いちから分かる癌転移の治療方法ガイド

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胃癌の転移

胃から転移した癌や、胃に転移しやすい部位の癌について、その特徴や治療方法などをまとめました。

胃癌の転移先や治療法、そして胃に転移した癌の特徴

胃癌が転移を起こしやすいのは、リンパ節や腹膜。次いで多いのが肝臓と言われています。胃がんが発見された場合、まだ転移が発見されてなかったとしても、予防的な治療を施すのが一般的です。

最近では胃がんの転移リスクをある程度予測することができるので、それに基づいた予防治療が行われています。

がんの深さが粘膜および粘膜下層までのものを「早期胃がん」、深さが粘膜下層を越えて固有筋層より深くに及ぶものを「進行胃がん」といいます。がんが胃の壁の内側から外側に向かって深く進むにしたがって、転移することが多くなります。加えて、悪性度(分化度)やリンパ管・血管侵襲の有無なども、転移リスクの重要な要素として考慮されます。

引用元:国立がん研究センター がん情報サービス_胃がん 基礎知識
https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/print.html

この2種類の胃癌のうち、進行胃癌のように、癌の深さが深くなるほど転移するリスクが高いとされています。早期胃癌であれば胃癌の治療に集中できますが、進行胃癌であれば、転移を予防する治療も同時に行っていく必要があるでしょう。

ここでは、リンパ節、腹膜、そして肝臓、それぞれへの転移について、その特徴を見ていきましょう。

リンパ節転移

リンパ節への転移は、癌細胞が胃の粘膜に侵食していくことで起こります。

粘膜の表面だけに腫瘍がある場合はリンパ節転移が起きにくく、3%程度の割合と考えられます。しかし粘膜の下層まで癌細胞が達すると、約20%リンパ節転移が起きていると言われています。

粘膜表面の胃がんは、内視鏡手術によって治療が可能です。しかし粘膜下層に達している場合は、原発巣だけでなくリンパ節の切除を行うのが普通です。ひとつでもリンパ節の転移を取り逃せば、再発の危険性はかなり大きくなります。

症状

リンパ節は普段、体を触ったとしてもどこにあるのかわかるものではありません。ですが、胃癌がリンパ節に転移した場合、触った際にわかるようになります。そのため、しこりが代表的な症状だといえるでしょう。

他にはしこり以外の自覚症状が出ることもあります。ただし、胃癌のリンパ節転移で「しびれ」や「腕のだるさ」が現れるのは極めて稀であり、他の要因で生じることが多いため、確定診断には医師による精査が必要です。

治療方法

リンパ節転移が疑われる場合の標準治療は、胃を3分の2~すべて摘出し、転移可能性のあるリンパ節をすべて切除します。切除の範囲の決定は、再発や転移を防ぐ意味で非常に重要ですが、まだ定まっていないのが現状です。

腹膜播種

次いで多い転移が、腹膜への播種です。

癌細胞が胃壁へ侵食し、やがて胃壁を突破すると、癌細胞は臓器を覆っている腹膜という組織へ散らばっていきます。これが生着することで転移を起こすものを「腹膜播種」と呼びます。

腹膜播種は肉眼での発見がしにくく、がん性腹膜炎などで自覚症状が出て初めて発見されることが多いようです。しかし、自覚症状が出る時点ではかなり症状が進んでいる状態です。

症状

初期の段階ではほとんど症状が出ません。ですが、進行した場合には次のような症状が見られるようになります。

まず、お腹に水がたまるということ。腹水がたまると呼吸困難の症状が表れるケースも多く、張りや痛みなどを感じることもあります。健康な方であれば腹水が発生した際には腹膜が水分を吸収するのですが、腹膜播種になると癌のせいでうまく腹膜が機能できなくなり、水を溜め込んでしまうのです。

また、癌細胞が大きくなった場合には腸管を圧迫することがあるのですが、これにより食べ物の通りが悪くなり、腸閉塞に発展してしまう場合も多いです。腸閉塞が発生した場合には腹部に激しい痛みがあり、吐き気や嘔吐を感じる方もいます。

この他にも肝臓やすい臓に障害が起きるために黄疸が出ることもあり、発症した場合にはかゆみが発生するのも特徴です。

治療方法

抗がん剤による全身化学療法が主な治療法とされており、QOLを高めることが目標です。治療選択肢としては、抗がん剤を溶かした水溶液による腹腔内化学療法、あるいは広範囲にわたる切除手術が検討されますが、いずれも治療効果と身体的負担のバランスを考慮する必要があります。

放射線治療は腹膜播種に対して原則、適応外であるため、併用は一般的ではありません。

肝転移

胃癌が肝臓に転移した場合の特徴は、複数の発生の可能性が高いことが挙げられます。発見した転移を取り除いても、すぐに再発する可能性が高いようです。

症状

初期の段階はほとんど症状がありません。進行しなければ症状が出ないのが厄介な点で、進行した場合には肝機能の低下によりだるさを感じることがあります。運動したわけではないのにだるさが続き、疲れが抜けないと感じる方が多いです。

また、黄疸が現れることもあります。こちらは目に見えてわかる変化の一つです。他にも腹膜播種の項目で紹介したのと同じように腹部の張りを感じることもあり、どれくらいまで症状が進行するかによって感じられる異常は異なります。

最終的には痛みなどの症状も出るようになるのですが、こういったものが見られる段階にまで来るとかなり状態は進行していると言えるでしょう。

治療方法

肝転移を起こしている時点でリンパ節や腹腔播種を起こしていることが多いため、切除手術は避けられる傾向にあります。動脈に抗がん剤を注入する肝動注療法によって、ある程度生存期間を延ばす効果が得やすいとは言われています。

胃への癌転移

ほかの部位から胃への癌の転移は、相対的には多くはないようです。もちろん転移の可能性がないわけではなく、乳癌や子宮頸がんなどからの胃への転移についてはネット上でもたくさんの症例が語られています。

原発巣によってその特徴が異なるので、治療方法や検査法については医師との相談が必要です。

もし胃癌が転移したら

胃から転移する癌は、再発の可能性が高い肝転移やリンパ節転移、早期で自覚症状が現れにくく進行しやすい腹膜播種などとなるため、迅速な判断によって確実に治療を行わなければ、深刻化してしまうケースも多いと考えられます。転移した癌は治療自体が難しいですが、胃癌からの転移の場合、治療がうまく行われなければ再発のリスクもかなり高くなるでしょう。

そのため、胃癌からの転移が見つかったら、転移した部分を確実に治療することが大切です。そして、そのためには、セカンドオピニオンによって、主治医以外からの提案や、より確実性の高い治療法を知ることも必要でしょう。胃癌からの転移は再発しやすいからこそ、多くの実績を積んだ評判の病院で相談してみることをおすすめします。

転移した胃がんを治療できる病院

癌治療の中でも最も難しいとされているのが「移転した癌治療」だと言われています。それは、転移する確率が比較的低いとされている胃がんも一緒で、医師にはある程度の技術が求められてくるのです。

さらに、癌は長期間の治療が必要な病気なので「病院選び」「医師選び」には後悔したくありませんよね。そんなときは実際にどういった治療を行っている病院なのか、どういった評判がある医師なのかを注目して探してみるといいでしょう。

参考URL https://www.gan.med.kyushu-u.ac.jp/result/gastric_cancer/index7 https://www.ringe.jp/civic/20200302/p03

胃癌の治療と選択の基準

胃癌と一口にいっても患者によって癌の状態やサイズは様々で、胃癌の状態に応じて適切な治療法やケアの方法も異なります。そのため、まずは胃癌の分類や癌の状態評価についてきちんと把握することが大切です。

ステージの分類

胃癌を含めて癌の進行状態を評価する分類方法として「ステージ」という指標が使われますが、実は癌のステージ分類には「臨床分類」と「病理分類」という大きく2種類があることもポイントです。ここでは臨床分類と病理分類の違いについて解説します。

胃がんの進行度分類としてもっとも広く使われているのは、「TNM」分類です。Tは「がんの深さ(深達度)」、Nは「リンパ節転移の有無とその範囲」、Mは「遠く離れた臓器への転移(遠隔転移)の有無」です。
この分類は画像診断などで診断される臨床分類と胃切除の病理所見によって診断される病理分類に分けられます。臨床分類では病期(ステージ)はⅠ, ⅡA, ⅡB, Ⅲ, ⅣA, ⅣBの6段階に分かれます。病理分類では病期はⅠA, ⅠB, ⅡA, ⅡB, ⅢA, ⅢB, ⅢC, Ⅳの8段階に分かれます。

引用元:日本臨床外科学会|(3) 進行度分類と病期
https://www.ringe.jp/civic/20200302/p03

臨床分類

臨床分類とは、CTやMRIといった画像検査などによって癌の状態を確認し、その診断結果にもとづいて癌の進行状態を推定するステージの分類方法です。胃癌の臨床分類は「Ⅰ、ⅡA、ⅡB、Ⅲ、ⅣA、ⅣB」の6段階が存在します。

臨床分類は主に遠隔転移やリンパ節転移の有無と、患部における癌の深達度によって判断されており、例えば遠隔転移はないもののリンパ節転移があり、癌が癌の深部(漿膜)にまで達しているような場合、その「ステージⅢ」と評価されます。

なお、他臓器への遠隔転移がある場合はリンパ節転移の有無や深達度に関係なく「ステージⅣB」となることもポイントです。

そのため胃癌そのものの深達度は浅く、リンパ節転移もないものの、ステージⅣBと診断されることもあります。

臨床分類はスクリーニング検査などによって診断されるものであり、癌治療をプランニングする際の前提となる指標です。

病理分類

病理分類は手術によって癌や組織を切除し、その病変から実際に癌の広がりや状態を病理医が顕微鏡でチェックして評価する分類方法です。病理分類は臨床分類と異なり、実際の癌病変の状態にもとづいて診断するため、より実態に即した分類となり、術後のケアプランや治療方針の策定に用いられます。

病理分類は臨床分類よりもさらに細かく分類されており、「ⅠA、ⅠB、ⅡA、ⅡB、ⅢA、ⅢB、ⅢC、Ⅳ」の8段階です。遠隔転移の有無やリンパ節転移の有無、深達度といった大まかな基準は同じであるものの、リンパ節転移の個数と深達度によって詳細に分類されます。遠隔転移がある場合は全て「ステージⅣ」となります。

胃癌の治療

胃癌の治療は、まず臨床分類によって癌の状態を推定した上で、患者の年齢や既往歴、現在の状態などを総合的に考慮して検討されます。現在は可能な限り患者への肉体的負担を軽減できる低侵襲手術が推奨されていますが、癌の状態によっては開腹手術が必要になったり、そもそも外科治療では対応できなかったりする場合もあるでしょう。

どのような治療を行うかは医師の診断結果や癌のステージ分類だけでなく、患者自身の希望なども踏まえて検討されることが重要です。

癌の治療法として実施されているものは世界中に色々とありますが、ここでは標準治療として効果が認められているものを中心に解説しますので参考にしてください。

内視鏡治療(内視鏡的切除)

内視鏡治療(内視鏡的切除)は文字通り内視鏡を使用した手術です。内視鏡治療では患者の体をメスで切り開くことなく、患者の口や鼻から体内へ内視鏡と呼ばれる医療器具を挿入して胃癌の切除などを行います

内視鏡は先端にデジタルカメラや切除用の器具が搭載されており、執刀医はモニターに映し出されるカメラの映像を確認しながら内視鏡を操作して必要な切除を行います。また切除した細胞は内視鏡でつかんで取り出されることもポイントです。

内視鏡は開腹手術よりも患者の負担を軽減できるため低侵襲手術の1つとして採用されています。

内視鏡治療の合併症

そもそも内視鏡治療は癌の状態があまり進行していない場合に適応となり、転移の可能性についても低いと考えられていることがポイントです。また内視鏡治療は低侵襲手術ですが、癌を切除したり胃を摘出したりする際に患者の体を傷つけることは避けられないため、患部からの出血や胃に穴が開くリスクも想定されます。

内視鏡の合併症としては吐き気や嘔吐、腹痛、貧血によるめまいなど色々なものが考えられるでしょう。

ロボット支援下手術

内視鏡治療の1種に患者の体へ小さな穴を開けて、そこから腹腔鏡と呼ばれる器具を挿入して行う外科治療がありますが、それをさらに進化させた治療として、手術支援ロボットを活用したロボット支援下手術が行われることもあります。

これは複数のアームを搭載した医療用ロボットを執刀医が操作して、患者の体へ直接に触れることなく手術を行う方法です。

ロボット支援下手術では高精細のデジタルカメラや手ぶれ補正機能などを搭載したロボットアームを操作して手術を行えるため、内視鏡治療を低侵襲性と開腹手術の治療効果を同時に追求可能。その反面、そもそも医療用ロボットを導入している医療機関でしか受けられず、また全ての癌で適応とならないことは課題といえるでしょう。

なお、腹腔鏡下手術やロボット支援下腹腔鏡下手術が推奨されるかどうかは、がんの進行度などによって異なります。また、十分な知識や経験をもつ医師が行うことなどの条件があり、実施できる施設は限られています。この手術が可能かどうかは、担当医とよく相談してください。

引用元:がん情報サービス|胃がん 治療
https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/treatment.html#anchor2

手術(外科治療)

内視鏡治療を含めて、外科治療の目的は主に手術で癌に冒された胃や組織を物理的に切除するものであり、当然ながら癌の状態によって切除すべき範囲や組織が異なることもポイントです。

そのため、手術プランを検討するには臨床分類による適切な診断が不可欠。事前にしっかりと検査を行って癌の状態を見極めた上で手術へのぞみます。ただし臨床分類はあくまでも癌の状態を体外から推定するものであり、実際の手術において想定が異なっているといったケースも考えられます。

胃癌の手術では単に胃や臓器を切除するだけでなく、消化管を再建して術後の生活に備えるといったものもあります。

胃の切除範囲

内視鏡治療では対応困難な状態にあると想定された場合、あらかじめ胃癌の状態に応じて切除する範囲を検討しなければなりません。

胃の切除範囲は癌の位置やステージによって決定され、代表的なものとして胃の全てを切除する「胃全摘術」から、胃の半分や一部を切除するものまで色々なパターンがあります。

なお胃の切除範囲はすでに癌が存在している部分だけでなく、転移のリスクも踏まえて選択されることも重要です。

リンパ節郭清

リンパ節転移のリスクを軽減するため、胃を摘出する際に、その周囲にあるリンパ節もまとめて切除する「リンパ節郭清」が行われることもあるでしょう。

標準的には胃の近くにあるリンパ節を切除する「D2リンパ節郭清」が行われ、早期癌やリンパ節転移が認められない場合はリンパ節の切除範囲を狭くすることもあります。

胃を切除する際に、胃の周囲にあるリンパ節も切除します。胃のすぐそばのリンパ節と、胃から少し離れたリンパ節を合わせて切除する「D2リンパ節郭清」が標準的に行われます。早期がんで、リンパ節転移がない場合には、郭清するリンパ節の範囲を狭くした「D1リンパ節郭清」または「D1+リンパ節郭清」が行われます。

引用元:がん情報サービス|胃がん 治療
https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/treatment.html#anchor2

消化管再建

胃は食べ物を消化して栄養を吸収するために必要な臓器であり、胃を切除しただけではその後の生活が困難になります。そのため胃癌の手術では食道や胃の残部、腸などの消化管を再びつなぎあわせて、食べ物の通り道を再建する「消化管再建」も同時に行われることがポイントです。

消化管再建の方法や術式には色々なパターンがあり、切除した胃の範囲によってそれぞれ適したものが採用されます。

周辺臓器の合併切除

臨床時点では他臓器への転移が認められていなくても、実際に回復した際に癌の転移が発見されるケースは少なくありません。また胃の周囲には複数の臓器があり、それらに癌が浸潤している場合もあります。

そのような場合は胃だけでなく、胃癌が浸潤している臓器もまとめて切除しなければなりません。これは「他臓器合併切除」と呼ばれ、癌を取り残して再発するリスクを回避するために必要な治療です。

手術(外科治療)の合併症

外科治療は患者の体から臓器を切り取る行為であり、必然的に手術の規模によって患者へ与えるダメージも大きくなります。また低侵襲手術であっても出血や穿孔のリスクをゼロにすることはできず、外科治療では常に様々な合併症などのリスクがあることも事実です。

手術の合併症としては、まず縫合不全などによって消化管再建でつなぎ合わせた消化管の境目から食べ物や消化液が漏れ出し、体内で感染症が起きたり他の臓器が消化液でダメージを受けたりといったものがあります。さらに膵臓周りのリンパ節郭清では膵液が漏れ出す「膵液漏」のリスクもあります。なお、縫合不全や膵液漏によって体内に膿瘍ができることも問題です。

その他にも胃を切除することで消化能力が低下してビタミンの吸収阻害や貧血が起きたり、食欲減退や摂食障害が引き起こされたりといったリスクにも配慮しなければなりません。

胃を切除したあとは、食後に動悸、発汗、めまいなどが起こるダンピング症候群や、貧血などにもなりやすくなるため、食事のとり方や内容にも注意が必要です。

引用元:がん情報サービス|胃がん 治療
https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/treatment.html#anchor2

薬物療法(化学療法)

薬物療法(化学療法)は主として抗がん剤を使用し、癌を化学的に退縮させたり消滅させたりする治療法です。胃癌のステージによっては外科治療で対処できない場合もあり、そのような際には薬物療法によるアプローチが必要になります。

ただし、現在の医療において胃癌に使用する抗がん剤には様々な種類があり、どの抗がん剤が最も効果を発揮するのかは各種検査の結果や医師の経験などにもとづいて検討されることが大切です。

また薬物療法は抗がん剤のみで癌治療を進めるだけでなく、例えば手術前に抗がん剤を使用して癌の状態を縮小させて手術の適応性を高めたり、手術後に抗がん剤を使用して取り切れなかった癌を処理したりといった複合的な治療も存在します。

その他にも放射線治療と化学療法を組み合わせたものもあり、集学的治療によって患者への治療効果を追求していく試みが重視されています。

なお、化学療法には初期の治療からスタートさせて第4段階までの区分が存在し、治療効果の変化や副作用の有無などを考慮して段階的に治療が進められることも特徴です。

どの種類の薬を使うかは、がんの状況や臓器の機能、薬物療法に伴って起こることが想定される副作用、点滴や入院の必要性や通院頻度などについて、本人と担当医が話し合って決めていきます。薬に関する詳しい情報は、治療の担当医や薬剤師などの医療者に尋ねてみましょう。

引用元:がん情報サービス|胃がん 治療
https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/treatment.html#anchor2

一次化学療法

一次化学療法は初期に行われる薬物療法であり、胃癌の場合は「HER2」というタンパク質の働きを抑える「細胞障害性抗がん薬」が使用されます。なお事前検査でHER2陰性になっている場合は免疫チェックポイント阻害薬などが一次化学療法で用いられることもあるでしょう。

一次化学療法によって十分な治療効果を認められないような場合、次の抗がん剤を使用する段階へ進みます。

二次化学療法

一次化学療法だけで治療効果を期待できない場合、それまでに使用していなかった細胞障害性抗がん薬や分子標的薬を組み合わせて、患者の状態に適した薬物療法を行います。

なお二次化学療法へ移行する前に「MSI検査」という癌遺伝子検査の実施が推奨されており、その結果によって免疫チェックポイント阻害薬が使用されるケースもあるでしょう。

三次化学療法

一次化学療法や二次化学療法で効果を認められない場合、それまでに使っていなかった細胞障害性抗がん薬や免疫チェックポイント阻害薬を使用するという段階を検討します。HER2陽性の患者に対してはこれまでとは別の分子標的薬が用いられることもあります。

ただし、二次化学療法までに免疫チェックポイント阻害薬を使用してきた患者の場合、三次化学療法の段階で免疫チェックポイント阻害薬を使用することは推奨されていない点に注意してください。

四次化学療法以降

四次化学療法は、薬物療法の候補として考えられていた薬剤の中から、三次化学療法までに使用した抗がん剤を除いて、新しい投薬治療のプランを検討します。

なお、四次化学療法以降は改めて新しい抗がん剤などを使って段階的に薬物療法を進めていき、その都度それぞれの治療効果や副作用の有無をチェックして治療の進め方へフィードバックするという流れが繰り返されます。

術後補助化学療法

術後化学療法は外科治療として胃癌の摘出手術を行った後、取り切れなかった癌細胞が存在するリスクを考慮して、化学療法で改めて癌の根絶を目指す薬物療法です。

術後補助化学療法は複数の治療プランを組み合わせて治療効果を追求する集学的治療の1つであり、手術の成功率や術後生存率を高めるために行われます。

特に癌が進行しているような場合、執刀医の肉眼で捉えきれない癌細胞をケアするために術後補助化学療法が効果を発揮します。

化学放射線療法

化学放射線療法も集学的治療の1つであり、放射線治療と化学療法を組み合わせた治療法です。胃癌は原則として手術が第一選択となりますが、手術のリスクが高かったり手術が困難になっていたりする場合、補助的治療として化学放射線療法が採用されます。

胃がんの治療は手術が第一選択であるため、放射線治療は進行がん、再発した胃がんなどに対する補助的な治療として用いられます。具体的には、限局した再発巣に対して、根治を目的とする場合や、胃の病変や転移巣により食物が通らない・痛みがあるなどの症状を有する患者さんに対して、症状緩和を目的とする場合に、放射線治療が行われます。

引用元:九州大学病院がんセンター|胃がん
https://www.gan.med.kyushu-u.ac.jp/result/gastric_cancer/index7

なお胃癌は癌細胞によって胃の形やサイズが変化しているため、放射線治療を行う際にはあらかじめ治療計画用CTで癌の状態を詳細に把握するだけでなく、胃の内容物が少ない空腹時に行われることもポイントです。

薬物療法の副作用

抗がん剤は癌細胞だけでなく健康な細胞にも作用するため、薬物療法では薬剤の種類や患者の体質などによって様々な副作用が現れます。薬物療法の副作用としては抜毛や貧血、倦怠感、口内炎、下痢など様々なものが考えられ、あまりにも副作用が激しい場合には現在の化学療法を中止するといった判断も下されます。

薬物療法の副作用は患者の体だけでなく心にも大きな負担を強いるため、つらいと感じたら我慢せず主治医へ相談することも大切です。

細胞障害性抗がん薬は、がん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を与えるため、口内炎、吐き気、脱毛、下痢などの症状や、血液中の白血球や血小板などの数が少なくなる骨髄抑制、肝機能や腎機能が悪化するなどの副作用が起こることがあります。副作用の有無や程度は人により異なりますが、最近は副作用を予防する薬も開発され、特に吐き気や嘔吐は、以前と比べて予防ができるようになってきました。

引用元:がん情報サービス|胃がん 治療
https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/treatment.html#anchor2

免疫療法

免疫療法は、人間の体に本来備わっている免疫機構によって癌細胞を攻撃する治療法です。2025年時点で公的に医療効果が認められている胃癌の免疫療法としては、免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブ、ペムブロリズマブ)を使用した治療法のみとなっています。そのため免疫療法は化学療法の一環として治療へ組み込まれることもあります。

なお、世の中には様々な癌の免疫療法が存在するとされており、クリニックによっては自由診療による免疫療法が行われていることもあり、厚生労働省などから治療効果が認められていない点には注意してください。

ただし効果が明確に認められていない免疫療法の中には、公的な医療機関などで臨床試験や研究目的で実施されていることもあり、患者によっては新薬の治験へ参加できることもあるでしょう。

免疫療法の副作用

前提として、治療効果が証明されていない免疫療法は、それを使用しても癌が治るといえるものではありません。また人体への安全性も確認されておらず、治療費についても保険適用とならないため患者の全額自己負担になります。

同時に、治療効果や安全性や認められていない薬品を使用した医療行為ではどのような副作用が発生するかも確認されておらず、リスクとして深刻な健康被害をもたらす可能性にも注意が必要です。

なお治療効果が証明されている免疫療法の副作用としては、化学療法における副作用が考えられます。

免疫療法は、免疫の力を利用してがんを攻撃する治療法です。2022年7月現在、胃がんの治療に効果があると証明されている方法は、免疫チェックポイント阻害薬を使用する治療法のみです。その他の免疫療法で、胃がんに対して効果が証明されたものはありません。免疫チェックポイント阻害薬を使う治療法は、薬物療法(化学療法)の1つでもあります。

引用元:がん情報サービス|胃がん 治療
https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/treatment.html#anchor2

治療の選択

すでに述べたように胃癌にも様々な段階や状態があり、それぞれのステージに応じて適した治療法が異なります。また臨床分類であれ病理分類であれ、ステージが同じであっても実際に癌の状態は様々であり、各患者の状況を正しく見極めた上で治療プランを考えることが重要です。

ここでは臨床分類や病理分類のステージ数を前提としつつ、一般的に選択されやすい治療法を例示するため参考にしてください。

ステージIで用いられる治療

胃癌の進行度がそこまで強くなく、またリンパ節への転移が0であったり1~2個程度であったりする場合、内視鏡治療による胃の切除やリンパ節郭清が採用されます。ただし実際の治療法や切除範囲については患者の状態によって異なるため、まずは主治医と話し合うことが必要です。

なお手術後の病理分類でステージⅠと評価された際は、経過観察として定期的な検査などが行われます。

ステージIIで用いられる治療

ステージⅡと分類される癌の状態は様々であり、癌の進行度によってはリンパ節転移がなくてもステージⅡになることがあり、また癌の進行度はそれほどひどくなくてもリンパ節転移が沢山あればステージⅡに分類されることもあるでしょう。

このような場合、開腹手術による胃の切除やリンパ節郭清が行われ、必要に応じて術前補助化学療法や術後補助化学療法が併用されることもあります。

その他、状況に応じて消化管再建も必要です。

ステージIIIで用いられる治療

ステージⅢはステージⅡよりも癌が進行しているため、外科治療だけでなく化学療法との併用が前提となります。また手術後も術前補助化学療法を実施して、少しでも癌の再発リスクをケアしなければならないでしょう。

ステージIVで用いられる治療

癌の遠隔転移が認められた場合、癌の進行度やリンパ節転移の有無に関係なく全て「ステージⅣ」と診断されます。そのため、例えば胃癌の状態は内視鏡治療で対応できるものであっても、遠隔転移していることでステージⅣとなり、外科治療だけで根治できないといった可能性もあります。

ステージⅣでは基本的に薬物療法や放射線治療が前提となりますが、条件によっては外科治療も平行して選択肢になるかも知れません。また、すでに標準治療による根治を目指せる段階を超えてしまっているケースにおいては、対症療法や緩和ケアを中心に治療プランが組まれることもあるでしょう。そのような場合、放射線治療なども根治目的でなく緩和目的で実施されます。

ステージⅣの治療は患者によって様々

ステージⅣは遠隔転移の有無によって分類される評価であり、ステージⅣの患者の癌治療では何よりもその患者自身の状態を正しく検査して診断することが必須です。

基本的にステージⅣでは癌が全身へ転移している可能性も考慮して、トータルで対処できる治療法が選択されます。しかし各部位だけで見れば癌の状態が手術対応可能というケースもあり、必ずしもステージⅣだからといって治療が行えないと限らないことは覚えておきましょう。

予防やスクリーニングに関する情報

がんにかからないようにするためにはどのようにすればいいのか、予防や検査について知りたいと思っている方もいることでしょう。がんを予防するためには、節酒や禁煙、バランスのとれた食事、検診を受けるなど、日頃から予防行動を取ることが重要です。ここでは、予防やスクリーニングに関する情報を解説します。

予防について

国立研究開発法人国立がん研究センターでは日本人の癌リスクの軽減方法や予防対策について研究を続けており、日常生活に関連した習慣の見直しや感染症対策によって癌リスクを軽減できることが認められています。

特に胃癌の発生要因としては喫煙習慣やヘリコバクターピロリ菌への感染が大きなものだと知られており、さらに食塩・高塩分食品の摂取といった食習慣も胃癌リスクを高める原因となっています。また胃癌は他の臓器に発生した癌が転移して引き起こされることもあり、全ての癌に対する予防対策もまた間接的に胃癌予防へつながるといえるでしょう。

そのため胃癌の予防においては、一般的な癌予防としての取り組みを意識すると同時に、特に胃癌リスクを高める要因を回避することが重要です。

生活習慣の改善による予防

生活習慣と癌リスクの関係において、具体的に以下のような生活習慣の改善が癌予防に貢献するとされています。

上述したように、喫煙習慣は胃癌のリスクを上げる要因です。そのため胃癌リスクを軽減するためには禁煙が大切です。またタバコを吸わない人でも、周囲にタバコを吸う人がいれば副流煙によって胃癌リスクが上昇する恐れもあるため、家族にタバコを吸う人がいればその人にも禁煙してもらうようにすることが望ましいでしょう。

加えて、塩分の摂り過ぎや塩分を多く含んだ食品を日常的に食べることも胃癌の原因になるとされています。そのため食生活を見直して、減塩メニューや低塩メニューを取り入れることが重要です。

その他にも暴飲暴食やバランスの悪い食生活を避けて、適度な運動習慣を取り入れ、太り過ぎや痩せ過ぎの人は適正体重を維持できるように生活習慣を見直すことが欠かせません。

日本人の適正体重は身長や性別に応じて医学的に指標が定められており、もしも現時点で肥満体型であったり痩せ過ぎていたりする人は、運動や食事のコントロールによって健康的に適正体重へ近づけられるよう心がけていきましょう。

禁煙

たばこは胃癌のリスクを増大させる危険要因であり、基本的にたばこの本数を減らすのでなく、完全にたばこを止める禁煙が重要です。

また、そもそも日常的にたばこを吸う人の発癌リスクは、たばこを吸わない人と比較して1.5倍と言われており、それは胃癌に限らずあらゆる癌について考えなければならないことも無視できません。

一方、禁煙をしようとしても続けられず、どうしてもたばこを吸ってしまうという人もいるでしょう。そのような際には禁煙外来を受診して医学的な観点から適切な禁煙プログラムを作成してもらい、禁煙補助薬なども活用しながら禁煙治療を受けるといった方法で取り組むこともあります。

なお患者自身が禁煙するだけでなく、受動喫煙によるリスクを避けるため家族全体で禁煙に取り組みましょう。

参照元:がん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防

節酒・禁酒

胃癌に関連する生活習慣として、飲酒があります。

飲酒は特に男性の胃癌と強い関連性があると指摘されており、また男女問わず食道癌や大腸癌、肝細胞癌など消化器系の癌のリスクを高めてしまいます。

酒は百薬の長といった言葉もありますが、基本的にアルコールの摂取はそれ自体が良くないため、癌予防として考えた場合は「一滴もお酒を飲まない」という禁酒・断酒がベストな選択になります。

なお、どうしてもお酒が好きで飲みたくなるといった人については、あくまでも嗜好品として少量のお酒をたまに飲むといった節酒に努めたり、お酒を飲むにしてもアルコール度数の低い種類のお酒を選んだりする配慮が大切です。

参照元:がん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防

食生活の見直し

胃は食事によって摂取した食べ物などを消化する器官であり、当然ながら食生活や食習慣は様々な観点から胃癌のリスクに関係しています。

まず、塩分過多の食事を習慣化している人については、男女問わず胃癌のリスクが高まるという研究が報告されています。胃癌の予防には減塩メニューなどを採用することが肝要といえるでしょう。

続けて野菜や果物を食べる量の少ない人については、食道癌や胃癌のリスクが高まるとされており、栄養バランスを考えた献立を採用することも重要です。

その他、熱い食べ物を口に入れたり、熱い飲み物を飲み込んだりすると、食道や胃の粘膜が熱によってダメージを受けて癌の発生リスクを高めます。そのため熱い飲食物は冷ましてから口にするようにしてください。

適切な身体活動

普段から仕事や運動によって体を動かしている人は、胃癌に限らずあらゆる癌のリスクを軽減できると言われており、癌全体のリスクマネジメントとして適切な身体活動を日々の生活へ取り入れることもポイントです。

運動量の目安としては、例えば18歳から64歳の人であれば1日60分以上の散歩やウォーキング、あるいはそれ以上の身体活動を心がけ、1週間に一度は息が弾んで汗をかく程度の運動を60分以上することが肝要とされています。

65歳以上の高齢者においても、運動強度を問わず何かしらの身体活動を毎日40分以上続けることが大切とされており、日々の暮らしに運動習慣を取り入れることで癌予防だけでなくQOLの向上といった複数のメリットを期待できることもポイントです。

参照元:がん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防

適正体重の維持

肥満や痩せ過ぎといった状態は発癌リスクや癌による死亡リスクを増大させる要因です。そのため適正体重を維持することは癌予防において不可欠な項目のひとつ。自らの適正体重を把握する指標として「BMI値」が用いられています。

BMI値は個々の身長(m)と体重(kg)の数値から算出されるものであり、具体的には体重の数字を、身長の2乗で割ることによって得られます。

目指すべきBMI値は、男性であれば21.0~26.9、女性であれば21.0~24.9を目安としておきましょう。

参照元:がん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防

感染回避による予防

いくつかの癌に関しては感染症が大きなリスクとなっており、特に胃癌については「ヘリコバクターピロリ菌」への感染が癌の発生要因として知られています。

ヘリコバクターピロリ菌は胃粘膜に生息する細菌であり、一般的に「ピロリ菌」と呼ばれることもあります。

ピロリ菌に感染すると胃粘膜に炎症を起こしやすくなり、胃潰瘍や胃炎の発生リスクを高めてしまうことも問題です。また胃粘膜の炎症が慢性化していくと、胃粘膜の萎縮や胃癌へ進行することも少なくありません。

そのため胃癌の予防対策では、胃の中に生息しているピロリ菌を除菌することが具体的な方法の1つとして考えられています。

日本人の中には知らない間にピロリ菌へ感染している人も少なくないとされていて、まずは内視鏡検査や抗体測定検査などによってピロリ菌の有無を診断することも必要です。

なおその他にも癌の要因になり得る感染症は知られており、以下のようなものが考えられます。

すでに述べたように胃癌の発生機序として転移癌のリスクにも備えることが必要であり、肝細胞癌の原因になるB型・C型肝炎ウイルスへの対策や、子宮頸癌ワクチンの接種でヒトパピローマウイルス(HPV)に備えるといった取り組みも価値があるでしょう。

胃がんの発生要因には、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の感染と喫煙があります。その他に、食塩・高塩分食品の摂取が、胃がんが発生する危険性を高めることが報告されています。

引用元:国立がん研究センターがん情報サービス|胃がん 予防・検診
https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/prevention_screening.html

ピロリ菌抗体価を測定

先述の通り、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)は、胃に感染することによって炎症を起こし、粘膜を萎縮させてしまう細菌です。一度感染してしまうと生涯に渡って胃の中に存在し、胃がんの大きなリスク要因となります。

ピロリ菌の初回検査は、血液中のピロリ菌抗体価を測定します。健診でも抗体価の検査を受けることができます。

保険診療でピロリ菌を検査する場合には、胃X線検査や胃カメラで萎縮性胃炎や胃潰瘍の診断を受けることで検査できます。胃カメラを受ける前に、ピロリ菌の検査を希望する場合は、自費負担となるため注意が必要です。

ピロリ抗体検査や、除菌治療に対応している医療機関を受診

ピロリ菌に感染している場合、服薬治療によって除菌が可能です。ピロリ菌に感染しているか調べる「ヘリコバクター・ピロリ抗体検査」や、除菌治療に対応している医療機関もあるため、問い合わせてみましょう。

スクリーニングについて

スクリーニングは癌の自覚や診断のない人に対して行う検査であり、スクリーニングによって癌と診断されたり癌のリスクを確認したりすることができます。

そのためスクリーニングは癌の早期発見・早期治療を考える上で重要な工程ですが、スクリーニングの方法によっては患者の肉体へ負担をかける恐れもあるため、胃癌であれば胃癌のリスク診断を目的としたスクリーニング方法を選択しなければなりません。

胃癌に関連したスクリーニングとしては、X線検査や内視鏡検査の他、ヘリコバクターピロリ菌のチェックなどが挙げられます。

なお、国立がん研究センターでは「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年版」に基づいて、具体的な胃癌のスクリーニング方法を推奨しており、これらはがん検診の有効性や患者のメリット・デメリットなどを考慮して総合的に策定されました。[注4]

胃部X線検査

X線検査はレントゲン検査とも呼ばれる画像診断の1つであり、X線を照射して患者の体内を撮影する検査方法です。

ただし胃はそのままですとX線が透過して画像に写らないため、胃癌のスクリーニングではあらかじめ患者に高濃度バリウムを飲んでもらい、その流れをX線で撮影することで胃の状態を確認します。

X線検査によって胃の状態を確認することで、胃や消化管の閉塞などをチェックしたり、胃の変形を診断したりすることができます。もしも胃癌が発生して胃の形状が変わるといった状態になっていれば、X線検査で発見できる可能性が高まります。

胃内視鏡検査

内視鏡検査は患者の鼻や口から体内へ内視鏡と呼ばれる医療器具を挿入し、医師が内視鏡の先に搭載されているカメラで胃の中をモニタリングしながらリアルタイムで胃の内部をチェックする方法です。

胃内視鏡検査は胃癌のスクリーニングとして重要な方法であり、胃の粘膜に生じている炎症や変形、その他にも様々な状態を確認することができます。また内視鏡検査で萎縮性炎症といった症状が発見されればヘリコバクターピロリ菌への感染が疑われるため、改めて他の検査を行えることも重要です。

一方、内視鏡検査の品質は医師の経験や技術に大きく影響され、胃内視鏡検査を行ったからといって100%胃癌リスクを診断できるとは限りません。また内視鏡を入れる際に出血が生じたり、前処置として咽頭麻酔を行うことでアレルギー反応といったリスクが増大したりすることもあります。

なお、内視鏡検査で胃癌の疑いがある場合、そのまま胃粘膜の一部を切除して生検に回すこともあるでしょう。

ペプシノゲン単独法、ヘリコバクターピロリ抗体単独法

胃癌のスクリーニングとして、血液検査によって胃癌のリスクを示す物質の有無を調べるといった方法があります。

ペプシノゲンは胃粘膜から分泌される消化酵素(ペプシン)を作るための物質であり、ペプシノゲンの大部分は胃の中へ出されますが、ごく一部は血液中に入ることが特徴です。またペプシノゲンはペプシノゲン1とペプシノゲン2に大別されており、これらの比率を血液検査で調べることで胃の萎縮度合いをチェックすることができるとされています。

またヘリコバクターピロリ菌が体内に存在している場合、人体の免疫システムがピロリ菌に対して抗体を産生するため、血液中のヘリコバクターピロリ抗体の有無や濃度を測定することでピロリ菌への感染リスクを診断することが可能です。

ペプシノゲンやヘリコバクターピロリ抗体は直接に胃癌を証明するものではありませんが、胃癌のリスクを診断する要素になることは見逃せません。

ABC検査(ペプシノゲン検査とヘリコバクターピロリ抗体検査の併用法)

ABC検査は「胃癌リスク検査」とも呼ばれ、ペプシノゲン検査とヘリコバクターピロリ抗体検査を同時に行って、両者の結果から胃癌のリスクのリスクを診断する胃癌検診の方法です。

スクリーニングのリスク

胃癌の有無やリスクを調べる方法として上記のスクリーニングは有効なものですが、一方でスクリーニングを行うことで患者に対して様々な負担やリスクが生じることも無視できません。

また、スクリーニングの結果は担当医の技術や検査環境の品質にも大きく左右され、未熟な医師や不十分な検査環境では適切な結果が得られないことも問題です。

その他にもスクリーニングには偽陰性や偽陽性といった誤診リスクがあり、それらのデメリットを踏まえた上でトータルのプランニングを検討することが大切です。

偽陰性の検査結果が出る可能性がある

偽陰性とは、スクリーニングによって陽性として検出されるべき患者に対して、結果が「陰性」と診断されてしまう状態であり、癌の存在を見逃してしまう要因になります。

あらゆる検査には常に偽陰性の発生リスクがあり、どれほど検査体制を追求したとしても100%の正確診断を保証することはできません。特に偽陰性によって患者の体が健康であると誤診されてしまうと、そのまま無自覚に癌が進行して、やがて自覚症状が出た時点ではすでに深刻な状態になってしまっているといった恐れも強まります。

偽陰性を防ぐ方法としては個々の検査品質を高めることに加えて、複数のスクリーニングを組み合わせて総合的に状態を診断することが大切です。

偽陽性の検査結果が出る可能性がある

偽陽性は偽陰性の反対であり、本来は陰性と診断されるべき患者に「陽性」の診断結果が出ることです。

偽陽性の結果が出た場合、患者には癌の疑いありという診断がくだされるため、より高度な癌検診が実施されます。それにより患者の肉体にダメージを与える恐れが増える他、患者やその家族に余計な精神的ストレスを強いることになるかも知れません。

スクリーニングそのものにもリスクがある以上、偽陽性は患者の健康にとって大きなデメリットになる要因です。

発見した場合でも健康状態の改善が難しい場合がある

スクリーニングを行っても100%の信頼性を担保できないだけでなく、スクリーニングによって癌を発見できてもすでに治療困難な状態になっている場合、患者の健康状態を改善できない可能性はあります。

特に転移癌や再発癌では原発性の胃癌よりも発見された時点で症状が深刻化していることもあり、スクリーニングを行う際にはあらかじめリスクやデメリットなどをきちんと医師に確認しておくことが大切です。

スクリーニング検査そのものによる副作用の可能性

胃癌のスクリーニングではX線検査や内視鏡検査が一般的に行われますが、例えば前者では放射線被曝のリスクがあり、またバリウムを使用することで誤飲や誤嚥といったリスクが増大することは無視できません。さらに内視鏡を挿入する際に食道や胃粘膜を傷つけ、そこから出血したり感染症が発生したりといった恐れもあります。加えて内視鏡検査で咽頭麻酔を使う場合、麻酔に対してアレルギーを持っている人であればショック症状が発生するかも知れません。

その他にも血液検査のために採血をすることで、患者の皮膚や血管を傷つけてしまい、そこから感染症などの問題が発生するリスクもあります。

胃X線検診の偶発症として高濃度バリウムの普及後、誤嚥の報告が増加しており、10万件あたり37.3件と報告されています。検査に伴う死亡は10万件あたり0.015~0.086件と報告されています。
胃内視鏡検診の偶発症として診療例を含む消化器内視鏡学会報告では、10万件あたり0.19でした。検診に特化した日本消化器がん検診学会の平成22年・23年報告では死亡は報告されていませんでした。経鼻内視鏡による鼻出血の報告は認められますが、5%以下でした。

引用元:国立がん研究センターがん情報サービス|胃がん検診
https://ganjoho.jp/med_pro/cancer_control/screening/screening_stomach.html

セルフチェック

早期の胃癌はほとんど自覚症状がないとされており、いざ自分の状態が明確におかしいと感じた時にはすでに胃癌が進行しているケースも少なくありません。一方で胃癌の早期発見につながる身体の違和感や初期症状の代表例なども存在しています。まずは胃癌に関して日常的に意識しておきたいセルフチェックのポイントを把握しておきましょう。

胃癌のセルフチェックのポイントは、例えば以下のようなものになります。

上記のチェックポイントはあくまでも一例であり、同様の症状は胃癌だけでなくストレス性の胃炎や食中毒菌への感染症など様々な要因で発生することもあります。そのため、これといった原因やきっかけが分からないまま上記の症状が持続する場合、胃癌を含めて何かしら消化器系の問題が発生している恐れもあるため、まずは医療機関を受診して検査を受けましょう。

その他、血縁者に胃癌の患者がいたり、幼い頃に井戸水などを利用して生活していたりといった人は、遺伝的に胃癌のリスクが高かったり、ピロリ菌に感染していたりする可能性も考えられるため、やはり定期的な癌検診などを受けることも大切です。

血便で注意すべき便の色

便に血が混じる血便には主として、便に赤い鮮血が混ざっているものと、便が黒く変色しているものの2種類があります。胃癌などによって胃で出血している場合、その血は便に混ざるまでの時間で黒くなっており、便全体が黒色に変化します。

患者のQOL(生活の質)に関する情報

胃癌の治療を行った後や、あるいは現在進行形で胃癌と付き合っている人に対して、QOL(生活の質)を高めるために適切な取り組みを考えることも大切です。

特に胃癌の治療として胃の切除といった外科治療を受けているような場合や、胃癌が進行して消化機能に影響が出ているような場合、日常生活においても色々な点に配慮することでQOLの向上を目指していくことができます。

食後の「ダンピング症候群」に注意する

ダンピング症候群とは、胃癌の術後合併症として知られている症状であり、食べたものが胃から小腸へ一気に流れ込んで血糖値が急上昇し、意識喪失や倦怠感といった様々な問題が発生するものです。

胃癌の治療として胃や消化管の切除を行うと、本来の消化機能が損なわれて、ダンピング症候群の発生リスクが高まります。そのため胃癌の治療後はダンピング症候群のリスクがあることを踏まえて、食べ方や食べるメニューにも配慮するようにしましょう。

なお、胃癌の治療後の食生活や食事メニューについては医師や管理栄養士といった専門家へ相談して適切なアドバイスをもらうことも肝要です。

ゆっくりよく噛むこと

胃の切除を行うと、必然的に胃の消化機能が低下するため、術前と同じペースで食事をすることで胃もたれや消化不良といった問題の発生リスクが高まります。また食べられる量が減ることで食事の時間が短くなり、精神的に満足感を得られなくなるかも知れません。

食事の際によく噛んでゆっくりと食べるようにすると、唾液の分泌を促されて消化をサポートしやすくなり、胃にかかる負担を軽減することが可能です。またゆっくりと食べることで胃から腸へと流れるスピードをコントロールしやすくなり、ダンピング症候群の発生リスクを軽減できることも強みでしょう。さらにしっかりと噛んで時間をかけて食事をすることで、満腹中枢が刺激されて、少量の食事でも満腹感を感じやすくなります。また食事の時間を十分に楽しめることで、精神的にも充実感を得やすくなることは重要です。

その他にも、落ち着いて食事をすることで誤嚥リスクを軽減できるでしょう。

消化の良い食品を選ぶこと

胃癌の治療後は消化機能が低下するため、消化しやすい食品をメニューに取り入れることも大切です。また、消化の良い素材だけでなく、刻み食など食材の形状を細かく調整することで食べやすくしたり消化しやすくしたりすることもできます。

なお消化しにくい食材や部位はなるべく調理の時点で避けておき、特に消化吸収の時間がかかる脂質や食物繊維の摂り方は上手に考えなければなりません。

味覚障害があるときのひと工夫

胃癌治療として放射線治療や抗がん剤治療などを受けている場合、舌の機能や感度が低下して味を感じにくくなるといった味覚障害が発生することもあります。

味覚障害の原因として体内で亜鉛が不足したり、唾液の分泌量が減って舌で成分を感じにくくなったりと色々なものが考えられます。そのため味を感じにくくなっている時は亜鉛が多めの食材を選んだり、唾液の分泌を促せるようなメニューにしたりすることも改善方法の1つです。

また食べることがストレスになる場合、食べやすく飲み込みやすいメニューにするといったことも有効です。

運動を取り入れる

適度な運動は生活習慣の改善に重要であり、適切な運動習慣を維持することで癌リスクの低減につながることも認められています。そのため、胃癌の患者にとって前向きな癌治療や癌予防を進めながら、心身共に健常な日々を過ごす上でも適度な運動を日常へ取り入れることも大切です。

一方、癌患者として治療を受ける中で筋力や体力が低下し、治療前よりも運動機能が低下することは無視できません。また胃癌の治療として胃の摘出などを行った場合、体の変化を踏まえた運動量や運動内容を考えることも大切です。

胃癌の治療後や治療中の運動については、あらかじめ担当医と相談しながら、体に無理のない範囲で日常に様々な動作を取り入れていく所から始めて行きましょう。なお、より専門的なリハビリ運動療法を受けたい場合は地域の「がん相談支援センター」に問い合わせてください。

ネガティブな感情がある場合は相談してみる

癌の宣告を受けたり再発・転移が発見されたりすると、どのような人でも心に大きなショックを受け、また自分の生活や未来について不安を抱えやすくなります。

言い換えれば、癌患者にとって精神的なストレスや心理面の不安定化は、それ自体が癌による症状の1つと考えることが可能であり、様々な癌の諸症状と同様に治療や改善については自分だけで抱えるのでなく、担当医や看護師、家族など周囲の人々と情報共有しながら適切に向き合って対処していくことが重要です。

また、胃癌は治療の内容によって生活習慣や生活スタイルが治療前と大きく変わってしまうこともある癌であり、そのような変化に患者の体や心がついて行けず、メンタル面が不安定になってしまうケースも少なくありません。

そのため各治療によってどのようなメリットとデメリットが生じて、治療後の生活がどのように変化するのか、担当医の説明だけでなく他の胃癌患者の体験談なども参考にしながら、人々とのつながりを意識してイメージすることも有用です。

お金の不安は公的な援助・支援を活用してみる

癌患者の中には、長期の入院によって仕事を辞めたことで収入源を失ったり、標準治療として認められている治療の中でも高額な方法が必要になったりと、「お金の問題」に改めて悩まされる人も少なくありません。

実際、保険診療や標準治療の癌治療を受ける上でも相応の自己負担は発生し、また手術後や退院後にも通院外来や定期検査などで色々と費用はかかります。そこで国や自治体は国民の経済的負担を軽減するため様々な公的支援制度を用意しており、癌患者や家族にとってもそれらを効果的に活用していくことが大切となります。

高額療養費制度

高額療養費制度は、1ヶ月にかかった医療費の自己負担額が一定限度を上回った場合に、その超過分を後から払い戻してもらえるという公的支援制度です。

胃癌の治療では手術や抗がん剤の使用などに高額な医療費が必要になることもありますが、高額療養費制度を活用することで、その自己負担額を一定額に抑えられることが重要です。また最初から限度額を超過すると見込まれる場合、あらかじめ手続きすることによって病院窓口での支払いから上限額だけの請求にしてもらうといったこともできます。

高額医療・高額介護合算療養費制度

高額医療・高額介護合算療養費制度は1年間に発生した医療保険と介護保険の自己負担額の総額について、一定限度を超えた際に超過分の払い戻しを受けられる制度です。

長期の継続的な治療によって蓄積される経済的負担に対応した公的支援であり、標準治療を終えた後も医療費や介護費が必要になりやすい癌患者にとって嬉しい制度です。

傷病手当金

癌の治療や入院などで4日間以上の休業が必要になる場合、事業主から十分な報酬を受け取れなくても、収入の補填として給料の代わりに活用できる手当金となります。

深刻な人材不足が社会問題となる日本において、従業員を離職させず治療に専念させるための制度として企業側にもメリットがあります。

患者の声・体験談

胃癌と告知された方や、治療を受けている方の体験談が知りたいと思っている方もいるのではないでしょうか。ここでは、胃癌と診断された方や、手術を受けた方の体験談をご紹介します。

術後、自分の食事ペースをつかむまで時間がかかった

39歳のときに胃がんが見つかりました。まだ小さかった子ども3人を母に預けて入院。腫瘍が小さく初期だったため、腹腔鏡手術の予定でしたが、術中の判断で開腹手術になり、胃を3分の2ほど切除しました。

手術後は、お腹が空いたという感覚がなくなりました。今は慣れましたが、空腹感がなくなったのはとても寂しいことでした。たくさん食べられなくなったので、外食のときは、お店の人に理由を話してお子様ランチを頼んだことも。

食事に関して自分のペースをつかむまで2~3年ほどかかりましたが、 食事中の水分を控えると人並みに食べられることがわかり、友人とのランチも楽しめるようになりました。

引用元:Patient’s Voice ~胃がん患者さんの声~

薬物療法では休薬期間が嬉しかった

手術以外の治療では、再発予防のため、TS-1(※2)という飲むタイプの抗がん剤を手術の1ヶ月後から1年間飲みました。胃を切ると、ただでさえ上手く食べられないのに、それに加えて抗がん剤…。

“手術して悪いところを切ったのに、まだ治療続くの?”しかも1年間も。そんな思いや、抗がん剤に対して“髪が抜けちゃう”などの、『怖いイメージ』もあって、最初に「えいっ!」と薬を飲むときは勇気がいりました。

飲んでみると、最初は副作用などは分からなかったんですけど、何日か飲み続けていくうちに、だんだん吐き気や口内炎、血液中の白血球が減少するなどの副作用が出始めたので、休薬期間がすごく嬉しかったです。

(*2)TS-1…胃癌などに使用される抗がん剤の一種。

引用元:オンコロ

誰かに相談することは自分にとってプラスになる

ここ1~2年で患者会に参加するようになって、同世代で自分と同じような経験をした人に相談するようになりました。自分にピッタリの答えが見つかるとは限りませんが、新たな発見や参考になる話を聞けることも多く、誰かに相談することは自分にとってプラスになるんだと実感しています。

引用元:あやライフ

周囲の励ましや支えで前を向けた

入院中は、術後の痛みや治療の苦しさから心が折れそうになったこともありました。しかし、家族や友人の支え、担当医の「君は絶対に社会復帰できるから」という励ましのおかげで、前を向けるようになりました。そして、病気に向き合うだけの人生はおもしろくない、健康な人と同じように結婚・子育てをしながら社会の中で自分のポジションを確立したいと願うようになりました。

引用元:キャンサーネットジャパン

ドックを受診していなければその後の人生が変わっていたかもしれない

ドックに行っていなければ、こうしてゆっくり家でお茶を飲んでいられなかったかもしれません。検診でがんが見つかることを怖がるのではなく、見つかったら「ラッキー」と思うくらいの気持ちでがん検診に行ってほしいと思います。

引用元:日本対がん協会

健康診断の大切さを学んだ

(前略)自覚症状はあまりなく、どちらかというと胃腸は強い方ではないという程度でしたが何となく気になったし家族からもいい機会だから受けてみたらと言われ渋々検査を予約。
そこはいきなり内視鏡検査だったので苦しくて受けたことを最初は後悔しましたが、担当の先生が何やら浮かない表情でびらん性胃炎があるから再検査をした方がいいとのこと。
細胞検査の結果の時にグレーゾーンだから再検査は必要と言われ覚悟はしないとなと思いつつ再検査したところやはり胃がんと診断されました。(中略)若くても早期発見のために健診がいかに大事か痛感しました。(後略)

引用元:Caloo

おかしいなと思ったらすぐに検査を受けるべき

(前略)手術の前と比べて、胆嚢を取ったせいもあるのですが、油ものがすぐお腹に来たり、10年経った今でも食べ物によっては未だに飲み込めず、逆流してくることがあります。
ある一定期間に抗癌剤も飲んでいました。
良性とはいえ、癌の移転を抑える為だと思います。
ひどくなる前に、おかしいと思ったらやはり、医者にかかるべきなのだと痛感した出来事でした。
今は年に一度大きく検査をして、経過を見ています。

引用元:Caloo

家族で相談して手術内容を決めた

胃を全部摘出するか 半分にするかのジャッジを迫られましたが
半分摘出に決めました、リスクも若干ありましたが
半分でも残した方が良いと嫁と相談して決めました。(後略)

引用元:Caloo

たった1年の間に胃癌になっていた

平成23年11月職場の定期健康診断で胃カメラの検査を受け病理検査の結果、医師より「胃癌」である事を告知されました。しかもレベル4で直径2㎝の大きさとの事。
その前年の健診では何も言われなかったので、震災の時期を含む1年の間で発症、進行したものと思われます。(後略)

引用元:Caloo

軽い気持ちで受けた健康診断で胃癌を発見

夫は、職場で数名だけ、安くで健康診断を受けられるシステムに応募して検査を受けました。退職したら、なかなか健康診断を受ける機会がないだろうからという軽い気持ちでした。全く自覚症状はありませんでしたが、そこで胃癌が発見され、手術を受けました。(後略)

引用元:Caloo

医師のおかげで手術を無事に終えられた

(前略)術後は快方に向かい1週間後に一般病棟に戻って予定日より10日後に無事退院しました。
一時はどうなるかと思いましたが!?先生や看護師の治療のおかげだと思います。もう手術して
6年…生存率越えました少し弱ってるけど!?元気に過ごすことができるのは、先生の迅速な対応のおかげだと思います。ありがたかったです。

引用元:Caloo

本人に全く自覚症状がなかったのに胃癌だった

(前略)初めはポリープか胃ガンか分からず再度の詳しい検査になり、胃ガンと分かった時には家族皆、衝撃でした。しかし、当の本人が一番ショックだったと思います。だって、本人いわく、なんの症状もなく、食欲も旺盛で、元気いっぱい遊び回っている矢先のことだったので。青天の霹靂であったと思いますが、何が良かったかは、初期で見つかったことであったと、思います。(後略)

引用元:Caloo

人間ドックや検診をもっとちゃんと受けていれば……

(前略)数年前までは人間ドッグに行っていました。そこで肺に小さな影があると言われたことがあります。しかし、経過を観察してもガンでは無かったようです。これが、父としても安心してしまったのか、待ち時間などが面倒だったこともあり、年金生活なので他のことにお金を使いたかったこともあり、人間ドッグをやめてしまいました。これを続けていれば、ステージ1~2位で発見できたのだと思います。私も定期的な検診をすすめなかったことを後悔しています。また、母は少し少食になったことを気にしていましたが、年のせいではないかと受け流してしまったこと、味覚が少し変わったような気がしたことを見過ごしてしまったこと。気付けるチャンスはあったのです。もう少し父に関心があれば…。何度も後悔して泣きました。(後略)

引用元:Caloo

胃癌になってから人生について考えた

(前略)幸い、私のがんはそこまでの状況では無かったからこんな悠長な事を言っていられるのかもしれません。ましてや4年経過した今でもこうして元気で生活できているから。
しかし、私はがんになってもある意味これくらい楽天的に考える事が大切だと思います。
なっちゃったものは仕方ないし。
その時は、まず今、自分にとって大切なものは何かを考えよう。
自分にとって一番落ち着く場所は何処かを考えよう。
『もう終わりだ』と悲観的に考えるのではなく、『生きる』。この気持ちが大切だろうと。
今皆さんにぜひ考えてもらいたいと思います。(後略)

引用元:がん・バッテン・元気隊

SNSで胃癌の患者さんと情報交換

ファーストラインの頃から、がん友とSNSグループで情報交換をしています。
SNSでの交流を始めたきっかけは、もともと参加していた患者会。胃がんで自分と同じステージの方が3人いらっしゃったんです。仲良くなって、連絡をとりましょうということで、グループを作りました。(中略)他のメンバーが共有してくれる話は参考になりますし、疑問が出たときは自分の主治医に質問してみることもあります。様々な患者視点での情報が得られることは私にとっては大きなメリットです。情報という観点を抜きにしても、メンバーと繋がっていることで、一人だけではないんだと励みになります。(後略)

引用元:tomosnote

年齢に合わせた生き方で今を楽しむ

今年、胃がんで胃を全摘してから20年目を迎えることができました。(中略)私の音楽活動は、妻の理解と協力あってのことと感謝しています。妻も歳相応の持病を抱えてはいますが、これからもお互いに元気で余生を過ごしてゆきたいと考えています。
私も70歳を過ぎた頃から食後のダンピング症状が顕著になり、声のかすれや倦怠感が伴ってきましたので、老化に合わせた生活スタイルを模索中です。無理せず、天の則に従い「病は気から」だと念ずるこの頃です。

引用元:胃を切った人 友の会 アルファ・クラブ|前向きな生活スタイルで生涯現役

全ての人や出来事に感謝を

2012年6月2日、大阪市の北野病院にて腹腔鏡手術で幽門部3分の2と胆のうを摘出、ビルロートⅠ法で再建しました。(中略)大阪駅の近くに住んでいるのでシンフォニーホール、フェスティバルホールでのコンサート、中之島の美術館も徒歩圏内で楽しめます。大好きな着物を着て歌舞伎・文楽も楽しんでいます。
術後5年、すべての検査をパスして北野病院を卒業しました。川柳ですべての人、物、ことに感謝です。〔ありがとね こころのなかで 手を合わす〕

引用元:胃を切った人 友の会 アルファ・クラブ|孫の成長、陶芸、着物リフォーム、発明品創作を楽しむ

歳を取っても前向きに生きられています

昭和59年4月、37歳の春に胃がんで胃を全摘しました。手術は7時間もかかり、周りのリンパ節も除去しました。あとで知りましたが、がん細胞の転移はなく、ほっとしました。(中略)健康法なんていえませんが、体力保持に朝晩に腹筋、背筋、ラジオ体操、アレンジの腕、脚の屈伸と左右へ回すなど、昔読んだ出光佐三さん(出光興産の創業者)の頭、首、胸、肋骨下、腹、ふくらはぎ、足裏、手などのマッサージを15〜30分ほど継続して行っています。
願わくば、家内共々85歳くらいまで生きたいと考えています。この私の体験談が、少しでも参考になればうれしく思います。

引用元:胃を切った人 友の会 アルファ・クラブ|37歳で胃を手術、朝晩の健康法で元気

癌で失ったものを嘆くより得たものに感謝

2007年5月、胃の全摘と胆嚢(たんのう)を予防的切除しました。再建はルーワイ法です。8月の職場健診では問題なく、年明け3月の地域健診で要精検となり、がん診断につながっています。(中略)「新たな朝に今日も大切に大切に生きよう、折れない心で生きようと祈る」。がんになって失くしたものより恵みの大きさに気づいた十年、伝えきれない感謝とともに在る私。支えてくださった皆様ありがとうございます。おかげさまで生きています。感謝。

引用元:胃を切った人 友の会 アルファ・クラブ|存在の社会化

多くの人々に支えられて今がある

東北大震災の前日に胃がんで全摘の手術を受けました。(中略)また、多くの人に支えられました。見舞いに来るたびに汚れたところを黙って掃除をしてくれた息子の嫁。「元気で長生きしてね。何かあったらひとみにいってね」と小学生の孫娘の手紙。大学病院で腹膜播種の宣告を受けたときに「腫瘍マーカーだけでそんなことがいえるのか」と怒った中医クリニックの先生。自宅に励ましの電話をくれた美術会の事務局長、美術展に見に来て励ましてくれた中学の同級生たちなど、多くの人に支援してもらいながら、やっと今日まで来られたという感じです。

引用元:胃を切った人 友の会 アルファ・クラブ|ひどい冷えとしびれに悩む

周囲の支えで自分を受け入れた

(前略)仕事が一段落した翌年の3月に人間ドックに行きました。この痛みは胃潰瘍だろうと決めて結果を聞きに出かけ、胃がんを告知されたときは涙があふれました。新しいクラスを受け持ったばかりで戸惑い、泣きながら帰路に着きました。(中略)最近、近くに信頼できるお医者様を見つけました。「胃が弱い人が世の中にはいるのですよ」との一言で「そうか。強くなろうとして頑張らなくても」と思います。ていねいにおなかを診て、「ヘルニアで小さい胃だからね」と、太れないで悩む私に助言をくださり、この一言で安心します。夫もよく私に付き合ってくれます。長い時間のトイレも待っていて、私の日課の体操や散歩を一緒にするときもあり、とても心強いです。(後略)

引用元:胃を切った人 友の会 アルファ・クラブ|みんなに支えられた教員生活

大病を経験したが今もこうして生きています

(前略)5年後、がんの卒業試験(検査)で、胃の上部に再びがんが見つかりました。(中略)今、私のこのような大病経験後の状況下でも生き長らえている自分が不思議でなりません。というのも、大腸の手術をしてくださった先生は亡くなられ、患者だった私が胃を切除後も生き残っていること、そして、大げさながら、肺の残りの部分のがん化に怯えながらも生きていることです。私が今、ここまで生きてこられたのもたいへんラッキーで、皆さんに感謝、感謝の気持ちでいっぱいです。

引用元:胃を切った人 友の会 アルファ・クラブ|大腸がん、胃がん、肺がんを克服

今も生きられる幸運に感謝

私は今年の5月で胃がん手術後10年になります。がんの発見は60歳を迎えたときでした。現在まで普通の暮らしができ、術後の体調変化への対応に努めた以外に、がんを克服したといった感覚はありません。(後略)

引用元:胃を切った人 友の会 アルファ・クラブ|会社リタイア後は太極拳を指導

健康を心がけて百歳を超えても生きていこう

(前略)私の腹痛は普通3日くらいで治まるのに…。胃カメラの検査を受けたところ、「胃がん」が判明し、早急に他の病院で診てもらうことになった。(中略)百歳まで元気に生きようと決心すると、そのための情報に気づくことが多く、とても役に立っている。今後は人のお役に立つ傾聴ボランティアなどを続け、孫の成長や家内との旅行も楽しみたい。同時に再びがんにならないための「精神の安定」「正しい食事」「適度な運動」を心がけ、認知症にもならず、百歳を超えても、なお元気に生きていこうと考えている。

引用元:胃を切った人 友の会 アルファ・クラブ|元冷蔵庫エンジニアは大忙し

毎年の目標に向かってしっかりと生きています

(前略)胃がんという病気にかかり、後遺症など、いろいろなことを体験しましたが、今、生存していることに感謝し、何事も前向きに良いほうに理解し、一年一年目標を立て、人様に迷惑をかけず残された人生を過ごせるようにしっかり生きていきたいと思っています。(後略)

引用元:胃を切った人 友の会 アルファ・クラブ|胃を3分の2切除後、数度の救急搬送

胃癌や治療法に対する研究・論文

この章では、比較的新しい臨床試験や治療法について解説していきます。治癒切除不能とされる進行・再発の胃癌への治療法や、パクリタキセルとラムシルマブの併用で生存期間の改善につながる事例などを解説しています。新しい治療法を探している方は、チェックしてください。

局所進行胃がん(切除可能)の術前後の治療

手術が可能な進行胃がん(または食道胃接合部がん)の患者に対する治療法を比較した 「KEYNOTE-585試験」と呼ばれる国際的な臨床試験の最終結果 についてです。

目的・背景

免疫チェックポイント阻害薬を化学療法と併用する治療法は、胃がんならびに胃食道接合部(G/GEJ)腺がんに対する一次治療において、生存期間の延長効果が判明しています。

しかし、局所進行切除可能なG/GEJ腺がんに関しては、周術期化学療法と免疫チェックポイント阻害薬を併用した治療の効果は、明らかにされていない状況です。

局所進行切除可能G/GEJ腺がんと診断された患者を対象に行なわれたKEYNOTE-585試験(無作為化二重盲検第III相試験)のメインコホートにおいては、術前にペムブロリズマブもしくはプラセボをCisplatin+Capecitabineによる化学療法を併用療法として3コース行ないました。

そして、術後にペムブロリズマブもしくはプラセボ併用化学療法を3コース行なった後、その上、ペムブロリズマブもしくはプラセボ単剤を11コース追加投与する治療プロトコールにて評価。化学療法にFluorouracil+Leucovorin+Oxaliplatin+Docetaxel(FLOT)を使用したFLOTコホートも設定されています。

結果

この試験の最終解析に関して、メインコホートにおける周術期療法としてペムブロリズマブ+化学療法が、 プラセボ+化学療法と比べて、pCRの継続的な改善 が見られたとされています。

しかし、上記の差は統計学的多重性調整(複数の統計的検定を同時に行う際に、偶然により統計的に有意な結果(偽陽性)が出る確率が増大する問題を避けるための手法)の対象外でした。

5年EFSは10%、5年OSは6%のペムブロリズマブの上乗せ効果が数値上は示されています。しかし、あらかじめ設定された多重性戦略を基準として、第3回中間解析でEFSの統計学的有意差は認められなかったので、最終解析ではEFSならびにOSの差について正式な統計学的検定は実施されていない状況です。

メイン+FLOTコホートにおいても、pCR(手術時にがんが消えている割合)・EFS(再発を抑える効果)・OS(全生存期間)はすべて同様の結果となり、この試験では、pCRの改善がEFS・OSの改善の予測は確認できませんでした。

しかし、上記の評価項目間の関係性に関しては、今後より検討をしていく必要があります。追加で行われた追跡期間においても、重大な安全性の懸念について報告はされていません。化学療法にペムブロリズマブを追加しても、プラセボ+化学療法と比べて健康関連QOLの悪化は見られていない状況です。

近年、切除可能G/GEJ腺がんの周術期補助療法として、免疫チェックポイント阻害薬と化学療法の役割を検証するさまざまな試験が行なわれています。具体的には、第III相MATTERHORN試験や、第II相無作為化DANTE試験5)はどちらも免疫チェックポイント阻害薬を併用する周術期補助療法がpCRを増加するという効果を示しています。

今後の課題

局所進行胃がん(切除可能)の術前後の治療として、化学療法に免疫薬(ペムブロリズマブ)を追加すると、手術時にがんが消えている割合(pCR)は高まっています。

しかし、この試験(KEYNOTE-585)においては、 再発を抑える効果(EFS)や全生存期間(OS)を統計学的に有意に改善することは証明できませんでした。 (※数値上は改善傾向にあり)

今後、免疫チェックポイント阻害薬の有効性を明らかにするために追加研究を実施する必要があり、加えてpCRが生存エンドポイントの有効なサロゲートエンドポイントとなり得るかについても検証が求められています。

参照元:消化器癌治療の広場 GIcancer-ne

HER2陽性胃がん二次治療におけるTrastuzumab Deruxtecanの有効性を検証

HER2(ハーツー)というタンパク質が陽性の進行胃がん患者に対する、「二次治療(最初の治療が効かなくなった後の治療)」について、新しい薬と今までの標準治療を比較した研究の報告です。

目的、背景

胃がんにおいて、HER2陽性は免疫組織化学染色(IHC)3+、もしくはIHC2+ならびにin situ hybridization(ISH)陽性と定義されており、胃がん全体の5~17%に相当となっています。

ToGA試験の結果に従い、切除不能もしくは転移性のHER2陽性胃がん(食道胃接合部腺癌を含む)の一次治療として、抗HER2抗体トラスツズマブに化学療法を併用するのが標準とされています。

また、KEYNOTE-811試験の結果を受け、PD-L1発現例(CPS 1以上)ではペムブロリズマブを上乗せするのが標準治療となりました。しかし、二次治療に関しては、HER2陽性に特化した治療はなく、HER2 statusによらずラムシルマブ+パクリタキセル療法が採用されてきました。

結果

2021年5月から2024年10月にわたり、HER2のスクリーニングが1,088例に対して実施された結果、638例が陽性判定を受けてスクリーニングに進みました。

最終的には、494例が登録され、トラスツズマブ デルクステカン群246例、ラムシルマブ+パクリタキセル群248例にランダム化割付が行われました。患者背景、年齢中央値はトラスツズマブ デルクステカン群で63.2歳、ラムシルマブ+パクリタキセル群で64.3歳となっています。

6カ月生存割合は、それぞれ83.5% vs. 74.4%、12カ月生存割合は57.6% vs. 48.9%、24カ月生存割合は29.0% vs. 13.9%。無増悪生存期間も、 トラスツズマブ デルクステカン群で有意な延長 がみられています。

安全性の解析では、薬剤に関連した有害事象はトラスツズマブ デルクステカン群(T-DXd)93.0%、ラムシルマブ+パクリタキセル群(Ramucirumab+Paclitaxel)は91.4%に認められ、grade3以上の有害事象はそれぞれ50.0%と54.1%に認められました。

主に見られた有害事象は、以下の通りです。

トラスツズマブ デルクステカン群に特徴的な間質性肺疾患は、34例(13.9%)の方に見られ、そのうちgrade 1は7例(2.9%)、grade 2は26例(10.7%)、grade 3は1例(0.4%)となっており、grade 4以上は見られませんでした。

その一方、ラムシルマブ+パクリタキセル群においても3例(1.3%)の方に間質性肺疾患が発症し、grade 3は2例(0.9%)、grade 5は1例(0.4%)という結果でした。

左室機能障害は、トラスツズマブ デルクステカン群で6例(2.5%)の方に見られ、grade 2が3例(1.2%)、grade 3が3例(1.2%)となっています。ラムシルマブ+パクリタキセル群では、4例(1.7%)に見られ、grade 1は2例(0.9%)、grade 2は2例(0.9%)となっています。

治療関連死はトラスツズマブ デルクステカン群で4例(1.6%)の方に発生し、上部消化管出血や腸閉塞、突然死、不明が各1例という結果でした。ラムシルマブ+パクリタキセル群では2例(0.9%)の方に発生し、胃穿孔・間質性肺疾患が各1例となっています。

今後の課題

HER2陽性の進行胃がんにおいて、一次治療が効かなくなった患者さんに対し、 「トラスツズマブ デルクステカン (T-DXd)」は、従来の標準治療(ラムシルマブ+パクリタキセル)よりも明らかに生存期間を延長 させることが証明されました。

この結果により、トラスツズマブ デルクステカンは、二次治療において新たな標準治療となることが示されています。

参照元:消化器癌治療の広場 GIcancer-ne

進行胃食道腺癌に対するLenvatinib+Pembrolizumab+化学療法と化学療法単独の比較

HER2陰性の進行・再発胃がん(または食道胃接合部がん)患者さんに対する一次治療(最初の薬物治療)として、新しい3剤併用療法と従来の化学療法を比較した「LEAP-015試験」の結果報告です。

目的・背景

これまでの、HER2陰性切除不能進行・再発胃/胃食道接合部がんに対する一次治療は、プラチナ製剤ならびにフルオロピリミジン系薬剤による化学療法の実施でした。

近年、免疫チェックポイント阻害薬と化学療法を併用した治療法の有効性が示されており、とりわけPD-L1 CPSが1以上の集団で有効性が報告されています。

また、血管内皮増殖因子(VEGF)受容体をターゲットにした薬剤が、二次治療にて有効性を示しています。しかし、国際共同試験の全生存期間(OS)中央値は、12~14か月となっており、相変わらず予後が不良な状況です。

経口マルチキナーゼ阻害剤のレンバチニブは、in vivoで抗PD-1抗体との相乗効果を示し、レンバチニブとペムブロリズマブを併用した治療は、子宮体がんや腎細胞がんなどを対象とした臨床試験にて、その有効性が報告されています。

胃がんでは、第II相試験であるEPOC1706試験において、レンバチニブとペムブロリズマブの併用療法が客観的奏効割合(ORR)69%・無増悪生存期間(PFS)中央値7.1カ月と良好な結果が見られました。

この論文では、第III相国際共同非盲検ランダム化比較試験とされるLEAP-015試験において、HER2陰性進行胃/胃食道接合部腺がんと診断された患者を対象に、一次治療としてのレンバチニブ+ペムブロリズマブ+化学療法と、化学療法単独を比較。主要評価項目はPFSならびにOSでした。

副次評価項目は、ORR・奏効持続期間(DOR)・安全性などです。

結果

レンバチニブ群は、化学療法群と比べ、PD-L1 CPS≧1の患者ならびに全患者において、PFSの有意な改善 が見られました。しかし、これらの差はわずかであり、臨床的意義は限定的とだと考えられています。

開始後約4カ月まで、カプラン・マイヤー法(生存期間を分析する統計手法)の曲線に解離が見られなかったことは、治療開始早期のレンバチニブおよびペムブロリズマブによるベネフィットが限定的であることを示しています。

RAINBOW試験とは対照的に、VEGF阻害剤とフルオロピリミジン系薬剤、プラチナ製剤と併用する治療法により、全生存期間が延長する利益は得られませんでしたが、これはRAINFALL試験ならびにAVAGAST試験と同様であり、相乗効果が十分に得られない可能性があります

まとめ/結論

HER2陰性の進行胃がんの一次治療として、レンバチニブを化学療法とペムブロリズマブに上乗せする3剤併用療法(LEAP-015試験)は、がんの進行をわずかに遅らせた (PFS) ものの、重要な目標である全生存期間 (OS) を延長することはできず、副作用(特に重篤なもの)は増加するという結果でした。

上記の結果から、 この3剤併用療法は、現在の標準治療を上回る治療法とは言えない ことが示されています。

この試験が主要評価項目を達成できなかったと考えられる要因として、試験治療群においての毒性増加により治療中断・合併症の割合が増加し、PFSの延長がOSと関連性が薄かった可能性が挙げられます。

今後、忍容性が改善されているPD-1/VEGF二重特異抗体と化学療法を併用した治療法が注目されている状況です。肺がん領域においては、すでにPD-1/VEGF二重特異抗体を使用した臨床試験が先に行われており、同様の開発が消化器がんの領域にも広まっていくことが予測されています。

参照元:消化器癌治療の広場 GIcancer-ne

「胃癌治療ガイドライン」改訂のポイントについて

2025年3月に改訂が実施されました。同年3月におこなわれた第97回日本胃癌学会では、「胃癌治療ガイドライン第7版 改訂のポイント」と名付けたシンポジウムが開催されました。

外科治療・薬物療法・内視鏡治療の3つに分類し、改訂ポイントについて解説されています。

胃の切除範囲として、これまでおこなわれていた6つの術式にプラスして「胃亜全摘術(小彎側をおよそ全長にわたり切離し、短胃動脈を一部切り離す幽門側の胃切除)」を追加。具体的に、新設・変更された主なクリニカルクエスチョン(診療現場で発生した疑問)については、以下をご覧ください。

外科治療に関するクリニカルクエスチョン

薬物治療に関するクリニカルクエスチョン

薬物療法の改訂ポイントについては、以下をご覧ください。

日本においての現状は、胃がんと診断された患者の85%は65歳以上となっています。しかし、主要な臨床試験における65歳以上の参加者は、3分の1ほどとされています。

一方で、「一般的な若年層と同様の標準治療を受けるのは難しいが、ある程度の治療は受けられる」といった脆弱な状態にある層が存在していることから、このような人に向けた治療戦略も必要な状況です。

高齢の患者に対する化学療法においては、減量・薬剤選択による投与継続など、適切な個別化戦略がさらに重要となるでしょう。

参照元:ケアネット|「胃癌治療ガイドライン」改訂のポイント~外科治療編~/日本胃癌学会

腹膜転移型胃がんに治療効果のあるmRNAワクチンを開発・免疫チェックポイント阻害剤との併用療法の確立に期待

近畿大学は、2025年8月腹膜転移型胃がんに対するmRNAワクチンを開発、免疫チェックポイント阻害剤と併用することで、高い治療効果を確認したと公表しました。

この研究では、「ネオアンチゲン」と呼ばれるがん細胞特有のタンパク質をターゲットにしたmRNAワクチンを開発、脂質ナノ粒子というきわめて小さなカプセルへ包んでからマウスに投与。

研究の結果、キラーT細胞と呼ばれる細胞が強く活性化されることを確認しました。

キラーT細胞は、がんやウイルス感染など、体内における異常状態にスピーディーに対応し、体を守る働きがあります。さらに、上述のワクチンと免疫チェックポイント阻害剤「抗PD-1抗体」を併用すると、がん細胞の腹腔内拡散(腹膜表面に付着し新たな転移巣を作る現象)を予防し、腫瘍を消失させたと言われています。

上記の研究により、従来治療が効きにくい腹膜転移型胃がんに対する新たな治療法の可能性が示されました。

本件の背景

胃がんは早期の段階では症状が見られないことが多く、進行がんになっても自覚症状が乏しいことも珍しくありません。

進行すると、みぞおち周辺の痛みや不快感、違和感、胸焼け、吐き気、体重減少、貧血、吐血や黒色便といった症状が見られるケースもあります。

さらに進行すると、がんが胃の内側の粘膜で発生し、大きくなるにつれて、胃の壁の深い方に入っていきます。がんが胃の壁を貫き、胃の外側を覆う膜に露出、胃の壁の表面から腹腔の中にこぼれ落ちる腹膜転移が見られます。

上述した腹膜転移が見られると、生存期間中央値は4~6カ月と極めて予後が悪いことで知られています。

胃がんは、発症率と死亡率がどちらも高いとされており、男性はおよそ11人に1人・女性ではおよそ24人に1人が、一生のうちに胃がんと診断されている状況です。

死亡率を部位別でみると、男性は肺がん、大腸がん、胃がん、女性は大腸がん、肺がん、膵臓がん、乳がん、胃がんの順に多いとされています。胃がんと診断されて手術を受けたとしても、再発するケースが多いがんです。

腹膜転移は、がんが腹膜(胃・腸などの臓器とお腹の壁の内側を覆っている薄い膜のこと)に転移した状態を指します。がんが腹膜へ転移すると、種がまかれたようにお腹の中へがん細胞が散らばってしまうことから腹膜播種とも呼ばれています。

がん細胞が、種をまいたように散らばっている状態だと、外科的治療による切除が困難な状態です。従来使用していた免疫チェックポイント阻害剤や抗がん剤の効果が乏しいことから、新しい治療法の開発が急務とされていました。

研究の詳細

研究グループは、ネオアンチゲンをターゲットにして、先行研究とは違う種類のワクチンを生成し、それを効率的にがん細胞へ届けるシステムを組むことで、胃がんの腹膜転移に対する治療効果を検証。

まず、胃がん細胞をマウスの腹腔へ投与し、胃がんの腹膜転移の状態を作り出しました。このモデルを使用してネオアンチゲンを発見し、それらをターゲットとするmRNAワクチンの開発にあたりました。その後、上述のワクチンを「脂質ナノ粒子」と呼ばれる極めて小さなカプセルに包み、マウスへ投与。

その結果、がんを攻撃するキラーT細胞を強く活性化することを発見したとされています。また、免疫チェックポイント阻害剤「抗PD-1抗体」と、開発したワクチンを一緒にマウスへ投与することにより、がん細胞が腹腔内へ拡散するのを予防し、腫瘍が消失したとされています。

この研究は、従来治療の効果が見られにくいとされていた腹膜転移型の胃がんに対して新しい治療法となり得ることを示した成果と言われています。

また、今後ヒトに対しての臨床応用が進み、mRNA技術による個別化がんワクチンが開発されれば、抗PD-1抗体との併用で、胃がん以外の難治性がんに対する免疫療法確立にも応用できる可能性についても示されています。

参照元:NEWS CAST|腹膜転移型胃がんに治療効果を示すmRNAワクチンを開発 免疫チェックポイント阻害剤と併用する治療法の確立に期待

参照元:知っておきたいがん検診|胃がんとは?

参照元:公益財団法人日本対がん協会|がんの部位別統計

MSI-H進行胃がんに新たな治療選択肢の可能性~化学療法を使用しない免疫療法併用が有効性を示す~

MSI-H進行胃がん※は、免疫療法が効果的とされています。しかし、MSI-H進行大腸がんで効果が確認されているニボルマブ+イピリムマブ療法の前向き臨床試験は、今まで実施されていませんでした。

東北大学大学院医学系研究科臨床腫瘍学分野に在籍している川上教授(東北大学病院腫瘍内科兼任)と、愛知県がんセンター副院長を務める室圭ら西日本がん研究機構の研究グループは、MSI-H進行胃がんと診断されている方を対象として、ニボルマブ・低用量イピリムマブの併用療法の有効性や安全性について評価する第Ⅱ相試験「NO LIMIT試験」を医師主導治験としておこないました。

試験がおこなわれた結果、この治療法は抗腫瘍効果に優れているとされています。中でも、治療関連有害事象があり治療中断をした方においても、効果が長期間持続されることが判明しました。

この研究の成果は、がん治療において、免疫療法の可能性を広げる重要な知見とされています。

上記研究結果は、医学誌Journal of Clinical Oncology誌に掲載された内容です。(2025年5月16日付)

発表のポイント

高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)の胃がんは、免疫チェックポイント阻害薬に対して高い感受性を示すとされています。MSI-H進行大腸がんに対し効果があるとされるニボルマブと低用量イピリムマブを併用する治療法について、MSI-H進行胃がんに対する前向き臨床試験は存在していない状況でした。

今回はじめて、第II相試験(NO LIMIT試験)として、MSI-H進行胃がんに対し、ニボルマブとイピリムマブの併用療法を実施し、有効性や安全性が評価されました。 治療成績は以下の通りです。

なお、副作用による治療中止後も、多くの患者で腫瘍縮小効果が持続しました。

MSIとは胃がんと診断された5%に存在する

※MSI(エムエスアイ):がんが備える特徴の1つであり、マイクロサテライト不安定性の略のことです。胃がんでは約5%に、マイクロサテライト不安定性が高い「MSI-High(エムエスアイハイ)」の方が存在すると言われています。

参照元:東北大学|MSI-H進行胃がんに新たな治療選択肢の可能性-化学療法を用いない免疫療法併用が有効性を示す-

参照元:オノオンコロジー|HER2、CPS、CLDN18、MSI検査とは何のための検査ですか?

治癒切除不能とされる進行・再発の胃癌患者へ新たな治療選択肢を提供

アステラス製薬株式会社は、2024年4月にゾルベツキシマブを日本において、「CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌」を効能・効果として承認・発売しました。

ゾルベツキシマブは、上記を適応として世界ではじめて発売する抗CLDN18.2モノクローナル抗体のことです。

アステラス製薬は、ゾルベツキシマブという治療選択肢を患者さまに提供し、アンメットメディカルニーズの高い胃がんの治療に貢献しています。※アステラス製薬は、複数の国と地域の規制当局にゾルベツキシマブの承認申請を提出し、当局で審査中です。

参照元:Astellas

パクリタキセルとラムシルマブの併用で生存期間を改善

HER2陰性の転移を有する胃・食道胃接合部癌において、1次治療のオキリプラチンベースの2剤併用化学療法を3か月間実施した後に、維持療法としてパクリタキセル・ラムシルマブの併用投与を行ったケースの方が、2剤併用化学療法を継続するよりも無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を有意に改善できることが判明しました。

イタリアで実施された、フェーズ3のARMANI試験の結果から示されたとされています。5月31日から6月4日にシカゴで行われた米国臨床腫瘍学会(ASCO 2024)にて、イタリアFondazione IRCCS Istituto Nazionale dei TumoriのFilippo Pietrantonio氏が発表しました。

参照元:がんナビ

ステージIB胃がんに対する術後化学療法の有効性

がん治療において、根治手術の前後に、再発を防ぐ目的で化学療法・ホルモン療法などの補助療法が行われます。現時点では、胃がんのⅠB期に対して、補助療法として行われる化学療法の有効性は不明です。

今回行われた後ろ向きコホート研究では、中国の複数の病院に入院し、手術を受けたステージIBの胃がん患者2110人のデータを傾向スコア・マッチング(PSM)を行い、術後化学療法を受けた方と、術後経過観察だけの方の生存を比較解析しました。

その結果、ステージIB胃がん全体では、術後化学療法は、術後経過観察と比較し、再発の抑制効果は見られませんでした。しかし、19-9*4の上昇・リンパ血管浸潤陽性・リンパ節陽性のサブグループ分析において、有意差が認められたとされています。

以上のことから、ステージIB胃がんの術後化学療法は特定の高リスクグループには有効な可能性が示唆されました。

参照元:TMIMSロゴ 公益財団法人 東京都医学総合研究所

HER2陽性転移性胃癌と食道胃接合部癌の初回治療における
キイトルーダ+標準治療の有用性

2023年10月にスペインのマドリードで開催されたESMO(欧州臨床腫瘍学会)において、HER2陽性転移性胃癌と食道胃接合部癌の初回治療として、従来の標準治療だけでなく抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)を併用することで、癌治療としての効果を有意に高められるという研究結果が発表されました。

まず、従来の標準治療ではトラスツズマブ(製品名:ハーセプチン)を使った化学療法が実施されていました。そして同研究では、さらにそこへペムブロリズマブを追加した併用治療を行うことで、無憎悪生存期間を改善できたと報告しています。

研究によれば、第3相試験としてKEYNOTE-811試験を行い、標準治療のみのケースと、ペムブロリズマブ併用療法のケースを比較した結果、死亡リスクが28%も改善されているという数値が得られており、今後の標準治療の見直しなどに貢献すると示唆されています。

参照元:オンコロ|HER2陽性転移性胃がん/食道胃接合部がんに対する初回治療としてのキイトルーダ+標準治療、無増悪生存期間を有意に改善

重度の腹膜転移を伴う進行胃癌の一次治療に「mFOLFOX6」が期待

埼玉県立がんセンターの原浩樹氏を中心とした研究グループが、2022年6月~7月にかけてスペインのバルセロナで開催された「ESMO World Congress on Gastrointestinal Cancer 2022(WCGIC 2022)」において、重度の腹膜転移を伴う進行胃癌の一次治療として「mFOLFOX6」の有用性を報告しています。

研究については日本国内の多施設単群オープンラベルフェーズ2試験「WJOG10517G試験」として実施されており、mFOLFOXを投与した場合において全生存期間(OS)に関する改善結果が得られました。なお試験対象となった患者は20歳から75歳で、重度の腹膜転移がある進行胃癌の患者であり、さらに高度腹水や経口摂取不能といった条件も設けられています。

上記の研究成果から、今後の進行胃癌の治療についても重度の腹膜転移を生じている場合において、より有効な治療法を検討できる可能性が示唆されています。

参照元:がんナビ|mFOLFOX6は重度の腹膜転移がある進行胃癌の1次治療の選択肢になり得る【WCGIC 2022】

進行胃癌に対するニボルマブ治療の化学療法が予後の改善を促す

切除不能進行胃癌や再発胃癌の患者に対して、ニボルマブ治療を行った後に化学療法を行った場合、想定外の副作用リスクを高めることなく予後を一層に改善できることが報告されました。これは日本国内の前向き観察研究「REVIVE試験(CSPOR GC-01)」の結果として報告されており、埼玉県立がんセンターの松島知広氏によって「Gastrointestinal Cancers Symposium(ASCO GI 2022)」で発表されています。

研究は2018年6月から2020年9月までの間において、ニボルマブの投与を受けた患者395人を登録者として、さらにニボルマブ治療後に化学療法を受けた199人を対象として評価の検証が行われました。なお、患者の年齢は29歳から87歳で、男性が70%となっています。

化学療法として投与された薬剤はイリノテカン単剤128人(64%)、FTD/TPI単剤61人(31%)、そしてオキサリプラチンを含むレジメンが10人(5%)となっていました。

研究成果によれば、上記の化学療法によって患者の生存率が高まっており、特にOS中央値についてはイリノテカン単剤が8.1ヶ月となっています。

参照元:がんナビ|進行胃癌でニボルマブ治療を受けた後の化学療法は予後をより改善する可能性【ASOCO GI 2022】

抗Claudin18.2モノクローナル抗体ゾルベツキシマブとCAPOXの併用療法で
進行胃癌の生存期間が向上

切除不能な、Claudin18.2陽性・HER2陰性の局所進行胃癌や転移性胃腺癌、また食堂移設郷部腺癌の一次治療として、「抗Claudin18.2モノクローナル抗体ゾルベツキシマブ(zolbetuximab)」と「CAPOX」を併用することにより、CAPOXのみを投与した場合よりも患者の全生存期間(OS)や無増悪生存期間(PFS)が有意に改善することが発見されました。これはフェーズ3試験のGLOW試験の結果として、2023年3月に開催された「ASCO Plenary Series」において、アメリカのWeill Cornell Medicine/New York-Presbyterian Hospitalへ所属するManish Shah氏が報告しています。

そもそも、ゾルベツキシマブはすでにmFOLFOX6との併用でOSやPFSを改善できることが知られており、今回の研究はさらにゾルベツキシマブとCAPOXの組み合わせでも有効性があると証明された結果となりました。

参照元:がんナビ|Claudin18.2陽性進行胃癌の1次治療でゾルベツキシマブとCAPOXの併用療法はOSとPFSを有意に延長

新たな胃癌マウスモデルの開発によって胃癌幹細胞の発見に成功

2021年、金沢大学がん進展制御研究所の研究グループはヒトの進行胃癌の特性にとてもよく似た胃癌を発症するマウスとして、新たなモデルの樹立に成功し、さらにその新しいマウスモデルを使用することで胃癌組織に存在する胃癌肝細胞の新発見を成功させました。

本研究では、胃上皮組織においてのみ遺伝子変異を誘発可能なマウスモデルを開発し、悪性度の高い進行胃癌の発生や癌転移の機構などを解明することがテーマになっています。また、その結果として世界で新しいマウスモデルの樹立に成功し、これまでにない実験系を構築した上、胃癌組織において癌の発生や維持、転移に欠かせない胃癌肝細胞の発見を世界に先駆けて達成したことも重要です。

本研究により、胃癌肝細胞についてアプローチできる実験環境が新たにもたらされたことで、胃癌肝細胞を一層深く研究して胃癌の発生機構を解明し、将来的にはヒト胃癌の治療法の開発などにもつなげることが期待されています。

参照元:金沢大学|新たな胃がんマウスモデルを開発し,胃がん幹細胞の発見に成功!

胃がん細胞の増殖メカニズム解明で新規治療法開発に期待

慶應義塾大学医学部内科学(消化器)教室の佐藤俊朗准教授らの研究グループが、多くの胃がんの細胞増殖が「Wnt」と呼ばれる増殖因子によってコントロールされていることを発見しました。

大半のがんは遺伝子変異による細胞増殖異常によって死に至ることがわかっていますが、胃がんの細胞増殖異常につながる遺伝子異常に関しては解明されていませんでした。

佐藤准教授らの研究グループは新しい培養技術によって36人の患者さんの胃がん細胞を体外で培養・増殖し、胃がんの細胞増殖異常につながる遺伝子異常の調査を実施。

胃の正常細胞はWntとR-spondinという2つの増殖因子によって細胞増殖をコントロールしていますが、多くの胃がんではR-spondinなしでも増殖可能であることが確認されました。

さらに研究グループではこのような胃がんの遺伝子特異を特定し、ヒトの正常胃細胞の増殖異常につながることを実証。その結果、多くの胃がんはR-spondinを不要とする一方、Wntは必要であることを発見しました。

これらの結果をもとに、ヒト由来の胃がん細胞を移植したマウスモデルを用いた実験を行ったところ、Wntを抑制する標的治療薬によって胃がんの増殖を著しく抑えることが確認されたそうです。

多くの胃がんがWntに依存していることを明らかにしたのは今回の研究が初であり、胃がん根治のための新たな治療法の確立に役立つことが期待されています。[注1]

参考文献:Cell/Divergent Routes toward Wnt/R-spondin Niche Independency during Human Gastric Carcinogenesis./南木康作、利光孝太、高野愛、藤井正幸、下川真理子、太田悠木、股野麻未、清野隆史、 錦織伸吾、石川景子、川崎健太、戸ヶ崎和博、高橋シリラット、須河恭敬、石田洋樹、 杉本真也、川久保博文、Jihoon Kim、北川雄光、関根茂樹、Bon-Kyoung Koo、金井隆典、佐藤俊朗

神経ストレスと胃がん進行の関係を解明

東京大学医学部付属病院消化器内科の早河助教らが、神経ストレスが胃がんの進行を加速させるメカニズムを解明しました。

人間の神経細胞は全身に分布していますが、中でも胃腸には1億個以上の多種多様な神経細胞が存在しており、胃腸のはたらきや消化ホルモンの分泌をコントロールしています。

以前から胃がんの発育と神経ストレスには密接な関係があることが指摘されてきましたが、早河助教らはマウスの胃がん組織を詳細に観察し、胃がんが進行する過程でがん細胞が「神経成長因子」を産生することを発見。

これに反応した神経細胞ががん組織に集結し、強いストレス刺激を受けることによって胃がんの成長スピードが速まることを明らかにしました。

この結果をもとに、胃がん進行に関わる神経成長因子を抑制する薬や、神経ストレスを放出する細胞を除去することによって、胃がんの進行を抑えられたとのことです。

現在、胃がんには抗がん剤治療を行うのが一般的ですが、さらに神経細胞との相互作用を抑える薬を使った治療を併用することで、将来的な胃がん治療への応用が期待されています。

神経成長因子をターゲットにした薬は臨床試験および実際の臨床でさまざまな疾患に使われていますが、今後は胃がんに対しても早期の臨床応用が見込まれるでしょう。[注2]

参考文献:Cancer Cell/Nerve growth factor promotes gastric tumorigenesis through aberrant cholinergic signaling./早河翼, 小西満, 新倉量太, 小池和彦(以上東京大学), 崎谷康佑, Samuel Asfaha, Daniel L. Worthley, Timothy C. Wang*(以上コロンビア大学), 他省略

AIによる早期胃がん発見で早期治療に貢献

理化学研究所(理研)光量子工学研究センター画像情報処理研究チームと国立がん研究センター東病院消化管内視鏡科の科長らによる共同研究チームが、人工知能(AI)による早期胃がんの高精度な自動検出法の確立に成功しました。

すべてのがんは早期発見・早期治療によって生存率が向上しますが、早期胃がんは進行性胃がんや大腸がんと比べると形態的特徴が多岐にわたっており、たとえ専門医であっても、内視鏡画像検査では炎症との判別が難しいところがネックでした。

そこで共同研究チームは、機械学習の方法の一種であるディープラーニングを使用し、内視鏡画像から早期胃がんを自動検出する方法を考案。

ディープラーニングとは多層のニュートラルネットワークのことで、画像や動画、テキスト、音声などの分類・識別問題に用いられます。

ディープラーニングを画像注の物体検出に応用する場合、学習データとして数十~数百万枚に及ぶ正確画像が必要となりますが、早期胃がんでは良質な正確画像を大量に用意するのは難しいため、少数の正確画像から小領域をランダムで切り取り、データ拡張技術を屈しして約36万枚まで増加させました。

その画像をコンピュータに学習させた結果、陽性的中率は93.4%、陰性的中率は83.6%と、いずれも内視鏡専門医の判断に迫るほどの高い的中率をマーク。

早期胃がんの有無だけでなく、その領域まで高精度で自動検出することに成功しました。

AIの学習正解率は一般的に学習データの質と量に比例すると言われているため、より多くの良質な情報を取り入れれば、より高い正解率を出すことが可能とされています。

なお、画像1枚にかかる処理時間は1秒あたり0.004秒(画像の入出力にかかる時間除く)と短く、臨床現場におけるリアルタイム自動検出に申し分のないスピードを実現しています。

今後、さらなる検証を進めれば、将来的に臨床現場での医師の判断をサポートする知能として活躍することが期待されます。[注3]

参考文献:40th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society/Automatic detection of early gastric cancer in endoscopic images using a transferring convolutional neural network/Yoshimasa Sakai, Satoko Takemoto, Keisuke Hori, Masaomi Nishimura, Hiroaki Ikematsu, Tomonori Yano and Hideo Yokota

切除可能局所進行胃癌に対するS-1を活用した術前術後療法

2024年7月12日付けの医学誌「Journal of Clinical Oncology」において、切除可能局所進行胃癌の術前療法や術後療法に、抗がん剤「S-1」を活用した治療法の有効性や安全性に関する検証結果が発表されました。

比較検証が行われたグループとしては、術前療法としてS-1に加えてドセタキセルとオキサリプラチンを使った3剤併用療法が行われ、さらに術後療法としてS-1単剤投与が行われたグループと、比較対象となる術後療法としてS-1単剤投与が行われたグループがそれぞれ用意されました。

検証結果として、術前療法に併用療法を実施したグループは、術後S-1単剤療法と比較して死亡リスクが28%減少し、さらに8年生存率では術後S-1単剤が55.1%、併用療法群が63.0%という数値を導いています。これにより、術後療法だけでなく術前療法にもS-1を活用した併用療法の実施が有効であると示唆されました。

※参照元:オンコロ|切除可能局所進行胃がんに対する手術および術後化学療法への術前化学療法の追加、長期追跡後も生存期間を有意に改善

キイトルーダ+化学療法は食道胃接合部癌の
周術期療法としても有効

2024年6月下旬にドイツのミュンヘンにおいて開催された「欧州臨床腫瘍学会世界消化器癌会議(ESMO Gastrointestinal Cancers Congress 2024)」で、切除可能局所進行胃癌及び食道胃接合部腺癌に対する周術期療法としての「キイトルーダ+化学療法」併用療法の有用性が報告されました。

そもそも、前述したように2023年10月の同会議においてHER2陽性転移性胃癌と食道胃接合部癌の初回治療としてのキイトルーダ併用療法の有用性が報告されていましたが、本研究は改めて術後の再発リスクを抑制する周術期療法としてもキイトルーダ併用療法の有用性を確認する結果を示しています。

なお具体的な数値としては、例えば全生存期間を見た場合、化学療法のみのプラセボ群に対して併用療法群では16.1ヶ月延長となりました。

※参照元:オンコロ|局所進行胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんに対する周術期療法としてのキイトルーダ+化学療法、予後改善傾向を示す

転移性胃癌に対するα線標的アイソトープ治療薬候補が胃癌肝転移にも有効

放射線医学総合研究所重粒子線治療研究部放射線がん生物学研究グループの長谷川純崇氏や、李惠子博士研究員などが中心となって結成された研究グループが、転移性胃癌に対するα線標的アイソトープ治療薬候補は、胃癌肝転移の患者の治療においても効果を発揮したと、動物実験による研究結果を発表しました。

胃癌は日本人に多い癌の1つであり、早期発見・早期治療で根治を期待できる癌ですが、胃癌を原発巣として肝臓に転移した転移癌(胃癌肝転移)については治療が困難で予後が悪く、効果的な治療法の研究が進められてきました。

また、α線放出核種を用いた標的アイソトープ治療薬候補は、放射線のエネルギーによって癌細胞を殺傷する治療薬として転移性胃癌の1種であり、胃癌腹膜播種に対して治療効果を有するということが動物実験によって実証されていました。

研究グループは、これらの成果を踏まえ、α線標的アイソトープ治療薬候補が胃癌肝転移に対しても治療効果を発揮するか動物実験を行ったところ、癌増殖抑制効果が示され、さらに副作用のリスクや症状についても軽微であるということが明らかになりました。

本研究の結果は、将来的に胃癌肝転移の患者の治療法確立につながると期待されています。

参照元:国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構|転移性胃がんに対するα線標的アイソトープ治療薬候補、肝転移にも有効-治りにくく予後が悪い胃がん肝転移の新たな治療法として期待-

胃癌の切除手術中に腹膜転移のリスクを診断・術中予防的治療を行う臨床試験が開始

大阪市立大学医学研究科 癌分子病態制御学・腫瘍外科学・難治がんTRセンター副センター長である八代正和准教授や、博士課程大学院生で医師の三木友一朗氏、腫瘍外科学の大平雅一教授らによる研究チームが、胃癌の切除手術中に病理診断を行い腹膜転移のリスクを評価し、その結果によって手術中の抗がん剤投与や腹腔内大量洗浄といった術中再発防止策(術中予防的治療)を併用する有用性についての臨床試験を開始しました。

胃癌患者では高頻度で腹膜転移が発生し、腹膜転移が生じた患者では手術困難な場合も多く、全身化学療法による治療が一般的であるという課題があります。しかし、同研究によって胃癌切除の手術中に腹膜転移の予防的治療を行えるようになれば、患者の手術負担を軽減すると同時に、腹膜転移や再発癌の発生リスクを低減して予後の悪化を防げる可能性が高まります。

同研究はすでに開発されていた、漿膜捺印細胞診および漿膜擦過細胞遺伝子増幅を用いた腹膜播種のリスク診断の手法が土台となっており、大阪市立大学医学部附属病院において2017年4月から術中診断法を活用した腹膜播種の術中予防的治療の臨床試験が開始されているようです。

参照元:大阪市立大学|胃癌の腹膜転移予測に有用な術中診断法を開発 腹膜転移リスク患者に 術中予防的治療の臨床試験を開始

ステージ4の胃癌として13年間治療された癌が乳癌胃転移だった症例

ステージ4の胃癌として診断され、その後13年間にわたって胃癌治療を受けてきた患者が、実際には胃癌でなく乳癌を原発巣とした胃転移癌であったという症例について、名古屋第一赤十字病院外科の田中寛氏らによる研究チームが、一般財団法人日本消化器病学会が2021年6月10日に刊行した医学雑誌「日本消化器病学会雑誌 118 (6), 555-561, 2021-06-10」において報告しています。

そもそも対象となった患者は52歳の女性であり、過去に乳癌の手術歴がありました。そして改めて血液検査によって腫瘍マーカーの上昇が認められ精査したところ、胃にステージ4の胃癌が発見されました。また、さらに内視鏡下生検によって腫瘍細胞を採取して検査した結果、低分化型腺癌が認められ胃癌の確定診断を受けています。

診断後、腹膜播種による試験開腹手術や化学療法などが併用され、長期間の生存を維持していました。しかし最初の胃癌診断から13年が経過した後、改めて内視鏡下生検を実施して低分化型腺癌を確認したところホルモン受容体強陽性が認められ、過去のサンプルを再検証して乳癌胃転移へと診断を訂正したという経緯です。

上記の症例は乳癌の既往歴もあり、通常は胃癌を疑うような場合でも、可能性として乳癌胃転移のケースを念頭において組織学的検査を望ましいということを示唆しています。

参照元:CiNii Research「胃癌Stage IVとして13年間治療された乳癌胃転移の1例」

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)で執刀医の内視鏡技術が重要になる理由

公立阿伎留医療センター消化器内科の田中匡実氏や渋谷真史氏、葉山譲氏らによる医療チームによって、縫合線上の残胃癌が内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)によって一括切除できた症例の報告と、また同手術において熟練した内視鏡医の技術が極めて重要であるという理由についての考察が発表されました。同研究結果は一般社団法人日本消化器内視鏡学会関東支部が2024年12月13日付けで刊行した医学雑誌「消化内視鏡の進歩 105 (1), 59-61, 2024-12-13」においても掲載されています。

症例対象となった患者は70歳代の男性であり、診断時から20年以上前に胃癌を理由とした幽門胃切除術を受けていました。そして胃癌の術後経過観察として内視鏡検査を実施したところ、残胃小弯縫合線上に25mm大の病変が認められ、生検の結果、高分化腺癌であると診断されました。

その後、治療では全身麻酔を用いたESDが採用され、病変をまとめて切除することに成功しています。

結果的にESDによる一括切除が可能となりましたが、胃癌の再発は胃癌術後の残胃へ発生しやすく、さらに残胃は出血しやすいことも重要です。そのため内視鏡操作の技量が不十分な医師ではESDが困難になることもあり、さらに縫合線上の病変は一層に難易度が高まるため、医師の熟達した技術が不可欠と指摘されています。

参照元:CiNii Research「縫合線上の残胃癌に対してESDで一括切除できた症例」

肺からの胃転移における原発巣と転移巣でのアレクチニブの効果の違い

秀和総合病院呼吸器内科の石塚聖洋氏と越智淳一氏は、ALK陽性肺癌を原発とする胃転移癌において、ガイドラインで一次治療として推奨されている「アレクチニブ」を使用したところ、原発巣と胃転移巣において異なる治療効果が認められたことを発表しました。なお、同研究の結果は特定非営利活動法人日本肺癌学会が刊行する医療雑誌「肺癌 58 (3), 231-236, 2018-06-20」においても掲載されています。

背景として、ALK陽性肺癌の標準治療にはアレクチニブが推奨されている反面、クリゾチニブと同様に薬剤耐性の問題があります。またそもそも肺癌胃転移の症例がレアであり、研究がそこまで進んでいないという問題もありました。

本研究では、61歳の男性の肺腺癌患者を対象としてALK転座陽性の診断にもとづき、アレクチニブによる治療がスタートしていました。すると原発巣である肺では縮小効果が認められたものの、胃転移巣においての縮小は認められませんでした。これは胃転移巣がアレクチニブ耐性を獲得したためと考えられましたが、胃全摘術後の免疫染色ではやはりALK陽性が認められています。

この結果から、原発巣と転移巣では同じくALK陽性の腫瘍細胞でも薬剤耐性の機序が異なる可能性が示唆されており、今後の適切な治療法の検証や確立が期待されています。

参照元:CiNii Research「アレクチニブが原発巣と胃転移巣で異なる効果を認めたALK陽性肺癌の1例」

乳癌からの胃転移に「パルボシクリブ+レトロゾール」の併用療法が部分奏効

社会医療法人財団大和会東大和病院乳腺外科の福内雅子氏と松尾定憲氏は2023年、乳癌から転移した胃転移癌(胃転移巣)に対して、「パルボシクリブ+レトロゾール」の併用療法による治療が一次治療として部分奏効を得たという症例報告を行いました。

症例の対象となった患者は67歳の女性であり、16年前に右の乳癌と診断され、乳房部分切除術と腋窩郭清による外科治療を受けていました。またその後も術後放射線治療や術後化学療法を継続し、10年の治療期間を経て通院を終了していたという前提です。

そして今回、別の理由で医療機関を受診し上部内視鏡を受けたところ胃癌の可能性が認められ、改めて東大和病院で生検を行った結果、乳癌胃転移の診断が確定しました。

福内氏らが一次治療として「パルボシクリブ+レトロゾール」を併用した化学療法を行ったところ、3ヶ月後に胃病変が縮小し、またリンパ節に転移していた癌も縮小が認められたそうです。加えて治療開始から24ヶ月経過した時点においても新たな転移は認められていません。

この結果は日本外科系連合学会が発行している「日本外科系連合学会誌 48 (1), 21-29, 2023」にも掲載されました。

参照元:CiNii Research「Palbociclibにより部分奏効が得られた乳癌胃転移の1例」

75歳以上の高齢患者の予後改善に術後補助化学療法が有用

国立国際医療研究センター研究医療部の山田康秀部長らによる研究グループは、2025年2月6日に、75歳以上の高齢患者に対する術後補助化学療法の有用性について発表しました。

同研究では日本全国の胃癌登録患者のデータを活用し、合計34,931人の患者データを分析した結果としてまとめられ、外科治療のみによる切除術と、術後補助化学療法を併用する場合との比較や、その他の副作用リスクなどに関して比較検証されています。

研究グループは2011年から2013年までの期間に国内で胃癌治療を受けた34,931人をベースに、そこから外科的切除を受けた患者15,848人や、遠隔転移のない腹腔洗浄細胞診陽性(CY1)の2,052人をピックアップし、調査を行いました。なお、高齢者集団はそのうちの5,781人となっています。

結論として、術後補助化学療法を受けた患者は外科切除のみの患者よりも生存期間が改善されており、高齢患者に対しても有用と示唆されています。

参照元:がんナビ|術後合併症・服薬継続のリスク因子に胃全摘術、温存術式の検討が今後の課題 75歳以上のステージII-III切除可能胃癌患者にも術後補助化学療法が外科切除のみと比べて良好な5年OS率を示す

胃癌の臨床試験データを活用する「ARCAD-Gastricプロジェクト」が開始

2025年1月31日、日本の国立がん研究センター東病院やフランスのThe ARCAD Foundation、アメリカのMayo Clinicなどによる共同プロジェクトとして、胃癌の臨床試験データを収集・統合して活用する「ARCAD-Gastricプロジェクト」のスタートが発表されました。なお、発表では日本を中心として、免疫チェックポイント阻害薬に関連した11の臨床試験(1万例)が収集対象とされており、そのデータ提供についての交渉が行われているということも報告されています。

大腸癌に関しては、すでにThe ARCAD FoundationとMayo ClinicによってARCADデータベースが運営されており、そこへ国立がん研究センター東病院がARCADアジアデータベースの参加を主導する形で連携されていますが、今回は胃癌領域においてもデータベースを拡張するという点が重要です。

データベースにはマイクロサテライト不安定性(MSI)やPD-1/PD-L1など、各種バイオマーカーの情報や免疫関連の事象についての情報も網羅される予定となっており、さらに横断的な承認申請や政策提言のための利用も目指されています。

参照元:がんナビ|胃癌の臨床試験データを国際的に共有するARCAD-Gastricプロジェクトが始動、バイオマーカー情報なども集積予定

胃癌腹膜転移に「S-1+腹腔内・静脈内パクリタキセル投与」が有効

2025年1月23日から同月25日にかけてアメリカのサンフランシスコで開催された「2025 ASCO Gastrointestinal Cancers Symposium(ASCO GI 2025)」において、中国のShanghai Jiao Tong University School of Medicineの研究グループが、腹膜転移を有する進行胃癌の患者の治療に、「S-1+腹腔内・静脈内パクリタキセル投与」が有用であるという研究結果を発表しました。

対象となった患者は、中国国内の9施設で胃腺癌の治療を受ける18歳から75歳の患者であり、内視鏡検査で腹膜転移があると確定診断されているといった条件が設定されています。

研究では、S-1と静脈内パクリタキセル投与を行ったグループと、S-1と腹腔内・静脈内パクリタキセル投与を行ったグループに分類し、それぞれの全生存期間(OS)などを比較した結果、腹腔内へパクリタキセル投与を行ったグループの方が平均して5年OSが良好な結果を示したと報告されました。

参照元:がんナビ|腹膜転移のある進行胃癌にS-1と腹腔内・静脈内パクリタキセル投与はS-1と静脈内パクリタキセル投与よりOSを有意に改善【ASCO GI 2025】

「ゾルベツキシマブ+ペムブロリズマブ+化学療法」の併用療法の治験を開始

2025年7月30日、アステラス製薬は「2025年度第1四半期決算説明会」において、HER2陰性Claudin18.2陽性PD-L1発現陽性(CPS 1以上)の進行胃・食道胃接合部腺癌の患者に対する1次治療として、「抗Claudin18.2モノクローナル抗体ゾルベツキシマブ+ペムブロリズマブ+化学療法(CAPOXまたはmFOLFOX6)」の併用療法に関するフェーズ3試験(LUCERNA試験)を行うため、2025年6月に最初の患者への投与を開始したことを発表しました。

本研究では「ゾルベツキシマブ+ペムブロリズマブ+化学療法」の患者群(併用群)と、「プラセボ+ペムブロリズマブ+化学療法」のプラセボ群に分類して治験を行い、全生存期間(OS)を主要評価項目としてその他にも多角的な検証を行うことが報告されています。

なお同説明会において「抗Claudin18.2抗体薬物複合体(XNW27011/ASP546C)」についても世界規模の試験計画が発表されました。

※参照元:がんナビ|HER2陰性Claudin18.2陽性PD-L1発現陽性進行胃癌の1次治療でゾルベツキシマブとペムブロリズマブ、化学療法併用を評価する第III相LUCERNA試験開始

claudin 18.2陽性進行胃癌に「ニボルマブ+mFOLFOX6+givastomig」が有用

2025年7月2日から7月5日までの期間にスペインのバルセロナで開催された「ESMO Gastrointestinal Cancers Congress 2025(ESMO GI 2025)」においてアメリカの研究チームが、claudin 18.2陽性で転移を有する進行胃癌の患者に対して、1次治療にニボルマブとmFOLFOX6、そしてclaudin 18.2と4-1BBに対する二重特異性抗体「givastomig」を投与する併用療法を実施した結果、有用性を獲得するといった可能性を報告しました。

対象として投与を受けた患者は37歳から79歳の17人となっており、女性が7割強を占めています。また患者の82%が胃癌患者であり、投与量などを調整した様々な組み合わせにおいて、有用性を期待し得るデータが認められたそうです。

※参照元:がんナビ|claudin 18.2陽性の進行胃癌の1次治療でニボルマブとmFOLFOX6に加えてclaudin 18.2と4-1BBを標的とする二重特異性抗体givastomigの投与が有用な可能性【ESMO GI 2025】

FGFR2b過剰発現の進行胃癌に「bemarituzumab+化学療法」併用療法が有用

2025年6月30日、アメリカのAmgen社は、FGFR2bを過剰発現したHER2陰性の切除不能局所進行胃癌や転移を有する胃癌の1次治療として、「抗FGFR2b抗体bemarituzumab+化学療法(mFOLFOX6)」の併用療法がプラセボ群よりも全生存期間(OS)を有意に延長したという研究結果を発表しました。

治験は日本を含めた世界37カ国、300施設に登録された547人の患者を対象として実施されている無作為化多施設二重盲検プラセボ対照フェーズ3試験であり、報告は事前規定にもとづく中間解析の結果とされています。

本研究によって得られたデータにもとづき、胃癌治療の領域において新たな分子標的薬の活用に向けた期待が広がったことは見逃せません。また類似研究として、進行胃癌の1次治療における「bemarituzumab+化学療法+ニボルマブ」の併用療法の評価も進められており、2025年下半期に結果を得られると予想されているようです。

※参照元:がんナビ|FGFR2bを過剰発現の進行胃癌の1次治療で抗FGFR2b抗体bemarituzumabと化学療法併用が全生存期間を有意に延長

切除可能胃癌の標準治療FLOTにデュルバルマブを併用する有用性と安全性

2025年5月30日から6月3日にかけてアメリカのシカゴで開催された「米国臨床腫瘍学会(ASCO 2025)」において、米国の研究チームが、II期-IVA期の切除可能胃癌及び食道胃接合部癌の術前療法として標準的化学療法「FLOT(フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ドセタキセル)」に「抗PD-L1抗体デュルバルマブ」を追加投与するといった併用療法の有用性に関する研究報告を行いました。結論として、研究ではプラセボ群と比較してデュルバルマブを投与した患者群で、イベント発生リスクを29%低減できたということです。

また同年7月2日から7月5日にスペインのバルセロナで開催された「ESMO Gastrointestinal Cancers Congress 2025(ESMO GI 2025)」において、ドイツの研究グループがFLOTへデュルバルマブを追加投与した際の患者報告アウトカムについて発表しており、併用療法はデュルバルマブを使用しなかったプラセボ群と比較しても、患者にとって同等の状態で治療を行えたという結果を示しています。

※参照元:がんナビ|II-IVA期切除可能胃癌の周術期治療でFLOTレジメンにデュルバルマブを上乗せしても患者報告アウトカムは同等【ESMO GI 2025】

※参照元:がんナビ|II期-IVA期の切除可能胃癌の周術期にFLOTに加えてデュルバルマブを投与するとイベント発生のリスクが29%低減【ASCO 2025】

HER2陽性進行胃癌に「T-DXd」を使用する効果と安全性についての報告

日本の国立がん研究センター東病院の設楽紘平氏による研究チームは、2025年5月30日~6月3日に開催された「米国臨床腫瘍学会(ASCO 2025)」の中で、HER2陽性の切除不能または転移を有する進行胃癌や食道胃接合部癌の患者の2次治療に、「抗HER2抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)」を使用することで、標準治療として行われている「ラムシルマブ+パクリタキセル」の併用療法と比べて死亡率を30%低減できたという研究報告を発表しています。

これは新たな胃癌の標準治療の検討に期待を生んだ研究として注目されています。加えてT-DXdの安全性や継続性に関するデータとしては、同学会でアメリカのUniversity of California San FranciscoのHope S. Rugo氏による研究グループから、T-DXdを投与することでグレード1の薬剤性間質性肺炎(ILD)が発症したケースについて研究報告が行われており、結論としてT-DXdの再投与は安全かつ長期的に継続できる可能性があるとまとめられました。

※参照元:がんナビ|T-DXd、グレード1の薬剤性間質性肺炎が発生しても安全かつ長期に再投与が行える可能性、リアルワールドデータの解析で【ASCO 2025】

※参照元:がんナビ|HER2陽性の進行胃癌の2次治療でT-DXdはラムシルマブとパクリタキセルの併用よりも死亡リスクを30%低減【ASCO 2025】

参考サイト

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