いちから分かる癌転移の治療方法ガイド

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皮膚がんの症状や転移、治療法について

このページでは、皮膚がんの基礎知識や症状、治療法などについて詳しく解説しています。

皮膚がんとは

皮膚がんとは、上皮(表皮)と真皮から構成される皮膚組織に発生する癌のことです。代表的なものは有棘細胞がん、基底細胞がん、悪性黒色腫、乳房外パジェット病ですが、これらの病気は上皮系のがんに分類されます。

皮膚がんには上皮系のがんの他、肉腫と呼ばれるものもあり、これには隆起性皮膚線維肉腫や血管肉腫が該当します。このように、皮膚がんは大きくわけて上皮系と肉腫系がありますが、この中間に位置するのが真皮の中に生じる癌で、毛包がん、脂腺がん、汗腺がんはこれに該当します。

皮膚組織はいくつかの段階に分かれており、どの組織に発生するかで皮膚がんの種類も異なります。発症の原因ですが、詳細なメカニズムはいまもはっきり分かっていません。ただし膨大な研究の結果、複数の原因があると考えられています。

代表的なものは太陽光に含まれる紫外線ですが、これ以外にも、慢性的な炎症や刺激が関係していると言われています。

ポリオーマウイルスの一種、「MCPyV」はMerkel細胞がんと強い関連性を持っています。ヒトパピローマウイルスは通常の皮膚がんとの関連性は低いとされていますが、なんらかの要因で免疫抑制状態にある場合は、ウイルス感染によってがんの発症リスクが上昇します。

また、表皮異形成症という遺伝性疾患がある方の場合、皮膚がん発生リスクが高くなります。

とはいえ皮膚がんの発生要因は一つに特定することはできず、癌の種類によって原因が違うなど、詳らかではないというのが実情です。

さらに皮膚がんの原因と考えられているものには、慢性皮膚病巣や慢性感染病巣などの病変、ヒ素をはじめとする化学物質、喫煙の習慣などもあります。

皮膚がんの症状

皮膚がんの症状は、ほくろやシミ、潰瘍などの形で出現し、肉眼で見ることができるので、早期発見に繋がりやすいといわれています。ただし、悪性のものは普通のほくろとは異なる特徴を持っているので、注意深く見ておく必要があります。

皮膚がんの症状として気を付けるべきものは、以下のようなものが挙げられます。

このうち日本人に最も多いとされているのが末端黒子型黒色腫で、最初は褐色のシミだったものが色調が変化して一部だけ濃くなったりするなど、色や形状が変容する特徴を持っています。

また一部だけ潰瘍ができたりすることもあるので、注意が必要です。表在拡大型黒色腫はもともと白人に多い病型とされていますが、最近は日本人の間でも発症が増えていると言われています。特徴は、色調がまだらで輪郭が不整なシミができること、しかもそのシミが平坦ではなくわずかに盛り上がっていることです。

結節型黒色腫は全身のどこでも発生する症状といわれ、初期段階から立体構造をしています。一方、高齢者に多いとされるのが悪性黒子型黒色腫で、こちらは色調の変化がとても激しく、日光に当たりやすい顔や首、手背などに発生するのが特徴です。このように皮膚がんの症状は、発生場所によって現れ方が異なります。

皮膚がんの治療法

皮膚がんの治療法は多岐にわたり、それぞれの症状や進行具合で最適な手法が選択されます。例えば、再発や転移が発生する可能性のある有棘細胞がんの場合に適用されるのは、外科手術によって癌を切除する「外科療法」です。

高齢者や持病を持っているなど、健康状態や体力に不安がある患者に対しては、がん細胞を凍結壊死させる「凍結療法」が用いられることもあります。また、がんがある程度進行し手術が不可能な場合に行われるのは、電子線やエックス線を照射する「放射線療法」です。

そして同じくがんがある程度進行していた場合に全身療法として行われる、ペプロマイシンやシスプラチン、アドリアマイシン、5-FUなどを使用する「化学療法」もあります。この化学療法は初期段階には行われないこと、また吐き気や発熱などの副作用を伴うのが特徴です。

これらに加えて2010年代以降では免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブやペムブロリズマブなど)や、BRAF遺伝子変異を有する患者には分子標的治療(BRAF/MEK阻害薬の併用療法)などが用いられ、予後の改善が期待されています。

さらに、複数の治療を組み合わせて行う「集学的治療」もあります。その特色は、一つの治療法にこだわらず、がんの状態や具合に応じて適切な治療法を取捨選択することです。

以上が皮膚がんで行われる治療法ですが、治療の第一歩が患者による「気づき」であることは言うまでもありません。通常とは異なるほくろや潰瘍を発見した場合は、そのまま放置せず、すぐに皮膚科専門医療機関を受診する必要があります。

皮膚癌のステージ分類

病期 説明
0期 がん細胞が上皮内にとどまっている場合
ⅠA期 他の部位やリンパ節への転移がなく、がんの厚さが1㎜以下で、潰瘍がない場合
ⅠB期 他の部位やリンパ節への転移がないのが前提条件で、がんの厚さが1㎜以下であるものの潰瘍がある場合、もしくはがんの厚さが1~2mmで潰瘍がない場合
ⅡA期 他の部位やリンパ節への転移がないのが前提条件で、がんの厚さが1~2mmで潰瘍がある、またはがんの厚さが2~4mmで潰瘍がない場合
ⅡB期 他の部位やリンパ節への転移がないのが前提条件で、がんの厚さが2~4mmで潰瘍がある、またはがんの厚さが4mmを超えるが潰瘍がない場合
ⅡC期 他の部位やリンパ節への転移がないのが前提条件で、がんの厚さが4mmを超えて潰瘍がある場合
Ⅲ期 他の部位やリンパ節への転移が認められるものの、他の臓器への転移がない場合
Ⅳ期 がんの厚さなどに関係なく、他の臓器への転移がある場合

ステージの分類方法

皮膚がんのステージ分けのポイントとなるのは、リンパ節への転移があるかどうか、がんの厚さはどうか、潰瘍があるかどうか、他の臓器への転移があるかなど。これらの状況を上記項目の表などの基準に当てはめながら、総合的に判断してステージ分けが行われます。

ステージで異なる治療方針

外科療法

簡単に言うと手術で病巣を除去する方法です。原発巣だけでなく、他の部位に転移した転移巣も取り除く方法で、がんの治療法として最も基本的といえる治療法となります。皮膚がんの手術では、見えているがんの部分だけではなく、その原発巣からおよそ1~2㎝ほど離れた部分まで切除するのが一般的。切除する深さについては、ステージによって異なります。ただし、切除した部分が悪性であるかどうかの判断がつきにくい場合には、黒く変化した見えているがんの部分だけを切除し、病理医による病理診断が必要となるケースも。また、切除した範囲が大きく、皮膚を縫い合わせられない場合は、別の部位から適切なサイズの皮膚を移植することがあります。

化学療法

抗がん剤を利用してがん細胞の増殖を抑えながら、がん細胞を破壊する治療法。体のどこにがん細胞があっても攻撃することができるのが大きなポイントです。

放射線療法

腫瘍の成長を遅らせる目的や縮小させるために放射線を使用する治療法です。がんの局所療法であるため、全身への影響が少なく、高齢者にも適応できる患者にやさしいがん治療法となっています。

ただし、放射線療法は局所的な治療で全身への負担が比較的少ない一方で、高線量を照射する場合には、照射部位の皮膚炎、潰瘍などの局所障害や、晩期に生じる副作用(晩期合併症)に注意が必要です。

特に高齢者や基礎疾患を持つ方では、周囲の正常組織への影響も考慮した上で治療法を選択することが重要です。がんに侵された臓器の機能と形態の温存ができるのも見逃せないポイントです。

免疫療法

上記で紹介した三大治療法に加えて、近年「第4の治療法」として期待されているのがこちらの免疫療法です。免疫療法は、研究が進められているものの、有効性が認められた免疫療法は免疫チェックポイント阻害剤などの一部に限られているというのが現状。自由診療で行われている免疫療法には効果が証明されていない免疫療法もありますので、慎重に確認しなければなりません。

皮膚がんの予防やスクリーニングに関する情報

皮膚がんには複数の種類があり、それぞれに特徴やリスクが存在しています。そのため皮膚がんの予防や早期発見を考えるためには、一般的な癌予防対策に加えて、皮膚がんの特性や発生原因などを把握した上で適切な対策やスクリーニングおよび検査方法について意識することが欠かせません。

ここでは皮膚がんに関する一般的な予防や対策、また早期発見の可能性を高める検査やスクリーニングの方法について紹介しますので参考にしてください。

皮膚がんの予防について

皮膚がんの予防を考える場合、まず注意すべきは紫外線や放射線などによる皮膚組織への影響です。また、皮膚がんは種類によって火傷の跡やウイルスなどによる発生リスクも考えられるため、そのようなリスクに関して予防意識を高めておくことも大切です。

なお、皮膚がんの中には皮膚のリンパ球が癌化するものもあり、総合的な癌対策や癌予防についての取り組みを日常的に心がけましょう。

紫外線を浴びる量を減らす

皮膚がんの中でも基底細胞がんや有棘細胞がんといったタイプの皮膚がんについては、日光などに含まれている紫外線や放射線などによる皮膚組織への影響が発生要因になっていると考えられています。そのため、皮膚がん対策としてまず意識すべきことは、日常的に浴びる紫外線の量を減らしたり、どうしても紫外線を浴びやすい生活習慣の人は適切な紫外線対策を考えたりすることが肝要です。

紫外線を浴びる量を減らす方法としては、紫外線照射量の強い日の外出を避けたり、外に出る場合でも帽子や日傘、サングラスを使用したりすることが考えられます。また紫外線対策に有用な日焼け止めクリームなどを利用することも良いでしょう。

なお、紫外線の照射量は夏の晴れている日だけでなく、曇っている日や秋冬の季節でも多いことがあるため、単に天気が悪いからといって紫外線対策をおろそかにしないようにしてください。その他、日焼け止めクリームなどを使用する際には、SPF15以上のクリームを選んで定期的に塗り直すといった配慮も有効です。

※参照元:がん情報サービス|基底細胞がん(https://ganjoho.jp/public/cancer/basal/index.html ※参照元:がん情報サービス|有棘細胞がん(https://ganjoho.jp/public/cancer/squamous/index.html

生活習慣の改善による予防

皮膚がん予防として紫外線対策を日常的に継続することは有用ですが、一方でその他の生活習慣についても健康的な取り組みを心がけることが重要です。

そもそも生活習慣の悪化は皮膚がんを含めて様々な癌の発生リスクを上昇させることが知られており、生活習慣の健全化は皮膚がんのみならず総合的な癌予防につながります

ここでは日本人の生活習慣や体質を踏まえて、生活習慣を改善していく際の注意点やポイントをまとめました。

※参照元:がん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html
たばこを控える・禁煙する

日本人にとって男女ともに発がんリスクを高める生活習慣として、まず重大な原因として「喫煙・受動喫煙」が知られています。

日本人を対象にした様々な癌研究の結果、たばこを吸う人は肺がんや食道がん、膵臓がんなど様々な癌のリスクが高まることが認められており、日常的にたばこを吸う人は喫煙習慣のない人に比べて何かしらの癌になるリスクがおよそ1.5倍というデータは無視できません。

加えて、たばこの煙は喫煙者だけでなく、周囲の人に受動的に影響することも知られており、周りにたばこを吸う人がいる環境は受動喫煙による癌リスクが高まってしまいます。

そのため皮膚がんを含めて癌予防を考える場合、たばこを止めることが大切であり、どうしても一人で禁煙できない人は禁煙外来などを受診し、禁煙治療を受けるといった取り組みも有用でしょう。

※参照元:がん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html
お酒を控える・禁酒する

かつて「酒は百薬の長」といった言葉も使われていましたが、現在、少なくとも癌リスクの軽減対策として考えた場合、アルコールは少しの摂取でも避けるべきという事実が知られています。そのため原則としてお酒を止める、あるいは酒量を減らしたり、アルコール度数の少ないお酒に変更したりといった生活習慣の改善策に取り組むことが必要です。

なお、特に日本人男性では飲酒量と発がんリスクの相関性について研究が行われており、1日の平均アルコール摂取量について、23g未満(純エタノール量換算)の人に対して、46g以上の人はおよそ40%、69g以上の人は60%程度も癌リスクが上昇すると明らかになっています。

※参照元:がん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html
食生活を改善する

食生活は癌を含めて様々な生活習慣病に関連しており、食生活の健全化は自身や家族の健康を守る上で欠かすことのできない対策です。

一般的に、塩分や油分の多い食生活は高血圧症や高脂血症といった生活習慣病のリスクを高め、結果的に癌の発生リスクにもつながってしまいます。加えて、熱い食べ物や高温の飲み物による火傷や皮膚への刺激が癌の要因になり得ることも無視できません。

特に、皮膚がんの中でも有棘細胞がんについては発生要因の1つとして「火傷・火傷跡」が知られており、熱い飲食物を日常的に摂取して火傷リスクを高めることは皮膚がん対策の観点から避けるべきと言えるでしょう。

その他にも食物繊維の豊富な野菜を食べたり、ビタミンやミネラルを適切に摂取したりすることも健康管理として重要です。特にビタミンBやビタミンEは肌組織の維持や管理に大切であり、適切な栄養摂取は肌の状態を健康に保つために有効です。

※参照元:がん情報サービス|有棘細胞がん(https://ganjoho.jp/public/cancer/squamous/index.html
運動する習慣を持つ

適度な運動習慣は癌予防に有効であるだけでなく、健康寿命を延ばしてQOLを向上させるといった観点からも取り組むべき対策となります。

一般的に、日常的な身体活動量の多い人ほど癌の全体的な発生リスクは軽減されると考えられており、厚生労働省は「健康づくりのための身体活動基準2013」において年齢別に以下のような運動量の基準を定めています。

※参照元:がん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html
適正体重を維持する

肥満や痩せ過ぎといった体重の問題は癌を含めて様々な健康リスクにつながるため、適正体重を維持することは癌予防や健康管理に有効です。

適正体重は性別や身長などによって変化しますが、一般的には「BMI」という肥満度の指標にもとづいてチェックすることができます。BMIは体重(kg)を身長(m)の2乗で割って求める数値であり、男性であれば21.0~26.9、女性であれば21.0~24.9が適正体重の範囲とされています。

BMI値が高くなるほど肥満傾向にあるとされており、特に女性の場合、BMI値30.0~39.9の人は適正体重の人に比べて癌の死亡リスクが25%高くなったという結果が報告されています。

※参照元:がん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html
感染・病気に気を付ける

癌のリスク因子として、ウイルスや細菌による影響を無視することもできません。実際、日本人女性にとって最大の癌リスクは「感染」によるものとされており、男性に関しても喫煙に次いで2番目に多い癌の原因が「感染」です。

癌リスクに関連する感染には複数のものがあり、例えばB型・C型肝炎ウイルスは肝臓がんのリスクが向上し、ヘリコバクターピロリ菌は胃がん、ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸がんのリスクを高めるといった相関が報告されています。また皮膚がんについて見ても、特に有棘細胞がんの発生原因としてウイルス感染との相関が指摘されていることも重要です。

感染対策としては医学的に有効と認められたワクチンを接種したり、細菌感染の治療を受けたりと様々なものが考えられるため、心当たりのある人は医師へ相談してみましょう。

※参照元:がん情報サービス|有棘細胞がん(https://ganjoho.jp/public/cancer/squamous/index.html ※参照元:がん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html

皮膚がんのスクリーニング・検査について

癌の検査については、まだ癌が発見されていない場合に受ける検査(スクリーニング)と、すでに癌だと判明している患者が癌の状態の確定や転移の有無などを調べるために受ける検査の、大きく2種類があります。また、あらゆる癌検査やスクリーニングの方法にはリスクや不完全性が存在するため、常に単一の検査方法によって確定診断が下せるとは限りません。

皮膚がんのスクリーニング・検査の方法としては、医師の肉眼による診察(視診)に加えて主に「ダーモスコピー」や「皮膚生検」があり、その他にも各種画像検査や血液検査などを組み合わせて複合的に分析されることが通常です。

ダーモスコピー

上皮系皮膚がんのスクリーニングとして主に使用される検査方法が「ダーモスコピー」です。ダーモスコピーは「ダーモスコープ」と呼ばれる機器を使用する観察方法です。具体的には偏光レンズやエコージェルといったものを使用して光の乱反射を抑制した上で、皮膚へ強い光を当てて病変を十~数十倍に拡大して観察します。これにより、医師が肉眼で皮膚を調べるよりも、より正確に皮膚の色や細胞の血管パターンなどを分析することが可能となり、皮膚にあるものが皮膚がんなのかシミやホクロなのか見分けやすい環境が整えられます。

皮膚生検

生検とは病変部位の生体組織を切除して、サンプル片を顕微鏡で調べる方法であり、癌の確定診断に利用される検査方法です。そのため皮膚がんの確定診断においては病変部位の皮膚組織を切除し、それを顕微鏡で調べる皮膚生検が必要となります。

なお、生検には手術によって腫瘍全体を切除して調べる全切除生検と、一部のみを切除して調べる部分生検があり、どちらの方法を選択するかは癌の状態や主治医の判断によって異なります。

一般的に皮膚生検の結果は組織採取から2週間程度で判明しますが、視診やダーモスコピーで明らかに癌の所見が認められた場合、皮膚生検が実施されないこともあるでしょう。

※参照元:がん情報サービス|基底細胞がん(https://ganjoho.jp/public/cancer/basal/index.html

画像診断

被検者の体内を視覚的に調べる画像診断は、皮膚がん自体のリスクだけでなく、その他の臓器や部位への癌転移の有無を調べるために活用されます。

一般的な画像診断としてはCT検査やMRI検査、PET検査、そして超音波検査があります。

CT検査

CT検査は患者の体外から放射線(X線)を照射して、体内の状態を撮影する画像診断の方法です。CT検査は癌の転移の有無やサイズなどを調べることができます。

MRI検査

CT検査と同様に癌の転移やサイズなどを調べる画像診断として、磁気を利用したMRI検査があります。MRI検査ではX線を使用しないため放射線による被曝リスクがなく、CT検査を受けられない人でも検査できる可能性があるといった点が特徴です。一方、MRI検査では造影剤を使用するため、アレルギーリスクなどがある人には使用することができません。

PET検査

PET検査はあらかじめ患者に放射性物質を含んだ検査薬(FDG)を注射し、薬剤の成分が癌細胞に集まる性質を利用して、専用装置で撮影して癌の有無を調べる方法です。

FDGを使用する関係から、PET検査ではCT検査と同様に放射線による被曝リスクがゼロでありません。

※参照元:がん情報サービス|PET検査とは(https://ganjoho.jp/public/dia_tre/inspection/pet.html
超音波検査

超音波検査は患者の体外から超音波を当てて、反響してきた超音波を画像化して体内の様子を読み取ります。

超音波検査もまた放射線による被曝リスクを回避できる画像診断です。

血液検査

血液検査では、すでに癌リスクに関連すると知られているタンパク質などを腫瘍マーカーとして、患者の血液にそれらの腫瘍マーカーが存在するかどうかを調べます。ただし、腫瘍マーカーは癌以外の原因や患者の体調・体質によって増加することもあり、確定診断として血液検査を使用することはありません。

皮膚がんのスクリーニングのリスク

スクリーニングは癌の早期発見に有用な一方、皮膚がんのスクリーニングではリスクやデメリットがあることも覚えておきましょう。

偽陰性の検査結果が出る可能性もある

偽陰性とは、本来であれば陽性となるべき検査結果において、「陰性(癌でない)」と診断される状態です。偽陰性が出ると、実際は癌であるにもかかわらず問題なしと診断され、結果的に癌の発見や治療開始が遅れるリスクが生じます。

そのため、癌のスクリーニングでは単一の検査方法だけで確定診断を下すのでなく、複数の観点からデータを参照して総合的に状態を診断しなければなりません。

偽陽性の検査結果が出る可能性もある

偽陽性とは、癌でないにもかかわらず、検査結果で「陽性(癌)」として診断される状態です。偽陽性となった場合、さらに不要な生検などを行うことで患者の体にダメージが生じることもあります。

なお陰性か陽性か不明な場合は「擬陽性」として区別されます。

がんを発見しても健康状態の確実な
改善は難しい場合がある

スクリーニングによって癌を発見できたとして、必ずしも根治が可能な状態であるとは限りません。そのため、検査結果によって精神的なストレスや不安が生じてしまうといったリスクがあることも考える必要があります。

そのため癌検診やスクリーニングを実施する場合、様々な結果や事態を踏まえて周囲の人々によるサポートや、冷静に状態を考えられる心の余裕といったメンタル面のケアが大切です。

生検によって傷跡が残る可能性がある

皮膚生検を行った場合、切除する組織の量や部位によって傷跡が残ってしまう可能性もあるでしょう。特に皮膚がんは体の様々な場所に発生し得るため、目立つ場所の生検には十分に配慮することが肝要です。

皮膚がんや治療法に対する研究・論文

メラノーマの早期発見に有用な「ABCDEルール」

2025年8月8日、国立がん研究センター希少がんセンターによる「皮膚の悪性黒色腫(メラノーマ)の早期発見・早期治療」を題材にしたオンラインセミナーが開催されました。

セミナーでは国立がん研究センター希少がんセンター/中央病院皮膚腫瘍科長の並川健二郎氏といったドクターによる講演が行われ、またメラノーマの患者やその家族によって構成されるメラノーマ患者会「Over The Rainbow」の紹介なども行われています。

セミナーにおいて並川医師は日本人にとって希少がんとされているメラノーマについて、まず原因が紫外線にあることを指摘し、「UVインデックスが8以上」の日については外出時に陽光に当たることを回避した方が良いと語りました。加えてメラノーマと良性のホクロなどを見分けるポイントとして国際的に用いられている「ABCDEルール」についての解説を行い、ABCDEルールによる診断によってメラノーマの可能性があると認められた後にダーモスコピーによるスクリーニングを実施するという流れが説明されました。

参照元:がんナビ|国立がん研究センター・希少がんセミナー2025(12)皮膚のメラノーマの早期発見法と早期治療

日本における皮膚がん・メラノーマの診療ガイドラインが公開

2025年6月7日、メラノーマの患者と家族によって構成される患者会「Over The Rainbow」が主催したオンラインセミナーにおいて、2024年12月に公開された日本におけるメラノーマの診療指針である「皮膚がん診療ガイドライン第4版 メラノーマ診療ガイドライン2025」についての解説が行われました。

同ガイドラインは日本皮膚科学会と日本皮膚悪性腫瘍学会によって作成されたものであり、ガイドラインの作成には医療従事者だけでなく患者会のメンバーも参加して、実際の患者や家族の声が反映されていることも重要です。

そもそも日本ではメラノーマは希少がんとされており、臨床研究のための症例数が不足していたことも課題でした。そのためかつては海外データを参照したグローバルスタンダードの診療指針が標準とされていましたが、日本人の体質と外国人の体質では差があるため、新しいガイドラインでは日本人や中国人、韓国人など東アジア圏の人々を基準としたデータが土台になっていることもポイントです。

参照元:がんナビ|2025メラノーマ患者会Over The Rainbowセミナー メラノーマ新ガイドラインの改訂ポイントと副作用対策

超高齢社会における有棘細胞がんの増加と紫外線の影響

2024年1月12日、国立がん研究センターは皮膚がんの中でも特に「有棘細胞がん・汗腺がん」をピックアップして、オンラインでの希少がんセミナーを主催しました。

そもそも日本において皮膚がんの患者数は他の癌の患者数と比較して少数である一方、皮膚がんの種類別の割合については基底細胞がんに次いで有棘細胞がんが多くなっており、また年齢分布として80歳代がピークであることもポイントです。

有棘細胞がんの発症率が高齢者に多い原因として、国立がん研究センター中央病院皮膚腫瘍科の医師はセミナーで「紫外線」に注目しており、有棘細胞がんの前がん病変である上皮内がんについて、日光角化症やボーエン病といった病気を挙げています。

日光角化症は文字通り日光の影響によって皮膚ががさがさになる病気です。外見上はシミや湿疹と区別できないものの、有棘細胞がんへ進行する恐れがあることから、気なった場合は速やかな治療や検査が大切であるとまとめられました。

参照元:がんナビ|国立がん研究センター・希少がんセミナー2024より 1 有棘細胞がんと汗腺がんの症状と治療法

皮膚血管肉腫の治療として「ホウ素中性子捕捉療法」を開発

2023年9月8日、国立がん研究センター希少がんセンターと鹿児島医療センターの共催として、「皮膚がん―基底細胞がん・皮膚血管肉腫・メルケル細胞がん」をテーマとするオンラインセミナーが開催されました。

また同セミナーにおいて、国立がん研究センター中央病院皮膚腫瘍科の中野英司氏によって、皮膚血管肉腫の治療に関する課題と現状の取り組みが説明され、「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」といった新しい治療についての概要も解説されました。

そもそも皮膚血管肉腫は希少がんの中でも症例数の少ない癌であり、確定診断には皮膚生検とCT検査などの画像診断を加えた複合的な検査が必要です。また、手術だけの治療や放射線治療のみの対処では再発率が高くなるため、術後補助療法として放射線照射を組み合わせた集学的治療が望まれます。

そのような中、中野氏は放射線である中性子とホウ素の特性を活用したBNCTが皮膚血管肉腫にも有用な可能性を指摘し、国立がん研究センター中央病院において臨床研究が進められていると語りました。

参照元:がんナビ|国立がん研究センター・希少がんセミナー2023より 18 基底細胞がん・皮膚血管肉腫・メルケル細胞がんの症状と治療法

「乳房外パジェット病」の再発予防に術後放射線治療を活用

2023年4月14日、国立がん研究センター希少がんセンターが主催したオンラインセミナーにおいて、同センター中央病院皮膚腫瘍科長の山崎直也医師が「乳房外パジェット病」をテーマに講演を行いました。

乳房外パジェット病は皮膚がんの1種であり、脇の汗臭などの原因になるアポクリン汗腺の細胞が癌化することによって発症する癌であり、乳房以外に発症したものが乳房外パジェット病として扱われます。

乳房外パジェット病は皮膚がん全体で見ても発症割合が6%程度と、希少がんの中でもさらに症例数の少ない癌であり、治療に関する研究なども進みにくい点が課題です。そのような中、山崎医師は乳房外パジェット病の治療について解説し、基本的に手術による外科治療がベースとなる一方、リンパ節転移が3個以上の癌患者に対しては、病変の切除に加えて術後の放射線療法を組み合わせることで治療成績が向上したという臨床研究についても説明しました。

参照元:がんナビ|国立がん研究センター・希少がんセミナー2023より 9 まれな皮膚がん「乳房外パジェット病」の診断と治療は?

上皮系皮膚悪性腫瘍への「ニボルマブ」の適応拡大申請

2023年6月15日、小野薬品工業は根治切除不能な進行・再発の上皮系皮膚悪性腫瘍の治療薬として、抗PD-1抗体「ニボルマブ」の適応拡大申請を行ったことを発表しました。

承認申請の根拠は、上皮系皮膚悪性腫瘍を対象としてニボルマブの評価が行われたフェーズ2のNMSC-PD1試験(KCTR-D014)の結果となっており、医師主導治験となるこの研究は慶應義塾大学病院によって主導されました。

そもそもニボルマブは同年5月23日に根治切除不能な進行・再発の上皮系皮膚悪性腫瘍を対象とした希少疾病用医薬品の指定を受けており、すでに優先審査の対象となっていたこともポイントです。

参照元:がんナビ|ニボルマブの進行・再発の上皮系皮膚悪性腫瘍への適応拡大が申請