闘病中の人々を高度な医療で支える、獨協医科大学病院
1974年7月に開院した獨協医科大学病院。高水準な知識と技術を持つ優秀な医師を育成するとともに、高度な医療を提供できる「特定機能病院」として病と闘う人々を支えています。
獨協医科大学病院では、大学病院としての総合力を十分に発揮したがん診療を推進するため、旧腫瘍センターを改組して新たに総合がん診療センターが設立されました。そのセンター長・教授として着任したのが石濱先生です。長きにわたって臨床腫瘍学と化学療法を専門としてきた、がん診療のエキスパートといえるでしょう。
がん診療に関する論文も数多く上梓しており、患者さんだけではなく同業者である医師からの信頼も厚い石濱先生。組織横断的な存在である同センターの統括を通じて院内のがん診療を支援するだけではなく、自身も化学療法部門の医師として日々多くの患者さんに向き合い続けます。
モットーは「お互いの顔の見える治療」。患者さんの状況をしっかり把握し、その心に寄り添うことを目指しています。
時に「国民病」とも言われる癌は、日本国民の命を奪う原因として多い疾患です。獨協医科大学病院では、癌と闘うすべての人々を支えるべく、院内のさまざまな診療科が臨機応変に連携し、一人ひとりの状態に応じたきめ細やかな医療を提供しています。
例えば、放射線治療や化学療法の最中に合併症として口腔粘膜障害が生じた際は、口腔外科内の専門外来がケアを担当。また、心に苦しみを抱える患者さんに対しては、緩和ケアチームや精神科医によるサポートが行われています。
獨協医科大学病院では、癌に対する集学的治療(さまざまな治療法を組み合わせた治療)を提供。この項目では、転移した癌による症状をコントロールする目的でも行われる放射線治療について解説します。
手術療法、化学療法と並び、癌の三大治療のひとつに数えられる放射線治療。身体にメスを入れないため患者さんの身体的・精神的な負担が少なく、手術治療が難しい高齢の患者さんや全身状態があまり良くない患者さんにも適用できるという利点があります。
獨協医科大学病院では、頭部治療に特化した定位放射線治療装置である「ガンマナイフ」、腫瘍がある部分に小さな線源を置くことで体内から放射線を当てる治療(小線源治療)に用いられる「小線源治療装置」、そして全身さまざまな部位への照射に対応する高精度放射線治療装置「ライナック」を備えています。これらの機器のうち、転移した癌の根治や症状コントロールに用いられることがあるのがガンマナイフとライナックです。
ガンマナイフとは、脳腫瘍などの頭蓋内病変に対して集中的な放射線治療を行える装置です。正確な照射のためには「フレーム」と呼ばれる金属製の機器を頭蓋骨にピンで固定する必要がありますが、開頭手術に比べて遥かに小さい負担で高い治療効果が期待できるという利点があります。
治療が始まると、半球状に配置された多数の線源から微弱な放射線(ガンマ線)が照射されます。放射線は病変の位置で集まるため、正常な部位への悪影響を抑えつつ腫瘍のみを集中的に破壊することが可能です。
※機器によってはフレーム固定が不要なものもあります。獨協医科大学病院で用いられているガンマナイフの詳細な情報については、病院までお問い合わせください。
ガンマナイフによる治療が適用される癌
どのような方法で治療を進めるべきかは、患者一人ひとりの状態によって異なります。転移癌の治療に必ずしもガンマナイフが使用されるわけではありません。ここでは、ガンマナイフによる治療が行われることがある癌の一例について解説します。転移性脳腫瘍
体のさまざまな部位の癌が血流に乗って脳に転移するのが「転移性脳腫瘍」。腫瘍のできた場所によっては麻痺や失語といった症状を生じ、患者さんのQOL(生活の質)に強い影響を与える可能性がある疾患です。
ガンマナイフ治療による転移性脳腫瘍の局所制御率は高く、83~94%が制御に成功すると言われています。ガンマナイフ治療は、患者さんがより自分らしい毎日を過ごすために有益な治療法であると言えるでしょう。
83~94%が局所制御と報告されています。多発、再発、全脳照射後再発でもガンマナイフの対象になります。(中略)転移性脳腫瘍で亡くなるということを負担の少ない治療によって阻止し、その結果有意義な時間がより多くもてれば有効といえます。
引用元:「ガンマナイフについて」山形県立中央病院脳神経外科
http://www.ypch.gr.jp/department/neurosurgery/gamma_knife.html
ライナックは、全身照射のほかに、さまざまな方向から腫瘍を狙って放射する定位放射線治療や、腫瘍の形に合わせて線量を調節する強度変調放射線治療にも対応している治療装置です。癌の部位や形状、進行状態に応じて照射法を変え、患者一人ひとりに適した治療を行うことができます。
ライナックによる治療が適用される癌
ここでは、ライナックによる放射線治療が適用されることがある癌の一例について説明します。骨転移
癌が骨に転移したものを「骨転移」と呼びます。腫瘍が大きくなると、骨折したり、周辺の神経などを圧迫したりして強い痛みを生じることも。患者さんがより充実した日々を送るためには、腫瘍を上手に制御して苦痛を緩和することが大切です。
リニアックによる放射線治療は、骨転移による痛みを和らげるためにも用いられます。
有痛性骨転移に対する外照射は、緩和的放射線治療のなかでは最もエビデンスの得られている領域である。疼痛治療という観点での有効率は、原疾患にもよるが、60~90%である。鎮痛効果は、照射開始後2週程度から出現し、4~8週で最大になると考えられている。
引用元:がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2010年版より「代表的ながん疼痛治療に対する放射線治療」特定非営利活動法人 日本緩和医療学会
https://www.jspm.ne.jp/guidelines/pain/2010/chapter02/02_08_01_02.php
がん患者さんの自宅療養ニーズが高まっていることに伴い、外来化学療法(通院による抗がん剤治療)が全国の医療機関で行なわれていますが、獨協医科大学病院では他院に先駆けて2002年から外来化学療法を開始しています。
2004年には専用室が稼働、2006年には腫瘍センター設立に伴う化学療法部門が組織化され、現在では退院した患者さんが通院で抗がん剤治療をシームレスに受けられるようなしくみが構築されました。外来化学療法に関しては、他の医療機関よりも経験と実績の面において一歩リードしている存在だといえそうです。
2021年4月には外来化学療法専用室を有し、質の高い治療の実施はもちろん、いつも同じ医師や看護師、専門知識を有する薬剤師が常駐していることで安心の提供を心がけているのも基本方針。患者さんの希望や必要に応じて、管理栄養士が出張して栄養指導を受けることも可能です。スタッフ全員が専門的なトレーニングを受けているので、主治医に聞けなかったことや副作用の心配、自宅療養上の問題など、気軽に相談することもできます。
治療を受ける環境も充実しており、リクライニングシートで談笑したり、大型テレビを見たりしながらでも治療を受けられます。患者さんの希望に応じて、静かに治療を受けられるエリアや個室も用意されています。
外来化学療法に移行したからといって、担当の診療科が変わるわけではありません。治療方針の決定や説明も、これまでどおり主治医が行ないます。化学療法部門は専門的ながん治療のサポートや指導、教育、情報教育を行なう立場であり、今まで診てくれていた医師とも変わらずつながっていられるので安心感があるでしょう。
患者さんにとって「頼りになるチームが新たに加わった」と感じてもらえることが化学療法部門の目指すところです。
臓器の固形がんの場合、外科手術は第一選択肢ともいえる治療法です。しかし、身体にメスを入れるということは患者さんにとって大きな負担になります。そのため、手術の安全性の向上や身体的負担の軽減を目指して手術方法は進歩を重ねてきました。その1つがロボット支援手術です。
獨協医科大学病院では2012年10月より前立腺がんに対するロボット支援手術を導入しており、病院全体としてロボット支援手術をさらに推進するため、2018年6月にロボット支援手術センターが設立されました。
現在は泌尿器科、第一外科、第二外科、呼吸器外科、産科婦人科、排泄機能センターでロボット支援手術を導入し、前立腺がんや腎臓がん部分切除、肺がん、縦隔腫瘍、食道がん、胃がん、大腸がん、膀胱がん、子宮がんなどが保険適応とされています。
その他の診療科においても、準備出来次第ロボット支援手術を導入していけるような体制が整っています。
同院で導入している手術支援ロボットは「ダヴィンチXi」という新しいタイプですが、世界各国のメーカーが新しいロボットを開発中です。数年後には「ダヴィンチSP」といった単孔式(手術のために開ける穴がひとつだけで済む手術)のロボットも国内で使用認可が下りる見込みで、外科手術の概念を大きく覆す可能性を秘めているといっても過言ではありません。同センターではこのような医療界の趨勢に遅れることなく常に新しい技術の追求と機器の導入を推し進め、先端的ながん診療の提供を目指し続けています。
獨協医科大学病院で放射線治療を受ける流れについてまとめました。
専門分野である医師の診察により、放射線治療が適切であるかどうかを診断。照射の適応がある場合は、患者さんに治療についての詳しい説明を行い、同意を得てから治療計画の作成に進みます。
CT撮影を行い、治療計画装置を用いてどのような方法で照射を行うかの計画を立て、検証を行います。また、治療に固定具が必要な場合はこの段階で作成。
基本的には、紹介を受けてから2週間以内に治療を開始します。ただし、緊急に治療が必要な場合はその限りではありません。
医師、看護師、放射線技師による説明ののち、放射線技師が照射を実施。なお、治療中にもし不安や苦痛が生じた場合はすぐに対応できるよう、照射室には看護師が同行します。
治療期間中は、週に1度の診察や看護師による問診で経過を確認。このほかにも、医師が必要であると判断した際には随時診察が行われます。
初診時のルールは診療科によって異なりますが、ほとんどの科では予約と紹介状が必要です。病院ホームページの「外来診察医のご案内」を参照し、各診療科に電話で予約を取りましょう。
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獨協医科大学病院 | |
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診療科目 | 心臓・血管内科、血液・腫瘍内科、放射線科など |
診療時間 | 平日9:00~16:30 土曜9:00~12:30 |
休診日 | 土曜日・日曜日・祝日・年末年始 |
所在地 | 栃木県下都賀郡壬生町大字北小林880 |
電話番号 | 0282-86-1111 |
ベッド数 | 一般1,153床 精神42床 |
年間治療患者数 | 年間新規患者数560件、延べ患者数10,660件(2018年 放射線治療実績) |
対応可能な治療方法 | 手術治療、放射線治療、化学療法 |
設備 | 手術支援ロボット「ダヴィンチ」、ライナック、ガンマナイフなど |
URL | https://www.dokkyomed.ac.jp/hosp-m/ |