癌治療の気になる情報まとめ
「異型度」や「二次性発癌」など癌の状態に関する言葉、「緩和ケア」や「支持療法」など癌治療に関係する言葉、「樹状細胞」や「サイトカイン」などがんと闘ううえで知っておきたい体の機能に関係する言葉など、癌に関する専門用語を分かりやすく解説します。
がんセンターとは、がんの治療と研究を専門とする医療機関のこと。地域におけるがん診療の中核として重要な役割を担います。
がん診療連携拠点病院とは、がん対策基本法によって厚生労働省の指定を受けた医療機関。全国どこでも高度ながん治療を受けられるよう設置されています。
専門医・認定医・指導医とは、高度な技術や知識、経験を持つ医師に対して医学系の学会が認定する資格を指します。
臨床試験とは、主に新しい薬の開発のため、効果や安全性を調査する目的で実際に患者さんの治療に使用することをいいます。
安全性や効果が認められ、広く普及している治療法のことを指します。癌治療における手術、化学療法、放射線療法の3つが標準治療とされています。
二次がんとは、がん治療の影響によって、しばらく経ってから元のがんとは別の新たながんを発症してしまうことを指します。
同じように癌治療を扱っている病院でも、さらに言えば癌に特化した医療機関でも、それぞれに得意とする分野があります。そこで働く医師にも同じことが言えます。癌と一言で言ってもその種類や表れる症状、特徴や傾向は人によってそれぞれで多岐にわたりますから、癌の部位や自分の体質に合った治療を得意とする病院や医師に巡り会いたいものです。
今の時代、ほとんどの人がいい病院を選ぶためにインターネットを活用していますが、その際チェックしたいのは「医師の実績」「病院全体の実績」「導入している医療機器」、そして第三者の「口コミ」です。また「日本医療機能評価機構」が行っている病院の評価も参考にできるでしょう。
キラーT細胞とは、人にもともと備わっている免疫機能の1つ。リンパ球の中に存在し、体内に異物が見つかった場合に攻撃する「殺し屋」の役割を果たします。ただしキラーT細胞は自分自身で異物を発見し、攻撃に出ることができません。まずは樹状細胞という別の免疫細胞が「異物」を見分けてその特徴を覚え、次いでその特徴を持つ異物を攻撃するようキラーT細胞に指令を出すのです。つまり、樹状細胞との連係プレーで癌細胞を攻撃することができるのですが、癌細胞の中には樹状細胞が覚えた「特徴」を隠してしまうものもあり、そうなると目印がないためキラーT細胞も攻撃することができません。現在このキラーT細胞の弱点を克服する研究が行われており、がん治療の進歩に貢献することが期待されています。
樹状細胞は、その名のとおり木の枝のような突起(樹状突起)を周囲に伸ばした形をしている免疫細胞です。異物を自身の中に取り込んで、その特徴を他の免疫細胞に伝達する働きを持っています。樹状細胞の伝達を受けて活性化された免疫細胞は異物への攻撃を開始するので、樹状細胞はいわば免疫細胞の「司令塔」ともいえる存在です。
わたしたち人間の体内では、毎日5,000個もの癌細胞が新たに発生していると考えられています。通常は免疫細胞がこれらの癌細胞を退治していますが、癌細胞は自身が癌細胞であることを隠し、免疫細胞の攻撃から逃れる場合があります。それを防ぐため、癌細胞の特徴をターゲットにして癌細胞を攻撃する必要があります。これを特異的免疫といい、樹状細胞がその役割を担っているのです。
5種類ある白血球の1つが好中球です。好中球の最大の役割は体内に侵入してきた細菌やウイルスといった異物を駆除することで、身体を感染から守ってくれる免疫細胞であること。好中球による細菌やウイルスに対する防御力が低下すると、感染症を起こし重症化する可能性が高くなります。
癌細胞への攻撃力は、免疫細胞の中でもとくにNK細胞(ナチュラルキラー細胞)が優れています。仮に癌細胞の増殖力がNK細胞を上回っているとしても、免疫力が正常であれば他の免疫細胞が癌細胞を攻撃します。好中球もその1つで、さまざまな免疫細胞と一緒に癌細胞を排除する働きがあります。
細菌やウイルスだけではなく癌細胞も異物として排除し、わたしたちの身体を癌から守っているのです。
NK細胞はリンパ球の一種で、身体の中を常にパトロールしてウイルス感染など異常な細胞を発見すると直ちに攻撃します。外部からの指示を必要とせず、単独で攻撃を開始するためナチュラルキラー(生まれついての殺し屋)細胞と名付けられています。
NK細胞は癌細胞も見つけ次第攻撃します。正常な細胞は表面にある種のタンパク質を持っていますが、ウイルスに感染したり異変をきたして癌細胞化したりするとそれが消えてしまう場合があります。NK細胞はその特徴を判断基準にして攻撃の可否を見極めているのです。
わたしたち人間の体内では、健康な場合でも毎日数千個の癌細胞が発生しています。それでも実際に癌を発症しないのは、NK細胞がその排除に大きく関与しているおかげでもあります。
B細胞はリンパ球の一種。身体の中に侵入した細菌やウイルスといった病原体を排除するために、樹状細胞の指令を受けて必要な抗体をつくり出すという重要な役割を持つ免疫細胞です。また、病原体に反応したB細胞は記憶細胞として残り、再び同じ病原体が侵入した場合には初回よりも迅速に反応することができます。これが予防接種などに応用されているメカニズムです。
抗体は攻撃用の武器としての役割もありますが、本来の特徴は多様な異物の中から目印のある異物を見分けられることです。つまり、抗体は癌細胞のみが持つ物質や、正常な細胞よりも癌細胞に多く出現する物質などを見分けて結合するのです。この作用によって、癌細胞に結合する抗体を目印に集まってきた免疫細胞が癌細胞を攻撃することができるのです。
マクロファージとは人に備わっている免疫細胞の1つで、癌細胞を見つけると自分の体内に取り込み、癌細胞が持つ特徴となる情報を自身の表面に表示します(抗原提示機能)。この情報を基に異物を攻撃する他の免疫細胞(キラーT細胞など)が癌細胞を攻撃、排除するという仕組みになっています。
ところが、ある種の癌の細胞内にあるマクロファージは、この抗原提示機能を持たないために他の細胞も癌を攻撃することができず、増殖してしまうことが分かりました。この発見により、マクロファージの働きが機能していないタイプの癌(免疫チェックポイント阻害薬が効果を表さない癌)に有効な免疫療法も見つけることができるのでは、と期待されています。
「代替療法」とは、現在エビデンスが確立されている治療法に代わる療法、つまり科学的根拠が示されていない治療法のことで、癌治療を行っている患者の中にもそのような治療法を試してみたいという人、あるいは実際病院で受けている治療と併用しているという人も少なくありません。癌の代替治療の代表的なものとしては、サプリメントなどの健康食品、運動療法、鍼、漢方薬、ヨガなどがあげられます。
現在がん治療効果を発揮すると考えられるエビデンスがないため、病院で選択されることはありませんが、例えば鍼や灸、漢方薬などは専門機関に行けば受けることができます。とは言え、主治医には代替療法を受ける前に相談する必要があるでしょう。
「造血幹細胞」とは赤血球や白血球などの血球の元となる細胞で、骨髄の中に存在しこの中で分化することでそれぞれの役割を持つ血球に成長していきます。
白血病などの血液の癌はこの分化の過程でエラーが起こり、未成熟な白血球細胞が増殖してしまう病気であるため、化学療法や放射線療法が主要な治療法となるのですが、これらの治療法は正常な血球細胞までも攻撃してしまいます。そこで造血幹細胞を移植して正常な血球細胞を減らさないようにするのが「造血幹細胞移植」というわけです。造血幹細胞移植の中でも他の人の造血幹細胞を移植する「同種移植」なら、移植されたリンパ球が患者の癌細胞も攻撃してくれるため、さらなる抗がん効果を発揮すると期待できます。
2020年1月、東京工業大学により「液体のりの主成分が放射線治療の効果を向上させる」との発表(※)があり、新たに癌治療の研究に光明が差しました。
この研究で使用されたのは、液体のりの主成分である「ポリビニルアルコール」。癌細胞を攻撃するという「ホウ素中性子捕捉療法」を行う際に、ホウ素化合物にポリビニルアルコールを結合させて体内に注入すると、従来より長くホウ素が癌細胞に留まることが分かりました。
癌細胞にホウ素を集積させ、そこに中性子を照射することで体の中から放射線を発生させます。これにより中性子の照射による抗がん効果が高まり、マウスによる実験では癌細胞すべてが消滅したという結果を得ることができたとのこと。この実用化に向けて、引き続き安全性や副作用などの研究が行われています。
参照元:東京工業大学HP (https://www.titech.ac.jp/news/2020/046060)
がん治療中は化学療法や放射線療法により免疫機能が極端に低下していることが多く、とくに通院で癌治療を行っている人はその間感染症に十分注意しなければなりません。通常の健康な状態であれば免疫力により発症したり重症化したりしないような感染症でも、がん治療中は命に関わる病気となってしまう危険性があるからです。常日頃から衛生管理を徹底し、できるだけ人ごみを避けるなどの予防法を心がけましょう。とくに毎年必ずと言って流行するインフルエンザには要注意。癌患者がインフルエンザにかかって死亡する例は健康な人の3.1倍との統計結果も出ているため、感染しないよう手洗いうがいを徹底し、感染した場合にはすぐにかかりつけ医を受診する必要があります。
そもそも人は、若くて健康な状態でも体内で毎日数百もの癌細胞を発生させていると言われています。それでも癌を発症しないのは、生まれ持っている自己免疫機能のおかげ。体内にはさまざまな免疫細胞が存在し、協力体制で癌細胞を始めさまざまな異物と闘い、排除してくれているのです。従って、がんの治療中はもちろん、再発予防のためにも免疫力を高めることは非常に大切と言えます。免疫細胞の約6割は腸内に存在するとされており、腸内環境を整えることは免疫力をアップさせる良い方法です。
また免疫細胞は体温が低くなると働きが鈍くなるため、体を温める工夫も必要になるでしょう。さらに免疫力アップをサポートしてくれる食材を使い、栄養バランスの良い食事を摂るのもおすすめです。
自然災害の多い日本において常に緊急事態に備えておくことはとても大切ですが、とくに癌の治療中であればなおさらのこと、万が一に備えて今から準備をしておくことは必須です。というのも、大規模な自然災害が起こった場合、医療機関は平常時のように機能しなくなるからです。そんなパニックの中、さらに癌治療まで続けなければいけないというのは並大抵のことではありませんし、今までのように誰かの助けを待つこともできない可能性があります。そのため今できる準備として、自分が受けている治療についての情報をまとめたものや必要な薬、器具などをワンセットにした非常用持ち出し袋を用意しておくこと、また緊急時にどうすれば良いかを主治医や家族と相談しておくことをおすすめします。
「妊孕性温存」とは、がん治療などにより妊娠する能力が失われたり弱まったりしないよう生殖能力を温存することを言います。例えば抗がん治療や放射線療法により精子をつくる機能が悪くなったり卵巣にダメージを与えて無月経になったりすることがあり、そうなってしまうと子どもを授かることができなくなってしまいます。
妊娠できない状況を回避するために、男性であれば治療前に精子を凍結保存しておくこと、女性であれば卵子や受精卵、あるいは卵巣組織を凍結保存しておいて、治療後妊娠が可能になった時点で患者の体内に移植するという方法が採られる場合があります。とは言え、癌治療が急を要するケースでは妊孕性温存を行う時間が取れないなど、何らかの理由で妊孕性温存ができないケースもあるのです。
癌治療に関係する不安の中でも、経済的な不安は見過ごすことのできない問題点。一般に保険診療内の治療だけでもがん治療には3割負担で100万円ほどかかると言われています。加えて、これまで働いていた人なら今までのような収入が見込めなくなる可能性も。そこで利用したいのが、公的医療保険が提供している「高額医療費制度」や「所得税医療費控除」、生活費を補助する「傷病手当」、また国民年金・厚生年金が提供している「障害年金」といった公的支援制度です。
これらの制度をうまく利用すれば、かなりの程度出費を抑えることができ、助成金を受けることもできます。自分の場合、何をどのように利用すれば良いのか分からない場合には、がん相談支援センターで相談すると良いでしょう。
癌の治療が始まっても仕事は続けたい、あるいは休職し治療後に復職したいと考えている人は少なくありませんが、職場の理解が足りなかったり病状からして業務を行うことが難しかったりして、思うようにいかないケースは珍しくありません。
労働基準法で従業員を不当解雇から守る法律は定められていますが、休職制度や癌患者をサポートする制度の有無、復職の方法などは各職場によって異なるため、まずは就業規則を確認し、上司や人事部とよく話し合う必要があるでしょう。
あるいは転職や再就職をすることに決めた場合には、癌に対しての理解を示し、働きやすい環境を整えてくれる職場を見極める必要があります。転職支援を専門とした機関を利用してみてください。
もし、自分の家族やパートナーが癌になってしまったら。孤独に感じさせることがないように声をかけたいのに、言葉が見つからない…という方も少なくないでしょう。
本人は激しく動揺し、悲しみのあまり人生に絶望しているかもしれません。それは、癌の転移や再発を医師から告げられたときも同じです。どうにかして寄り添いたいと願うものの、かける言葉が見つからないというのが本当のところかもしれません。
患者本人にとって、かけがえのない家族やパートナーは心強い存在に違いないはず。ただ、それでも自分が将来どうなるのかを思えば心は千々に乱れ、気持ちを落ち着かせるのは困難です。
そんなときに大切なのは傾聴すること。最初にすべきは、どんな言葉をかけようかと悩むよりも、本人の話をじっくりと聞いて受け入れていくことなのです。
現在は本人にも癌を告知するのが当たり前という風潮になりつつありますが、そうなったのはここ20~30年のこと。以前は本人を動揺させないために、家族と主治医の間だけの秘密とされていた時代がありました。「患者の知る権利」が広く浸透した今、たとえ進行癌であっても多くの人が告知を受けています。
こうした時代の変化は、家族やパートナーにとっても非常に大きな問題です。どうやって本人に癌を告知し、どのようにそれを共有していくか。本人とともに癌と戦っていくスタート地点における、ある意味では関門ともいえます。
ただでさえ医師から自分の身体のことを聞くのは緊張するものですが、それが癌の告知ともなると患者本人のショックは計り知れません。家族やパートナーの支えが必要不可欠だと考えられるでしょう。
セカンドオピニオンという言葉が広く用いられるようになりましたが、直訳すると「第二の意見」です。自分に合った効果的な治療を探してセカンドオピニオンを希望する人は増えています。患者自身がインターネットなどで多くの情報を得られるようになったこともありますが、癌治療そのものが進化し多様化しているという背景も影響しているのは間違いありません。
誤解している人も多いようですが、セカンドオピニオンは決して主治医を変更したり転院したりすることを目的としたものではありません。主治医以外の医師の意見を聞くことで、患者さん自身が納得のいく治療を受けられるようにするためのものです。
つまり、他の医師ならばどう考えるのかという意見を主治医のもとに持ち帰って、治療を続けるのが基本的なセカンドオピニオンの在り方になります。
癌患者さんの闘病生活を支えていく家族にとって、仕事と介護の両立は大きなテーマです。
そこで検討したいのが、介護休暇や介護休業の取得。この制度ができてしばらく経ちますが、まだまだ社会に浸透しているとはいえない状況のようです。
一定の条件を満たせば、介護休暇は1年に5日間まで、介護休業は通算93日間まで取得することができます。介護する側が心身を休める暇がなかったり、体力の限界を感じたりした場合は、この制度の活用を検討してください。共倒れだけは避けなければなりません。
本人の闘病生活をメインでサポートできるのは家族やパートナーだけです。自分の仕事も維持しながら本人を支えていくために、介護休暇や介護休業の取得について考えてみましょう。
癌患者さんの療養生活をサポートするのは家族の大きな役割です。
近年では癌治療が飛躍的に進歩し、従来のような長期入院の機会が減った代わりに通院治療の割合が増えています。とくに抗がん剤治療などは通院がメインになりつつあります。つまり、自宅で療養生活を送る癌患者さんが多くなっているということです。
自宅療養の良いところは、入院生活に比べて本人の精神的ストレスが格段に少ないことでしょう。住み慣れた自宅で家族とともに過ごす時間を大切にしながら、自分らしい生活を送ることができます。その反面、通院に伴う移動の負担や、症状が突然急変した場合、感染症予防などの対処を考えておかなければなりません。
療養生活を送る癌患者さんをサポートするために、心得ておくべきことを整理しておきましょう。
それほど重くない病気や怪我であれば、気軽にお見舞いすることができるかもしれません。しかし、病気が癌だとしたら話は変わってきます。本人もお見舞いする側もちょっと身構えてしまうかもしれませんね。病気が病気だけに言葉選びを間違えるわけにはいかない、でも気を遣いすぎてもいけない…そんなふうに悩むこともあるでしょう。
癌患者さんの場合、友人や仕事関係の人であれば本人が希望しない限りはお見舞いを控えたほうがよい場合があります。
高齢化社会を迎えたわが国では、癌と認知症を同時に患うケースが少なくはありません。具体的な数字を挙げると、国民の2人に1人が癌になる可能性がある中で、2025年には認知症患者が700万人に達するといわれています。
認知症が進行して本人に判断能力がないとされれば、治療に対する同意は家族に委ねられることになります。それだけではなく、実際の治療や療養生活にも支障が出てくるでしょう。近年は抗がん剤治療や放射線治療も通院で可能になるほど癌治療が進歩していますので、通院のための移動の支援や副作用への対処も家族が行わなければなりません。
高齢であれば高確率で起こる癌と認知症の合併、家族やパートナーはどのようにサポートしていくべきかを考えておく必要があります。
せん妄は意識障害の一種です。あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、癌患者さんの多くに起こる症状だといわれています。
脳や身体の不調や癌治療の副作用として発生し、ぼんやりしたり時間や場所がわからなくなったり、幻覚や妄想、興奮状態などでおかしな言動をとったりします。一見認知症や躁うつ病のように思えるかもしれません。しかし、せん妄はそうした病気とは本質的に違い、時間単位でも症状が変動する一方で、適切な治療を受ければほとんどの場合は回復します。
せん妄に陥ってしまった本人の姿を目の当たりにするのは、家族やパートナーにとってショックでしょう。しかし、せん妄の症状を理解したうえで対応できれば、きっと冷静に向き合うことができるはずです。
肌荒れは癌治療の代表的な副作用の1つで、とくに女性にとっては悩ましい問題だと思います。その部位や程度によっては人目を気にせざるを得ない場合もあり、対人恐怖に陥る、鏡を見ることが怖いなど日常生活にも支障をきたすかもしれません。
癌闘病中の肌荒れの理由は、その多くが抗がん剤治療や放射線治療の副作用だと考えられます。治療が正常な細胞にもダメージを与えてしまうため、皮膚や爪の新陳代謝を促す細胞の働きが弱くなってしまうのです。
こうしたスキントラブルは症状がゆっくり出てくるため、気づかないうちに悪化してしまうことも珍しくありません。こまめな観察が必要です。そして、スキントラブルを完全に防ぐことはできなくても、適切なケアを行なえば症状を軽減させることが可能です。
寝つきが悪い、すぐに目が覚めてしまう、いわゆる不眠の症状ですが、多くの癌患者さんがこうした睡眠障害に悩まされています。癌を告知されたショックをはじめとして、治療の副作用や環境変化、ストレスや不安など、原因を数え上げればきりがありません。また、不眠を自覚していなくても、身体を動かすのがつらい、集中力が続かないなどの倦怠感を覚えて生活に支障をきたしているようであれば、もしかすると睡眠障害が原因かもしれません。
対策としては本人に合ったさまざまなリラックス方法や、睡眠導入薬を服用する方法などがあります。でも、いちばん大切なことは「眠れなくても無理をしない」ということ。何とかして眠ろうとするあまり、目が冴えて逆に眠れなくなることもよくあるのです。
たとえ癌になったとしても、自分らしく生活したい、好きなことを楽しみたいというのは多くの癌患者さんの願いです。旅行をしたいというのもその1つかもしれません。
癌の闘病中でも、体調が許すのであれば旅行に出かけることは可能です。主治医と相談しながら無理のない旅行計画を立ててみてはいかがでしょうか。
とある研究によると、旅行がもたらすストレス解消は健康増進にもつながり、医学的にも非常に大きな意義があるということです。精神的な幸福感も高まります。さらに、癌細胞と戦う免疫細胞「NK細胞(ナチュラルキラー細胞)」が、旅行出発の時点から活性化するという報告もあるのです。旅行は気分転換だけではなく、健康効果も期待できるということです。
腎細胞癌の治療は手術が基本で、それは癌が進行していても同様です。また、抗がん剤を投与しても腎臓自体の機能で成分が体外に排出・代謝されてしまうため、化学療法も効果が期待できないとされてきました。
しかし、近年では進行腎細胞癌の治療薬として多くの分子標的薬が開発・実用化され、予後の改善もみられるようになっています。進行腎細胞癌に適応がある分子標的薬はすでに4種類が実用化されていますが、そこに新たに登場したのがカボザンチニブです。
カボザンチニブが効果を期待されているのは、既存の血管新生阻害薬の効果がなかった腎細胞癌の患者さんです。このような腎細胞癌に対しては、mTOR阻害薬エベロリムスが用いられていましたが、カボザンチニブはエベロリムスの2倍に及ぶ効果があるそうです。
原発不明がんの新たな治療法となるか?分子標的治療薬オプジーボの有効性とは
近畿大学医学部の研究チームは、治療開発が困難とされる原発不明がんに対して、分子標的治療薬オプジーボの有効性を証明(※)することに成功しました。
通常の臓器がんであれば、当然ながら肺がんであれば肺に、胃がんであれば胃に原発巣が存在します。しかし、原発不明がんはその名のとおり、原発巣がどこかわからないままリンパ節や肝臓などに転移して全身に広がります。
診断されたときにはすでに進行しており、予後も不良となってしまいます。そもそも診断も難しく、さまざまな病態の患者さんが存在するので、治療開発が進んでいない現状がありました。
そこで、同チームによる医師主導の臨床試験が国内10施設で行なわれました。その結果、32%の患者さんでがんを6カ月以上制御することに成功したことをはじめ、原発不明がん患者さんの20%以上において、広がったがんの半分以上が縮小したのです。治療が困難ゆえに「みなし標準治療」とされる抗がん剤の併用療法と比較しても、この臨床試験の効果は良好でした。何より、オプジーボの最大の特徴ともいえる長期間の延命効果が、原発不明がんでも期待できる可能性がみえたのが本研究の大きな成果でしょう。
確固たる標準治療が存在しない原発不明がんにおいて、分子標的治療薬オプジーボが標準治療となることに大きな期待が寄せられます。
※参照元:近畿大学HP (https://www.kindai.ac.jp/news-pr/news-release/2020/05/029125.html)
唾液で癌のリスクを調べることができるのをご存じですか?慶應大学発のベンチャー企業が開発した検査キット「サリバチェッカー」を使えば、血液ではなく唾液の検査なので自宅にいながら癌のリスクを調べることができると言います。
身体の中でつくられる代謝物は唾液にも含まれており、その中には癌細胞で濃度が上がる物質があります。それを人工知能で解析し、臨床研究データをもとに癌のリスクを弾き出すのが、この検査のメカニズムです。
唾液は血液や尿と違ってどこでも採取できるので、検査を受けやすいのがメリット。早期発見に役立つかもしれません。
癌の治療にあわせて知っておきたい心や体のケア方法について紹介しているページです。癌の治療においては「癌を治す」ということが第一優先ですが、治療にあわせて行う体のケアが注目されています。さまざまなケアを分かりやすく解説しています。
大切な人が癌になってしまった。そのとき家族ができることは何か、きっと悩んでしまうでしょう。癌患者さんの家族は「第二の患者」。本人とともに癌と闘っていかなければなりません。ここでは癌患者さんと向き合う家族の心構え、そしてやるべきことをまとめています。
新しい癌治療薬の開発にもつながった本庶佑(ほんじょたすく)教授の「PD-1」発見。この功績が認められ2018年10月、本庶教授はノーベル賞を受賞しました。本庶教授のノーベル賞受賞のニュースやPD-1や新たながん治療薬オプジーボについて解説しています。