
地域がん診療連携拠点として癌治療を支える日本医科大学付属病院
日本医科大学附属病院は平成20年4月から地域がん診療連携拠点としての指定を受けている医療機関であり、地域医療の基幹病院として癌患者を含めた様々な人々の治療に対応しています。癌治療に関しては院内に「がん診療センター」を設立して多角的な癌診療や癌治療に当たっており、放射線治療や化学療法、外科治療、さらには先進治療の研究や知見など幅広い取り組みを行っています。
前林医師は日本医科大学附属病院の放射線治療科において部長を務める医師です。平成5年に群馬大学を卒業して以来30年にわたって様々な患者の治療やケアに当たってきました。現在は日本医学放射線学会認定の専門医や日本癌治療認定医機構のがん治療認定医といった複数の認定医・専門医資格を取得しており、癌患者に対する放射線治療の責任者としてチーム医療を率いています。
加えて医学博士として研究面においても活躍しており、指導者として後進の育成にも尽力しています。
日本医科大学附属病院放射線治療科では、リニアックを活用した高精度放射線治療を実施しながら、さらに高線量率密封小線源治療装置を活用した密封小線源治療など癌患者の状態に合わせた治療法を提案してくれることも重要です。
日本医科大学附属病院は、日本医科大学として医療従事者の育成を行う教育機関の付属施設であると同時に、地域の癌診療を支える基幹病院として多角的な癌治療を提供していることが特徴です。
導入している設備についても、高精度放射線治療を実現するリニアックを2014年から導入している他、外科治療の精密性を高めた手術支援ロボットを活用したシステム、さらには外科治療と他科診療を組み合わせられるハイブリッド手術室など、積極的な整備や拡充が行われている点も見逃せません。
また院内にはがん診療センターを設立し、癌治療だけでなく癌患者のセカンドオピニオンや家族のサポートまで総合的に実施しています。
日本医科大学附属病院では高精度放射線治療装置(リニアック)を導入しています。従来の放射線照射(外照射)と比較して、患者への肉体的負担や被曝ダメージを抑え、癌細胞への治療効果を高めた放射線治療を提供できます。
定位放射線照射では、あらかじめ癌患者の体内にある癌細胞の位置や形状を特定し、さらにリアルタイムの画像診断装置を併用しながら、ターゲットとなる癌に対して多方向から放射線を照射します。個々の放射線は照射強度が抑えられており、健康な細胞や臓器への被曝ダメージを防げる上、ピンポイントでそれらを収束させることで癌に対する治療効果は強められるという仕組みです。
一方、強度変調放射線治療は、癌の形状やサイズに合わせて放射線照射の強度を変化させながら、部位に合わせた必要に応じた分の放射線を照射することでダメージ軽減と治療効果増進の両方を追求します。
当院でも、新棟に移転した2014年から、最新のリニアック(直線加速器)を導入し高精度放射線治療を積極的に実施しています。さらに、高精度放射線治療である定位放射線照射(STI; Stereotactic irradiation)や強度変調放射線治療(IMRT; Intensity Modulated Radiation Therapy)のみでなく、高線量率密封小線源治療装置を用いて小さな放射線源を直接腫瘍に挿入して治療する密封小線源治療(Brachytherapy)から通常の外部照射まで、特殊な大型治療装置が必要な粒子線治療以外の放射線治療が実施できます。また、粒子線治療の臨床経験のある医師が在籍しており、メリット・デメリットについて説明することが可能です。
引用元:日本医科大学附属病院 放射線治療科
https://www.nms.ac.jp/hosp/section/therapeutic-radiology.html
放射線治療科では高精度放射線治療の他にも、密封小線源治療や従来型の放射線治療などを幅広く提供しています。加えて、他診療科との連携と協働の重要性を認識しており、呼吸器内科や耳鼻科といった各診療科の医療チームと合同で話し合いを行いながら、それぞれの医師と放射線治療科の医師が直接に話し合って患者ごとの治療プランを策定しています。
また、医師だけでなく放射線照射装置の品質管理者や診療放射線技師、看護師といった医療従事者全体の意識向上や学習意欲の増進を考えており、患者の気持ちに寄り添いながら常に医療従事者として学ぶ姿勢を強みといえるでしょう。
放射線治療は、がん診療に関わる各診療科との協働が重要であり、呼吸器内科・呼吸器外科との肺癌カンファレンス、耳鼻科・頭頸部外科との頭頸部癌カンファレンス、等を実施するだけでなく、ご紹介いただいた先生と直接相談する等の密な連携をすることで、最良の放射線治療を行うようにしています。
引用元:日本医科大学附属病院 放射線治療科
https://www.nms.ac.jp/hosp/section/therapeutic-radiology.html
密封小線源治療とは、高線量率密封小線源治療装置と呼ばれる装置を使って、患者の体内に挿入した放射線源から癌細胞へ放射線を照射して、癌治療を行う方法です。
放射線照射のように患者の体外から放射線を照射するのでなく、より近い場所から癌細胞へ放射線を照射できるため、癌細胞への治療効果を高めつつ他の健常な組織や細胞への被曝ダメージを低減できることがメリットとなります。
また、治療を実施するだけでなく、治療のリスクやデメリットを踏まえて解説するインフォームドコンセントを重視しており、他院で治療を受けている患者からのセカンドオピニオンにも対応しています。
日本医科大学附属病院では外科治療として癌の手術を行っている上、手術支援ロボットの導入やハイブリッド手術室の設置など、低侵襲かつ高精度の外科治療も行っています。
手術支援ロボットは、デジタル3Dカメラと複数のロボットアームを搭載している医療用支援ロボットを操作し、執刀医が患者へ直接に触れることなく外科治療を行うロボットシステムです。
術野を高精度で拡大するデジタル映像技術や、緻密なアーム制御を実現する手ぶれ補正機能などが搭載されており、内視鏡手術の低侵襲性と開腹手術の治療効果を同時に追求できるものとして注目されています。
また化学療法や放射線治療と外科治療を組み合わせた複合型の治療も実践しています。
最新の設備と医療機器を備えた21室の手術室のあり、特定機能病院として、ロボット支援手術、ハイブリット手術、鏡視下手術、血管再生医療手術、生体臓器移植(肝臓、腎臓)などを実施しています。
また、短期日帰り手術室(2室)を有しており、日帰り手術も実施しています。引用元:日本医科大学附属病院 中央手術部
http://www.nms.ac.jp/hosp/section/surgery.html
日本医科大学付属病院で放射線治療を受ける流れについてまとめました。
日本医科大学附属病院では、がん診療センターや放射線科が設置されており、各診療科からの依頼に応じて様々な画像診断や放射線診断を担当。結果にもとづいて主治医や放射線治療専門医などが診察を行い、癌患者の状態に応じて治療計画を検討します。
各診療結果や診断結果にもとづいて放射線治療計画を策定します。実際の放射線照射は治療計画にもとづいて実施され、照射回数や頻度、通院期間などは患者の状態や放射線治療の内容に応じて調整されるため、オーダーメイドの治療プランとなることがポイントです。
治療計画に則って放射線照射を行い、同時に治療効果のチェックを行います。治療計画の完了に合わせてさらに治療効果の検証を行って、治療継続か別の治療法へ進むかといった再検討をして行くという流れです。また、治療期間中はがん診療センターのメディカルスタッフなどがチーム体制でサポートを行います。
日本医科大学附属病院では2023年10月現在、原則として他の医療機関などからの紹介状を持っている患者だけが予約可能です。また放射線治療を受けるためには他の診療科で先に主治医や担当医の診察を受けなければなりません。
新型コロナウイルス感染症等の感染対策のため、当面の間、他の医療機関からの紹介状をお持ちでない初診患者さんについて、外来の受診を原則としてお断りさせていただいています。
引用元:日本医科大学附属病院 初診・再診のご受診について
https://www.nms.ac.jp/hosp/outpatient/guide.html
基本的に保険適用の標準治療が提供されていますが、治療費の総額や治療期間などについては実際の治療プランと合わせて確認してください。
| 日本医科大学付属病院 | |
|---|---|
| 診療科目 | 外科系、内科系、病理診断科など |
| 診療時間 | 平日午前8時00分〜午前11時00分・午前11時30分〜午後3時00分 午前8時00分〜午前11時00分・午前11時30分〜午後2時00分 |
| 休診日 | 日曜・祝祭日、年末年始(12月30日〜1月4日)、創立記念日 |
| 所在地 | 東京都文京区千駄木1-1-5 |
| 電話番号 | 03-3822-2131 |
| ベッド数 | 877床(一般850床・精神27床) |
| 年間治療患者数 | 年間入院がん患者延べ数:7,380件(令和4年1月1日~12月31日) |
| 対応可能な治療方法 | 手術治療、放射線治療、化学療法、遺伝子治療 |
| 設備 | 手術支援ロボット、放射線照射装置(リニアック)、CT、MRIなど |
| URL | https://www.nms.ac.jp/hosp.html |