いちから分かる癌転移の治療方法ガイド

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腎臓がんの症状や転移、治療法について

ソラマメのような形をした腎臓は、腹部の左右に1つずつあり、血液をろ過して尿を作りだす器官です。腎臓にできる腎臓がんは発見されにくいがんで、およそ2:1の割合で男性に多いといった統計があります。腎臓がんの症状や治療法、痛み、転移しやすい部位についてまとめてみました。

腎臓がんの症状

腎臓がんは発見されにくいがんで、小さいうちは特徴的な症状がありません。腎臓自体が厚い脂肪で包まれているため、筋肉やほかの臓器に影響が出にくいため症状が出にくいといえます。

腫瘍が大きくなるとともに、痛みがでてきてお腹や背中の痛み、血尿、貧血などの症状がでてくるのが特徴です。腎臓がんが見つかる場合は、ほかの病気で検診を受けた際に偶然発見されることがほとんど。

腎臓がんを発症した人の割合は10万人に約16人(※)で、男性が多い傾向に。50~70歳の人に多く、腎臓がんの確率は高齢になるほど高まります。

発症の要因として肥満や喫煙があり、タバコを吸っていない人に比べて吸っている人は約2倍も腎臓がんのリスクが高まると言われています。

※参照元:国立がん研究センターがん情報サービス

腎臓がん治療法

腎臓がんの治療では、がんが発症している部位のみを切除して、ほかの部位は温存する腎機能温存手術が行われます。主に腫瘍が4cm以下の小さいがんの場合だと治療を受けることが可能ですが、がんの位置や大きさによっては選択できない可能性も。

腎機能温存手術が難しい場合は、腎摘除術が行なわれます。腎臓をすべて取り除く治療法で、がんが腎臓の周囲の臓器や血管内に広がっている場合は、一緒に切除する場合もあります。

腎臓は2つあるので、片方にがんが見つかって切除したとしても、片方の腎臓で機能を補うことが可能です。がんの転移や再発を予防するため、手術後に分子標的薬や免疫療法が行われます。

2019年頃からは、免疫チェックポイント阻害薬同士の併用療法(ニボルマブ+イピリムマブなど)が標準治療に組み込まれています。

腎臓がんの痛み

早期の腎臓がんだと症状はほとんど感じられません。進行するにつれて、血尿やお腹のしこり、疼痛が起こります。ほかにも、足のむくみや味覚異常、疲労感、吐き気、便秘、などの不快な症状が見られることも。

また腎臓がんは細胞同士がやりとりする伝達物資サイトカインを多く生産する特徴があります。そのため、がんが進むと風邪を引いたような体の倦怠感が続くことがあるのです。

気になる症状がある場合は、すぐにかかりつけ医や専門医療機関に相談に行きましょう。

腎臓がんの転移先として多い部位

腎臓がんは肺に転移しやすく、咳や血痰、胸水が溜まることによる呼吸困難などを発症する場合があります。ほかにも骨転移による、病的骨折や骨の痛み、脳転移による頭痛、痙攣、中枢神経症状などを発症することも。

転移したがんに対して使われる治療薬には、分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬があります。分子標的薬はがん細胞しかもっていない細胞表面マーカーに反応してがん細胞を攻撃して小さくする薬。

免疫チェックポイント阻害薬は、免疫機能を増強してがん細胞を攻撃して小さくする治療薬です。

腎臓がんの予防やスクリーニングに関する情報

腎臓がんは危険因子として喫煙や肥満、長期間の腎透析など複数の項目が認められている一方、腎臓がんは初期の自覚症状がほとんどない癌であり、普段から意識して癌検診などを受けていたり、他の病気の検査で偶然に発見されたりするのでなければ、なかなか早期発見が難しい癌としても知られています。

また家系的・遺伝的影響や環境要因によって腎臓がんのリスクが上昇することも知られており、健全な生活習慣を心がけていても腎臓がんのリスクを全くゼロにすることは困難です。そこで、腎臓がんの早期発見・早期治療や再発・転移のリスク軽減のためにも、腎臓がんを発見するために用いられている一般的なスクリーニング・検査の方法について把握しておきましょう。

腎臓がんの予防について

日本人における腎臓がんの危険因子としては、まず喫煙と肥満が挙げられます。加えて、長期的な腎透析や腎臓の疾患、一部の遺伝的特徴なども危険因子として知られており、さらには全般的な癌の危険因子として日常の生活習慣の乱れといった点も重要です。

ここでは日本人の腎臓がんの危険因子や原因から、具体的な予防法や日常的に心がけるべきポイントなどを紹介しますので参考にしてください。

血圧に気を付ける

腎臓の機能や健康状態と、血圧は互いに関連性を持つことが知られており、日頃から血圧に注意しておくことで腎臓の異常や体調の変化にも素早く気づける可能性が高まります。

腎臓の特徴として、臓器内に細い血管が集合しており、高血圧症によって血管へ高い圧力がかかると腎臓内が損傷しやすくなることが挙げられます。腎臓の血管や組織がダメージを受けると、腎機能の低下につながり、さまざまな腎臓疾患のリスクを上げるため、日頃から高血圧を予防する対策や生活習慣を心がけることが重要です。

一方、アメリカなどにおいて血圧を下げる薬(降圧薬)と腎臓がんのリスクの相関性に関する研究も行われ、医学誌「BMC Cancer誌」の2025年6月6日号でも降圧薬と癌発生の関連性についてのデータが発表されました。そのため、将来的には降圧薬の適正な使用法や腎臓がんの予防について新たな知見が得られる可能性も無視できず、基本的な考え方として高血圧になってから対処するのでなく、そもそも日常生活で血圧をコントロールするよう意識していくことが大切と言えるでしょう。

※参照元:国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html

※参照元:CareNet|降圧薬で腎臓がんリスク上昇、薬剤による違いは?(https://www.carenet.com/news/general/carenet/60876

たばこを控える・禁煙する

腎臓がんの危険因子として、肥満と並んで重要とされるのが「喫煙」です。特に日本人の男性における癌原因の第1位が喫煙となっており、女性に関しても第2位の原因となっています。

喫煙習慣は腎臓がんを含めてあらゆる癌のリスクを増大させると知られており、また自分がたばこを吸う人でなくとも、周囲にたばこを吸っている人がいる場合、そこから発生する副流煙によって癌リスクが上昇する可能性も無視できません。

腎臓がんの発生や再発・転移を予防しようと考える際、自分自身で禁煙すると同時に、もし家族や近しい人に喫煙者がいれば副流煙を回避できるよう考えることが重要です。

なお、自分で禁煙しようとしてもなかなか生活習慣を変えられない場合、禁煙外来を受診するなど医師に相談して医学的サポートを受けることも肝要です。

※参照元:国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html

※参照元:国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービス|腎臓がん(腎細胞がん) 予防・検診(https://ganjoho.jp/public/cancer/renal_cell/prevention_screening.html

お酒を控える・禁酒する

飲酒は肝臓がんや大腸がん、食道がんなど複数の癌の危険因子として知られていると同時に、日常的に飲酒する人と、飲酒習慣のない人では、飲酒する人の方が癌の発生リスクが高くなることも認められています。

かつて「酒は百薬の長」と言われていた時代もありましたが、現在のがん予防の観点から考えた場合、お酒は全く飲まないことがベストとされており、可能であれば禁酒・断酒をするようにしてください。また、どうしてもお酒が好きという人についても、飲酒量を節制したり、アルコール度数の少ないお酒を少量だけたしなんだりといった、飲み方の健全化が必要です。

食生活を改善する

腎臓は体内の余分な塩分や水分を排出するために機能する臓器であり、腎臓がんリスクと高血圧の間に相関性がある以上、高血圧症のリスクを高める食生活や食事メニューの改善も不可欠な予防対策です。

一般論として、塩分の多い食事を続けると高血圧症のリスクが高まると知られており、腎臓にも負担がかかりやすくなります。そのため、まずは塩分を控えた減塩メニューなどを取り入れることから始めましょう。

また塩分濃度の高い食事を控えるだけでなく、野菜や果物といったビタミン・食物繊維を含んだ食材を食生活へ取り入れることも重要です。

なお、腎臓の負担軽減を考える上で適切な水分の摂取も無視できません。体内の水分が減少して血中の塩分濃度が高まると、腎臓に負担がかかりやすくなるため、水分をしっかりと摂って腎臓の負担を軽減することも大切な予防です。

※参照元:国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービス|腎臓がん(腎細胞がん) 療養(https://ganjoho.jp/public/cancer/renal_cell/follow_up.html

運動する習慣を持つ

仕事や趣味で日常的に体を動かしている人は、全く運動をしない人よりも癌や病気にかかるリスクが低くなると知られています。

そのため、なるべく徒歩で移動したり、エレベーターでなく階段を利用したりと、無理せず継続できる範囲で普段の生活に運動習慣を取り入れて、日頃の身体活動量を増やしていくよう心がけてください。

肥満を改善する

運動習慣や食生活とも関連しますが、肥満や痩せ過ぎといった体重バランスの異常は癌のリスクを高める危険因子です。そのため、肥満の解消や、過度なダイエットの中止といった観点は腎臓がんの予防を考える上でも欠かせません。

医学的な適正体重の指標は「BMI値」という、体重(kg)を身長(m)の2乗で割った数値によって定められており、男性はBMI「21.0~26.9」、女性は「21.0~24.9」の範囲で最も癌のリスクを下げられると知られています。

※参照元:国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html

感染・病気に気を付ける

癌の原因として、細菌やウイルスへの感染も重要なポイントです。特に肝臓がんや胃がん、子宮頸癌などは肝炎ウイルスやヘリコバクターピロリ菌、ヒトパピローマウイルス(HPV)といった原因が知られており、そのような感染症への対策を講じることは腎臓がんを含めたあらゆる癌の再発・転移リスクを抑える上でも大切となります。

またその他にも腎臓がんは長期の腎透析で発生リスクが増大するため、透析を必要とするような病気や疾患にかからないよう、日頃から健康的な生活習慣を意識していくようにしてください。

※参照元:国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html

腎臓がんのスクリーニング・検査について

腎臓は初期の自覚症状がほとんどなく、自分から意識して検査や検診を受けない限り、なかなか発見されにくい癌の1つであると考えられます。そのため、定期的な健康診断などで腎臓がんのリスクをスクリーニングし、早期発見・早期治療の可能性を高めることが良好な予後を目指す上でも大切です。

ここでは腎臓がんのスクリーニングや検査として一般的に行われている方法を紹介しますので、まずはそれぞれの特徴や目的を知っておきましょう。

尿検査

腎臓は体内の余分な塩分や水分を尿中へ排出して除去するために機能する臓器だからこそ、尿検査は腎臓がんのスクリーニングとして欠かすことのできない検査です。

腎臓の機能に異常が認められたり腎機能が低下していたりすると、尿検査の結果に反映されやすくなるため、健康診断で尿検査に異常が見つかった場合はさらに精密な検査などが必要となります。

ただし尿検査に異常が生じたからといって、必ずしも腎臓がんになっているとは限らない点にも注意してください。

超音波検査

超音波検査は、専用機器を使って患者の体外から超音波を当てて、体内で反響・反射した音波を画像化することで体内の状態を視覚的に検査する方法です。放射線や造影剤などを使用する必要がなく、リアルタイムで検査できる画像診断として広く用いられています。

ただし癌のサイズや位置によっては超音波検査で発見できない可能性もあります。

CT検査

CT検査は放射線(X線)を患者に投射し、患者の体内を断面的に画像化する撮影方法です。腎臓がんの確定診断にはCT検査が必要となっており、基本的にCT検査を受けられる人に対しては、腎臓がんのスクリーニングや検査手段としてCT撮影が用いられます。

ただしCT検査には放射線による被曝リスクなどもあるため、何らかの事情によってCT検査を受けられない場合、他の画像診断を行います。

MRI検査

MRI検査は放射線の代わりに磁気を使って体内を撮影する画像検査です。

造影剤を使用するため、造影剤アレルギーのある人などは受けることができませんが、放射線の被曝リスクがないためCT検査を受けられない人でもMRI検査であれば受けられる可能性があります。

骨シンチグラフィー

骨シンチグラフィーは骨の代謝機能の程度を調べる検査であり、主として癌の骨転移の有無を調べるために行われます。

骨シンチグラフィーでは、まず代謝が活発な部位へ集合しやすい放射性医薬品を静脈投与し、その後に特殊なカメラで骨を撮影して代謝の状況を調べ、代謝が異常活性している場合は癌の転移リスクありと診断されるといった流れです。

PET検査

PET(Positron Emission Tomography)は癌の広がりや転移を調べる目的で行われる画像検査であり、静脈からFDG(放射性フッ素を付加したブドウ糖)を投与し、その後に体内でブドウ糖がどこに集まっているかを撮影します。

癌細胞が通常細胞より多くの糖を取り込む性質を利用した検査であり、CT検査と併用して精度を高めるPET-CT検査も有用です。

血液検査

腎臓の機能に異常を来すと、血中のさまざまな成分のバランスが変化するため、それらの値を血液検査でチェックすることも重要です。

血液検査の結果が悪いからといって、必ずしも腎臓がんになっているとは限りませんが、血液検査の結果に問題があれば精密な検査を行って詳細を調べる動機が得られます。

腎生検(病理検査)

生検とは、患者の体から腫瘍組織を採取し、それを顕微鏡で調べて癌の種類やリスクを調べる病理診断の方法です。腎臓がんの生検(腎生検)では患者の体に細い針を刺して組織を採取し、その細胞の状態を病理医が顕微鏡下で調べます。

CT検査などで確定診断に至れない場合、腎生検が行われます。

腎臓がんのスクリーニングのリスク

腎臓がんの発見には適切なスクリーニングや検査が欠かせませんが、一方で各検査にはリスクやデメリットが存在することも無視できません。

ここでは一般論として知られるスクリーニングのリスクをまとめてありますので、検査を受ける前にあらかじめ内容や注意点を把握しておきましょう。

検査結果が偽陰性の可能性がある

あらゆる検査では、結果が正しく反映されないリスクがあり、例えばその1つが「偽陰性」です。

偽陰性とは文字通り「偽の陰性」であり、本来は陽性(癌あり)と診断されるべき検査で、陰性(癌なし)と診断されてしまうものです。

偽陰性となった場合、必要な治療の開始時期が遅れる恐れが生じるため、基本的にスクリーニングは複数の検査を併用することで、検査の正確性を担保します。

検査結果が偽陽性の可能性がある

偽陰性に対して、本来は陰性となるべき検査で、陽性と診断されるものが「偽陽性」です。

偽陽性が出た場合、さらに精密検査などが行われますが、あらゆる検査には何かしらのリスクや負担があるため、本来は不要なリスクを被検者に生じさせてしまうといった問題があります。また偽陽性になることで、自分が癌だと思った人や家族に多大な精神的負担が生じる恐れもあるでしょう。

過剰診断の可能性がある

過剰診断とは、直ちに生命の危険につながらず治療を要さない癌でありながら、検査精度の向上によって「癌がある」と発見されてしまい、さらに治療が必要と診断されてしまうことです。過剰診断では、本来であれば治療を必要としない患者にも「自分は癌である」と認識させ、さらに検査や治療で肉体的な負担や精神的ストレスをかけてしまう恐れが生じます。

がんを発見した場合でも健康状態の改善が難しい場合がある

腎臓がんは初期症状が乏しく発見が遅れがちな癌です。そのため、癌が発見された時点では根治が難しいといったケースもあり、患者の中には悲観的な気持ちに陥ったり、いっそ希死念慮を強めたりする人も少なくありません。

癌のスクリーニングや検査を行う場合、常に適正な知識や理解と、メンタル面のケアが大切であり、また根治が難しくとも適切な緩和ケアや治療を受けることで癌の状態管理を行い、QOLを高められる可能性があることも覚えておいてください。

患者のQOL(生活の質)に関する情報

腎臓がんでは外科治療として、腫瘍部分の切除のみならず腎臓そのものを摘出することもあります。腎臓は通常、体内に2個が備わっており、1つの腎臓を失っても残りの片方が腎機能を維持してくれることが重要です。しかし1つ残った腎臓まで病気になってしまうと深刻な問題につながりやすいため、腎臓がんの患者は癌治療中だけでなく術後も適切な健康管理や心身のケアを心がけていくことが大切になります。

ここでは腎臓がんの患者のQOLを改善する上で注意すべきポイントをまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

残った腎臓を守る「食事と生活習慣」の見直し

上述したように、腎臓を摘出したり部分切除したりしたとしても、残った腎機能が正常であれば通常の生活を続けていくことが可能です。一方、それまでは2個の腎臓で処理していた生体システムを1個もしくは1個と不完全な状態の腎臓でカバーするため、治療前よりも明確な健康管理を意識しなければなりません。

具体的なポイントとしては、塩分量を抑えた食事や水分の摂取量の管理、肥満や高血圧の予防、禁煙の徹底といった取り組みが挙げられます。

食事の内容や生活習慣はQOLに直結するため、健康で楽しく過ごせるよう、美味しい減塩メニューの採用や適度な運動といった工夫を考えていきましょう。

薬物療法の「副作用」を和らげるセルフケア

腎臓がんの治療において抗がん剤などによる薬物療法・化学療法を受ける場合、使用する薬によって様々な副作用のリスクが生じることも無視できません。

薬物療法の副作用は軽微なものから重篤なものまで様々であり、また薬の種類や投薬量だけでなく患者それぞれの体質によっても症状が異なります。また重大な副作用は治療継続を断念する原因にもなり得るため、症状に合わせた対策や予防が大切です。

手足症候群をケアするための保湿や衣類の選定、高血圧や高熱、下痢などに対処する投薬、また疲労軽減のために適切な活動量を整える「ペーシング(活動量の調整)」の訓練などが重要です。

無理のない「適度な運動」による体力維持

腎臓がんの患者だけでなく、あらゆる癌患者において術前術後の運動習慣や体力管理が大切となります。特に癌の治療後は体力が減少しているだけでなく、消化能力が衰えることで疲労感が蓄積しやすくなったり、筋力が低下したりといった状態にもつながりやすくなります。

そのため、腎臓がんの治療を行っている時から無理のない範囲で運動する習慣を取り入れて、治療後も継続していくようにしてください。なお、例えば骨転移などが認められる患者の場合、骨の強度が低下して骨折リスクが増大していることもあり、転倒予防など適切なケアやサポートが前提となります。

医療費の不安を減らす「公的制度」の活用

癌治療で長期の通院や入院が必要になったり、高額な費用を要する治療が行われたりする場合、どうしても医療費の負担が大きくなりがちです。

医療費の増大など経済的負担は精神的ストレスになる上、状況によっては日常生活のQOLを低下させる要因にもなります。そのため、民間の医療保険(がん保険)などの備えがあれば適切に活用すると共に、「高額療養費制度」や「限度額適用認定証/限度額適用・標準負担額減額認定証」といった公的支援も積極的に活用していくことが肝要です。

一人で抱え込まないための「相談窓口」の利用

治療・副作用への恐怖や医療費の負担、術後の生活の変化など、癌患者にとっては様々な悩みや不安が日常的に発生するため、肉体的なケアだけでなく精神的なケアも癌治療の品質向上や継続に不可欠な要素となります。

全国の拠点病院や自治体ではそのような癌患者や家族の苦悩に寄り添えるよう、「がん相談支援センター」を運営しており、ソーシャルワーカーやがん専門相談員といった専門家へ不安や悩みを相談することができます。

癌治療に関連する疑問はもちろん、社会復帰のタイミングやお金にまつわる心配についても相談できるため、一人で抱え込むのでなくプロのサポートを受けていくようにしてください。

腎臓がん患者の声・体験談

会社の健康診断で癌を発見

会社の健康診断で腎臓に腫瘍があると言われ、近くの総合病院の泌尿器科を受診しました。(中略)6日の入院ですみましたが、痛みが辛いのと、食事がちゃんとしたものが出るまでは辛かったです。 退院後は二日休んで仕事に復帰しました。その後は半年毎にCTを撮っていますが今のところ再発とかはありません。(後略)

引用元:Caloo|会社の健康診断で指摘されて発覚した腎臓ガン。内視鏡で摘出しました。

定期検診を受けながら元気に暮らしています

(前略)現在は年に1度CTと、血液検査、尿検査を受けています。
手術前に5年生存率は60〜80%と告げられましたが、ありがたいことに現在も元気です。
現在でも手術の跡はハッキリと腹部に残っています。
転移という不安はありますが、現代医学に感謝して日々を過ごしています。(後略)

引用元:Caloo|突然の血尿から腎臓がん(ステージ2、転移なし)と告知され、全摘手術。

幸運にも人間ドックで早期発見

(前略)結果、腫瘍は「がん」ではあるが悪性でなくほぼ転移はないのではと言っていただきましたが、腎臓がんの場合長期にわたる定期検査が必要とのことで現在も3か月ごとの検査に通院しています。現在は特に異常はありません。
因みに入院期間は14日、術後10日の退院でした。人間ドックでの発見は本当にラッキーでよく受診していたものです。

引用元:Caloo|人間ドックで腎臓がん発見。腹腔鏡手術で右の腎臓を全摘出しました。

体調に注意しつつも普通の生活

(前略)検査の結果、ステージ1で初期の癌でした。
5年生存率は98%
「癌に完治という言葉は使えないが、完治といってもいい状態」と医師に言われました。
片方の腎臓がなくなったため、夏場に汗をかきすぎたり、塩分を取り過ぎたりして残った腎臓に負担をかけないように、と言われました。
その点を注意しながら、今では普通に生活をしています。

引用元:Caloo|健康診断で見つかった初期の腎臓がん。腹腔鏡手術で片方の腎臓を摘出。

今は元気に暮らしています

(前略)経過が順調だったので14日間入院予定でしたが、11日間で退院出来ました。 摘出した状態から転移は見られないとのことで、術後は放射線や化学療法はなく定期検査のみとのことでした。
退院後はデスクワークではないので、痛みが軽くなりお腹に力を入れられる様になってから復帰しようと思い、結局3か月間休職をしました。
片腎になりましたが、復職後はだるさなど感じる事なく手術前と変わらぬ日々過ごしています。

引用元:Caloo|巨大腎臓がんを、分子標的薬と摘出手術で治療。3か月後復職しました。

主治医から優しい言葉をかけられて安心できた

(前略)5時間くらいの手術で左腎臓を摘出しました。手術2日目から重湯の食事が出て、歩行もOKなので歩くように言われて、4日目にトイレに行けるようになりました。術後8日目に退院して、2週間後に手術の検査結果を聞くために受診しました。結果は腎臓がんでステージ1で3カ月後の受診時に経過観察と検査をすることになりました。
職場での怪我や持病の悪化がなければがんがわからなかったので良かったと思ってます。(後略)

引用元:アストラゼネカ がんになっても|腎臓・副腎がん 60歳 女性 パート・アルバイト

同じ境遇の人とのつながりに支えられた

(前略)MRIの受けたあと、先生から「腎臓がん」の宣告を受けました。数日後、骨シンチグラフィという骨の検査をして、骨への転移を調べました。MRIは、造影剤の影響で身体がかゆくなったのを覚えています。(中略)闘病体験や医療従事者のブログを読んだり、自分自身のがんの記録もブログに残したりして、同じ境遇の人とつながりを持つことでした。

引用元:メディカルドック|【闘病】「まさか自分が!」たまたま発見できた腎臓がんの恐怖とは(1/2ページ)

家族が心のエネルギー源になった

(前略)昔から父が亡くなった年齢を気にしていた。
「37歳」が近づくにつれ、「もしかしたら自分もがんになるんじゃないのか?」といった不安がよぎっていたからだ。(中略)腎臓がんになった時、まだ結婚して1年も経っていなかったのに、父と同じように死んでしまったら残された妻は大変なことになると思った。
歯を食いしばり、つらい治療に耐えて乗り越えて、社会に戻ったら、可愛い娘が生まれて、また走れるようにもなった。
いろんな思いがこみあげてきて泣けた。(後略)

引用元:5years PLUS|腎臓がん(ステージ3)命の危機を乗り越えフルマラソン

主治医としっかり向き合うことが大切

腎盂がんの診断から7年ほど経った2012年2月頃、また血尿が出ました。血尿以外にも、尿意が近かったり、尿が細かったりといった自覚症状がありました。腎盂がんの経験から、健康の大切さがわかっているはずなのに、こうした症状が出てから受診するまで、また1年程度かかってしまいました。(中略)がんの情報はインターネットでも調べられますが、情報が多すぎて何が正しいのかわかりません。私は主治医との会話で正確な情報を得て、納得して治療を受けるように心がけました。治療方法や副作用などで疑問に思うことがあれば、納得するまで質問することで、自分の病状をよく理解することができました。(後略)

引用元:tomosnote|腎盂がんの手術から7年、再び血尿が出る

妻のおかげで前を向けた

腎盂がんと告知されたのは46歳でしたが、その1年前ほど前から、尿に血液が混じることがありました。(中略)私の話を聞いた後、妻は「わかりました」と一言。そして「なってしまったものは仕方がないから、今からふたりで何ができるか一緒に考えましょう」と言ってくれました。
その言葉を聞いて、気分が楽になったのを覚えています。もし妻が私と一緒に落ち込んでしまっていたら、負のスパイラルに陥って、どんどん気持ちが落ちていったのではないかと思います。
ですが、妻の前向きな言葉で、頭のなかがパッと切り替わりました。ですから、妻にはすごく感謝しています。(後略)

引用元:tomosnote|結石かと思いきや…予想外の腎盂がん告知

腎臓がんや治療法に対する研究・論文

腎臓がんの新たなヒストトリプシー(集束超音波)治療

2025年5月、アメリカのオハイオ州立大学総合がんセンターのアーサー・G・ジェームズがん病院およびリチャード・J・ソロブ研究所(OSUCCC–James)の医師らによる研究グループが、がん性腎腫瘍に対する新しい非侵襲的治療としてヒストトリプシー(組織破壊)治療の3例目の成功に至ったことを発表しました。

ヒストトリプシー治療は2024年10月からOSUCCC–Jamesにおいて実施されており、2025年の4月に2例目、5月に3例目の患者に対して治療が行われています。

集束超音波エネルギーを用いた腫瘍細胞への直接的な影響に加えて、バブルクラウドを形成して腫瘍細胞を破壊するヒストトリプシー治療は、患者への負担やリスク、安全性などについての研究が続けられています。発表当時においてヒストトリプシー治療は、肝臓腫瘍のみがFDAの承認を受けていました。

参照元:海外がん医療情報リファレンス|腎臓がん腫瘍に新たなヒストトリプシー(集束超音波)治療

腎臓がんに対する新しい免疫ベース治療法の可能性

2025年2月、スローンケタリング記念がんセンターで行われた膵臓がん臨床試験の結果と、ダナファーバーがん研究所で実施された腎臓がん臨床試験の結果のデータが、それぞれ2月19日付のNature誌と2月5日付の同誌において発表されました。

小規模臨床試験では、膵臓がんと腎臓がんの手術中に採取した腫瘍サンプルを遺伝子的に解析して、各患者の特性に合わせた治療薬を特別に開発しています。研究チームは遺伝子解析の結果から患者の癌細胞に存在していた変異タンパク質「ネオアンチゲン」を同定しており、異常タンパク質が癌に関連して免疫系に影響を及ぼすことも認められました。

腎臓がん臨床研究において、研究チームは最大20種類のネオアンチゲンを特定しており、それらの小さなペプチドを化学合成して患者の治療薬に活用しています。

参照元:海外がん医療情報リファレンス|腎臓/膵臓がんに対する新たな免疫ベース治療法、実現の兆し?

転座腎細胞がんに対する患者協働プロジェクトの開始

転座腎細胞がんは、腎臓がんの中でも特に希少性の高い癌とされており、進行性が高いことでも知られています。そこで2025年3月、アメリカのダナファーバーがん研究所と、マサチューセッツ工科大学(MIT)/ハーバード大学の共同研究施設としてブロード研究所が、共同で転座腎細胞がんにアプローチする新たな患者協働型研究プロジェクトをスタートさせることを発表しました。

転座腎細胞がんは、染色体の一部において遺伝子の並び方が変わったり配置が入れ替わったりしている、特定の遺伝的変化を原因とする腎臓がんの一種であり、希少がんであるものの、発症率としては子供から若年層に多く発症することでも知られています。一方、症例数の少なさから治療研究があまり進んでおらず、未解決な課題が残されていることも事実です。

本プロジェクトでは転座腎細胞がんに関する様々な情報を総合的に収集・検証することで、新たな治療法や患者のケアに有益な洞察を促す目的で行われます。

参照元:海外がん医療情報リファレンス|転座腎細胞がんの新たな患者協働プロジェクトが始動

腎臓がんの免疫療法薬についてヒトゲノムへ潜伏するウイルスが関与

2025年2月28日付の「Cell誌」において、アメリカのダナファーバーがん研究所のDerin B. Keskin博士とCatherine J. Wu医師、そしてWilliam G. Kaelin Jr.医師による研究として、ヒトゲノムの中に潜伏しているウイルス遺伝子が、腎臓がんの活性や免疫反応に関与しているという可能性について発表しました。

同研究では、ヒトゲノムの中に通常は休眠状態のウイルス遺伝子があり、それらが腎臓がんの代表例である淡明型腎細胞がんにおいては活性化して、癌に対する免疫反応を誘引することを指摘しています。

腎臓がんは他の癌腫と異なり、免疫系によって根絶されるケースがあるとされていますが、明確な証拠や過程については明らかにされていません。しかし、本研究から、淡明型腎細胞がんの特徴としても知られるがん抑制遺伝子VHLの変異・不活化によって、ウイルス遺伝子が活性化してウイルスタンパク質を産生することが示されました。加えて、癌細胞がこれらの内在性レトロウイルスタンパク質を細胞の表面に現出させることも発見しており、この仕組みを活用して免疫療法薬の開発や研究に新たな可能性が生まれたと示唆されています。

参照元:海外がん医療情報リファレンス|ヒトゲノムに潜伏するウイルスが腎臓がん免疫療法薬の新たな方向性を示唆

腎臓がんのリスクに関連した50のゲノム領域の同定に成功

2024年4月26日付の「Nature Genetics誌」において、アメリカの国立がん研究所のMark P. Purdue博士を代表とする国際研究チームが、腎臓がんの発症リスクに関連している新たなゲノム領域として、50のゲノム領域の特定に成功したことを発表しました。

前提として、ヨーロッパ人の子孫である人々を対象としたゲノムワイド関連解析(GWAS)により、腎臓がんリスク関連ゲノムとして13の領域が同定されていました。しかし、対象が限定的であったため、国際研究チームはより多様な遺伝的先祖を有する参加者を対象としたGWASを実施し、結果として29,020人の腎臓がん患者と、835,670人の腎臓がんでない人が研究に参加しています。

遺伝子解析の結果、腎臓細胞がんとして2番目の頻度となる乳頭状腎細胞がんの発症リスクに関連した遺伝子変異が新たに同定された他、VHL遺伝子変異は特にアフリカ系の人々に顕著であり、腎臓がんとして代表的な淡明型腎細胞がんの発症リスクに関与していることも発見されました。

参照元:海外がん医療情報リファレンス|腎臓がんリスクに関連する50のゲノム領域を新たに同定

淡明細胞型腎細胞がんに術後ペムブロリズマブが有効

2024年4月17日付の「New England Journal of Medicine誌」において、免疫療法薬ペムブロリズマブ(キイトルーダ)が、腎臓がんの中で発症例の多い淡明細胞型腎細胞がんの患者に対して、有効な治療法となり得る研究結果が発表されました。

臨床研究の対象となった患者は、全員が早期腎臓がんであると同時に、手術で腫瘍を取り除けるものの再発リスクが高いと懸念される人々でした。研究チームは、手術後の患者へ術後補助療法としてペムブロリズマブを最長1年投与する群と、プラセボ群を設け、両者の定期的なモニタリングを行いました。

結果として、ペムブロリズマブ投与群では術後補助療法開始から4年時点で約91%が生存している一方、プラセボ群では生存率が86%となっており、全体的に見ればペムブロリズマブ投与群は期間中の死亡リスクが約40%も低かったというデータが得られています。

これにより、腎臓がんの術後補助療法としてペムブロリズマブの有用性が示唆されました。

参照元:海外がん医療情報リファレンス|腎臓がんに術後ペムブロリズマブが初の全生存期間改善をもたらす

進行腎細胞癌に「レンバチニブ+ベルズチファン」はカボザンチニブより有用

2025年10月28日、エーザイとアメリカのMerck社は、抗PD-L1抗体による治療中もしくは治療後に増悪した進行腎細胞癌の患者に対して、経口チロシンキナーゼ阻害薬「レンバチニブ」と経口HIF-2α阻害薬「ベルズチファン」を併用した治療が、カボザンチニブを使用した場合よりも有意に無増悪生存期間(PFS)を延長したという臨床試験の結果を発表しました。

同試験はLITESPARK-011試験(NCT04586231)として実施され、抗PD-1/L1抗体によって増悪した進行淡明細胞型腎細胞癌の患者708人を対象として、「レンバチニブ+ベルズチファン」併用療法群と、カボザンチニブ投与群にランダムで割り振り、その後の治療効果などを比較検証したものです。

結果的に、併用療法群は無増悪生存期間(PFS)を有意に改善しており、進行腎細胞癌の新たな治療法としての価値を示唆するデータとなりました。

参照元:がんナビ|レンバチニブとベルズチファンの併用療法、抗PD-1/L1抗体で増悪した進行腎癌のPFSをカボザンチニブより有意に延長

淡明細胞型腎細胞癌の術後療法に「ペムブロリズマブ+ベルズチファン」併用療法が有用

アメリカのMerck社は、2025年10月28日、腎摘出術が行われた淡明細胞型腎細胞癌患者の術後療法として、ペムブロリズマブの単剤利用を行った患者群と、ペムブロリズマブに経口HIF-2α阻害薬「ベルズチファン」を併用した患者群の、比較検証試験(LITESPARK-022試験)の結果を発表しました。

試験は腎摘出術を受けた、1841人の淡明細胞型腎細胞癌患者を対象として実施され、それぞれ「ペムブロリズマブ+ベルズチファン」併用療法群と、ペムブロリズマブ単剤療法(ペムブロリズマブ+プラセボ)の群にランダム分類し、無病生存期間(DFS)や全生存期間(OS)などの項目を比較したものです。

およそ1年間の治療および観察の結果、併用療法群は単剤療法群よりもDFSを有意に改善したというデータが得られました。

なお、同試験はさらにOSの比較分析を行うため、同発表の時点で継続されています。

参照元:がんナビ|淡明細胞型腎細胞癌の術後療法としてペムブロリズマブとベルズチファンの併用がペムブロリズマブ単剤に比べて有意にDFSを延長

「デュルバルマブ+トレメリムマブ」併用術後療法で腎臓がんのDFSが改善

ドイツのベルリンで、2025年10月17日~21日までの期間に開催された「欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2025)」において、イギリスの研究チームが、腎臓がん患者の術後療法として「デュルバルマブ+トレメリムマブ」併用療法を用いることで、患者の無病生存期間(DFS)を有意に改善できたという研究結果を発表しました。なお、同臨床試験は国際的無作為化フェーズ3試験「RAMPART試験」として実施され、本発表はそれに関する最初の報告となりました。

研究では、腎摘出術を受けた腎臓がん(腎細胞癌)の患者を対象として、PD-L1阻害薬「デュルバルマブ」とCTLA-4阻害薬「トレメリムマブ」を併用する群、デュルバルマブのみを使用する群、そして経過観察(アクティブモニタリング)を行う群の、3グループが割り振られており、本発表は特に併用群と観察群の比較検証データが報告されています。

結論として、併用群の方がDFSを有意に改善しており、特に再発リスクが高いと診断された患者グループにおいてその効果が顕著であったということです。

参照元:がんナビ|腎細胞癌の術後療法としてデュルバルマブとトレメリムマブの併用は無病生存期間を有意に改善【ESMO 2025】

転移性腎細胞癌に対する「ベルズチファン」が医薬品第二部会を通過

2025年6月6日、厚生労働省の薬事審議会医薬品第二部会が開催され、化学療法後に増悪した根治切除不能腎細胞がんまたは転移性腎細胞がんに対する、HIF-2α阻害薬「ベルズチファン」の使用について、審議品目の承認が了承されました。

本決定は臨床試験「LITESPARK-005試験」の結果にもとづいており、PD-1/PD-L1阻害薬とVEGFチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の治療歴を有する進行淡明細胞型腎細胞癌の患者に対して、ベルズチファンがmTOR阻害薬エベロリムスよりも有意に無増悪生存期間(PFS)を改善したというデータが根拠となっています。

ただし、本試験の結果は日本人を含めた東アジア人サブグループの集団解析でも認められている反面、全生存期間(OS)の延長効果について有意差は認められておらず、今後の研究が待たれていることもポイントです。

なお、第二部会ではその他にも多発性骨髄腫や切除不能肝細胞癌などに関する審議が行われました。

参照元:がんナビ|切除不能肝細胞癌に対するニボルマブとイピリムマブの併用療法も適応拡大 既治療の進行腎細胞癌に対するベルズチファン、再発・難治性の多発性骨髄腫に対する二重特異性抗体トアルクエタマブが医薬品第二部会を通過

オリゴ転移を有する淡明細胞型腎細胞癌の転移巣へ放射線療法が効果を発揮

2025年4月25日から30日にかけてアメリカのシカゴで開催された「American Association for Cancer Research Annual Meeting 2025(AACR 2025)」において、米国テキサス大学MDアンダーソン癌センターの研究チームが、オリゴ転移を有する淡明細胞型腎細胞癌(ccRCC)の患者に対する、放射線療法の有用性に関する研究報告を発表しました。

本発表はフェーズ2試験(NCT03575611)の結果にもとづいており、転移病変5個以下のccRCC患者を対象として、全身療法と、転移巣への放射線療法との比較検証を行った結果が報告されています。

登録患者は2018年7月から2023年5月の期間に121人となっており、観察期間中央値は36.3ヶ月となりました。また転移巣への放射線療法では体幹部定位放射線療法(SBRT)が用いられています。

試験の結果、転移巣への放射線療法についても優れた忍容性が認められ、全身療法よりも患者の負担や費用を軽減できる放射線療法の有用性が示唆されました。なお、病勢進行が顕著な患者に対しては全身療法が実施されています。

参照元:がんナビ|オリゴ転移のある淡明細胞型腎細胞癌で全身療法に代わる転移巣への放射線療法で予後を改善【AACR 2025】

既治療の進行淡明細胞型腎細胞癌に「ベルズチファン+レンバチニブ」が有用

2026年2月26日~同月28日の期間にアメリカのサンフランシスコで開催された「2026 ASCO Genitourinary Cancers Symposium(ASCO GU 2026)」において、フランスの研究チームが、抗PD-1/PD-L1抗体とVEGFチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)によって治療を受けた既往歴のある進行淡明細胞型腎細胞がん(ccRCC)の患者に対して、HIF-2α阻害薬「ベルズチファン」とVEGF-TKI「レンバチニブ」の併用療法が優れた抗腫瘍効果を示したという研究結果を発表しました。

本試験は、オープンラベルのアンブレラ型プラットフォーム試験「KEYMAKER-U03試験 サブスタディ03B(NCT04626518)」として実施されました。被検者には、対象となる治療の実施中、あるいは治療を終えた成人のccRCC患者が選ばれています。

研究の結果、併用療法を行った「ベルズチファン+レンバチニブ群(B5群)」において最も確定奏効率(ORR)が向上しており、有用な治療法であるという可能性が示唆されています。

参照元:がんナビ|既治療の進行淡明細胞型腎細胞癌にHIF-2α阻害薬ベルズチファン+レンバチニブは高奏効率示す【ASCO GU 2026】

「デュルバルマブ+トレメリムマブ」併用術後療法によるQOL低下と改善

2026年2月26日から28日に米国サンフランシスコで開催された「ASCO GU 2026」において、イギリスの研究チームから、腎細胞癌切除後の術後療法として抗PD-L1抗体「デュルバルマブ」と抗CTLA-4抗体「トレメリムマブ」の併用療法に関する臨床試験の結果が報告されました。

研究はフェーズ3試験「RAMPART試験」の患者報告アウトカムを解析することで進められており、腎細胞癌切除後の術後療法に「デュルバルマブ+トレメリムマブ」併用療法を実施したところ、アクティブモニタリングを行うケースと比較して治療開始後16週目にQOLの低下が見られるものの、15ヶ月目には改善傾向を示したということが確認されました。一方、疼痛や認知機能の悪化が同時に認められたことも重要です。

この結果、「デュルバルマブ+トレメリムマブ」併用術後療法によるQOL低下は医学的に意味があるものであり、その後の改善が示された反面、疼痛や認知機能の悪化について適切なケアの継続が必要であるという考察も得られています。

参照元:がんナビ|腎細胞癌へのデュルバルマブ+トレメリムマブの術後療法で早期のQoL低下は経過とともに改善、しかし疼痛と認知機能の悪化を示す【ASCO GU 2026】

「ペムブロリズマブ+ベルズチファン」で淡明細胞型腎細胞癌の死亡率が低減

米国サンフランシスコで2026年2月26日~28日に開催された「2026 ASCO Genitourinary Cancers Symposium(ASCO GU 2025)」において、アメリカの研究チームが、腎摘除後の再発リスクが高いとされる淡明細胞型腎細胞がんの術後療法として、「ペムブロリズマブ」と経口HIF-2α阻害薬「ベルズチファン」の併用療法が有用であったという研究結果を報告しました。

研究はLITESPARK-022試験(NCT05239728)として実施され、腎摘除後の条件を満たす患者1841人を対象として、「ペムブロリズマブ+ベルズチファン」併用療法群と「ペムブロリズマブ+プラセボ」療法を行うプラセボ群に分類し、その後の状態を比較しました。

結果として「ペムブロリズマブ+ベルズチファン」併用療法群は、プラセボ群と比較して再発または死亡のリスクを28%低減し、治療の有用性が示唆されています。

参照元:がんナビ|再発リスクが高い淡明細胞型腎細胞癌の術後療法でペムブロリズマブとベルズチファンの併用は再発または死亡のリスクを28%低減【ASCO GU 2026】

免疫チェックポイント阻害薬の早期使用が転移を有する腎細胞癌の予後を改善

2026年2月26日から2月28日の期間に米国サンフランシスコで開催された「ASCO GU 2025」において、ベルギーの研究チームが腎細胞癌の患者の予後と、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の初期投与のタイミングとの関係性についての研究結果を発表しました。

研究発表はベルギーで実施されたレトロスペクティブ研究のTic-Tac試験の結果にもとづいており、2015年から2025年にICIの投与を受けた、転移を有する淡明細胞型腎細胞がんの患者223人を対象として、ICIの初期投与の時刻と癌特異的生存(CSS)との関連が分析されました。

結果的に、CSSと最も有意に関連していたのは「11時以前」に投与を行ったグループであり、早い時刻の投与が予後の改善に有用であると示唆されています。一方、投与時刻が遅くなるほど癌特異的死亡リスクが12%増加したという結果も無視できません。

参照元:がんナビ|転移を有する腎細胞癌への免疫チェックポイント阻害薬の初期投与が早い時刻に行われることが癌特異的生存の改善と強く関連する可能性【ASCO GU 2026】