いちから分かる癌転移の治療方法ガイド

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皮膚がんの症状や転移、治療法について

このページでは、皮膚がんの基礎知識や症状、治療法などについて詳しく解説しています。

皮膚がんとは

皮膚がんとは、上皮(表皮)と真皮から構成される皮膚組織に発生する癌のことです。代表的なものは有棘細胞がん、基底細胞がん、悪性黒色腫、乳房外パジェット病ですが、これらの病気は上皮系のがんに分類されます。

皮膚がんには上皮系のがんの他、肉腫と呼ばれるものもあり、これには隆起性皮膚線維肉腫や血管肉腫が該当します。このように、皮膚がんは大きくわけて上皮系と肉腫系がありますが、この中間に位置するのが真皮の中に生じる癌で、毛包がん、脂腺がん、汗腺がんはこれに該当します。

皮膚組織はいくつかの段階に分かれており、どの組織に発生するかで皮膚がんの種類も異なります。発症の原因ですが、詳細なメカニズムはいまもはっきり分かっていません。ただし膨大な研究の結果、複数の原因があると考えられています。

代表的なものは太陽光に含まれる紫外線ですが、これ以外にも、慢性的な炎症や刺激が関係していると言われています。

ポリオーマウイルスの一種、「MCPyV」はMerkel細胞がんと強い関連性を持っています。ヒトパピローマウイルスは通常の皮膚がんとの関連性は低いとされていますが、なんらかの要因で免疫抑制状態にある場合は、ウイルス感染によってがんの発症リスクが上昇します。

また、表皮異形成症という遺伝性疾患がある方の場合、皮膚がん発生リスクが高くなります。

とはいえ皮膚がんの発生要因は一つに特定することはできず、癌の種類によって原因が違うなど、詳らかではないというのが実情です。

さらに皮膚がんの原因と考えられているものには、慢性皮膚病巣や慢性感染病巣などの病変、ヒ素をはじめとする化学物質、喫煙の習慣などもあります。

皮膚がんの症状

皮膚がんの症状は、ほくろやシミ、潰瘍などの形で出現し、肉眼で見ることができるので、早期発見に繋がりやすいといわれています。ただし、悪性のものは普通のほくろとは異なる特徴を持っているので、注意深く見ておく必要があります。

皮膚がんの症状として気を付けるべきものは、以下のようなものが挙げられます。

このうち日本人に最も多いとされているのが末端黒子型黒色腫で、最初は褐色のシミだったものが色調が変化して一部だけ濃くなったりするなど、色や形状が変容する特徴を持っています。

また一部だけ潰瘍ができたりすることもあるので、注意が必要です。表在拡大型黒色腫はもともと白人に多い病型とされていますが、最近は日本人の間でも発症が増えていると言われています。特徴は、色調がまだらで輪郭が不整なシミができること、しかもそのシミが平坦ではなくわずかに盛り上がっていることです。

結節型黒色腫は全身のどこでも発生する症状といわれ、初期段階から立体構造をしています。一方、高齢者に多いとされるのが悪性黒子型黒色腫で、こちらは色調の変化がとても激しく、日光に当たりやすい顔や首、手背などに発生するのが特徴です。このように皮膚がんの症状は、発生場所によって現れ方が異なります。

皮膚がんの治療法

皮膚がんの治療法は多岐にわたり、それぞれの症状や進行具合で最適な手法が選択されます。例えば、再発や転移が発生する可能性のある有棘細胞がんの場合に適用されるのは、外科手術によって癌を切除する「外科療法」です。

高齢者や持病を持っているなど、健康状態や体力に不安がある患者に対しては、がん細胞を凍結壊死させる「凍結療法」が用いられることもあります。また、がんがある程度進行し手術が不可能な場合に行われるのは、電子線やエックス線を照射する「放射線療法」です。

そして同じくがんがある程度進行していた場合に全身療法として行われる、ペプロマイシンやシスプラチン、アドリアマイシン、5-FUなどを使用する「化学療法」もあります。この化学療法は初期段階には行われないこと、また吐き気や発熱などの副作用を伴うのが特徴です。

これらに加えて2010年代以降では免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブやペムブロリズマブなど)や、BRAF遺伝子変異を有する患者には分子標的治療(BRAF/MEK阻害薬の併用療法)などが用いられ、予後の改善が期待されています。

さらに、複数の治療を組み合わせて行う「集学的治療」もあります。その特色は、一つの治療法にこだわらず、がんの状態や具合に応じて適切な治療法を取捨選択することです。

以上が皮膚がんで行われる治療法ですが、治療の第一歩が患者による「気づき」であることは言うまでもありません。通常とは異なるほくろや潰瘍を発見した場合は、そのまま放置せず、すぐに皮膚科専門医療機関を受診する必要があります。

皮膚癌のステージ分類

病期 説明
0期 がん細胞が上皮内にとどまっている場合
ⅠA期 他の部位やリンパ節への転移がなく、がんの厚さが1㎜以下で、潰瘍がない場合
ⅠB期 他の部位やリンパ節への転移がないのが前提条件で、がんの厚さが1㎜以下であるものの潰瘍がある場合、もしくはがんの厚さが1~2mmで潰瘍がない場合
ⅡA期 他の部位やリンパ節への転移がないのが前提条件で、がんの厚さが1~2mmで潰瘍がある、またはがんの厚さが2~4mmで潰瘍がない場合
ⅡB期 他の部位やリンパ節への転移がないのが前提条件で、がんの厚さが2~4mmで潰瘍がある、またはがんの厚さが4mmを超えるが潰瘍がない場合
ⅡC期 他の部位やリンパ節への転移がないのが前提条件で、がんの厚さが4mmを超えて潰瘍がある場合
Ⅲ期 他の部位やリンパ節への転移が認められるものの、他の臓器への転移がない場合
Ⅳ期 がんの厚さなどに関係なく、他の臓器への転移がある場合

ステージの分類方法

皮膚がんのステージ分けのポイントとなるのは、リンパ節への転移があるかどうか、がんの厚さはどうか、潰瘍があるかどうか、他の臓器への転移があるかなど。これらの状況を上記項目の表などの基準に当てはめながら、総合的に判断してステージ分けが行われます。

ステージで異なる治療方針

外科療法

簡単に言うと手術で病巣を除去する方法です。原発巣だけでなく、他の部位に転移した転移巣も取り除く方法で、がんの治療法として最も基本的といえる治療法となります。皮膚がんの手術では、見えているがんの部分だけではなく、その原発巣からおよそ1~2㎝ほど離れた部分まで切除するのが一般的。切除する深さについては、ステージによって異なります。ただし、切除した部分が悪性であるかどうかの判断がつきにくい場合には、黒く変化した見えているがんの部分だけを切除し、病理医による病理診断が必要となるケースも。また、切除した範囲が大きく、皮膚を縫い合わせられない場合は、別の部位から適切なサイズの皮膚を移植することがあります。

化学療法

抗がん剤を利用してがん細胞の増殖を抑えながら、がん細胞を破壊する治療法。体のどこにがん細胞があっても攻撃することができるのが大きなポイントです。

放射線療法

腫瘍の成長を遅らせる目的や縮小させるために放射線を使用する治療法です。がんの局所療法であるため、全身への影響が少なく、高齢者にも適応できる患者にやさしいがん治療法となっています。

ただし、放射線療法は局所的な治療で全身への負担が比較的少ない一方で、高線量を照射する場合には、照射部位の皮膚炎、潰瘍などの局所障害や、晩期に生じる副作用(晩期合併症)に注意が必要です。

特に高齢者や基礎疾患を持つ方では、周囲の正常組織への影響も考慮した上で治療法を選択することが重要です。がんに侵された臓器の機能と形態の温存ができるのも見逃せないポイントです。

免疫療法

上記で紹介した三大治療法に加えて、近年「第4の治療法」として期待されているのがこちらの免疫療法です。免疫療法は、研究が進められているものの、有効性が認められた免疫療法は免疫チェックポイント阻害剤などの一部に限られているというのが現状。自由診療で行われている免疫療法には効果が証明されていない免疫療法もありますので、慎重に確認しなければなりません。

皮膚がんの予防やスクリーニングに関する情報

皮膚がんには複数の種類があり、それぞれに特徴やリスクが存在しています。そのため皮膚がんの予防や早期発見を考えるためには、一般的な癌予防対策に加えて、皮膚がんの特性や発生原因などを把握した上で適切な対策やスクリーニングおよび検査方法について意識することが欠かせません。

ここでは皮膚がんに関する一般的な予防や対策、また早期発見の可能性を高める検査やスクリーニングの方法について紹介しますので参考にしてください。

皮膚がんの予防について

皮膚がんの予防を考える場合、まず注意すべきは紫外線や放射線などによる皮膚組織への影響です。また、皮膚がんは種類によって火傷の跡やウイルスなどによる発生リスクも考えられるため、そのようなリスクに関して予防意識を高めておくことも大切です。

なお、皮膚がんの中には皮膚のリンパ球が癌化するものもあり、総合的な癌対策や癌予防についての取り組みを日常的に心がけましょう。

紫外線を浴びる量を減らす

皮膚がんの中でも基底細胞がんや有棘細胞がんといったタイプの皮膚がんについては、日光などに含まれている紫外線や放射線などによる皮膚組織への影響が発生要因になっていると考えられています。そのため、皮膚がん対策としてまず意識すべきことは、日常的に浴びる紫外線の量を減らしたり、どうしても紫外線を浴びやすい生活習慣の人は適切な紫外線対策を考えたりすることが肝要です。

紫外線を浴びる量を減らす方法としては、紫外線照射量の強い日の外出を避けたり、外に出る場合でも帽子や日傘、サングラスを使用したりすることが考えられます。また紫外線対策に有用な日焼け止めクリームなどを利用することも良いでしょう。

なお、紫外線の照射量は夏の晴れている日だけでなく、曇っている日や秋冬の季節でも多いことがあるため、単に天気が悪いからといって紫外線対策をおろそかにしないようにしてください。その他、日焼け止めクリームなどを使用する際には、SPF15以上のクリームを選んで定期的に塗り直すといった配慮も有効です。

※参照元:がん情報サービス|基底細胞がん(https://ganjoho.jp/public/cancer/basal/index.html ※参照元:がん情報サービス|有棘細胞がん(https://ganjoho.jp/public/cancer/squamous/index.html

生活習慣の改善による予防

皮膚がん予防として紫外線対策を日常的に継続することは有用ですが、一方でその他の生活習慣についても健康的な取り組みを心がけることが重要です。

そもそも生活習慣の悪化は皮膚がんを含めて様々な癌の発生リスクを上昇させることが知られており、生活習慣の健全化は皮膚がんのみならず総合的な癌予防につながります

ここでは日本人の生活習慣や体質を踏まえて、生活習慣を改善していく際の注意点やポイントをまとめました。

※参照元:がん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html
たばこを控える・禁煙する

日本人にとって男女ともに発がんリスクを高める生活習慣として、まず重大な原因として「喫煙・受動喫煙」が知られています。

日本人を対象にした様々な癌研究の結果、たばこを吸う人は肺がんや食道がん、膵臓がんなど様々な癌のリスクが高まることが認められており、日常的にたばこを吸う人は喫煙習慣のない人に比べて何かしらの癌になるリスクがおよそ1.5倍というデータは無視できません。

加えて、たばこの煙は喫煙者だけでなく、周囲の人に受動的に影響することも知られており、周りにたばこを吸う人がいる環境は受動喫煙による癌リスクが高まってしまいます。

そのため皮膚がんを含めて癌予防を考える場合、たばこを止めることが大切であり、どうしても一人で禁煙できない人は禁煙外来などを受診し、禁煙治療を受けるといった取り組みも有用でしょう。

※参照元:がん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html
お酒を控える・禁酒する

かつて「酒は百薬の長」といった言葉も使われていましたが、現在、少なくとも癌リスクの軽減対策として考えた場合、アルコールは少しの摂取でも避けるべきという事実が知られています。そのため原則としてお酒を止める、あるいは酒量を減らしたり、アルコール度数の少ないお酒に変更したりといった生活習慣の改善策に取り組むことが必要です。

なお、特に日本人男性では飲酒量と発がんリスクの相関性について研究が行われており、1日の平均アルコール摂取量について、23g未満(純エタノール量換算)の人に対して、46g以上の人はおよそ40%、69g以上の人は60%程度も癌リスクが上昇すると明らかになっています。

※参照元:がん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html
食生活を改善する

食生活は癌を含めて様々な生活習慣病に関連しており、食生活の健全化は自身や家族の健康を守る上で欠かすことのできない対策です。

一般的に、塩分や油分の多い食生活は高血圧症や高脂血症といった生活習慣病のリスクを高め、結果的に癌の発生リスクにもつながってしまいます。加えて、熱い食べ物や高温の飲み物による火傷や皮膚への刺激が癌の要因になり得ることも無視できません。

特に、皮膚がんの中でも有棘細胞がんについては発生要因の1つとして「火傷・火傷跡」が知られており、熱い飲食物を日常的に摂取して火傷リスクを高めることは皮膚がん対策の観点から避けるべきと言えるでしょう。

その他にも食物繊維の豊富な野菜を食べたり、ビタミンやミネラルを適切に摂取したりすることも健康管理として重要です。特にビタミンBやビタミンEは肌組織の維持や管理に大切であり、適切な栄養摂取は肌の状態を健康に保つために有効です。

※参照元:がん情報サービス|有棘細胞がん(https://ganjoho.jp/public/cancer/squamous/index.html
運動する習慣を持つ

適度な運動習慣は癌予防に有効であるだけでなく、健康寿命を延ばしてQOLを向上させるといった観点からも取り組むべき対策となります。

一般的に、日常的な身体活動量の多い人ほど癌の全体的な発生リスクは軽減されると考えられており、厚生労働省は「健康づくりのための身体活動基準2013」において年齢別に以下のような運動量の基準を定めています。

※参照元:がん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html
適正体重を維持する

肥満や痩せ過ぎといった体重の問題は癌を含めて様々な健康リスクにつながるため、適正体重を維持することは癌予防や健康管理に有効です。

適正体重は性別や身長などによって変化しますが、一般的には「BMI」という肥満度の指標にもとづいてチェックすることができます。BMIは体重(kg)を身長(m)の2乗で割って求める数値であり、男性であれば21.0~26.9、女性であれば21.0~24.9が適正体重の範囲とされています。

BMI値が高くなるほど肥満傾向にあるとされており、特に女性の場合、BMI値30.0~39.9の人は適正体重の人に比べて癌の死亡リスクが25%高くなったという結果が報告されています。

※参照元:がん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html
感染・病気に気を付ける

癌のリスク因子として、ウイルスや細菌による影響を無視することもできません。実際、日本人女性にとって最大の癌リスクは「感染」によるものとされており、男性に関しても喫煙に次いで2番目に多い癌の原因が「感染」です。

癌リスクに関連する感染には複数のものがあり、例えばB型・C型肝炎ウイルスは肝臓がんのリスクが向上し、ヘリコバクターピロリ菌は胃がん、ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸がんのリスクを高めるといった相関が報告されています。また皮膚がんについて見ても、特に有棘細胞がんの発生原因としてウイルス感染との相関が指摘されていることも重要です。

感染対策としては医学的に有効と認められたワクチンを接種したり、細菌感染の治療を受けたりと様々なものが考えられるため、心当たりのある人は医師へ相談してみましょう。

※参照元:がん情報サービス|有棘細胞がん(https://ganjoho.jp/public/cancer/squamous/index.html ※参照元:がん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html

皮膚がんのスクリーニング・検査について

癌の検査については、まだ癌が発見されていない場合に受ける検査(スクリーニング)と、すでに癌だと判明している患者が癌の状態の確定や転移の有無などを調べるために受ける検査の、大きく2種類があります。また、あらゆる癌検査やスクリーニングの方法にはリスクや不完全性が存在するため、常に単一の検査方法によって確定診断が下せるとは限りません。

皮膚がんのスクリーニング・検査の方法としては、医師の肉眼による診察(視診)に加えて主に「ダーモスコピー」や「皮膚生検」があり、その他にも各種画像検査や血液検査などを組み合わせて複合的に分析されることが通常です。

ダーモスコピー

上皮系皮膚がんのスクリーニングとして主に使用される検査方法が「ダーモスコピー」です。ダーモスコピーは「ダーモスコープ」と呼ばれる機器を使用する観察方法です。具体的には偏光レンズやエコージェルといったものを使用して光の乱反射を抑制した上で、皮膚へ強い光を当てて病変を十~数十倍に拡大して観察します。これにより、医師が肉眼で皮膚を調べるよりも、より正確に皮膚の色や細胞の血管パターンなどを分析することが可能となり、皮膚にあるものが皮膚がんなのかシミやホクロなのか見分けやすい環境が整えられます。

皮膚生検

生検とは病変部位の生体組織を切除して、サンプル片を顕微鏡で調べる方法であり、癌の確定診断に利用される検査方法です。そのため皮膚がんの確定診断においては病変部位の皮膚組織を切除し、それを顕微鏡で調べる皮膚生検が必要となります。

なお、生検には手術によって腫瘍全体を切除して調べる全切除生検と、一部のみを切除して調べる部分生検があり、どちらの方法を選択するかは癌の状態や主治医の判断によって異なります。

一般的に皮膚生検の結果は組織採取から2週間程度で判明しますが、視診やダーモスコピーで明らかに癌の所見が認められた場合、皮膚生検が実施されないこともあるでしょう。

※参照元:がん情報サービス|基底細胞がん(https://ganjoho.jp/public/cancer/basal/index.html

画像診断

被検者の体内を視覚的に調べる画像診断は、皮膚がん自体のリスクだけでなく、その他の臓器や部位への癌転移の有無を調べるために活用されます。

一般的な画像診断としてはCT検査やMRI検査、PET検査、そして超音波検査があります。

CT検査

CT検査は患者の体外から放射線(X線)を照射して、体内の状態を撮影する画像診断の方法です。CT検査は癌の転移の有無やサイズなどを調べることができます。

MRI検査

CT検査と同様に癌の転移やサイズなどを調べる画像診断として、磁気を利用したMRI検査があります。MRI検査ではX線を使用しないため放射線による被曝リスクがなく、CT検査を受けられない人でも検査できる可能性があるといった点が特徴です。一方、MRI検査では造影剤を使用するため、アレルギーリスクなどがある人には使用することができません。

PET検査

PET検査はあらかじめ患者に放射性物質を含んだ検査薬(FDG)を注射し、薬剤の成分が癌細胞に集まる性質を利用して、専用装置で撮影して癌の有無を調べる方法です。

FDGを使用する関係から、PET検査ではCT検査と同様に放射線による被曝リスクがゼロでありません。

※参照元:がん情報サービス|PET検査とは(https://ganjoho.jp/public/dia_tre/inspection/pet.html
超音波検査

超音波検査は患者の体外から超音波を当てて、反響してきた超音波を画像化して体内の様子を読み取ります。

超音波検査もまた放射線による被曝リスクを回避できる画像診断です。

血液検査

血液検査では、すでに癌リスクに関連すると知られているタンパク質などを腫瘍マーカーとして、患者の血液にそれらの腫瘍マーカーが存在するかどうかを調べます。ただし、腫瘍マーカーは癌以外の原因や患者の体調・体質によって増加することもあり、確定診断として血液検査を使用することはありません。

皮膚がんのスクリーニングのリスク

スクリーニングは癌の早期発見に有用な一方、皮膚がんのスクリーニングではリスクやデメリットがあることも覚えておきましょう。

偽陰性の検査結果が出る可能性もある

偽陰性とは、本来であれば陽性となるべき検査結果において、「陰性(癌でない)」と診断される状態です。偽陰性が出ると、実際は癌であるにもかかわらず問題なしと診断され、結果的に癌の発見や治療開始が遅れるリスクが生じます。

そのため、癌のスクリーニングでは単一の検査方法だけで確定診断を下すのでなく、複数の観点からデータを参照して総合的に状態を診断しなければなりません。

偽陽性の検査結果が出る可能性もある

偽陽性とは、癌でないにもかかわらず、検査結果で「陽性(癌)」として診断される状態です。偽陽性となった場合、さらに不要な生検などを行うことで患者の体にダメージが生じることもあります。

なお陰性か陽性か不明な場合は「擬陽性」として区別されます。

がんを発見しても健康状態の確実な
改善は難しい場合がある

スクリーニングによって癌を発見できたとして、必ずしも根治が可能な状態であるとは限りません。そのため、検査結果によって精神的なストレスや不安が生じてしまうといったリスクがあることも考える必要があります。

そのため癌検診やスクリーニングを実施する場合、様々な結果や事態を踏まえて周囲の人々によるサポートや、冷静に状態を考えられる心の余裕といったメンタル面のケアが大切です。

生検によって傷跡が残る可能性がある

皮膚生検を行った場合、切除する組織の量や部位によって傷跡が残ってしまう可能性もあるでしょう。特に皮膚がんは体の様々な場所に発生し得るため、目立つ場所の生検には十分に配慮することが肝要です。

患者のQOL(生活の質)に関する情報

皮膚がんは患者数があまり多くなく、周囲に相談できる人や同じ悩みを抱えている患者などが見つかりにくいといったこともあり、皮膚がん患者の中には不安や苦しみを一人で抱えて心身に大きな負担をかけてしまうといったケースも珍しくありません。また、皮膚がんは「目に見える癌」であるため、外出や人と会うことなど日々の生活に様々な影響を及ぼす可能性もあります。

前向きに治療を目指す上で患者の体や心のトータルケアは不可欠なものであり、日常生活におけるQOLを改善することが、人生を楽しむ上で大切であるだけでなく、結果的に癌治療の質を高められるという点が重要です。

ここでは皮膚がんの患者のQOL改善に向けたアプローチについてまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

外見の変化(整容性)に対するケアを取り入れる

皮膚がんの特徴として、人の手や顔、足といった目に見える場所に発生するというものがあります。このため、皮膚がんそのものを日常的に見ることで生じる不安や悩みはもちろん、術後の傷跡や変形に対する不安や恐怖といった点についても適切なメンタルケアや医療ケアなどを併用して患者の心理的ストレスを低減させることが重要です。

皮膚がんの治療後の手術跡や変形については世界的に様々なケアや対策が研究されており、具体的には専用の「カバーメイク」によって隠したり、専門医による「再建手術」を受けたりと色々な方法でカバーすることが可能となります。

どのようなケアが自分に適しているのかを含めて、主治医へしっかりと相談することが大切です。

薬物療法の副作用を和らげる正しいスキンケア

皮膚がんの治療薬として抗がん剤などを使用した結果、副作用として強い乾燥や湿疹、手足の皮膚や細胞の障害に起因する手足症候群といった症状が発生するリスクもあります。手足症候群は見た目の問題があるだけでなく、重症化すれば歩行が困難になるといった日常生活のQOL低下に直結するため、適切な予防やケアを考えていくことが重要です。

皮膚がんの薬物療法における副作用対策としては、医師の指導にもとづいて適切な薬の使い方や日常動作を守ることはもちろんとして、入浴後の保湿ケアや、体を洗う時になるべく肌へ刺激を与えないこと、靴下や下着には肌に優しい柔らかい素材を選ぶなど、複数の方法が考えられます。また足の裏に症状が発生する場合、ジェル状の中敷きを靴に入れるといった対策も効果的です。

腫瘍や治療に伴う「痛み」「かゆみ」をコントロールする

皮膚がん治療で患者の心身に大きなストレスを与える原因として、「痛み」や「かゆみ」といった問題があります。癌や癌治療の痛みには、癌そのものに由来するものだけでなく、癌治療の副作用として発生するものや、癌の影響で心身が弱ることで発生する間接的なものなど色々な種類や程度が考えられることを理解しておくことが大切です。

癌治療において痛みやかゆみのケアは、心身のストレスを低減して適切な治療を継続するために不可欠なポイントであり、治療開始と同時に疼痛管理などについても予防対策を取り入れていくことが大切です。また、異常や不快感を自覚した際には速やかに主治医へ相談して、緩和ケアなども含めた対策を検討していきましょう。

治療と並行して心のケア(精神的苦痛の緩和)を行う

皮膚がんの治療において患者の心のケアは非常に重要な課題となります。

前述したように、皮膚がんでは癌による外見の変化や治療による肌への副作用といった問題から、対人関係にストレスを抱いたり、外出することが億劫になったり、あるいは鏡で見る自分自身にショックを受けるといったケースが少なくありません。しかし、このような心身の不安定化は患者や家族のQOLを低下させ、適切な治療の継続を困難にする恐れもあります。

皮膚がんは患者数の少ない希少がんであるからこそ、それぞれの患者同士が悩みや不安を共有するための患者会なども結成されており、一人で不安を抱えるのではなく、家族や主治医、他の患者にも相談しながら無理のない範囲で自分なりの気分転換の方法を見つけていきましょう。

経済的な不安を和らげる公的制度を活用する

癌治療で精神的ストレスにつながりやすい原因の1つが、経済的な不安や負担です。

癌治療では長期の通院や入院、高額な手術や抗がん剤治療など医療費が増大することもあり、そのような経済的負担が日々の暮らしを圧迫したり、治療の継続を躊躇させたりすることもあります。

そのため、民間の医療保険(がん保険)だけでなく、癌治療の経済的負担を軽減する施策として国や自治体も様々な公的支援制度を用意しており、「高額療養費制度」や「限度額適用・標準負担額減額認定」、「ひとり親家庭医療費助成」など活用できそうな制度については積極的に使っていくことが大切です。

経済的負担を適切に軽減して患者や家族の「心の余裕」を保つことが、QOL改善や治療の品質の向上につながっていくと覚えておきましょう。

皮膚がん患者の声・体験談

気になれば病院へ行ってもらいたい

(前略)最初にかかった病院では、メラノーマだと確定されたわけでは無くて「メラノーマかもしれないので、とりあえず検査してみましょう」といった感じでした。私としては、メラノーマという事よりも、“初めての手術”をすることの方が大変な事に思え、その場で返事はせずに、「家族と相談します」と伝えて帰りました。(中略)皮膚がんって目に見えるがんなんですよね。早期発見できれば、手術だけで終わる事もあるので、【怪しかったら病院に行く】っていう事をやって貰いたいです。

引用元:オンコロ|メラノーマ(悪性黒色腫)体験者 徳永寛子さん

治療を終えて次は妊娠を目指したい

(前略)三井里美と申します。北海道で教員をしています。34歳のときにメラノーマを発症し、その時点ではステージⅡでしたが、昨年ステージⅣに進行しました。現在は、メラノーマと脳腫瘍の、いわゆるダブルキャンサーです。本日はよろしくお願いいたします。(中略)ただ、私の場合は完全寛解に至っているため、「1年間は様子を見て、その後であれば妊娠に踏み切ってもよいのではないか」と助言をいただきました。その内容を主治医に伝えたところ、「その先生がそう言っているなら間違いないと思います。自分もその話を聞けて安心しました」と言っていただきました。そのため、症状がこのまま安定していれば、来年、妊娠にチャレンジすることを考えています。(後略)

引用元:がんノート|諦めないで、自分でいることを忘れないで。

希少がんだからこそ前向きになろうと思った

(前略)私のモットーです。楽しく生きることが、私の今の人生の目標なので。気持ちしだいだと思うんですよね。「私は不幸だ、悲しい」って思えば、悪いほうにしか行かないと思うから。「まあこれも、これでしようがない。じゃあ、楽しくするために、何をしようかな」とか、 そういうことを考えたりする。どうしても、普通、がんは孤独じゃないですか。ましてやメラノーマってすごく、希少がんなので、周りにそのがんのことをわかってくれる人がすごく少ないので、どうしても「私は1人なんじゃないかな」と 思ってしまうんです。けれど、たいてい 自分以外に誰かいるんです。その他にもたくさんいますし、「1人じゃない」っていうことを思ってもらいたいなあと。 そして、楽しく、楽しく生きていったらいいんじゃないかなと思います。

引用元:がんノート|人生の目標は楽しく生きる

皮膚がんをきっかけに鬱が改善

(前略)悪性黒色腫というメラノーマという、ほくろのようながんですね。皮膚がんのひとつです。ステージは、初期だったので、ステージ1a。(中略)生きたいっていう自分に気付けた。それでなぜか、鬱が治ったんですよね。 そして、いろんな人の人生に触れることができて、がんにならなければ出会えな かった人っていっぱいいると思うんですよ。学校の友達、会社の同僚とか先輩とかっていう狭い範囲の中でしかきっと生きられなかったと思うんですけれども、 がんになったことによって、範囲が広がった、いろんな人の人生に出会えることができたっていうことは、私にとってものすごく大きなことで。それがすごくキャンサーギフトですね。(後略)

引用元:がんノート|暗闇でも、絶対光は差します!

癌治療を終えてから生き方を見直した

(前略)がんの手術が終わって復職したとき、みんなには「おかえり、仕事は徐々にがんばればいいよ」って言ってもらったけれど、周りにおいていかれるような感覚がありました。このまま仕事を続けていける体力があるのか、とか、若くてお金ないけれどどうやって工面していこう、と。がんの治療とその後の療養のために百万円以上のお金を借り、2年前にやっと返済できた感じです。もちろん彼女もいませんでした。20代、社会人になったばかりでがんになって、キャリアも恋愛も結婚も、元々想像していたのとはだいぶ変わってしまいました。考えても仕方ないから、とりあえずオモロく生きようと思っていましたね。(後略)

引用元:アフラック|岸田徹・えりかさん 20代でがんを経験 ~結婚、不妊治療。二人で未来へ歩んでいます~

手術できちんと癌を治療できた

(前略)これを見た私は「もしかして」と思い、病院に行って検査をしてみることにしました。
その結果、私の予想通り、このホクロの正体が皮膚がんであることが判明しました。
それまで重い病気とは無縁だった私は「がん」という病名にかなりショックを受けました。
しかし詳しい説明を聞くと私の皮膚がんは「基底細胞がん」と呼ばれるもので、初期段階での治療に成功すればほぼ完全に治り、また転移する可能性も極めて低いがんでした。
私の顎にできた皮膚がんも初期段階で、手術で切除可能とのことで、とりあえずひと安心。
その後入院、切除手術が行われ、顎のがんはなくなりました。(後略)

引用元:Caloo|突然出てきたホクロは初期のがんでした。切除手術後幸いにも再発なし。

信頼できる医師との出会いが大切

何年か前外陰部に湿疹の症状が出て痒みがあり、皮膚科で診察を受け塗薬で治療をし痒みが治まるのですが、塗薬を止めると又痒みが出る繰り返しで医師から大学病院で紹介状を書くから検査を受けなさいと言われ、検査を受けたところ(乳房外パジェット病)と診断され皮膚を2~3㎜切除し検査検査で2カ月ほど続きました。(中略)健康が第一毎日飲む薬があり4週間分の薬が切れる時には、内科クリニックで処方箋をもらい自分の健康を確かめています、安心と信頼できる医師に出会う事です。

引用元:Caloo|治らない湿疹。乳房外パジェット病・皮膚がんと診断され闘病。

専門の病院で手術をして良かった

(前略)皮膚がんかもしれないので、もし悪性だったら、早く処置をしたほうがいいと思われたからです。
それで、兵庫県立がんセンターに紹介状を書いてもらい、予約を取ってもらったうえで、行ってみることになりました。(中略)手術をして一年半ほどになりますが、今のところ再発などせずに、順調に物事が運んでいます。
口の周りに、何か分からないような、できものができて、痛みに悩まされていましたが、最新の医療が備えられている専門の病院で、手術をしてもらったところ、痛みに悩まされることもなくなったので、思い切って手術をしてもらって、本当に良かったと言っています。

引用元:Caloo|義母の口の周りのできもの。皮膚がんの疑いで切除しました。

不安な私を病院の人々が励ましてくれた

(前略)途中泣いて取り乱してしまいましたが、先生もまっすぐ私の目を見て話をしてくださり、この先生に全てを任せようと思えました。
後にインターネットで検索してみると、とても有名で偉い先生だと知りました。
本当にラッキーだったと思います。
ソーシャルワーカーの方も紹介していただき、不安なことは何でも聞いてくださり、診察の際は付き添ってくれるなどして励ましていただきました。
病気になったのは不幸でしたが、病院という場所の素晴らしさを身を以て経験し、がんセンターで治療ができて本当に良かったと思います。(後略)

引用元:Caloo|母の勘を信じた結果、悪性黒色腫発覚!周りの皮膚等を広範囲で取り除きました。

治療で完治したので良かった

悪性黒色腫という言葉をいきなり病院で伝えられたのが一番最初でした。
ほくろのがんがあると聞いて気になって病院に行った所悪性度の高い皮膚がんという事を言われてそれが悪性黒色腫(メラノーマ)である事がわかりました。治療の仕方は手術療法が一般的で治療を進めたのを覚えています。そして医師との何度かのやりとりを得て治療計画を作成してその後に切除生検をして細かな治療していくというものでした。(中略)医師に任せていたので完全に完治したのでよかったです。
今病気は抱えている人はオプジーボなど色々なガンを抑える薬があるので使用してみるのも一つの手ではないかと思います。

引用元:Caloo|悪性黒色腫(メラノーマ)。病院で最初言われてびっくりしました。

服に血が付くので気になって検査したら癌を発見

(前略)出血がたびたび起こって服が汚れるのでホクロを取ってもらいたいとお願いしに3軒目に行きました。そこで怪しいと診断されて総合病院の紹介状を渡されました。その週のうちに日帰り手術とPET-CT検査、翌週に2回目の手術をしました。手術から4年目になりますが、再発なく3か月おきにCTと血液検査を続けています。(後略)

引用元:Caloo|肌着に血がつき気づいた背中のほくろ。メラノーマの手術をしました。

皮膚がんや治療法に対する研究・論文

メラノーマの早期発見に有用な「ABCDEルール」

2025年8月8日、国立がん研究センター希少がんセンターによる「皮膚の悪性黒色腫(メラノーマ)の早期発見・早期治療」を題材にしたオンラインセミナーが開催されました。

セミナーでは国立がん研究センター希少がんセンター/中央病院皮膚腫瘍科長の並川健二郎氏といったドクターによる講演が行われ、またメラノーマの患者やその家族によって構成されるメラノーマ患者会「Over The Rainbow」の紹介なども行われています。

セミナーにおいて並川医師は日本人にとって希少がんとされているメラノーマについて、まず原因が紫外線にあることを指摘し、「UVインデックスが8以上」の日については外出時に陽光に当たることを回避した方が良いと語りました。加えてメラノーマと良性のホクロなどを見分けるポイントとして国際的に用いられている「ABCDEルール」についての解説を行い、ABCDEルールによる診断によってメラノーマの可能性があると認められた後にダーモスコピーによるスクリーニングを実施するという流れが説明されました。

参照元:がんナビ|国立がん研究センター・希少がんセミナー2025(12)皮膚のメラノーマの早期発見法と早期治療

日本における皮膚がん・メラノーマの診療ガイドラインが公開

2025年6月7日、メラノーマの患者と家族によって構成される患者会「Over The Rainbow」が主催したオンラインセミナーにおいて、2024年12月に公開された日本におけるメラノーマの診療指針である「皮膚がん診療ガイドライン第4版 メラノーマ診療ガイドライン2025」についての解説が行われました。

同ガイドラインは日本皮膚科学会と日本皮膚悪性腫瘍学会によって作成されたものであり、ガイドラインの作成には医療従事者だけでなく患者会のメンバーも参加して、実際の患者や家族の声が反映されていることも重要です。

そもそも日本ではメラノーマは希少がんとされており、臨床研究のための症例数が不足していたことも課題でした。そのためかつては海外データを参照したグローバルスタンダードの診療指針が標準とされていましたが、日本人の体質と外国人の体質では差があるため、新しいガイドラインでは日本人や中国人、韓国人など東アジア圏の人々を基準としたデータが土台になっていることもポイントです。

参照元:がんナビ|2025メラノーマ患者会Over The Rainbowセミナー メラノーマ新ガイドラインの改訂ポイントと副作用対策

超高齢社会における有棘細胞がんの増加と紫外線の影響

2024年1月12日、国立がん研究センターは皮膚がんの中でも特に「有棘細胞がん・汗腺がん」をピックアップして、オンラインでの希少がんセミナーを主催しました。

そもそも日本において皮膚がんの患者数は他の癌の患者数と比較して少数である一方、皮膚がんの種類別の割合については基底細胞がんに次いで有棘細胞がんが多くなっており、また年齢分布として80歳代がピークであることもポイントです。

有棘細胞がんの発症率が高齢者に多い原因として、国立がん研究センター中央病院皮膚腫瘍科の医師はセミナーで「紫外線」に注目しており、有棘細胞がんの前がん病変である上皮内がんについて、日光角化症やボーエン病といった病気を挙げています。

日光角化症は文字通り日光の影響によって皮膚ががさがさになる病気です。外見上はシミや湿疹と区別できないものの、有棘細胞がんへ進行する恐れがあることから、気なった場合は速やかな治療や検査が大切であるとまとめられました。

参照元:がんナビ|国立がん研究センター・希少がんセミナー2024より 1 有棘細胞がんと汗腺がんの症状と治療法

皮膚血管肉腫の治療として「ホウ素中性子捕捉療法」を開発

2023年9月8日、国立がん研究センター希少がんセンターと鹿児島医療センターの共催として、「皮膚がん―基底細胞がん・皮膚血管肉腫・メルケル細胞がん」をテーマとするオンラインセミナーが開催されました。

また同セミナーにおいて、国立がん研究センター中央病院皮膚腫瘍科の中野英司氏によって、皮膚血管肉腫の治療に関する課題と現状の取り組みが説明され、「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」といった新しい治療についての概要も解説されました。

そもそも皮膚血管肉腫は希少がんの中でも症例数の少ない癌であり、確定診断には皮膚生検とCT検査などの画像診断を加えた複合的な検査が必要です。また、手術だけの治療や放射線治療のみの対処では再発率が高くなるため、術後補助療法として放射線照射を組み合わせた集学的治療が望まれます。

そのような中、中野氏は放射線である中性子とホウ素の特性を活用したBNCTが皮膚血管肉腫にも有用な可能性を指摘し、国立がん研究センター中央病院において臨床研究が進められていると語りました。

参照元:がんナビ|国立がん研究センター・希少がんセミナー2023より 18 基底細胞がん・皮膚血管肉腫・メルケル細胞がんの症状と治療法

「乳房外パジェット病」の再発予防に術後放射線治療を活用

2023年4月14日、国立がん研究センター希少がんセンターが主催したオンラインセミナーにおいて、同センター中央病院皮膚腫瘍科長の山崎直也医師が「乳房外パジェット病」をテーマに講演を行いました。

乳房外パジェット病は皮膚がんの1種であり、脇の汗臭などの原因になるアポクリン汗腺の細胞が癌化することによって発症する癌であり、乳房以外に発症したものが乳房外パジェット病として扱われます。

乳房外パジェット病は皮膚がん全体で見ても発症割合が6%程度と、希少がんの中でもさらに症例数の少ない癌であり、治療に関する研究なども進みにくい点が課題です。そのような中、山崎医師は乳房外パジェット病の治療について解説し、基本的に手術による外科治療がベースとなる一方、リンパ節転移が3個以上の癌患者に対しては、病変の切除に加えて術後の放射線療法を組み合わせることで治療成績が向上したという臨床研究についても説明しました。

参照元:がんナビ|国立がん研究センター・希少がんセミナー2023より 9 まれな皮膚がん「乳房外パジェット病」の診断と治療は?

上皮系皮膚悪性腫瘍への「ニボルマブ」の適応拡大申請

2023年6月15日、小野薬品工業は根治切除不能な進行・再発の上皮系皮膚悪性腫瘍の治療薬として、抗PD-1抗体「ニボルマブ」の適応拡大申請を行ったことを発表しました。

承認申請の根拠は、上皮系皮膚悪性腫瘍を対象としてニボルマブの評価が行われたフェーズ2のNMSC-PD1試験(KCTR-D014)の結果となっており、医師主導治験となるこの研究は慶應義塾大学病院によって主導されました。

そもそもニボルマブは同年5月23日に根治切除不能な進行・再発の上皮系皮膚悪性腫瘍を対象とした希少疾病用医薬品の指定を受けており、すでに優先審査の対象となっていたこともポイントです。

参照元:がんナビ|ニボルマブの進行・再発の上皮系皮膚悪性腫瘍への適応拡大が申請

パイロットは一般の人よりも皮膚がんの発症率が高まる

2025年11月7日付で「Clinical ADVISOR」に掲載された研究報告により、民間航空会社や軍で高所を飛行する航空機の操縦などに従事するパイロットは、高高度で紫外線などの宇宙放射線に晒されることで、皮膚がんなど特定の癌の発症リスクが高まるという結果が発表されました。

そもそも宇宙から放射されている紫外線などの宇宙放射線については、高度が高くなるほどに大気による減衰(防御)の影響などが少なくなることが知られており、つまり高度が高い場所ほど宇宙放射線による影響は大きくなるとされています。これにより、日常的に高い高度を飛行しているパイロットといった職業の人は、一般の人よりも遙かに高レベルの紫外線などに曝露されやすい環境にいることとなり、結果として皮膚がんの発症リスクが高くなりやすいという仕組みです。

一方、米国の航空会社の規約や義務などに関して、パイロットに対する宇宙放射線被曝レベルを抑える予防措置や責任はない現状であり、今後は癌予防や癌の早期発見に向けたケアや対策が必要であるとまとめられています。

参照元:Clinical ADVISOR|High-Flying Risk: Skin Cancer Prevalence Among Pilots and the Need for Early Detection

日焼けマシンによって皮膚がん発症リスクが増大する恐れ

アメリカのシアトルで皮膚科医として働くヘザー・ロジャース氏の報告によれば、日焼けサロンなどにある日焼けマシンを利用することで、皮膚がんの発症リスクが増大する危険性が懸念されています。同報告は2025年に米国皮膚科学会が実施したZ世代に対する意識調査や、科学誌「サイエンス・アドバンス」で掲載された研究発表などにもとづいており、若者の中には将来的な健康リスクがあっても日焼けマシンを使用したいと考える人々が少なくない一方、日焼けマシンを日常的に利用している人はメラノーマの発症リスクが約3倍になるといった報告などから複合的に考察されました。

そもそも日焼けマシンが照射する紫外線は自然の陽光の紫外線よりも遙かに多く、外見的な変化などを期待して日焼けマシンを利用する人が増えていけば、将来的にメラノーマや皮膚がんの患者が増大する懸念があるとまとめられています。

参照元:Shots|Tanning bed users are at higher risk of skin cancer, especially in unusual places

腎移植後の免疫抑制剤使用によりMCC発症リスクが増大

2025年12月、アメリカのシアトルにあるフレッド・ハッチがんセンターの公式サイトにおいて、同センターの研究グループによって、腎臓移植を行った後の免疫抑制剤の使用が、皮膚がんの中でも再発率や転移率の高い悪性腫瘍として知られる「メルケル細胞がん(MCC)」のリスクを増大させているという研究データが発表されました。

MCCは皮膚がんの中でも希少かつ悪性の高い癌であり、症例数が少ないという点で研究データが不足している現状があります。

そもそも、過去に腎臓移植を行った患者が拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤を使用した場合、日光や紫外線に対して敏感になることが知られています。そのような中、基底細胞がんなどの皮膚がんとは異なる癌が腎移植後の患者に認められたことを受け、データ解析などが進められた結果、腎移植を受けた患者は免疫抑制剤を使用していない人よりもMCC発症リスクが25倍になっていたという結論に至りました。

参照元:Fred Hutch Cancer Center|A rare skin cancer diagnosis requires a balancing act between suppressing and boosting the immune system

タトゥーによって皮膚がんの発生リスクが増大する可能性

2025年11月、スウェーデンのルンド大学の研究チームが、タトゥーと皮膚がんの発症率との関連性に関する研究発表を行いました。

事前データとして、アメリカなどの研究グループが行った臨床研究により、大きなタトゥーを入れることで悪性黒色腫(メラノーマ)の発症リスクを低減できる可能性などが示唆されていました。しかしルンド大学の研究チームはこの報告について人種の肌タイプや紫外線の影響などを考慮していないと考え、改めてスウェーデンの国家がん登録簿のデータにもとづいて、2014年から2017年までの間に皮膚がんと診断された20~60歳の患者のデータ分析を行っています。

結果的に、タトゥーを彫っている人は、タトゥーを彫っていない人に比べてメラノーマの発症率がおよそ29%高いというデータが得られました。一方、扁平上皮がんの発症リスクに関してはタトゥーの影響が認められず、両者の間に相関性がないと結論づけられました。ただし同研究ではタトゥーの有無が必ず癌の発生に影響するとはしておらず、あくまでもライフスタイルの改善や日焼け止め使用といった日常的な予防意識が重要であるとまとめています。

参照元:Science Alert|Study Links Tattoos to 29% Higher Risk of Dangerous Skin Cancer

ニコチンアミドを含有する栄養補助食品が皮膚がん予防に有効な可能性

アメリカのヴァンダービルト大学医療センターの研究グループによる報告として、2025年9月17日付の「JAMA Dermatology誌」において、栄養補助食品「ニコチンアミド」が皮膚がんの発症リスクを低減できる可能性についての研究データが発表されました。

研究背景として、アメリカでは2015年に参加者386人を対象とした臨床研究が実施され、その中でビタミンB3(ニコチン酸)誘導体の摂取により皮膚がんの発症率を抑えられたというデータが得られて以来、アメリカでは皮膚科医がニコチンアミドの摂取を推奨してきたという経緯があります。

しかしニコチンアミドは一般に市販されている栄養補助食品であり、医学的なエビデンス分析を行うためのデータが不足していました。そこで同研究チームは改めて大規模な医療研究として退役軍人省の企業データウェアハウス記録を分析し、皮膚癌治療を行った後のニコチンアミド摂取による皮膚がん再発率についての調査を行いました。

結果的に、最初に皮膚がんが発症してからニコチンアミドを摂取した患者において、皮膚がん発生リスク減少率が54%に上昇したといった結果が得られています。

参照元:MedicalXpress|Dietary supplement found effective for skin cancer prevention

皮膚がんの1種である「乳房外パジェット病」の早期発見の重要性

2025年9月26日に国立がん研究センター希少がんセンターがオンライン開催した希少がんセミナー「乳房外パジェット病の早期発見・早期治療」において、同センター中央病院の並川健二郎氏が、皮膚がんの1種である「乳房外パジェット病」に関して早期発見や早期治療の重要性について講演を行いました。

乳房外パジェット病は希少がんの1つともされている一方、皮膚がんの中では基底細胞がんや有棘細胞がんなどに次いで第4位の発症率となっており、皮膚腫瘍科においてはそこまで希少がんではないことが特徴です。一方、治療に関しては主として手術による原発巣切除が基本となるものの、尿道や肛門の付近に発生している場合は術後のQOLを考慮して排尿・排便機能の温存も考慮されており、手術困難な場合には免疫チェックポイント阻害薬「ニボルマブ」による化学療法も検討されます。

なお、国内第II相試験においてニボルマブの乳房外パジェット病(4人)の奏効率は25%となっており、実際にはニボルマブが有効でないケースもあるため、保険適用外の治療薬の検討が行われている実態も報告されました。

参照元:がんナビ|皮膚がんの一種「乳房外パジェット病」の早期発見・治療

口腔・鼻・副鼻腔のメラノーマは手術が第一選択

2025年11月21日、国立がん研究センター希少がんセンターはオンラインで「頭頸部に発生する粘膜悪性黒色腫(メラノーマ)の治療」をテーマにしたセミナーを開催し、その中で国立がん研究センター中央病院頭頸部外科医長の小村豪氏などのプロフェッショナルが皮膚がんやメラノーマについての治療や研究に関する報告・説明を行いました。

小村氏によれば、頭頸部に発生するメラノーマの中でも口腔や鼻、副鼻腔などに発生するものについては切除可能な場合、外科的な治療(手術)が第一選択となっており、腫瘍の位置や状態によっては術後に免疫チェックポイント阻害薬「ニボルマブ」や「ペムブロリズマブ」を使った補助薬物療法(1年間)を行うことも主流となっているそうです。一方、口腔内のメラノーマに対する放射線治療はなるべく避けるといったことも説明されました。

参照元:がんナビ|国立がん研究センター・希少がんセミナー2025(18)頭頸部に発生する粘膜悪性黒色腫(メラノーマ)の治療

放射線の効きにくいメラノーマへの放射線治療(陽子線治療)の有効性

国立がん研究センター希少がんセンターが2025年11月21日にオンラインで実施したセミナー「頭頸部に発生する粘膜悪性黒色腫(メラノーマ)の治療」において、国立がん研究センター東病院放射線治療科長の全田貞幹氏が講師として参加し、メラノーマに対する放射線治療の方法や注意点などについての講義を行いました。

そもそもメラノーマは放射線による治療の有効性が低いとされている腫瘍であり、放射線治療を実施するにしても通常の方法でなく、特殊なアプローチを考える必要があります。

メラノーマに有効な放射線照射は1回4Gy超の線量とされますが、被曝ダメージが大きく一般的な治療で採用するのは困難です。そのため全田氏はX線でなく、被曝ダメージを抑えられるよう水素イオンを使った陽子線治療を検討し、2008年から2012年までの期間で36~89歳(32人)の患者へ陽子線治療を行った結果、3年生存割合で46.1%という結果を得ました。

参照元:がんナビ|国立がん研究センター・希少がんセミナー2025(18)頭頸部に発生する粘膜悪性黒色腫(メラノーマ)の治療

扁平上皮細胞がん患者(角化細胞がん患者)におけるQOL向上のためのケア

アメリカの医学誌「Journal of the American Academy of Dermatology誌(2025年12月11日号)」において、扁平上皮細胞がん患者(角化細胞がん患者)におけるQOLの低下や、QOL低下の要因になり得るポイントなどについての研究成果が発表されました。

角化細胞がんは米国の中でも特に一般的な悪性腫瘍として知られており、患者のQOLへ大きな影響を与えることでも重視されています。そして研究の結果、特に若年患者や患者の性別(女性)、皮膚がんの家族歴といった要素が患者のQOLの低下に影響していることが示唆されました。

具体的に、年齢の若い患者や女性患者は外見の変化や心理的影響によってQOLを低下させやすく、また家族に皮膚がんの患者がいた人については、病気に対する不安や懸念がそうでない人よりも高い傾向になる可能性が指摘されました。

参照元:CareNet Academia|角化細胞がん患者のQoL、若年・女性・家族歴で低下傾向

ハイリスク切除可能悪性黒色腫に対する「オプジーボ+ヤーボイ」の有効性

2024年3月28日、医学誌「JAMA Oncology」において、ハイリスク切除可能悪性黒色腫(メラノーマ)の術前療法として、抗PD-1抗体薬「オプジーボ(ニボルマブ)」と抗CTLA-4抗体薬「ヤーボイ(イピリムマブ)」を併用した療法の有効性や安全性に関する研究結果が発表されました。

研究はUniversity Hospitals Seidman Cancer CenterのAnkit Mangla氏らによるプール解析として実施され、ハイリスク切除可能悪性黒色腫の患者573人を対象として、オプジーボの投与量などを変えながら「オプジーボ+ヤーボイ」併用療法を実施するグループを6つに分類し、それぞれの臨床結果の比較が検証されました。

結果として、「オプジーボ+ヤーボイ」併用療法は、抗PD-1抗体単剤療法と比較して有効性が優れていると考えられる反面、免疫関連有害事象(irAE)の発症リスクを上昇させる可能性なども示唆されました。

参照元:オンコロ|ハイリスク切除可能悪性黒色腫(メラノーマ)に対する術前療法としてのオプジーボ+ヤーボイの有効性・安全性を評価したプール解析