いちから分かる癌転移の治療方法ガイド

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胆道がんの症状や転移、治療法について

胆道は肝臓から十二指腸までをつなぐ、胆汁の通り道です。この胆道にできるがんを胆道がんと呼びます。胆道がんの症状や治療法、転移しやすい部位について解説していきます。

胆道がんの症状

胆のうと胆管を合わせて胆道と呼び、胆道に悪性腫瘍ができたものが胆道がん(胆管がん)です。胆管の部位によって名称が変わり肝内胆管がん、肝外胆管がん(肝門部領域胆管がんと遠位胆管がん)と呼びます。

がんが進行し、大きくなるにつれて腹部の張りや痛みなどの症状が出現。大きくなるとともに肝機能の低下が見られ、黄疸や腹水が起こり始めます。

がんが小さくても破裂する場合があり、そのときは腹部の激しい痛みと血圧低下が起こり命にかかわる可能性があります。

胆道がんは大きくなるまで気づきにくく、腹部超音波やX線CT、MRIなどの精密な検査で発見されることがほとんどです。

胆道がんの治療法

胆道がんの治療は、外科手術によりがんによる死亡率を低下させることが可能だと言われています。しかし、肝臓や膵臓、十二指腸など重要な臓器が関わってくるため、大規模な手術が必要。そのため、術後の合併症やほかのがん手術に比べてリスクが高いのが現状です。

放射線治療は一般的ながん治療のひとつとして認知されていますが、胆道は放射線の感受性が低いため、それだけで根治することは困難。しかし手術で切除できない場合や術後の再発により局所でとどまっている場合など、状態に応じて放射線治療が行われることもあります。

また、切除ができない場合はゲムシタビンとシスプラチンを併用した抗がん剤を用いて治療が行われることも。胆道がんの治療で有効なのは外科手術だといえます。

胆道がんの痛み

腫瘍が大きくなると、肝臓を覆う肝被膜が腫瘍によって伸ばされて内臓痛を感じるようになります。小さながんでも、肝臓の外へ突き出るように大きくなった場合、腹腔内で破れて激しい腹痛と血圧低下を招くこともあるのです。

また、がんが染み込むように広がる浸潤と呼ばれる状態が肝臓の上にある横隔膜で起こると、右肩に拡散痛が生じる人も。

後腹膜に浸潤した場合は、痛みを伝える神経に損傷が起こり神経障害性疼痛(しんけいしょうがいせいとうつう)を引き起こすこともあります。

胆道がんの転移先として多い部位

胆道がんが転移しやすい部位としては、肝臓、腹膜、リンパ節、肺、骨が挙げられます。肺に転移した場合は肺がんではなく、胆道がんの肺転移と呼び、転移したばかりでがんが小さいうちは症状がないことの方が多いです。

肺転移が確認された場合、治療は抗がん剤治療が行われます。骨に転移が生じた場合は放射線治療が行われ、痛みに応じて鎮痛剤を使用。放射線治療には痛みの緩和のほか、神経への影響の予防、骨折の予防が期待されます。

胆道がんや治療法に対する研究・論文

IDH1遺伝子変異陽性胆道がんへIDH1阻害薬イボシデニブを適応拡大申請

2025年6月30日、日本セルヴィエは厚生労働省に対して、変異型イソクエン酸脱水素酵素1(IDH1)の選択的阻害薬である分子標的薬「イボシデニブ」について、化学療法の後に増悪したIDH1遺伝子変異陽性かつ治癒切除不能な胆道がんへの適応拡大申請を行ったことを発表しました。

臨床試験の対象となった患者はIDH1遺伝子変異陽性の胆道がんであり、さらに既治療もしくは切除不能な転移性癌の患者となっており、申請はそれぞれ海外で実施されたフェーズ3試験のClarIDHy試験(AG120-C-005試験)と、日本人患者を対象とした国内フェーズ2試験(CL2-95031-008試験)の結果にもとづいています。

ClarIDHy試験の結果として、IDH1遺伝子変異陽性の進行胆道がんの患者へイボシデニブを使用したところ、比較検証対象であるプラセボ群よりも無増悪生存期間(PFS)が有意に延長されたことが認められ、全生存期間(OS)に関しても良好と思われるデータ傾向が得られたそうです。

申請が認められれば、IDH1遺伝子変異陽性胆道がん患者にとって治療の選択肢が広がると考えられます。

参照元:がんナビ|既治療のIDH1遺伝子変異陽性の進行胆道癌へのIDH1阻害薬イボシデニブの適応拡大が申請

局所進行切除可能胆道がんにゲムシタビン/シスプラチンの周術期化学療法が有用

2025年5月30日から6月3日にアメリカのシカゴで開催された「米国臨床腫瘍学会(ASCO 2025)」において、ドイツの研究グループが局所進行切除可能胆道がん(BTC)の患者に対する術前術後のゲムシタビン/シスプラチン(Gem/Cis)の周術期化学療法が、全生存期間(OS)や無イベント生存期間(EFS)などを大きく改善したという研究結果を発表しました。

まず、胆道がんや胆嚢がんにおいて根治を目指せる治療は肝切除のみだと考えられていたものの、治癒的切除を行った患者の5年生存率は20~40%となっており、より効果的な治療法やアプローチの重要性が検証されています。

本研究では胆嚢がんや肝内/肝外胆管がん(ICC/ECC)などの患者を対象として、標準治療とされている切除術と術後アジュバント療法に対して、Gem/Cisの術前介入の有用性などが検証されました。

結果として、標準治療のみを実施したグループに対して、Gem/Cisの周術期化学療法を併用したグループでは全生存期間が2倍に延長されたそうです。

ただし、本研究は患者の登録が想定よりも進まずに少数例での検証となったため、Gem/Cisの周術期治療の有用性は期待されつつも、今後の詳細な検証がさらに必要であるとまとめられています。

参照元:がんナビ|切除可能な局所進行胆道癌に対する術前術後のゲムシタビン/シスプラチンはOS、EFS、R0切除率を大きく改善【ASCO 2025】

HRR変異/HRD陽性の進行固形癌に「オラパリブ+ペムブロリズマブ」が有用

2025年4月25日~4月30日にアメリカのシカゴで開催された「American Association for Cancer Research Annual Meeting 2025(AACR 2025)」において、相同組換え修復遺伝子変異陽性(HRRm)や相同組換え修復欠損を有する(HRD+)腫瘍の治療として、特にBRCA1/2変異陽性(BRCA1/2m)の腫瘍に対する「オラパリブとペムブロリズマブ」の併用療法が、有用な持続的抗腫瘍効果を現したという研究結果が発表されました。

同研究で対象となったのは承認治療の認められていない、あるいは標準治療を行ったものの効果を得られなかった、HRRmまたはHRD+の癌患者であり、またPARP阻害薬と免疫療法の既往歴のない人々が選ばれています。

具体的には大腸癌や膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、そして胆道癌といった複数の癌が対象となっており、さまざまなHRR変異/HRD陽性の進行固形癌の中でも特に「オラパリブ+ペムブロリズマブ」の抗腫瘍効果が良好に認められた癌の中に胆道癌が含まれていたこともポイントです。なお奏効率の上位5例は胆道癌の他に、前立腺癌や膵臓癌、子宮平滑筋肉腫、そして尿道上皮/膀胱癌となっていました。

参照元:がんナビ|オラパリブとペムブロリズマブの併用は承認治療のないHRR変異/HRD陽性の進行固形癌において有望で持続的な抗腫瘍効果【AACR 2025】

胆道がんの術後化学放射線療法は化学療法と併用してもRFSを延長せず

2025年1月23日~1月25日に開催された、米国サンフランシスコの「2025 ASCO Gastrointestinal Cancers Symposium(ASCO GI 2025)」において、胆道がんの術後療法に関する化学放射線療法と化学療法の組み合わせについての臨床研究結果が発表されました。

臨床研究はインドで実施されたフェーズ3試験「ACCELERATE試験」となっており、胆道がんの患者に対して、術後療法として化学放射線療法と化学療法を併用した治療を行ったところ、化学療法のみを実施した患者と比べて無再発生存期間(RFS)の有意な延長は認められなかったということです。

試験対象となった胆道がん患者はpT2以上またはN+で、かつR0/1手術を受けてリンパ節郭清を6つ以上行った術後3ヶ月以内の患者となりました。加えて、放射線療法やゲムシタビン、オキサリプラチンによる既往歴がないことも条件となっています。

結果的に、術後療法として化学療法のみを実施した群と、化学療法に加えて化学放射線療法を実施した群の結果を比較したところ、全生存期間についての有意差は認められず、主要評価項目であった無再発生存期間についても明確な有意差は認められませんでした。

ただし、有害事象の発生については化学療法単独群の方が、化学放射線療法併用群よりも多く出現したそうです。

参照元:がんナビ|胆道癌に対する術後療法としてゲムシタビンとプラチナ製剤の化学療法と化学放射線療法の組み合わせは化学療法単独に比べてRFSを延長せず【ASCO GI 2025】

既治療HER2+胆道がんへの抗HER2二重特異性抗体「ザニダタマブ」を承認

2024年11月20日、アイルランドJazz Pharmaceuticalsは、アメリカの米食品医薬品局(FDA)から、既治療のHER2陽性進行胆道癌に対する抗HER2二重特異性抗体ザニダタマブが迅速承認されたことを発表しました。なお、その承認に先立って2024年に日本で開催された「日本臨床腫瘍学会(JSMO 2024)」においても、日本人のHER2発現進行固形癌患者に対するフェーズ1試験によって、ザニダタマブの有用性や安全性を期待する結果の発表が行われています。

FDAの迅速承認はオープンラベルフェーズ2b試験「HERIZON-BTC-01試験(NCT04466891)」の結果にもとづいて成されたものであり、HER2増幅が認められる局所進行切除不能または転移が認められる胆道がんの患者の中で、ゲムシタビンベースの既往歴を有する患者が対象となっています。

試験では対象患者に2週おきに20mg/kgのザニダタマブ投与を行い、結果的に患者の奏効率が51.6%という数値を得られました。

なお、HER2陽性胆道がんにおける1次治療として、標準治療とザニダタマブを併用した治療の有用性に関する研究も進められていると重ねて報告されています。

参照元:がんナビ|既治療のHER2陽性進行胆道癌を対象に抗HER2二重特異性抗体zanidatamabが米国で迅速承認

胆道がんを含めた消化器がん患者が米国若年層で急増

2025年、ダナファーバーがん研究所はアメリカで発生している消化器がんに関して、若年層ほど発症率が高まっているという分析結果を発表しました。

消化器がんには大腸がんや膵臓がん、胃がんなどの他に胆道がんといった複数の癌が含まれており、神経内分泌腫瘍のような希少癌に関しても該当するデータとなっているようです。

分析結果によれば、若年層における消化器疾患の発症率は最高齢グループ(40~49歳)で最も多いものの、2010年から2019年の間における発症率の増加程度に注目すると、若い世代ほど増加率が顕著になっているという点が重要です。具体的に、15~19歳の大腸癌発生率は3倍以上、20~24歳で2倍近くに増加しており、今後は若年層の癌発生の原因やリスク因子の分析を進めると共に、若年層に対する癌予防の重要性の周知徹底や情報共有が大切であると考えられています。

参照元:海外がん医療情報リファレンス|若年の消化器がん患者が米国で急増