癌に負けない体づくり~免疫力アップのいろは~
がんで闘病している人や「がんの治療は終わったけれど、再発や転移を防ぎたい」と考えている人にとって重要なのが、免疫力のアップです。がんの治療によって免疫機能が低下してそのままだと、ウイルスなどによる感染症にかかるリスクが高まってしまうからです。
そこで今回は、免疫力アップについて詳しくご紹介。免疫のメカニズムや免疫力アップに必要なこと、免疫力アップにおすすめの食事のレシピなどを分かりやすく解説していきます。
免疫のメカニズム
免疫とは、体内で発生したがん細胞や外から侵入した細菌、ウイルスなどを常に監視し、撃退する自己防衛システムのことです。
免疫の仕組みは精巧にできていて、いくつもの免疫細胞が協調しあって作用しています。
人間の身体の中では毎日、がん細胞といった身体に害をもたらす細胞ができているのですが、そのほとんどが発症しないままでいます。なぜ多くの人は発病しないのでしょうか?それはさまざまな免疫細胞が連動し、がんや感染症を死滅させるために働いているからです。
もし、免疫というシステムが体から無くなったとしたら、私たちはすぐに何らかの病気にかかってしまうということになります。一般的に免疫システムは15歳までに出来あがり、20歳を超えると徐々に免疫力は落ちていきます。
免疫力を上げるために必要なこと
1.腸内環境を整える
人間の身体は、口から肛門まで続くトンネルのような構造になっているため、腸は体内にありながら、皮膚と同じように外界にさらされているのと同じ状況になります。食事や呼吸をするたびに腸は、食べ物だけでなく、病原体となる細菌やウイルスに触れていることになるのです。
免疫細胞の6割が腸にいると言われており、腸内の免疫細胞を活性化できる食べ物をとっているかどうかが、免疫力を大きく左右することになるのです。免疫細胞を活性化させるには、腸内の善玉菌を増やすのが一番で、乳酸菌が効果的。そのため、ヨーグルトや乳酸菌飲料などの乳製品がおすすめです。
2.体温を上げる
免疫細胞は血液の中にいるため、体温が下がり血行が悪くなると、免疫細胞の動きも鈍くなり、体内に異物を発見しても素早く攻撃できません。免疫力が正常に保たれる体温は36.5℃程度と言われています。
体温が1℃下がると30%低下し、逆に1℃上がると一時的には最大5~6倍アップするとも言われているのです。
体を温めることが大切なので、少し調子が悪いと感じたら冷たい飲み物ではなく温かい飲み物を飲むようにして、体を内側から温めるようにしましょう。
3.栄養価の高い食べ物を食べる
食べ物を食べたからといって免疫力がアップするわけではありませんが、ファーストフードやインスタント食品ばかり食べている食生活よりも、栄養バランスの整った食事のほうが健康に良いのは当然です。
野菜や果物の中には、免疫力アップを促すようにサポートする成分が含まれている者もあるので、普段の食生活に取り入れてみてください。
免疫力アップにおすすめのレシピ
免疫力を上げるのに役立つレシピをいくつか紹介していきます。
根菜カレー
レシピのポイント
- レンコンには、ポリフェノールの一種であるタンニンが含まれているため、抗酸化作用があるとともに、ポリフェノールとレクチンが免疫細胞の働きを促進し、免疫力を高める効果があります。
- 動物性たんぱく質は、体の機能を正常に保ち、免疫物質の働きを高める効果があるため、重要です。また豚肉に含まれるビタミンB1を摂取することで疲労回復に必要に役立ちます。
- 根菜とカレーに含まれているスパイスが体を温める効果があり、より一層、免疫力と抵抗力を高め、感染症や風邪予防に効果的です。
- ショウガの中には、ジンゲロールという成分が含まれています。この成分が体内に入ると、敵と勘違いして免疫細胞が数を増やして免疫が強化する作用があるのがポイント。さらにジンゲロールは熱を加えると、ショウガオールという成分に変化し、血液の流れを良くして身体を温めてくれます。
材料(2人分)
1人分のカロリー:ご飯なしの場合390kcal、ご飯180gの場合680kcal
- ニンニク:1片
- タマネギ:1個
- 長ネギ:1/2本
- ゴボウ:1/4本
- ニンジン:1/2本
- レンコン:50g
- ブロッコリー:1/4株
- ジャガイモ:1個
- ショウガ:20g
- 豚ロース肉:150g
- 鶏ガラスープの素:小さじ1/2
- ゴマ油:大さじ1/2
- カレールー:2皿分
- 水:500ml
作り方
- 鍋に火をかけ、ゴマ油、みじん切りにしたニンニク、タマネギ(1/2個)、長ネギ(半量)を投入し、しんなりするまで炒める。
- 【1】に角切りにした残りのタマネギとブツ切りにした長ネギ(半量)、豚ロース肉、乱切りにしたゴボウ、ニンジン、レンコンを加えてしっかりと火を通す。
- ジャガイモを最後に入れたら水と鶏ガラスープの素を入れてじっくりと煮込み、野菜が柔らかくなった段階で火からおろす。
- 用意したカレールーを入れて、再び10分前後、煮込む。
- ブロッコリーは適当な大きさに分け、熱湯で軽く茹でた後、【4】に混ぜ合わせる。
- ショウガは皮をむいて千切りにし、ご飯に混ぜ合わせる。
カブと春菊の和えもの
レシピのポイント
- 春菊は、ビタミンB2やビタミンC、ビタミンE、カルシウム、鉄などが豊富で栄養価が高く、貧血や骨粗しょう症の予防などにも効果が期待できるのがポイント。
- カブの根の部分には、便秘を解消するのに効果的な食物繊維をはじめ、胃腸の働きを改善するのに役立つ消化酵素アミラーゼなどが含まれています。またカブの中には、グルコシノレートと呼ばれる辛味成分があり、この成分には、血栓を予防する効果や肝臓の解毒作用をサポートする作用があります。
- ちりめんじゃこは、ビタミンやミネラルが豊富で、骨粗しょう症やイライラ防止に効果的。またDHAやEPAを含んでいますので、生活習慣病の予防にも役立ちます。
- 調理するのが簡単で手間がかかりません。
材料(2人分)
1人分エネルギー:52kcal
- 春菊(葉先):10g
- カブ:80g
- ちりめんじゃこ:12g
- いりゴマ(白):大さじ1
- 塩:1~2つまみ
- ゴマ油:大さじ1/2
作り方
- 春菊を粗みじん切りにして、塩1つまみほど入れて塩もみをする。カブの皮をむいて食べやすい大きさのくし形切りにし、塩1つまみでこちらも塩もみ。水気を絞ってボウルに合わせ入れる。
- 熱したフライパンにゴマ油を入れたらちりめんじゃこを炒め、【1】に加えて混ぜ合わせる。いりゴマを加えてサッと混ぜ合わせたら、器に盛る。
じゃがいもとかぼちゃのキッシュ
レシピのポイント
- カボチャは、野菜の中でもビタミンEの含有率が豊富。血管を拡張し、血行を促進する効果があるため、冷え性などの症状を緩和する効果が期待できます。
- ジャガイモにはビタミンCが含まれているため、風邪の予防や疲労の回復、肌荒れなどに効果的。またミネラルの1つであるカリウムも豊富に含んでおり、カリウムには塩分を排泄する働きがあり、高血圧の予防、むくみ改善の効果が期待できます。
材料(2人分)
1人分エネルギー:381kcal
- カボチャ:正味100g
- ジャガイモ:100g
- ウインナーソーセージ:1本
- タマネギ:100g
- グリーンピース(缶):10g
- 粉チーズ:小さじ1
- コショウ:少々
- 油:大さじ1/2
- ★卵1~2個
- ★牛乳:100ml
- ★コンソメ:小さじ1
作り方
- カボチャとジャガイモを1.5cm角切りにして、茹でる。
- 熱したフライパンで油を加熱し、薄い小口切りにしたウインナーソーセージを炒める。炒めたら、薄切りにしたタマネギを加えてさらに炒める。
- ★マークの材料をあらかじめ混ぜ合わせておき、【1】、【2】、グリーンピース、粉チーズ、コショウを加える。
- 耐熱容器に【3】を入れて、230度のオーブンで10分ほど焼いて完成。