ソラマメのような形をした腎臓は、腹部の左右に1つずつあり、血液をろ過して尿を作りだす器官です。腎臓にできる腎臓がんは発見されにくいがんで、2対1の割合で男性に多いといった統計があります。腎臓がんの症状や治療法、痛み、転移しやすい部位についてまとめてみました。
腎臓がんは発見されにくいがんで、小さいうちは特徴的な症状がありません。腎臓自体が厚い脂肪で包まれているため、筋肉やほかの臓器に影響が出にくいため症状が出にくいといえます。
腫瘍が大きくなるとともに、痛みがでてきてお腹や背中の痛み、血尿、貧血などの症状がでてくるのが特徴です。腎臓がんが見つかる場合は、ほかの病気で検診を受けた際に偶然発見されることがほとんど。
腎臓がんを発症した人の割合は10万人に約6人(※2022年8月調査時点)で、男性が多い傾向に。50~70歳の人に多く、腎臓がんの確率は高齢になるほど高まります。
発症の要因として肥満や喫煙があり、タバコを吸っていない人に比べて吸っている人は約2倍も腎臓がんのリスクが高まると言われています。
※参照元:国立がん研究センターがん情報サービス/腎細胞がん 全ページ表示
腎臓がんの治療では、がんが発症している部位のみを切除して、ほかの部位は温存する腎機能温存手術が行われます。主に腫瘍が4cm以下の小さいがんの場合だと治療を受けることが可能ですが、がんの位置や大きさによっては選択できない可能性も。
腎機能温存手術が難しい場合は、腎摘除術が行なわれます。腎臓をすべて取り除く治療法で、がんが腎臓の周囲の臓器や血管内に広がっている場合は、一緒に切除する場合もあります。
腎臓は2つあるので、片方にがんが見つかって切除したとしても、片方の腎臓で機能を補うことが可能です。がんの転移や再発を予防するため、手術と並行して放射線治療や薬物療法が行われる場合もあります。
早期の腎臓がんだと症状はほとんど感じられません。進行するにつれて、血尿やお腹のしこり、疼痛が起こります。ほかにも、足のむくみや味覚異常、疲労感、吐き気、便秘、などの不快な症状が見られることも。
また腎臓がんは細胞同士がやりとりする伝達物資サイトカインを多く生産する特徴があります。そのため、がんが進むと風邪を引いたような体の倦怠感が続くことがあるのです。
気になる症状がある場合は、すぐにかかりつけ医や専門医療機関に相談に行きましょう。
腎臓がんは肺に転移しやすく、咳や血痰、胸水が溜まることによる呼吸困難などを発症する場合があります。ほかにも骨転移による、病的骨折や骨の痛み、脳転移による頭痛、痙攣、中枢神経症状などを発症することも。
転移したがんに対して使われる治療薬には、分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬があります。分子標的薬はがん細胞しかもっていない細胞表面マーカーに反応してがん細胞を攻撃して小さくする薬。
免疫チェックポイント阻害薬は、免疫機能を増強してがん細胞を攻撃して小さくする治療薬です。