がんの治療技術については、切除手術や放射線治療、抗がん剤など、日夜進化を続けています。しかし、転移した癌については未だ治療が難しいとされているのは現状です。
治療をあきらめず転移がんを克服するための、新しい転移癌治療の事情をご紹介します。
そもそも、癌の転移はなぜ起こるでしょうか。
癌細胞は無限に増殖する性質があり、免疫細胞がこれを食い止めることができなければ、徐々に臓器や組織を侵食していきます。これがいずれリンパ節や血管へと流れだすとがん細胞はほかの部位へと流れだしていきます。
がん腫瘍ができた時点で、体内にはがん細胞が常に流れていると言われています。しかし、通常は免疫機構によって私たちのからだは守られているため、がん細胞は生着できません。これが何らかのトラブルで生着しまうことで、がんは転移を起こします。
がんの転移の詳細なメカニズムについては、以下のページで解説をしています。
手術や抗がん剤治療、放射線治療、ホルモン療法などの一般的ながん治療に加え、近年では、いくつかの別のがん治療も注目されています。以下では、近年注目されている特殊ながん治療の中から、「免疫細胞療法」「ANK免疫細胞療法」「がんゲノム医療」「造血幹細胞移植」の4種類を見てみましょう。
免疫細胞療法とは、患者本人の体からリンパ球を取り出し培養・活性化したのち再び体内に戻し、がん細胞を攻撃してもらおうという治療法のことです。
私たちの体にもともと備わっている、異物を体内から排除しようとする免疫の仕組みを活かし、がん治療につなげようという考えのもと研究が行われています。
安全性の確認が進む注目の治療方法
免疫細胞療法には「まだ効果や安全性が科学的に証明されていない治療法」が多くありますが、臨床試験や治験、各種研究などを通じて効果と安全性の確認が進められています。
この領域の研究が更に進めば、免疫細胞療法の分野から新たな効果が発見されたり、従来とは異なるがん治療へのアプローチが見つかったりするかもしれません。進展するがん治療の研究において、免疫細胞療法は期待が大きく膨らむ分野と言えるでしょう。
免疫細胞療法を改良した治療法として近年期待されているものに、CAR-T細胞療法があります。
これは、リンパ球のT細胞にがん細胞を認識する特殊な遺伝子を組み込んだ上で活性化し、よりがん細胞へのアプローチを強めた治療法です。
ANK免疫細胞療法とは、患者本人の血液からNK細胞という種類の免疫細胞を採取し培養、増殖・活性化させて患者の体へ戻す治療を言い、免疫細胞療法の一種になります。
がんを攻撃する、頼もしい細胞
NK細胞とは、がん細胞やウイルスなどを見つけ次第攻撃する免疫細胞。活性の高いNK細胞は、現状、攻撃しないタイプのがん細胞は見つかっていません。
体のさまざまな部位のがんを攻撃します。抗がん剤のような白血球の減少、貧血や脱毛といった副作用はありません。かつ緩和や延命ではなく寛解を目的とした治療であることから、近年、ANK免疫細胞療法は広く注目を集めています。
なお、ANK免疫細胞療法は、地方厚生局に届出をした病院・クリニックのみで受けることができます。
がんゲノム医療とは、がんを発症した患者の遺伝子変異の種類を調べ、その変異の種類に応じた適切な薬を投与する治療を言います。
がんとは、遺伝子の変異によってがん細胞が際限なく増殖する病気です。通常、遺伝子に変異が生じても自然に修復されるものですが、中には修復されずに変異が蓄積してしまうことがあります。その状態ががんです。
患者それぞれの変異した遺伝子に応じた投薬治療
変異してがんにつながると考えられる遺伝子は、これまで数百種類が見つかっていますが、それぞれの遺伝子に対し、効果的な薬とあまり効果的ではない薬があることが分かってきました。
例えば、同じ肺がんであっても、変異した遺伝子の種類が違えば効果的な薬も違う、ということです。
あるいは、別の部位に生じたがんであっても、変異した遺伝子の種類が同じなら同じ薬で効果が期待できる、ということにもなります。
がんゲノム医療では、「がん遺伝子パネル検査」という解析システムを使い、患者それぞれの変異した遺伝子の種類を特定。その遺伝子の種類に応じた適切な薬を選択する治療法です。
なお、がんゲノム医療は、標準治療がないこと、または標準治療が終了したことなどの条件を満たした場合、一部が保険診療として行われます。
造血幹細胞移植とは、血液を作り出す造血幹細胞を移植する治療を言います。一般的な化学療法や免疫抑制療法などでは治療が難しい血液がん、免疫不全症などを対象に、寛解させることを目的に選択される治療法です。
患者の症状に応じた移植前処置を行う
移植される造血幹細胞の種類は、事前に採取した患者自身の細胞、またはドナーから提供された細胞のどちらか。
全身状態が良好な比較的若い年代の患者(50~55歳以下)に対しては、大量化学療法や全身放射線治療などの強力な移植前処置を行ってから造血幹細胞の移植を行い(骨髄破壊的移植/フル移植)、全身状態が不良な患者や高齢の患者に対しては、より強度を落とした移植前処置を行ってから造血幹細胞の移植を行います(骨髄非破壊的移植/ミニ移植)。
なお造血幹細胞は、骨髄の中、臍帯(へその緒)、胎盤血(胎盤に含まれる血液)などの限られた部分にしか存在していません。
がんの転移は、原発巣の発生した部位によって転移先が決まっていることが知られています。それだけでなく、原発巣のある部位によってがんの性質が異なるため、治療法も異なります。
ここでは、主要5大癌と呼ばれるがんと、そのほかのよく知られている癌の転移先についてご紹介しています。
肺には全身からの血液が流れ込み、また肺から全身へと血液を送り出す役割があります。そのため、比較的肺癌は転移を起こしやすく、またほかの部位からの転移も多く起こります。
肺からの転移が発見された場合の多くは、すでにほかの部位にも移転していることがほとんど。そのため、全身療法を行うのが一般的です。
肺癌から他の部位への転移、他の部位から肺への転移が起こりやすいという特徴を持つ肺。他部位から肺へ転移した癌の治療は、基本的に薬物療法もしくは対症療法による治療がメインとなります。また、転移性肺癌の大きさや、患者さんの年齢・体力によっては外科手術による腫瘍摘出も選択肢の一つです。基本的に転移性肺癌の治療は、原発巣(元の癌)の種類に合わせた治療方法が選択されます。手術をする場合には、原発巣(元の癌)の治療が終了しているかどうかも大切な要素ですから、じっくりと医師と話し合ってみましょう。
乳癌の転移は、一般的には予後が悪いと言われています。
また、乳がんの治療は乳房の切除をせずに行う方法が切望されてきました。最近は放射線治療や化学療法により、切除をせずに乳がんと付き合っていくという選択肢もあります。
リンパ節や肺、骨に転移することの多い乳癌は、転移部分で外科的手術が可能であれば外科手術による治療が行われますが、外科手術が難しいケースも少なくありません。抗癌剤治療、放射線治療、ホルモン治療のいずれかの治療方法もしくは、これらの治療方法を組み合わせた治療がおこなわれるのが一般的です。
胃癌は転移先がある程度限定されており、また、事前に検査で転移リスクを予測しやすいため、胃癌が発見された時点で転移を予防するための治療が行われます。
ここでは、代表的な転移先である、リンパ節、腹膜播種、そして肝転移の場合の治療法について解説しています。
周辺臓器やリンパ節などへの転移が多く見られる胃癌は、リンパ節に転移した場合には、転移の可能性があるリンパ節を切除する外科的治療が行われます。腹膜へ癌細胞が飛び散ってしまう腹膜播種では、手術による全摘出が難しいケースも多く、放射線や抗癌剤による治療が行われることが多いようです、また、抗癌剤を溶かした特殊な液で転移した部分を洗浄する腹腔内化学療法などによる治療も行われることがあります。
日本人の国民病ともいわれ、また再発・転移が非常に多いといわれているのが肝臓癌。切除などの治療をしても、がん細胞を取り切れずに再発してしまうことが非常に多いようです。
というのも、肝臓は血管が多く集まる臓器で、肝臓からがん細胞が転移しやすいようにできているためです。
肝臓癌の転移は、同じ肝臓内で起こることが多く、そうした場合では外科手術により癌細胞を切除、もしくはラジオ波焼灼で癌を死滅させる治療が行われます。仮に、転移を早期に発見できた場合には、経皮的エタノール局注療法と言って、癌細胞にエタノール液を注入し、癌細胞を死滅させる治療方法が選択できます。その他にも抗癌剤を直接注入する動中療法や、冠動脈塞栓術などの手段もあります。転移の程度、発見時の患者さんの体力などによってもベストな治療法は異なります。
ほかの主要癌に比べると、おだやかで治療しやすいのが大腸癌からの転移。広がるのが遅く、早期発見ができれば切除手術によって長期生存が可能だと言われています。
まず肝臓に移転し、そこから他の臓器に移転するという特徴を持つことから、転移の発見もしやすいとされています。
肝臓や肺へ転移することが多い大腸癌肝臓へ転移した場合には、転移した癌がまだ小さければ、切除手術による摘出も可能。生存率も高いと言われています。また、肺へ転移した場合には、胸に開けた小さな穴から器具を入れて腫瘍を切除する胸腔鏡手術が一般的で、身体的負担が少なく、術後の回復も比較的早いと言われています。外科手術後には、抗癌剤や放射線療法などにより、取り残した小さな癌を死滅させ、根治を目指します。
食道癌は進行が早いため、症状が出てからでは遅いと言われています。また、他の臓器へ転移してしまうと、快方に向かうのが厳しいです。そのため、治療後も再発防止治療と定期検診が必要なのです。
ここでは、食道癌が転移した際に出る症状や治療法についてご紹介します。
食道癌は、食道近くにある心臓・肺・大動脈・リンパ管や血管、骨などに転移を起しやすい癌です。特に、食道癌は転移しやすいことから、食道癌を発見したら、転移を起していないかしっかりとチェックすることが大切です。転移した場所によって治療法は異なります。転移がみられる場合には、治療方法は全身状態や食道癌の再発の有無に合わせて治療法が選択されます。手術による治療よりも、放射線治療や抗癌剤による化学療法が選択される場合が多いようです。
他の部位の癌と比較すると進行が遅く、生存率が高い前立腺癌ですが、初期症状がほとんどないことも特徴の1つです。発見が遅れてしまうと骨やリンパ節への転移する可能性があります。特に多いのは骨への転移。他の癌より早期に骨へ転移してしまうのが前立腺がんの怖さです。
転移の見られる前立腺癌の場合、内分泌療法や化学療法が行われることが一般的です。内分泌療法(別名ホルモン療法)とは、癌細胞が増える際に必要なホルモン作用をストップさせるために、特定のホルモンの働きを抑えるホルモンを投与したり、ホルモンを分泌する部分そのものを取り除いてしまう治療法です。ただし、内分泌療法はあくまでも癌の成長を抑えるための治療です。合わせて、癌そのものを攻撃する化学療法などが必要となってきます。
子宮癌はヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で起こる子宮頸癌と、女性ホルモンのエストロゲンが原因で起こる子宮体癌の2つを指します。それぞれ転移先や治療法が違っていても、早期発見できれば切除のみで治療できるのは同じです。 こちらでは代表的な子宮癌の移転先と治療法を紹介します。
表皮部分(上皮)に止まる程度の初期で発見されれば快方に向かう可能性もある子宮頸癌。治療には、外科手術に加えて、放射線治療や抗癌剤を使った化学療法が用いられます。将来出産を望む方にとっては、できる限り温存したい臓器なだけに、治療法については、医師と慎重に相談する必要があるでしょう。子宮頸癌はリンパ節や、子宮周辺の臓器への転移を起こすことが多く、その場合には化学療法や全身療法など、患者さんの状態に合わせた治療方法が検討されます。
耳の下や顎の下などにある「唾液腺」の組織にできるがんが、唾液腺がんです。 このがんは多くの場合、「今までなかったコブのような腫れが、耳の下や顎の下に出てきた」という症状で気づきます。しかし、唾液腺にできる腫瘍がすべて唾液腺がんというわけではなく、むしろ単なる良性腫瘍の可能性があります。しかし油断は禁物。自己判断で良性だと判断して放置していると取り返しのつかないことにもなりかねません。唾液腺がんの特徴や注意点などを、ここで知っておきましょう。
唾液腺がんの治療は、可能な限り「がんの切除」を第一に考えます。 がんをしっかりと摘出するために、切除手術においては可能な限り、がん細胞の周辺も含めた範囲、マージンを大きくとることが求められますが、そのために顔面神経の一部や骨なども切除することを求められるケースもあります。
数あるがんの中でも、原発不明がんは非常にやっかいながんのひとつとして挙げられます。原発不明がんは、胃がんや肺がん・肝臓がんなどのように「どこががんの発源なのかが分かる」というものとは違い、がんが発生した臓器が分からない状態のがんを指すのです。ここでは、他の一般的ながんと原発不明がんの違いについての詳しい説明や、原発不明がんによくある症状、用いられる治療法などについての説明をしていきます。
原発不明がんはすでにがんが転移している状態であり、手術をしたとしても完全切除や根治はきわめて困難な状態となっています。 そのため、原発不明がんの治療の多くは、薬物治療でがんの進行を遅らせたり痛みの症状を和らげたりすることが中心となってきます。
間葉系腫瘍とも呼ばれる消化管間質腫瘍(GIST)は、消化管の粘膜の下の壁の中に腫瘍ができる病気です。症例が少なく、症状は特有のものがないこと、専門医療機関の受診が必要であることなどが特徴で、発見が遅れやすい病気ともいわれます。
治療法は外科手術による切除が有効とされ、状態によっては検査と経過観察、分子標的薬を用いた薬物療法が行われることもあります。GISTは消化管の壁の中に腫瘍が発生するため、粘膜表面にできる胃癌や大腸癌とは異なる病気です。
GISTの治療法で有効なのは、外科手術による腫瘍の切除だとされています。GISTの治療ではこれがまず第一の選択で、症状がなく腫瘍のサイズが小さい場合、すでに他の場所に転移している場合は、経過観察や薬物治療が行われます。
皮膚がんには、皮膚の表皮にできるものと、表皮以外の細胞に発生する肉腫があります。有棘細胞がんや基底細胞がんは上皮系、血管肉腫や隆起性皮膚線維肉腫は肉腫です。原因や症状は様々で、メカニズムは全て解明されていません。日本人に多いのは末端黒子型黒色腫で、色調や形状の変化を目視できます。他にも表在拡大型黒色腫や悪性黒子型黒色腫などがあり、いずれも皮膚がんの症状です。治療法には外科手術や凍結療法、放射線療法、化学療法、集学的治療があります。
皮膚がんで行われる治療法ですが、治療の第一歩が患者による「気づき」であることは言うまでもありません。通常とは異なるほくろや潰瘍を発見した場合は、そのまま放置せず、すぐに皮膚科を受診する必要があります。
転移してしまった癌の治療において大切なのは、癌転移のリスクをコントロールすること。がんがそれ以上増殖しないように、抗がん剤や放射線治療、あるいは免疫治療などを行います。
癌の治療に効果的なのは切除手術だと言われますが、現実的には癌細胞の取り残しがあり、再発・転移を起こす可能性があります。いずれの治療法をとったとしても、継続的に転移や再発を防ぐような治療が必要になります。
そこで、ここでは転移を食い止め、予防するために気をつけたいことをまとめてみました。転移を止め、予後を改善するためには何が必要なのでしょうか。
がんの種類別にステージ4からの平均余命と平均延命率をお伝えします。
全国がん(成人病)センター協議会が行った生存率共同調査によれば、2011~2013年における肺がん(気管を含む)のステージ4からの相対生存率(症例数:7161)は、1年生存率が47.0%、2年生存率が23.9%、3年生存率が14.0%、4年生存率は9.3%、5年生存率は7.3%となっています。
標準治療を施した場合の延命率は、手術治療の場合相対生存率は5年生存率で12.2%に。放射線治療を行った場合には3.9%に。化学療法を行った場合には6.5%となっています。なお、免疫・BRM療法や、内分泌療法に関しては症例数が5件以下と不足しているため正確な数値はわかりません。
引用元: 全がん協加盟施設の生存率共同調査「全がん協生存率」
2011~2013年におけるステージ4の乳がんの相対生存率(症例数:1032)は、1年生存率が85.6%、2年生存率が72.3%、3年生存率が58.1%、4年生存率が47.4%、5年生存率が38.9%と報告されています。ステージ1など早期に発見されれば生存率は上がり、ステージ2でも5年生存率は96%となるがんですから、早期発見・早期治療が大切です。
乳がんの外科的治療を行った場合、相対的5年生存率は38.6%から52.6%へと上昇します。放射線治療のみを行った場合には相対的5年生存率は32.0%。放射線治療と化学療法、内分泌療法を併用した場合には5年相対生存率が59.6%と報告されています。複数の治療を組み合わせて結果を出していくのが一般的です。
引用元: 全がん協加盟施設の生存率共同調査「全がん協生存率」
2011~2013年におけるステージ4の胃がんの相対生存率(症例数:3908)は、1年で43.9%、2年で19%、3年で10.4%、4年で7.4%、5年で6.2%となっています。
胃がんの外科的手術を実施した場合の1年相対生存率は18.9%です。一方、体腔鏡的(腹腔鏡、胸腔鏡)的手術治療を行った場合には1年生存率が78.0%と上昇します。放射線治療による1年生存率は29.4%、化学療法による1年生存率は50.5%。
体腔鏡的(腹腔鏡、胸腔鏡)的手術治療と化学療法を行った場合の1年生存率は83.0%と延命率は上昇します。しかしながら、いずれの治療法でも、2年、3年生存率以降は低い数値が報告されています。
2011~2013年における肝がんのステージ4からの相対生存率(症例数:817)は1年で30.7%、2年で13.2%。3年目以降は7.1%、4.9%、3.7%と低い値が報告されています。これらの数字は、手術、放射線治療、薬物療法など何らかの治療を受けた患者さんを総合して計算した場合の相対生存率です。
外科的治療を行った場合の、ステージ4の肝がんの生存率は1年生存率が45.1%と上昇しています。しかしながら2年目は11.5%。その後の生存率も低くなっています。放射線治療のみを受けた場合の生存率は1年で26.2%、2年で14.5%。3年で5.1%と良好な結果が報告されています。
引用元: 全がん協加盟施設の生存率共同調査「全がん協生存率」
2011~2013年における大腸がんのステージ4の相対生存率(症例数:3452)は、1年生存率が71.0%、2年生存率は48.4%、3年生存率は35.2%、4年生存率は27.8%、5年生存率は23.3%となっています。
外科的手術治療を行った場合の、ステージ4大腸癌の1年生存率は81.6%、2年生存率は60.1%、5年生存率も30.3%となっています。外科的手術治療と化学療法、放射線治療を組み合わせた場合は5年生存率がさらに上がり、37.5%となっています。
引用元: 全がん協加盟施設の生存率共同調査「全がん協生存率」
食道がんのステージ4からの5年生存率は12.4%と報告されています。ステージ4a期には化学放射線療法が、ステージ4b期には化学療法が標準療法として推奨されています。
放射線と化学療法を行った場合の5年生存率はステージ4全体で12.6%です。化学療法のみを行った場合の5年生存率もそれほど変わらず、14.3%となっています。
引用元: 全がん協加盟施設の生存率共同調査「全がん協生存率」
前立腺がんは、ステージ1から3までの生存率が高いがんです。ステージが進行してもそれほど変化がないのが特徴です。ただし、転移のあるステージ4では、5年生存率が65.6%(20011~2013年相対生存率、症例数1500)となっていることから、転移の有無が余命に大きく影響を与えるがんと言えます。
前立腺がん はリンパ節転移や、遠隔転移がみられる場合には内分泌療法や化学療法が選択されます。内分泌療法を受けた場合の相対5年生存率は67.7パーセントと予後が若干向上します。
引用元: 全がん協加盟施設の生存率共同調査「全がん協生存率」
2011~2013年における子宮体がんのステージ4の相対生存率(症例数:864)は、5年相対生存率で 25.7%となっています。ステージ1であれば5年相対生存率は94.3%。ステージ3でも69.2%となっていることから、いかに早期発見をするかが延命の鍵となります。
ステージ子宮体がんの手術治療を行った場合の延命率は、5年相対生存率が40.7%に向上していることからも高い効果が得られると考えられます(個々の効果については症例による)。
引用元: 全がん協加盟施設の生存率共同調査「全がん協生存率」
癌の治療をする際には信頼できる医師と病院選びをしなければなりません。具体的にどのような医師がいるのか、評価の高い病院はどこなのかを調べる際に役立つ情報についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。
がんに対する外科的治療・手術は、白血病のような血液がんを例外とすると、ほとんどすべてのがんに対して第一選択肢とされる治療法です。とくに転移がみられない初期から中期のがんに対しては治療効果が望める治療法といえます。
身体にメスを入れるということは患者さんにとって大きな負担となりますが、近年では内視鏡手術やロボット手術などが登場し、以前よりも身体的負担が少なく、入院期間も短縮できるようになってきました。
手術はがん組織を切除するので、臓器によっては生体機能が失われたり、後遺症で生活の質が低下したりと、マイナス面はどうしてもついてきます。しかし、臓器の機能を温存させる手術も飛躍的に進歩しているのも事実です。
ここでは、国内においてがんの手術に懸命に取り組んでいるドクターを紹介します。
がんの化学療法とは、抗がん剤や化学物質を投与してがん細胞を死滅させる治療法で、薬物療法もしくはそのまま抗がん剤治療とも呼ばれます。化学療法の薬剤は投与されると血液の流れに乗って全身すみずみまで行きわたり、体中のがん細胞を攻撃します。
近年はがん細胞への作用が異なるさまざまな薬剤の研究開発・実用化が進んでいます。これらの薬剤を組み合わせる多剤併用療法が普及しつつあることで、手術が困難だった進行がんへの化学療法も可能となってきました。
その反面、副作用のイメージがついてまわるのも抗がん剤の特徴です。しかし、現在では医学の進歩によって以前ほど強い副作用が現れることは少なくなりました。
ここでは、国内において抗がん剤治療で評判のドクターを紹介していきます。
がん三大治療の1つに挙げられる放射線治療は、放射線をがん細胞に照射して死滅させ、腫瘍の縮小や消失を目指す治療法です。手術をしないで臓器の機能を温存させたい場合や、手術前にがんを小さくさせたい場合、手術で取り切れないがん細胞を叩くためなどに実施します。
放射線治療は多くのがんに対して適応があるほか、身体にメスを入れる手術や少なからず副作用をともなう抗がん剤治療と異なり、身体的な負担が比較的少ないというメリットがあります。
また、保険適応の放射線治療であれば手術や抗がん剤治療よりも通常は治療費が安い場合が多いのもポイント。がんに放射線を集中して照射する技術や治療機器の進歩によって、治療精度は近年急速に向上しています。
ここでは、国内においてがんの放射線治療で評判のドクターを紹介していきます。
令和2年のはじめ、東京工業大学などの研究によって「液体のりの成分を使うと、放射線治療の効果が上がった」というマウスを使った実験結果が示されました。
ここでいう放射線治療とは、現在実用にむけて開発中の放射線治療「ホウ素中性子補足療法」のこと。体内に注入し、癌細胞に集積させたヨウ素化合物に中性子を照射することで、癌のみに強い放射線を浴びせて死滅させる治療法です。
ホウ素中性子補足療法は画期的な治療法として期待されていますが、ホウ素化合物が細胞の中に留まっていられる時間の関係上、治療の効果や適用できる部位には一定の限界がありました。しかし、東工大らがホウ素化合物に液体のりの主成分「ポリビニルアルコール」を結合させたところ、細胞内に留まる時間が伸びて治療効果が大幅に高まり、適用可能な範囲も広げられることを発見したのです。
液体のりの成分と放射線治療についての詳しい情報は、以下のページをご覧ください。
腎細胞癌の治療は手術が基本で、たとえ癌が進行していたとしても変わりません。なぜなら、抗癌剤を投与しても腎臓自体の機能によって成分が体外に排出されてしまうからです。これが腎細胞癌に効果がある抗癌剤がない、と言われてきた主な理由です。
しかし、近年では研究開発が進んで分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などの新しい薬が次々に実用化されています。腎細胞癌の治療にも大きな期待が寄せられているのです。
そこに満を持して登場した新薬「カボザンチニブ」。根治切除不能または転移性の腎細胞癌に対する効果が臨床試験で証明された抗悪性腫瘍薬です。
癌の検査といえば、レントゲンやCTなどの画像検査や血液検査を想像する人が多いでしょう。唾液で癌のリスクがわかると聞いたら驚かれるかもしれません。
慶応義塾大学先端生命科学研究所のバイオベンチャー企業・サリバテック社は、先進的なバイオテクノロジーを駆使して唾液で癌のリスクを測定できる検査キットを開発しています。その名は「サリバチェッカー」。2017年の発売以来、1,100カ所を超える全国の医療機関で導入されています。
唾液には体内で生成される代謝物が多く含まれており、これらの中には癌細胞で濃度が上がる物質も複数存在します。それを専用の測定装置で分析してAIで解析し、臨床研究データと照合して癌のリスクを評価するというのがこのキットのメカニズムです。
一度治ったと思ったがん。再発や転移は、起こらないかもしれませんし、起こってしまうかもしれません。いつどのタイミングで起こるか分かれば、対策の方法も考えられますが今ところその方法は確立されておりません。
だからこそ、日ごろから身体の調子に目を向け、その予兆のサインをキャッチできれば、たとえ再発や転移を起こしたとしても、早期に発見し、治療を始められるでしょう。そのヒントになり得る情報をまとめているので、参考になれば幸いです。