いちから分かる癌転移の治療方法ガイド

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リンパ節への転移

リンパ節への転移は、肺癌や乳癌からの転移が多く見られます。このページではリンパ節へ転移する場合の特徴や治療方法などをまとめました。

リンパ節に転移するケースとは

リンパ節には様々な臓器からの癌転移が見られます。肺癌の場合、血液やリンパ液の流れに乗って癌が広がるため、リンパの流れが密集しているリンパ節に転移することが多いそうです。乳癌ではリンパ節に転移する確率が最も高いと言われています。胃癌の場合は、癌細胞が胃の粘膜を侵食していくことでリンパ節に転移。食道癌は、進行具合に関係なくリンパ節に転移する可能性があります。前立腺がんの場合、多く見られるのが前立腺の周りのリンパ節への転移です。リンパ節に転移してしまうと、リンパ管を通して遠隔転移することもあり得ます。

リンパ節転移の症状

肺癌がリンパ節に転移した場合の症状

頚部やリンパ節に腫れが見られるようになります。縦隔や肺門など肺の近くにあるリンパ節に転移してしまうと、上半身のむくみや、風邪でもないのに咳が出る場合も。リンパ節のなかでも特に首や鎖骨上のリンパ節に肺癌の転移が多く見られます。

乳癌がリンパ節に転移した場合の症状

乳房周辺のリンパ節に腫れが出るようになります。腋窩(えきか)リンパ節に転移した癌細胞が大きくなって、ワキの下部分にしこりが確認できる場合も。リンパ液の流れがせき止められることで、腕全体にしびれやむくみなどの症状を感じる方も多いようです。

胃癌がリンパ節に転移した場合の症状

胃癌が転移すると、触った際にしこりとしてリンパ節を発見できるようになります。症状の一つとして、しびれを感じる方もいるようです。癌細胞が大きくなってリンパ節が圧迫された場合、腕のだるさを感じる方もいます。

食道癌がリンパ節に転移した場合の症状

食道癌は他の臓器への転移が早い癌です。ステージ1では自覚症状がほとんど見られません。ステージ2・3に進行してはじめて、食べ物が詰まったり声が枯れたりなど、食道やのどに症状が現れるようになります。

前立腺がんがリンパ節に転移した場合の症状

前立腺がんがリンパ節に転移するとリンパの流れが悪くなるため、下半身がむくみます。前立腺の近くにあるリンパ管が炎症を起こすのでしびれたり、排尿が困難になったりすることも。転移した癌がさらに悪化した場合、下半身麻痺を生じる恐れもあります。

リンパ節転移の治療方法

肺癌がリンパ節に転移した場合の治療方法

肺癌がリンパ節に転移した場合の治療法は、外科手術でリンパ節の切除(肺葉切除またはリンパ節郭清)を行うのが一般的です。癌があまり進行していなければ、非常に有効な治療法になります。他に外側から放射線を照射することで癌細胞を取り除く放射線療法も。放射線を当てた部分の癌細胞のみに効果のある治療法です。

乳癌がリンパ節に転移した場合の治療方法

リンパ節に乳癌の転移が見つかった場合、ワキの下にあるリンパ節(腋窩リンパ節)を切除する「腋窩リンパ節郭清(かくせい)」を行って、全身への癌細胞の転移を防ぎます。術後、再発を防ぐために放射線療法や抗がん剤治療などを組み合わせて治療するのが一般的です。

胃癌がリンパ節に転移した場合の治療方法

リンパ節転移が疑われる場合の標準的な治療法として、胃を3分の2以上摘出し、転移の可能性のあるリンパ節をすべて切除する方法が行われます。切除は転移や再発を防止する点で非常に重要です。

食道癌がリンパ節に転移した場合の治療方法

食道癌がリンパ節に転移した時に行われる治療法のうち、成功率が高いのは外科手術です。ステージ1~3のほとんどの方が外科手術を受けています。

癌が食道から遠くにあるリンパ節に転移して外科手術が難しい場合(ステージ3・4)は、「抗がん剤+放射線治療」が選ばれるそうです。根治よりも癌の進行を食い止める目的で行われます。

前立腺がんがリンパ節に転移した場合の治療方法

癌の進行を抑制するためのホルモン療法が一般的な治療法です。骨盤リンパ節へ転移すると遠隔転移する可能性が高くなるので、ホルモン療法と放射線治療を併用する場合もあります。

リンパ節転移の治療に対応してくれるクリニック

ここでは「外科手術」「放射線療法」「薬物療法」それぞれでセカンドオピニオンを受けるのにおすすめの病院、クリニックをご紹介いたします。(調査日時:(2021年11月時点))

【外科手術】でセカンドオピニオンを受けるなら

ここでは、当サイトで治療医師として掲載している日本がん治療認定医機構がん治療認定医かつ日本外科学会外科専門医の所属する病院をご紹介します。(2021年11月時点)

札幌医科大学附属病院

患者1人ひとりに細やかなチーム医療を提供

札幌医科大学附属病院は、『最新かつ安全確実な医療の提供』をモットーに持ち、手術と化学療法を組み合わせた画期的ながん治療を提供しているのが特徴。鏡視下手術やロボット手術なども導入し、患者さんの身体への負担が極力少なくなるよう気を配っています。食道疾患や胃・十二指腸疾患から下部消化管疾患、肝・胆・膵に関わる疾患、乳腺疾患、甲状腺疾患、腹壁疾患まで、幅広く対応している病院です。

在籍している医師:竹政 伊知朗医師
電話番号:011-611-2111

札幌医科大学附属病院のHPキャプチャ

引用元:札幌医科大学附属病院公式HP(https://web.sapmed.ac.jp/hospital/)

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【放射線療法】でセカンドオピニオンを受けるなら

ここでは、当サイトで治療医師として掲載している日本医学放射線学会放射線治療専門医が在籍する癌放射線治療専門クリニックをご紹介します。(2021年11月時点)

クリニックC4

トモセラピーによるがん治療がメイン

トモセラピーHADをはじめ、64列128スライスCTや1.5テスラMRIといった画期的な機器を揃えるクリニックC4。複雑な形状をした病巣に対しても照射範囲を的確に設定しやすいとされる、トモセラピーを用いたがん治療を専門的に取り扱っています。

在籍している医師:青木 幸昌医師
電話番号:03-6407-9407

クリニックC4のHPキャプチャ

引用元:クリニックC4公式HP(https://cccc-sc.jp/)

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苑田放射線クリニック

治療可能比に配慮し、様々な治療法を提案

高精度にも対応した放射線治療をはじめ、抗がん剤と併用する化学放射線治療や、手術に比べると柔軟性が高いとされる根治的治療など、患者さん1人ひとりに合った様々ながん治療を提案している苑田放射線クリニック。治療可能比(正常組織の耐容線量に対する腫瘍制御線量の比)もふまえ、照射期間や回数なども工夫しているそうです。

在籍している医師:齋藤 勉医師
電話番号:03-5851-5751

苑田放射線クリニックのHPキャプチャ

引用元:苑田放射線クリニック公式HP(http://linac.sonodakai.or.jp/)

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東京ベイ先端医療・幕張クリニック

IMRTのパイオニア的存在とされる医師が院長を務める

東京ベイ先端医療・幕張クリニックは、がんの早期発見・治療を目的として診断から治療まで一貫して担当してくれる医院。院長である幡野先生は、早くから強度変調放射線治療(IMRT)を開始させた医師としても知られています。経験豊富なスタッフが対応してくれるほか、近隣ホテルとも提携しているため、遠方から診察に来られる方も安心です。

※参照元:東京ベイ先端医療・幕張クリニック公式サイト(https://www.aoikai.jp/tokyobay/treatment/radiation_therapy/

在籍している医師:幡野 和男医師
電話番号:043-299-2000

東京ベイ先端医療・幕張クリニックのHPキャプチャ

引用元:東京ベイ先端医療・幕張クリニック公式HP
(https://www.aoikai.jp/tokyobay/)

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【薬物療法】でセカンドオピニオンを受けるなら

ここでは、当サイトで治療医師として掲載している日本血液学会血液専門医かつ日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医の所属する病院をご紹介します。(2021年11月時点)

虎の門病院

がん治療から相談支援まで、一貫して行う総合病院

「地域がん診療連携拠点病院」として、地元地域を中心としたがん治療や相談支援などを行っている虎の門病院。医療従事者に向けた研修も担当しており、診断から治療まで24時間365日対応できる、きめ細やかな診療を心がけています。総合病院のため、それぞれの専門科と連携しながら迅速に治療できるのも長所と言えるでしょう。

在籍している医師:三浦 裕司医師
電話番号:03-3588-1111

虎の門病院のHPキャプチャ

引用元:虎の門病院公式HP(https://toranomon.kkr.or.jp/)

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リンパ節転移について

リンパ節への転移は、肺癌をはじめ、乳癌や胃癌、食道癌、前立腺がんなど様々な臓器から転移します。リンパ節は全身をめぐるリンパ管の関所のような部位。リンパ液を通して他の部位の癌細胞が流れてくることがあり、リンパ節に転移することもあります。リンパ節は上半身から下半身まで体の各所に存在しており、一口にリンパ節転移といっても見られる症状は部位によって様々です。治療方法も、外科手術や抗がん剤治療、放射線治療、ホルモン療法といった方法が選択されています。

また、転移がんを適切な方法で治療するためには「病院選び」「医師選び」を行うことが大切です。後悔しないためにも、転移がんの治療の医師を探して相談しましょう。

癌の転移が起こる仕組み

癌が転移するのは、癌細胞が血液内に流れ出し、新しい血管が作りだして増殖することが原因です。癌の転移には4つの種類がありますが、転移した時の症状や特徴などは、どの部分に転移するかによって異なります。

肺癌の転移

肺癌の転移とは、他の臓器で発生した癌が肺に転移することで、食道や子宮などからの転移が多いとされています。肺転移の治療法には薬物療法、対症療法、抗がん剤、手術などが挙げられますが、咳や胸の痛みがあった場合は注意しましょう。

乳癌の転移

他の部位から乳癌に転移することはあまりありませんが、乳癌がリンパ節などに転移することは考えられます。その他、肺や骨に転移する可能性もありますが、乳癌の転移は進行している場合が多いため、専門性の高い病院を選ぶことが大切です。

胃癌の転移

胃癌はリンパ節や腹膜、肝臓などに転移しやすいと言われており、胃の粘膜や胃壁が癌細胞によって浸食されて転移します。反対に、他の部位から胃への転移は少ないとされていますが、乳癌や子宮頸癌からの転移の可能性もあります。

肝臓癌の転移

肝臓癌への転移は、大腸や胃、食道だけではなく、肝臓内転移の可能性もありますが、症状が現れにくいため早期発見が難しいことが特徴です。症状が進行すると、倦怠感や黄疸、体重減少などの症状が現れ、重篤な症状となるケースも考えられます。

大腸癌の転移

大腸癌は肝臓や肺に転移することが多いとされていますが、広がるスピードは早くありません。早期に発見できれば切除手術も可能であり、長期生存も期待できます。そのため、大腸癌転移を治療できる病院での検査を怠らないようにしましょう。

食道癌の転移

食道癌はリンパ節に転移する可能性が高く、加えて進行が早いことが特徴です。さらに、肝臓、肺、骨などの転移することも考えられるので、早期発見をして早めに治療を開始することが大切。初期症状が現れにくいので注意が必要です。

前立腺がんの転移

前立腺がんは骨や骨盤リンパ節への転移の可能性がありますが、前立腺がんだけであれば、死亡率が低い癌だともいわれています。進行も遅いため、早期に治療を開始すれば根治も可能。骨に転移する前に発見することが肝要です。

子宮癌の転移

子宮癌は2種類存在し、子宮頸がんの場合は膀胱、直腸、腹膜など、子宮体癌の場合は膀胱、直腸に加えて遠隔転移の可能性もあります。早期であれば切除手術も可能ですが、進行すると放射線治療や抗がん剤治療などが必要です。

肺への転移

肺に転移しやすいのは食道癌や子宮癌です。特に、肺は毛細血管が多く、癌の転移が起きやすい臓器だと言われています。転移の中でも食道癌からの転移は進行が早いため、胸痛や咳があれば専門の医院で診察を受けましょう。

肝臓内への転移

肝臓から肝臓に転移する癌は、肝臓の主血管である門脈に癌が発生した場合に起こりやすくなります。肝臓癌の多くが肝臓内に転移しますが、初期では自覚症状が現れにくいため、定期的に癌検査を受けることが大切です。

腹膜への転移

腹膜播種と呼ばれる腹膜への転移は、胃癌や大腸癌から起きる可能性が高いと言われています。自覚症状が現れない限り早期発見が難しいタイプの癌で、ほとんどの場合、放射線治療や抗がん剤治療が適用されますが、腹腔洗浄や手術も行われます。

脳への転移

脳転移が起きやすいのは肺癌で、次点で末期の前立腺がんが挙げられます。脳転移ではめまいや頭痛、吐き気、麻痺などの症状が現れ、外科手術や放射線治療が適用されます。また、転移が多い場合、全脳照射という治療法もあります。

肝臓への転移

肝臓への転移では、大腸癌や胃癌から転移することが多いですが、肝臓内での転移の可能性もあります。肝臓への転移の厄介な点は、初期症状が現れにくいという点です。そのため、転移防止のために治療を確実に行うことが大切でしょう。

骨への転移

骨に転移するのは肺癌や乳癌、肝臓癌などで、それぞれの癌の種類によって、転移しやすい骨の部位が異なります。症状として、痛みや痺れ、麻痺、骨折などがあり、薬物療法や放射線療法、化学療法など治療方法は多岐に渡ります。

これ以上転移させないためには

癌を治療した後に最も大切なことは、癌の転移を予防することです。発生した癌の種類によって転移先は決まっているため、治療を継続すること、定期的に検査を受け続けることが予防のための第一歩。切除手術をしても油断しないようにしましょう。

転移がん治療に強い医師、いい病院の選び方

転移した癌は治療が難しいと言われているため、病院選びと医師選びが治療の結果を左右します。医師選びでは医師個人の実績や得意分野を確認し、病院選びでは導入している機器や日本医療機能評価機構での評価、口コミを参考にしましょう。

リンパ節に転移してしまった人の体験談

放射線治療に切り替えて正解でした

がん治療専門病院で初期治療を受けていました。しかし、リンパ節へと転移し抗がん剤治療を勧められることに。以前抗がん剤を投与したとき、副作用があまりにも辛かったので、抗がん剤治療をしたくありませんでした。

そんなとき、知人から放射線治療なら副作用があまりなく治療できる可能性があると聞き、放射線専門のクリニックへ通うことに。大きな病院と違って待ち時間が少なく、スタッフさんが笑顔で接してくれるので通院するのが楽しかったです。

治療は私に合わせて工夫してもらい、痛みや辛さはほとんどなし。普通の生活を送ることができました。今では、子どもの行事にも参加できています。抗がん剤治療を受けず、放射線治療に切り替えて正解でした。

ひとりで抱え込まず周りに頼ることが大切

卵巣がんと膀胱がん、悪性リンパ腫を経験しました。卵巣がん、膀胱がんのときは何が起きたのかわからず、手術を受けて抗がん剤治療をすることに。悪性リンパ腫は得体のしれない病気に怯え、心が壊れてしまいそうでした。

ある日患者会がお茶会を開いていることを知り、参加してみることに。人見知りが強いほうですが、輪の中で泣きながら必死に思いを打ち明けました。優しく話しを聞いてくれた光景は、今でも鮮明に覚えています。

私が思うのは、ひとりで悩まず思いを吐き出すことです。家族や友人、患者サロンでも構いません。それだけで、気持ちが楽になります。ひとり抱え込むことはせず、周りに頼ることが大切です。みんな側にいることを忘れないでください。

リンパ・血液の癌

悪性リンパ腫

血液中を流れる白血球の一種「リンパ球」ががん化した悪性リンパ腫。主にリンパ系組織に発生します。日本では年間10万人あたりに30人程度が発症(※2022年4月時点)しているそうです。

※参照元:国立がん研究センター希少がんセンター/悪性リンパ腫(あくせいりんぱしゅ)

悪性リンパ腫の症状

首やわきのした、足の付け根といったリンパ節が多い箇所に痛みのないしこりとしてあらわれるのが一般的です。しこりは進行するに従い、全身的な症状として見られるようになります。また、体重の減少や原因不明の発熱、寝ている際のひどい寝汗が伴うのも悪性リンパ腫の症状のひとつです。

3つの症状をB症状と言います。そのほかには発疹や体のかゆみがあらわれることも。血液障害や麻痺などの症状が出た場合は、緊急の治療が必要です。

原因

悪性リンパ腫の原因は明らかにされていませんが、細胞内の染色体が異常を起こしがん遺伝子が活性化し、リンパ系細胞ががん化すると考えられています。一部ではウイルスによる感染症の関係や、免疫不全者に多いこともわかっているそうです。

また、悪性リンパ腫は大きくホジキンリンパ腫と、非ホジキンリンパ腫に分類。どのタイプにかによって、治療方針が異なります。

がん治療は手術療法が一般的ですが、リンパ腺は全身にあるため全てを取り除くことができません。そのため、悪性リンパ腫は科学的療法と放射線治療となっています。

悪性リンパ腫の主な治療法

悪性リンパ腫の主な治療法は、薬物療法(抗がん剤治療)、放射線治療、造血幹細胞移植、手術などです。

これらのうち、特に多くの症例で用いられている中心的な治療法が、薬物療法と放射線治療。薬物療法と放射線治療で期待した効果を得られない場合には、造血幹細胞移植が行われることがあります。B細胞リンパ腫が胃や小腸に発生した時など、一部の限られた症例においては手術が適用となる場合もあります。

なお、「低悪性度」には分類されるものの進行の遅い悪性リンパ腫で、かつリンパ腫細胞の量が少ない場合などには、治療をせず経過観察をする場合があります。

悪性リンパ腫とリンパ節転移の違い

悪性リンパ腫とは、血液の中にあるリンパ球細胞が癌化し、全身のリンパ節に溜まってしこり等を作る病気のこと。血液の癌の一種です。

それに対してリンパ節転移とは、臓器や組織に発生した癌(固形癌)がリンパ節に転移した状態のこと。リンパ節に癌細胞が存在するという点では悪性リンパ腫と同じですが、その発生プロセスや治療法、予後などにおいて両者は異なります。

多発性骨髄腫

体内には侵入してきた細菌やウイルスといった異物を排除するため、抗体をつくる形質細胞と呼ばれる細胞があります。

この形質細胞に異常が起き、がん化したのが血液がんのひとつである多発性骨髄腫です。がん化した形質細胞は骨髄腫細胞となり、骨髄の中で増加。

異物へ攻撃する機能がなく、役に立たない抗体(Mタンパク)をつくり続けます。増え続けるMタンパクと骨髄腫細胞によって、さまざまな症状が引き起こされるのです。

多発性骨髄腫の症状

骨髄の中で増え続ける骨髄腫細胞によって、正常な血液細胞を作り出す過程を阻害。その結果貧血が引き起こされ、めまい・動機・疲れやすさ・だるさ・息切れがといった症状が生じます。

また、無数に産生されるMタンパクによって、腎障害や血液循環の障害が起こることも。そのほかにも骨の代謝のバラスが崩れて、骨の痛みや骨粗しょう症といった症状が引き起こされることも考えられます。

原因

慢性骨髄性白血病の原因は、肝細胞の遺伝子異常によるものです。染色体の中で22番染色体と9番染色体が入れ替わり、フィラデルフィア染色体ができます。このフィラデルフィア染色体の上には血液細胞を過剰に増加させる働きのあるBCR-ABL融合遺伝子があるため、慢性骨髄性白血病を発症させるのです。

多発性骨髄腫の主な治療法

発症の初期段階においては、分子標的薬のボルテゾミブや抗がん剤などを用い、骨髄腫細胞の減少を目指します。再発・難治性骨髄腫の場合には、ボルテゾミブやサリドマイド、レナリドミドなどの薬剤が用いられます。

基本的に多発性骨髄腫の治療は、これらの薬物療法が中心となりますが、条件が合う場合には、造血幹細胞移植が行われることもあります。また、腫瘤の縮小・消失、および疼痛緩和を目的に、放射線治療が行われることもあります。特に骨髄腫による脊髄圧迫が見られる場合には、速やかな放射線照射とステロイド治療が必要です。

多発性骨髄腫とリンパ節転移の違い

多発性骨髄腫とは、血液の中にあるリンパ球のうち、B細胞から分化した形質細胞の癌化です。癌化した形質細胞は骨髄腫細胞になり、骨髄の中で増殖します。一方でリンパ節転移とは、特定の臓器・組織に原発した癌細胞がリンパ節に転移する状態を言います。

癌細胞発生の由来だけではなく、進行プロセスや症状、治療法、予後など、様々な点で両者は異なります。

リンパ節の癌に対する研究と論文

がんのリンパ節転移を標的する高分子ミセル型ナノキャリア~ナノキャリアの大きさと治療効果の関係~

東京大学大学院工学系研究科の片岡一則教授率いる研究グループは転移したがんに対し、がん治療で欠かせない白金制がん剤を内包した30ナノメートル、70ナノメートルの高分子ミセル型ナノキャリアと、80ナノメートルのドキソルビシン内包リポソームの効果を比較検討。

その結果、30ナノメートルのナノキャリアのみがリンパ節に転移したがん巣内の血管をすり抜け、転移巣の深部へと浸透することがわかりました。

今回の実験で、リンパ節に転移したがん治療で使用するナノキャリアを設計するうえで、粒径を制御することが重要ということが示されているとのこと。

この成果は、リンバ節に転移したがんを狙い通りに届ける、ドラッグデリバリーシステムの開発に役立つことが期待されています。[注1]

がん細胞のリンパ節転移を消去する新たな遺伝子改変ウイルス製剤を用いた治療法の開発

岡山大学大大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学分野の藤原俊義教授・岸本浩行助教・菊地寛次医師たちの研究グループは、がん細胞を選択的に殺傷する遺伝子改変ウイルス製剤テロメライシンを使用し、消化器がんのリンバ節転移をダメージが少なく消去できる新しい治療法を開発。

マウスの直腸にヒト大腸がん移植し、効果を実証しました。その結果、投与されたテロメライシンはリンパ流に乗り、リンパ節に到達。転移したがん細胞で増え続けるがん細胞を選択的に殺傷することに成功しました。

今回の実験の成果から、テロメライシンを内視鏡切除の際に合わせて使用することで、リンパ節転移があったとしても除去できれば外科切除をせずに胃や大腸を温存し、治療後の生活の質を高く保てることが期待されています。[注2]

参考サイト