医師の紹介でよく見かける専門医・認定医・指導医などをわかりやすく解説します。
医学の進歩と高度化、そして専門化にともなって、その診療科や分野に特化した高度な知識や技術、経験を持つ医師や歯科医師が学会認定専門医の資格を有するようになってきました。
これらは登録医、認定医、専門医、指導医などに分けられているのが一般的で、現在のところ約50の医歯学系学会がこの制度を設けて対象となる医師に資格を付与しています。
実際の医療施設やホームページなどで「○○学会認定医」「○○学会専門医」という表記を目にする機会が多くなっていますが、これらの資格が医療法で広告可能とされているからです。ちなみに広告可能な専門性に関する資格は医師が55種類、歯科医師は5種類と厚生労働省が定めています。
ここで、学会認定専門医の主な種類を見てみましょう。
ただ、これらは必ずしも学会に存在するわけではありません。学会によってはまとめて学会認定専門医として認定している場合もあり、すべての学会で呼称が一致しているわけではないことを理解しておきましょう。
医歯学系学会に登録していて、以下の認定をまだ受けていない医師や歯科医師を登録医といいます。認定制度がない学会の場合はすべて登録医となります。
高度な知識や技術、経験を有するとして医歯学系学会が認定した医師や歯科医師を認定医といいます。
多くの学会は認定制度があり、認定医となるための条件を設けています。その条件は研修指定病院での勤務実績や学会、講演会等の出席回数を指定したうえで筆記試験を行ないます。最近では実技試験を行なう学会も増えているようです。
認定医よりもさらに高度な知識や技術、経験を有するとして医歯学系学会が認定した医師や歯科医師を専門医といいます。
医師の場合は日本医学会加盟学会で組織された日本専門医認定機構によって、5年以上の専門研修を受けた上で資格審査ならびに試験に合格し、学会等によって認定された医師と規定されています。
専門医の認定を受けるためにはそれぞれの専門医資格認定団体で試験に合格する必要があり、通常は各学会が認定団体を兼ねています。
現在は内科、外科、小児科などの各診療科ごとの専門医のほか、循環器、呼吸器、消化器などの部位ごとの専門医、遺伝や漢方、レーザー治療などの専門医までさまざまな専門医の呼称があります。
高度な知識や技術、経験を有し、認定医や専門医などを指導する立場にあるとして医歯学系学会が認定した医師や歯科医師を指導医といいます。
学会認定専門医制度を導入している学会の1つに日本臨床腫瘍学会があり、がん薬物療法専門医の認定を行なっています。
がん薬物療法専門医は、高度ながん薬物療法を行なうために幅広い臓器のがん薬物療法の知識と技術を有する専門医です。全国のがん診療連携拠点病院や大学病院、がんセンターなどに在籍しており、2020年4月1日現在で1,455名が認定を受けています。
がん患者さんの症状や状態に適した化学療法を行なうことだけが、がん薬物療法専門医ではありません。がん薬物療法の向上を目指して臨床試験に関与したり、緩和ケアを行なったり、他の専門医やスタッフとともに患者さんの精神的・身体的苦痛にしっかり向き合うことも求められています。