはHPVが性交渉などで感染しやすいことを考えなければなりません。
つまりHPVワクチンは原則として、初めて性交渉を行う時よりも前の時点で接種しておくことが望ましいということです。
厚生労働省も若年女性へのHPVワクチンの接種を推奨しており、専門家の評価も受けた上で、令和4年4月からワクチン接種の対象年齢として「小学校6年生から高校1年生の女子」をアナウンスしています。
また対象年齢の時期にHPVワクチンを受けられなかった女性に対するキャッチアップ接種も勧められており、一定条件を満たすことで公費によるワクチン接種が可能になります。
HPVワクチンは初めての性交渉前に接種することが望ましいと考えられています。厚生労働省では、安全性や効果などについての専門家の評価を受け、令和4年4月から、他の定期接種と同様に、HPVワクチンの接種対象年齢(小学校6年生から高校1年生の女子)の人への勧奨(接種のお知らせの個別送付)を再開しています。また、対象年齢の時期が積極的な勧奨を差し控えていた期間と重なったために接種機会を逃した女性へのキャッチアップ接種も行われています。
引用元:がん情報サービス|子宮頸がん 予防・検診
https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/prevention_screening.html
ワクチン接種後に何かしらの症状を自覚した場合、接種した病院や医師へ相談して、協力医療機関の受診を検討することも必要です。
万が一、HPVワクチンを接種した後に気になる症状があらわれたときには、接種を行った医師またはかかりつけの医師に相談の上、協力医療機関の受診を検討してください。全国に設置された協力医療機関では、接種後に生じた症状の診療を行っています。
引用元:がん情報サービス|子宮頸がん 予防・検診
https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/prevention_screening.html
ワクチン接種だけで完全に子宮癌を予防できるわけでなく、女性の体で発症し得る癌には他にも色々な種類があり、他の臓器で発生した癌が子宮へ転移する可能性もあります。
癌の予防については生活習慣の改善も大切とされており、以下のような生活習慣は見直して健康的なライフスタイルを意識することが望ましいでしょう。
生活習慣と癌リスクの関係性については世界中の様々な機関や専門家によって研究が続けられていますが、特に日本人を対象とした研究によって、女性の子宮頸癌と喫煙の間に関連性があるという報告がされています。
また、たばこを吸う人は、吸わない人と比べて発癌リスクが約1.5倍高くなることが知られています。喫煙習慣を見直してたばこの本数を減らしたり、禁煙したりすることは重要な予防策といえるでしょう。
もし自分だけで禁煙を続けられない場合、禁煙外来を受診して、医師から適切な禁煙プログラムを提示してもらった上で禁煙補助薬なども併用しながら禁煙に取り組むことも大切です。その他、喫煙については自分が吸う場合だけでなく周りからの受動喫煙にも注意してください。
女性の癌原因として喫煙と同様に飲酒も重要な課題となっており、例えば閉経前の乳癌は飲酒習慣と関連性があることも分かっています。
飲酒に関しては、可能であればお酒を一滴も飲まないことが癌予防の観点ではベストです。また、飲酒量に比例して癌リスクは増大するため、少しでも飲酒量を減らすことで癌のリスクを軽減させられる点も見逃せません。
日本人の癌と飲酒の研究に関しては、男性を対象とした研究によって、アルコール摂取量(純エタノール換算)が1日あたり平均23g未満の人に対して、46g以上の人で癌リスクが40%程度、69g以上になれば60%程度も増加するとされています。
日本人女性については男性の研究例ほど明確化されていないものの、女性の方が男性より飲酒による影響を受けやすいという報告もあり、いずれにしても節酒や断酒を心がけることが肝要です。
日常的に適度な運動を行っている人は、運動しない人よりも癌のリスクが下がるとされています。乳癌リスクも同様に身体活動を続けることで、軽減できるとされています。女性だけでなく男性も含めて、適度な身体活動量を生活習慣に組み込んで、普段から意識して体を動かすようにすることが大切なのです。運動にはその他の病気のリスク低下といったよい影響を与えてくれるでしょう。
どの程度の運動量・身体活動量が必要かと考えた場合、目安として厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2013」が参考になります。
同資料では性別でなく年齢によって目安とする推奨運動量がアナウンスされており、およそ以下の内容を参考にしてください。
食生活の内容や普段の食事の仕方も、日常的な癌予防を考える上で重要です。
まず塩分量の多い食事は胃癌や高血圧症、循環器疾患などのリスクが増大するとされており、女性であれば食塩摂取量を1日あたり「6.5g未満」に抑えるように心がけましょう。
一方、野菜や果物は積極的に摂取することが推奨されており、栄養バランスを考えて日々の献立を決めるのがポイントです。ただし野菜や果物は普段からよく食べるものの、ダイエットなどで肉類や穀類といった食べ物を避けるという人については、あくまでも全体のバランスを考えることを重視して食生活を改善し、また必要に応じて栄養補助食品などを利用することも有効です。
その他、口の中を火傷するような温度の食べ物や飲み物は、冷ましてから口へ入れることも大切です。
子宮癌の患者の体験談や口コミを見ると、生理不順や不正出血が続いたため医療機関を受診した際に、癌が発見されたというケースが少なくないと分かります。
人の体は太り過ぎも痩せ過ぎも健康にとって悪影響であり、例えば過度なダイエットで極端に体重が減少することで生理不順などが日常的になった場合、いざ子宮癌の症状が発生した際にもすぐに気づけない可能性が高くなってしまいます。反面、肥満も閉経後の乳癌リスクを高めると報告されており、あくまでも健康的な体重を維持することが肝要です。
医学的には日本人女性の適正体重の指標として「BMI値:21~25」が掲げられており、自身の体重(kg)を、身長(m)を2乗した数字で割った際に、その結果が「21~25」へ収まるような体重管理を心がけてください。
スクリーニングとは、すでに発見されている癌の状態をチェックする検査でなく、未発見の癌や潜在的なリスクを早期発見するために行われる検査です。
HPVワクチンの接種など様々な予防へ取り組んでいたとしても、癌の発生リスクを完全にゼロへすることはできません。そのため、適切な予防へ取り組みながら、定期的な癌検診などで子宮癌のスクリーニングを行い、特に再発や転移について早期発見できるよう心がけが大切です。
子宮癌のスクリーニングとしては、例えばHPVへの感染の有無をチェックする「HPV検査」の他にも「パパニコロウ試験」や「経膣的超音波検査」、「子宮内膜組織採取」など色々な方法が考えられます。
子宮癌の発生リスクにHPVへの感染が影響していることは上述した通りです。そのため、HPVへの感染の有無を検査することは、子宮癌のスクリーニングとして効果的です。
ただしHPVには沢山の型があり、その全てが子宮癌の発生に関与しているとは限りません。そのため子宮癌のスクリーニングでHPV検査を行う場合、単にHPVの感染の有無を調べるだけでなく、ハイリスク群として考えられている型に感染しているかどうかを判断することが大切です。
なおHPVに感染していない場合、HPVワクチンを接種することで子宮癌の予防へつなげられる可能性もあるでしょう。
パパニコロウ試験は子宮頸部や膣の細胞を採取し、それを顕微鏡で観察して異常の有無をチェックするスクリーニング検査です。
パパニコロウ試験の流れは、まず脱脂綿や木べら、ブラシなどで対象部位を優しくこすって細胞を採取し、それを改めて顕微鏡下で観察することで癌特有の細胞異常の有無を観察するという流れです。
なおパパニコロウ試験ではサンプルの作成や均一な染色に技術を要するため、現代の子宮癌のスクリーニング検査としてはまず他の方法が選択されます。
パパニコロウ試験とは、子宮頸部と膣の表面から細胞を採取する検査法です。まず脱脂綿、ブラシ、木べらなどで子宮頸部と膣の細胞を優しくこすり取ります。そして採取された細胞を顕微鏡で観察して、異常がないかを調べます。この検査法はパパニコロウ塗抹検査とも呼ばれます。
パパニコロウ試験は現在、子宮内膜がんのスクリーニング検査としては実施されていませんが、パパニコロウ試験の結果から子宮内膜(子宮の内側を覆う組織)の異常の徴候が見て取れる場合があるのは事実です。その後の経過観察の検査で子宮内膜がんが発見される場合もあります。引用元:がん情報サイト|子宮内膜がん(子宮体がん)のスクリーニング(PDQR)
https://cancerinfo.tri-kobe.org/summary/detail_view?lang=ja&pdqID=CDR0000258010
超音波検査は「エコー検査」とも呼ばれ、一般的には体の外側から超音波を照射して体内で反響させ、返ってきた超音波を画像化することで体内の状態をチェックする検査です。
一方、経膣的超音波検査は専用の器具を女性の膣へ挿入して、膣の中から超音波を発生させて患部により近い場所で超音波検査を行う方法です。
経膣的超音波検査は腹部などからアプローチする超音波検査よりも、より子宮へ近い場所で超音波検査を行えるため、検査精度を高めて子宮の状態の異常を発見しやすくなるといったメリットがあります。ただし器具を膣へ挿入するという行為が必要になるため、人によっては痛みを感じたり検査が行えなかったりといったケースもあるでしょう。
経膣的超音波検査。コンピュータに接続された超音波プローブを膣内に挿入し穏やかに動かすことで、様々な臓器が表示されます。プローブから出た音波は体内の臓器や組織で反射してエコーを生じ、そのエコーからソノグラム(コンピュータ画像)が作成されます。
引用元:がん情報サイト|子宮内膜がん(子宮体がん)のスクリーニング(PDQR)
https://cancerinfo.tri-kobe.org/summary/detail_view?lang=ja&pdqID=CDR0000258010
子宮内膜組織採取はパパニコロウ試験と似ているスクリーニング検査であり、女性の子宮内膜から組織片を採取して、それを病理医が顕微鏡で観察して細胞の異常をチェックする方法です。
子宮内膜組織採取は組織生検とも呼ばれる検査であり、細いチューブなどの医療器具を子宮頸部から子宮の中へと挿入。子宮内膜の組織を採取するという過程が必要になります。
子宮内膜組織採取(生検)は子宮癌の確定診断にも用いられる検査であり、適切に行われることで再発癌や転移癌の早期発見につなげられることがポイントです。
上記のスクリーニング検査の他にも、MRIなどの画像診断によって子宮の状態や子宮癌の有無などを調べることがあります。なお画像診断にはレントゲンやCTといった方法もありますが、それらは放射線による被曝リスクがあり、妊娠を計画している人や妊娠中の女性には行うことができません。一方、MRIは磁気の作用によって体内の様子を視覚化する画像診断であり、放射線による被曝リスクを回避できることが強みです。
スクリーニングは癌の早期発見や確定診断にとって必要な検査ですが、一方でスクリーニングを受けることで生じるリスクも無視できません。
スクリーニングのリスクには偽陰性や偽陽性といった結果の誤認だけでなく、細胞採取による出血や感染症、薬品に対するアレルギーといったリスクがあることも把握しておきましょう。
偽陰性とは、本来であれば「陽性」と診断されなければならない患者が、陰性として誤って診断されてしまう状態です。
偽陰性となった場合、癌が体内に存在しているにもかかわらず「癌がない」という結果が出てしまうため、次の検査や治療が遅れてしまう可能性が高まります。
偽陰性のリスクはあらゆる検査において存在するため、1つの検査だけを行うのでなく複数のスクリーニング検査によって多角的なチェックを試みることが大切です。
偽陽性は、本来であれば「陰性」と診断されるべき人が、「陽性」と診断されてしまった状態です。
偽陽性は体内に癌細胞が存在していないのに癌があると診断されるため、直接的に癌の心配がないともいえます。しかし偽陽性によって癌治療や確定診断が必要だと診断されれば、不要な検査や医療行為を受けなければならなくなり、それによるリスクが増えてしまうでしょう。
偽陰性に対するリスクマネジメントと同様に、偽陽性についても多角的な検査によるアプローチが大切です。
スクリーニング検査によって癌を発見できたとして、その時点ではすでに治療が困難な状態になっているケースも少なくありません。そのような場合、自分が治療困難な癌であると患者が知ることで、強いショックを受けることもあります。
スクリーニング検査によって癌を発見し、標準治療による根治を目指せない場合、緩和ケアによる対処を検討したりQOLの向上を目指したりと、色々なアプローチを考えていくことが大切です。
スクリーニング検査には患者の体の一部を切除して検査したり、画像診断のために医薬品を使用したりと、何かしらの医療行為を補助的に行うことが一般的です。
例えば膣や子宮内膜の組織片を採取した場合、その方法によっては体を傷つけて出血したり感染症を引き起こしたりというリスクが考えられます。またCTなどの画像診断では放射線被曝のリスクがあり、MRIでも造影剤によるアレルギーリスクがあります。
その他にも、経膣的超音波検査で器具を膣へ挿入する際、患者によっては不安感やストレスを感じる恐れもあるでしょう。
子宮癌の初期症状として、例えば「出血」は重要なセルフチェックのポイントです。具体的には、出血に関連する以下のような自覚症状がある場合、速やかに産婦人科を受診して適切な検査を受けるようにしてください。
特に日常的な不正出血は子宮癌の初期症状に該当する恐れがある反面、ホルモンバランスの乱れなどで適切な月経タイミングを維持できていない場合、それが通常の出血なのか不正出血なのか判断しにくくなります。そのため、健康的な生活習慣の維持も欠かせません。
上記の他にも貧血や倦怠感・疲労感、吐き気、腹痛などの自覚症状が続くような場合はやはり速やかに産婦人科医へ相談して必要な検査を受けることが大切です。
身体症状の他に、以下のような項目に該当する人も癌検診などを受けることが推奨されています。
医療の発達によって、癌の発生や悪化に様々な遺伝子が深く関与していることが分かっており、子宮癌など婦人系の癌についても特定の遺伝子の変異の有無を調べることで癌治療に必要な情報を取得することが可能となっています。
また、遺伝子検査によって得られた情報にもとづき治療をプランニングすることを「個別化治療」と呼び、どのような抗がん剤や治療法を選択すべきか患者自身の遺伝子情報を土台として検討されていることもポイントです。
遺伝子検査とは、文字通り患者の細胞(細胞核)に存在している遺伝子をゲノム解析し、癌の発生に関連した特定の遺伝子の状態や変異型について調べる技術です。現在、一部の癌に対して関連する遺伝子や変異型が同定されており、それらについてあらかじめ調べておくことで患者の体質を正確に把握し、適切な治療内容を計画できるようになります。
なお、遺伝子検査では単一もしくは少数の遺伝子について解析する遺伝子検査と、複数の遺伝子をまとめて解析する「遺伝子パネル検査」があります。
遺伝子検査は医師が治療に必要だと認めた場合、保険診療で受けることが可能であり、例えば子宮頸癌で使用する細胞障害性抗がん薬「イリノテカン」の使用の可否を検討するために遺伝子検査が用いられることも特徴です。
すでに一部の癌について原因遺伝子が特定されており、患者の癌の確定診断に遺伝子検査が用いられることもあります。
癌の診断に遺伝子検査を活用する場合、生検や手術によって採取した患者の組織の細胞を使って遺伝子検査を行いますが、保険診療として受けられる遺伝子検査は日本全国の病院で一般的に受けられることも肝要です。
例えば、一口に乳癌といっても実際には遺伝子の変異型によって複数の種類が存在しており、それぞれに適切な治療薬が異なっているケースもあります。そのため、治療薬の選定や有効性の想定などに遺伝子検査が利用されることは珍しくありません。
具体例としては血液検査によってBRCA1遺伝子やBRCA2遺伝子といった遺伝子について調べたり、採取した癌組織の細胞を使ってHER2遺伝子やBRAF遺伝子、EGFR遺伝子といった遺伝子について調べたりします。
そしてそれぞれの遺伝子変異のパターンを前提として、有効性を期待できる治療薬を選定するという流れです。
前述したように子宮頸癌で使用される細胞障害性抗がん薬の1つに「イリノテカン」がありますが、これは体質的に合わない患者に対して重篤な副作用を引き起こすリスクがあります。そのため、イリノテカンを使用する際にはまず遺伝子検査を実施して患者の体質をチェックし、副作用が出やすいか否かを判断するといった事前の取り組みが重要となります。
参照元:がん情報サービス|がん医療における遺伝子検査 もっと詳しく
日本全国の病院やクリニックで様々な癌の遺伝子検査が実施されていますが、保険診療で認められている遺伝子検査は、あくまでも医学的根拠にもとづいて医師が必要だと認めたものに限られる点に注意してください。
また、インターネットなどで紹介されている遺伝子検査には医学的根拠が認められていないものもあり、全ての遺伝子検査が常に個別化治療の品質を担保するとも限りません。
遺伝子検査については、がんゲノム中核拠点病院やがんゲノム医療拠点病院、がんゲノム医療連携病院といった医療機関や、臨床遺伝専門医や遺伝性腫瘍専門医といった専門家に相談することが推奨されています。
子宮癌の治療を行った場合、その治療法や術後の状態によっては色々な合併症が発生して、日常生活に不便が引き起こされるといったケースも考えられます。そのため子宮癌の患者のケアや療養生活については、単に肉体的な安全を守るというだけでなく、そもそもQOL(生活の質)に配慮したケアプランを実践することが大切です。
子宮の摘出手術など外科治療を受ける場合、患者の状態によっては開腹手術が選択されることもあるでしょう。しかしその場合、術後の癒着によって腸の状態が変化し、腸閉塞が起こりやすくなるリスクがあります。
腸閉塞は激しい腹痛を引き起こすだけでなく、症状の程度によっては命の危険も生じさせるため、栄養バランスの維持を前提に適切な食事量を考えたり、消化しにくい食べ物はなるべく避けたりといった工夫が大切です。
また外科治療を受けていなくても化学療法(抗がん剤治療)の影響で腸の働きが鈍化し、腸閉塞のリスクが強まることもあります。そのため、医師から腸閉塞のリスクを指摘されているような場合、やはり開腹手術の時と同様に食べ方や食事のメニューへ配慮しなければなりません。
広範囲で子宮を摘出したような場合、排尿に関係する神経も含めて手術で切除してしまうため、術後は排尿障害のリスクが高まってしまいます。
排尿のトラブルには尿意を自覚しにくくなったり、トイレに行っても尿が出にくくなったり、または出し切れなかった尿が後から漏れるといったケースも考えられます。
一般的に排尿のトラブルは術後から一定期間を経ることで改善していきますが、一方で完全に術前の状態へ戻すことも困難なため、日常生活で排尿の仕方やタイミングを工夫することが大切です。
個人差がありますが、多くは手術後数週間から数カ月である程度は改善します。しかし、手術前とまったく同じ状態に回復することは難しいので、尿をためすぎない、強くおなかを押して無理やり出さない、一定の間隔で排尿する、など日常生活での注意が必要です。
引用元:がん情報サービス|子宮頸がん 療養
https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/follow_up.html
排尿障害と同様に、便秘が起こりやすくなることも見逃せません。
便秘は排尿障害よりも発生頻度が少なく、回復までの期間も比較的短いとされているものの、どうしても気になる場合は食事量の調整や下剤の使用などを検討します。
なお腸閉塞のリスクについても合わせて意識しておきましょう。
子宮摘出の際にリンパ節も切除している場合、術後にリンパ液の流れが悪化して下半身や下腹部でむくみが生じやすくなります。
現在の医療技術において、リンパ節を切除した後に発生するリンパ浮腫を完全に回避して確実に予防する方法は見つかっておらず、体重管理やセルフマッサージ、スキンケアといった日常的な対策を継続的に行っていくことが推奨されています。
リンパ浮腫が気になる場合、医師や看護師に相談して適切な対処方法を教えてもらうようにしましょう。
子宮癌の治療の一部として卵巣の切除を受けたり、放射線治療の影響で卵巣の機能が低下したりした場合、女性ホルモンの分泌量が減少して更年期障害のような症状が発生することもあります。
卵巣欠落症状の症状は人によって様々なため、気になることがあれば速やかに担当医へ相談して適切なホルモン療法などを受けなければなりません。
症状の強さや発症する期間は人によって異なりますが、特に年齢が若いと症状が強くなる傾向があります。症状を軽くするためには、血行を良くしたり、精神的にリラックスしたりすることも大切です。つらいときは我慢しないで担当医に伝えましょう。必要に応じて症状を和らげるため、ホルモン療法薬や漢方薬などが処方されます。
引用元:がん情報サービス|子宮頸がん 療養
https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/follow_up.html
癌の治療を続けていく中で、どうしても疲労感や倦怠感といった症状から運動不足に陥りやすくなることもあるでしょう。しかし適度な運動は肉体面だけでなく精神面でも好影響を及ぼすことが知られており、癌リスクの軽減に関しても運動習慣を取り入れることが大切だと認められています。
担当医に相談しながら自分のペースや体の状態に合わせて適切な運動習慣を継続していくことは、癌治療や癌予防の観点だけでなく日々のQOLを向上させる上でも有効です。しかし、無理な運動で体を痛めたり、運動すること自体がストレスになってしまったりすれば本末転倒ですので、注意しましょう。
癌の中でも子宮癌や卵巣癌といった女性の生殖器に関連した癌に関しては、手術による子宮や膣の切除が行われたり、治療によって性機能に関係する神経や組織が損傷したりといった可能性があります。
加えて、閉経前の女性が卵巣などを摘出した場合、女性ホルモンの分泌量が低下して膣の潤いが減少し、性行為の際に痛みを感じやすくなる可能性もあるあでしょう。また放射線治療や化学療法の副作用として膣の変形や炎症が生じたり、腟分泌物が減少して性行為自体が困難になったりすることもあります。
性生活の充実はQOLを考えるためにも重要であり、まずは自身の体の状態を理解した上で、大切なパートナーとも相談し互いの想いや事実を共有することが大切です。
膣の潤い低下に対して専用ジェルを利用したり、性行為の内容や触れ合い方を見直したりと、自分たちなりの性生活を考えていく取り組みも欠かせません。
なお手術後の性行為は施術した部位からの出血や感染症といったリスクが高まるため、術後どの程度の時期に性生活を再開するかは必ず担当医に相談して計画してください。
その他、特に抗がん剤などを使用中は腟分泌物に薬剤の成分が含有していることもあるため、その影響を避けるためにパートナーには必ずコンドームを装着してもらいましょう。
癌による辛さだけでなく、癌治療の副作用による気分の落ち込みやストレス、また子宮癌や卵巣癌といった生殖器に関連した癌では特に女性ホルモンの減少による精神的な不安定化など、患者は感情や心理的な面でも様々な影響を受けやすくなります。
そのため、ネガティブな感情を抱いたとしてもそれはある意味で自然な反応であり、適切な治療を進める上でも悩みや苦しみを一人で抱えるのでなく、担当医や看護師、あるいは家族やパートナーなど身近な人へ相談して一緒に向き合ってもらうことが肝要です。
不安感の原因によっては医学的な対処で改善できる場合もあり、少しでも前向きな気持ちになれるよう心のケアも大切にしましょう。
癌治療や癌予防を続けていく中で、どうしても治療費や入院費などお金の問題は大きな不安材料です。
癌治療では手術や化学療法の内容によって一度の治療で高額な費用がかかることもある上、入院によって仕事を休んだり辞めたりといった事情もあるでしょう。また、退院後の通院外来などにも継続的に費用が発生するといったように、経済的な心配はあらゆる癌の患者や家族にとって共通の悩みといえます。
高額療養費制度は、各月の初日から末日にかけて発生した医療費に関して、あらかじめ設定されている上限額を超過した分が後から払い戻される制度です。
また現在は事前に超過分が発生すると見込まれる場合、そもそも窓口での支払いを上限額までのみで良いとする手続きも用意されています。手元に十分な現金を用意できない人でも適切な保険診療を受けやすくなっている点もありがたいポイントです。
上限額は患者の年齢や収入状況などによって設定されるため、手続きの方法を含めてまずは地域の「がん相談支援センター」や加入中の公的医療保険の窓口に問い合わせてみましょう。
なお、高額療養費制度は保険適用の治療に関する費用が対象となっており、自由診療については適用されない点に注意してください。
高額医療・高額介護合算療養費制度は、医療保険と介護保険において1年間の自己負担額の総額に応じて利用できる公的支援制度です。
各世帯の収入状況(所得区分)によって自己負担合算額の上限が設定されており、年間に支払った医療サービスや介護サービスにかかる費用が上限を超過した場合、超過分の払い戻しを受けることができます。
高額療養費制度が月単位の制度である一方、高額医療・高額介護合算療養費制度は年単位の費用に関する制度です。これにより、例えば毎月の支出で見れば高額療養費制度に該当しない範囲でも、長期治療などで継続的に費用負担が発生して高額医療・高額介護合算療養費制度の上限額を超過すれば、適切な範囲で費用の払い戻しを受けることが可能となります。
傷病手当金は癌の治療によって入院したり、仕事を休職したりしなければならない場合などに利用できる制度です。同制度を活用することで、ケガや病気によって4日以上、仕事を休まなければならない際に、事業主から十分な報酬を支払われずとも傷病手当金を受け取って収入の補填を行うことができます。
ここでは子宮癌の患者として宣告や治療を受けた人からの体験談や、患者さんの声を紹介します。子宮癌の治療に対する想いや術後の生活について知るためにも、ぜひそれぞれの患者さんの声に参考にしてみてください。
(前略)退院するにあたり、主治医から「再発の可能性はほとんどないが、他の場所にがんを作らないよう気をつけて」と言われ、半年に一度の検査も5年が経過したところで終了しました。子宮がなくなっても通常の子宮がん検診で内壁のチェックができるので定期健診などで子宮がん検診を受けるようにアドバイスがあり、今でも毎年子宮(頸)がん検診を受けています。
術後の後遺症としては、寝汗、関節痛など更年期障害に類似した症状がありましたが、1年ほどで落ち着きました。年齢的に閉経が近い時期だったので、子宮を失ったという喪失感はありませんでした。(後略)
仕事も忙しかったし、血がちょっとついてるくらいだから大したことないかなと思っていて、痛みもなかったので『何ともないしょ』って思っちゃっていました。子宮体がんはそもそも知らなかったし、がんになるなんて全く浮かばなかったですね(中略)若い世代でも、子宮体がんになるっていうことを伝えていきたいですし、若い女の子に見てほしいです。不正出血で異変を感じた段階で何かの病気かもしれないと思ってしっかり婦人科を受診して診断をうけていれば、もしかしたら子宮を残すことができて、子どもがいたかもしれないとか、そういう思いがあるので。不調を感じたらすぐ医者に行ってもらいたいです
引用元:NHK|「子供の顔見たかったな」29歳で子宮全摘 子宮体がん患者は…
“ウチはがん家系だから、仕方がない…”と思っていましたが、再発リスクが高いと聞いた途端、“私もがんで死ぬんだ!”と頭が真っ白になりました(中略)不思議なことに、これをしている間は不安や恐れを忘れているんです。少しの時間のことだけど体と心がほぐれたからか、夜も眠れるようになりました。息子にとても感謝しています
引用元:ONCOLOGY
転移を告げられた瞬間、何も考えられなくなりました。再々発もショックでしたが、前回の抗がん剤治療で生じた吐き気や脱毛、だるさなどの副作用の記憶がよみがえり、“あんなことは二度と耐えられない”と思いました。しかし、息子はまだ6歳で親を必要とする年齢です。治療をしないという選択肢は端からありませんでした
引用元:ONCOLOGY
昔から生理は量も多く、生理痛がひどかったのですが、どんどんひどくなってどろどろの血の塊みたいなのが出るようになり、生理中はおなかが痛くて仕事にもさしつかえるようになってきました。タンポンをしても漏れてくるぐらいの出血量でした。あまりにつらくて仕事場近くの婦人科を受診しました。(中略)漢方治療を始めて数年したころ、不正出血がありました。最初はあまり気にしていなかったのですが、婦人科の先生に話したら体癌の検査を勧められて受けました。1回目は異常なし。でも不正出血は続き、先生にもう1度受けろと言われて1か月半後にまた検査。どうやらその検査で何か悪いものがあると分かったらしく、「組織検査をしましょう」と言われました。(後略)
引用元:Caloo
不正出血から始まった貧血と目眩、最初は個人病院の産婦人科に通院していましたが紹介状を持って徳島大学病院に行くことになりました、精密検査の結果子宮体ガン1-a期その後説明のため家族で徳島大学病院に、バタバタと検査、同意書記入になり、一昨年の10月31日入院して翌日オペになりました。(後略)
引用元:Caloo
持病で子宮腺筋症がありました。
4年くらい、1ヵ月8000円もするディナゲストという新薬を飲んでいました。
医師から癌にならないよう気を付けないといけないと言われており、
定期的に通院して癌検査もしていたのですが、
毎月の薬代が家計を圧迫することもあり、なんとなく面倒になり、
勝手に通院をやめて1年間放置してしまいました。
放置していた間、不正出血やら生理時の大量出血と腹痛があり、
最後のほうはあまりの痛さに動けなくなるほどで、
ロキソニンも効かず酷い症状が出ていました。
やはりちゃんと行かなければと思い通院を復活しました。
1年間放置していたので、即、子宮体癌検査となり、
色々検査をした結果、子宮体癌の疑いありとなりました。(後略)
引用元:Caloo
生理不順で内膜症などにも悩まされていて、ある日から、不正出血が止まらない、でも、痛みは全くなく、気になり産婦人科へ行きました。直ぐに癌検診、結果、いきなり子宮癌と宣告されました、、すぐに大きな病院へ行くようにと紹介状もらいました、いきなり言われても信じられれずうけいれられず、市の病院へ行きました。(後略)
引用元:Caloo
仕事の忙しさを理由に出血を数年放って検診にもいきませんでした。下腹部の痛みと出血の多さでようやく病院に行ったときには頸癌と体癌両方ができていて、「他に転移していないことを祈るばかりです」と先生に言われました。(後略)
引用元:Caloo
6年半前ですが、少しの不正出血があり、癌があれば怖いので、近くの婦人科を受診しました。年齢的に「膣炎」との判断で、エストロゲンが処方され、服用中は止まっていましたが、止めてしばらくすると、また出血があり、頸癌の検診もしました。何度か繰り返し、エストロゲンや止血剤、頸癌検診、1年くらいして、体癌検診の器具がないので、エコー検査をして、「大丈夫です。膣炎の繰り返しですね」とのことで、少し不安がありましたが、婦人科のことなので、セカンドオピニオンの勇気がなく、紹介状を書いてくださいと、言いにくくて、そのままの医院で、受診を繰り返し、1年半が過ぎたころ、便器が真っ赤になる出血があり、あわててその医院へ行くと、やっと、紹介状を書いて、貝塚市民病院へ、翌日の予約を入れてくれました。
翌日の受診で、やはり、覚悟はしていましたが、「体癌ですでに広がっている、どうしてもっと早く来なかった?」と言われましたが、「近くの医院にずっとかかっていたけど、今まで紹介してくれませんでした」と言いました。
引用元:Caloo
ある朝、腹部に激痛があって尋常な痛みではなかったので入院の支度をして自分で救急車を呼びました。
近所の市民病院へ運ばれたのですが、そこでは対応も手術もできないという事で翌日県立総合病院へ転院。
腫瘍は人間の頭の大きさになっていて、大き過ぎてエコーにも写らず細胞診では何故か悪性細胞が見付からない状態でした。(後略)
引用元:Caloo
(前略)女性ホルモンをつかさどる卵巣を急に無くしたので「更年期障害」特に
ホットフラッシュがすさまじかったです。急にカッと体があつくなりすごい
発汗をする、という症状や吐き気や・・・
女性ホルモン療法は 子宮体癌には禁忌とのことで1年間ほど「漢方薬」を
のみつづけ、現在2年、夏の暑いとき以外はきにならなくなってきました。
傷あとはわざとのこしています。健診をさぼった自分への戒めです。(後略)
引用元:Caloo
(前略)でも、子供が欲しいとの希望と40歳以下の年齢を考慮して、もう一度MPAを検討しても良いとも言ってくださりましたが、詳しく調べるためにまた掻爬をしたところ、「癌細胞を否定できない」と出てしまいました。
「癌」という文字が出てきてしまうと、もうそちらの恐怖が先立ち、家族で話し合い
「子供より私の命が大事」と摘出を勧められ、私も決意しました。
卵巣を全部取ると、卵巣欠落症(更年期症状)になるので、残せたら一つ残してくれると言われましたが、
卵巣にはチョコレートのう胞があって、癒着や骨盤内腹膜炎を起こしていたので残せませんでした。
引用元:Caloo
(前略)数日後、医大に行き、検査をし1週間後入院、術前検査、翌日petCT検査をして、術式は準広汎子宮全出術でリンパ節郭清の必要性など分かりやすく説明してくれました。
先生に聞きたい事をノートにまとめておいたので、不安が和らいだ気がしました。
癌発覚から手術まで1ヶ月位で大学病院なのに、非常にスピーディーでした。
細胞診では子宮体癌1期bで癌の顔つきが悪い(G3)だった事で抗がん剤を6クールすることになりました。(後略)
引用元:Caloo
(前略)手術部位の説明、つまり子宮がないことをあまり人に言いたくない、という気持ちもあります。それでも「追加治療で休職」「復職したらベリーショートヘアになっていた」となれば、自ら言わずとも、ある程度周囲には知れているでしょうけれど。(中略)罹患者も罹患者を周りで支える人も、がんは治らないという先入観を一度捨ててみて欲しいですね。繰り返しになりますが、明るい回答が得られる保証ばかりでないことは重々わかっています。けれど、医学は日進月歩です。受けられる治療、自分が自分に出来ることは進化しているはずです。
きちんとお医者さんと話し合い、治療法を決めて欲しい。がんだからとひたすら後ろ向きに恐れるのではなく、まずは向き合う。
それが一番大事なのではないかと私は思います。
(前略)仕事も一応、普通に8時間働いてる仕事なので。病気を言ったときにはどうなっていくんだろうと、辞めなきゃいけないのかなっていうところもあったんですけど。職場の上司に報告をすると、頑張って帰ってきてくださいっていう感じだったんです。取りあえず、頑張りなさい、精いっぱい頑張ってきてくださいみたいな感じで。休んでる間も、職場のみんなが色紙をくれたり、どうしてますか、頑張れ、早く帰ってこいとか言って、みんな全員が書いてくれはったりした、色紙もらったり。あとは、私、自分が幸いなことに、放射線治療も検査も、いつもついてきてくれる身内がいたので。いつも本当にそばにいてくれて、すごい支えてくれたので。私、本当に自分で乗り越えたところは全くないです、乗り越えさせてもらったっていう感じですね。側にいる娘も然りなんですけど。本当に家族に支えられてっていう感じですね。(後略)
引用元:がんノート|『支えられて、今がある』34歳で子宮頸がん、51歳で乳がんを乗り越えた闘病記録
(前略)そしたら皆さんがすごい元気だったんです。そんなのみんなそうよとか言って、がんになる予定で生きてる人いないから、みんな突然言われて突然受け入れなきゃいけなくて、言ってる間に薬が始まるみたいな、みんな一緒だよとか言ってでもね、髪の毛なんて、長い目で見たら髪の毛に関しては伸びるからとか言って、そんな大きなことじゃないってすごい言われたんですよ。
対処法をいっぱい言って教えてくださって、もうそれが皆さんすごい明るい表情で、すごい不安がなくなってなので本当に、髪の毛抜けていく時も全然涙も出ず悲しみもなく、こういう感じなんだ、みんなが言ってた通りだっていう、でもあの話を聞いてなかったら絶対泣いてます。なのでやっぱり人の話、体験された方の話っていうのは、もう何かに付け心強いなっていうのを思いますね。(後略)
引用元:がんノート|希少がん・子宮肉腫と診断された私が選んだ道―6年間の闘病ストーリー
(前略)がんになったよっていうときとか、治療中だけ、がんって悲しまれて。その後、普通にもう治ったでしょって思われるのって、結構すごく患者本人としては精神に来る部分があります。なので、がんになったよって告知されたときに、そのときに悲しむだけじゃなくて、治療中も治療後もがん患者さんに対して、周りの人が一緒に向き合い続けるっていうこと、病気に対してずっと向き合い続けるっていうことが一番のサポートになるし、頑張ろうとか生きようとか思えるきっかけになるんじゃないかなと思うので、悲しむだけではなく、一緒に向き合い続けてほしいなと思って、こういうメッセージを書かせていただきました。(後略)
引用元:がんノート|「悲しむんじゃなくて一緒に向き合い続けて」17歳で子宮頸がんを告知された大学生の闘病体験談
(前略)はい、柳澤佳奈と申します。2015年、36歳の時に子宮頸がんの告知を受けて、翌年の1月に広範子宮全摘出をして、今、7年目に入って経過観察中です。よろしくお願いします。(中略)いやあ、とにかく不安だと思うんですけど、もう、凄く元気です、今。本当に普通の生活をエンジョイしてるので、多分、つらいだけの言葉以上に本人は本当に不安だし、どうしていくんだろうって言う気持ちはあると思うんですけど、大丈夫、本当、仲間は沢山いるし、うん、大丈夫。(後略)
引用元:がんノート|自分を信じる。
(前略)私は多分、不安になる人です。全然へっちゃらな人じゃない。平気な人もいるんですけど、私はやっぱり常に気になっちゃう人ですね。
ましてや今、最初に乳がんになって、子宮頸がん、32と35でなって、今48歳に差し掛かってくると、その他の部分ももちろん、なる可能性が増えてくる年齢に差し掛かるじゃないですか。(中略)でも分からないですけど、いろんなことを、今、与えられたものを、粛々と本当にこなしていくことで、それがつながって、振り返ったときに、ああ、でも、あのときこうだったから大丈夫とか、そういった自信につながっていけるだろうっていう自信はあります、自分に。(後略)
引用元:がんノート|32歳乳がん、35歳子宮頸がん|ダブルキャンサーから学んだ「自分のために生きる」という選択
(前略)大体、頸がんのステージ1になると、子宮を取ったりっていう治療になってくるんですけども、私の場合、1のbだったので、子宮と、それから卵巣両方、プラスその周りに、腰あたりにあるリンパ節を病理検査のためとか、あと予防のために全部取ってしまって、それがリンパ郭清ですね。そのダブルで。(中略)私が一番伝えたいことは、今も自分を受け入れるっていうことが、一番大切なのかなと思います。告知後、いろいろ体の変化とか、あと仕事の面もそうだし、友人関係とかもいろんな変化があると思うんですけれども、そのときの、今の自分にできることっていうのを探すのが、一番メンタル的には自分を保ついい方法なのかなってすごい感じたので、皆さんもぜひ、やってみていただけたらと思います。(後略)
YASUKOと申します。私は2011年3月にステージⅠの卵巣がんと子宮体がんだと告知をされて、3月10日の東日本大震災前日に手術をしました。(中略)がんになった後に知り合ったサバイバーの友達がキャンサーギフトって言う方、よくいらっしゃるとは思うんですけど、私は高校からの友達とこんなに密になれるのかと思ったし、患者の悩みって割と患者同士にしか話せないのに、病気をしてないその友達には本当にいろんなこと話せるんですね。(後略)
(前略)わたしは2014年の10月に子宮頸がん、ちょうどここにいる息子が3ヶ月の時に子宮頸がんがみつかりまして、手術で子宮、卵巣、リンパを摘出して、それから再発予防の抗がん剤治療をして、経過観察に入りました。(中略)やっぱりどうしても、がん患者さんとかその家族って言っても、身体のこともそうだし気持ちの面でも、苦しみとか不安はやっぱり個人、その人にしか分からないことがあると思うんですけれども。そういう意味だと特に精神的なことは、主観的なものかなって。そうすると、それを幸せとか逆に不幸だなって思うのも、自分の心次第で選べることもあるかもしれないから「自分の心が決める」って言葉を選びました。(後略)
引用元:がんノート|
(前略)水田悠子といいます。がんは子宮頚がんでした。ステージはⅠb2期で発見しました。(中略)すごくいろんな感情を経験して。本当に、感情移入できるところが広がって。それってイコール人生が豊かになったってことなのかなって思って。抗がん剤の副作用があけて、ああ空気がおいしい、世界って素晴らしいみたいな気持ちも、そんな幸せを感じるってこともなかったし。感情の幅がすごい広がった。これはがんにならなければ、なかなかなかった気はします。(後略)
2025年5月21日に抗悪性腫瘍薬チソツマブベドチン(商品名:テブダック点滴静注用40mg)が薬価収載※と同時タイミングで発売されています。
※薬価収載とは、厚生労働省より、製造と販売が認可された新薬・ジェネリック医薬品を薬価基準(薬の価格の一覧表)に載せることを言います。
抗悪性腫瘍薬チソツマブベドチンは、2025年3月27日に製造販売が承認されている薬剤です。適応や用法容量については、以下をご覧ください。
子宮頸がんの原因の95%以上は、性的接触による子宮頸部のヒトパピローマウイルス(HPV)への感染です。子宮頸がんの発症を予防するため、複数のHPVワクチンが取り入れられていますが、今もなお毎年およそ57万人もの女性が罹患し、世界的に見ても女性の死亡原因の上位に位置していて、4番目に多いとされています。がん診断時の年齢は、35~44歳の方が多いと言われています。
子宮頸がんの治療は、患者の年齢や全身状態、がんの進行期などによって異なりますが、一般的には、手術療法・放射線療法・化学療法を単独あるいは、組み合わせて行います。
進行もしくは再発した子宮頸がんにおいて、推奨されている一次治療の標準治療は、以下をご覧ください。
また、2023年3月より、一次治療として化学療法を行ったことがある患者に対し、抗PD-1抗体セミプリマブ(リブタヨ)の単独療法も選択肢にプラスされました。しかし、一次治療としてペムブロリズマブを含む化学療法の経験がある患者に対しては、セミプリマブの有効性については検討されておらず、二次治療以降の治療選択肢は今もなお限られている状況です。
チソツマブベドチンは、従来の薬剤とは異なる新規の作用機序のある薬剤で、子宮頸がんでは初の抗体薬物複合体(ADC)製剤とされています。抗ヒト組織因(TF)モノクローナル抗体(IgG1κ)とされるチソツマブと微小管重合阻害作用のあるモノメチルアウリスタチンE(MMAE)が、プロテアーゼで切断可能なバリン-シトルリンリンカーを介し結合していると言われています。
この薬剤は、細胞表面タンパク質のTFが発現している腫瘍細胞と結びつき、ADC-TF複合体として細胞内に取り込まれることにより、蛋白質分解を介してMMAEを放出します。モノメチルアウリスタチンEの略であり、微小管の働きを阻害することによって、細胞分裂を停止させ、がん細胞の増殖を抑制する働きがあります。
一次もしくは二次全身療法の治療経験がある、再発あるいは遠隔転移のある子宮頸がん患者(日本人を含む)を対象とした国際共同第III相無作為化試験では、同薬の有効性や安全性が確認されています。海外においては、アメリカで承認されている状況です。(※2024年4月時点の情報です)
重大な副作用には、以下の症状が挙げられます。
上記以外の副作用には、主なものとして吐き気や鼻出血、脱毛症が挙げられます。薬剤を使用する際には、以下の事項についても留意しておく必要があります。
※参照元:日経メディカル|子宮頸癌に初の抗体薬物複合体、二次治療に新たな選択肢
大阪市北区に本社を置くアストラゼネカ株式会社は、イミフィンジ®(一般名:デュルバルマブ・以下、イミフィンジ)について以下のように発表しました。
「進行・再発の子宮体がん」の効能もしくは効果として、また、リムパーザ®(一般名:オラパリブ、以下、リムパーザ)について、「ミスマッチ修復機能正常(pMMR)の進行・再発の子宮体がんにおけるデュルバルマブを含む化学療法後の維持療法」を効能もしくは効果として、2024年11月22日に厚生労働省に承認されました。
イミフィンジと化学療法の併用療法に継続するイミフィンジ単独維持療法を行う一次治療は、ミスマッチ修復機能(MMR)の有無を問わずに承認されました。
この試験では、以下のような結果が出ています。
日本では、女性のがんにおいて子宮体がんは6番目に多く、罹患している方の人数は増加傾向にあります。2022年に診断される人は18,300人以上に達し、死亡する方はおよそ3,600人になると推計されている状況です。
早期で子宮体がんと診断された患者における5年生存率は、およそ80~90%とされていますが、進行期にある方の5年生存率は20%未満という状況なので、新たな治療選択肢が強く望まれている状況です。さらに、子宮体がんにかかっている方の70~80%はミスマッチ修復機能が正常だと考えられています。
東京慈恵会医科大学産婦人科学講座の主任教授であり、DUO-E試験の治験責任医師でもある岡本愛光先生は、「進行もしくは再発子宮体がんにおける一次治療の選択肢は限られている状況です。
今後、子宮体がんと診断される方の人数はさらに増加すると予想されている状況のため、新たな治療選択肢の提供は非常に重要です。この承認で、子宮体がんにかかっている方は、ミスマッチ修復機能の状態とは無関係で、はじめて免疫療法を一次治療として利用可能になります」と述べています。
また、アストラゼネカの取締役であり研究開発本部長の大津 智子氏は、以下のように述べています。「ステージⅣの子宮体がんの方の場合、生存率が20%以下という厳しい状況にある中、イミフィンジとリムパーザにおける国内承認は大きな進歩と言えます」
子宮体がんは、子宮の内膜組織から発生する不均一な疾患であり、診断時の平均年齢は60歳以上、すでに閉経している女性に多いです。子宮体がんの大半は、早期の段階(がんが子宮に限局)で診断されることが多いです。早期の状態で診断された場合、手術や放射線療法による治療を受けると、5年生存率はおよそ80~90%だと言われています。
ステージIII~IV期と進行した状態にある場合、予後不良なケースが多く、5年生存率は約20%未満に低下します。子宮体がんと診断された方の70~80%を占めるとされるpMMR患者の新たな治療選択肢として期待されている状況です。
※参照元:アストラゼネカ|アストラゼネカのイミフィンジとリムパーザ日本における進行または再発子宮体がんの治療薬として承認取得
国立がん研究センター希少がんセンターは、2023年8月10日に「子宮肉腫ならびに子宮がん肉腫の薬物療法」をテーマに掲げた希少がんセミナーをオンラインで開催しました。同セミナーの中で、国立がん研究センター中央病院腫瘍内科に在籍する西川忠曉氏は「子宮肉腫と子宮がん肉腫の標準薬物療法と今後期待される薬物療法」について講演を行いました。
子宮肉腫は、子宮の筋肉や間質といった部位から発生する悪性腫瘍のことで、肉腫に分類される疾患です。主として子宮体部に発生するが、子宮筋腫や子宮体がん(子宮内膜の上皮細胞から生じる)とは別の疾患とされています。
がん化した細胞のタイプにより、平滑筋肉腫や子宮内膜間質肉腫などに分類されます。子宮肉腫のおよそ50%をしめる子宮平滑筋膜肉腫は、50歳以上の方に好発し、不正出血・月経過多といった症状から発見されやすいです。
子宮がん肉腫は、子宮内膜の上皮細胞から生じるがん腫成分・肉腫成分が混ざった悪性腫瘍のことで、子宮体がんの一種に分類されています。名前が似ている子宮肉腫とは別の疾患のことです。子宮体がんに準拠した治療を行います。
子宮肉腫の一つとされる子宮平滑筋肉腫と悪性軟部肉腫の標準薬物療法を開発するため、ドキソルビシンとDG療法の有効性や安全性を比較した「GeDDis試験」を2010~14年に実施されました。
GeDDis試験では、子宮平滑筋肉腫と診断された方がおよそ70人が含まれており、ドキソルビシン群とDG群では、奏効割合・疾患が増悪せずにいられる週数・全生存期間といったデータに差は見られず引き分けでした。
さらに、薬物療法中のQOL(生活の質)にも大差が見られませんでしたが、ドキソルビシンの方が少しよかったと言われています。そのような経緯から、現在でも子宮平滑筋肉腫の薬物療法の第一選択はドキソルビシンと西川氏は説明しています。
子宮平滑筋肉腫に対する今後の薬物療法の展望について、西川氏は、以下のように話されています。
「個人的には、今後はアメリカのオバマ元大統領が提唱したプレシジョンメディスン・個人のバイオマーカー・生物学的な特徴に準拠した医療が実現すると考えています。子宮平滑筋肉腫は単一集団ではなく、免疫療法に反応しやすいタイプ・遺伝学的な特徴を備える集団がいると判明しています。遺伝学的特徴を備えた集団には、PARP阻害薬を用いた薬剤開発が進んでいくのだと考えています」
子宮がん肉腫においては、2022年にパクリタキセル+カルボプラチンを使うTC療法が認められている状況です。しかし、子宮体がんに使用できる免疫チェックポイント阻害薬の臨床試験には子宮がん肉腫は含まれてはいません。
肉腫を兼ね備えるという特性もあるので、現状では、オーソドックスな殺細胞性抗がん剤以外の選択肢の有効性が確認されていません。西川氏は、このような状況を改善するため、子宮がん肉腫の新たな治療薬の開発を推進するために企画した第2相医師主導治験STATICE(スターチス)試験について解説しています。
この試験は、HER2タンパク発現が見られる子宮がん肉腫患者に対するトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の有効性・安全性の評価を目的としています。
上記試験において、以下のような結果が出ています。
非常に良好な成績を示したので、HER2タンパクを発現する進行・再発子宮がん肉腫と診断された方において、T-DXdは新たな治療選択肢となる可能性があると考えられています。
※参照元:がんナビ|日本での治療薬開発も進む、子宮肉腫と子宮がん肉腫の薬物療法
2022年12月23日に、抗悪性腫瘍薬のセミプリマブ(商品名リブタヨ点滴静注350mg)の製造販売について承認されました。
適応や用法容量は、以下の通りです。
子宮頸がんの治療は、患者の年齢やがんのステージなどにより、手術療法・化学療法・放射線療法などの治療法を単独もしくは併用という形で実施されています。とりわけ化学療法では、シスプラチン(CDDP・ランダほか)という白金製剤をメインとした殺細胞性抗悪性腫瘍薬が使われています。
進行もしくは再発した子宮頸がんには白金製剤を含む他の抗悪性腫瘍薬との併用で血管新生阻害薬のベバシズマブ(アバスチン他)や、免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体のペムブロリズマブ(キイトルーダ)といった治療薬が用いられていますが、依然として進行もしくは再発子宮頸がんの治療選択肢には限りがある状況です。
セミブリマブは、従来からあるペムブロリズマブと同様にPD-1に結びつくヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体であり、T細胞の表面にある免疫チェックポイント受容体PD-1とリガンドであるPD-L1・PD-L2との結合を妨害。それにより、腫瘍増殖を抑えられると考えられています。
主に見られる副作用は、以下をご覧ください。
重大な副作用には、以下のものが挙げられます。
※参照元:日経メディカル|進行・再発子宮頸がんの単剤療法に新たな選択肢
HPVワクチンとは、子宮頸がんの原因となる高リスク型HPVの感染を阻害する抗体のことです。
日本では平成22年よりHPVワクチン接種の公費助成が開始され、その3年後には定期接種がスタートしました。
しかしワクチン接種後に慢性疼痛や運動障害などの副作用が現れたことから、2ヶ月後にはワクチン接種の積極的勧奨が中止されるに至り、以降、日本におけるHPVワクチンの摂取率は大幅に低下してしまいました。
しかし、WHOが平成29年7月に発表したHPVワクチンSafetyUpdateによると、世界各国における大規模な疫学調査でも、ワクチンを接種しなかった人と比べて重篤な副作用は見られなかったという結果が報告されています。
一方で、HPVワクチンの有効性は国内外で確認されており、海外では2価ワクチン、4価ワクチンともに子宮頸がんの6~7割の原因となるHPV16/18型の感染をほぼ予防したという結果が報告されています。
日本においても、平成28年度までに登録完了したワクチン有効性の中間解析において、ワクチンの非接種者のHPV16/18型の感染率が2.2%だったのに対し、ワクチン接種者の感染率は0.2%にまで抑えられていたことを確認。その有効性は94%であったという研究結果(※2)が出ています。
※2参考文献:日本医療研究開発機構研究費 革新的がん医療実用化研究事業「HPV ワクチンの有効性と安全性の評価のための大規模疫学研究」平成 27~28 年度委託研究成果報告書(研究開発代表者:榎本隆之、平成 29 年 5 月)
HPVワクチンの安全性が認められたことによって接種率が向上すれば、日本の子宮がん発生率の低下が期待できます。[注1]
かつて早期子宮頸がんの手術は開腹による広汎子宮全摘術を行うのが主流でした。
これに代わる早期子宮頸がんの手術方法として広く採用されるようになったのがロボット支援下で行われる広汎子宮全摘術です。
開腹に比べて患者の体への負担が少ないことが大きな利点と言われていましたが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者たちが主導した研究によると、低侵襲手術は開腹手術に比べて再発率が高いことが確認されました。
具体的には、開腹に比べて疾患進行が3倍となったほか、4.5年時点での無病生存率は開腹手術群では96.5%だったのに対し、低侵襲手術群では86%と10%以上低かったとのこと。
さらに3年全生存率は開腹手術群で97.1%だったのに対し、低侵襲手術群では91.2%だったことが確認されています。
この研究結果についてはハーバード大学、コロンビア大学、ノースウェスタン大学と共同で実施された調査研究によっても明らかになっており、米国内1,500以上の病院で新たに診断されたがん症例の約7割をカバーしている国立がんデータベースを解析。
その結果、開腹手術を受けた女性の4年死亡リスクが5.3%であったのに対し、低侵襲手術では死亡リスクが9.1%に上っていたことが判明しています。
子宮頸がんは早期であるほど手術によって治癒する確率が高くなりますが、一方で再発すると治療するのがかなり難しくなると言われています。
低侵襲手術による広汎子宮全摘術は国内外で広く普及されていましたが、今回の研究により、早期子宮頸がん女性の治療方法が見直されることが予測されています。[注2]
乳がんや子宮がんなどの手術を行うと、慢性リンパ性浮腫をもとに脈管肉腫を発症することがあります。これをStewart-Treves症候群と言います。
発症原因としては慢性リンパ腫が局所的な免疫不全を起こして腫瘍細胞の増殖を誘発するという説や、異常な血管増生が起こって内皮細胞に突然変異が起こるという説など、さまざまな説がありますが、全容解明には至っていません。
Stewart-Treves症候群の治療法には手術療法や放射線療法、化学療法、免疫療法などさまざまな選択肢がありますが、予後の有効な改善策には至っておらず、平均生存期間は約1年とされています。
そんなStewart-Treves症候群に対し、ドセタキセルと放射線を併用した治療法が有効性を示したという症例が報告されています。
患者さんは70代女性で、20年前に子宮がん治療のために子宮全摘術を受けた経歴がありますが、10年ほど前から右下肢に浮腫が発生。
治療を受けずに放っておいたところ、大腿部に暗紫色小結節が発生し、Stewart-Treves症候群と診断されました。
当初は放射線治療とインターロイキン2の静脈内投与や、ドセタキセルの単体投与などを行いましたが、症状は進行。
ところがドセタキセルの投与に放射線照射を追加したところ、約3ヶ月間にわたって皮疹に縮小傾向が見られたそうです。
患者さんは残念ながらその後亡くなられましたが、ドセタキセルと放射線併用治療が一時的であれ功を奏したことは、未だに予後不良の疾患とされるStewart-Treves症候群の今後の治療方針に影響を与える可能性があります。[注3]
福井大学医学部産婦人科学の研究チームの発表によると、子宮体がんの進行度を正確に予測できる可能性を秘めた診断法が開発されたとのこと。この研究がさらに進めば、手術の適応や抗がん剤投与の必要性なども検討可能で、患者さんの状態に応じた適切な治療の選択に活かされるでしょう。
子宮体がんのタイプや進行度を調べるには、がんの病巣の一部を採取して病理検査を行なうしかありません。ただ、この方法では子宮がんの全体像を把握することは不可能で、転移や再発の可能性を判断するのは困難です。
そこで研究チームは、子宮がんの転移や予後に影響するとされるたんぱく質の一種に着目しました。患者に特殊な薬剤を投与し、細胞の活動の様子がわかる画像診断「PET検査」でたんぱく質の動きを調べたところ、その動きが低下すると転移や再発の可能性が高い傾向にあることがわかったのです。病理検査よりも子宮体がんの全体像を把握しやすくなるといいます。
研究では67人の子宮体がん患者さんが対象となりましたが、信頼性を高めるため今後も症例数を増やしていく予定です。子宮体がんの手術は日常生活にも大きく影響するため、この診断法が実用化されれば患者さんにとって大きな希望になると期待されます。
2024年6月25日付けの早稲田大学プレスリリースにおいて、早稲田大学と金沢医科大学、ドイツがん研究センターなどの研究者によって構成される国際研究グループが、子宮頸癌の前段階にある患者の尿から、極微量だけ含まれている子宮頸癌ウイルス(ヒトパピローマウイルス)のタンパク質を検出することに成功したと発表しました。
子宮頸癌は日本国内でも数多くの人の命を奪う病期と知られている一方、ワクチンの接種や検診受診率の向上はなかなか進んでおらず、より簡単かつ正確に実施できる初期検診の確立などが求められています。
そのような中、患者の尿中に含まれている極微量タンパク質を検出することで、子宮頸癌ウイルスへの感染リスクを診断できるようになれば、将来的により効率的で効果的な検診が実現していく可能性があると示唆されました。また、さらには患者が医療機関を訪れずとも、患者自身が自分で採取した尿を医療機関や検査センターへ送付することで子宮頸癌リスクの判定までできるようになるという未来についても期待されています。
なお、同研究チームは今後さらに、子宮頸癌の悪化に関与する他のタンパク質の測定方法などについても研究を続けていく予定です。
※参照元:早稲田大学|尿に極微量含まれる子宮頸がんウイルスタンパク質の検出に成功
デジタル病理支援ソリューションとして「PidPort」を提供している福岡県の企業、メドメイン株式会社は、人工知能(AI)のディープラーニングを技術活用し、子宮頸癌検診において使われる液状化細胞診デジタル標本を用いた、癌や上皮性腫瘍などに関する病変スクリーニングの病理AIシステムを開発しました。なお、同研究開発に関する論文は医療雑誌「Artificial Intelligence in Oncology」において2022年2月24日付けで掲載されています。
子宮頸癌検診では数多くの細胞検体に対する迅速かつ正確なスクリーニングの確立が求められており、本研究で開発された病理AIによる技術によってスクリーニングの精度と迅速性が大幅に向上すると期待されていることが重要です。
子宮頸癌検診をサポートする病理AIの開発は従来から進められていましたが、今回の病理開発は液状化細胞診におけるディープラーニングがベースとなっており、デジタル標本として子宮頸部液状化細胞診(ThinPrep)を用いることで癌を含めた腫瘍細胞などの病変を検出することが可能になりました。また、ディープラーニングによって試行を重ねるごとに検出精度が向上していく点も病理AIの特徴となっています。
※参照元:PR TIMES|子宮頸がん検診を高精度に迅速化する病理AIの開発に成功
英科学誌「サイエンティフィックリポーツ(電子版)」に、2023年11月6日付けで名古屋大学による子宮頸癌に対する研究論文が掲載されました。
本研究は植物のナスのヘタから抽出した天然化合物「9-oxo-ODAs(ナイン オキソ オーディーエース)」が、人の子宮頸癌細胞に対して細胞死(アポトーシス)を誘導し、抗腫瘍効果を発揮することを発見したものとなっています。
そもそもナスのヘタ由来の天然化合物により、ヒトパピローマウイルス(HPV)によって発症する性感染症「尖圭コンジローマ」が抑制されることは知られていました。そこで名古屋大学の研究チームは改めて、同成分をマウス体内や人の子宮癌細胞に対して作用させた結果、子宮頸癌細胞においても抑制効果(抗腫瘍効果)が発揮することを発見したという流れです。
ナスのヘタ由来の9-oxo-ODAsが子宮頸癌に対して抗腫瘍効果を発揮する仕組みとしては、研究チームの茂木一将医師(婦人科腫瘍学)によって「子宮頸癌細胞の周期の乱れが同成分によって調整され、癌細胞が異物として認識されることを促し、また癌遺伝子由来のタンパク質の産生を抑制しているのではないか」という仮設が提唱されています。
※参照元:サイエンスポータル|ナスのヘタに含まれる天然化合物、子宮頸がん細胞に抗腫瘍効果 名大
2024年4月9日付けの医学誌「The Lancet Oncology」において、再発/転移性子宮頸癌の治療法として、抗PD-1抗体薬オプジーボ(一般名:ニボルマブ)の単剤療法と、さらにオプジーボと抗CTLA-4抗体薬ヤーボイ(一般名:イピリムマブ)の併用療法が、それぞれ有効性を有することが報告されました。
同研究はAna Oaknin氏(Vall d’Hebron Barcelona Hospital Campus)を代表とする研究チームによって解析され、再発/転移性子宮頸癌患者を対象としたオプジーボ単剤投与及び併用療法の実施による、第1/2相のCheckMate 358試験として実施されています。
試験では患者を複数のグループに分けて、あるグループには2週間を1サイクルとしてオプジーボを単剤投与、また他のグループにはオプジーボ単剤投与に加えて3週間1サイクルとしたヤーボイ投与による併用療法を実施するなど、それぞれのグループにおける治療効果を比較検証しました。
その結果、患者に対してオプジーボ単剤療法とオプジーボ+ヤーボイ併用療法はそれぞれ良好な奏効率を示し、治療選択肢になり得る可能性が示唆されています。
※参照元:オンコロ|再発/転移性子宮頸がんに対するオプジーボ±ヤーボイ、良好な抗腫瘍効果を示す
2024年4月25日付けの医学誌「JAMA Oncology」において、Won Kyung Cho氏(Sungkyunkwan University School of Medicine)らによる研究チームが、子宮頸癌患者の術後治療として、低分割強度変調放射線療法(IMRT)と化学療法を組み合わせた化学放射線療法の安全性に関する検証結果を公表しました。
同研究はまず子宮頸癌の外科治療として、根治的子宮全摘術を受けた子宮頸癌患者84人を対象としています。その上でそれぞれの患者に対して、術後同時化学放射線療法として低分割IMRTと化学療法の併用療法を行い、治療から3ヶ月以内に発症した消化器系・生殖器系・血液系における有害事象を検証しました。
検証の結果、主要評価項目として設定されたグレード3以上の急性有害事象の発症率は2.5%となっており、さらに追跡期間における中央値43ヶ月時点において、3年無病生存率は79.3%、全生存率は98.0%という数値を達成しています。
これらの結果からWon Kyung Cho氏は、子宮全摘出術を受けた患者に対して実施する、低分割IMRT+化学療法による術後同時化学放射線療法は、安全性が高い治療法であると結論づけています。
※参照元:オンコロ|子宮頸がんに対する術後の低分割強度変調放射線療法+化学療法、安全性が示される
2024年3月20日付けの医学誌「The Lancet」において、Domenica Lorusso氏(Fondazione Policlinico Universitario A Gemelli IRCCS and Catholic University of Sacred Heart)をリーダーとする研究チームが、高リスク局所進行子宮頸癌の治療として、抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)と化学放射線療法による集学的治療を行った検証結果を発表しました。
同研究は、治療の有効性や安全性を比較検証する第3相の「ENGOT-cx11/GOG-3047/KEYNOTE-A18試験」として実施されており、対象者は高リスク局所進行子宮頸患者1,060人となっています。
研究によって、キイトルーダと化学放射線療法の併用療法を実施したグループは、化学放射線療法を単独で実施したグループに対して、死亡リスクがおよそ30%減少するという結果が得られました。また、その他の評価項目として2年全生存期間においても、併用療法が化学療法単独群よりも死亡リスクを27%軽減しています。
以上の結果から、高リスク局所進行子宮頸癌に対するキイトルーダ+化学放射線療法が有効であると示唆されています。
※参照元:オンコロ|高リスク局所進行子宮頸がんに対するキイトルーダ+化学放射線療法、無増悪生存期間を改善
2024年9月12日、国立研究開発法人国立がん研究センターとエーザイ株式会社などが共同する研究グループは、日本人の癌患者由来の組織を実験用マウスに移植したモデル「J-PDX」において、標的タンパク質分解誘導薬「E7820」が腫瘍縮小効果を発揮したことを確認し、またそれを受けて医師主導の治験を開始したことをアナウンスしました。
実験用マウスは人工的に免疫機能を不活化されたマウスであり、患者由来の癌組織を移植された免疫不全マウスは患者由来組織移植(PDX)モデルとして広く研究に利用されている。
本研究では、国立がん研究センターに保存されている、日本人の癌患者から採取した腫瘍組織を移植した「日本人がん患者由来組織移植モデル(J-PDX)」のライブラリーを活用して、エーザイが開発した標的タンパク質分解誘導薬E7820の効果を検証したところ、特に子宮体癌や胆道癌において優れた腫瘍縮小を観察されたということです。
この結果から、標的タンパク質分解誘導薬E7820は子宮体癌や胆道癌の患者に対して治療薬として有効である可能性が考えられ、同研究グループが続いて医師主導の治験を開始し、将来的な治療薬の開発や治療法の確立につなげたいとしています。
参照元:国立研究開発法人国立がん研究センター|標的タンパク質分解誘導薬E7820の腫瘍縮小効果をJ-PDX(日本人がん患者由来組織移植モデル)で確認し、医師主導治験を開始
2024年8月8日、国立がん研究センターは、同センター東病院と株式会社Jmeesが共同で開発した新しい「内視鏡手術支援プログラムSurVis-Hys(サービス・ヒス)」が、厚生労働省からプログラム医療機器として薬事承認を取得したことを発表しました。
「SurVis-Hys」は手術支援ロボットを活用したロボット支援下手術や腹腔鏡下手術といった、内視鏡下子宮全摘術の手術において、術中に得られる内視鏡画像から尿管や膀胱などの部位を検出し、リアルタイムで手術候補領域を強調表示するためのプログラムとなっています。研究グループが実際にSurVis-Hysを活用して手術を行った性能評価試験では、プログラムのサポート効果によって医師の臓器認識感度が有意に高められたと示されており、子宮全摘術の安全性や品質を向上させ、治療効果の上昇や予後の改善につながっていくことが期待されています。
また、同研究グループはさらに子宮全摘術以外の手術にも対応できるようプログラムの開発を進めていくことを表明しており、さらにSurVisを使用した際の臓器損傷リスクについても臨床試験を行って国際的な普及を目指していこうとしている点も重要です。
参照元:国立研究開発法人国立がん研究センター|Jmeesと国立がん研究センター東病院が共同開発した「内視鏡手術支援プログラムSurVis-Hys」が医療機器承認を取得しました
国立研究開発法人国立がん研究センターや国立大学法人名古屋大学、国立研究開発法人日本医療研究開発機構などが共同で結成した研究グループによって、卵巣癌の腹膜播種性転移のメカニズムに関して、卵巣癌細胞が分泌するエクソソームが深く関与していることが解明されました。
卵巣癌は、卵巣に限局して発生している初期症例の場合、5年生存率90%という数値を期待できる癌ですが、一方で卵巣が骨盤内臓器であり腫瘍の発見が遅れがちという点もあり、実際には40~50%の症例が腹膜播種性転移などを伴う進行状態で発見されています。
そのため卵巣癌から腹膜播種への転移メカニズムの解明や、そのリスクを評価するスクリーニング方法の確立は重要な研究課題となっており、本研究では卵巣癌細胞由来のエクソソームが腹膜播種の成立メカニズムに関与していることを突き止め、対象のエクソソームを同定した点で重要です。
エクソソームは卵巣癌患者の腹水中にも存在しており、今後は卵巣癌患者の予後を予測するバイオマーカーとしての活用が目指されています。
参照元:国立研究開発法人国立がん研究センター|卵巣がんの治療を困難にする腹膜播種性転移のメカニズムを世界に先駆け解明新たな治療標的かつバイオマーカーとなりうるエクソソームを同定
2017年12月から国立がん研究センター中央病院において、新規の抗体薬物複合体(ADC:Antibody-drug conjugate)を用いた医師主導の治験が開始されました。
対象となる症例は、希少癌として知られる癌の中でもさらに発症頻度が少なく、極めてレアケースとされる子宮癌肉腫の患者となっており、また使用される薬剤は「DS-8201」が選択されました。なお、本試験は国立がん研究センター中央病院を含めた全国の7施設で実施されていることもポイントです。
そもそも希少癌は発症自体が低頻度で患者数が少ないために、十分な背景情報の分析が行われにくく、病気のメカニズムについての研究データも費用対効果の観点から乏しいという点が現実です。また、それによって新薬開発も進みにくく、患者にとって不利な状態が続きやすいことも無視できません。
そこで国立がん研究センター中央病院では希少性の高い子宮癌肉腫の患者への治験として、第一三共株式会社が提供したDS-8201を用いた医師主導治験を世界で初めて実施することをアナウンスしました。
この治験結果により、希少癌の患者の治療に新しい可能性が見いだされることが期待されます。
参照元:国立研究開発法人国立がん研究センター|新規ADCを用いた子宮がん肉腫対象医師主導治験開始
2023年6月にアメリカのシカゴで開催された「米国臨床腫瘍学会2023(ASCO 2023)」において、カナダの研究グループが、低リスクの早期子宮頸癌(ESCC)に対して単純子宮全摘出術を行った場合の3年骨盤内再発率や、広汎子宮全摘出術を行った患者との比較分析の結果などを公表しました。
子宮頸癌を含めて、手術によって摘出・切除可能な癌については、根治手術の有効性が認められており、完全に腫瘍組織を取り除くことで生存率を高めて、再発率や転移リスクを低減できることが知られています。一方、子宮頸癌の根治手術は、膀胱や腸などの機能障害を引き起こすことで様々な合併症のリスクを高め、患者のQOLを低下させる懸念がある点も重要です。
本研究では、あらかじめ低リスクと診断された早期子宮頸癌の患者を対象として、従来の広汎子宮全摘出術でなく単純子宮全摘出術を実施し、その後の再発リスクなどを比較検証した結果、3年骨盤内再発率については両者において同等であり、むしろ手術合併症の発生頻度は単純子宮全摘出術の方が少なく、またQOLについても良好であるというデータが得られました。
参照元:がんナビ|低リスク早期子宮頸癌に対する単純子宮全摘出術は広汎子宮全摘出術に対して3年骨盤内再発率で非劣性【ASCO 2023】
日本医科大学の寺崎美佳氏をチームリーダーとする研究チームが、人工知能(AI)を活用して術前子宮体癌検出を行うための新規病理診断サポートモデルの開発に着手し、またそのモデルの作成成果について科学研究費助成事業データベースで報告しています。なお、本研究は科学研究費助成事業として実施されており、研究期間は2023年4月1日から2026年3月31日までと設定されています。
本研究の背景として、子宮体癌の術前標本は多種多様であり、その病理診断は悪性検出率が低いという課題がありました。加えて従来の二次元病理標本観察法では精度限界が存在し、構造異型について三次元的に画像で強調できる方法が求められました。
本研究は三次元画像の作成について、AIを用いた画像生成技術をベースとしてシステムを開発し、さらに動物モデル画像や病理標本画像なども参照しながら三次元ディープラーニングを活用した診断サポートモデルの開発を行ったものです。
二次元画像を素材として三次元画像をAI生成することにより、腺構造異型が強調化されて術前検査における子宮体癌検出の精度を向上させており、また周辺機器として顕微鏡に接続する専用アダプターやスマートフォンなどが活用されています。
将来的にはガラス標本のデジタル化にバーチャルスライドスキャナ(WSIスキャナ)を使用しないアプリケーションの実現が目指されています。
参照元:KAKEN「人工知能を用いた術前子宮体癌検出のための新規病理診断サポートモデルの開発」
人間の骨盤臓器は骨の他にも筋肉や靱帯などによって支えられており、それぞれの臓器の間には疎性結合組織や線維性の網目状組織構造が存在し、これは「ファシア (Fascia)」と呼ばれる一方、医療業界では一般的な呼称として「あわあわ/アワアワ」といった表現も利用されています。
このような「あわあわな組織」もしくは「ファシア」は、腹腔鏡下仙骨腟固定術によって組織の剥離を行う際にも重要なポイントとなり、ファシアを正確かつスムーズに視認できることは手術の安全性や精度の向上に直結することが重要です。
南長野医療センター篠ノ井総合病院の西村良平氏や富山県立中央病院の谷村悟氏らによる研究チームは、経腟超音波検査によって膀胱腟間に存在しているファシアを確認し、その検査所見を比較して論文として発表しました。なお、本研究は日本女性骨盤底医学会の「日本女性骨盤底医学会誌 19 (1), 23-27, 2023-01-31」に掲載されています。
対象となった患者は子宮癌検診を目的として受診した148例であり、経腟超音波検査所見を比較したところ、膀胱腟間の低エコー域は分娩や閉経、腟内の炎症といった理由で消失しファシアの特徴と一致することが確認されました。これにより、膀胱腟間の低エコー域ではファシアを可視化することが可能と期待されています。
参照元:CiNii Research「経腟超音波検査による膀胱腟間fascia(あわあわ)可視化の試み」
癌治療や抗がん剤の研究が進むにつれ、様々な治療法や治療薬が登場しており、さらに癌化学療法に関しては分子標的薬の登場によって効果が著しく改善していることも重要です。しかし、その一方で化学療法に分子標的薬を使用した際の合併症リスクについての管理や対策が課題となっており、例えば分子標的薬には心血管合併症のリスクがあると指摘されています。
そのような背景を踏まえて、東京慈恵会医科大学の医療チームは分子標的薬を含んだ化学療法を受けた患者群を対象として、心血管合併症の発生率や薬剤による影響などの評価を行いました。これは東京慈恵会医科大学附属病院で2018年1月~2019年12月の期間に癌化学療法を受けた患者のうち、心血管系の有害事象と関連のある患者をサンプルとして、各患者を匿名化する後方視的コホート研究によって分析されています。
対象症例は550例で、それぞれ乳癌136例、卵巣癌55例、白血病29例、直腸大腸癌25例、そして子宮癌が21例という内訳でした。また観察期間中に心血管系の有害事象は16件発生し、具体的には心不全や不整脈、狭心症といった症状が現れています。
本研究では元々の心血管系リスクのある患者で有害事象の発生率が高いと確認されましたが、今後は分子標的薬の合併症リスクや対策について一層の研究が求められています。
参照元:CiNii Research「癌化学療法で使用される分子標的薬と心血管合併症:後方視的コホート研究」
高齢の患者などでは癌の状態を確認して手術の可否を検討するために様々な術前検査が行われ、特に不正性器出血を主訴とする高齢患者においては悪性子宮腫瘍の存在を想定した上で原因究明が進められます。
しかし静岡産科婦人科学会が刊行した「静岡産科婦人科学会雑誌 9 (2), 46-52, 2020-10」において、浜松医科大学の岩崎真也氏や鎌田麻由美氏らの研究グループが直面した臨床例として、およそ1ヶ月にわたって子宮頸部・体部細胞診や子宮内膜組織診、子宮鏡検査といった検査を行ったにもかかわらず、悪性所見を得られずに術前診断が行えなかった子宮体部筋層内漿液性囊胞腺癌が報告されました。
本症例では最初に超音波検査で子宮筋層内に悪性腫瘍の疑いが認められ、骨盤MRI検査やPET-CT検査でも同様の所見が得られました。そして本人や家族の強い希望を受けて切除術が検討されましたが、術前診断が困難であり、低侵襲治療として腹腔鏡下子宮全摘術および両側附属器切除術が採用されています。
なお、手術で採取した細胞を用いた病理検査の結果から、子宮筋層内漿液性嚢胞腺癌の診断が下されました。
本研究の結果から、術前診断が困難な高齢患者の不正性器出血などに対して、悪性腫瘍の存在を適切に確認するためのルール作りの必要性が示唆されています。
参照元:CiNii Research「術前診断が困難であった子宮体部筋層内漿液性嚢胞腺癌の一例」
2024年11月22日、MSD株式会社は局所進行子宮頸癌に対する治療として、抗PD-1抗体「キイトルーダ」の同時化学放射線療法(CCRT)との併用に関する国内製造販売承認事項一部変更の承認取得に至ったという報告を行いました。
子宮頸癌は日本国内において毎年1万人ほどが発症し、また多くが20代や30代の若者であることも特徴です。早期発見によって予後は比較的良いとされる癌である一方、妊娠や出産といったライフイベントに大きな影響を与える上、自覚症状に乏しく、進行状態で発見・診断されるケースも少なくありません。加えて、進行子宮頸癌は治療が困難となり、国内における治療選択肢が限られていることも課題の1つです。
そのような背景がある中、日本人90例を含めた局所進行子宮頸癌の患者1,060例を対象とした国際共同第3相KEYNOTE-A18試験が実施され、同試験の結果として「キイトルーダ+CCRT」併用療法は、CCRTを単独で実施した場合よりも全生存期間(OS)や無憎悪生存期間(PFS)などにおいて有意に改善されたというデータが得られていました。さらに安全性についても検証が行われ、安全性解析対象となった528例(日本人41例を含む)のうち512例(日本人41例)において何らかの副作用が認められたことも軽視できません。
上記の結果は、安全性について注意すべき点もあるものの、今後の局所進行子宮頸癌の治療において新たな選択肢となる可能性が期待されています。
参照元:オンコロ|【承認】キイトルーダ、局所進行子宮頸がんに対する同時化学放射線療法との併用で追加承認を取得
進行子宮頸癌の患者の治療に関して、初回治療(1次治療)を行った後に癌が憎悪した患者や再発・転移を有する患者に対しては、化学療法を実施するよりも「抗組織因子抗体薬物複合体tisotumab vedotin」を投与する方が全生存期間(OS)改善の効果が期待できる可能性が示唆されました。
本研究は、2024年10月24日から同月26日までの期間において、福岡市博多区で開催された「第62回日本癌治療学会学術集会」で久留米大学の西尾真氏によって発表された報告にもとづくものです。
西尾氏の発表によれば、フェーズ3試験として実施された「innovaTV 301試験」における日本人患者についての試験結果を解析したところ、すでに1次治療を終えてから憎悪した局所進行子宮頸癌の患者に対しては、化学療法でなくtisotumab vedotinを活用した場合の方がOSや無憎悪生存期間(PFS)などの数値について有意に改善したそうであり、これは今後の治療法の拡充につながることが期待されています。
参照元:日経メディカル|1次治療で増悪した進行子宮頸癌に抗組織因子抗体薬物複合体tisotumab vedotinは化学療法よりもOSとPFSを延長する傾向が日本人でも確認【日本癌治療学会2024】
再発HPV16型陽性子宮頸癌の患者に対して、既存の標準治療では抗腫瘍効果が得られない場合に、「iPS細胞由来の他家抗原特異的細胞障害性T細胞(CTL)療法」が有用な治療となるのかどうかを調べ、またその安全性について評価するための試験として、「医師主導第1相治験(jRCT2033240591)」が順天堂大学において開始しました。
本研究および治験は、順天堂大学医学部附属順天堂医院で実施されており、またそれについて同大学大学院医学研究科血液内科学主任教授の安藤美樹氏や同学細胞療法・輸血学主任教授の安藤純氏、東京科学大学教授の中内啓光氏といった研究者が研究グループのメンバーとして参加しています。
参照元:日経メディカル|再発子宮頸癌に対するiPS細胞由来CTL療法の医師主導第1相治験が順天堂大で開始
2024年11月1日付の「Lancet Public Health誌」において、スウェーデンのKarolinska研究所のJiangrong Wang氏らによる研究チームの論文が掲載され、そこにおいてヒトパピローマウイルス(HPV)検査によるスクリーニングが、従来の細胞診優先のスクリーニングよりも高精度に子宮頸癌リスクを発見できたという研究結果が発表されました。
本研究は、2014年から2016年にかけてストックホルム近郊で暮らしていた女性(30~64歳)を対象として、細胞診優先のスクリーニングとHPV検査優先のスクリーニングのどちらが浸潤性子宮頸癌のリスク低減にアプローチできるのか、8年をかけて追跡調査された大規模ランダム化試験の結果によるデータが根拠とされています。
なお、国際的な子宮頸癌検診のガイドラインでは1次スクリーニングへHPV検査を実施することが推奨されており、本研究は細胞診スクリーニングでなくHPV検査を用いたスクリーニングが有用であると改めて示唆する内容になりました。
参照元:日経メディカル|HPV検査による子宮頸癌検診は細胞診より優れる
2025年5月30日から6月3日までの期間、アメリカのシカゴで開催された「米国臨床腫瘍学会(ASCO 2025)」において中国の研究グループが、子宮頸癌患者に対してセンチネルリンパ節生検(SLNB)を実施することにより、再発リスクや死亡リスクを軽減できる可能性があるという報告を発表しました。
本研究では、広汎子宮全摘出術を受ける子宮頸癌患者を対象としてSLNBを行うことにより、SLNB後に骨盤リンパ節郭清を実施しても悪影響を与えない上、SLNB単独の実施でも後腹膜リンパ節再発や癌特異的死亡といったリスクを軽減できる可能性が示されたという内容になっています。
この結果、広汎子宮全摘出術を受ける子宮頸癌患者に対してセンチネルリンパ節生検後の骨盤リンパ節郭清を省略しても、無増悪生存期間(DFS)を改善できる可能性が示唆されることとなり、子宮頸癌患者にとって低侵襲な治療計画の選択肢を増やせるという期待が広がりました。
※参照元:がんナビ|子宮頸癌のセンチネルリンパ節生検は骨盤リンパ節郭清に対してDFSで非劣性を示す【ASCO 2025】
2025年にアメリカ・シカゴで開催された「米国臨床腫瘍学会(ASCO 2025)」において、米国のLinda Duska氏らによる研究チームが、未治療の高リスク局所進行子宮頸癌(LACC)患者に対する新たなアプローチとして「ペムブロリズマブ+同時化学放射線療法(CCRT)」による治療の最終解析結果を発表しました。
治験にはランダム化されたLACCの患者1060人が参加しており、「ペムブロリズマブ+CCRT」のペムブロリズマブ併用群529人と、プラセボ群としてCCRTのみの患者531人に分けられた後、それぞれの治療の効果などが比較されています。
研究の結果、CCRTのみを実施した患者群よりも、適切なCCRTとペムブロリズマブを併用した上でペムブロリズマブの投与を続けた患者群の方が、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)に関して有益な効果を得られる可能性が示唆されました。
※参照元:がんナビ|高リスク局所進行子宮頸癌にペムブロリズマブ+同時化学放射線療法は同時化学放射線療法のみよりもOSとPFSの改善を維持、KEYNOTE-A18最終解析の結果【ASCO 2025】
アメリカのテキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究チームが、これまで十分な癌検診を受けたことのない米国内の女性を対象として、郵送によるヒトパピローマウイルス(HPV)の自己採取検査や電話によるリマインドを実施したところ、従来の米国女性の子宮頸癌検診受診率よりも2倍超の上昇率に至ったという研究結果を報告しました。
現代のアメリカにおいて多くの女性が適切な子宮頸癌検診を受けていないことが問題となっており、そのような女性に対する癌検診へのアクセス向上を促す対策として、郵送による自己採取HPV検査が有用であり、さらに検診率を向上させることで癌治療にかかる米国全体の経済的負担軽減にもつながると期待されています。
なお、それぞれの女性に対して電話だけで癌検診を受診するよう督促した場合にはおよそ17%しか受診率が上昇せず、自己採取検査を採用することで大きく受診率が向上したことからも、対策の具体的な内容を検討しやすくなったことは重要です。
※参照元:海外がん医療情報リファレンス|郵送による自己採取HPV検査で子宮頸がん検診率上昇