転移を起こしやすい部位の癌を部位別に解説!
癌が発生する可能性はからだのどの部位にもありますが、部位によって転移が起きやすいもの、そうでないものがあります。また、転移先もある程度は限定されていることがわかっています。
ここでは、胃、大腸、肺、肝臓、乳癌といった主要5大癌を中心に、転移を起こしやすい部位の癌転移について解説していきます。
肺は、ほかの部位からの転移が多く、また肺癌がほかの部位に転移することも多いと考えられています。転移先として多いのは、原発巣の近くのリンパ節。次に多いのが、左右の肺を隔てている縦隔と呼ばれる組織のリンパ節です。そのほかに、肝臓、骨、脳、副腎などで遠隔転移を起こしやすいとされています。
肺癌は早い段階でも転移が起こり、全身に癌が広がってしまう可能性があると言われています。リンパ節への転移が発見されていないIB期であっても5年生存率は60%と低く、全身転移へのリスクは非常に高いのです。
ですから、肺癌が発見された場合、早期に手術をしたとしても抗がん剤を投与し、再発・転移を防ぐことが多くなっています。
肺転移が見られる場合、癌が体のあちこちに散らばっている可能性が高く、そうであれば局所治療である手術や放射線治療では対応できません。そのため多くの場合は化学療法が採られることになりますが、原発巣に再発が見られず転移巣も切除可能な場所にあれば、外科手術による摘出も選択可能となるケースもあります。
乳癌からの転移癌は、一般的には予後が不良だと考えられています。2001年に保険適用が認められたトラスツズマブやタキサンなどが抗がん剤治療として使われています。
乳癌は、骨、肺、肝臓、脳、乳房、リンパ節、皮膚などに転移が起こりやすいとされています。最初は1か所だけの発見でも、時間の経過とともにほかの部位でも発見されるケースが多いようです。乳癌の遠隔転移は全身に広がっていることが多いため、切除手術よりも、抗がん剤による生存期間の延長や、痛みの緩和によるQOLの向上が治療の中心になります。根治を目指すというよりも、残りの生存期間を上手に癌と共存することが大切です。
ただし、今後の治療薬の発展などによって生存率を高められる可能性はあります。乳癌からの転移が発見されても、決して希望を捨てる必要はありません。
局所再発であれば根治を目指して乳房切除術を行い、癌を取り除きます。一方、遠隔転移が見られる場合には体中に微小な癌細胞が散らばっていると考えられるため、抗がん剤を使った全身療法が採られることになります。
胃癌は、胃の周りにあるリンパ節や、腹膜、そして肝臓への転移が多いとされています。
胃癌は粘膜で発生し、徐々に粘膜の下の胃壁へと侵食していきます。粘膜表層の癌にとどまっているうちは、転移の可能性は低いとされています。しかし粘膜の下層まで達すると、リンパ節転移の割合が高まると考えられます。リンパ節へは特に転移しやすいこともあり、再発や転移を防ぐために原発巣近くのリンパ節を切除することも多くなっています。
また、転移のほかに、胃壁を破った癌細胞が腹腔に散らばることで起こる「腹膜播種」のリスクもあります。腹膜播種は非常に発見しにくく、予後は芳しくありません。
胃癌の肝臓への転移は、多発する可能性が多く、切除しても数か月以内の再発のリスクが非常に高いとされています。肝転移を起こしやすい因子を持つ患者には、あらかじめ予防処置を取ることが重要になります。
一定範囲内のリンパ節にのみ転移巣が見られる場合には、外科手術で周辺組織とともに切除してから食べ物の通り道をつくるバイパス手術を行います。しかし、切除可能範囲を超えて広がっている場合には完全切除は不可能であるため、手術と化学療法で対処します。
肝臓癌の転移は、肝臓内で起こることが非常に多いようです。肝臓癌の再発の多くは肝臓内転移だとも言われています。そのほかに転移先として挙げられるのは、肺、骨、リンパ節、副腎等です。
肝臓は血管が多く、特に門脈と言われる血管は肝臓全体に広がっているため、肝臓内転移の危険性がとても大きいのです。
肝臓癌の転移は、負担の小さい腹部と超音波検査で見つけやすいとされています。小さなものは発見できないこともあるので、半年から1年に一度はCT検査が必要になります。
肝臓内転移はさまざまな治療方法があり、場合によっては長期延命も可能です。しかし、肺への転移を始め、遠隔転移の場合は効果的なものが発見されていません。小さな転移に関してはラジオ波での焼灼などが可能ですが、抗がん剤などを投与するぐらいしか方法がないのが現状です。
転移性肝癌でも、切除量が安全範囲内で転移巣を完全に切除できると判断された場合には、外科治療が第一選択肢となります。しかし現実には癌の広がりが著しく切除しきれないことが多く、そのようなケースでは外科手術と薬物治療を組み合わせて行います。
大腸癌の転移は、圧倒的に肝臓が多いとされています。次に多いのは肺です。大腸から転移した癌は比較的おとなしく、早期の切除ができれば長期生存の可能性が比較的高いと言われています。
大腸から肝臓へ流れ込む門脈という血管を通じて、肝臓への転移が起きます。大腸癌の転移の多くは、肝臓にまず転移し、そののちにほかの臓器に転移するという特徴があります。ですから、肝転移を早期に発見して、積極的に切除ができれば、治癒の可能性が高いとされています。
転移巣が数か所にとどまっており切除が可能な場合には、外科治療が第一選択肢となります。また近年大腸がんに効果のある薬剤が次々と登場しているため、最初の時点では切除不可と判断されていた転移巣が化学療法によって小さくなり、切除可能になるというケースもあります。
主要5大がん以外の食道癌、前立腺癌、脳腫瘍などの癌の転移についてご紹介します。
食道の粘膜で発生した癌は、徐々に粘膜下層へと侵食し、やがて食道壁を貫いてほかの臓器へと広がり、転移を起こします。器官や肺、大動脈、心臓といった重要な臓器が多く、また食道壁にはリンパ管や血管が非常に豊富なので、転移を起こしやすいようです。
食道癌の転移のほとんどは、リンパ節、肺、肝臓、骨で発見されるようです。
リンパ節も含めて癌を全て摘出できると判断できれば、外科手術が採られます。ただしリンパ節への転移を起こしやすい食道癌の場合、癌が広がってしまっていることも多く、摘出が不可能判断される場合には化学療法や化学放射線療法が行われます。
前立腺がんにはいくつものタイプがあり、無害なラテント癌というものもあれば、成長が速く転移しやすいものもあります。転移のしやすさは、グリソンスコアと呼ばれる指標でかなり高い精度をもって判断することができます。
前立腺に癌がとどまっているうちは、治療成績は比較的良いのですが、浸潤を起こしてしまうとリンパ節などへの転移を起こします。
前立腺癌の再発のうち、転移が認められず局所に留まっているケースでは放射線治療が効果を発揮しますが、転移性であれば内分泌療法が第一選択肢となります。とは言え腫瘍の転移の有無がハッキリする前に再発が見つかることが一般的で、そのような場合には状況に合わせた治療法を選択していきます。
ほかの臓器から転移した癌が脳に生着したものを転移性脳腫瘍と呼びます。
脳腫瘍は、呼吸や体温調節など、生命維持のための機能を脅かすもの。したがって、QOLの低下を著しく起こしやすいと考えられています。脳幹部分の脳神経に腫瘍ができると手の施しようがないのですが、そこから外れた部位であれば、脳神経への圧迫を取り除くことで症状を緩和することができます。
脳への転移を起こしやすいのは、肺癌や消化器系癌、乳癌、腎泌尿器系癌、婦人科系癌。特に肺癌はあっという間に腫瘍が広がってしまうため、注意が必要です。
現在では、ガンマナイフという手術で、1泊2日での治療を行うことができます。転移の個数が多い場合は、放射線の全脳照射が行われることもあります。
転移した脳腫瘍の多くは定位分割放射線治療や放射線外科治療で治療効果を得ることができます。放射線治療では効果が得られないほど大きな腫瘍に関してのみ、脳外科手術が採られることになります。また5個以上の転移が見られる場合には、脳全体に放射線を当てる全脳照射が必要と判断されることがあります。
肝臓内への癌転移の原因は、その大部分が肝臓癌によるものとされています。
肝臓から肝臓内へ発生する癌転移は肝臓内転移と呼ばれ、およそ肝臓癌の再発のうち8割程度は肝臓内転移に起因するという点も無視できません。そもそも肝臓内は多くの血管が走っており、癌細胞が血流に乗って肝臓の各所へ運ばれやすいということも、発生率を高める要因の1つとされています。中でも門脈に癌が発生した場合は肝臓内転移の発生率が高いことも特徴です。
肝臓内転移の癌の治療法としては切除手術とラジオ波焼灼が主となっており、腫瘍のサイズや数によって治療方法が選択されます。また初期の癌であればエタノールを注入する経皮的エタノール局注療法が行われることもあるでしょう。
予防としては生活習慣の改善などが重要とされており、禁煙や節酒などを意識することがポイントです。また定期的な癌検診やスクリーニングなどを受けることも大切です。
上記の他にも肝臓癌の患者の体験談や研究論文の情報などをまとめていますので参考にしてください。
リンパ節への転移癌は、一般的に肺癌や乳癌を発生源としているケースが多いようです。また、その他にも様々な臓器で発生した癌から、癌細胞が血液やリンパ液によって運ばれてリンパ節へ転移するといったケースもあります。そのため、肺癌や乳癌に限らず、色々な癌においてもリンパ節転移のリスクや症状、治療法などを意識しておくことは大切です。
リンパ節に癌が転移した場合、原発巣の部位によって色々な症状が現れることも特徴です。例えば肺癌からリンパ節へ転移した場合、リンパ節の腫れや喉の異常、上半身のむくみといった症状が現れやすくなります。一方、食道癌からリンパ節への転移であれば、食道の違和感や声がれ、食事中の違和感などが考えられるでしょう。
リンパ節転移の治療法は外科手術によるものが一般的であり、さらに抗がん剤治療や放射線療法などが状況に合わせて組み合わされます。
ここではその他にもリンパ節転移の患者の体験談や、セカンドオピニオンを受けられる医療機関の情報、論文情報などをまとめていますので、ぜひご確認ください。
骨に転移する癌は、多くの場合において体の中心部にある骨盤や大腿骨、腰椎・胸椎といった骨をターゲットにすることが分かっており、加えて骨への転移を起こしやすい癌があることも特徴です。例えば乳癌から転移する癌は骨へ転移することが多いとされ、胴体部にある骨のみならず、まれに手足の骨や頭蓋骨などへ転移することもあるようです。
原発巣の違いによってどの骨に転移するのか、また骨へ転移した癌の症状にも差があり、それぞれの癌の状態やケアの方法について理解しておくことが欠かせません。
骨へ転移した癌の治療法は、主に抗がん剤を用いた薬物療法(化学療法)です、乳癌からの転移であれば放射線療法やホルモン療法が組み合わせられることもあります。また、骨の状況によっては人工骨への置換手術が行われることもあるでしょう。
骨への転移についてスクリーニングや予防を心がけることはもちろん、ステージによって治療方針も変わってくるため、日常生活における注意点と合わせて確認しておきましょう。
胃癌や大腸癌など消化管の粘膜に発生した癌が、消化管の壁を超えて腹膜まで広がった転移は「腹膜播種」などと呼ばれており、初期段階で発見することが難しく進行してから発見されるケースの多い癌となっています。
腹膜へ転移した癌の治療法については、そもそも癌が広範囲へ散らばってしまっている可能性もあり、手術のみでリスクを全て取り除くことが困難です。そのため腹膜への転移癌の治療法は抗がん剤治療や放射線療法をベースとしつつ、患者のQOLの向上を踏まえて治療法や使用する薬剤等が選択されることも重要です。なお、患者の希望や癌の状態によっては腹膜を広範囲にわたって切除する外科治療が選択されることもあります。
ここでは腹膜へ癌が転移した患者の体験談や、腹膜への転移癌に関するスクリーニングや検査の方法、また腹膜転移癌についての研究や治療法に関する論文などもまとめていますので、腹膜への転移癌に対するリスクマネジメントとしてぜひ参考にしてください。
子宮癌には子宮頸癌と子宮体癌が存在し、それぞれに転移しやすい場所などの特徴があることも重要です。特に子宮の奥に発生する子宮体癌の場合、まれに子宮内だけでなく骨や他の臓器へ遠隔転移するリスクもあり、子宮癌検診だけでチェックできない可能性もあるため注意しなければなりません。一方、子宮の入り口に発生する子宮頸癌の場合、骨盤内にある臓器や器官への癌転移を起こしやすく、膀胱や直腸、腹膜といった臓器においてリスクが高まることも特徴です。なお、子宮癌と転移癌の関係については骨盤への転移が特に注意すべきリスクとなっている上、骨盤内にはリンパ節もあり、リンパ液の流れに乗って他臓器へ転移する可能性があるため異常を感じたら速やかに検査や治療を受けることが不可欠です。
子宮から骨盤への転移癌であれば骨盤除臓手術が主な治療法となり、その他にも化学療法と放射線治療などが組み合わされます。ただしステージの分類や癌の発生箇所によって適切な治療法が異なるため、日々の予防やスクリーニングの方法などと合わせて、まずは必要なポイントをチェックしていきましょう。
初回のがん治療では癌の根治を目標としますが、再発や転移癌は多くの場合根治が困難であるため、癌の進行を抑えたり癌による症状を和らげたりすることが治療目的となります。
とくに転移癌の場合は、他の器官にも見えない小さな癌細胞が散らばっているという可能性を考えた治療法を採らなければならず、外科手術で転移巣を切除した後も残されている癌細胞への対策として、化学療法などの治療を継続的に行っていく必要があります。
では具体的にどのような治療が選択されるのかというと、多くの場合それは転移の種類によって判断されます。転移の種類は大きく分けて「血行性転移」「リンパ行性転移」「播種性転移」の3つ。
「血行性転移」とは、癌細胞が血管内に侵入し血液の流れに乗って他の器官に転移することです。この場合、抗がん剤の効果が高いとされています。抗がん剤の多くは水溶性であるため、血液中に存在する癌細胞に効きやすいというわけです。
一方で「リンパ行性転移」とは、癌細胞がリンパ管に侵入しリンパの流れに乗って移動するタイプの転移です。リンパ管は殆どが脂でできているため、リンパ行性転移癌の場合水溶性抗がん剤が効きにくいという問題点があります。
「播種性転移」とは、腹腔や胸膜などの隙間に癌細胞が増殖し広がっていくタイプの転移癌です。これも抗がん剤では効果の出にくい、治療の難しいケースとなります。
従って転移癌治療の場合、どのタイプの転移癌であるかに応じて、それぞれの治療を得意とする病院を選ぶことがポイントとなります。
例えば、血行性転移であれば化学療法に強い病院が向いていますが、リンパ行性転移や播種性転移であれば、化学療法よりも免疫療法に強いところや他の先端治療を扱う病院のほうが良いでしょう。
転移癌に関してはさまざまなケースがあるため、納得がいくまでよく話し合える病院であることも大切です。
癌が転移した場合は初回治療時とは異なり、一部再発の治療の場合を除き、がんの切除を目的とした手術療法は限られる場合があります。※1
こちらのページでは、手術の選択が難しいと判断された方の選択肢が広がるよう、放射線治療と抗がん剤に関して相談できる医師をご紹介。
癌の治療は種類によってそれぞれ有効な範囲が異なり、効果、副作用も患者さんひとり一人の症状によっても変わる場合があります。手術療法が適していることもあるため、セカンドオピニオンを受ける際は、必ず医師に確認しましょう。
転移癌に対する治療で放射線を検討している方は放射線専門クリニックでセカンドオピニオンを聞いてみて、必要であれば高度医療センター/病院への紹介状を出してもらってください。ここでは当サイトで掲載している日本医学放射線学会放射線治療専門医がいる癌放射線治療専門クリニックを紹介しています。(2021年11月時点)
クリニックC4は、放射線治療医師・青木幸昌先生が2008年に開業したがん専門クリニックです。正常な細胞への影響を抑えながらも病巣には的確に放射線の照射をおこなうトモセラピーによる治療を提供。1回の治療で複数の病巣に対する照射を行える点や、体力が落ちている場合でも治療を受けられます。
また、「放射線治療専門医(※2)」が「トモセラピー(※1)の治療をする」「放射線治療専門クリニック」は、関東で唯一クリニックC4のみとなっています。
癌転移の症例
・中咽頭前壁がん(舌根部) リンパ節転移(78歳男性)
・甲状腺癌 多発転移(63歳男性)
・非小細胞肺がん 多発リンパ節、肝、骨転移(75歳女性)
・子宮頸癌 腹部大動脈リンパ節転移(再燃)(63歳女性)
・前立腺癌 遠隔肝転移(D2)(74歳男性)
電話番号:03-6407-9407
青木 幸昌クリニックC4 院長
青木院長は、東京大学医学部医学科を卒業後、東京大学医学部附属病院分院放射線科講師病棟医長や英国Royal Cancer Institute留学、総理府技官、国際医療福祉大学保健学部放射線・情報科学科教授などを経て、2008年に医療社団法人 愈光会 Clinic C4を設立しています。
第一種放射線取扱主任者、公益社団法人日本医学放射線学会学会員、公益社団法人日本放射線腫瘍学会学会員、国際個別化医療学会評議員。
苑田会放射線クリニックでは、放射線治療を必要とする方に対してきめ細やかな診療をベースとした治療を行っています。クリニックでは30年以上の豊富な経験を持つ常勤の日本医学放射線学会放射線治療専門医が、患者ごとの状態に応じて高精度放射線治療から緩和治療まで幅広い治療を提供することが可能です。
また苑田会放射線クリニックの特徴として挙げられるのが、高精度放射線治療に特化した専用装置ではなく、「リニアック」と呼ばれる汎用機を導入している点。このことにより、高精度放射線治療をはじめとするすべての放射線治療を提供することができ、多くの患者の治療を行っています。
癌転移の症例
ホームページに掲載がありませんでした。
電話番号:03-5851-5751
齋藤 勉苑田会放射線クリニック 院長
1976年日本大学医学部卒業後、国立病院医療センター放射線科や日本大学、B.C.Cancer Research Centre, Research fellow (Canada)、苑田診療所などで経験を積み、2013年に苑田会放射線クリニック院長に就任。日本医学放射線学会放射線治療専門医、日本がん治療認定医機構暫定教育医の資格を持つドクター。
日本医学放射線学会、日本放射線腫瘍学会、日本癌治療学会、日本頭頚部癌学会、日本緩和医療学会、日本定位放射線治療学会など多数の学会に所属。
平成25年に開院した東京ベイ先端医療・幕張クリニックでは、PET-CTや内視鏡、MRIなどを活用したがんの早期診断や高精度放射線治療を民間レベルで行う医療施設。きめ細かながん医療の提供のため初診に時間をかけることも特徴です。
放射線治療は、3名の診療放射線技師が専従で対応。高度な専門技術を提供しながらも患者の気持ちに寄り添った治療を提供しています。また、治療にあたっては医学物理士が患者ごとの放射線の照射方法を医師とともに作成して機器の品質管理を実施。このように、医師のみではなく看護師や医学物理士、診療放射線技師とより良い治療について考えていくチーム医療を大切にしています。
癌転移の症例
ホームページに掲載がありませんでした。
電話番号:043-299-2000
幡野 和男東京ベイ先端医療・幕張クリニック 院長
院長を務める幡野医師は、日本大学医学部を卒業した後、国立病院医療センター(現:国立国際医療研究センター病院厚生技官)や千葉大学医学部放射線医学教室、米国ペンシルバニア・ハーネマン医科大学、千葉県がんセンターなどで経験を積んできた医師。特に、千葉県がんセンターでは放射線治療部部長を務めています。日本医学放射線学会 放射線治療専門医、日本核医学会 PET核医学認定医。
血行性転移の場合は抗がん剤が良く効くことが多いのでおすすめです。ほとんどの抗がん剤は水溶性なので、血液中を移動するがん細胞に効果的だと言われています。※2
そこで当サイトで掲載している日本血液学会血液専門医かつ日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医のいる病院を紹介します。(2021年11月時点)
虎ノ門病院では、がん専門病院と遜色ないがん医療の提供を行っている点が特徴です。さらに、全身疾患を専門としている内科医も揃っていることから、「諦めないがん医療」を提供。既往症や合併症を持っている患者に対してもさまざまな科が連携しながら治療を行っていきます。
また、同院は低侵襲ながん医療を提供している点も特徴のひとつです。他院で開腹・開胸手術を勧められたケースについても、鏡視下手術の可能性を探っていきます。加えて、がん治療中にはさまざまなことが起こる可能性があることから、24時間365日体制でがん救急を行える体制を整えています。
癌転移の症例
・甲状腺癌遠隔転移
電話番号:03-3588-1111
三浦 裕司虎の門病院 先生
臨床腫瘍科の部長を務める三宅医師は、泌尿器や消化器のがんを中心として幅広い固形腫瘍の診療に取り組んでいる医師です。その中でも、腎がんや膀胱がん、前立腺がんなど泌尿器腫瘍への薬物療法を専門としています。さらに、標準治療のほかにも新薬の治験などにも対応。
日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医・指導医、日本血液学会 血液専門医、日本内科学会 認定内科医、日本泌尿器腫瘍学会 代議員、腎癌研究会 世話人。
がんはどのように予防したらいいのか、スクリーニングについて知りたいと思っている方もいることでしょう。
特定の食品を食べていればがんにかからない、健康的な生活を送ればがんのリスクを完全になくすことができるということはありません。しかし、がんの発生は生活習慣と密接な関係があるので、がんのリスクを下げるためには現在の生活習慣を見直す必要があります。
がんを予防するためには、バランスの取れた食事を心がける、適切な体重の維持、定期的ながん検診を受けるなど、日頃から健康管理を意識することが大切です。
この章では、予防やスクリーニングに関する情報を解説しますので、チェックしてみてください。
国立がん研究センターなどの研究グループは、日本人を対象とした今までの研究を調べました。研究の結果、日本人のがんの予防にとって重要とされる禁煙・節酒・食生活・身体活動・適正体重の維持の5つの改善可能な生活習慣に「感染」をプラスした6つの要因を取りあげ、「日本人のためのがん予防法(5+1)」と呼ばれるものを定めました。
5+1のがん予防法を実践していくと、がんにかかるリスクを低くしていけるとされています。5+1のがん予防法は、どのように実践していけばよいのか、解説していきます。
日本人を対象とした研究が行われた結果、たばこは肺がんや食道がん、膵臓がん、胃がん、肝細胞がん、子宮頸がん、頭頸部がん、膀胱がん、大腸がんなど、さまざまながんに関連することが示されました。
たばこを吸っている人は吸わない人に比べて、がんになるリスクが約1.5倍高まるとされています。受動喫煙は、肺がんや乳がんのリスクが高くなります。たばこを吸っている人は禁煙し、吸わない人は、たばこの煙をなるべく避けるようにしましょう。
飲酒は、食道がんや肝細胞がん、大腸がんと強い関連があります。飲酒する場合、以下のいずれかの量にとどめるようにしましょう。
今まで行われた研究から、「塩分・塩辛い食品の摂りすぎ」「野菜・果物を摂らない」「熱すぎる飲食物を摂ること」は、がんの原因になると言われています。
厚生労働省が定めた「健康日本21(第二次)」によると、1日に野菜を350g摂取することを目標としています。果物も合わせた目安としては、野菜は小鉢5皿分・果物1皿分を食べると、おおよそ400gが摂取できるとされています。
仕事や運動で、身体活動量が高い人ほど、がんの発生リスクが低くなるという報告もあります。
厚生労働省から推奨されている運動量については、以下をご覧ください。
今まで行われた研究から、肥満度の指標であるBMI値(※)が、男性:21.0~26.9、女性:21.0~24.9で、がん死亡のリスクが低いと言われています。
(※)BMI(Body Mass Index):肥満度をあらわす指標。値が高くなるほど、肥満度が高いとされているのが特徴です。
BMI値は、(体重kg)/(身長m)2で算出できます。
感染もがんの主要原因の1つです。肝炎ウイルスやピロリ菌に感染している方は、肝細胞がんや胃がんと関係の深い生活習慣に注意する必要があります。また、定期的な子宮頸がん検診を受け、該当する年齢の方は子宮頸がんワクチンの定期接種を受けるようにしてください。
上記の感染について心配なことがある方は、医療機関やがん相談支援センターに相談するようにしましょう。
がんのスクリーニング検査にはどのようなものがあるのでしょうか。スクリーニング検査を希望している方は、事前に担当医へしっかりと確認しておくようにしましょう。検査内容を把握しておくのはもちろん、検査どのでような害を伴う可能性があるのか、あらかじめ確認しておくことが重要です。ここでは、がんのスクリーニング検査についてご紹介します。
癌の再発や転移の有無を調べるために様々なスクリーニング検査の方法が開発されており、それぞれの患者の既往歴や原発巣の特性などに応じて適切なスクリーニングを受けることが欠かせません。また、それぞれのスクリーニングには調べられる範囲や内容、さらに偽陰性や擬陽性といった誤診リスクも存在しており、1つのスクリーニングだけを行って結果を判断するのでなく、複数のスクリーニングを組み合わせて複合的にリスクを検証して癌の有無や体内の状態をチェックすることが重要です。
スクリーニング検査の種類は多種多様ですが、ここでは様々な癌に対して汎用的に実施されているスクリーニングの方法について紹介しています。
腫瘍マーカーとは、特定の癌の目印となる物質であり、具体的にはそれぞれの癌細胞が特徴的に生産・分泌するタンパク質などが挙げられます。
腫瘍マーカー検査は患者の血液や尿を採取して、血液や尿の中に腫瘍マーカーとなる対象物質が存在しているかどうかを専用の分析装置を使って調べるスクリーニングです。
癌が体内に発生している場合、腫瘍マーカーが検出されるため、その数値が高ければ癌のリスクが疑われます。反面、生活状況によって癌がなくても腫瘍マーカーの数値が高まったり、また初期状態の癌では腫瘍マーカーが検出されなかったりといった可能性もあり、腫瘍マーカー検査のみで癌の確定診断をすることはできません。
肺や腹部、骨などのスクリーニング検査としてはX線撮影装置を使ったX線検査も一般的に実施されます。X線検査では肺の中や腹部の中に発生している腫瘍組織の形状やサイズを調べることが可能であり、初期段階のスクリーニングの1つとして行われることが通常です。
唾液検査は血液検査や尿検査と同様に、唾液中に含まれている物質について調べて分析するスクリーニングです。
唾液の成分は基本的に血液由来のものとなっており、血液検査を行って唾液検査を実施しない場合もあります。しかし、血液検査では採血が必要になる一方、唾液検査は患者の唾液を採取するだけで分析を行えるため、患者への負担や簡便性を考えて優れている点も事実です。そのため最初期の簡易検査として唾液検査が採用されるケースは少なくありません。
ただし唾液検査のみで癌の確定診断は行えないため、リスクが認められれば次の段階の検査へ進むことが前提です。
尿(線虫)検査は、研究用に調整された小型の線虫と、患者の尿を使って、癌リスクを分析するスクリーニングです。
線虫は癌細胞が発生させるニオイを選択的に嗅ぎ分けることが可能となっており、患者の尿中に線虫が反応する物質が含まれている場合、癌のリスクがあると判断されます。
癌の発生リスクは人の遺伝子に関係することが分かっており、対象者の遺伝子を調べることで癌になりやすい体質であるのか、またどのような癌のリスクがあるのかといった可能性を検査することが可能です。ただし遺伝子検査で判明することは体質としてのリスクや癌の傾向であり、検査結果から癌の発生を確定することはできません。
スクリーニング検査を受ける場合、事前に医師から指定されている準備やルールを守って検査当日へのぞむことが大切です。
スクリーニングの方法によっては検査前の絶食や絶飲食が必要になることもあり、必ず事前に提示されているルールを守って準備します。また日常的に服用している薬などがある場合はあらかじめ伝えておきましょう。
その他、検査前日は十分な睡眠を取り、ストレスなどで検査結果に余計な影響を与えないようリラックスすることも重要です。
指定された時間に間に合うよう、余裕を持って医療機関を訪れて検査の準備をします。検査内容によっては検査着へ着替えることもあります。また例えば唾液検査を受ける場合は歯みがきやマウスウォッシュを控えるなど、検査当日の朝の行動も指定の条件を守ってください。
検査によっては終了後にすぐ帰れるものから、一定の間は安静にしなければならないものもあるでしょう。また検査結果は2週間~1ヶ月後くらいで届けられます。
検査結果に何かしらの異常や懸念事項が認められた場合、改めて医師へ相談して、必要に応じて次のスクリーニング検査や精密検査を受けるといった流れになります。
スクリーニング検査にはリスクが伴うと言われています。すべてのスクリーニング検査が役に立つというわけではなく、リスクを伴うことが多いです。検査に伴うリスクについてあらかじめ把握しておき、がんによる死亡を減少させる効果が証明されているかどうか知っておく必要があります。
実際にがんが存在しているのにも関わらず、スクリーニング検査の結果が正常と判定される場合があります。偽陰性の検査結果を受けた人は、例え症状が現れていても、医師の診察を受けるのが遅くなってしまう可能性があります。
がんは存在していないのにもかかわらず、スクリーニング検査の結果が異常と判定される場合があります。偽陽性の検査結果は不安が強まってしまうことがあるほか、その後も引き続き検査が行われていくのが通常であるため、そのような検査によるリスクも生じてしまうのです。
肺や気管支にがんなどの病変があるかどうかを診断するための内視鏡検査のことを気管支鏡検査と言います。細胞や組織を採取する場合には、少量の出血を伴い、通常はすぐに止血しますが、稀に出血量が多くなる場合があるため注意しなければなりません。
また、組織をつまみ取る際に、肺を包みこむ胸膜と呼ばれる薄い膜を傷つけてしまうことがあります。そこから空気が漏れると、気胸を起こしてしまうリスクがあります。
がん治療を行うと、さまざまな副作用が見られますが、そういった症状に対して行う支持療法(がんに伴う副作用に対して行う介入のこと)は、患者の生活の質を維持するために欠かせません。最近では、副作用対策に関するガイドラインが症状別のに発行されているのが特徴です。
ガイドラインは、実臨床の医療従事者が参考にすることではじめて患者に恩恵があるとされており、支持療法が正しく行われているかを調査する一環として、支持療法ガイドライン遵守実態調査が行われました。
その結果、日本臨床腫瘍学会が認定するがん薬物療法専門医は一般の医師と比較し、ガイドラインに沿った支持療法を実施していることが明らかになったのです。 がん薬物療法専門医のガイドライン遵守率が高いことは、専門医の信頼を上げられるだけではなく、患者も安心を得られる結果となりました。また、日本臨床腫瘍学会の教育システムが機能しているという点も明らかになりました。
がんと治療を受けた方の体験談や生の声が聞きたい方もいるのではないでしょうか。ここでは、がんと診断された方の体験談をご紹介します。診断された時のことや治療を受けている方の声をまとめましたので、チェックしてみてください。
術後は、ステージⅣと診断され、抗がん剤治療を点滴・内服と薬を変えながら5年間続けました。5年生存率20%以下というネット情報に精神的に追い詰められたこともありましたが、昨年、術後5年を迎え、治療を卒業。今はフルマラソンを完走するほど元気です。Ⅳ期と診断されても希望を捨てることはないと思っています。
私は、乳がん・肺がんと2つのがんを経験しています。(中略)
「治療選択は患者の意志で」とは言うものの「がん=死」のイメージは拭えず、宣告後すぐに治療選択となると、私達患者は戸惑うばかりです。そのため、正しい知識を得ることが大切だと思い、患者会やピアサポーターズサロンに参加しボランティアとして他のがん患者さんと関わりながら、がん相談支援センターなどから発信される正しく信頼できる情報を学ばせていただいています。「知識は人生を変える」と思います。そして私は今、がんに負けない人生を楽しんでいます。
私は2000年に乳がんを発病した後、「テディベア」というメーリングリストに参加し、患者仲間との交流を続けてきました。何の前触れもなく、乳がんであることを告げられ、「私、死んでしまうかもしれない」というところまで気持ちが追い詰められた患者にとって、自分と同じがんで生きている人がいることがわかるだけでも、それは心強いものです。
そして、多くの患者仲間から科学的な根拠にもとづいて乳がんの治療を受ければ助かる確率が高いことを示唆してもらえると気持ちもだんだん落ち着いてきます。私も何とかなるかもしれない」と乳がんに向き合える勇気が出てくるのです。
がんと診断されて治療が行われる場合、医師には標準治療をすすめるケースが多いです。
がん標準治療は、治療効果・安全性が確認されたものであり、医学的に有効性が科学的根拠(エビデンス)によって証明されている治療法のことを言います。極力、機能を損なわないように根治的にがん組織を低侵襲(内視鏡・ロボット支援)で摘出する手術療法・放射線治療部で行われる、緻密な照射が可能な放射線治療・がん薬物療法専門医などが加わり、がん細胞を抑制する薬物療法などが科学的根拠により有効性が証明された治療法です。
上記を組み合わせて、総合的に治療する集学的治療を「がん標準治療」と呼びます。
固形がんの治療は「局所治療」と「全身治療」に大きく分類されます。がんが発生した原発巣とその周囲へ少数の転移であれば、手術・放射線などの局所治療が行われることが多いです。手術で根治が期待できないケースでは、薬物での治療が必要になってきます。
がんの治療方針は、病期にもとづいて決定されます。治療方針を決定をする際には、正確な病期診断が重要です。治療の詳細や病状で不明な点がある方は、主治医へ確認するようにしましょう。
癌の「標準治療」とは、一般的に治療の有効性が科学的に証明されている治療法であり、基本的には「手術(外科治療)」・「抗がん剤治療(化学療法)」・「放射線治療」の3つの治療法に大別されます。また、標準治療は医学的根拠にもとづいて科学的に有効性が証明されている治療だからこそ、厚生労働省からも癌の治療法として適切なものと判断されており、健康保険を利用して治療を受けられることも特徴です。
癌の治療法については国内外で様々な研究や開発が進められており、標準治療の他にも多くの治療法や治療薬が発表されていますが、少なくとも標準治療は日本国内の癌患者に対して汎用的かつ効果的であると認められている治療法となります。
癌の標準治療の1つである手術(外科治療)は、手術によって癌細胞や癌組織を切除して、癌そのものを体内から取り出してしまう治療法です。癌細胞におかされた臓器をそのまま放置すると、臓器として機能不全を起こすだけでなくさらに他の臓器へ癌が転移するリスクが高まります。そのため手術によって対象となる臓器を切除することにより、癌の原因を根本から除去することが外科治療の目的となります。
なお、手術によって癌治療を行う場合、どの程度の範囲や臓器を切除するかが重要になり、必要以上に切除し過ぎれば健康な臓器を失うことになり、癌細胞が残ってしまえば再発リスクが高まるため、事前の検査や診察によって切除範囲や方法を十分に検討することが欠かせません。
手術(外科治療)のメリットは、癌細胞を残らず切除してしまえば、その時点で癌を治療できるということでしょう。そのため特に初期の癌など範囲が小さい場合、手術によって癌を取り除けばきちんと治療を完了することができます。
また手術の方法としても内視鏡や手術支援ロボットなどを利用した低侵襲の術式が開発されており、手術を受けてから速やかに社会復帰を目指すといったケースも日進月歩で広がっています。
手術は体の一部を切り取ってしまう治療のため、どうしても患者の体へダメージがかかることは避けられません。低侵襲治療によって手術後の回復速度を高めるといった取り組みも開発されていますが、それでも負担をゼロにできないことは事実です。
また、癌の範囲が大きくなればそれに比例して切除しなければならない範囲も増えてしまい、例えば胃の切除や肺の切除を行った場合、術後の生活に大きな影響を及ぼす可能性も無視できません。さらに手術時の麻酔の使用などでリスクが発生することもデメリットです。
なお、癌が全身へ転移した場合や、手術によって取り除ける範囲を超えてしまった場合、そもそも手術による治療が適用外となります。
癌細胞を攻撃したり、癌細胞を攻撃する体内の免疫機構をサポートしたりと、様々な薬剤(抗がん剤)を使って行う治療が化学療法です。
化学療法では癌細胞を直接的・選択的に攻撃する薬剤はもちろん、癌のシステムに作用して間接的に攻撃したり、患者の免疫機構をサポートして間接的に攻撃したりするものもあります。
化学療法は癌の根治を目的とした治療だけでなく、手術で取り除けなかった癌のリスクへ対処したり、手術前に抗がん剤治療を行って癌の状態を手術可能なものにしたりと、複合的な治療の一環として使用されることもあります。
抗がん剤については世界中で様々なものが開発されており、癌の種類によって使用する抗がん剤を選択することが可能です。また、1つの抗がん剤で十分に効果を得られなくても、他の抗がん剤を試すことで段階的に治療を進められることは強みです。
精密検査や遺伝子検査の結果を踏まえて、どのような抗がん剤を用いて治療するのが最適であるのか患者ごとにプランニングしてもらえるため、オーダーメイドの癌治療を構築できることもメリットです。また、手術の技術といった医師の技量によって治療効果が左右されることもありません。
抗がん剤によっては健康な細胞や臓器へダメージを与えることもあり、副作用が強くなるデメリットもあります。そのため、場合によっては副作用が強すぎて治療継続が困難になることもあるでしょう。また、人によって抗がん剤との相性も異なっており、一般的に効果があるとされる抗がん剤でも、絶対に効くと限らないことはデメリットです。
さらに最新の抗がん剤について、厚生労働省の認可を受けていない場合、国内では保険適用にならないことも問題です。
放射性物質から発生する放射線を癌へ向けて照射し、そのエネルギーによって癌細胞を攻撃して治療する方法となります。
放射線治療には患者の体の外から放射線を照射する治療の他にも、患者の膣などへ専用の器具を挿入して体内から癌へ放射線を照射する治療法などがあり、また使用する放射線にも種類がある他、体外照射に関しても様々な治療法が開発されています。
従来の放射線治療から高精度放射線治療まで色々なプランが存在するため、放射線治療を受けたい場合は、最初にどのような治療法が存在するのか医師としっかり相談しなければなりません。
放射線治療は手術が困難な状態の人でも治療を行えることがメリットであり、高精度放射線照射装置を使えば全身のあらゆる癌に対して放射線治療を実施することが可能です。また、放射線治療は根治目的だけでなく、患者のQOLを向上させる緩和的照射などにも利用することができます。なお高精度放射線治療では放射線による被曝リスクを軽減しながら、癌に対してピンポイントで十分量の放射線を照射するなど、リスクを抑えて効果を高めた治療法なども利用されています。
放射線治療は単体で行われる他にも、手術や化学療法と組み合わせることで一層の治療効果を発揮できることもメリットです。また放射線照射の時間は短く済むため、入院せずとも通院しながら治療を受けられます。
放射線による被曝リスクがあり、放射線の照射法によっては健康な臓器へダメージを与える恐れがあります。そのため人によっては激しい副作用に悩むこともあるでしょう。また、被曝リスクを避けるため妊娠中の女性など、そもそも放射線治療を受けられない人もいることはデメリットです。
なお高精度放射線治療はそれに対応した高精度放射線照射装置を導入している医療機関でしか受けることができないため、患者の住んでいる地域や土地ごとの医療レベルによって治療の受けやすさに差が生じてしまう問題もあります。
ここでは、比較的新しい臨床試験や治療法について解説していきます。術後早期再発大腸がん(ステージ2~3)に対する治験情報や、光免疫療法に関する情報などをご紹介します。
術後早期再発大腸がん(ステージ2~3)に対する治験。RAS野生型かつBRAF V600E変異陽性と診断されている方が対象です。エンコラフェニブ+ビニメチニブ+セツキシマブの有効性や安全性を評価する臨床試験となっています。
奏効割合や全生存期間、無増悪生存期間、病勢制御割合、奏効期間、治療成功期間、有害事象発生割合などで評価します。
参照元:がんプラス光免疫療法とは、がん細胞だけに付着する薬剤を投与後に近赤外線を照射すると、薬剤が光に反応してがん細胞を破壊する治療法のことです。2020年9月に日本で承認され、2021年1月より保険適用となりました。
光免疫療法で用いる薬剤は、がん細胞の表面に付着するタンパク質へ、光に反応する色素をつけたものです。点滴によって投与すると、少しずつ薬剤はがん細胞に集まり、およそ1日で、がん細胞へ薬剤がしっかり付着した状態になります。
薬剤が付着している部分に光を当てると、色素が反応しがん細胞を破壊。薬剤自体はがん細胞へダメージを与えず、光も人体へ害を及ぼしません。2つが反応すると、がん細胞を破壊できます。
従来のがんの治療法には、手術・化学療法・放射線療法・免疫療法(がん細胞へ直接ダメージを与えず、免疫を活発にさせてがんを攻撃する治療法)が行われてきました。光免疫療法は、このような治療法に続く「第5の治療法」と言われており、従来の治療法のデメリットを解決する特徴があります。
今までの治療法によるデメリットは、以下の通りです。光免疫療法は、現在のところ頭頸部がんにのみ保険適用されていますが、将来的にはほかのがんに対しても使用されることが期待されています。
光をあてるための機器の改良も考えられています。身体の深部にがんが存在し、別の器官の陰になってしまっている場合では、現在の装置ではがんに光をあてにくいケースもあるのです。
光が十分に当たらないと、治療効果がしっかり得られないため、がんの位置に関係なく、光を当てられる機器の開発が期待されているのです。
参照元:からだケアナビウイルス療法は、ウイルスを用いてがんへダメージを与える比較的新しい治療法です。がん細胞のみで増えるように、人工的に変えられた遺伝子組み換えウイルスを感染させて、直接がん細胞を破壊します。
この治療に使われるがん治療用ウイルス「G47Δデルタ」の臨床開発は、東京大学医科学研究所附属病院 脳腫瘍外科の藤堂具紀教授らの研究グループがメインとなり進められてきました。
2021年6月、がん治療用ウイルスG47Δデルタ製品である「テセルパツレブ(一般名)」が、脳腫瘍の一種である「悪性神経膠腫(あくせいしんけいこうしゅ)」の治療薬として、国内ではじめて厚生労働省から条件および期限付きで承認。
同年8月より保険適用の対象となっています。(※)
(※)7年の「期限」内に、使用した患者全例を対象に検証を行うことを「条件」に承認。
藤堂教授らの研究グループの報告によると、神経膠腫の中でも悪性度が高い「膠芽腫:グリオブラストーマ」の方を対象とした治験で、がん治療用ウイルスG47Δデルタ製品の腫瘍内投与を6回実施したところ、治療開始後1年間生存した患者の割合は84.2%という結果が出ました。
標準的な治療を行った場合、膠芽腫再発後の1年生存率は平均14%ほどと言われており、「ウイルス療法」のがん治療薬による1年生存率はおよそ6倍になると言われています。
参照元:先進医療ネット