いちから分かる癌転移の治療方法ガイド

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膀胱がんの症状や転移、治療法について

膀胱の内側は移行上皮細胞という膜で覆われています。膀胱がんはこの移行上皮細胞にできることが多く、2018年の人口あたりの罹患率は人口10万人に対して18.4例と言う割合(※)です。とくに40歳以上の男性に多いのが特徴です。膀胱がんになった場合の症状や治療法、転移しやすい場所について詳しく解説します。

※参照元:国立がん研究センターがん情報サービス/膀胱

膀胱がんの症状

膀胱がんの分かりやすい症状として、眼で見て確認できる肉眼的血尿があり、血尿によって受診する患者さんのうち数名は膀胱がんと診断されることがあるそうです。

また、見た目には血が出ていると分からなくても尿検査で採取した尿を調べてみると血尿だとわかる顕微的血尿があります。膀胱がんで出る血尿は痛みが出ないのが特徴で「無症候性血尿」と呼ばれることも。

症状が進んで尿管が閉塞した場合、尿を排出することができずに腎臓が腫れて尿管が拡張する水腎症の症状が現れます。

水腎症の症状が現れてくると、腎機能が低下して、排便時の違和感、直腸や子宮からの出血、痛みを感じるようになってくるのです。膀胱がんは進行が比較的遅いため、症状が出始めた頃にはがんが進行・転移している可能性があります。

膀胱がん治療法

膀胱がんの治療に有効なのが外科手術です。手術の方法には2種類あり、手術専用の内視鏡を使って腫瘍を切り取るTURBTか膀胱を摘出する膀胱全摘出除術があります。

TURBTは筋層非浸潤性がんという、膀胱の筋層にがんが浸潤していない状態のがんの手術に有効。膀胱全摘出除術は筋層浸潤性がんと呼ばれる、膀胱壁を超えてほかの組織やリンパ節などに転移する可能性のあるがんに適用。

膀胱全摘出除術は先にBCG注入療法と呼ばれる療法がおこなわれます。BCG注入療法は毒を弱くした結核菌を膀胱に注入して、がん細胞を消失させる方法です。この方法で細胞障害性抗がん薬を注入する療法よりも高い治療効果が見込めます。ほかにも、抗がん剤を使った化学療法、放射線療法、免疫細胞療法などの治療があります。

膀胱がんの痛み

膀胱の出口に近い部分に腫瘍ができると、排尿時に疼痛が起こる場合があります。がんが進行して膀胱周囲に浸潤した場合は、下腹部痛・陰茎の先端の痛みが生じます。

骨盤や臀部、下肢などにつながる神経の集まりである仙骨神経叢(せんけつしんけいそう)に浸潤した場合は、太ももの後ろ側に神経障害性疼痛が起こることも。さらに進行していくと尿管が閉塞して、尿が通らなくなることで腎臓が腫れてしまう水腎症を招き背中の痛みや急な腹痛が起こります。

膀胱がんの転移先として多い部位

膀胱がんが転移しやすい部位はリンパ節、骨、肺、肝臓が挙げられます。がん細胞はリンパ液や血液の流れにのってほかの臓器にうつるため、転移が確認された場合は化学療法での治療が第一選択になるそう。

膀胱がんの手術を受けたとしても、再発や転移する可能性があります。とくに筋層非浸潤性がんは膀胱内で再発しやすいため、定期的な検査を受けて早期発見に繋げることが大切です。最低でも10年以上は定期的な検査を受ける必要があります。