このページでは、癌のリスクとストレスとの相関性について詳しく考察しています。
ストレスには様々な種類や理由があり、人間関係に起因するストレスや仕事に由来するストレス、あるいは癌のような病気によって感じるストレスもあります。しかし、いずれにしても強いストレスは人間の心へ大きな悪影響を与え、それが実際の肉体にも様々な症状として表れるケースは少なくありません。
また、ストレスには一時的にかかるものから、長時間続くものもあり、ストレスに対する反応が慢性的になってしまうこともあります。
慢性的なストレス障害は当人のやる気や集中力を減退させるだけでなく、体重の減少や増加、睡眠障害、さらには肥満症や十二指腸潰瘍といった肉体的な症状を引き起こす深刻な問題といえるでしょう。
ストレスによって癌が発生したり進行したりする可能性としては、2つのパターンが考えられます。
1つは、例えばストレスによって肥満症や大腸炎などが発症し、それらの症状が原因となって癌が発生する場合です。
もう1つは、ストレスが直接的に癌の発生へ影響するという可能性です。
国立がん研究センターが2019年7月9日に発表したプレスリリースによれば、実験によって、自律神経が癌組織の進展や予後に影響する可能性が認められたと発表されています。
参考元:国立がん研究センター|がんに自律神経が影響することを発見 がんの神経医療の開発へ
従来の研究によって、慢性的なストレスが癌の状態へ悪影響を及ぼす可能性が示唆されていましたが、国立がん研究センターの実験によって、改めて自律神経の作用が癌へ直接的に影響を及ぼすと明らかになりました。
ストレスによって交感神経の緊張状態が続くことで、癌が進行し、予後不良になりやすくなるという点は重要です。
自律神経の作用はストレスだけに影響されるものでなく、必ずしもストレスの増加が癌の状態を悪化させるとは限りません。しかし、ストレスが患者の精神状態のみならず癌の状態にも作用すると考えられる以上、今後は治療プランにもメンタルケアを重視していく必要性が高まっていくでしょう。
ただでさえ癌患者は重病の事実を前にしてショックを受けており、さらに慢性的なストレスによって精神への負担が増大すれば、やがてうつ状態へ進行することもあります。
参考元:【PDF】国立がん研究センターがん情報サービス|がんと心
うつ状態に至らずとも、癌の事実を前にして精神的苦痛が増大し、日常生活が困難になることもあります。
癌治療では早期発見・早期治療が原則です。しかしストレスが悪化すると理性的な判断を行えなくなることもあるでしょう。
世の中にある癌の治療には医学的根拠にもとづいた標準治療の他にも、様々な民間療法や効果の疑わしいものなどもあり、冷静な判断力を失うことで重要な治療機会を逃してしまうかも知れません。
ストレスによる不眠や食欲不振、体力低下などが進行すれば、手術に必要な健康状態を維持することができず、必要な癌治療を進められなくなってしまう恐れもあります。
癌患者や患者を支える家族にとって、適切なストレスケアは極めて重要な課題です。
癌治療では肉体的な治療と並行して精神的なケアを行うことが必要であり、メンタル面の専門家として「精神腫瘍医」や「心理士」といったプロの力を借りることも方法の一つでしょう。
参考元:【PDF】国立がん研究センターがん情報サービス|専門家による心のケア
自分が楽しめる趣味や活動、叶えたい夢や目標など、前向きになれる何かを自分なりに考えておくことも大切です。
また、辛い時には辛いと素直に打ち明けられる相手や関係性を構築しておくことも重要です。
自分が癌だと知った時、大きなストレスを感じたりショックを受けたりすることは、大半の癌患者に起こりえます。そのため、癌によるストレスで苦しむ自分を否定する必要はありません。
自分を責めることなく辛い気持ちを受け入れた上で、周囲のサポートを受けながら解消法を考えていくように心がけましょう。