いちから分かる癌転移の治療方法ガイド

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肺への転移

肺への転移は、食道癌や子宮癌からも見られます。このページでは肺へ転移する場合の特徴や治療方法などをまとめました。

肺に転移するケースとは

肺転移とは、他の臓器や組織で発生した癌細胞が肺に転移してしまうこと。食道や子宮からの転移が多く見られ、血液やリンパの流れに乗った癌細胞が肺に到達することで起こります。食道癌は進行が早いため、様々な器官に転移しやすい癌。子宮癌は肺とは離れた位置にある癌ですが、血液の流れに乗って転移すると言われています。

肺転移の症状

食道癌が転移した時の症状と特徴

食道癌が肺に転移した場合は、咳や胸の痛みが出るようになります。咳が出るのは、転移した肺癌が気管支や肺を刺激するからです。胸の痛みは、肺癌が肋骨や肋間神経に刺激を与えることで起こります。食欲減退や体重減少、疲れやすいといった症状が起こるのは、転移性の肺癌が進行して体力がなくなるため。肺だけでなく様々な癌で共通する症状です。

子宮癌が転移した時の症状と特徴

子宮癌が肺に転移した場合は風邪を引いた時と同じような症状が起こるので、転移に気づかないことがあります。転移によって起こる咳は、癌が肺や気管支を絶えず刺激し続けるため長くしつこいのが特徴です。癌が進行すると血痰や気管支炎になり、胸に水が溜まって肺が小さくなることで呼吸困難を起こすようになります。

大腸癌が転移した時の症状と特徴

大腸癌からの肺転移は、原発巣である大腸から癌細胞が静脈に侵入。血液の流れに乗って、肺で増殖することで引き起こされます。大腸癌の転移の中でも、肺転移は肝臓に次いで起こりやすいと言われています[1]。

癌細胞が原発巣から剥がれ落ち、血液の流れに乗って転移する血行性転移は、細胞と細胞をつなげるために必要とされる細胞間接着分子E-カドヘリンと呼ばれる物質が、何らかの原因で機能異常や分泌量が減少することで引き起こされるのではないかと考えられています。

細胞間接着E-カドヘリン機能と頭頚部癌細胞株を抗E-カドヘリン抗体SHE78-7で処理す ると,E-カドヘリン陽性細胞は接着特性を失い遊離した。転移の第一段階である癌細胞の原発巣からの離脱には,E-カドヘリンの機能抑制が関連していると考えられた。

引用元:(PDF)「癌の浸潤, 転移のメカニズムと早期診断の可能性」頭頸部腫瘍, 1996 [PDF]

大腸から肺へと転移した癌細胞は、肺で増殖するわけですが、転移をしていてもなかなか症状が出にくい点が転移性肺癌の特徴の一つです。例えば、咳が出ていても「風邪かな?」と思いそのままにしていたら、肺癌だったというケースも少なくありません。

癌を経験した方で、1週間以上長引くような咳がある場合には、肺癌が肺や気管支を刺激している可能性もあります。ぜひ、早めに病院で検査を受けましょう。

大腸癌からの転移性肺癌の治療は、他の場所への転移の有無や、肺のどの部分に転移しているかによっても治療方針が異なります。

例えば、原発巣である大腸癌に再発が見られず、肺の摘出可能な場所に癌が広がっているなら、肺の一部もしくは片肺を摘出し、癌細胞を除去する外科手術も検討されます。外科手術と一口に言っても、胸腔鏡手術、胸腔鏡補助手術、開胸手術など複数のアプローチがありますから、医師の判断・説明をしっかりと聞き、必要であればセカンドオピニオンなどを仰いでみてもいいでしょう。

その他、大腸癌から肺へと転移した癌の治療には、外科治療以外に抗癌剤による化学療法、分子標的薬、放射線療法、光線力学療法などが挙げられます。

少し古いデータですが、大腸癌から肺転移を起こす頻度に関する研究報告によれば、大腸癌根治手術後の肺転移は肺転移のみが見られたケースが20.7パーセント、肺と肝臓に転移が見られたケースが51.8パーセント、肺にも肝臓にも転移が見られなかった症例は10.3パーセントだったことが報告されています。原発巣の初回手術時に肺転移を起こしている頻度は、肝転移よりも低いものの、結腸癌からの転移よりも直腸癌からの転移の頻度の方が高いとも報告されています。[2]

このように、大腸癌から肺へと転移することは決して珍しいことではありません。癌治療後は、根治していたとしても経過観察をしっかりとすることで、転移も早期に発見することができるでしょう。

必ず定期健診は受け、ご自身の体調の変化に気をくばるようにしましょう。また、定期健診以外のタイミングでも、何か不安や異変を感じるようなことがあれば、すぐに主治医に相談をするようにしましょう。早期発見につなげることが、肺転移の予後にも大きな影響を与えます。

[1]出典:大腸癌研究会_患者さんのための大腸癌治療ガイドライン2014年版

[2]出典:(PDF) 「大腸癌肝転移・肺転移の頻度と切除の意義」大腸肛門誌,37,1984[PDF]

肺転移の治療方法

食道癌が肺に転移した時の治療法

主に「薬物療法」と「対症療法」が選択されます。

薬物療法は、癌細胞の増殖や破壊を行うために抗癌剤などの薬剤を投与する治療法です。肺を切り取らず温存できたり、入院せずに通院治療できたりするメリットがあります。

対症療法とは、病気に伴う症状を緩和することが目的の治療法。根治を目指すのではなく、辛い症状や痛みによる不快感を取り除くことで、QOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)を高めるために行われます。

子宮癌が肺に転移した時の治療法

癌の大きさや病巣の数を見て、手術か抗癌剤治療のどちらかが行われます。子宮頸癌の場合、「病巣が3つ以下」「腫瘍の大きさが3センチ以下」の時に手術を選択。これ以上数が多い場合は抗癌剤治療を用いて病気の改善を目指します。

肺へ転移癌の治療に対応してくれるクリニック

肺癌の治療方法は患者本人の体力、意思、原発腫瘍ごと、ステージ、タイプにもより異なります。肺癌には大きく分けて「小細胞肺がん」と「非小細胞肺がん」に分かれ、非小細胞肺がんで比較的早期の場合は手術療法、手術が難しい場合には放射線治療が主に選択されます。
小細胞肺がんで比較的早期の場合は手術を行うこともありますが、小細胞肺がんの治療の中心は薬物療法です※1

※1.参照元:国立研究開発法人国立がん研究センター公式サイト(https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/treatment.html

そのほかにも転移の個数や転移の場所、体力で慎重な判断が必要です。まずは専門医のセカンドオピニオンを受けてみてください。
ここでは【外科手術】【放射線療法】【薬物療法】それぞれでおすすめの病院・クリニックを紹介いたします。ぜひ参考にしてください。

【外科手術】でセカンドオピニオンを受けるなら

ここでは、当サイトで治療医師として掲載している日本呼吸器外科学会指導医かつ日本外科学会外科専門医の所属する病院をご紹介します。(2021年11月時点)

東大病院呼吸器外科

呼吸器系の疾患を中心に、ロボット支援下手術も導入

東大病院呼吸器外科は、肺がんや肺腫瘍をはじめ、その他胸壁腫瘍や自然気胸、肺気腫などといった呼吸器系の疾患を中心的に診断・治療する病院。肺がんに関してはロボット支援下手術も導入しており、繊細かつ患者さんへの身体への負担に配慮した手術を可能としています。

在籍している医師:佐藤 雅昭医師
電話番号:03-3815-5411

東大病院呼吸器外科のHPキャプチャ
引用元:東大病院呼吸器外科公式HP(https://www.h.u-tokyo.ac.jp/) 公式サイトを見る

神戸市立医療センター中央市民病院

他科とも連携した胸腔鏡下手術を提供

呼吸器に関しては肺がんから肺嚢胞・気胸、縦隔腫瘍、胸腺腫、重症筋無力症など幅広い疾患に対応している神戸市立医療センター中央市民病院。肺がんは主に胸腔鏡下手術による治療を提供していますが、総合病院ならではのネットワークを活かし、必要があれば他科とも協力を行うなど工夫しているそうです。

在籍している医師:本山 秀樹医師
電話番号:078-302-4321

神戸市立医療センター中央市民病院のHPキャプチャ
引用元:神戸市立医療センター中央市民病院公式HP(http://chuo.kcho.jp/) 公式サイトを見る

【放射線療法】でセカンドオピニオンを受けるなら

ここでは、当サイトで治療医師として掲載している日本医学放射線学会専門医が在籍する癌放射線治療専門クリニックをご紹介します。(2021年11月時点)

クリニックC4

幅広い部位のがん治療に期待できる「トモセラピー」

クリニックC4は、主に新型の放射線機器とされる「トモセラピー」を用いたがん治療を行っています。これは呼吸器のがんを含め、幅広い部位に対して照射が可能なだけでなく、病巣を包み込むように照射するため、適切な範囲を設定しやすいのが特徴です。副作用や痛みなどの身体への負担も少ないと言われていますから、体力的な不安がある方にもおすすめと言えるでしょう。

在籍している医師:青木 幸昌医師
電話番号:03-6407-9407

クリニックC4のHPキャプチャ
引用元:クリニックC4公式HP(https://cccc-sc.jp/) 公式サイトを見る

苑田放射線クリニック

肺がんでは保険が適用される可能性のある治療法も

高精度放射線治療をはじめ、一般的な分割照射法や化学放射線治療など、幅広い治療法を揃えている苑田放射線クリニック。高精度放射線治療の中でも、定位放射線治療(SRT、体幹部に用いられる場合はSBRTと呼ばれる)は肺がんや肝がんでの治療だと保険が適用される可能性があるとのことなので、気になる方は一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。

在籍している医師:齋藤 勉医師
電話番号:03-5851-5751

苑田放射線クリニックのHPキャプチャ
引用元:苑田放射線クリニック公式HP(http://linac.sonodakai.or.jp/) 公式サイトを見る

東京ベイ先端医療・幕張クリニック

早期発見・改善をテーマに、幅広い部位に対応する高精度放射線治療

東京ベイ先端医療・幕張クリニックは、がんに関して診断から治療まで一貫した対応を行っている医院。早期発見・治療をモットーに、高精度放射線を中心とした治療を提供しています。肺がんも含め幅広い箇所へのがんに適応しているため、他部位からの転移についても相談できるでしょう。

在籍している医師:長町 茂樹医師
電話番号:043-299-2000

東京ベイ先端医療・幕張クリニックのHPキャプチャ
引用元:東京ベイ先端医療・幕張クリニック公式HP(https://www.aoikai.jp/tokyobay/) 公式サイトを見る

【薬物療法】でセカンドオピニオンを受けるなら

ここでは、当サイトで治療医師として掲載している日本血液学会血液専門医かつ日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医の所属する病院をご紹介します。(2021年11月時点)

虎の門病院

肺がんの治療実績も豊富な、地域に根差した医院

虎の門病院は「地域がん診療連携拠点病院」、かつ「がんゲノム医療連携病院」として、地元を中心に信頼を集めている総合病院。がん治療に関しては身体への負担が少ない治療法を追求しており、24時間365日体制で細やかに対応にあたっています。様々な専門科を有していることから、肺がん治療の実績も豊富です。

在籍している医師:三浦 裕司医師
電話番号:03-3588-1111

虎の門病院のHPキャプチャ
引用元:虎の門病院公式HP(https://toranomon.kkr.or.jp/) 公式サイトを見る

肺転移について

肺転移は食道や子宮をはじめ、様々な臓器や組織の癌が肺に転移して起こる病気です。肺以外の臓器では癌細胞が定着しにくいため、転移することはそんなに多くありません。一方、肺の肺胞には多くの毛細血管が張り巡っており、血液やリンパの流れに乗った癌細胞が流れ込みやすいという特徴があります。そのため、肺は転移の可能性が他よりも高い臓器なのです。

もし肺に転移があると診断されても慌ててはいけません。進行した癌や転移した癌を治療する医師がいます。癌治療に力を入れている専門医療機関を見つけて、最適な方法で治療をすることが大切です。

肺への転移の場合の痛み

症状としての痛み

がん細胞が血液の流れに乗って肺に達し、肺で生育して出現する転移性肺がんは、症状が出にくい疾患と言われています。

肺がんの症状は、咳や痰、血痰、発熱、胸の痛み、呼吸困難などが挙げられますが、これらの症状は肺がん以外の病気の症状としても見られることがあるため、症状だけで肺がんかどうかを判断するのは難しいと言われています。[1]

肺がんに伴い、初発症状として痛み(胸痛)が見られる割合は、全肺がん患者の約15.8%。全ての方が痛みを感じるわけではないことが過去の研究からも明らかになっています。

初発症状:前例について17.5%は無症状, 9.3%咳嗽,23.7%痰,19.0%血痰,15.8%胸痛,6.3%呼吸困難,5.8%やせ,5.1%倦怠,9.8%熱,4.0%嗄声等である.

調査対象:肺癌全国登録症例(1975・76・77年次4,931例のうち、男性3,770例、女性1,161例)

引用元:『全国集計よりみた肺癌の組織型別臨床統計』肺癌,22(1),1982
https://www.jstage.jst.go.jp/article/haigan1960/22/1/22_1_1/_article/-char/ja/

肺がんの初発症状を調査した別の研究では、胸痛は肺がん患者の方の49%に、骨痛が25%の方に見られたという統計もあります。[2]

また、痛みがある場合でも、肺へと転移したがんのできた場所によっても痛む場所が異なります。例えば、肺尖部(肺の上部)に腫瘍ができている場合、肩や脇の下、腕などの痛みを感じることもあります。また、末梢神経幹が傷つき、灼熱痛と言って、焼けるような痛みを生じるケースもあります。

転移性肺がんによる胸痛の原因は、肺を包む膜や気管にがんが広がり生じる痛みと、肺の周囲にある神経や肋骨にがんが広がることで生じる痛みが考えられます。一般的に、肋骨や神経にがんが広がった場合は鋭い痛みを感じることがあるようです。このようにがんの痛みは、原因もさまざま。がんの進行や腫瘍の大きさなどが痛みと関係しているかというとどうやらそうではないようで、小さいがんだったとしても、骨や神経近くにがんができた場合には痛みを強く感じることがあります。

がん治療に伴う痛み

転移性肺がんの場合、がんの治療はどこから転移してきたがんなのか、他の場所に転移はあるかどうかなど様々な要素をチェックした上で、治療方針が決められます。

体力があると判断された場合には、転移性肺がんも外科手術で腫瘍を取り除くケースがあります。また、化学療法や分子標的薬による治療、放射線療法による治療などが行われることもあります。

手術後の慢性痛や、抗がん剤による副作用など、がん治療が原因で転移性肺がんの治療中に痛みを感じることは大いに考えられます。

転移性肺がんの痛みを取り除くための治療

転移性肺がんに限らず、がんの痛みは治療中約半数の方に、さらに進行がんの患者さんの場合3人中2人が痛みを感じると言われています。

近年、がん治療において痛みの緩和ケアの重要性が認識され、痛み治療に関するガイドラインや患者さんへの情報提供も盛んにされるようになってきました。

がんの痛み治療の中心は、痛み止めによる服薬治療です。WHO方式のがんの疼痛治療法では、痛みを「弱い痛み」「弱い痛みから中くらいの痛み」「中くらいの痛みから強い痛み」の3つに分類。それぞれの痛みの程度に応じた痛み止めを使用します。

最も軽い「弱い痛み」では解熱鎮痛薬を。次の「弱い痛みから中くらいの痛み」にはコデインやトラマドールを。最も辛い「中くらいの痛みから強い痛み」にはモルヒネやオキシコドン、フェンタニルなどの鎮痛剤を用います。[3]

このように、転移性肺がんは、がん腫瘍だけでなく治療中にも痛みを生じることがあるため、がんへの治療に加えて、こうしたがんの痛みに対する治療も非常に重要になってきます。

「肺にまで転移したのだから、痛みは仕方がない。我慢するべきだ」と考えずに、痛みを軽減するための方策を医師と相談して決めていくことで、がん治療の苦痛が緩和され、より良い日常生活が送れるようになるのではないでしょうか?

【参考URL】

参考[1]:国立がん研究センター がん情報サービス『肺がん治療』(2018年1月25日確認)
https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/treatment.html

参考[2]:『患者さんと家族のためのがんの痛み治療ガイド第1章』日本緩和医療学会,2014
https://www.jspm.ne.jp/guidelines/patienta/2014/pdf/01.pdf

参考[3]:『患者さんと家族のためのがんの痛み治療ガイド第3章』日本緩和医療学会,2014
https://www.jspm.ne.jp/guidelines/patienta/2014/pdf/03.pdf

予防やスクリーニングに関する情報

予防

癌には色々な種類があり、それぞれの癌によって原因も様々だとされていますが、特に肺癌ではまず喫煙習慣が肺癌リスクを高めると指摘されています。そのため肺癌の予防として禁煙を心がけることは重要であり、その他にも日々の暮らしの中で複数の予防ポイントを考えることが可能です。

ここでは一般論として肺癌の予防につながると考えられる取り組みなどをまとめていますので、ライフスタイルの見直しの参考にしてみてください。

肺癌を防ぐ生活習慣改善

肺癌リスクは喫煙で高められる他、様々な生活習慣によってリスクが高くなっていくと示唆されています。国立がん研究センターなどが日本人を対象とした癌研究を行ってきた結果として、まず癌の全般的な予防には禁煙や節酒、食生活の改善、適度な運動や体重管理、さらに感染予防といったものが効果的だと判明しています。

そのため、現在のライフスタイルとして飲酒量が多かったり暴飲暴食をしていたり、肥満体型や痩せ過ぎといった人は、生活習慣を見直して健康的なライフスタイルを獲得することが、肺癌を含めた癌全般の予防につながるといえるでしょう。また肺癌予防へ直接に効果がなかったとしても、その他の臓器で癌が発生するリスクを抑えられれば、肺の転移リスクを下げられるため、結果として肺癌予防に貢献します。

節酒

お酒は「絶対に飲んではいけない」というものではありませんが、肺癌の予防という観点から飲酒について考えた場合、「一滴もお酒(アルコール飲料)を飲まない」ということがベストな対策となります。

肺癌のリスクが喫煙によって高まることはすでに述べましたが、飲酒もまた様々な癌のリスクを高める危険因子でもあります。日本人の男性患者を対象とした研究では、日本人男性の癌のおよそ13%が1日2合以上の飲酒によって引き起こされた可能性があると示唆されています。女性についても飲酒による発癌リスクが高まる上、体質的には女性の方が男性よりアルコールの影響を受けやすいという報告もあり、いずれにしても可能であればお酒を止める(禁酒・断酒)ことが癌リスクのコントロールには必要です。

なお、どうしてもお酒をゼロにできない場合でも、飲酒量を抑えて飲まない日を設けたり、飲酒する場合もアルコール度数の低い種類のお酒を選んだりする配慮が欠かせません。

参照元:がん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防

食生活の改善

がんを予防するため、「これを食べていればがんにならない」というもの現在のところ存在しません。偏食はしないよう心がけ、さまざまな栄養素をまんべんなくとるよう意識しましょう。日々の食生活は減塩を意識して、塩分の取りすぎには注意するようにしてください。

厚生労働省が定めた「健康日本21(第二次)」では、野菜は1日あたり350g摂取することを目標としています。果物も合わせた目安量としては、野菜を小鉢5皿分・果物1皿分を食べると、約400g摂取できます。

参照元:がん情報サービス

また、塩辛い食べ物や油脂分の多い食べ物を頻繁に食べている人は、高血圧症や高脂血症になりやすく、また塩分過多の食事によって癌のリスクが高まるということも知られています。加えて野菜や果物をあまり食べず、肉類や穀類ばかり食べるといった偏食も不健康な生活習慣の1つとして無視できません。

日常的に取り組むべき食生活の改善には、塩分摂取量を抑えた減塩メニューの採用や、野菜や果物を含めて栄養バランスの良い食事メニューの採用といった方法が考えられます。

また食事の内容や種類だけでなく、口に入れるものの「温度」に関する配慮も肝要です。

温度の高すぎる食べ物や飲み物は、その熱で口内や食道の粘膜が火傷するといったダメージを負ってしまうため、適度に冷まして口に入れるようにしましょう。

公益財団法人長寿科学振興財団によると、がん予防のための食事は、バランスのよい食事が基本とされています。がん予防のための食事については、以下をご覧ください。

参照元:公益財団法人長寿科学振興財団公式サイト
適度な運動

国立がん研究センターが行った癌研究によれば、普段から運動したり仕事で体を動かしたりしている人ほど、身体活動量の少ない人に比べて癌リスクを低下できるというデータが報告されています。また適度な運動を継続することは心肺機能の維持向上にも寄与するため、肺機能の健全性を長く保とうとする上でも適切な運動習慣を取り入れることは重要です。

具体的な運動量の目安としては、厚生労働省が「健康づくりのための身体活動基準2013」において示しており、例えば以下のような身体活動の内容や量が推奨されています。

大切なのは無理のない範囲で運動を継続していくことであり、あまり運動をしてこなかった人は散歩やウォーキング、ラジオ体操といった軽度なものから始めるようにしてください。

参照元:がん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防

体重管理

男女を問わず肥満傾向の人や肥満の人、あるいは痩せ過ぎで体重が減りすぎている人などは癌による死亡リスクが高いとされており、さらに体重と喫煙習慣は相互に関連しているという点も重要です。

まず男性で喫煙習慣のある人の場合、痩せ過ぎ体型は癌の死亡リスクを増大させるとされています。一方、女性では肥満の人ほど死亡リスクが高まるとされ、適正体重にある人よりも25%も高リスクであるという報告があります。

自身の体重が適正範囲にあるかどうかを考える指標として、身長と体重の数値から算出する「BMI値」が使用されており、BMI値が男性であれば「21~27」、女性では「21~25」の範囲に収まるよう体重管理をすることが大切です。

なおBMI値を求める際は以下の公式にご自身の体重(kg)や身長(m)を当てはめてください。

参照元:がん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防

感染予防

日本人の癌の原因として、女性患者では第1位、男性患者でも喫煙に次いで第2位となる要因が「感染」です。

感染による癌リスクは、例えば肝炎ウイルスに感染することで慢性的な肝炎などが引き起こされて癌化したり、ヒトパピローマウイルス(HPV)へ感染することで婦人科系の疾病にかかりやすくなって子宮頸癌を発症したりといった複合的な要素で生じます。

そのため癌予防として感染予防を心がけることは有効であり、例えば胃癌の危険因子になるピロリ菌の感染について病院で検査を受けたり、子宮頸癌ワクチン(HPVワクチン)の定期接種によってHPVの感染リスクを抑えたりといった方法があります。

特に肺癌の予防として禁煙を意識

喫煙は肺癌の危険因子とされており、喫煙者と非喫煙者の癌発生率を比較した場合、男性であれば4.4倍、女性であれば2.8倍の割合で肺癌になっていることが発表されています。

またタバコを吸い始めた年齢が若く、日々の喫煙量が多い人ほど肺癌リスクが高まるとも指摘されており、同時に本人がタバコを吸っていなくても周囲に喫煙者がいることで受動喫煙の影響を受けている場合、やはり肺癌リスクが高まると指摘されている点も見逃せません。

そのため自分自身の肺癌予防として禁煙を心がけることはもちろん、家族や周囲の人の肺癌リスクも軽減しようと思えば、やはり禁煙によって受動喫煙の発生を防ぐことも効果があると考えられるでしょう。

喫煙は肺がんの危険因子の1つです。喫煙者は非喫煙者と比べて男性で4.4倍、女性では2.8倍肺がんになりやすく、喫煙を始めた年齢が若く、喫煙量が多いほど肺がんになる危険性が高くなります。受動喫煙(周囲に流れるたばこの煙を吸うこと)も肺がんになる危険性を2~3割程度高めるといわれています。喫煙していない人や受動喫煙の影響を受けていない人でも肺がんになることもあります。

引用元:がん情報サービス|肺がん 予防・検診

スクリーニング

スクリーニングとは、現時点で癌と診断されていない人の体内を様々な方法で検査して、癌の発見を目指すための方法の総称です。一般的に癌検診や肺癌検診で実施される検査をスクリーニングとして考えることが可能であり、スクリーニングによって癌の早期発見が叶えば治療効果や治療後の生存率を向上できる可能性が高まります。

ここでは一般的に肺癌のスクリーニングとして利用されている検査方法や、将来的に発展性が期待されているスクリーニング方法などをまとめて紹介していますので、参考にしてください。

自覚症状がない時点におけるスクリーニングの重要性

肺癌は早期の自覚症状がない癌であるため、普段の生活で肺癌だと自分で早めに気づくことは困難です。そのため肺癌のスクリーニングや検診は自分が健康であると思っている時点で受けることが大切であり、さらに血痰や咳、声のかれ、胸痛といった症状が気になれば速やかに医師の診察を適切に受けることが重要です。

検診で早期に発見して治療することにより、肺がんで亡くなることを防ぐことができます。検診は自覚症状がないうちに受けることが大事です。早期の肺がんは自覚症状がありません。
血痰、長引く咳、胸痛、声のかれ、息切れなどの症状がある場合には検診ではなく、すぐに医療機関を受診してください。

引用元:がん情報サービス|肺がん検診について

胸部X線検査(レントゲン検査)

胸部X線検査はいわゆる「レントゲン検査」であり、肺癌のスクリーニングとして一般的に利用されている方法です。

放射線の1種であるX線を患者の体の外側から照射して、胸部全体の様子を撮影することがポイントです。そのため胸部X線検査(レントゲン検査)では大きく息を吸い込み、肺を膨らませた状態で撮影します。

得られた結果は撮影画像として取得され、医師がその画像を確認しながら肺の内部にある病変や炎症などをチェック。胸部X線検査のみで肺癌であると確定することはできないため、レントゲン写真に異常や気になる点が認められた場合、さらに肺癌のスクリーニングを進めていくという流れです。

喀痰細胞診

喀痰細胞診とは、「痰(たん)」の中に含まれている細胞を採取して、その状態を病理医がチェックすることで肺癌の可能性を診察する検査です。なお喀痰細胞診は基本的に胸部X線検査と併用で行われる上、そもそも喀痰細胞診によって肺癌のスクリーニングを実施できる人の条件が限られていることも見逃せません。

喀痰細胞診の有効性が認められている人は、年齢が「50歳以上」、さらに日常的に喫煙習慣があり、以下の公式によって算出される「喫煙指数」が「600以上」になる人となります。なお喫煙については現在の喫煙習慣の有無を問わず、過去にタバコを吸っていた人も対象です。また加熱式たばこに関しては「喫煙本数」を「カートリッジ本数」に替えて計算します。

上記の条件に当てはまらない人に対しては、喀痰細胞診の効果がないため実施する必要がありません。

※参照元:がん情報サービス|肺がん検診について(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/lung.html

胸部CT検査

胸部CT検査は一般的に肺癌の精密検査と呼ばれるスクリーニングの1つであり、胸部X線検査や喀痰細胞診によって肺癌の疑いがあるとされた場合に、改めて肺の内部を診察するために実施されます。

胸部CT検査ではCT画像診断装置とX線を使って、胸部X線撮影の時よりも詳細かつ立体的に肺の内部を画像化して断面図を取得することが可能です。なお胸部CT検査は肺癌のスクリーニングだけに使用されるのみならず、放射線治療などを実施する際には治療計画用CTを使った画像診断も行われます。

気管支鏡検査

気管支鏡検査も肺癌の精密検査の1つであり、患者の口や鼻から気管支鏡を挿入して、肺癌の疑いのある病変部位を医師が直接に観察します。また必要に応じて対象部位から細胞を採取し、それを病理医が顕微鏡下で観察して腫瘍の悪性などを診断するという流れです。

血液検査・腫瘍マーカー

肺癌の検診などでは血液検査によって癌リスクをチェックすることもあります。方法としては、肺癌に特有の物質(腫瘍マーカー)が患者の血中にあるかどうかを検査するものであり、腫瘍マーカーの数値によって肺癌が発生しているかどうかを推定。ただし、血液検査や腫瘍マーカーによる肺癌検診はそれだけで確定診断とできるものでないため、あくまでも胸部X線検査や喀痰細胞診などの補助的検査として行われることもポイントです。

腫瘍マーカーは肺がんと診断された後に補助的役割を果たします。治療効果の目安であったり,経過観察中の再発を疑うときの参考値となります。将来的には血液中にがん細胞由来の遺伝子が流れ出ているかどうかを調べるなどの検査が可能になるかもしれませんが,少なくとも,いま肺がんにかかっているか,あるいは将来的に肺がんになりやすいかどうかということを血液検査では確定できません。肺がんの診断では画像診断や組織診断が必須になります。

引用元:特定非営利活動法人日本肺癌学会

尿検査

検査者の尿に含まれている成分を分析して、肺癌のリスクを検討するという尿検査によるスクリーニングを実施している医療機関なども存在しています。

スクリーニング検査をするリスク

肺癌のリスクを具体的に発見したり、肺癌であると確定診断を出したりするためには画像診断や細胞診といった検査が必須ですが、そもそもスクリーニングを実施することにもリスクがあることは無視できません。

スクリーニングのリスクとしては、直接的に肉体へ負担をかけるリスクと、結果の内容によって間接的に発生しうるリスクの大きく2つが考えられます。

偽陰性によるリスク

偽陰性とは、文字通り「偽物の陰性」であり、本来であれば陽性として診断されて然るべき患者がスクリーニングの検査結果で「陰性」と誤って診断されてしまっている状態です。あらゆる検査において偽陰性は起こり得ますが、偽陰性は実際には癌であるにもかかわらず、癌を見落として適切な治療のスタートを遅らせるリスクへつながります。

定期的に肺癌検診などを受けていたとしても、偽陰性によって精密検査や治療が必要ないと判断されてしまえば、結果として深刻な状態になるまで癌に気づけなくなる可能性が高まるため、肺癌のスクリーニングは複数の方法を併用して多角的に結果を検証しなければなりません。

偽陽性によるリスク

偽陽性は偽陰性の反対であり、本来は陰性になるべき人が「陽性」として診断されてしまう状態です。偽陽性は患者の体内に癌がないにもかかわらず「癌の疑いあり」と判断される根拠になり、その後の精密検査などが必要となります。

偽陽性は偽陰性よりも癌を見落とすリスクがないという点でまだマシと考えられがちですが、偽陽性の結果によって本来は不要なCT検査や気管支鏡検査を行ったことで、別の副作用リスクなどを生じさせる危険があります。また自分が癌であると思い込むことで、過度なストレスによる悪影響が生じることもあるでしょう。

検査による身体への負担

胸部X線検査やCT検査では放射線を使用するため、基本的に被曝ダメージは少ないとされているものの、やはりその影響はゼロでありません。また気管支鏡検査で組織や細胞の一部を採取した場合、出血や痛みが生じたり、そこから感染症が引き起こされたりといった合併症・偶発症のリスクもあります。

その他にも血液検査で注射針を腕に刺した結果、思いがけないトラブルが偶発的に起きる可能性もあります。

遺伝子検査

癌といっても複数の種類があり、また同種の癌であっても患者の体質や年齢などによってその病態は多種多様です。そのため各患者に対して治療の有用性を高める方法として、患者の体質(遺伝子)をあらかじめ解析し、そのデータにもとづいた「個別化治療」をプランニングする研究が行われています。

癌の遺伝子検査は、すでに一部の癌において標準治療の一環として認められており、医師が必要と判断すれば保険診療で遺伝子検査を受けることが可能です。

遺伝子検査とは?

動物も植物もあらゆる生き物は遺伝物質によって生命活動の基盤が構築されており、遺伝子は特定の機能単位ごとにまとめられた遺伝物質の集団です。そして現在、癌研究の発達により、特定の遺伝子の変異が癌の発生や悪化に関与していることが知られています。

そのため患者の遺伝子を科学的に解析することで、患者が生来保有している遺伝子構成をチェックし、癌リスクの高い遺伝子の有無や、どのような遺伝子変異型のパターンを有しているのかといった情報を取得することが可能となります。

なお遺伝子検査では少数の遺伝子のみを調べる方法だけでなく、複数の遺伝子について一括で検査する「がん遺伝子パネル検査」といった方法もあり、目的や条件に合わせて実施されていることも特徴です。またそのような遺伝子検査を行って癌リスクや発症傾向の検証、あるいは予防対策やメンタルケアなどにつなげる取り組みを「遺伝子カウンセリング」と呼びます。

がんの診断

慢性骨髄性白血病など一部の癌においては原因となる遺伝子変異(癌遺伝子)が特定されており、その有無によって癌の確定診断を行うことがあります。

特に腫瘍組織を生検などで採取しにくい血液の癌においては、癌診断に遺伝子検査が採用されることもポイントです。

ただし注意すべき点として、癌遺伝子を有しているからといって、必ずしもその患者がすでに癌であるとは限らないことも覚えておきましょう。

薬が効きそうかの診断

肺癌では手術や生検によって採取した患者の組織から遺伝子検査を行い、例えば以下のような癌遺伝子についてチェックします。

これらは過去の研究によって癌の発生や病態に関連していると解明されている遺伝子であり、上記の遺伝子について対象の患者がどのような変異パターンを持っているかによって有効な治療薬も異なるという点が肝要です。

言い換えれば、患者の遺伝子タイプに応じて治療効果や安全性を期待できる抗がん剤を比較検討できるため、癌治療の品質を高めると共に、より少ない治療回数で患者の負担を軽減できるといったメリットがあります。

参照元:がん情報サービス|がん医療における遺伝子検査 もっと詳しく

副作用が出やすいかの診断

肺癌の治療で使用される抗がん剤の1種に「イリノテカン」という細胞障害性抗がん薬がありますが、これは体質によって副作用の発生率や強度が変わるといった特性を持っています。そのためイリノテカンのような抗がん剤を使用する際は、事前の遺伝子検査で副作用のリスクについて検証しておき、ハイリスク患者に対しては他の治療薬を検討したり、イリノテカンの量を調節して投与したりといった工夫が行われていることも重要です。

参照元:がん情報サービス|がん医療における遺伝子検査 もっと詳しく

遺伝子検査を受ける際の注意点

遺伝子検査や遺伝子カウンセリングを受けた人の中には、癌遺伝子を持っていることで過剰な不安や恐怖を感じる人も少なくありません。しかし遺伝子検査はあくまでも個別化治療に必要な情報を収集するための技術であり、大切なのは得られた情報にもとづいてリスク管理や予防対策へ取り組んでいくことになります。

また世界中で様々な遺伝子検査や遺伝子パネル検査が実施されていますが、あくまでも保険診療として医学的根拠が認められている遺伝子検査は限られており、実際に遺伝子検査を受ける際には、がんゲノム中核拠点病院やがんゲノム医療拠点病院、がんゲノム医療連携病院といった信頼できる医療機関や病院へ相談するようにしましょう。

患者のQOL(生活の質)に関する情報

肺癌の患者は治療中に痛みや不調を感じたり、手術後にも痛みや違和感があったりと、患者によって様々なケースが考えられることも重要です。

このような痛みや違和感、不調は時に患者の生活にストレスや不具合を生じさせて、患者の生活の質(QOL)を低下させる原因にもなるため適切に対処しなければなりません。

肺癌患者のQOLコントロールには複数のポイントがありますが、ここでは主に手術後の痛みや暮らし方に注目して解説します。

※参照元:国立がん研究センター中央病院|肺の手術を受けた患者様へ–生活上の注意点について–(https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/clinic/thoracic_surgery/120/050/index.html

痛みの管理(ペインコントロール)

肺癌で手術を受けた場合、体を傷つけているため必然的に術後しばらくは痛みがあります。また肺癌の手術では肋骨周辺の神経や骨膜を刺激することもあり、これらも痛みの原因になっていると考えられていることがポイントです。なお、このような術後の痛みは時間経過によって徐々に緩和されていき、およそ2~3ヶ月程度でほとんど気にならなくなるとされています。

また痛みが引いても違和感が残ることはありますが、これも通常は半年から1年ほどで解消されることが多いようです。手術後すぐやどうしても痛みが強い場合などは鎮痛剤を処方してもらい、上手にペインコントロールを行うことでQOL低下に繋がるでしょう。

術後の外出・仕事復帰に制限はある

肺癌の手術後は胸の痛みや違和感の他にも、退院後しばらく発熱が起きやすくなります。ただし37度台の発熱であれば正常な範囲として、安静にしておくことで改善できるでしょう。ただし38度以上の高熱が出た場合などは医師へ相談しなければなりません。

また術後は肺のサイズが縮小しているため呼吸機能も低下しており、いきなり激しい運動や長距離の外出、肉体的に負担のある仕事をすることは避けてください。とはいえ適度な運動や家事などは肺機能のリハビリにもなるため、無理のない範囲で体を動かすことは大切です。

自分の呼吸のペースに合わせた生活を心がける

呼吸が苦しくなったり、痛みや不調が強くなったりすれば、無理をせずに、自分にとって暮らしやすいペースを見つけてライフスタイルを構築していきましょう。また諸症状は徐々に改善してくるため、それに合わせて自分のやりたいことや目標を刷新していくことも工夫の1つです。また術後の喫煙や受動喫煙はNGであり、飲酒についても体の健康やバランスを考えて節減するようにしましょう。

患者のQOL(生活の質)に関するとある研究について

肺がんで肺切除術を行った後の患者は、手術手技や術後管理の発展、在院日数の短縮によって、早期に自宅退院を遂げている状況だとされています。しかし、そのような患者が、退院後にどのような身体症状が見られ、生活に関連した問題に直面しているのかは明らかにされていません。

肺がんの術後にある患者の退院後の身体症状・生活に関連した問題点を明確にするために、健康関連QOLを指標にその特徴や経時的な推移について調査された研究があります。ここでは、研究内容とその結果について詳しくご紹介します。

研究の対象と方法

呼吸器外科において待機手術予定であり、術前外来診察時より評価が可能な肺癌患者57例を対象とした研究です。評価には、がん患者に特異的な日本語版European Organization for Research and Treatment of Cancer - QLQ -C 30を使用して、術前と術後1・3および6か月の時点で評価が実施されています。

結果

対象者のQOLは、総得点と身体や役割面の機能尺度、倦怠感および呼吸困難、痛み、睡眠障害を術前と比べて、有意に低下していました。QOLの総則点や機能および症状尺度ほとんどの項目は、術前と同レベルまで回復していますが、機能尺度の身体面と症状尺度の倦怠感や呼吸困難という項目は、術前値まで回復しなかったとされています。

考察・結論

肺がんの術後患者のQOLは、身体や役割、倦怠感、呼吸困難、痛み、睡眠が障害を受けやすく、とりわけ階段昇降や歩行(長・短距離)といった身体活動の質を反映する機能尺度の身体面や倦怠感、呼吸困難においては、障害が長期化しやすことが判明しました。このような結果を踏まえると、肺がん術後患者は、外来によるリハビリテーションの継続はもちろん、症状の回復促進に向け、新たなサポートやケアの必要性が示唆されました。

日常生活を送るうえで気を付けたいこと

肺癌の治療に関連して様々な症状が現れることもあり、そのような副作用や諸症状を踏まえて上手に日常生活を送ることがQOLの維持・向上や治療の継続を考える上で大切です。

手術・放射線治療後

肺癌の治療として手術で肺を摘出したり、放射線治療を受けたりした場合、呼吸機能の低下や運動機能の低下といった影響が生じる可能性も高まります。放射線治療後の症状に関しては治療を終えてから時間経過によって改善するものもありますが、特に肺を摘出している場合、呼吸機能が低下して疲れやすくなったり運動が苦手になったりすることもあるでしょう。

息切れや息苦しさ、疲労感などは個人差も大きく、まずは日常のどのような動作やどんなタイミングで不調や不安を感じるのか、自分なりの生活とペースに合わせて確かめながら、適切な運動やリハビリを担当医に相談してください。

薬物療法中

抗がん剤などの化学療法を受けている最中は、疲労感や倦怠感といった症状の他にも、使用する薬の種類によって皮膚の乾燥や抜毛、爪の変形など外見的な影響を受けることもあります。

また皮膚の乾燥は湿疹や皮膚炎のリスクが生じやすくなる点に注意が必要です。

かゆみや見た目の変化は外出を億劫にしたり、癌の不安を増強したりすることもあるため、適切な薬剤の使用の他、ネイルチップやネイルカラー、メディカルウィッグなどのアイテムを使って自分の状態に合わせたケアや対策を心がけることが大切です。

なお、癌治療によって口内炎が生じた場合、味覚障害や食欲減退につながる恐れもあり、まずは症状悪化を防ぐために喫煙や飲酒を控え、こまめなオーラルケアで口内を清潔に保つこともポイントです。

性生活に関して気を付けたいこと

癌治療の内容によって、例えば男性に射精障害や勃起障害などの性機能障害が生じることもあります。また女性にもホルモンバランスの変化による不調や気分の落ち込みなど精神的・肉体的影響が出やすくなる他、免疫力が低下して性感染症のリスクが高まるといった懸念も生じます。

性生活に関しては不安や悩みを一人で抱えるのでなく、信頼できるパートナーや担当医とも相談しながら適切な対策を一緒に考えていくことが肝要です。

ネガティブな感情がある場合は相談してみる

癌の治療に対する不安や副作用による気分の悪化など、どうしても精神的に不安定になったりネガティブな感情が大きくなったりすることもあるでしょう。そのような時は決して一人だけで悩まず、むしろ周囲の人々や担当医らに相談して想いを共有することが大切です。

また、気分が落ち込んでいる時などは自分でも思っていないような言葉で相手を傷つけたり、普段の性格とはまるで変わってしまったように乱暴な態度で周囲に当たってしまったりすることもあるでしょう。しかし、その原因はそもそも癌にあり、本人の人格や性格を否定するものではありません。

とはいえ、どうしても強い言葉や口論などによって患者自身や周囲の人々のストレスまで高まってしまうような場合は、癌患者のメンタルヘルスについて専門知識を有する医師や専門家に相談し、適切なカウンセリングやケアを受けるようにしましょう。

なお、癌患者だけでなく患者を支える家族や恋人も精神的に不安や負担を感じた際には、地域の「がん相談支援センター」などで専門家へ相談し、色々な対策や対処法についてアドバイスを受けることも重要です。

お金の不安は公的な援助・支援を活用してみる

癌が患者や家族のQOLを低下させる要因の1つに、お金の問題があります。癌治療には様々な面でお金がかかり、状況によっては長期かつ高額の出費が必要になることも少なくありません。

そのため癌患者のQOLを改善するためには、あらかじめお金に関する不安や問題の解決法に関して理解しておくことが大切です。

現在、癌患者や家族が利用できる公的支援や経済的支援には複数のものがあり、自身の状況や癌による影響などを踏まえて総合的に検討することができます。なお、どのような支援や補助を受けられるかについては、「がん相談支援センター」や自治体の相談窓口、またソーシャルワーカーや勤め先の社会保険労務士といった専門機関・専門家へ相談するようにしてください。

高額療養費制度

高額療養費制度は、一定限度を超過した分の医療費について払い戻しを受けられる公的支援制度です。相談先としては加入している公的医療保険の相談窓口となっており、どの程度の金額までが自己負担となり、どこから払い戻しを受けられるのかなどは本人の所得などによって条件が異なります。

高額療養費制度により、高額な治療でも安心して受けられるようになり、前向きにがん治療へ取り組む支えとなることもあります。

高額医療・高額介護合算療養費制度

高額医療・高額介護合算療養費制度は、医療保険と介護保険の合計自己負担額に設けられた上限にもとづいて、超過分の費用を払い戻してくれる制度です。

医療サービスと介護サービスの両方を利用している世帯にとって経済的負担を軽減してくれる制度であり、支払った合計費用が年間基準額を超過した際に払い戻しを受けられます。

長期的に医療費や介護費が必要となる世帯にとってありがたい制度と言えるでしょう。

傷病手当金

傷病手当金は病気やケガの療養のために4日以上仕事を休んだ人で、事業主から十分な報酬(給与)を受け取れない場合に支給される生活保障制度です。

癌患者や家族だけでなく、その人物を雇用する企業にとっても有用な制度であり、利用については勤務先や協会けんぽ、健康保険組合などに相談してください。

肺癌のステージ分類

病期 広がっている範囲
ⅢA期 元々あるがんの大きさに関係なく、肺の周囲にある臓器に及んでいないもののうち、リンパ節転移が元のがんの同じ側の縦幅までに限られる状態。
または、元のがんの大きさにかかわらず、肺の周りの臓器に及ぶけれど、リンパ節移転移が気管支のまわりあるいは縦幅に限られる場合や、元のがんが、肺の周りにある心臓や大血管、気管、食道、椎体など重要臓器まで及んでいるものの、リンパ節転移が元のがんと同じ側の気管支の周りまでに限られる場合がこれに該当します。
ⅢB期 元々あるがんが、心臓や大血管、気管、食道、椎体など重要臓器まで及んでいるが、リンパ節転移が縦幅、鎖骨上窩まで及んでいるもの。
Ⅳ期 元のがんの大きさ、リンパ節転移に関係なく、元のがんと同じ胸腔内や肺から離れた臓器に転移しているもの及び、がん性胸水、心襄水。

ステージの分類方法

肺癌がどれだけ進捗しているかというステージ分類は、TNM分類と呼ばれる分類法で決定します。

TNM分類のTNMとは、Primary Tumor(原発腫瘍)、Regional Lymph Nodes(所属リンパ節)、Distant Metastasis(遠隔転移)のそれぞれの頭文字を組み合わせたものです。もう少し分かりやすく説明すると、Primary Tumor(原発腫瘍)は腫瘍の大きさ、広がりを見る因子、Regional Lymph Nodes(所属リンパ節)はリンパ節への転移を見る因子、Distant Metastasis(遠隔転移)は他の臓器への転移を見る因子となっています。

腫瘍の大きさと広がり

腫瘍の大きさ、広がりを見る因子であるTは、大きく分けるとT1からT4の4つに分けられ、細かく分類すると12個に分けることが可能。一番、小さいものは腫瘍の大きさが2センチ以下、最も広がっている場合だと同側の他肺葉にまで転移した腫瘍ということになります。T2までは、腫瘍の大きさだけで判断しているのに対し、T3からは腫瘍の広がり具合も見ながら分類しているのが特徴です。

リンパ節への転移の度合い

リンパ節への転移を見るための因子であるNは、N1からN3の3つに分類。N1は、腫瘍と同側の気管支周囲リンパ節転移、同側の肺門リンパ節転移、肺内リンパ節転移の3つがあります。N2は、腫瘍と同側の縦隔リンパ節転移、期間分岐部リンパ節転移の2つ。N3は、対側縦隔リンパ節転移、対側肺門リンパ節転移、前斜角筋リンパ節転移、鎖骨上窩リンパ節転移の4つがあります。つまり、腫瘍がある側の肺へのリンパ節転移であればN1またはN2になるのに対し、反対側にまで及ぶとN3に分類されるということになるのです。

他臓器への転移度合い

最後は、他の臓器への転移を見るための因子であるM。こちらについては、対側肺に転移した腫瘍、胸膜播種、胸水にがん細胞が見られる、多臓器転移の4つに分けられます。

これらの3つの要素を総合的に判断して病期が決まるのが一般的です。ただし、遠隔転移がある時点で病期は最も進行したステージⅣ期に分類されます。

ステージで異なる治療方針

肺癌の治療としてどのような選択肢を候補とすべきか、それぞれの患者の肺癌がどのステージにあるかを正確に診断した上で、患者の要望やライフステージ、またこれまでの治療歴などを総合的に考慮して主治医と検討することになります。そのためステージによって第一候補となる治療法や治療方針は異なってくる上、同じステージであっても個々の状態や条件に応じて詳細が変わってくることもポイントです。

ここでは一般的に検討される、肺癌のステージ(Ⅰ期~Ⅳ期)に応じた治療方針について紹介しますので、治療法を考える上で材料の1つとしてご活用ください。

※参照元:がん・感染症センター 都立駒込病院|肺がんの診断、放射線治療 ステージごとに解説

※参照元:岡山済生会総合病院岡山済生会外来センター病院|肺がんのステージ(病期)と生存率について

ステージⅠ期

ステージⅠ期の肺癌は病変が肺に限局している早期癌であり、自覚症状も現れにくいものの、ステージⅠ期で肺癌を発見できた場合は早期に治療することで根治を目指すことが可能です。

ステージⅠ期の肺癌治療は、まず非小細胞癌であった場合、患者が手術に耐えられる状態であることを条件として手術による切除が第一候補となります。また、小細胞癌の場合は手術に加えて抗がん剤を併用する治療法が検討されます。

なお、患者が手術に耐えられる状態にあるかどうかは、呼吸機能や肝機能、腎機能、心臓の機能などを総合的に考慮して診断されます。

その他、高精度放射線治療として肺癌患者に対する定位放射線治療(定位照射)も2004年から保険適応となりました。

※参照元:がん・感染症センター 都立駒込病院|肺がんの診断、放射線治療 ステージごとに解説

ステージⅡ期

ステージⅠ期よりもやや進行しているステージⅡ期ですが、やはり第一候補としては手術が検討されます。ただし、ステージⅠ期と比較すれば手術のみによる治癒率が減少することもあり、再発リスクや転移リスクへ備えるために術後化学療法や術後放射線治療といった治療が併用されます。

ステージⅢ期

ステージⅢ期の肺癌患者では、局所進行癌の進行状況によって段階的な検討がされることも特徴です。

まず肺だけで進行している初期の進行癌の場合、非小細胞癌であれば手術が基本となります。ただし術後の再発率が高く、リスクマネジメントとして術後化学療法や放射線治療の併用といった集学的治療によるアプローチが検討されます。手術困難な場合は抗がん剤投与と放射線治療を組み合わせた化学放射線療法が基本です。また、その他に免疫チェックポイント阻害剤を用いた免疫療法が行われることもあります。

小細胞癌では化学放射線療法が基本として考慮されるでしょう。

また、リンパ節転移が生じているような場合、手術だけで全ての癌を切除することは困難であり、基本的に手術が選択肢となるケースはありません。そのため化学放射線療法が標準治療となり、さらに非小細胞癌の場合は状況に応じて免疫療法も併用されます。

なお、ステージⅢ期においても手術が行われることはあるものの、この場合は根治を目的とした手術でなく、癌による諸症状を緩和して進行を遅らせることが目的になっています。

ステージⅣ期

肺癌が転移しているステージⅣ期では、基本的に手術で癌細胞を全て除去することができないため、まず抗がん剤による化学療法が第一候補として検討されるでしょう。ただし抗がん剤による化学療法は根治目的でなく、症状を緩和してQOLを向上させる緩和ケアを目的とする場合が多くなります。

また、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤を使った治療が行われることもあります。実際にどのような治療薬を使うかは個々の患者の状態に応じてプランニングされるため、まずはしっかりと主治医と話し合って検討することが大切です。

肺癌からの脳転移が認められる場合、放射線治療として脳全体への全脳照射や、癌のみをターゲットにして局所的に照射する定位照射といった治療法も検討されます。

その他、肺に大量の胸水が貯まっている患者に対しては、それを改善するための治療が主として行われることもあります。

患者の声・体験談

肺がんで治療を受けている方の体験談や生の声が聞きたい方もいるのではないでしょうか。ここでは、肺がんと診断された方の体験談をご紹介します。診断された際の声や治療を受けている方の声をまとめましたので、チェックしてみてください。

体調に波はあるものの分子標的薬のおかげで、想像していたよりも元気に仕事とプライベートを楽しめる

30歳代半ばの夫婦です。夫に肺がんが見つかり、ステージⅡの診断で、手術と放射線治療をおこない、うまくいっていたところでしたが、早々に再発し、ステージⅣになってしまいました。

現在、体調に波はあるものの分子標的薬のおかげで、思ったより元気に仕事とプライベートを楽しむことが出来ています。子供も小さい事もあり、出来るだけ長くこの良い状態が続いてくれればいいなあ…と願ってやみません。

引用元:肺がんとともに生きる|アストラゼネカ『幸いほかへの転移も無く、現在にいたっています』

検診の大切さを痛感

毎年受けてる検診で、今回腫瘍があると指摘されました。早速病院で、検査したところ18ミリあるとのことでした。私自身全く症状はありません。詳しくは他の検査もしてみないとわからないとのことでした。検査の結果、肺腺がんと告知されました。いかに検診が、大事だといわれているかがわかりました!

引用元:肺がんとともに生きる|アストラゼネカ『いかに検診が、大事だといわれているかがわかりました!』

専門医による精密検査を受け、手術を受けられた

ある日内科医師の指示で CT 検査をおこなうといわれました。検査の結果、肺腺がんと診断されました。

最初の病院で、精密検査を受けた結果、手術が出来ないといわれました。しかし、隣県の県立病院で改めて専門医による精密検査を、受ける機会に恵まれ、その病院では手術可能の判断をしていただき、後日手術をしてもらいました。幸いほかへの転移も無く、現在にいたっています。

引用元:肺がんとともに生きる|アストラゼネカ『幸いほかへの転移も無く、現在にいたっています』

医療スタッフの献身的な支援に助けられた

検診でⅠB期のがんが見つかり手術。がんを摘出できて喜んだのも束の間、病理検査でリンパ節への転移が判明し、ⅢBにステージが上がりました。奈落の底に突き落とされたようなショックを受けました。しかし、担当医がよいことも悪いことも、今後起こり得ることをすべて丁寧に教えてくれたおかげで見通しがわかり、その後の抗がん剤治療の副作用も受け入れられたし、心が平安でいられました。(後略)

引用元:認定NPO法人キャンサーネットジャパン

妻や家族が二人三脚で支えてくれた

(前略)これまでにさまざまな抗がん剤治療を受けてきましたが、妻は私の体調や食事に気を遣い、わからないことはすぐに担当医に相談し、一緒に病気と闘ってくれています。治療を受けるたびに検査結果に一喜一憂し、診察の前日は眠れないこともあります。でも、同じようにがんと闘っている長年の友人が近くに住んでいて、その人とは不安な気持ちも隠し立てせずに話せて、慰め励まし合えます。私は家族や友人に恵まれているのです。(後略)

引用元:認定NPO法人キャンサーネットジャパン

つらい日々だからこそ楽しいことを考えた

(前略)泣きたくなるような痛みの日は、とにかく楽しいことを考えました。元気になったら釣りに行こうとか、庭に駐車場を造ろうとか、将来の楽しみを毎日、日記に書きました。また、じっとしているより動いたほうがよいと思い、増設を計画していた駐車場の図面を描き、必要な材料を買い揃え、自分でコンクリートを練って作業を開始しました。そうすることで気も紛れたし、毎日体を動かして限界を少しずつ伸ばしていくことで、痛みも減っていきました。(後略)

引用元:認定NPO法人キャンサーネットジャパン

不安で泣いたこともあったけれど沢山の人に救われた

がんとわかったときは「タバコも吸わない私がどうして?」と、3日間泣き明かしました。夫と長男がすでに他界していたので、娘のためにも何としても生きなければと思う一方、1人でいることが不安で、とくに夜が怖くてたまりませんでした。
でも同じ1日ならめそめそするより、笑って生きようと決めて、副作用のつらさも乗り越えました。(後略)

引用元:認定NPO法人キャンサーネットジャパン

つらい副作用があれば医師へ相談

抗がん剤テセントリクを3ヶ月続けたが効き目が無かったので、以前使っていたサイラムダ+ドセタキセルに変更しました。この組み合わせは今までで一番副作用がきつかった薬です。
点滴後4日目くらいから2週間の間、味覚がかわり食べたくなくなる。顔などが火照る等の症状が出て、今までの抗がん剤では一番嫌な薬でした。とはいっても仕事には毎日行ってるレベルですが(家にいるより仕事の緊張感がある方が楽だから)(中略)もう一つ白血球の減少を抑えるために点滴後にGラスタという皮下注射をしています。注射後4-5日目に腰が痛くなります(ぎっくり腰の少し手前のような痛み)が、これについては痛いところに湿布薬を貼っておくことで日常活動に支障はありません。私の場合1日だけシップを貼りましたが2日目からは要りませんでした。
もし、副作用のきつい方がいらっしゃったなら、先生と相談されて色々と試されたらと思います。

引用元:Caloo

定期的な全身検査をおすすめ

私は63歳男性、肺癌のステージ4で、がん発見後手術をして10年がたち、4年前から抗がん剤治療を続けています。最近頸椎へ骨転移したのでそのお話をします。
最初は首の後ろに鈍痛を感じていました。3ヶ月くらいたつと、首を曲げたときにズキンと神経に触っているような激しい痛みを感じるようになりました。そして半年くらいたつとズキンは無くなりまた鈍痛を感じるようになりました。(中略)もろくなった骨の再生もすぐにはいかないし今後骨が神経を圧迫したり色んな問題が発生するかもしれません。と言う事でがんの転移が考えられる方は年に1~2回はペット検査で全身のチェックをお勧めします。(後略)

引用元:Caloo

少しでも気になることがあれば検査を受けて

(前略)そういえばと振りかえると、特に風邪を引いていなくても咳をしていたし、いつも痰がからんでいた。ご家族でそんなタバコ好きなかたがいたら、まず検査につれていってあげてください。肺がんの末期とわかった日から、8ヶ月。51歳で父はなくなりました。色んな癌があるなかでまだまだ肺がんは助からない方だと思います。タバコも、受動喫煙もない世の中になりますように。肺がんで家族を無くし、悲しむ人がいなくなりますように。

引用元:Caloo

患者と家族が一緒に考える助け合いが大事

(前略)長くなりましたが、ガンで亡くなる方はまだまだ多く、父も私たち家族もいつ発病または再発するかわかりません。それでも今回学んだ事は、①良い病院を選び②本人の意思を尊重した仕方で闘病し③家族も他の人の助けを求めて、本人をサポートできる心と体の元気を培っておくこと
以上3点が大切な点かと思いました。
まだまだこれからどうなるか油断は禁物ですが、学んだことを生かしてこれからも家族でがんばっていきたいと思います。今は、助けてくださった方々への感謝で1日1日を過ごしています。

引用元:Caloo

治療を乗り越えて元気に生きています

約8年前に肺がん右下葉切除の手術しました62歳男性です。
当時は後5年生きられるのかななどと思いましたがしっかりと生きています。3年前から左に転移した為ステージ4と言われています。その為3年前から抗がん剤治療をしていますが私の場合世間でいう闘病などと思った事は一度もありませんし、仕事も嘱託ですが今まで通りバリバリとしています。

引用元:Caloo

緩和治療を希望して力強く生きた

(前略)肺に影を発見、詳しい検索をしなければ分からないが肺癌だろうと診断されました。
本人の希望もあり、検査も治療もせずに基本自宅で介護し体調の崩れが出たら入院という緩和療法を選択しました。
その後はADLの低下も見られ介護保険のお世話になりながら自宅と病院を行き来しておりましたが心不全となり在宅酸素療法となり徐々に弱って行きました。
その時にお世話になりました在宅診療所の主治医と看護士さん、ケアマネさん、訪問看護士さんやヘルパーさんのお陰さまで家族も仕事を続ける事が出来ました。(後略)

引用元:Caloo

肺癌手術から10年後に完治の診断

私は30歳の時に大腸癌、32歳に肺転移を経験しました。
30歳でまさか私が癌になるとは思いませんでしたし癌は手術したら終わりと簡単に思っていましたが手術後の化学療法(抗癌剤)は地獄を見た気がします。(中略)肺の手術をして10年後42歳の時にやっと完治と言う言葉をもらいました。
癌は今でも死の病気には変わりはありませんが早期発見により手術ができれば完治のできる病気だと思っております。

引用元:Caloo

日頃から病気に備える意識を持つようになった

健康診断のレントゲンで要精密検査になりました。
影がるので、CTを取る必要があるとのこと。
自覚症状はなく、再検査のできる病院一覧から
1番近くにある病院を受診しました。
再検査の結果、「がんの疑い」と出ました。
平和に暮らしていたので、まさかがんになるとは思わないので
大変動揺しました。(中略)普段は健康で病院に無頓着でしたが
最近はこんな症状ならこの病院、
もしガンになったら、あの病院、
などと、考えています。

引用元:Caloo

どうしてもっと早く受診しなかったのか

(前略)病院の先生にあとから聞いたところすべて肺がんの症状だそうです
なぜこれほどまでに異変があったのに病院受診しなかったのか悔やまれてなりません
肺がんも末期となりますと体中に転移してしまい手の施しようがようがありません
なので手術何てもってのほかでした(後略)

引用元:Caloo

早期発見なら治る可能性が十分にあると思う

(前略)その後2週間くらいで自宅に戻り、念のため抗がん剤をのみました。軽い抗がん剤だったので、脱毛や吐き気、熱などの症状はほとんどありませんでした。しかし3年間飲み続けたのですが、3年に近くなってくると、体がだるい、などの症状が出てきて、飲まない日も出てきました。(中略)肺の機能も切除前の90%にまで回復しているそうです。
肺がんでも早期に発見できれば治ることが多いです。

引用元:Caloo

検査を受けながら前向きな気持ちで生きている

毎年受診している人間ドックで胸部X線検査を受けた結果、肺野結節影と診断されました。
翌月再検査に行き、CTを撮りましたが小さく判断がつかない状態で、3ヶ月毎のCTで様子をみておりました。(中略)今は、術後の肋間神経痛や創部のつっぱりがありますが、現状元気に生活できています。でも自分はステージ1であっても、毎日「自分は癌患者なのだ」と思うんですよね。まだ来ない未来について、悩まないようにしてきちんと検査をして前向きに頑張っていきたいです。

引用元:肺がんとともに生きる|アストラゼネカ『前向きに頑張っていきたいです』

幸運と偶然に感謝して日々を楽しむ

肺がんの手術しました。
まさか、肺がん?というのが正直な感想です。(中略)なのでいまだに癌とは信じられない部分もありますが、ただステージ1は幸いでした。肺炎になっていなかったら、先生が経過観察してくれなかったら、今どうなっていたか、偶然の幸運に感謝しかありません。
ただ、術後は、しんどかったです。
わき腹の違和感、しびれは、一年近く経ってやっと収まりつつあります。
漢方薬をもらいながら、前向きに感謝を忘れず生きてます。趣味も毎日の暮らしも楽しんでいこうと思います。

引用元:肺がんとともに生きる|アストラゼネカ『趣味も毎日の暮らしも楽しんでいこうと思います』

恋人が支えになってくれた

胃腸炎で入院した時に肺の精密検査をしたら肺に影があるって病院の医師にいわれて、大学病院で詳しく検査をしました。
左の肺を一部手術しました。まさか私が肺がんになるとは思ってもいなかったです。友人とかも色々心配してくれました。その中で1番支えになったのは彼氏です。手術後は一般病棟に移動して、ご飯も食べられず、ずっと点滴をして、入院中に何度も注射がありました。その後に彼氏と電話でやり取りしてたら、つらさも吹っ飛びました。
今は経過観察中です。

引用元:肺がんとともに生きる|アストラゼネカ『1番支えになったのは彼氏です』

治療方針に悩んでいます

(前略)検査結果は、肺がんステージⅣといわれました。
自分事ではないような、信じられない気持ちで泣きじゃくりました。
それから治療方針を決めるための検査が始まりました。先生からは、治療を希望するか緩和ケアにするか、よく話し合って次回の診察までに決めてきてくださいとの話がありました。
どちらを選択しても、後悔してしまうのではないかと考えてしまい、どちらにすべきか悩んでいます。

引用元:肺がんとともに生きる|アストラゼネカ『どちらにすべきか悩んでいます』

不安な中でも諦めないで良かった

私の場合、「これは肺がんかしら」と疑うような症状は、全くありませんでした。それどころか、自分ががんに罹患していることなど、想像すらしていませんでした。
きっかけは、左の顎の下に小さなしこりがあることに気付いたことでした。(中略)私の肺がんは、LCNECというタイプです。同じタイプの肺がん患者が非常に少ないことで、孤独も感じますし、何より情報が少ないことでの不安もあります。
しかし、免疫チェックポイント阻害薬がよく効いてくれたのか、現在は経過観察となっています。診断された時に、「残り2年かな」と覚悟しましたが、既に5年近く元気でいます。
諦めないで良かったと、心から思います。こんな自分の経験を、同じような不安を抱えている人たちと共有できれば、こんなに嬉しいことはありません。

引用元:肺がんとともに生きる|アストラゼネカ『諦めないで良かったと、心から思います』

交通事故をきっかけに肺癌が発覚

追突事故を受け、鎖骨が痛いのでレントゲンを撮ったら、肺に影があるといわれました。
検査をした結果、ステージ IIの肺がんとわかりました。
診断された時は、「がんか…」くらいだったのですが、少しして両親や兄弟、彼女のことを考えたら、涙が止まらなくなりました。
誰より彼女に伝えるのがつらかったです。
自分の肺がんについて調べて、5年後生存率を確認したときが、1番ショックでした。
当たり前に朝起きる事が出来ていたのが、嘘のようにも感じています。

引用元:肺がんとともに生きる|アストラゼネカ『肺に影があるといわれました』

色んな人に支えられて治療を信じられた

右肩が痛くなったため整形外科に通い、リハビリをしていました。
3ヶ月たっても治らないので違う整形外科に行ったところ、肺に影があるから早めに呼吸器科に行った方が良いと!
案の定、肺がんと診断されました。(中略)今は経過観察中で月に1回通っていますが、仕事復帰して社会に戻っています。
治療中は「俺は治るのか、こんなに辛くなるのか」など色々な事を考えました。
だけど、近所に同じがん患者の方がいて話をするだけで気持ちも楽になりました、何故だか同じ仲間みたいな感じですかね。
今はがんも治る可能性のある時代です。諦めないで下さい!
先生を信じて治療してください。

引用元:アストラゼネカ|がんになっても

皆さんの体験談が励みになった

(前略)今年に入り紹介状をもらいがんの検査設備のある病院へ。不安に押しつぶされそうな日々でしたが、がんになってもすぐには死なないと、思っていました。
そしてその後手術、肺腺がんのステージ1でした。
経過観察してくれた先生、手術してくれた先生方、本当に感謝しています。
ありがとうございました。
これからは、生まれかわったつもりで人の悪口を言わない、感謝の気持ちで生きるをモットーに頑張って生きたいと思います。
皆様の体験談を読ませて頂き、励みになります。

引用元:アストラゼネカ|がんになっても

治療選択の基準について

肺がんの治療は、手術療法・放射線療法・薬物療法に大きく分けられます。薬物療法には、細胞障害性抗がん剤のほか、分子標的治療薬・免疫療法といったものが含まれているのが特徴です。肺がんの治療方針は病期にもとづいて決定されます。治療方針の決定をする際には、正確な病期診断が重要とされています。治療の詳細や病状で不明な点がある方は、主治医へ確認するようにしましょう。

肺癌の治療

一般的な肺癌の治療としては大きく「外科治療(手術)」、「放射線療法」、「化学療法(薬物療法)」の3種類があり、それぞれを単独で実施する場合があれば、複数の治療法を組み合わせて治療効果を向上させる集学的治療が検討される場合もあります。

外科治療(手術)

肺癌の治療として外科治療(手術)は一般的に行われているものですが、肺癌の種類によって切除・摘出する範囲や部位が変わってくるため、必ず事前の精密検査によって肺癌の情報を取得することが欠かせません。

また、肺は人の呼吸に不可欠な臓器であり、肺の摘出範囲が多ければ多いほど術後のQOLが低下しやすくなることも重要です。そのため肺癌の手術では肺の温存を前提として、肺葉の一部だけを切除(縮小手術)したり、癌が存在している側の肺(片肺)だけを全て摘出したりと、色々なプランニングが検討されていることもポイントです。

ただし縮小手術や片側肺全摘術は通常、非小細胞肺癌のケースで検討される手術であり、小細胞肺癌の場合は癌が存在している肺葉を切除する「肺葉切除術」が基本になります。

手術(外科治療)の種類

上述したように肺癌の手術には大きく3つの種類があり、肺に存在している癌のサイズや位置、ステージなどによって適切な手術法が選択されます。なお小細胞肺癌なのか非小細胞肺癌なのかによって選択が行われることも特徴です。ここではそれぞれの手術の特徴について紹介しますので参考にしてください。

※参照元:がん情報サービス|肺がん 非小細胞肺がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/treatment_nsclc.html#ope_type
片側肺全摘手術

片側肺全摘術は文字通り、片方の肺の全てを摘出してしまう手術です。左右どちらかの肺に癌が存在しており、癌が広範囲に広がっている場合や、肺動脈・肺静脈といった太い血管または気管支にまで進展している場合には片側肺全摘術が検討されます。さらに癌が胸壁や心膜へ広がっている場合はそこも含めて切除対象です。

ただし片側肺全摘術は肺を失う範囲が広く術後に影響も大きいため、手術の適用性について慎重に判断しなければなりません。

肺葉切除術

肺は左右それぞれに1つずつある臓器だと思われがちですが、実際には「肺葉」と呼ばれる5つのブロックで構成されています。肺葉切除術とは文字通り、癌のある肺葉を切除する手術であり、状況に応じて周辺のリンパ節を切除するリンパ節郭清も併せて実施されます。

ステージでいえばⅠ期の一部やⅡ期、Ⅲ期の一部の非小細胞肺癌における標準的な手術です。

縮小手術(区域切除、楔状切除)

区域切除や楔状切除は肺葉切除術よりもさらに小範囲の切除術であり、それぞれの癌が小さく切除範囲が小さくても転移や再発リスクを抑えられるという場合に採用される手術です。通常、縮小手術は非小細胞肺癌のⅠA期で、癌の大きさが2cm以下の場合に標準治療として採用されます。

周術期治療

周術期治療とは肺癌の手術に併用する形で行われる治療を指し、集学的治療として患者の状態に合わせて検討されます。肺癌の周術期治療としては主として手術前に行われる術前導入療法と、手術後に行われる術後補助化学療法の大きく2種類があり、それぞれに治療の目的や効果が設定されていることも特徴です。

術前導入療法

術前導入療法は文字通り手術の前に実施される治療であり、手術の効果を向上させて術後の再発リスクを低減させる目的で行われます。

具体的な方法としては、免疫チェックポイント阻害薬と細胞障害性抗がん薬を複合的に用いる薬物療法や、放射線治療と薬物療法を組み合わせた放射線化学療法などがあり、術前導入療法によって癌の状態を安定させたり範囲を縮小させたりすることで手術の難易度を下げて治療効果を向上させられることがメリットです。

術後補助化学療法

手術によって肺癌ごと広範囲の肺を摘出したとしても、微少な癌細胞が残っており、癌が再発するリスクをゼロにすることは困難です。そのため術後の再発リスクを減少させるために、改めて細胞障害性抗がん薬や免疫チェックポイント阻害薬などを使った化学療法が補助的に実施されます。

手術後の合併症

手術の内容や範囲、患者の体力などによって手術後に様々な合併症が発生するリスクもあるでしょう。また患者の喫煙習慣の有無や体質によって合併症リスクも変動します。

肺癌手術における術後合併症としては、肺炎や肺瘻(はいろう)・気管支断端瘻、膿胸、さらに循環器系合併症といったものが想定されます。

肺炎

肺を切除した影響で呼吸機能が低下したり、痰を上手く出せなくなったりした際に、肺の中で菌が繁殖して炎症を起こす肺炎リスクが高まることは課題です。肺炎の治療には抗菌薬を使用しますが、何よりも禁煙を徹底することが必要です。

肺瘻・気管支断端瘻

「瘻(ろう)」とは「漏れる」ということを意味しており、肺の手術時に縫合が正しく行われていなかったり組織の癒合が適切に起こらなかったりした場合、肺や気管支の切り口から空気が漏れて再手術となります。

膿胸

肺の中に細菌が繁殖して膿が溜まった状態です。抗菌薬で改善しない場合は膿を除去するための再手術が必要です。

循環器系合併症

肺の呼吸機能が低下することで心臓に負担がかかってしまい、不整脈や血圧の変化などの症状が出ることもあります。その他、心筋梗塞や肺血栓といった合併症のリスクも、頻度は少ないものの存在します。

放射線治療

肺癌の治療として、高エネルギーのX線などを使用した放射線治療を行うこともあるでしょう。放射線治療は肺癌の患者で手術を受けられないⅢ期の患者に対して行ったり、術前導入療法の一環として使用されたりと、色々なケースが想定されます。

また術後の再発リスクの軽減や、場合によっては標準治療による根治が困難と診断された患者に対して、QOLの向上を目的として緩和的照射を行うこともあります。

強力なエネルギーを有する放射線を癌へ照射することで、癌細胞を破壊して治療する放射線治療ですが、そもそも肺は呼吸に連動して常に動いている臓器であり、位置が変化する肺の中にある癌細胞のみに放射線を照射することが難しいといった課題があることも事実です。

高精度放射線治療

放射線治療の中には、画像処理システムと放射線照射装置を連動させて、呼吸などによって動いている肺の動きをシステムで追跡しながら、ターゲットの癌細胞をロックオンしてピンポイントで放射線を照射する、高精度放射線治療といったものも開発されています。

※参照元:日本肺癌学会|SRS-4.高精度放射線治療による肺癌治療のブレークスルー(https://www.haigan.gr.jp/journal/am/2021a/21a_lcms000SRS-4.html
放射線治療の副作用

放射線治療では高エネルギーのX線などを患者の体外から肺の内部にある癌へ照射するため、従来の放射線治療ではどうしても健康な細胞にも放射線の影響が及んでしまうといったリスクがあります。

肺癌における放射線治療の副作用としては、咳の増加や食道炎・皮膚炎、貧血や白血球の減少といったものがあり、実際にどのような副作用が生じるかは患者の体質などによって個人差があります、ただし放射線治療による副作用は、基本的には放射線治療を終了すると改善されるものであり、あまりにも放射線治療の副作用が激しい場合には治療計画を見直さなければなりません。なお喫煙歴のある人は放射線肺臓炎のリスクも考える必要があります。

薬物療法(化学療法)

抗がん剤などの薬を使って癌を治療したり、手術や放射線治療の精度を高めたりする目的で薬物療法(化学療法)も実施されています。

薬物療法で用いられる医薬品には、細胞障害性抗がん薬や免疫チェックポイント阻害薬、分子標的薬といった複数の種類があり、さらにそれぞれのジャンルの中にも多種多様な薬が市販されていることが特徴です。そのため、一般的に使用されている抗がん剤での治療効果が認められなくても、別の抗がん剤へ変更することで治療効果が認められて癌を縮小できるといった期待もあります。

ただし、実際にどの抗がん薬を使用するかは患者の既往歴や癌の症状、健康状態なども考慮して複合的に検証されなければなりません。

薬物療法の種類
細胞障害性抗がん薬

細胞障害性抗がん薬は、細胞が増殖する機構を阻害して、細胞を減少へ導く薬です。細胞障害性抗がん薬は肺癌治療に使用する抗がん剤として一般的に使用される薬である一方、細胞増殖が阻害されるのは癌細胞だけでなく健康な細胞まで影響を受けるため、色々な副作用を及ぼすデメリットもあります。

分子標的治療薬(分子標的薬)

分子標的治療薬(分子標的薬)は、特定のタンパク質などターゲットになる「分子へ選択的に作用する薬です。分子標的薬は細胞障害性抗がん薬と異なり、攻撃対象となる細胞をある程度限定できるため、癌以外の細胞に対する攻撃を抑えつつ、癌細胞への効果を高めやすいといったメリットがあります。

免疫チェックポイント阻害薬

人体に備わっている免疫機構は、通常であれば癌細胞のような異常細胞や異物を検知して除去しますが、癌細胞には免疫細胞に作用して免疫の働きを抑制する能力があり、本来の免疫機能が発揮されません。

免疫チェックポイント阻害薬はそのような癌細胞の機能を抑制することで、免疫機能をサポートして癌への攻撃を促進することが特徴です。

薬物療法の副作用

細胞障害性抗がん薬だけでなく、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬など抗がん剤にはそれぞれ副作用のリスクがあり、その症状の内容や程度は使用する医薬品や患者の体質などによって様々です。

薬物療法の副作用として一般的なものだけでも脱毛や内出血、貧血、倦怠感、嘔吐、口内炎、下痢、癌以外の病気への感染など複数のものが考えられ、人によってはそれぞれの症状が耐えがたいほどひどくなってしまうこともあります。

薬物療法で副作用のリスクを完全にゼロとすることは困難ですが、副作用が強すぎると治療継続そのものが困難になるため、副作用を軽減する薬なども併用しながらバランスを見極めなければなりません。

副作用の情報は治療計画を策定する上で重要であり、少しでも違和感に気づいたら速やかに医師へ報告・相談してください。

免疫療法

癌細胞には人体の免疫機構を阻害する機能が備わっており、それこそが体内で癌が増殖してしまう一因にもなっています。一方、免疫療法は癌細胞によって低下した免疫機能を活性化させて、本来の免疫の働きを取り戻して癌を攻撃する治療法であり、世界中で色々なアプローチによる免疫療法が研究されています。

とはいえ、2024年2月現在で小細胞癌や非小細胞肺癌の治療として医学的に治療効果が認められている免疫療法は、免疫チェックポイント阻害薬を使用した方法のみであり、その他の免疫療法はあくまでも治療効果が公的に認められていないことはポイントです。

なお、免疫療法は免疫チェックポイント阻害薬を使用するため、薬物療法の一種として考えることもできます。

※参照元:がん情報サービス|肺がん 非小細胞肺がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/treatment_nsclc.html#anchor3 ※参照元:がん情報サービス|肺がん 小細胞肺がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/treatment_sclc.html#anchor5
免疫療法の副作用

免疫療法によって体内の免疫機構が活性化した結果、免疫細胞が過剰に働いてしまって、癌細胞だけでなく健康な細胞や組織まで攻撃してしまうことがあります。

免疫療法においても副作用のリスクは存在しており、免疫チェックポイント阻害薬を使用する前にそれぞれどのような副作用が考えられるのか、医師へ尋ねて確認しておくことが大切です。

肺癌や治療法に対する研究・論文

ここでは、比較的新しい臨床試験や治療法について解説していきます。末梢型肺癌に対する光線力学的治療(PDT)に関する医師主導治験に関する情報や、免疫チェックポイント阻害薬を使用したことによって治療成績が向上した情報をご紹介します。

肺がん治療の個別化へ新展開:TROP2 NMR陽性を標的とした「ダトポタマブ デルクステカン」第3相試験が開始

目的・背景

肺がんは、世界的に見ても多く見られるがんの1つであり、2022 年にはおよそ250 万人が新たに肺がんと診断され、約180 万もの人が亡くなったと報告されています。

非小細胞肺がんは、肺がんでも一般的なタイプのがんであり、肺がん全体のおよそ85%を占拠。免疫チェックポイント阻害剤は、Actionable遺伝子(※1)変異の見られない進行性非小細胞肺がんへの一次治療として、治療効果の改善が見られました。

しかし、その後に病状が悪化してしまうケースも多く、二次治療以降の化学療法による効果も限定的なことから、新たな治療の選択肢が必要な状況となっています。

以前より行われていた免疫組織化学(IHC)による病理診断では、TROP2発現量がTROP2をターゲットとするADCの治療効果を予測する指標にならないケースもあることが判明していました。

非小細胞肺がんでは、腫瘍細胞の75%以上であり細胞質内のTROP2の割合がより多く見られるケースで、TROP2 NMR(※2)陽性と判定されるのが特徴です。

この製剤の第3相臨床試験・第2相臨床試験における探索的解析において、TROP2 NMR陽性と、本剤投与群における臨床転帰の改善との相関が確認されたと言われています。

試験デザイン

比較対象が標準治療である「ドセタキセル」であり、本剤(Dato-DXd)がそれを上回る効果を示せるかどうかが焦点となっています。

この試験においての対象は、PD-1/PD-L1阻害剤やプラチナ系化学療法による前治療歴があり、治療ターゲットとなりうる遺伝子変異の見られないTROP2 NMR陽性の局所進行もしくは、転移性非扁平上皮非小細胞肺がんの方です。

ダトロウェイの有効性と安全性をドセタキセルを用いた化学療法と比較するグローバル第3相臨床試験となっています。主要評価項目は、無増悪生存期間(※3)と全生存期間(※4)です。

重要な副次評価項目は、全奏効率(※5)や奏効期間(※6)、安全性などが含まれています。

今後の展望

TROP2バイオマーカーの活用により、本剤の治療効果が期待される患者さんをより正確に特定できる可能性について検証を進めています。また、非小細胞肺がん治療に新たな選択肢について提供できるよう、本試験ならびに現在進行している複数の第3相臨床試験を通し、本剤の開発を加速させていく見込みです。

本試験が成功すれば、より正確に効果が期待できる患者層の特定(プレシジョン・メディシン)ができる可能性が高まります。日本を含むアジア、欧州および北米において約400名の患者を登録し、グローバル規模での実施が予定されています。

※1現時点でEGFR変異などのがんに対する治療ターゲットとなる可能性のある遺伝子変異。

※2患者の組織サンプルのデジタル画像を解析し、画像内のすべてのがん細胞の表面や内部に出現する標的タンパク質を正しく定量化する、新しい計算病理学的プラットフォームを採用して判定します。

※3治療中や治療後に病状の進行が見られず、安定した状態で過ごせる期間。

※4原因に関係なく死亡するまでの期間。

※5腫瘍がすべて消失もしくは30%以上縮小した方の割合。

※6がんの完全消失もしくは30%以上縮小のどちらかの基準が満たされた時点より、再発もしくは増悪が客観的に認められたはじめの日までの期間。

参照元:第一三共株式会社 プレスリリース(https://www.daiichisankyo.co.jp/files/news/pressrelease/pdf/202601/20260114_J.pdf)

非小細胞肺癌治療薬「ライブリバント®点滴静注350mg」(アミバンタマブ[遺伝子組換え])発売

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、2024年11月20日に「ライブリバント®点滴静注350mg」を発売しました。

ライブリバント®は、同年9月24日に化学療法(カルボプラチン並びに、ペメトレキセドナトリウム)との併用療法について、「EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(Non-small cell lung cancer: NSCLC)」を効能または効果として製造販売承認を取得、11月20日に薬価収載されました。

この薬剤は、日本におけるEGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発のNSCLCを適応とした、はじめての治療薬です。さらに、日本肺癌学会による肺癌診療ガイドライン2024では、EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の一次治療に対し、ライブリバント®と化学療法を併用する治療法を強く勧めています。

肺がんは、よく知られている悪性腫瘍の1つであり、日本では年間罹患数がおよそ12万人となっています。これは、すべてのがんの中で4番目に多く、死亡率の高いがんの1つです。

NSCLCにおいて一般的なドライバー遺伝子変異は、細胞の増殖や分裂をコントロールする受容体型チロシンキナーゼであるEGFR遺伝子の変異です。

上記の中で、エクソン20挿入変異は3番目に多いと言われています。実臨床において、EGFR遺伝子エクソン20挿入変異のある患者の5年生存率は8%とされ、アンメット・メディカル・ニーズの高い領域となっています。

ライブリバント®は、国際共同第III相PAPILLON試験の結果をもとに承認された薬です。化学療法を受けたことがないEGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象にした治験で、化学療法のみを行った場合と比べて、ライブリバント®と化学療法を併用した場合、病状の悪化や死亡のリスクが61%低下することが示されています。

参照元:ヤンセンファーマ株式会社

末梢型肺癌に対する光線力学的治療(PDT)に関する医師主導治験

肺の末梢側に生じた早期の肺がん(ⅠA期)に対し、医薬品と医療機器の療法を用いた光線力学的療法(PDT)の効果や安全性を確認する医師主導治験。

厚生労働省の承認がおりているタラポルフィンナトリウムという医薬品とPDT半導体レーザ(医療機器)の適応拡大および、医療機器であるレーザ光を伝達するための小型化プローブに対して新たな承認取得を目的としているのです。

また、加齢によって生じる呼吸機能の低下や呼吸器疾病などによって、手術困難な末梢・小型の肺がん患者様を対象として、治験薬であるタラポルフィンナトリウとPDT半導体レーザとの組み合わせ、または小型化プローブを用いた光線力学的療法(PDT)を実施し、無治療の患者様の成績と比較して、効果が見られるのか、また安全であるのかどうかを比較していきます。

参照元:末梢型肺癌に対する光線力学的治療(PDT)に関する医師主導治験

免疫チェックポイント阻害薬の上乗せ効果が認められ、治療成績の向上が期待

Ⅳ期の状態にある非小細胞肺がんに対して行える内科治療は、1990年代までは細胞傷害性抗がん剤しか選択肢がなく、全生存期間の中央値(OS)は1年ほどでした。これは、抗がん剤治療をすると、約半数の方が1年以上生きられたことを意味します。

2000年代には分子標的薬が登場し、ドライバー遺伝子変異の見られる方の場合はOSが3ほど期待されるようになりました。2010年代に入ると、免疫チェックポイント阻害薬の有効性が示唆され、ドライバー遺伝子変異の検出が見られなかった方でも、年単位のOSが報告されるなど、成績の向上が期待されていると言われています。

進展型小細胞肺がんにおける内科治療は、細胞傷害性抗がん剤しか選択肢がなく、OS1年ほどの時代が数十年続くという状況でしたが、近年になり、ようやく免疫チェックポイント阻害薬の上乗せ効果が認められたため、治療成績の向上が期待されているのです。

参照元:進化している肺がん治療

EGFR遺伝子変異陽性早期肺癌に対するオシメルチニブ術後補助療法

国立研究開発法人国立がん研究センターは2023年9月4日、国際共同同第III相試験の結果として、EGFR遺伝子変異陽性早期肺癌の患者に対する完全切除後の術後補助療法にオシメルチニブが有効であるというデータを発表しました。

これまで術後補助療法としてゲフィチニブなどのEGFR阻害剤を使った治療が行われていましたが、今回のオシメルチニブを使った術後補助療法は従来型の治療に対して全生存期間が有意に延長されており、EGFR遺伝子変異陽性早期肺癌に対する医学的根拠にもとづいた治療提供の可能性を拡大しています。ただし、日本人の患者においてオシメルチニブを使用する際の薬剤性肺障害のリスクは従来の報告と同程度であり、新たな懸念はないものの引き続き注意が必要であることもポイントです。

また同研究チームはさらにオシメルチニブを活用した進行肺癌の治療法開発について、さらなる研究を行っています。

※参照元:国立がん研究センター|EGFR遺伝子変異陽性早期肺がんに対する術後補助療法としてオシメルチニブが全生存期間の延長を示す

Ⅰ期の非小細胞肺癌に対する定位照射は手術に劣らない

アメリカ・テキサス大学MD AndersonがんセンターのJoe Y Chang氏らによる研究チームは、手術が可能とされるステージⅠ期の非小細胞癌患者に対して、手術でなく体幹部定位放射線治療(SABR)を実施した場合の3年生存率及び5年生存率に関する追跡調査を行いました。なお、比較対象は傾向スコアがマッチしている手術治療(ビデオ補助胸腔鏡下肺葉切除術+縦隔リンパ節郭清)を受けた患者群となっています。

そもそも同研究は、定位照射が切除不能な早期肺癌に対する標準治療となっており、手術可能なケースにおいては手術が選択されるといった状況を前提として実施されました。また、研究の結果として定位照射による生存率が手術に対して劣らない場合、そもそも肉体的負担を軽減できる定位照射を全症例において標準治療として検討することも可能になります。

結果として定位照射の3年全生存率は91%、5年生存率は87%と、手術と比較しても大きく劣っていないことが示されました。

※参照元:日経メディカル|ステージIの非小細胞肺癌に対する放射線治療成績は手術に劣らない

肺癌の組織型分類を可能にする人工知能の開発

福岡県福岡市に本社を構えるメドメイン株式会社は、病理診断支援ソリューションとして「PidPort」を提供している医療ソフトウェアの開発企業であり、2021年4月14日にイギリスの自然科学誌「Scientific Reports」において肺癌の組織分類を行う病理人工知能(病理AI)の開発を発表しました。

本研究で利用された病理AIは、深層学習(ディープラーニング)によってTBLB(経気管支肺生検)にもとづく肺のデジタル標本を効率的に学習し、腺癌や扁平上皮癌、小細胞癌、非腫瘍性病変といった肺癌の主要組織型を自動的に分類できることが特徴とされています。

同病理AIはTBLBや手術標本といったサンプルで検証が重ねられ、いずれのケースにおいても「ROC-AUC:0.94以上」、さらに免疫組織化学染色を用いた診断では「ROC-AUC:0.99」という高精度の病理診断を実現していることがポイントです。

※参照元:PR TIMES|肺癌生検病理組織デジタル標本における組織型分類を可能にする深層学習を用いた人工知能の開発に成功~自然科学誌「Scientific Reports」に掲載~

ケルン大学主導の国際チームが肺小細胞癌の全ゲノムを解読

日本の研究機関として国立研究開発法人国立がん研究センターや愛知県がんセンターも参加している、ドイツのケルン大学が主導する国際研究グループは、国際共同プロジェクトとして難治性の肺小細胞癌110例をサンプルとした全ゲノム解読を行い、同研究成果はイギリスの科学誌「Nature」において発表されています。

本プロジェクトでは日本やドイツを含めて16カ国の研究機関が参加し、それぞれにおいて集積されてきた肺小細胞癌試料を活用したゲノム解析が実施されました。

ゲノム解析の結果、従来の研究で判明していたTP53,RB1,CREBBPがん抑制遺伝子の不活性化に関して、改めて点変異以外のゲノム構成においても同遺伝子が不活性化されていたことが判明しています。また、異常の頻度に関してもTP53は100%、RB1は93%、そしてCREBBPは15%といったデータが解析されており、将来的な肺癌の治療開発やリスク判定に貢献することが期待されています。

※参照元:国立がん研究センター|肺小細胞がんの全ゲノム解読

マイクロRNAの解明で早期肺腺癌の術後再発リスクが予測可能に

2024年9月2日、国立がん研究センターの研究チームは、癌細胞において特徴的に見られるマイクロRNAの構造多様性を定量的にスコア化することに成功し、早期肺腺癌の術後再発リスクを予測するバイオマーカーとして利用できるという研究成果を発表しました。

そもそもマイクロRNAは細胞内に存在する短いRNA分子であり、遺伝子発現を調節する働きを持っています。そして癌細胞ではマイクロRNAの構造アイソフォームに特徴的な以上があることも報告されていました。

そのような前提を踏まえて、同研究チームは外科切除検体を使ったデータ解析によって、癌細胞に関連したマイクロRNAの構造を定量的に数値化し、同スコアが高くなるほどに早期ステージの肺腺癌の再発リスクも比例して高まっていることを発見しています。

これにより患者のマイクロRNA構造を分析することで、術後再発リスクや癌の悪性度を予測できるようになると示唆されました。

※参照元:オンコロ|がん細胞に特徴的なマイクロRNAの構造多様性を解明:早期肺腺がんの術後再発リスクの予測が可能に

非小細胞肺癌の治療薬としてキイトルーダやアレセンサが承認

2024年8月28日、非小細胞肺癌の術前・術後補助療法における治療薬として、MSD株式会社の抗PD-1抗体「キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))」が国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得しました。

また同日、中外製薬株式会社の「ALK阻害剤アレセンサ(一般名:アレクチニブ)」に関しても、「ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法」として適応追加の承認取得が発表されています。

前者のキイトルーダは術前・術後療法として単独使用や化学療法との併用に使われます。また後者のアレセンサはALK陽性早期非小細胞肺癌の完全切除後の術後療法に用いられており、化学療法との併用などによる新しい治療選択肢の拡大を後押しするものとして期待されていることがポイントです。

※参照元:オンコロ|【承認】キイトルーダ、非小細胞肺がんに対する術前・術後補助療法の適応を取得

※参照元:オンコロ|承認】アレセンサ、ALK陽性早期非小細胞肺がんに対する術後補助療法として承認を取得

金沢大学の研究グループが肺癌から脳へ転移する仕組みを解明

2024年2月19日、金沢大学がん進展制御研究所の石橋公二朗助教や平田英周准教授、金沢大学医薬保健研究域医学系/金沢大学附属病院脳神経外科の中田光俊教授など共同研究グループが、肺癌が脳へ転移する仕組みを解明したという発表がなされました。

癌転移は様々な癌において発生リスクのあるものですが、特に脳転移は治療が困難になる症例の1つであり、肺癌からの脳転移は肺癌治療や癌患者の予後を考える上で非常に重要なポイントにもなっています。

本研究では、共同研究グループが独自開発した研究方法を採用することで、肺癌から脳への転移に関して重要な役割を持っているタンパク質「Wnt-5a」や「mGluR1」などを同定し、それらの相互作用によって肺癌細胞の増殖が促進され、結果的に脳転移のリスクが高まるといったメカニズムを解明しました。

具体的には、Wnt-5aはアストロサイトによって分泌される物質であり、これが肺癌細胞においてmGluR1の発現を誘導します。そして誘発されたmGluR1はグルタミン酸依存性にEGFRへ結合して安定化させることで、シグナル活性化を促して肺癌細胞が増殖していくという流れになります。

参照元:金沢大学|肺がんが脳に転移する仕組みを解明!

ノボキュアの「Optune Lua®」が転移性非小細胞肺癌治療でFDA承認を取得

2024年10月20日、ノボキュア株式会社は転移性非小細胞肺癌の治療法として「Optune Lua®」が米国FDAの承認を取得したと発表しました。なお、Optune Lua®はプラチナ製剤ベースのレジメンによる治療中または治療後に癌の進行が認められた転移性非小細胞肺癌の成人患者に対する「PD-1/PD-L1阻害剤」もしくは「ドセタキセル治療」との併用療法に活用するための治療法として承認されています。

Optune Lua®は患者の身体に侵襲的な影響を与えることなく装着できるアレイを活用し、「腫瘍治療電場(TTフィールド)」と呼ばれる交流電場を発生できるポータブルデバイスです。そしてTTフィールドは癌細胞が分裂中に帯電していることを利用して、細胞の構成要素へ物理的なプレッシャーをかけることで腫瘍細胞を死滅させるといったメカニズムを有しています。

第3相ピボタル試験としてLUNAR試験が実施された結果、対象となった患者グループにおいて全生存期間の中央値が大幅に改善されたことが示され、FDAからの承認取得につながったとされています。ただし、Optune Lua®は全ての癌患者に適応があるわけではないと発表されている点にも留意しなければなりません。

参照元:businesswire|ノボキュアのOptune Lua®、転移性非小細胞肺がんの治療用としてFDAの承認を取得

「デュルバルマブ+化学療法+低線量放射線」が進展型小細胞肺癌に有効

2024年3月下旬にチェコ・プラハで開催された「欧州肺癌学会(ELCC 2024)」において、中国の研究グループが進展型小細胞肺癌(ES-SCLC)の1次治療に関する研究結果を発表し、その結果「デュルバルマブ+化学療法+低線量放射線」の併用療法が優れた抗腫瘍効果を示したというデータが示されました。

なお、化学療法は標準的な治療法として「エトポシド+白金系抗癌薬」が挙げられており、そこへ「抗PD-L1抗体デュルバルマブ」を投与した上で、低線量放射線を照射するといった治療の流れになっています。

そもそもES-SCLCの1次治療については、従来から「デュルバルマブ+化学療法」の併用療法に有効性が示されていました。しかし持続的な臨床効果を得られていなかったことも事実であり、より効果的で信頼できる治療法の開発が望まれていました。

今回の研究では、上記の治療に低線量放射線を追加した放射線化学療法を活用することで、より有意な治療効果を得られたというデータが報告されています。これにより、将来的にはES-SCLCの標準的な治療法として、「デュルバルマブ+化学療法+低線量放射線」やそれに類する治療法が確立されることも期待されます。

参照元:がんナビ|進展型小細胞肺癌の1次治療としてデュルバルマブ+化学療法+低線量放射線は有望【ELCC 2024】

HER2過剰発現の既治療進行非小細胞肺癌へ「T-DXd」が有用と確認

2024年9月7日から9月10日にかけてアメリカのサンディエゴで開催された「世界肺癌学会(WCLC 2024)」において、J.C-H. Yang氏を中心とした台湾の研究グループが、HER2過剰発現の既治療進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対して「トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)」の単剤投与が良好な治療効果を発揮したという研究報告を発表しました。

HER2(human epithelial growth factor receptor 2)はHERファミリーに属する細胞膜において発現されているタンパク質であり、正常な細胞にも存在しているものの、過剰に発現することで細胞増殖の制御が効かなくなり、癌化につながると考えられている物質です。

今回の研究は、上記のようにHER2が過剰に発現している、前治療歴を持つ進行非小細胞肺癌の患者に対して、T-DXd単剤投与を行ったところ、ほとんどの対象患者において腫瘍縮小が認められたことが報告されました。また安全性プロファイルに関してもすでに報告されているT-DXdの内容と一致しており、安全性についての新たなリスクや問題は認められませんでした。

参照元:がんナビ|HER2過剰発現の既治療進行非小細胞肺癌へのトラスツズマブ デルクステカン単剤投与が良好な効果を示すことを改めて確認【WCLC 2024】

FDAがHER2遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺癌における「T-DXd」の2次治療申請を受理

日本の第一三共と英国アストラゼネカ社による研究グループは、2022年4月に抗HER2抗体薬物複合体の「トラスツズマブ デルクステカン(DS-8201/T-DXd)」について、HER2遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺癌における2次治療として米国FDAへ承認申請を行い、それが受理されたことを発表しました。また同申請は優先審査を受けていることも伝えられています。

本申請の根拠となっているデータは、すでに実施されていた多施設フェーズ2試験である「DESTINY-Lung01試験」の結果であり、同試験ではHER2遺伝子の変異を有している癌患者を対象としたコホートによって、T-DXdを使った治療が高い奏効率を示すということが報告されていました。また、HER2エクソン19/20遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺癌または転移非小細胞肺癌については、1次治療としてT-DXdと標準治療の比較を行うフェーズ3試験の「DESTINY-Lung04試験」が2021年12月時点でスタートしています。

本申請が審査を経てFDAの承認を取得すれば、HER2遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺癌に対する2次治療の選択肢が広がると期待されます。

参照元:がんナビ|HER2遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺癌の2次治療としてT-DXdが米国で申請受理

EGFR変異陽性進行非小細胞肺癌の3次治療として「HER3-DXd」を承認申請

第一三共は2023年12月25日、EGFR変異陽性の局所進行または転移を有する非小細胞肺がんに対する3次治療として、抗HER3抗体薬物複合体「patritumab deruxtecan(HER3-DXd)」を米国食品医薬品局(FDA)へ承認申請したと発表しました。また、同申請はFDAにおいて優先審査の指定を受けたことも合わせて発表されています。

本申請はグローバル規模で行われたフェーズ2試験のHERTHENA-Lung01試験の結果にもとづいており、同試験の結果は2023年9月にシンガポールで開催された「世界肺癌学会(WCLC 2023)」においてもすでに発表されているものです。

WCLC 2023で報告された研究データによれば、225人の患者に対してHER3-DXd 5.6mg/kgが投与され、試験の結果、確定奏効率は全体で29.8%(95%信頼区間:23.9-36.2)、1人の患者では完全奏効が得られたと報告されています。また病勢コントロール率は73.8%となっていました。

上記のようなデータを踏まえて、HER3-DXdはEGFR変異陽性の局所進行または転移を有する非小細胞肺癌の治療に関しても有用性が期待されており、FDAでの審査を経て承認されれば、より多くのがん患者の治療に貢献すると期待されます。

参照元:がんナビ|抗HER3抗体薬物複合体HER3-DXdがEGFR変異陽性進行非小細胞肺癌の3次治療として米国で申請、優先審査に指定

「オシメルチニブ+化学療法」の併用療法がEGFR変異陽性進行NSCLCに有効

2023年9月9日から4日間にわたってシンガポールで開催された「世界肺癌学会(WCLC 2023)」において、アメリカのDana-Farber Cancer Instituteの研究チームが、EGFR変異陽性非小細胞肺癌(NSCLC)の1次治療に関する「オシメルチニブ+化学療法」の併用療法の有効性について発表しました。

治療対象となった患者はステージ4のEGFR変異陽性非小細胞肺癌、もしくは局所進行(IIIB-IIIC期)のNSCLCと診断された患者であり、1次治療としての利用価値が確認されています。

比較対象として、オシメルチニブの単独療法と、オシメルチニブに化学療法を加えた併用療法が実施され、結果的に併用療法において患者の増悪または死亡リスクを38%も低減できるという結果が得られたことは重要です。なお、全生存期間(OS)についてはイマチュアな状態において両グループにおける有意差は認められませんでした。

また、安全性や有害事象・副作用についても合わせて報告されており、グレード3以上の副作用発現率は化学療法併用群で64%、オシメルチニブ単体群で27%となっています。

参照元:がんナビ|EGFR変異陽性進行NSCLCの1次治療でオシメルチニブと化学療法の併用はオシメルチニブのみより増悪または死亡のリスクを38%低減【WCLC 2023】

切除可能非小細胞肺癌への「術前化学療法+ニボルマブ投与」の有用性

2025年2月19日、アメリカのBristol Myers Squibb社は成人の癌患者の中でも、切除可能な非小細胞肺癌(NSCLC)の患者に関して、術前療法の有用性やその具体的な内容などをまとめた研究結果を発表しました。

本研究で対象となった術前療法は、肺癌手術の前に行う白金系抗癌薬ベースの2剤併用化学療法に、抗PD-1抗体ニボルマブの投与を加えたものであり、ニボルマブ投与を含めたグループは化学療法のみを実施したグループよりも全生存期間(OS)が有意に延長したと報告されています。

比較対象の患者としては「IB期(4cm以上)~ⅢA期の切除可能NSCLC患者」がベースとされ、それらの患者を「白金系抗癌薬ベースの2剤併用化学療法+ニボルマブ投与」群と、「白金系抗癌薬ベースの2剤併用化学療法」群に分類した上で、それぞれの治療効果を検証しました。なお、使用されているニボルマブは360mgとなっています。

結果的にニボルマブ併用群で高い病理学的完全奏効率を獲得し、生存期間に関しても有意な延長があったと報告されました。

参照元:がんナビ|切除可能非小細胞肺癌への術前の化学療法とニボルマブ投与は全生存期間を有意に延長

肺神経内分泌腫瘍(肺カルチノイド)に関するオンラインセミナー

国立がん研究センター希少がんセンターは、神経内分泌腫瘍(NET:Neuroendocrine tumor)の中でもレアケースとされる「肺神経内分泌腫瘍(肺カルチノイド)」をテーマとしたオンラインセミナーを、2024年12月20日に開催しました。なお、セミナーの講師は同センターの希少がんセンター/中央病院呼吸器内科外来医長である後藤悌氏が務めています。また、さらに神経内分泌腫瘍の患者や家族の立場から、患者・家族ネットワーク「しまうまねっと」の松山千恵子氏が代表者として質問を行いました。

肺神経内分泌腫瘍は症例数が少ないとされる癌の1種であり、ネット上などで患者やその家族が情報を収集しようとしても難しいことが考えられます。しかし、そのような際には「肺カルチノイド」という名称で情報検索することにより、より適切な情報へアプローチできる可能性が高められるという指摘は、実際に患者や家族の立場を考えても有益なアドバイスであったといえるでしょう。

参照元:がんナビ|国立がん研究センター・希少がんセミナー2024(19) 肺神経内分泌腫瘍(肺カルチノイド)の特徴と治療法

高度選択的HER2阻害薬「Zongertinib」が進行非小細胞肺癌で奏効率71%

2025年2月18日、日本ベーリンガーインゲルハイムは可逆的チロシンキナーゼ阻害薬であり、高度選択的HER2阻害薬である「Zongertinib(BI 181061)」に関して、切除不能な進行非小細胞肺癌や再発非小細胞肺癌を対象とした製造販売承認の申請を日本で行ったと発表しました。

今回のケースにおいては、HER2遺伝子変異陽性かつ切除不能、あるいは転移のある固形癌をターゲットとしたZongertinib単剤療法についての評価がベースとなっており、試験結果についてはすでにシンガポールで2024年12月に開催された「ESMO Asia2024」でも報告されていました。

非盲検フェーズ1試験は30歳から80歳の患者75人が対象となっており、全体における確定奏効率は71%で、想定を上回って有意な良好な結果が得られています。また、患者の大半で主要縮小が認められ、HER2遺伝子変異陽性進行非小細胞肺癌の治療として、Zongertinib単剤療法が有用である可能性が示唆されました。

参照元:がんナビ|HER2遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺癌を対象に高度選択的HER2阻害薬zongertinibが申請、フェーズ1試験で奏効率71%

早期非小細胞肺癌への「ダトポタマブ デルクステカン」のフェーズ3試験開始

2025年1月31日、第一三共は早期非小細胞肺癌(NSCLC)に対する術後療法として、抗TROP-2抗体薬物複合体「ダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd)」を使用した場合の有効性を評価するため、世界規模のフェーズ3試験(TROPION-Lung12試験)を実際の患者に対してスタートさせたということを発表しました。

TROPION-Lung12試験は高リスクの病理学的特徴を備えたステージⅠのNSCLC患者に対して、術後療法としての「Dato-DXd+二重特異性抗体rilvegostomig」併用療法や、rilvegostomig単剤療法、標準術後療法といった治療を実施し、それぞれの効果の有意差や有用性の比較などを行うものです。なお、ALK転座やEGFR変異といったタイプの患者は研究対象から除外されました。

試験に参加する患者としては日本だけでなくアジア、欧州、北南米など広い範囲から約660人の予定となっており、世界規模の臨床試験がついに開始されたとして今後の動向が注目されています。

参照元:がんナビ|抗TROP-2抗体薬物複合体Dato-DXdを早期NSCLCの術後療法として評価するフェーズ3試験TROPION-Lung12が開始

肺癌患者のための強化皮膚ケア療法が副作用の軽減に寄与

2025年1月14日、アメリカのJohnson & Johnson社は、局所進行・転移性非小細胞肺癌(NSCLC)の患者に対する「強化皮膚ケア療法」の有用性について発表しました。

対象となった患者は、NSCLC患者の中でも1次治療として「二重特異性抗体アミバンタマブ+第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬ラゼルチニブ」併用療法を受けている患者であり、合計で200人が参加しています。

患者はそれぞれ、抗生物質を使った爪周りの炎症予防や保湿ケアなどを組み合わせた強化皮膚ケア療法を行うグループと、標準的な皮膚ケアを受けるグループに分類され、両者の違いを比較されました。

なお、強化皮膚ケア療法を実施された患者グループと、標準的な皮膚ケアのみのグループの比較検証結果に関しては、改めて今後の学会などで発表される予定となっており、治療開始後1年間の皮膚トラブルの発症率や重症度、QOLといった項目が評価されることになっています。

参照元:がんナビ|進行NSCLCの1次治療としてアミバンタマブとラゼルチニブ投与中の患者に強化皮膚ケア療法が皮膚関連副作用の頻度と重症度を軽減する可能性

進行非小細胞肺癌などへ「tifcemalimab+toripalimab」併用療法が有効

神戸市で2025年3月6~8日の3日間にわたって開催された「第22回日本臨床腫瘍学会」において、「Jilin Cancer Hospital」に所属するYing Cheng氏が進行性非小細胞肺癌などに対する治療法として、「抗BTLA抗体tifcemalimab」と「抗PD-1抗体toripalimab」を併用した治療が、抗腫瘍効果に関して有望な結果を示したという研究報告を発表しました。

Ying Cheng氏らによる研究チームは、治療歴のある進行非小細胞肺癌(NSCLC)の患者と、進展型小細胞肺癌(ES-SCLC)の患者に対して、「tifcemalimab+toripalimab」併用療法の安全性や有用性を試験的に分析しました。そしてその結果、フェーズ1/2試験で得られたデータによって許容範囲の安全性と有用な抗腫瘍効果が認められたとされています。

これにより、NSCLCやES-SCLCの患者に対する治療の選択肢が拡大する可能性が期待されました。

参照元:日経メディカル|既治療の進行NSCLCと難治性進展型SCLCにtifcemalimabとtoripalimabの併用療法が有望な可能性【日本臨床腫瘍学会2025】

ROS1融合遺伝子陽性進行非小細胞肺癌へ「taletrectinib」が効果を発揮

神戸市で開催された「第22回日本臨床腫瘍学会(2025年3月6日~8日)」において、九州がんセンターの瀬戸貴司氏らによる研究チームが、ROS1融合遺伝子陽性進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対する治療として、「選択的ROS1チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)taletrectinib」が有用であるという研究結果を発表しました。

本研究はフェーズ2試験として実施されたTRUST-I試験とTRUST-II試験の結果を統合的に解析して得られた考察であり、数値的にも優れた奏効率が認められたということです。

なお、TKIによる治療の既往歴のない患者に対する確定奏効率は88.8%で、既治療の患者に対する確定奏効率は55.8%となっています。なお、頭蓋内確定奏効率についても良好な結果が認められました。

参照元:日経メディカル|ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺癌に選択的ROS1チロシンキナーゼ阻害薬taletrectinibが高い抗腫瘍効果【日本臨床腫瘍学会2025】

日本人の進行非小細胞肺癌に「ニボルマブ+イピリムマブ」併用療法が有効な可能性

2025年3月6日から同月8日に神戸市で開催された「第22回日本臨床腫瘍学会」において、がん研有明病院の西尾誠人氏が発表者として登壇し、日本人の進行非小細胞肺癌(NSCLC)の患者に対して、「ニボルマブ+イピリムマブ」の併用療法や、さらに化学療法を併用した治療が有効であるという報告しました。

本研究では、NSCLCの中でも特に「PD-L1発現が1%未満」という条件の日本人患者に対する1次治療の有用性が検討されており、その解析にフェーズ3試験の「CheckMate 227試験」と「CheckMate 9LA試験」へ参加した日本人患者のデータが活用されています。

結論として、PD-L1発現1%未満のNSCLCの日本人患者に対して、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法や、ニボルマブ+イピリムマブ+化学療法の集学的治療が、抗腫瘍に有用な効果を発揮する可能性が示唆されました。

参照元:日経メディカル|PD-L1発現が1%未満の進行非小細胞肺癌の1次治療でニボルマブとイピリムマブ±化学療法が日本人患者で良好な効果を示す可能性【日本臨床腫瘍学会2025】

NSCLCに「カルボプラチン+nab-パクリタキセル+アテゾリズマブ」療法は不十分?

神戸市において開催された「第22回日本臨床腫瘍学会(2025年3月6日~8日)」で、九州大学の白石祥理氏による研究チームが結果を発表し、それによれば「TTF-1陰性の進行非扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)」に対する治療法として、「カルボプラチン+nab-パクリタキセル+アテゾリズマブ」の併用療法が抗腫瘍効果を十分に発揮できない可能性が示唆されています。

本研究は日本国内の医療機関で実施した単群フェーズ2試験「F1NE TUNE試験(LOGIK2102)」において、TTF-1陰性NSCLCの患者に対する併用療法の抗腫瘍効果の検証を行ったところ、無憎悪生存期間(PFS)に関して有意な改善性が認められなかったというものです。

この結果は、一部のNSCLC患者の治療としてカルボプラチン+nab-パクリタキセル+アテゾリズマブ併用療法を選択すべきでないという懸念を示すものとなりました。

参照元:日経メディカル|TTF-1陰性の進行非扁平上皮NSCLCへのカルボプラチン+nab-パクリタキセル+アテゾリズマブは十分な抗腫瘍効果を示せない可能性【日本臨床腫瘍学会2025】

HER2遺伝子変異陽性進行非小細胞肺癌の治療薬として「ゾンゲルチニブ」を追加申請

2025年2月18日、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は経口HER2特異的チロシンキナーゼ阻害剤「ゾンゲルチニブ」に関して、切除不能なHER2遺伝子変異陽性進行非小細胞肺癌および再発非小細胞肺癌の患者に対する治療法として、日本国内での製造販売承認申請を行ったと発表しました。

ゾンゲルチニブはすでにHER2遺伝子変異陽性の切除不能進行・再発非小細胞肺癌の治療を目的として、2024年12月25日付で希少疾病用医薬品の指定が厚生労働省から認められています。そのため今回の申請は、さらに日本国内における製造販売の承認申請を追加で行ったというものであり、根拠としてゾンゲルチニブ単剤療法の評価試験である第1相非盲検用量漸増Beamion LUNG-1試験(NCT04886804)のデータが示されています。

参照元:オンコロ|【承認申請】ゾンゲルチニブ、HER2遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がんの治療薬として製造販売承認を申請

免疫チェックポイント阻害薬+化学療法は時間帯で効果が変わる

ステージⅢ~Ⅳの進行非小細胞肺癌患者(NSCLC患者)の治療において、標準治療として認められている化学療法に、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)を組み合わせた併用療法の効果が、患者への投与時間と関連性があるという研究報告を中国の研究グループが発表しました。同研究報告は2025年5月30日から6月3日までアメリカのシカゴで開催されていた米国臨床腫瘍学会(ASCO 2025)において、中国のHunan Cancer Hospital/The Affiliated Cancer Hospital of Xiangya School of Medicine, Central South UniversityのYongchang Zhang氏によって発表されており、同研究グループによれば進行性のNSCLC患者に対して併用療法の投与時間帯を、15時前と15時以降で比較した結果、15時前に投与を完了した方が無増悪生存期間(PFS)を有意に延長させるというものでした。

これは癌治療の医薬を1日のうちどの時間帯に投与することが望ましいか検討するデータとして重要であり、免疫細胞の機能などに関して概日リズムが関与しているという報告と重なるものとなっています。

参照元:がんナビ|進行NSCLCへのICIと化学療法併用は15時前完了が15時以降開始よりPFSが有意に良好、中国の無作為化フェーズ3【ASCO 2025】

進展型小細胞肺癌の治療に「アテゾリズマブ+lurbinectedin」併用療法が有効

米国シカゴで2025年5月30日~6月3日に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2025)において、スペインのHospital Universitario 12 de Octubre/ the Universidad ComplutenseのLuis G. Paz-Ares氏らによる研究チームが、進展型小細胞肺癌(EC-SCLC)の患者における1次治療の維持療法として、RNAポリメラーゼII阻害薬「lurbinectedin」と「アテゾリズマブ」の併用療法が全生存期間(OS)や無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したという研究報告を発表しました。

lurbinectedinは海洋化合物に由来するRNAポリメラーゼⅡ阻害薬であり、癌細胞に対して直接的に作用するだけでなく、腫瘍関連マクロファージの腫瘍遺伝子転写を阻害して主要成長に関わるサイトカイン産生を抑制する物質としても知られています。

研究の結果、併用療法の有用性が期待され、NSCLC患者にとって1次維持療法の標準治療になる可能性が示唆されました。

参照元:がんナビ|EC-SCLCの1次治療の維持療法でアテゾリズマブにRNAポリメラーゼII阻害薬lurbinectedinの併用でOS、PFSが有意に改善【ASCO 2025】

二重特異性抗体タルラタマブが進展型小細胞肺癌に有効

白金系抗癌薬ベースの化学療法をすでに受けている、進行・再発の進展型小細胞肺癌(SCLC)の患者に対して、デルタ様リガンド3(DLL3)とCD3を標的とした二重特異性抗体「タルラタマブ」を活用した治療が、化学療法よりも全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したという研究報告が、アメリカのシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2025:2025年5月30日~6月3日)において発表されました。

研究発表を行ったのはアメリカのMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのCharles M. Rudin氏による研究チームであり、同研究では白金系抗癌薬ベースの化学療法既治療の進行・再発SCLC患者をそれぞれ、化学療法を行う群とタルラタマブを投与する群に1対1の割合で分けた上でOSやPFSの差異を検証しています。

研究の結果、OS中央値はタルラタマブ群で13.6ヶ月、化学療法群で8.3ヶ月となり、前者がよりOS延長に寄与したことが認められました。またPFSに関してもタルラタマブ群が延長効果を発揮しています。

参照元:がんナビ|既治療進行・再発進展型小細胞肺癌で二重特異性抗体タルラタマブが化学療法よりもOSとPFSを有意に延長【ASCO 2025】

EGFR-TKIで病勢進行したEGFR変異陽性進行NSCLCにHER3-DXdが有用

2025年5月30日~6月3日に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2025)で、中国のChinese University of Hong KongのTony Mok氏が発表に立ち、EGFR変異陽性の局所進行または転移性非小細胞肺癌(NSCLC)に対する治療研究の報告を行いました。同研究では、第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の治療を行った後に病勢が進行したEGFR変異陽性進行NSCLCに対して、抗HER3抗体薬物複合体patritumab deruxtecan(HER3-DXd)を用いた治療を行ったところ、白金系抗癌薬ベースの2剤併用化学療法を実施した場合よりも無増悪生存期間(PFS)が有意に延長されるという結果を示しています。

研究によって得られたデータにもとづけば、HER3-DXd群のPFS中央値が5.8ヶ月、化学療法群が5.4ヶ月となっており、前者の方に延長が認められました。また安全性に関する問題は認められず、この結果からEGFR-TKI治療で病勢進行した患者に対する治療の候補が広がることが期待されています。

参照元:がんナビ|第3世代EGFR-TKIで病勢進行したEGFR変異陽性進行NSCLCに対してHER3-DXdは化学療法よりも有意に無増悪生存期間を延長【ASCO 2025】

切除可能非小細胞肺癌に「化学療法とニボルマブ」の術前療法が有効

切除可能非小細胞肺癌(NSCLC)の成人患者に対する治療として、術前療法を行う際に白金系抗癌薬ベースの2剤併用化学療法のみを行う場合と、化学療法に抗PD-1抗体ニボルマブを投与する併用療法を行った場合で、併用療法の方が化学療法単独よりも患者の死亡リスクを28%軽減したという研究報告が、2025年5月30日から6月3日の期間に米国シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2025)において発表されました。

発表者はアイルランドのアイルランドTrinity St. James's Cancer InstituteのPatrick Forde氏であり、本研究はすでにニボルマブ併用群が化学療法群よりも優れた病理学的完全奏効(pCR)を示すと知られていた中において、改めて全生存期間(OS)に関する最終解析についての結果を伝えるものとなりました。

また、長期観察によってニボルマブ併用群における安全性についての問題点などは認められなかったということです。

参照元:がんナビ|切除可能非小細胞肺癌の術前療法で化学療法とニボルマブの投与は化学療法のみの場合よりも死亡のリスクを28%低減【ASCO 2025】