いちから分かる癌転移の治療方法ガイド

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井田病院

神奈川 放射線治療
(サイトイメージ)
引用元:井田病院公式HP
https://www.city.kawasaki.jp/33/cmsfiles/contents/0000037/37855/ida/index.html

KORTUC療法を提供している
井田病院

井田病院は神奈川県川崎市が運営する市立病院であり、放射線治療装置「リニアック」を使った高精度放射線療法や、高知大学発の放射線治療の1つである「KORTUC療法(コータック療法)」といった治療法を提供している病院です。また、放射線治療科部長として放射線治療専門医でありながら、ベストドクターズにも紹介されている専門家が活躍しているなど、設備機器、医療スタッフの面でも魅力をアピールしていることは見逃せません。

地域がん診療連携拠点病院として指定されている市立病院であると同時に、臨床研修指定病院として医療人材の育成にも取り組んでおり、地域住民の健康や将来の医療業界を支える基盤の1つとして運営されています。

井田病院の医師

福原 昇放射線治療科部長

福原昇医師は放射線治療科において責任者を務める代表医師であり、放射線治療を専門分野とするプロフェッショナルです。日本放射線腫瘍学会放射線治療専門医や日本医学放射線学会研修指導者といった専門資格を取得しており、2012年からベストドクターズとしても選ばれています。

患者の体質や癌の状態、考え方などに合わせて根治を目指すための放射線治療だけでなく、癌の疼痛緩和など他の癌治療のサポートとしても放射線療法を活用しており、幅広い癌患者に寄り添った医療環境を重視していることが魅力です。

高精度放射線療法やKORTUC療法といった複数の治療法の導入にも意欲的であり、患者や家族のためになる医療環境や治療法の提供を追求している放射線治療専門医です。

目次

井田病院の特徴

2020年8月から「KORTUC療法」の提供をスタート

川崎市立井田病院では放射線治療や化学療法、外科治療(手術)など様々な治療法を前提として、癌患者ごとに適した治療プランや診療計画を考案しています。また、放射線治療科では高精度放射線療法を実用化するための放射線治療装置として「リニアック」を導入しており、さらに2020年8月からは従来の放射線治療よりも放射線による治療効果を高めた「KORTUC療法」の提供も開始しています。

加えて、放射線治療前にCTやMRIを使った検査を徹底しており、全身精査(DWIBS)なども積極的に実施して治療前の患者の状態を見極めようと尽力している点は重要です。

なお、井田病院の放射線治療は事前の予約制となっており、放射線治療後も定期的な診察によって治療効果の有無や癌の再発リスクなどを冷静に分析・評価しています。

井田病院の治療方法

放射線治療

KORTUC療法(コータック療法)とは

KORTUC療法(コータック療法)は高知大学で開発された放射線治療の1種であり、オキシドール液(過酸化水素水)とヒアルロン酸液の混合液を癌に注射することで、その後の放射線治療の効果を従来よりも高められるといった治療法です。コータック療法は局所的な放射線治療で、全身性の癌に使えるものでなく、全ての症例に対して完治を目指せるものではありません。しかし、オキシドール液の増感作用を利用して放射線の治療効果を高めることで、切除不能な癌に対しても治療効果を期待できることは魅力です。

対象となる癌は複数の固形癌が想定されており、肺癌や大腸癌、乳癌など色々な癌の治療へ活用されています。

井田病院においては、「何らかの理由で他の治療が困難な患者」に対してコータック療法が提供されており、実際にコータック療法が適応となるかは事前の検査にもとづいて主治医が判断します。また、コータック療法を受けようか悩んでいる方のためにセカンドオピニオン枠で医療相談が提供されていることもポイントです。

KORTUC療法は高知大学前教授の小川恭弘先生が開発された画期的な治療です。消毒薬として知られているオキシドール液(過酸化水素水)と美容整形や整形外科などで使用されるヒアルロン酸液を混ぜた液を「がん」に注射して放射線治療を行うと放射線治療のみよりも放射線が効きやすくなります。注射は放射線治療期間中に週2回の頻度で実施します。

引用元:川崎市立井田病院|放射線治療
https://www.city.kawasaki.jp/33/cmsfiles/contents/0000037/37855/ida/shinryou/houshasenchiryou.html

コータック療法の仕組み

癌細胞の特徴として、癌細胞は正常細胞と比較して増殖時に酸素をあまり必要としないという点が挙げられます。また、癌細胞やその周辺は一般的に低酸素状態であることも知られていることがポイントです。

同時に、癌細胞の周囲では抗酸化酵素が増加しており、放射線による影響から癌細胞を保護するために働いていることも重要です。この結果、従来の放射線治療では、放射線本来が持っているエネルギーに対して、癌細胞へ与えられるダメージが減少してしまうという現象が発生していました。

しかし、消毒剤として使われるオキシドール液と、美容医療などで使用されるヒアルロン酸液を混合して癌組織へ注射することで、抗酸化酵素が分解されて酸素が発生し、放射線の治療効果が高められることが発見されました。

なお、井田病院においてコータック療法を実施する場合、使用する薬剤や注射などについて自己負担金は発生しません。

当院では2020年8月から「何らかの理由で他の治療が困難な患者さん」を対象としてKORTUC療法を開始しました。KORTUC療法に使用する薬剤とその注射での自己負担金はありません。治療を希望され他施設からの紹介状(診療情報提供書)をご持参いただける方は初診枠で予約となります。KORTUC療法を知りたい、治療をうけるか迷っている等で相談を希望される方はセカンドオピニオン枠(自費:税込み60分以内11,000円)での予約となります。

引用元:川崎市立井田病院|放射線治療
https://www.city.kawasaki.jp/33/cmsfiles/contents/0000037/37855/ida/shinryou/houshasenchiryou.html

高精度放射線療法

井田病院の放射線治療科では、放射線治療装置「リニアック」と治療用位置決めCT(CTシミュレーター)を導入しており、従来よりも精密な放射線治療を実施する高精度放射線療法を提供しています。

高精度放射線療法では、あらかじめ患者の体内を専用CTで詳細に検査して癌の状態や位置、サイズなどを確認し、得られたデータにもとづいた放射線治療プランを策定します。

リニアックでは高エネルギーのX線や電子線を、患者の体外から癌組織へ照射する外部照射が可能です。CTを活用しながらリアルタイムで患者の体内を確認し、癌の位置を把握しつつ放射線照射を行うため、対象となる癌細胞へ正確に放射線でダメージを与えることができるようになりました。また、周辺の組織や臓器への放射線による悪影響を抑えやすいため、従来の放射線治療よりも副作用のリスクが抑えられていることは重要です。なお、高精度放射線療法は根治を目指す治療として利用されるだけでなく、手術前に癌細胞を退縮させたり、癌による疼痛といった症状を緩和させたりと、補助治療の目的で利用されることもあります。

>>癌治療のひとつ「強度変調放射線治療
(トモセラピー)」について詳しく見る

全身精査(DWIBS)

全身精査(DWIBS:ドゥイブス検査)とは、電磁気を発生させて患者の体内の状態を調べるMRI装置を使った全身性の癌検査です。

検査に際して薬液の注射が必要ないため、アレルギーなどの副作用リスクを回避できる上、検査そのものの時間が短いといった点もメリットです。

DWIBSでは頸部から胸部、腹部、骨盤といった広範囲を一度の検査でまとめて調べることができます。検査能力としてはPET/CTと同様に全身の状態を調べられるため、放射線治療の実施中など適切なタイミングで活用して、照射プランの再確認や計画変更などに活用されています。

また、放射線治療後にもDWIBSを行うことで、癌転移や再発癌の早期発見にも役立てていることが特徴です。

井田病院の施術について

井田病院で治療を受ける流れについてまとめました。

放射線治療の流れ

地域がん診療連携拠点病院である井田病院の放射線治療は予約制が採用されており、基本的には井田病院と連携している地域のかかりつけ医などからの紹介状や事前予約が必要です。なお、紹介状がない場合、診察は紹介患者の後に行われます。

井田病院で放射線治療を受けるまでの流れは、一般的に以下のようなものになります。

予約・初診受付
外来診療受付
診察・事前検査
放射線治療計画の策定
治療後の経過観察と検査(DWIBS検査など)

まずは事前に電話で診療予約を行います。なお、令和2年11月から、井田病院では同時に2科までしか同日の予約申込や受診申込を行うことができません。そのため、放射線治療の他に癌治療を行っている場合、主治医と相談してどのような診療計画や治療計画を進めていくのかきちんと確認するようにしてください。

予約日に病院を訪れ、受付で外来診療受付を済ませ、放射線治療科で診察を受けます。診察では問診の他、必要に応じて検査が指示されます。そして検査の結果と紹介状の内容にもとづいて治療計画がプランニングされ、放射線治療後は改めてDWIBS検査などを行って経過観察や治療効果の評価が行われるといった流れです。

予約方法

予約は井田病院と提携しているかかりつけ医の紹介状を用意した上で、電話によって行います。なお、予約日に受診できないと分かった場合、速やかに予約の変更を申し出てください。

予約の変更も電話によって行うことが可能であり、連絡先は「予約センター:044-766-2188」となっており、受付時間は「13時~17時)」となっています。

なお、土日祝日や年末年始といった休診日は電話予約や予約変更が行えませんので注意してください。

治療費について

紹介状を持っていない場合、初診時に「非紹介患者初診加算料」として「税込2,200円」が必要です。なお、標準治療の一環として受ける放射線治療は保険診療となっており、コータック療法についても自己負担はありません。ただし、相談のみを希望する場合、セカンドオピニオン枠の予約に税込11,000円(60分以内)が必要です。

井田病院の基本情報

川崎市立井田病院
診療科目 内科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、血液内科、腫瘍内科、糖尿病内科、腎臓内科、脳神経内科、感染症内科、人工透析内科、肝臓内科、緩和ケア内科、外科、呼吸器外科、心臓血管外科、消化器外科、乳腺外科、整形外科、脳神経外科、形成外科、精神科、アレルギー科、リウマチ科、皮膚科、泌尿器科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線診断科、放射線治療科、病理診断科、救急科、麻酔科、歯科、歯科口腔外科
診療時間 8:30~11:00(初診受付の場合)
休診日 土日祝日、年末年始(12月29日~1月3日)
所在地 神奈川県川崎市中原区井田2-27-1
電話番号 044-766-2188
ベッド数 383床
年間治療患者数 451名(令和2年度初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数)
対応可能な治療方法 放射線治療を含む標準治療など様々な治療法を提供
設備 放射線治療装置リニアック(1台)、16列マルチスライスCTシステム、MRI、PET/CTなど
URL https://www.city.kawasaki.jp/33/cmsfiles/contents/0000037/37855/ida/index.html