リンパ節への転移は、肺癌や乳癌からの転移が多く見られます。このページではリンパ節へ転移する場合の特徴や治療方法などをまとめました。
リンパ節には様々な臓器からの癌転移が見られます。肺癌の場合、血液やリンパ液の流れに乗って癌が広がるため、リンパの流れが密集しているリンパ節に転移することが多いそうです。乳癌ではリンパ節に転移する確率が最も高いと言われています。胃癌の場合は、癌細胞が胃の粘膜を侵食していくことでリンパ節に転移。食道癌は、進行具合に関係なくリンパ節に転移する可能性があります。前立腺がんの場合、多く見られるのが前立腺の周りのリンパ節への転移です。リンパ節に転移してしまうと、リンパ管を通して遠隔転移することもあり得ます。
頚部やリンパ節に腫れが見られるようになります。縦隔や肺門など肺の近くにあるリンパ節に転移してしまうと、上半身のむくみや、風邪でもないのに咳が出る場合も。リンパ節のなかでも特に首や鎖骨上のリンパ節に肺癌の転移が多く見られます。
乳房周辺のリンパ節に腫れが出るようになります。腋窩(えきか)リンパ節に転移した癌細胞が大きくなって、ワキの下部分にしこりが確認できる場合も。リンパ液の流れがせき止められることで、腕全体にしびれやむくみなどの症状を感じる方も多いようです。
胃癌が転移すると、触った際にしこりとしてリンパ節を発見できるようになります。症状の一つとして、しびれを感じる方もいるようです。癌細胞が大きくなってリンパ節が圧迫された場合、腕のだるさを感じる方もいます。
食道癌は他の臓器への転移が早い癌です。ステージ1では自覚症状がほとんど見られません。ステージ2・3に進行してはじめて、食べ物が詰まったり声が枯れたりなど、食道やのどに症状が現れるようになります。
前立腺がんがリンパ節に転移するとリンパの流れが悪くなるため、下半身がむくみます。前立腺の近くにあるリンパ管が炎症を起こすのでしびれたり、排尿が困難になったりすることも。転移した癌がさらに悪化した場合、下半身麻痺を生じる恐れもあります。
肺癌がリンパ節に転移した場合の治療法は、外科手術でリンパ節の切除(肺葉切除またはリンパ節郭清)を行うのが一般的です。癌があまり進行していなければ、非常に有効な治療法になります。他に外側から放射線を照射することで癌細胞を取り除く放射線療法も。放射線を当てた部分の癌細胞のみに効果のある治療法です。
リンパ節に乳癌の転移が見つかった場合、ワキの下にあるリンパ節(腋窩リンパ節)を切除する「腋窩リンパ節郭清(かくせい)」を行って、全身への癌細胞の転移を防ぎます。術後、再発を防ぐために放射線療法や抗がん剤治療などを組み合わせて治療するのが一般的です。
リンパ節転移が疑われる場合の標準的な治療法として、胃を3分の2以上摘出し、転移の可能性のあるリンパ節をすべて切除する方法が行われます。切除は転移や再発を防止する点で非常に重要です。
食道癌がリンパ節に転移した時に行われる治療法のうち、成功率が高いのは外科手術です。ステージ1~3のほとんどの方が外科手術を受けています。
癌が食道から遠くにあるリンパ節に転移して外科手術が難しい場合(ステージ3・4)は、「抗がん剤+放射線治療」が選ばれるそうです。根治よりも癌の進行を食い止める目的で行われます。
癌の進行を抑制するためのホルモン療法が一般的な治療法です。骨盤リンパ節へ転移すると遠隔転移する可能性が高くなるので、ホルモン療法と放射線治療を併用する場合もあります。
ここでは「外科手術」「放射線療法」「薬物療法」それぞれでセカンドオピニオンを受けるのにおすすめの病院、クリニックをご紹介いたします。(調査日時:(2021年11月時点))
ここでは、当サイトで治療医師として掲載している日本がん治療認定医機構がん治療認定医かつ日本外科学会外科専門医の所属する病院をご紹介します。(2021年11月時点)
患者1人ひとりに細やかなチーム医療を提供
札幌医科大学附属病院は、『最新かつ安全確実な医療の提供』をモットーに持ち、手術と化学療法を組み合わせた画期的ながん治療を提供しているのが特徴。鏡視下手術やロボット手術なども導入し、患者さんの身体への負担が極力少なくなるよう気を配っています。食道疾患や胃・十二指腸疾患から下部消化管疾患、肝・胆・膵に関わる疾患、乳腺疾患、甲状腺疾患、腹壁疾患まで、幅広く対応している病院です。
在籍している医師:竹政 伊知朗医師
電話番号:011-611-2111
ここでは、当サイトで治療医師として掲載している日本医学放射線学会放射線治療専門医が在籍する癌放射線治療専門クリニックをご紹介します。(2021年11月時点)
トモセラピーによるがん治療がメイン
トモセラピーHADをはじめ、64列128スライスCTや1.5テスラMRIといった画期的な機器を揃えるクリニックC4。複雑な形状をした病巣に対しても照射範囲を的確に設定しやすいとされる、トモセラピーを用いたがん治療を専門的に取り扱っています。
在籍している医師:青木 幸昌医師
電話番号:03-6407-9407
治療可能比に配慮し、様々な治療法を提案
高精度にも対応した放射線治療をはじめ、抗がん剤と併用する化学放射線治療や、手術に比べると柔軟性が高いとされる根治的治療など、患者さん1人ひとりに合った様々ながん治療を提案している苑田放射線クリニック。治療可能比(正常組織の耐容線量に対する腫瘍制御線量の比)もふまえ、照射期間や回数なども工夫しているそうです。
在籍している医師:齋藤 勉医師
電話番号:03-5851-5751
IMRTのパイオニア的存在とされる医師が院長を務める
東京ベイ先端医療・幕張クリニックは、がんの早期発見・治療を目的として診断から治療まで一貫して担当してくれる医院。院長である幡野先生は、早くから強度変調放射線治療(IMRT)を開始させた医師としても知られています。経験豊富なスタッフが対応してくれるほか、近隣ホテルとも提携しているため、遠方から診察に来られる方も安心です。
参照元:東京ベイ先端医療・幕張クリニック公式サイト(https://www.aoikai.jp/tokyobay/treatment/radiation_therapy/)
在籍している医師:幡野 和男医師
電話番号:043-299-2000
ここでは、当サイトで治療医師として掲載している日本血液学会血液専門医かつ日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医の所属する病院をご紹介します。(2021年11月時点)
がん治療から相談支援まで、一貫して行う総合病院
「地域がん診療連携拠点病院」として、地元地域を中心としたがん治療や相談支援などを行っている虎の門病院。医療従事者に向けた研修も担当しており、診断から治療まで24時間365日対応できる、きめ細やかな診療を心がけています。総合病院のため、それぞれの専門科と連携しながら迅速に治療できるのも長所と言えるでしょう。
在籍している医師:三浦 裕司医師
電話番号:03-3588-1111
リンパ節への転移は、肺癌をはじめ、乳癌や胃癌、食道癌、前立腺がんなど様々な臓器から転移します。リンパ節は全身をめぐるリンパ管の関所のような部位。リンパ液を通して他の部位の癌細胞が流れてくることがあり、リンパ節に転移することもあります。リンパ節は上半身から下半身まで体の各所に存在しており、一口にリンパ節転移といっても見られる症状は部位によって様々です。治療方法も、外科手術や抗がん剤治療、放射線治療、ホルモン療法といった方法が選択されています。
また、転移がんを適切な方法で治療するためには「病院選び」「医師選び」を行うことが大切です。後悔しないためにも、転移がんの治療の医師を探して相談しましょう。
癌が転移するのは、癌細胞が血液内に流れ出し、新しい血管が作りだして増殖することが原因です。癌の転移には4つの種類がありますが、転移した時の症状や特徴などは、どの部分に転移するかによって異なります。
肺癌の転移とは、他の臓器で発生した癌が肺に転移することで、食道や子宮などからの転移が多いとされています。肺転移の治療法には薬物療法、対症療法、抗がん剤、手術などが挙げられますが、咳や胸の痛みがあった場合は注意しましょう。
他の部位から乳癌に転移することはあまりありませんが、乳癌がリンパ節などに転移することは考えられます。その他、肺や骨に転移する可能性もありますが、乳癌の転移は進行している場合が多いため、専門性の高い病院を選ぶことが大切です。
胃癌はリンパ節や腹膜、肝臓などに転移しやすいと言われており、胃の粘膜や胃壁が癌細胞によって浸食されて転移します。反対に、他の部位から胃への転移は少ないとされていますが、乳癌や子宮頸癌からの転移の可能性もあります。
肝臓癌への転移は、大腸や胃、食道だけではなく、肝臓内転移の可能性もありますが、症状が現れにくいため早期発見が難しいことが特徴です。症状が進行すると、倦怠感や黄疸、体重減少などの症状が現れ、重篤な症状となるケースも考えられます。
大腸癌は肝臓や肺に転移することが多いとされていますが、広がるスピードは早くありません。早期に発見できれば切除手術も可能であり、長期生存も期待できます。そのため、大腸癌転移を治療できる病院での検査を怠らないようにしましょう。
食道癌はリンパ節に転移する可能性が高く、加えて進行が早いことが特徴です。さらに、肝臓、肺、骨などの転移することも考えられるので、早期発見をして早めに治療を開始することが大切。初期症状が現れにくいので注意が必要です。
前立腺がんは骨や骨盤リンパ節への転移の可能性がありますが、前立腺がんだけであれば、死亡率が低い癌だともいわれています。進行も遅いため、早期に治療を開始すれば根治も可能。骨に転移する前に発見することが肝要です。
子宮癌は2種類存在し、子宮頸がんの場合は膀胱、直腸、腹膜など、子宮体癌の場合は膀胱、直腸に加えて遠隔転移の可能性もあります。早期であれば切除手術も可能ですが、進行すると放射線治療や抗がん剤治療などが必要です。
肺に転移しやすいのは食道癌や子宮癌です。特に、肺は毛細血管が多く、癌の転移が起きやすい臓器だと言われています。転移の中でも食道癌からの転移は進行が早いため、胸痛や咳があれば専門の医院で診察を受けましょう。
肝臓から肝臓に転移する癌は、肝臓の主血管である門脈に癌が発生した場合に起こりやすくなります。肝臓癌の多くが肝臓内に転移しますが、初期では自覚症状が現れにくいため、定期的に癌検査を受けることが大切です。
腹膜播種と呼ばれる腹膜への転移は、胃癌や大腸癌から起きる可能性が高いと言われています。自覚症状が現れない限り早期発見が難しいタイプの癌で、ほとんどの場合、放射線治療や抗がん剤治療が適用されますが、腹腔洗浄や手術も行われます。
脳転移が起きやすいのは肺癌で、次点で末期の前立腺がんが挙げられます。脳転移ではめまいや頭痛、吐き気、麻痺などの症状が現れ、外科手術や放射線治療が適用されます。また、転移が多い場合、全脳照射という治療法もあります。
肝臓への転移では、大腸癌や胃癌から転移することが多いですが、肝臓内での転移の可能性もあります。肝臓への転移の厄介な点は、初期症状が現れにくいという点です。そのため、転移防止のために治療を確実に行うことが大切でしょう。
骨に転移するのは肺癌や乳癌、肝臓癌などで、それぞれの癌の種類によって、転移しやすい骨の部位が異なります。症状として、痛みや痺れ、麻痺、骨折などがあり、薬物療法や放射線療法、化学療法など治療方法は多岐に渡ります。
癌を治療した後に最も大切なことは、癌の転移を予防することです。発生した癌の種類によって転移先は決まっているため、治療を継続すること、定期的に検査を受け続けることが予防のための第一歩。切除手術をしても油断しないようにしましょう。
転移した癌は治療が難しいと言われているため、病院選びと医師選びが治療の結果を左右します。医師選びでは医師個人の実績や得意分野を確認し、病院選びでは導入している機器や日本医療機能評価機構での評価、口コミを参考にしましょう。
ここでは、実際にリンパ節への癌転移を医師から告げられた患者さんの体験談などを紹介します。それぞれの患者がどのような思いを抱いて、またどのように治療へのぞんだのか、ぜひリアルな声を聞いてご自身の立場で想像してみてください。
※記載されている治療法や薬品名は、体験者が治療を受けた時点のものです。最新の医療情報については、医師にご相談ください。
私は担当医の先生から、大腸がんの手術後の説明の中で、リンパ節への転移がみられ、遠隔転移の可能性が高いことを告げられました。(中略)知ることの怖さもありますが、まず、不安を和らげる上でも基礎知識に触れることが肝要かなと思います。特に、治療後の定期受診の必要性については、患者体験談も参考になることが多かったです。(後略)
引用元:がん情報サービス
(前略)2015年9月中旬に職場復帰してから間もなく首のリンパ節にビー玉サイズのコリコリとしたものがあることに気付きました。腫瘍がリンパ管まで達していたので、覚悟はしていたつもりでしたが愕然としました。
次の診察時にそれを伝えるとすぐさま検査となりました。結果は悪性で、リンパ節2つに浸潤があったため、わずか2か月ほどでステージⅠからステージⅣaになってしまいました。(中略)しかし、若年性のがん患者の体験談をつづった冊子やインターネット上のがん患者の体験談をみて、(中略)医師に中学生の頃からやってきたスノーボードをしたいことを告げると、「目標を持つことが一番のリハビリになるから、体に無理がなければ行ってもいい」と言ってくれました。(中略)私はスノーボードがしたい、スノーボードデモンストレーターになりたいという夢があったからこそ、どん底を乗り越えることができました。スノーボードじゃなくても、スポーツじゃなくてもいいんです。みんなにも夢を持ってもらいたいと思います。
引用元:オンコロ
(前略)PET(ペット)センターがオープンした機会にCTとMRIに代えてPET-CT検査を受けることになりました。ところがなんと、その検査で鎖骨上リンパ節に再発転移巣が発見されたのです。全摘手術の約4年半後でした。「今回も大したことがなければよいが……」と定期的に受けている検査ですが、ついに再発が確認されたのです。「手術後5年たてば第一段階をクリアーする。完治に一歩近づくことになる」と信じていましたから、本当にショックでした。自分では自覚はありませんでしたが、言われて触ってみたら、やはりぐりぐりが触れました。(中略)ともかくPET-CT検査に切り替えたおかげで再発が分かったのです。また保険が効くので助かります。(後略)
(前略)検査の結果、両側の乳房にがんが見つかりました。しこりを作らない種類のもので、乳房全体にがんが拡がっていたみたいです。脇の痛みはリンパに転移しているためでした。大きさ的にも、場所的にも乳房温存という選択肢はなく、両側の乳房全摘という説明を受けました。(中略)休職中に職場のみんなに近況を知らせる掲示板代わりに始めたブログで、同じ病気の友達もできました。顔も本名も知らないのに、検査の結果が良かったらお互い喜び合えるんです。
ときどき会って、おしゃべりをするブロ友さんもいます。リアルな友達とブロ友さんと、お世話になった先生方、そしてもちろん家族、周りの人にめぐまれているなあと感謝しています。(後略)
引用元:がん保険がよくわかるサイト
確定診断は中咽頭がんステージⅣA。遠隔転移もなく、原発の中咽頭から首回りの転移までで収まっていました。医師からは「このステージであれば治療をやりきることで治る見込みがあります」と告げられ、安堵しました。
正直、検査結果を聞くのは怖くて仕方なかったです。確定診断が出るまでは、寝つきもよくなく満足に眠れません。朝起きて「夢じゃないんだよな」と現実を直視できないときもありました。妻もそのような私の状況を理解してくれ、さまざまなケアをしてくれました。
今の症状は血痰、咳、動いた時の息苦しさ以外は元気です。食欲も旺盛で、抗がん剤をやって20キロ減った体重も10キロ戻りました。残りの時間を楽しく明るく、そして前向きに生きると決めたら体調も良くなった気がします。がん宣告を受けてから、私にとってこの生きてる時間が人生で一番生き甲斐を感じています。
引用元:肺がんとともに生きる
会社は親身になって対応してくれて、治療のための休暇取得や傷病手当金の申請もさせてもらいましたが、休職中でも支払わなければならない社会保険料の負担から、会社と相談して退職することにしました。私は実家で暮らしており、収入が減っても生活できますが、治療費や生活費を負担してくれている親への申し訳なさから、少しでも自分の収入を得ておきたかったので、利用できる制度は自分なりにかなり調べました。傷病手当金がなくなるタイミングで脳への転移が見つかり、障害年金を申請できましたが、申請から受給までに6ヵ月もかかり、その間は貯金を切り崩して生活するしかありませんでした。今は障害年金を受給できていますが、少ない収入でこの先どうしていけばいいのかという葛藤は常にあります。
体調が安定して元の職場に復職することはできましたが、復職後すぐの頃に少し無理をしたら一過性の全健忘(ぜんけんぼう)になってしまい、頑張りたい気持ちはあるのに頑張れないことがショックでまた落ち込みました。今は、月100時間以内という勤務形態にしてもらったので、仕事が少ないときや体調が悪いときは早めに帰ったり休んだりと、調整しながら働いています。
引用元:あやライフ
乳がんがリンパ節まで転移をしていたので乳房温存手術と同時に左わきの下のリンパ節を取りました。これを腋下リンパ節郭清(エキカリンパセツカクセイ)といいます。その為左腕がむくむ「リンパ浮腫」体質になりました。左腕に対して禁忌事項がいくつかあります。主なものは左腕に注射を打たないこと。血圧を測らないこと。荷物を持たないこと。日焼けしないこと。時計をしないこと。指輪・腕輪をしないこと。虫に刺されないこと。
手術から1年経過しても痛みや痺れは消えず気候状態によっては動かすことも容易ではありません。特に低気圧が発生した時はすぐに分かります。お陰で気象予報士になった気分です。ドクターにはそのことを話しても治療方法がないらしく「仕方がないのです」と言うばかりです。腕の痛みは経年とは関係ないようなので、これからも長いお付き合いになるようです。早く新薬ができればいいなと祈るばかりです。
引用元:株式会社日立保険サービス
幸いにも治療の効果が得られ、がんは消滅。職場に復帰することもできました。でも、9ヵ月間も休み、復帰後は負担の少ない部署に異動になったこともあり、新入社員に逆戻りしたような気持ちでした。周囲から見れば、「治療が終わり復職もできた。バンザイ!」という状況で、それは確かにうれしかったのですが、決して「元通り」ではなく、以前の自分とのギャップを感じることも多かったです。
周囲は「無理するな」と気を遣ってくれるので、以前のように100%頑張ることができず、バリバリ働く人がうらやましく、自分に自信が持てない状態が続きました。また、経過観察として3ヵ月に一度の検査が必要で、そのたびに「再発したら」とドキドキします。そういう不安が少なくとも5年はつきまとうのです。5年先のことなどイメージできず、仕事でも3ヵ月より先の予定は立てられないし、責任も持てない。それが最初はしんどかったですが、だんだんと「とにかく目の前のことを精いっぱいやるしかない」と割り切れるようになりました。
引用元:あやライフ
6月、下咽頭(いんとう、のど内部の下の方)にがんが見つかり、59年の人生で初めて病気による入院を経験した。幸い早く見つかったため治療は順調に終え、9月には仕事にも復帰した。内視鏡で見る限り腫瘍は消え、今は11月の確定診断を待っている段階
引用元:毎日新聞
2017年10月、ゴセレリンによる治療を1年半ほど続けてきましたが、ついにPSAが2を超えてしまいました。これまでの薬が効かなくなっているので、新たな治療を始めなければなりません。担当の医師に、どういう選択肢があるのかをたずねると、「治験に関心がありますか?」と言われました。
新しい薬が使われるようになるためには、治験を行って効果や副作用を調べるのだということは知っていました。がん研有明病院のような専門病院では、たくさんの治験が行われているのでしょう。つまり「実験用のモルモットになるのだな」とは思いましたが、治験に参加するのは人のためになることでもあります。それに、前立腺がんが再燃した状態でしたから、新しい薬に対する期待感もありました。特に悩むこともなく、私は治験に参加することに決めました。
引用元:がんプラス
治療が進む中でこの治療法が自分に合っているんだなと感じた時に先が見えてきました。このあとも生活していけるなと分かってきた頃にはどんな風に仕事に戻ろうかなとか、いつ会社に相談しようと考え始めていました。仕事が目標になっていたのは大きかったですね。
引用元:ピンクリボンキャンペーン
気を強く持たなきゃ!という一心で、人前では感情をださないようにしている自分がいることに気づきました。ですが気を緩めるたり、話し始めたりすると訳がわからないくらい涙が出てくることが今でもあります。そんな時に母は、「泣ける時に泣かなきゃ。そんなに我慢しなくていいんだよ。」と言って話を聞いてくれました。 気持ちの吐け口を見失っていた私にとって、この一言にとても救われました。感謝しています。心配や慰めよりも、こういった言葉の方が私にはありがたかったです。
引用元:がんになっても
14年前の話だが、職場の健康診断で再検査になったのに、精密検査を受けに行かなかった。そして、次の年も再検査になったが、行く気にならず、放置しようとしていたところ、会社で勝手に病院を予約してくれていた。
その際に、大腸がんが見つかり、内視鏡で治療した。しかし、その後にリンパ節への転移の可能性があることが発覚し、開腹手術となってしまった。最初に再検査になったときに行っていれば、もっと初期のがんで見つかり、開腹手術をしなくても済んだのではないかと強く感じた。 検診の必要性、精密検査の重要性をみなさんに伝えたい。
引用元:秋田市
血液中を流れる白血球の一種「リンパ球」ががん化した悪性リンパ腫。主にリンパ系組織に発生します。日本では年間10万人あたりに30人程度が発症(※2022年4月時点)しているそうです。
参照元:国立がん研究センター希少がんセンター/悪性リンパ腫(あくせいりんぱしゅ)
首やわきのした、足の付け根といったリンパ節が多い箇所に痛みのないしこりとしてあらわれるのが一般的です。しこりは進行するに従い、全身的な症状として見られるようになります。また、体重の減少や原因不明の発熱、寝ている際のひどい寝汗が伴うのも悪性リンパ腫の症状のひとつです。
3つの症状をB症状と言います。そのほかには発疹や体のかゆみがあらわれることも。血液障害や麻痺などの症状が出た場合は、緊急の治療が必要です。
悪性リンパ腫の原因は明らかにされていませんが、細胞内の染色体が異常を起こしがん遺伝子が活性化し、リンパ系細胞ががん化すると考えられています。一部ではウイルスによる感染症の関係や、免疫不全者に多いこともわかっているそうです。
また、悪性リンパ腫は大きくホジキンリンパ腫と、非ホジキンリンパ腫に分類。どのタイプにかによって、治療方針が異なります。
がん治療は手術療法が一般的ですが、リンパ腺は全身にあるため全てを取り除くことができません。そのため、悪性リンパ腫は科学的療法と放射線治療となっています。
悪性リンパ腫の主な治療法は、薬物療法(抗がん剤治療)、放射線治療、造血幹細胞移植、手術などです。
これらのうち、特に多くの症例で用いられている中心的な治療法が、薬物療法と放射線治療。薬物療法と放射線治療で期待した効果を得られない場合には、造血幹細胞移植が行われることがあります。B細胞リンパ腫が胃や小腸に発生した時など、一部の限られた症例においては手術が適用となる場合もあります。
なお、「低悪性度」には分類されるものの進行の遅い悪性リンパ腫で、かつリンパ腫細胞の量が少ない場合などには、治療をせず経過観察をする場合があります。
悪性リンパ腫とは、血液の中にあるリンパ球細胞が癌化し、全身のリンパ節に溜まってしこり等を作る病気のこと。血液の癌の一種です。
それに対してリンパ節転移とは、臓器や組織に発生した癌(固形癌)がリンパ節に転移した状態のこと。リンパ節に癌細胞が存在するという点では悪性リンパ腫と同じですが、その発生プロセスや治療法、予後などにおいて両者は異なります。
体内には侵入してきた細菌やウイルスといった異物を排除するため、抗体をつくる形質細胞と呼ばれる細胞があります。
この形質細胞に異常が起き、がん化したのが血液がんのひとつである多発性骨髄腫です。がん化した形質細胞は骨髄腫細胞となり、骨髄の中で増加。
異物へ攻撃する機能がなく、役に立たない抗体(Mタンパク)をつくり続けます。増え続けるMタンパクと骨髄腫細胞によって、さまざまな症状が引き起こされるのです。
骨髄の中で増え続ける骨髄腫細胞によって、正常な血液細胞を作り出す過程を阻害。その結果貧血が引き起こされ、めまい・動機・疲れやすさ・だるさ・息切れがといった症状が生じます。
また、無数に産生されるMタンパクによって、腎障害や血液循環の障害が起こることも。そのほかにも骨の代謝のバランスが崩れて、骨の痛みや骨粗しょう症といった症状が引き起こされることも考えられます。
慢性骨髄性白血病の原因は、肝細胞の遺伝子異常によるものです。染色体の中で22番染色体と9番染色体が入れ替わり、フィラデルフィア染色体ができます。このフィラデルフィア染色体の上には血液細胞を過剰に増加させる働きのあるBCR-ABL融合遺伝子があるため、慢性骨髄性白血病を発症させるのです。
発症の初期段階においては、分子標的薬のボルテゾミブや抗がん剤などを用い、骨髄腫細胞の減少を目指します。再発・難治性骨髄腫の場合には、ボルテゾミブやサリドマイド、レナリドミドなどの薬剤が用いられます。
基本的に多発性骨髄腫の治療は、これらの薬物療法が中心となりますが、条件が合う場合には、造血幹細胞移植が行われることもあります。また、腫瘤の縮小・消失、および疼痛緩和を目的に、放射線治療が行われることもあります。特に骨髄腫による脊髄圧迫が見られる場合には、速やかな放射線照射とステロイド治療が必要です。
多発性骨髄腫とは、血液の中にあるリンパ球のうち、B細胞から分化した形質細胞の癌化です。癌化した形質細胞は骨髄腫細胞になり、骨髄の中で増殖します。一方でリンパ節転移とは、特定の臓器・組織に原発した癌細胞がリンパ節に転移する状態を言います。
癌細胞発生の由来だけではなく、進行プロセスや症状、治療法、予後など、様々な点で両者は異なります。
| 病期 | 説明 |
|---|---|
| ステージ0 | がん細胞が上皮細胞内にとどまっており、リンパ節へは転移していない状態 |
| ステージ1 | がん細胞が少し広がりを見せているものの、筋肉層でとどまっており、リンパ節へは転移していない状態 |
| ステージ2 | リンパ節への転移はないものの、筋肉層を超えて浸潤している状態。もしくは、腫瘍は広がっていないものの弱若リンパ節への転移が見られる状態。 |
| ステージ3 | がん腫瘍の浸潤が進んでおり、リンパ節への転移がある状態 |
| ステージ4 | がんが最初にできた原発巣を超えて、他の臓器などに転移している状態 |
がんのステージは、広がり方などを基準として、0期、Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期の5段階に分類されるのが一般的。がんの部位によってはそれぞれの段階の中でさらに細分化されるケースもあるようです。では、がんのステージ別けは具体的にどのようにして行われるのでしょうか?基本的には、「TNM分類」と呼ばれる国際的な基準によって行われているのです。TNM分類のそれぞれのアルファベットは、T(Tumor)、N(Node)、M(Metastasis)からそれぞれとったものですが、あまりなじみのない言葉ばかりなので、詳しく見ていきましょう。
まずT(Tumor)ですが、こちらはがんが発生した臓器においてどれほどの深さと広がりが見られるのかというもの。例えば、胃であれば、粘膜、粘膜下層、固有筋層といった具合にどこまでの深さにまで浸潤しているのか、どの程度の範囲にまで広がっているかが基準となります。
続いてN(Node)は、リンパ節への転移の有無です。臓器の近くにあるリンパ節に転移しているかどうかはもちろん、臓器から離れた場所にあるリンパ節への転移もチェックします。
最後にM(Metastasis)ですが、これは他の臓器へ転移しているかどうかです。
この3つがどのくらいの状態にあるのかを総合的に判断してがんのステージ分類は行われています。
もう少し分かりやすく解説すると、0~Ⅱ期は、がんが発生した臓器にとどまっている状態を指します。その中でどの程度の深さまで浸潤しているかにより0~Ⅱ期に区分けされるのです。Ⅲ期は、臓器の近くのリンパ節に転移が確認された状態ですが、転移の数がそれほど多く見られない場合はⅡ期と診断されることも。Ⅳ期は、他の臓器への転移が確認された状態ということになります。
同じがんの治療でも、ステージによって治療の方法はそれぞれ異なります。例えば、大腸がんの場合だと、0期とⅠ期の中でも比較的、浸潤具合が軽度なものについては内視鏡による手術がメインで行われます。Ⅰ期の中でも浸潤が進んでいる場合や、Ⅱ期、Ⅲ期の場合は、開腹手術や腹腔鏡手術などの外科手術に加え、抗がん剤治療や放射線治療を合わせて実施。Ⅳ期の場合は、対症療法、緩和手術、化学療法(抗がん剤治療)放射線治療などが行われます。
悪性腫瘍の1つとして知られる悪性リンパ腫には、およそ60種類の病型が存在しており、それぞれの治療難易度や悪性度に応じて3段階(低悪性度~高悪性度)に分類されます。また、悪性リンパ腫は様々な臓器において発生する固形癌と同様にステージ(病期)の分類が設定されており、大きく「ステージⅠ期~Ⅳ期」として区別されています。
悪性リンパ腫におけるステージⅠ期・Ⅱ期は「限局期」、ステージⅢ期・Ⅳ期については「進行期」と呼ばれることもあります。
限局期と進行期によって基本的な治療方針が異なるものの、例えばステージⅠ期・Ⅱ期の限局期で、さらに全身症状を伴わない症例に対しては放射線療法が中心的な治療法として検討されます。一方、限局期でも発熱や体重減少、夜間寝汗といった症状を伴っている場合、放射線療法と化学療法を併用した化学放射線療法が原則です。
ステージⅢ期・Ⅳ期に当たる進行期の悪性リンパ腫については化学療法が主体となります。
上述したように数多くの病型が存在している悪性リンパ腫ですが、その悪性度によって大きく以下のような3段階に分類されます。
これらの分類は文字通り悪性リンパ腫の「悪性度」を指標として区別したものです。そのため、限局期であっても高悪性度リンパ腫であれば治療が困難になる場合があり、進行期であっても中悪性度リンパ腫であれば治療をスムーズに行える場合もあります。
悪性リンパ腫の治療はステージだけでなく病型の悪性度も含めて総合的に検討することが欠かせません。
低悪性度リンパ腫とは、約60種類あるとされる悪性リンパ腫の中でも、「進行が遅いものの、治癒することは難しいとされるタイプ」とされています。
ここでポイントとなるのは、低悪性度リンパ腫は進行が遅いため早急な治療を必要としないケースがある反面、根治そのもののハードルは決して低くないという点でしょう。そのため、例えば低悪性度リンパ腫の代表格とされる濾胞性リンパ腫の場合、都合の悪い症状が現れるまでは特別な治療を行わず、経過観察によって状況を見守るといった選択がされることも少なくありません。
なお、低悪性度リンパ腫は治療による根治そのものが困難であるとしても、病気の進行は遅いため、症状が出るタイミングで適切な治療を実施して症状のコントロールを適切に続けることで、上手に病気と付き合いながら天寿を全うできる可能性もあるでしょう。
中悪性度リンパ腫は、「進行は早いものの、治療によって治癒が期待できる悪性リンパ腫のタイプ」とされています。中悪性度リンパ腫の代表格としてはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫などが挙げられます。
中悪性度リンパ腫は、低悪性度リンパ腫と比べて病気の進行が早いという点が重要です。そのため、中悪性度リンパ腫として診断された場合、可能な限り速やかに治療方針を決定して治療を開始し、治癒を目指していくという流れが重視されます。
反面、低悪性度リンパ腫よりも治療によって治癒できる可能性そのものは高いとされるため、根治の可能性も期待することが可能です。
高悪性度リンパ腫は、低悪性度リンパ腫と中悪性度リンパ腫のリスクを併せ持ったような悪性度リンパ腫であり、「病気の進行がとても早く、さらに強力な治療を要するタイプ」となります。
高悪性度リンパ腫としてはリンパ芽球型リンパ腫やバーキットリンパ腫などが挙げられますが、これらは急性リンパ性白血病と同レベルの化学療法を必要とし、状況に応じて造血幹細胞移植も選択されます。
ここでは、日本国内における悪性リンパ腫のおよそ5%を占めるとされる「ホジキンリンパ腫」をピックアップして、ホジキンリンパ腫における治療と非ホジキンリンパ腫における治療を比較します。
ホジキンリンパ腫は白血球のリンパ球が癌化してしまう悪性リンパ腫の1種です。また、病型によって「古典的ホジキンリンパ腫」と「結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫」の2つに大別されます。
病気の特徴としては、結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫の場合、LP細胞という腫瘍細胞が特に増殖し、治療方針はステージも考慮して化学療法か放射線治療が検討されます。
一方、古典的ホジキンリンパ腫はステージによって主となる治療法が異なっており、特に進行期の古典的ホジキンリンパ腫についてはABVD療法などの化学療法がメインです。ただし、腫瘤の有無などの条件によって放射線療法を追加するケースもあります。
非ホジキンリンパ腫の治療については、それぞれの悪性リンパ腫の悪性度とステージによって区別されることが特徴です。
例えば、低悪性度リンパ腫として知られる濾胞性リンパ腫やMALTリンパ腫の場合、限局期にある段階では放射線療法が原則的に主流となります。ただし発症場所の位置や複数の発症場所の距離によっては化学療法や抗CD20モノクローナル抗体療法などが行われることもあるでしょう。また状況によって造血幹細胞移植も選択候補です。
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に代表される中悪性度の非ホジキンリンパ腫の場合、限局期では化学療法の単独療法か、化学放射線療法が中心になります。その後、進行期に至るとR-CHOP療法などの化学療法が一般的です。
なお、高中危険群以上の予後不良が推測される場合は、初回寛解中に自家末梢血幹細胞移植が検討されることもあります。
高悪性度の非ホジキンリンパ腫は中枢神経浸潤を起こすリスクが高く、化学療法剤の髄腔内投与による予防的治療を併用しつつ、ハイレベルな化学療法が実施されます。その他、造血幹細胞移植も状況によって選択肢です。
がんは早期に発見すればするほど、簡単な治療で済むケースが多く見られます。「全がん協生存率調査」によると、Ⅰ期であれば、胃がん、大腸がん、肺がんなど多くのがんで5年生存率が85%超(※2011-2013年診断症例)です。どのがんにおいても早期治療が重要になります。
スクリーニング(スクリーニング検査)とは、すでに病気を自覚している人のための検査ではなく、まだ病気を自覚したり発見したりしていない人のための検査です。未発見の病気や症状などを見つけるために行われます。
基本的にどのような癌でも早期発見・早期治療が原則とされていますが、中には自覚症状が少ないものもあり、どれほど予防に努めても発症や再発を100%完全に防ぐことは困難です。そのため普段から予防に努めつつ、定期的なスクリーニングで早期発見を目指します。
現代の医療として公的に認められている、リンパ節への転移癌に特化した予防法は見つけられませんでした。しかし国立研究開発法人国立がん研究センターでは日本の国家機関として癌の予防研究に取り組んでおり、特定のがんに特化したものではなくがん全般を対象としている「日本人のための癌の予防法」を紹介します。
国立がん研究センターの癌の予防研究によれば、癌の発生の要因として生活習慣や感染症との関連性が大きいと考えられています。例えば、男性の癌の43.4%、女性の癌の25.3%は生活習慣や感染症が原因として考えられるとも発表されています。
また、特に生活習慣としては以下のようなテーマで考えることが重要です。
つまり、癌の予防を考える場合も、上記の各テーマに関して生活習慣を改善することが大切なのです。中でも特に大きな原因として喫煙が挙げられており、言い換えればまず喫煙習慣のある人はタバコの本数を減らし、あるいは完全に禁煙することが癌予防として大切だといえます。
また生活習慣の中で次いで原因として重視すべきものが飲酒、そして塩分過多といった食生活です。特に飲酒はアルコールに対する体質の問題もあるため注意しましょう。その他にも健康的な生活として適度な運動を行い、肥満やメタボリックシンドロームといった問題を解消して適正体重を維持することも重要です。
リンパ節の転移癌は他の臓器で発生した固形癌がリンパ節へ転移しているものであり、必然的に全体的な癌予防を考えなければなりません。
日本人の癌について考えた際、特に男性の癌原因として最も大きな割合を占めるものが「喫煙」とされています。女性の癌の原因においても喫煙は「感染」に次いで第2位の割合を占めている重要な因子です。
たばこを吸うことでリスクが増大するとされる癌には様々なものがあり、喫煙習慣のある人は、たばこを吸わない人と比較して何かしらの癌にかかるリスクが1.5倍になるとも指摘されています。つまり、原発巣からリンパ節へ癌が転移することを考えれば、必然的に喫煙はリンパ節転移のリスクを大きくしてしまうでしょう。
ただし、禁煙は重要な癌予防である一方、長年の喫煙習慣のある人では禁煙しようと思っても難しいケースが少なくありません。そのため一人だけで悩むのでなく、必要に応じて禁煙外来などを受診して専門家のケアやサポートを受けることも大切です。なお、要件を満たせば禁煙補助薬を使った禁煙治療などを保険適用で受けることもできます。
飲酒も喫煙と並んで癌リスクを上昇させる生活習慣のひとつであり、特に飲酒は肝細胞癌や食道癌、大腸癌、頭頸部癌といった癌との関連性が指摘されています。また性別で分けた場合、男性では胃癌、女性では閉経前の乳癌に飲酒との関連性があることもポイントです。
飲酒に関しては一般に「酒は百薬の長」といった言葉もありますが、少なくとも単純に癌予防を考えた場合、飲酒量に比例して癌リスクが高まるため、お酒は一滴も飲まないことが癌予防としてベストとなります。
反面、適度な飲酒がストレスの緩和や日々のQOLの向上に寄与するといったケースもあり、どうしてもお酒を断つこと(断酒)が難しい場合、飲酒量を減らしたりアルコール度数の低いお酒に変えたりといった節酒を意識することが肝要です。
様々な医学研究によって、塩分過多や脂肪過多の食事、野菜や果物を食べないといった偏った栄養バランス、また熱すぎる飲み物や食べ物の摂取などが癌の原因につながることが認められています。そのため、日常で意識する食生活の改善としては、まずそれらのポイントの見直しが大切です。
塩分量については減塩メニューを採用して、塩辛さでなく出汁の旨味を上手に活用した食べ物を楽しむといった方法があります。また野菜や果物もバランス良く食べることは癌だけでなく脳卒中や心筋梗塞といった病気のリスク軽減にも有効です。
その他、熱い料理や飲み物は適度に冷まして口にするといったことも心がけましょう。
適度な運動を日常的に行っている人は、運動習慣のない人よりも癌や心疾患のリスクが低くなることが知られており、また適度な運動によるメンタル面への好影響も見逃せないポイントです。
厚生労働省では「健康づくりのための身体活動基準2013」において、18歳~64歳の人の身体活動について言及しており、以下のような基準で運動習慣を考えることを推奨しています。
これまであまり運動をしてこなかった人も、無理のない範囲で散歩やウォーキングといった運動から始めてみると良いでしょう。
食生活や運動習慣とも関連しますが、太り過ぎや痩せ過ぎといった身体状態は癌を含めて様々な病気や健康被害のリスクを増加させます。また過去の研究から肥満度の指標として用いられる「BMI値」が癌の死亡リスクに関連していると判明しており、男性であれば「21.0~26.9」、女性であれば「21.0~24.9」の範囲にBMIを維持することでリスクが軽減されます。
BMIは各自の身長(m単位)と体重(kg単位)から算出されるため、まずは自分の現在のBMIを算出し、適正範囲を外れている場合は食事や運動などの習慣を見直してみましょう。
生活習慣と同じく癌の原因として重視されるものが感染症です。特に男性の癌原因としては感染症が喫煙に次いで第2位、女性の癌患者においては癌原因の第1位となっており、日本人の癌の予防を考える上で感染症対策や感染予防の取り組みは決して無視することができません。また、癌のリスクを減らすことで結果的にリンパ節の転移癌のリスク低減にも影響するため、感染回避はリンパ節の癌の予防としても考えられるでしょう。
感染症の原因には様々な細菌やウイルス感染が考えられますが、例えば感染症の原因と癌の因果関係としては以下のようなものが挙げられます。
注意すべき点として、上記のウイルスや細菌に感染したからといって、必ずしも癌が発生するとは限らない点です。ただし、感染が癌リスクを上げることはあり得るため、改めて癌検診などを受けてスクリーニングをすることも大切です。
リンパ節の癌を含めて、癌を早期発見するためにどのようなスクリーニング検査があるのでしょうか。ここでは一般的に用いられているリンパ節の癌のスクリーニングや、その他の癌に関するスクリーニングの方法と内容についてまとめました。
リンパ節に癌が転移した場合、その部分が腫れたり固くなったりします。そのため異常が疑われるリンパ節の一部または全体を切り取り、採取した生体組織を顕微鏡下で観察するのがリンパ節生検です。また、画像診断などで異常が認められた部位の組織を切り取り、生検によって癌診断を確定させることもあります。
生検を担当するのは例えば病理医と呼ばれる医師であり、癌化した細胞に見られる特徴を踏まえて患者のリンパ節の細胞をチェックし、それが癌であるかどうかを確認します。またより精度の高い検査をするために生検のサンプルは遺伝子検査などに利用されることもあるでしょう。なお、リンパ節に限らず腫瘍病変を調べる生検は腫瘍生検として日常的に実施されています。
腫瘍マーカーとは、文字通り腫瘍や癌の存在を示す印(マーク)のようなものであり、患者の体内で発生した腫瘍や癌によって増加する様々な物質のことを指します。
腫瘍マーカーにはそれぞれの癌において、血液中の成分として上昇する数値や増加する物質が研究され、血液検査によって血中の腫瘍マーカーを測定することで腫瘍の有無や癌の診断に役立てています。
リンパ腫の腫瘍マーカーとしては「LDH(乳酸脱水素酵素)」や「sIL2₋R(可溶性インターロイキン2受容体)」といった物質が知られており、これらの数値によって可能性を判断。しかし、値が増えているからといって癌とは断定できないため、さらに精密検査が必要となります。
腫瘍マーカーの数値に異常が認められなくとも、他の様々な血中成分の数値が異常を示している場合、何かしらの病気や体調不良、あるいは癌といった状態も懸念される点に注意してください。
参照元:国立研究開発法人国立がん研究センター|リンパ腫の検査・診断について
X線検査は画像診断の1つとして一般的に行われるものであり、レントゲン検査と呼ばれることもある検査です。リンパ節の癌のスクリーニング検査としては、胸部リンパ節の腫れや肺の病変について調べるために胸部X線検査が実施されます。
X線検査ではX線によって透過された体内の画像情報をもとに、医師が異常の有無や病変について診断します。ただしX線検査では異常が見つかった場合でも、癌だと確証を得ることが難しいため、さらに高度な診断が必要になります。
超音波検査は、超音波を患者の体内で反響させて、それを画像データへ変換することで患者の体内の状態を視覚的に確認する検査です。超音波検査ではお腹の中にあるリンパ節の異常や、その他にも消化器系の様々な臓器について異常の有無をチェックできます。ただし超音波は体内で反響させるという特性上、患者の体格などによって診断が難しい場合もあります。
CT検査はX線を使った画像診断の1つですが、従来のX線検査と異なり、患者の体を多方向から撮影してコンピュータで処理することにより、鮮明で立体的な画像データとして再現できることがポイントです。またCT検査では造影剤を併用して検査することも多く、患者の体内にある臓器や血管の様子なども詳しく診断可能です。
MRI検査とは、X線の代わりに強力な磁気を発生させて患者の体内へ照射し、患者の体内の水素原子などと磁気を反応させることで生じる信号を使って、患者の体内を画像化する検査方法です。そのためMRI検査によって得られる画像は磁気共鳴画像と呼ばれることもあります。
MRI検査はX線などの放射線を使わないため放射線被曝のリスクを心配する必要がありません。そのため被曝による悪影響を避けるためにX線検査やCT検査を行うことのできない患者に対してもMRI検査であれば実施できる可能性があります。
反面、MRI検査は強力な磁気・磁場を発生させるために、磁気に反応する金属などを体内に有している人などにおいてはMRI検査を受けられないケースも考えられます。MRI検査では患者の体を多方向から撮影して体内の様子を画像化できるため、詳細な画像診断を行えることがメリットです。
PET検査とは、放射性物質を含んだ薬剤を患者への血管へ注射して、その薬剤がどのように体内を流れて臓器へ取り込まれるのかを放射線の画像化によって診断する検査です。
癌細胞や癌が発生した臓器には血管が多くなってブドウ糖の吸収量が増えるという性質があります。PET検査で用いられる薬剤にはブドウ糖に似た成分が含有されているため、薬剤が異常に集中している部位には癌の発生リスクがあると考えられるわけです。PET検査は癌のスクリーニング検査として用いられるだけでなく、癌の転移や再発の有無を調べたり、化学療法や放射線治療による効果を検証したりする目的でも利用されます。
リンパ節の癌に限らず早期発見・早期治療が癌治療の基本となりますが、一方でどのような検査であっても常に100%の信頼を備えているものではありません。そのため、各種スクリーニング検査は癌の発見や転移・再発のチェックにおいて重要であると同時に、スクリーニング検査の結果や手順においてもリスクやデメリットがあることを認識しておくことが大切です。
スクリーニング検査におけるリスクとしては、主に以下の3つがあります。
偽陰性とは、実際には癌や異常があるにもかかわらず、検査の結果としては「陰性(異常なし)」と診断されることを指します。
検査によって癌はないという結果が出ても、それが偽陰性であった場合、実際には癌が存在しているためそのまま無自覚に生活することで癌が進行し、改めて自覚症状が出た時にはかなり悪化しているといったケースも少なくありません。そのため常にスクリーニング検査は偽陰性の可能性も考慮し、複数の検査を併用することが大切です。
擬陽性とは、実際には癌や異常が存在しないにもかかわらず、検査の結果として「陽性(異常あり)」と診断されることを指します。
例えばウイルス検査や感染症検査によって擬陽性と診断された場合、実際には感染していないにもかかわらず、異常ありとして判断されてしまいます。
擬陽性は発見が遅れて治療が困難になることを考えれば、偽陰性よりも被害が少ないと思う人もいるでしょう。しかし、擬陽性になることでリンパ節生検などが行われれば、そもそも必要のない医療行為によって体を傷つけられ併発症や偶発症のリスクを増やしてしまうのです。
リンパ節の癌を診断するためには、最終的に疑わしい部分のリンパ節の一部や全体を切除・採取して、それをリンパ節生検によってチェックしなければなりません。しかし、リンパ節を切り取ることは当然に体を傷つけることであり、場合によっては併発症や偶発症といった検査に付随して発生するような症状があることも無視できません。
検査による併発症や偶発症には、例えば以下のようなものがあります。
そのためスクリーニング検査は検査精度を高めるだけでなく、併発症・偶発症のリスクを下げるためにも、信頼できる医療機関などで検査をうけることが大切です。
医療機関での検査や専門家による診断の他にも、まずは普段から自分の体の状態や体調の変化に意識を向けておくことが大切です。特にリンパ節への癌転移では前提として原発巣での癌が存在するため、何かしらの初期症状や自覚症状へ早い段階で気づければ、リンパ節への転移リスクを軽減できる可能性もゼロではありません。
また悪性リンパ腫に関して以下のようなセルフチェック項目を意識することで、リスクを早期に発見できる可能性はあります。なお、これらの症状は感染症など別の病気でも起こり得ますが、症状が続く場合や悪化する場合は速やかに医師へ相談してください。
癌は生活習慣など様々な原因によってリスクが高まる病気ですが、同時に特定の遺伝子(癌遺伝子)の変異や異常によって癌の発生リスクが高まることも知られています。そのような癌遺伝子の有無について調べるスクリーニングが「遺伝子検査」です。
遺伝子検査とは、文字通り各患者の細胞内に存在している遺伝子の配列やタイプを科学的に調べて、癌遺伝子の有無や遺伝子の構造(遺伝子型)などを分析する検査です。
遺伝子検査には複数の方法がありますが、癌患者やその家族の体の一部(細胞)を採取して、その中に含まれている遺伝子を科学的に増幅させ、専門の分析装置でチェックする方法などがあります。また手術で切除したリンパ節の組織や癌細胞を用いて、遺伝子検査を行う場合もあります。
なお癌の遺伝子検査では、最初から特定の癌遺伝子の有無について調べるものと、複数の癌遺伝子を同時に調べる「がん遺伝子パネル検査」もあり、どのような検査を受けるべきか担当医や専門家へ相談して検討することが大切です。
遺伝子検査で分かることの1つに、どのような癌になりやすいかといった項目があります。そのため、例えば遺伝子検査によって特定された癌遺伝子があるとして、それから想定される癌の症状や種類と、患者の現在の病態や癌の性質に相同性や類似性が認められた場合、対象となる癌である可能性が高いと判断することもできるでしょう。
遺伝子検査は病理標本を用いた診断と合わせて、癌のタイプや特性を診断する際に活用されます。
HER2遺伝子やBRAF遺伝子、RAS遺伝子といった特定の遺伝子やその型によって、抗がん剤との適応性が異なる点も重要です。言い換えれば、遺伝子検査によってあらかじめ患者の癌遺伝子を分析しておけば、効果的な治療薬を検討する際の指標の1つに活用することが可能となります。
参照元:がん情報サービス|がん医療における遺伝子検査 もっと詳しく
抗がん剤や治療の適応性を判断するだけでなく、患者の遺伝子タイプによって副作用のリスクや程度を検討できることも重要です。
副作用の発生率や症状の強度は、治療の実施や継続を考える際に欠かせない懸案事項であり、事前に遺伝子検査で副作用のリスクを検証できれば結果的に適切な治療の選択へつながる可能性を高められます。
遺伝子は個々の人が生まれながらに備えているものであり、体質や健康状態などに深く関与していますう。そのため、両親から癌遺伝子を受け継いだり子どもへ癌遺伝子を引き継いだりする可能性もあります。
しかし、癌遺伝子は癌リスクに関与する一方、それ自体が将来に必ず癌にかかることを決定づけるものではありません。
遺伝子検査はあくまでもスクリーニングやリスク分析に使用する技術のひとつです。仮に自身や家族に癌遺伝子が存在していたからといって、その結果だけで過度なストレスや不安を抱かないようにすることが大切です。
遺伝子検査は医師が必要と判断した場合に保険診療で受けられますが、患者やその家族が自費診療として遺伝子検査を受けることもできます。
しかし正確な遺伝子検査には十分な技術や検査環境が不可欠であり、基本的には臨床遺伝専門医や遺伝性腫瘍専門医、認定遺伝カウンセラーといった専門家に相談して検査を受けるようにしましょう。
QOL(クオリティ・オブ・ライフ:Quality of life)は「生活の質」や「人生の質」と訳される言葉であり、それぞれの患者が総合的な観点から満足度や充実感の高い生活を送ることを意味しています。
例えば、リンパ節の転移癌や再発癌の場合、現代医療の標準治療では治療が難しいこともあるでしょう。そのような時でも、様々な医学的アプローチによって患者のQOLを高めることで残された人生の時間を有意義に、自分らしく生きていくことが可能になります。
QOLを高めるプランとしては、例えば放射線治療の緩和的照射によって癌の状態をコントロールして痛みを抑えたり、外科治療によって肥大したリンパ節を切除することで生活をしやすくしたりと、色々な方法を患者ごとに検討することが大切です。
リンパ節への転移や再発が発見された場合、患者にとって肉体的な負担だけでなく、精神的にも大きなストレスや不安がかかることは自然です。そのような心理的な影響によって、自分の心をコントロールできなくなったり、他者とのコミュニケーションを避けるために一人で悩みを抱えたりするといったケースも少なくありません。
しかし、癌治療の質向上やQOL改善のためには、メンタルケアも手術や抗がん剤治療と同じくらい重要です。特にネガティブな感情を抱いたときこそ、担当医や周囲に相談し、一緒に向き合ってもらうことが大切です。
不安や悩みは原因を自覚できていない場合も多く、専門家に相談することで適切な対策に気付きやすくなります。
癌患者にとって精神的な負担は肉体的負担と合わせてケアすべき事柄ですが、精神的なストレスになる原因の1つとして「お金」に関する問題を無視することもできません。
リンパ節への転移癌を含めて癌治療には様々な費用負担が発生し、保険診療である標準治療のみを行うとしても、場合によっては経済的な問題がQOLを著しく低下させる恐れがあります。そのため民間の医療保険や癌保険だけでなく、国や自治体といった行政機関も様々な支援制度を用意しており、それらの制度を積極的に活用していくことは癌患者や家族の生活を守る具体策として大切です。
高額療養費制度は、毎月の医療費の負担があらかじめ設定されている上限を超えた場合、その超過分を払い戻してもらえる制度です。また現在は最初から費用の超過が想定される場合、窓口での支払いも上限額までに抑えられるといった制度が用意されており、手元に高額な現金を用意せずとも高品質な治療を受けられる可能性があります。
高額療養費制度が月単位であるのに対し、年間の医療保険と介護保険の自己負担額の合計が上限を超えた場合に、超過分が払い戻される公的支援制度です。
これにより長期間の継続治療でも経済的負担を緩和しやすくなることが強みです。
癌の治療や入院のために休職したり、4日以上の休業が必要になったりした際に、事業主からの給与の代わりに受け取れる手当金となります。なお、勤め先の会社などから給料が支払われていても、その金額が傷病手当金の額に届かない場合は差額分を手当金として受け取れることも重要です。
勤務先にとってもメリットのある制度であり、手続きについては勤務先の担当者の他、協会けんぽや健康保険組合などに相談してください。
ここでは、臨床試験や治療法のトレンドについてご紹介していきます。新たな治療法について知りたい方は、ぜひチェックしてください。
東京都中央区に本社を置く中外製薬株式会社は、抗悪性腫瘍剤であるALK阻害剤「アレセンサ®カプセル150 mg」(一般名:アレクチニブ塩酸塩)について、以下のように発表しました。
2019年に厚生労働省より、「再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫」に対する適応拡大の承認を取得しました。
今回の承認は、2015年5月から実施された医師主導のALC-ALCL試験という治験の成績に基づいています。ALC-ALCL試験では、6歳から70歳の再発または難治性のALK陽性ALCLにかかっている10例を対象としているものです。奏効率(主要評価項目・中央委員会判定)に加え、安全性について検討しています。
主要評価項目とされる奏効率は80.0%(両側90%CI: 56.15~95.91%)という結果でした。副作用は全例で認められており、主に見られた症状は以下の通りです。
悪性リンパ腫は、リンパ系細胞由来の悪性腫瘍で骨髄を除くリンパ組織や非リンパ組織に原発するとされており、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫(NHL)に大きく分類されています。
未分化大細胞リンパ腫(ALCL)は、非ホジキンリンパ腫に属し、月単位で進行する「中悪性度」に分類されているのが特徴です。ALCLの国内における発症頻度は、悪性リンパ腫の1.5~2.0%となっており、その半数ほどがALK陽性です。
別途で実施されている国際共同研究にて、ALK陽性ALCLの化学療法による5年治療成功生存割合は60%と報告されています。以上のことから、40%が再発・難治例であると言われています。
アレセンサはクリゾチニブと比較して、副作用が少なく、有効性も高いという報告があります。そのため、医師たちは同じALK融合遺伝子の疾患であればALK阻害剤の効果は高いと考えていました。しかし、症例が極めて少ないとされる希少疾患のため、製薬会社主体では採算が合わず、開発研究は進まずにいました。
そのような状況の中、医師たちは多くの医療機関へ呼びかけ、共同となり、治療開発の準備をすすめていました。保険診療で使用可能な薬剤にするための臨床研究には多大な資金調達が課題となりますが、国の公的機関から研究費を取得し、製薬会社からALK阻害剤の無償提供を受けることにより臨床研究は進んでいます。
参照元:名古屋医療センター|悪性リンパ腫に新たな治療薬!ALK阻害剤アレクチニブが再発・難治性ALK陽性未分化大細胞リンパ腫に対し薬事承認を取得
中外製薬|アレセンサ、再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫に対する適応追加の承認を取得
東京都千代田区に本社を置くMSD株式会社は、抗PD-1抗体「キイトルーダ®(一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)」に関する発表をしました。2023年6月、キイトルーダ®(一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)は、再発または難治性の原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫の適応を追加する国内製造販売承認事項一部変更の承認を取得。
また、添付文書の「17.臨床成績」の部分に、古典的ホジキンリンパ腫について、KEYNOTE-204試験という、国際共同第3相試験のあらたな臨床成績を追加したことも発表となっています。
原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)と類似した特徴を持つ疾患です。日本において、DLBCLは非ホジキンリンパ腫(NHL)にかかっている方のおよそ3割強を占めており、発生頻度が高いとされています。
PMBCLは、若年層に多く見られる疾患であり、診断時の年齢の中央値は35歳とされています。原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)は、縦隔のリンパ節部分に、痛みのないしこりや瘤としてあらわれ、部位や大きさによっては、胸痛や咳といった呼吸器症状を伴うことが特徴です。
患者の10~20%ほどの方は化学療法を行っても治癒せず、再発もしくは難治性患者に対して、自家造血幹細胞移植(auto-HSCT)が有効なケースもあります。しかし、自家造血幹細胞移植が無効な方や、年齢、合併症などによってこの治療の適応とならない再発もしくは難治性PMBCL患者に対しての、標準的治療は確立されていないのが現状です。
ペムブロリズマブは、活性型T細胞上のPD-1とその細胞の機能を変化させる物質(PD-L1、PD-L2)の結合を妨げます。そうすることにより、細胞傷害性T細胞を活性化させ、腫瘍の増殖を抑えるとされるヒト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体。
複数のがんの臨床的予後とPD-L1発現の相関性が見られたことにより、腫瘍の免疫回避においてPD-1とPD-L1の経路が大切な役割を担っていることが示されています。以上のことから、PD-1とその物質であるPD-L1やPD-L2は、各種がん治療の標的として期待されています。
日本においては、2017年2月より悪性黒色腫や腎細胞がん、非小細胞肺がん、食道がん、頭頸部がんといった、さまざまな悪性腫瘍に対する薬剤としても使われているのが特徴です。
再発もしくは難治性PMBCLにかかっている方を対象とした、国内第I相試験と海外第II相試験において、同薬の有効性と安全性が確認されました。日本では、2022年12月にPMBCLに対する希少疾病用医薬品として指定されています。
参照元:MSD製薬|抗PD-1抗体/抗悪性腫瘍剤「キイトルーダ®」 再発又は難治性の原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫の単剤療法について承認を取得 および 1レジメン以上の化学療法歴を有する再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫患者を対象とした単剤療法の新たな臨床成績を添付文書に追加
参照元:日経メディカル|ペムブロリズマブ、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫に適応拡大
中外製薬株式会社は、2024年12月27日に製造販売承認を取得した抗悪性腫瘍剤/抗CD20/CD3ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「ルンスミオ®点滴静注1mg」および「ルンスミオ®点滴静注30mg」(一般名:モスネツズマブ(遺伝子組換え))について以下のように発表しました。
2024年12月「再発または難治性の濾胞性リンパ腫」の効能もしくは効果として、薬価収載され、販売を開始となりました。代表取締役・社長CEOの奥田 修氏は、「再発もしくは難治性の濾胞性リンパ腫は、再発を繰り返してしまう治癒が難しい疾患で、新たな治療法が求められている状況でした。
ルンスミオを単剤治療に用いることにより、寛解状態の維持が期待できます。加えて、患者ごとに治療効果を考慮した投与期間が決められているため、治療に伴う患者の負担軽減につながるでしょう」と話していました。
今回の承認は、以下の臨床試験結果に基づいたものとされています。
※両試験において、本剤の単剤投与による有効性や安全性にうちて評価されています。FLMOON-1試験は、過去に最低でも2つの標準治療歴があり、再発もしくは難治性の濾胞性リンパ腫にかかっている19名日本人の患者に対して実施。
主要評価項目である独立評価機関評価による完全奏効割合は、68.4%という結果でした。主な副作用は、以下の通りです。
海外第I/II相臨床試験は、過去に最低でも2つの標準治療歴のある再発もしくは難治性の濾胞性リンパ腫にかかっている90名の患者に実施。主要評価項目である独立評価機関評価による完全奏効割合は、57.8%という結果でした。主に見られた副作用は以下の通りです。
ルンスミオは世界61カ国にて承認されている薬剤。再発もしくは、難治性の濾胞性リンパ腫および再発もしくは難治性のアグレッシブB細胞性非ホジキンリンパ腫を対象として、静注製剤・皮下注製剤を開発中となっています。
対象者は、この薬剤を用いた治療は、抗CD20モノクローナル抗体製剤を合わせて、最低でも2つの標準的な治療が無効もしくは治療後に再発した患者。
用法および用量:通常、成人にはモスネツズマブ(遺伝子組換え)として、21日間を1サイクルとして、1サイクル目は1日目に1mg、8日目に2mg、15日目に60mg、2サイクル目は1日目に60mg、3サイクル目以降は1日目に30mgを8サイクルまで点滴静注を行う。
※8サイクルを終了した時に、完全奏効が得られた場合は投与を終了。また、状態が安定もしくは部分奏効が得られた方には、計17サイクルまで投与を継続。
※豊富な経験を有する病理医によって、Grade 1~3Aと診断された患者に投与する必要があります。
濾胞性リンパ腫は、Bリンパ球という白血球の一種であるリンパ球が、がん化して発生するリンパ腫の1つです。診断時、70~85%の患者が進行期に至るとされています。進行が緩やかなのが特徴であり、初期の頃は化学療法感受性が良好とされていますが、多くのケースで再発を繰り返します。
再発を繰り返すことによって、これまでの治療の効果が薄れるため、効果が期待できる新たな治療が求求められている状況です。日本における年間罹患者数は、およそ9,000人と推定されています。
参照元:中外製薬|再発又は難治性の濾胞性リンパ腫に対する二重特異性抗体「ルンスミオ点滴静注」国内発売のお知らせ
名古屋大学医学部附属病院血液内科に在籍する島田 和之 講師、同大学大学院医学系研究科血液・腫瘍内科学の清井 仁 教授、三重大学大学院医学系研究科先進血液腫瘍学の山口 素子 教授らは、国内の多施設の研究者と共同で、血管内大細胞型B細胞リンパ腫(IVLBCL)にかかっている方を対象とした世界初の前方視試験を実施しました。
2020年に報告された解析結果によると、治療成績は良好なものでしたが、長期間の観察による継続的な有効性・安全性の確認が必要な状況でした。今回、長期間観察を行ったところ、有効性が維持されていることの確認がとれ、この治療法の有効性・安全性がより揺るがないものであると確認できたとされています。
血液がんの一種である悪性リンパ腫は、さまざまな病型を持つことが特徴です。IVLBCL は、稀な悪性リンパ腫の一種であり、悪性リンパ腫の発症症状で見られやすい腫瘤が認められず、診断が難しいことで知られているがんです。
IVLBCL の治療は、R-CHOP療法(悪性リンパ腫の中の非ホジキンリンパ腫にかかっている方に対して行う表的な抗がん剤治療)が行われていました。しかし、経過中に脳などの中枢神経へ病変が拡大しやすいことが、治療上の課題でした。
また、悪性リンパ腫の中で稀なタイプであり、診断が困難なことがあるため、IVLBCL に対する治療を評価した試験報告は、2020 年に報告された解析結果の報告以外はなかったとされています。
今回の研究では、R-CHOP療法と中枢神経への病変拡大を予防する治療(高用量メトトレキサート療法+髄腔内抗がん剤注射)を組み合わせた治療を試験治療とする「臨床第Ⅱ相試験」を実施。
試験の対象者と結果については以下をご覧ください。
今回長期間の観察結果の確認が取れ、5年無増悪生存割合は68%、5 年全生存割合が 78%、5年二次性中枢神経浸潤累積発症割合は3%でした。
最初に行われた解析以降、新しく病気の再発が見られた方や、中枢神経に病変拡大が起きた方も認められなかったことから、治療効果は持続的なものであると判明しました。
最初の解析以降で見られた副作用は、許容範囲内だったとされています。この研究は、IVLBCL を対象に行われたはじめての試験であり、最初の解析結果が報告されて以来、この治療法は、現在日本で行われている標準的治療法の1つとして、実際の診療で行われています。今回の解析結果から、その方針に間違いはなかったことが証明できたと考えられます。
上記は、英科学誌Lancet系列のオープンアクセス誌である「eClinicalMedicine」電子版に掲載となっています。
参照元:名古屋大学|血管内大細胞型 B 細胞リンパ腫に対する世界初の臨床試験の長期成績の公表 〜患者さんの予後の改善につながる標準的治療法の持続的な効果が明らかに〜
米国食品医薬品局(FDA)は、2025年1月16日、自家造血幹細胞移植(HSCT)が非適応かつ、未治療のマントル細胞リンパ腫の成人患者を対象に、アカラブルチニブとベンダムスチン、およびリツキシマブの併用療法について承認をしました。
FDAは、既存治療である、マントル細胞リンパ腫の成人患者に対する単剤として、アカラブルチニブについて従来の承認も行いました。2017年アカラブルチニブは、この適応症に対し、迅速承認されています。
有効性については、独立審査委員会によって評価された無増悪生存期間(PFS)に基づいています。追跡期間の中央値は、49.8カ月となっており、統計的に見て、アカラブルチニブ群のPFSは有意に長くなったとされています。アカラブルチニブ+BR併用投与群の患者の69%に重篤な副作用が見られ、12%に致命的な副作用が確認されました。重篤な副作用(患者の2%以上に報告された症状)は、以下の通りです。
アカラブルチニブの推奨用量は、病気の進行もしくは許容できない毒性が出現するまで、およそ12時間ごと100 mg経口投与となっています。
参照元:がん治療・癌の最新情報 | リファレンス|米FDAがマントル細胞リンパ腫にアカラブルチニブ+ベンダムスチン+リツキシマブ併用を承認
人工知能(AI)の技術としてディープラーニング(深層学習)が世界的に研究されていますが、筑波大学ではAI技術の深層学習を活用することで、非機能性膵神経内分泌腫瘍の術前リンパ節転移をCT画像から予測する画像学的モデルが開発されました。これにより、患者へ負担をかけることなく、CT画像のデータをベースとしてAIによるリンパ節転移のリスクを検討できるようになり、治療戦略の選択肢が新たに広がった点が重要です。
そもそも非機能性膵神経内分泌腫瘍は発見が困難で、特に2cm以下のサイズについては手術の必要性などについても議論の対象になっています。また、術前リンパ節転移診断として明確な方法は存在していません。
筑波大学では腫瘍サイズの大小にかかわらず、様々な画像データとディープラーニング技術を組み合わせて予測モデルを開発し、またその精度についても一貫性があったことを報告しています。
参照元:TSUKUBA JOURNAL|CT画像から腫瘍の術前リンパ節転移を予測するAI技術を開発
大腸癌患者で手術を受けた後、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)を調べることでリンパ節転移のリスクを層別化できることが示唆されました。
同研究は札幌医科大学の三代雅明氏が、2024年1月にアメリカのサンフランシスコで開催された「ASCO Gastrointestinal Cancers Symposium(ASCO GI 2024)」において発表しており、同氏によれば病理学的T1(pT1)大腸癌の術後の術後血中循環腫瘍DNA(ctDNA)が陽性であった場合、リンパ節転移のリスクが高いことが発見されました。
これにより、大腸癌患者の術後のリンパ節転移について、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)を測定することでリスクの有無を分類し、患者の層別化を行える指標になる可能性が生まれたことは無視できないポイントです。また、現状において多くの患者が過剰治療を受けている可能性についても検証や是正に寄与することが期待されています。
参照元:がんナビ|術後ctDNAはpT1大腸癌におけるリンパ節転移のリスク層別化を改善する可能性【ASCO GI 2024】
2022年10月に東北大学が発表した内容によれば、早期の転移リンパ節癌に対して、生理食塩水よりも粘度や浸透圧の高い薬剤を活用してリンパ節の物理的環境を調整することで、リンパ行性薬剤送達法を用いた抗がん剤「カルボプラチン」の治療効果を高められるとされています。
なお、同研究は東北大学大学院医工学研究科腫瘍医工学分野と岩手医科大学医学部耳鼻咽喉科頭頸部外科学講座のメンバーらによる共同研究であり、「Cancer Science誌」電子版にも研究成果が発表されました。
同研究では、リンパ節の中を流れるリンパ液へのアプローチや、薬剤投与されたリンパ液がどのように腫瘍細胞へ影響を及ぼすかといった観点から検証が進められ、薬剤の浸透圧と粘度を高めることでリンパ洞の拡張を導いてリンパ節の構造を変化させ、腫瘍増殖を抑制する効果も高まることが発見されています。
参照元:医療NEWS|転移リンパ節、「浸透圧・粘度が高い抗がん剤」がより有効な可能性-東北大ほか
東京大学大学院工学系研究科の片岡一則教授率いる研究グループは転移したがんに対し、がん治療で欠かせない白金制がん剤を内包した30ナノメートル、70ナノメートルの高分子ミセル型ナノキャリアと、80ナノメートルのドキソルビシン内包リポソームの効果を比較検討。
その結果、30ナノメートルのナノキャリアのみがリンパ節に転移したがん巣内の血管をすり抜け、転移巣の深部へと浸透することがわかりました。
今回の実験で、リンパ節に転移したがん治療で使用するナノキャリアを設計するうえで、粒径を制御することが重要ということが示されているとのことです。
この成果は、リンバ節に転移したがんを狙い通りに届ける、ドラッグデリバリーシステムの開発に役立つことが期待されています。[注1]
岡山大学大大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学分野の藤原俊義教授・岸本浩行助教・菊地寛次医師たちの研究グループは、がん細胞を選択的に殺傷する遺伝子改変ウイルス製剤テロメライシンを使用し、消化器がんのリンバ節転移をダメージが少なく消去できる新しい治療法を開発しました。
マウスの直腸にヒト大腸がん移植し、効果を実証しました。その結果、投与されたテロメライシンはリンパ流に乗り、リンパ節に到達。転移したがん細胞で増え続けるがん細胞を選択的に殺傷することに成功しました。
今回の実験の成果から、テロメライシンを内視鏡切除の際に合わせて使用することで、リンパ節転移があったとしても除去できれば外科切除をせずに胃や大腸を温存し、治療後の生活の質を高く保てることが期待されています。[注2]
2025年6月13日に国立がん研究センター希少がんセンターと富山大学、そして近畿大学の3者共同により、オンラインセミナー「地域の希少がんを支えるPart3」が開催されました。
セミナー内では様々な医師や研究グループがそれぞれの癌研究に関する報告や発表を行っており、その中で富山大学附属病院腫瘍内科・緩和ケア内科教授の林龍二氏からリンパ節転移を生じた癌患者に関する発表が行われました。
林氏は地方の癌治療や治験についての取り組みを発表する中で、膵臓を原発とする神経内分泌腫瘍(膵NET)で多発肝転移と傍大動脈リンパ節転移を発生した50代の男性患者の臨床例を報告しています。同患者は愛知県がんセンターの医師によるオンライン診療や郵送によって自宅に届けられた治験薬を活用しながら、一度も愛知県がんセンターに来院することなく治験に参加できたそうです。また結果として原発巣が縮小した上、肝転移なども不明瞭となり、職場復帰を叶えられたことは見逃せないでしょう。
※参照元:病院間の連携が徐々に進む北陸地方と近畿地方の希少がん診療
2025年5月14日から17日までの期間、ドイツのミュンヘンで開催された「ESMO Breast Cancer 2025(ESMO Breast 2025)」において、ドイツの研究グループが、HER2陽性早期乳癌の治療法としてペルツズマブとトラスツズマブ、そして化学療法の3つを併用することで全生存期間(OS)が有意に改善したという研究結果を発表しました。
また、同研究ではHER2陽性早期乳癌の術後補助療法に「ペルツズマブ+トラスツズマブ+化学療法」の併用療法を採用することで、「トラスツズマブ+化学療法」の2種併用よりも死亡リスクを17%低減しただけでなく、さらにリンパ節転移が認められた患者に対しては死亡リスク21%低減という改善効果が得られたという点も重要です。
上記の結果から、リンパ節転移を有する乳癌患者にとってより良い治療法の選択が叶えられることが期待されています。
※参照元:がんナビ|HER2陽性早期乳癌の術後療法でペルツズマブとトラスツズマブ、化学療法の併用はトラスツズマブと化学療法の併用より全生存期間を有意に改善【ESMO Breast 2025】
遺伝子操作技術が進歩したことに伴い、身体の免疫細胞を人工的に生成し、がんへの攻撃スイッチを入れられるようになったのをCAR-T細胞と言います。 CAR-TのTとは、リンパ球のT細胞を指します。CARは、Chimeric Antigen Receptor(キメラ抗原受容体)の略です。
キメラとは、ギリシャ神話に登場する、ライオンの頭、山羊の体、毒蛇のしっぽを持っている怪物のことです。植物のつぎ木もキメラの一種とされています。 CAR-T細胞は、T細胞に何をつなげたのでしょうか。
がんに対して、免疫が機能するためには3つのステップが必要です。
それぞれのステップにおいては、安全装置がセットされており、暴走しないようになっています。
上記の1と2を同時に行うのがCARであり、いわば安全装置が解除された高性能センサーのような機能を備えています。
現在、わが国において保険で承認されているCAR-T(キムリアⓇ)は、CD19というたんぱく質をセンサーで発見して攻撃するCAR(センサー)がT細胞に埋め込まれています。
これは、CD19が出ているとされる悪性リンパ腫や白血病が対象となるのが特徴です。
この治療を受けるには、患者の身体からT細胞を取り出し、遺伝子組み換え技術を使い、CARを発現させ身体に戻していきます。キムリアⓇの薬価は、およそ3350万円と、承認当時の医薬品としては、非常に高額のためニュースにもなりました。
参照元:都立駒込病院|悪性リンパ腫を免疫で治す。CAR-T(カーティー)細胞療法とは?
2024年8月抗悪性腫瘍薬ピルトブルチニブ(商品名ジャイパーカ錠50mg・同錠100mg)が発売となりました。この薬剤は、6月24日に製造販売が認められ、8月15日に薬価収載されています。
適応となっているのは、他のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬に抵抗性もしくは、不耐容の再発または難治性のマントル細胞リンパ腫です。
用法用量は、成人へ1日1回200mgを経口投与。(患者の状態により適宜減量)
B細胞性非ホジキンリンパ腫の1種である、マントル細胞リンパ腫(MCL)は、リンパ節濾胞のマントル層を構成しているB細胞と同様の細胞表面形質を備える稀な血液腫瘍のことです。
繰り返し再発する難治性の疾患で、予後不良とされており、病状が進行すると、骨髄・脾臓、・肝臓・消化管に浸潤してしまう可能性があります。
日本においては、BTK阻害薬のイブルチニブがMCLの一次治療に使用可能です。しかし、イブルチニブによる治療後に増悪したケースでは、極めて予後不良となるなど、既存のBTK阻害薬では治療効果が不十分なMCLの方に対する標準的な治療は確立されていないのが現状でした。
ピルトブルチニブは、イブルチニブと同じBTK阻害薬です。BTKの481位システイン(C481)に共有結合する既存のイブルチニブとは異なり、ATP結合ポケット内の複数のアミノ酸に非共有結合することでBTKキナーゼ活性を阻害し、B細胞性腫瘍の増殖を抑える可逆的非共有結合型BTK阻害薬だとされています。
このことから、BTKのC481がセリンに置換された耐性変異のあるB細胞性腫瘍に対し、BTKの活性部位に非共有結合して、BTKキナーゼ活性を阻害することによって腫瘍増殖抑制作用を示すことが期待されています。
参照元:日経メディカル|既存薬に抵抗性のマントル細胞リンパ腫に経口薬
国立研究開発法人国立がん研究センター研究所と米国ペンシルバニア大学は、双方の共同研究の成果に基づき特許出願された「CCR4標的キメラ抗原受容体T細胞療法」について、同特許の実施権を国立がん研究センター発ベンチャー企業であるARC Therapies株式会社に許諾しました。
これによって、日本に多いとされる成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)をはじめとする、T細胞のがんに対する細胞療法の臨床開発が開始となります。また、このCCR4 CAR-T細胞療法は、固形がんに対しても治療が期待されており、固形がんでの臨床開発も視野に入れて取り組みが行われています。
1962年設立の国立がん研究センター研究所は、設立以来、日本のがん研究を統率してきました。米国ペンシルバニア大学は、先駆的な研究と共同開発を行っており、2017年世界で初めてFDAによるCAR-T細胞療法製剤の承認を取得し、現在も次世代型を含めCAR-T細胞療法の研究でリードしています。
参照元:国立がん研究センター|成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)などへの細胞療法開発が始動
モスネツズマブ単剤治療は、再発を繰り返し起こしており治癒が困難とされる濾胞性リンパ腫の患者さんに対し、寛解が期待できる結果を提示しました。今回の研究では、モスネツズマブが、再発もしくは難治性の濾胞性リンパ腫の患者さまの新たな治療選択肢となる重要なステップになるとされています。
東京都に本社を置く中外製薬株式会社は、抗CD20/CD3バイスペシフィック抗体モスネツズマブについて、これまでに2レジメン以上の全身療法を受けたことがある再発もしくは難治性の濾胞性リンパ腫を予定適応とし、厚生労働省に製造販売承認申請を行いました。
代表取締役社長の奥田氏は、「モスネツズマブは、臨床試験で単剤治療にて持続的な寛解が期待できるという結果を提示。また、長期間の継続投与や入院が必要とされる、これまでの濾胞性リンパ腫の治療とは異なります。あらかじめ投与期間が定められているため、治療に伴う通院負担を軽減できる可能性があります。患者さまの予後・社会生活を変える可能性のある本剤を、なるべく早く患者さまにお届けできるよう、連携を取りながら勧めていきます」と話しています。
参照元:中外製薬|モスネツズマブ、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫に対し国内で製造販売承認申請
アッヴィ・米国 FDAは、再発もしくは難治性の濾胞性リンパ腫の治療薬として EPKINLY®(エプコリタマブ)の 2 番目の適応を承認しました。
EPKINLY®(エプコリタマブ)は、再発もしくは難治性(R/R)の濾胞性リンパ腫(FL)および R/R のびまん性大細胞型 B細胞リンパ腫(DLBCL)を患っている患者さまの治療薬として、アメリカではじめてかつ、唯一承認された薬剤です。
二重特異性抗体は、免疫系に作用することで標的細胞死を誘導するよう設計されています。濾胞性リンパ腫は、現在の標準治療では治癒が困難と考えられています。 R/R の濾胞性リンパ腫のある多くの患者さまは、 既存の治療法では治療選択肢が限られ、生存期間が短縮する傾向にあるのが現状です。
この適応は、全奏効率(ORR)と効果の持続性にもとづき、FDA の迅速承認プログラムのもと承認されたのです。
※この適応に関する承認の継続には、検証試験で臨床的有用性を検証・説明することが条件となっています。
白血病リンパ腫協会のチーフサイエンティフィックオフィサーは、「濾胞性リンパ 腫の患者さまは再発した場合、さらなる選択肢が必要です。今回の承認は、患者さまにとって喜 ばしい出来事であり、治療困難ながんの治療法に新たな手段をもたらしたといえます」とコメントしています。
参照元:アッヴィ、米国 FDA が再発又は難治性の濾胞性リンパ腫の治療薬として/EPKINLY®(エプコリタマブ)の 2 番目の適応を承認PDF
厚生労働省は、8月16日「ブレヤンジ静注」の最適使用推進ガイドラインを改訂し、さまざまな留意点を医療現場に求めたとされています。「ブレヤンジ静注」は、再発・難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫や原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫など)や、再発・難治性の濾胞性リンパ腫の治療に使用する薬剤です。
※CD19抗原を標的としたキメラ抗原受容体発現T細胞輸注療法の治療歴のない方限定。
以前、再発・難治性の濾胞性リンパ腫については、グレード3Bに対しての使用が認められていましたが、この度グレード1・2・3Aに対して使うのも認められることとなりました。これに合わせ、最適使用推進ガイドラインの改訂も行われたのです。がんと闘っている方にとって、闘うための武器がまた1つ増えたこととなり、朗報だと言えます。
参照元:Gem Med|画期的がん治療薬「ブレヤンジ静注」、「グレード1、2、3Aの再発・難治性の濾胞性リンパ腫」にも効能・効果拡大しGLも改訂―厚労省
第Ⅲ相ECHO試験おいて、アストラゼネカのカルケンス®(一般名アカラブルチニ)とベンダムスチンとリツキシマブとの併用療法は、前治療歴のないマントル細胞リンパ腫の患者さまにおいて、標準治療である化学免疫療法(ベンダムスチン+リツキシマブ)と比べて、統計学的に、有意であり臨床的に意義のある無増悪生存期間(PFS)の改善を示し、全生存期間(OS)において良好な結果が見られました。
これらの結果は、スペインで開催された2024年欧州血液学会のレイトブレーキングオーラルプレゼンテーションで発表されました。カルケンス併用療法群は、標準治療である化学免疫療法群と比べ、病勢進行もしくは死亡のリスクを27%低減したといわれています。
副次評価項目であるOSでも、カルケンス併用療法群は標準治療である化学免疫療法群と比べ、良好な傾向が見られ、本併用療法の臨床的ベネフィットがより裏付けられました。
参照元:アストラゼネカ|カルケンスと化学免疫療法の併用療法、第Ⅲ相ECHO試験において、前治療歴のないマントル細胞リンパ腫の患者さんにおける病勢進行または死亡リスクを標準治療と比較して27%低減
エザルミアという薬剤が、再発もしくは難治性の末梢性T細胞リンパ腫の治療薬として国内で承認されました。第一三共株式会社は2024年6月、バレメトスタットが、「再発もしくは難治性の末梢性T細胞リンパ腫」の効能、または効果にかかわる製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表しました。
今回の承認は、VALENTINE-PTCL01試験の結果にもとづいたものです。
VALENTINE-PTCL01試験は、再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫患者さまを対象としたものであり、バレメトスタットの有効性や安全性を評価した第2相試験のことです。主要評価項目は、奏効率・有害事象数・副次的評価項目は血漿中濃度・奏効期間・完全奏効率・完全奏効期間・部分奏効率などとなっています。
解析した結果、完全奏効14.3%・部分奏効29.4%という結果でした。奏効期間の中央値は、11.9か月、無増悪生存期間の中央値は5.5か月となっています。第一三共株式会社は、以下のように述べています。
「本剤は、末梢性T細胞リンパ腫治療を対象に承認されたEZH1/2阻害剤です。2019年、再発もしくは難治性の末梢性T細胞リンパ腫の治療を対象に、厚生労働省より先がけ審査指定制度の対象品目に指定されました。2024年1月に製造販売承認事項一部変更承認申請を実施しました。日本で承認を受けた適応症は、再発もしくは難治性の成人T細胞白血病リンパ腫に続いて2つ目となっています」
参照元:がんプラス|エザルミア、再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫の治療薬として国内承認
東京都に本社を構えるシンバイオ製薬株式会社は、抗ウイルス薬ブリンシドフォビルのシンガポール国立がんセンターとの共同研究成果が、2024年4月から米国サンディエゴで開催される米国がん学会(AACR Annual Meeting 2024)において発表されます。
この度の発表では、以下の研究成果が公表されることになっています。
参照元:シンバイオ製薬株式会社|B細胞リンパ腫に対するブリンシドフォビルの抗腫瘍効果 AACR Annual Meeting 2024における研究成果の学会発表
2023年11月抗悪性腫瘍薬エプコリタマブ(商品名エプキンリ皮下注4mg・同皮下注48mg)が薬価収載と同時に発売となりました。この薬剤は、9月25日に製造販売が承認されていました。適応となるのは、以下の再発もしくは難治性の大細胞型B細胞リンパ腫など。再発または難治性の濾胞性リンパ腫となっています。
エプコリタマブは、CD3とCD20に結合するヒト化IgG1二重特異性モノクローナル抗体のことです。T細胞の細胞膜上に発現するとされるCD3とB細胞性腫瘍の細胞膜上にあらわれる、CD20の両者に結合することによって、T細胞の増殖と活性化を誘導、CD20陽性の腫瘍細胞を傷害するといわれています。
二重特異性抗体は、1分子が複数の抗原結合部位を備えており、複数の抗原に対して特異性を有しています。近年、二重特異性抗体はがん免疫分野や薬物送達システム(DDS)への応用が期待されており、CD3・CD19の抗原に特異性を持つ遺伝子組換え製剤ブリナツモマブ(ビーリンサイト)が、再発または難治性のB細胞性急性リンパ性白血病の適応で2018年11月より臨床使用されています。
参照元:日経メディカル|難治性のB細胞リンパ腫に二重特異性抗体製剤
2022年2月8日、近畿大学理工学部生命科学科の早坂晴子准教授らによる研究グループは、細胞移動誘導因子であるタンパク質「ケモカイン」の機能解析によって、乳癌細胞がリンパ節へ転移するメカニズムの解明を果たしたことを日本癌学会機関誌「Cancer Science(オンライン版)」で発表しました。これにより、乳癌からリンパ節への転移癌が発生する機構をさらに応用研究することで、その他の様々な癌の転移メカニズムを解明し、転移リスクの軽減や転移癌の予防に貢献することが期待されています。
同研究では、そもそも細胞の組織移動やリンパ節転移に関与する物質として知られていたケモカインが、実際にどのようなメカニズムでリンパ節転移を促進するのか、マウス乳癌形成モデルを用いて解析されました。
その結果、まず乳癌組織においてケモカインCXCL12が発現し、それがさらにリンパ管内皮細胞のケモカインCCL21の産生を誘発することで、リンパ節への癌細胞移動が導かれることが判明しました。また、これによって体内にある癌細胞の移動や転移に関しても、原発巣や転移巣など複数のポイントで発現されるケモカインが相互作用を起こしている可能性が示唆されています。
※参照元:近畿大学|乳癌細胞のリンパ節転移につながるメカニズムを解明 細胞移動を誘導するタンパク質の解析による癌転移の詳細解明に期待
臨床的リンパ節転移陰性乳癌において、センチネルリンパ節へ目に見える癌転移が存在する場合、外科治療としてセンチネルリンパ節郭清も合わせて実施されています。
スウェーデン・カロリンスカ研究所のJana de Boniface氏による研究チームは、センチネルリンパ節郭清が本質的に必要不可欠な外科治療であるか確かめるべく検証を実施。臨床的リンパ節転移陰性乳癌の患者において、センチネルリンパ節生検を行うのみでセンチネルリンパ節郭清を行わない「完全腋窩リンパ節郭清省略グループ」と、「センチネルリンパ節生検+完全腋窩リンパ節郭清グループ」を分類し、それぞれのグループの5年無再発生存率を比較しました。
なお同研究はスウェーデンやドイツ、デンマーク、ギリシャ、そしてイタリアの 5か国で合計67病院が参加し、2015年1月~2021年12月に登録された患者を対象として実施され、2024年4月4日号のNEJM誌で結果が報告されています。
結論として、両者のグループにおける5年無再発生存率を比較したところ、センチネルリンパ節郭清を省略したグループの結果は、郭清を実施したグループに対して劣っていないことが判明しました。
以上の結果から、放射線療法や全身療法を適切に実施した場合、センチネルリンパ節郭清は省略可能であると示唆されています。
※参照元:CareNet|センチネルリンパ節転移乳がん、腋窩リンパ節郭清は省略可?/NEJM
京都大学と三重大学、東北大学などの研究者で構成される共同研究グループによって、乳癌細胞がリンパ節転移の過程でCD169陽性マクロファージを選択的に排除し、免疫寛容を引き起こして転移リスクを増加させている可能性があることが発見されました。またこの研究成果は2024年8月21日に国際学術誌「eBioMedicine(オンライン版)」で国際的にも発表されています。
CD169陽性マクロファージは抗腫瘍免疫における重要な因子として考えられていましたが、6人の乳癌患者からそれぞれ転移リンパ節と非転移リンパ節を採取して患者ごとの相互解析を行ったところ、同一患者間で転移リンパ節のマクロファージ関連遺伝子の発現率が低下していることが発見されました。また、特にCD169陽性マクロファージのバイオマーカーとして「SIGLEC1」の遺伝子発現量が低下していることを突き止め、結果として癌細胞に対するT細胞の機能が抑制されていることが想定されました。
本研究において、CD169陽性マクロファージが転移癌によりどのように抑制されているのか具体的なメカニズムは未解明とされていますが、少なくともリンパ節転移癌と免疫システムの関係性をつなげる重要な因子であり、今後はさらなる究明が進められていく予定です。
※参照元:医療NEWS|乳がん、新たな治療戦略としてCD169陽性マクロファージの重要性判明-京大ほか
※参照元:日本経済新聞|京大・三重大・東北大、乳がんのリンパ節転移の過程でCD169 陽性マクロファージが選択的に排除されることを解明
順天堂大学大学院医学研究科産婦人科学講座や理化学研究所や予防医療・診断技術開発プログラムなどによる共同研究グループは、子宮体癌の原発巣の癌遺伝子解析を行った結果、リンパ節転移群における特徴的な遺伝子の発現を特定し、それをバイオマーカーとして同定することで子宮体癌からリンパ節への転移をチェックする識別メカニズムを解明しました。
本研究では、まずリンパ節転移陽性群と、リンパ節転移を起こしていない群の両者間で遺伝子発現における有意差があると考え、それぞれの群の癌遺伝子におけるゲノム解析を行いました。そしてその結果、リンパ節転移を起こしている陽性群において特徴的な遺伝子として「TACC2新規アイソフォーム」と「SEMA3D」が同定されたという経緯です。
これらの2つの遺伝子由来タンパク質は、子宮体癌からリンパ節への転移を示すバイオマーカーとしても同定されており、これら2種類の遺伝子発現量を相互参照することでAUC:92.2%という高精度の識別が可能になっています。
上記の研究により、将来的に子宮体癌からリンパ節への転移リスクを速やかに発見して予防医療の品質を向上させる方法の開発が期待されます。
※参照元:PR TIMES|子宮体がん病巣よりリンパ節転移を見分けるバイオマーカーの発見
2018年1月31日、東芝デジタルソリューションズは千葉大学フロンティア医工学センターの林秀樹教授を中心とする研究グループと共同で、東芝アナリティクスAI「SATLYS(サトリス)」を病理活用した、胃癌のリンパ節転移巣検出における画像診断システムの研究開発をスタートさせると発表しました。
これはAIのディープラーニング(深層学習)を応用した病理診断領域におけるAI活用技術であり、HE染色法によって着色された数多くの転移リンパ節組織像をAIに学習させてデータベースを構築し、それぞれの診断結果を適切に評価・分類することで、病理AIによる専門医レベルの病理診断(画像診断)を可能にしようという研究です。
病理AIによって胃癌のリンパ節転移の診断をアシストできるようになれば、病理専門医の負担を軽減し、また将来的な治療法の検討や術後QOLの向上にも寄与することが期待されています。
本開発プロジェクトでは数多くの画像をサンプルとして、正確な病理診断を行い、その成否をディープラーニングによって学習データ化することがカギとされており、ドメインエキスパートとしての病理医と、デジタル化を主導するデータサイエンティストの連携が重要とされています。
※参照元:MONOist|AIによる胃がんのリンパ節転移巣検出の共同研究を開始
※参照元:東芝デジタルソリューションズ株式会社|病理医の知識をデータサイエンティストがデジタル化 ディープラーニング技術で胃がんの病理診断を支援
日本皮膚科学会西武支部が発行した「西日本皮膚科(2005)」において、悪性黒色腫の患者から20年後に左鼠径部のリンパ節へ癌転移が発生した事例が報告されています。
一般的に、悪性黒色腫の再発や癌転移は最初に治療を受けてから10年以内に発生するとされており、10年以上が経過した後に癌転移が発生することは非常にレアなケースと考えられています。しかし、事実として20年前に悪性黒色腫の治療を受けた患者において、術後20年後に左鼠径部のリンパ節転移が発生した事例が報告されており、従来のイメージにとらわれない注意やリスク管理が重要と考えられることもポイントです。
なお、本研究のケースでは10年以上の無病気を経ての転移・再発となっており、遅発転移に関する危険性や、それについてのメカニズムなどが考察されています。
その他、関連する臨床例として、20年前に背部悪性黒色腫の切除を受けた女性患者における、脳転移や肺転移といったケースも引用文献として参照されています。
参照元:CiNii Research|20年後に左鼠径部にリンパ節転移を生じた悪性黒色腫の1例
アメリカのテキサス州ヒューストンにあるベイラー医科大学のSeth P. Lerner医師を責任者とする研究チームは、膀胱癌の治療の一環として拡大リンパ節摘出術を実施する意義や効果についての試験結果を、2024年10月2日付けの「New England Journal of Medicine誌」において報告しました。
まず一部の膀胱癌の治療法として、膀胱と周囲にあるリンパ節をまとめて摘出するリンパ節郭清が行われており、さらに局所性筋層浸潤性膀胱癌の患者においては、一般的なリンパ節郭清を実施する場合と、一層に広範囲となる拡大リンパ節郭清が実施される場合の2パターンが考えられます。
いずれの治療法も通常に行われているものですが、具体的に両者の有意性を比較した研究は少なかったことがポイントです。なお、2019年の研究で、拡大リンパ節郭清を行っても生存期間が改善されないという可能性は示唆されていました。
今回の研究では改めて米国やカナダの27施設が協力して統計的なデータ検証を行い、結論として両者に統計学的な有意差がないことが見出されました。
参照元:海外がん医療情報リファレンス|膀胱がんへの拡大リンパ節摘出術は生存転帰改善に差がないとの試験結果
アメリカのジョージア州アトランタにあるエモリー大学医学部のMichael C. Lowe医師によれば、進行卵巣癌の患者において原発巣から転移が認められない場合、リンパ節郭清を行う必要がない可能性があると示唆されています。また、これによって患者の合併症といった術後リスクを軽減し、予後の改善やQOLの向上に寄与できるといった可能性も無視できません。
本研究は、進行上皮性卵巣癌の患者379人を対象として、手術中のリンパ節切除に関する意義や、リンパ節郭清の有無における術後の状況の比較などを行いました。なお、研究結果は2024年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会において発表されています。
研究チームによる検証結果によって、2019年発表のLION臨床試験において生じていた「術前化学療法後リンパ節切除を考慮した最適な戦略」についての疑問に1つの答えが得られたとされており、リンパ節郭清を行った88%の患者と、行っていない86%の患者にそれぞれ癌の残存は認められませんでした。
参照元:海外がん医療情報リファレンス|【ASCO2024年次総会】進行卵巣がんにリンパ節郭清が不要である可能性