乳癌は、乳房の中だけでなく、リンパ節、骨、肺、肝臓、脳などへ転移することがあります。転移の有無や転移先、乳癌のサブタイプ、全身状態によって、選択される治療方法は大きく異なります。
このページでは、乳癌が転移しやすい部位、転移した場合に現れやすい症状、主な治療方法、治療選択の考え方について解説します。
乳癌は、血液やリンパの流れに乗って、乳房から離れた部位へ広がることがあります。乳癌が転移しやすい部位としては、リンパ節、骨、肺、肝臓、脳などが知られています。
乳がんは、しこりとして見つかる前に、乳房の周りのリンパ節や、遠くの臓器(骨、肺、胸膜、肝臓、脳など)に転移して見つかることがあります。乳がんの種類や性質によって、広がりやすさ、転移しやすさは、大きく異なります。
引用元:国立がん研究センター がん情報サービス|乳がん 基礎知識
https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/index.html
乳癌の転移リスクは、癌の大きさやリンパ節転移の有無だけでなく、ホルモン受容体、HER2、Ki-67、遺伝子変異など、癌の性質によっても変わります。そのため、乳癌の治療では「どこに転移しているか」だけでなく、どのタイプの乳癌なのかを確認したうえで治療方針を検討することが重要です。
乳癌が転移した場合、転移先によって症状や治療方針は異なります。ここでは、代表的な転移先であるリンパ節、骨、肺、肝臓、脳について解説します。
乳癌で比較的多く見られるのが、乳房に近い腋窩リンパ節、鎖骨周囲のリンパ節、内胸リンパ節などへの転移です。リンパ節は体内の免疫に関わる組織であり、癌細胞がリンパの流れに乗って移動すると、リンパ節で転移が見つかることがあります。
ただし、リンパ節転移があっても必ず自覚症状が出るとは限りません。しこりやむくみがない場合でも、画像検査や病理検査によって転移が確認されることがあります。
リンパ節転移が疑われる場合には、センチネルリンパ節生検や腋窩リンパ節郭清などが検討されます。センチネルリンパ節とは、乳癌が最初に流れ着くと考えられるリンパ節のことで、ここに転移がなければ、広い範囲のリンパ節郭清を避けられる場合があります。
一方、リンパ節転移が明らかな場合や転移範囲が広い場合には、腋窩リンパ節郭清が行われることがあります。ただし、リンパ節郭清後はリンパ浮腫などの合併症が起こる可能性もあるため、治療の必要性や範囲は慎重に判断されます。
乳癌の遠隔転移で多い部位のひとつが骨です。背骨、骨盤、肋骨、大腿骨などに転移することがあり、痛みや骨折、神経症状の原因になることがあります。
骨転移の痛みは、最初は筋肉痛や関節痛のように感じられることもあります。長く続く痛み、徐々に強くなる痛み、夜間に強まる痛みがある場合には、早めに主治医へ相談することが大切です。
骨転移の治療では、薬物療法を中心に、痛みの緩和や骨折予防を目的とした放射線治療、骨修飾薬、手術などが検討されます。
骨転移による痛みに対しては、放射線治療が症状緩和を目的として行われることがあります。また、骨折や脊髄圧迫のリスクが高い場合には、整形外科的な手術や固定術が検討されることもあります。
骨修飾薬としては、ビスホスホネート製剤やデノスマブなどが用いられることがあります。これらは骨関連事象を抑える目的で使用されますが、顎骨壊死などの副作用が起こる可能性もあるため、歯科受診や口腔ケアについても医師と相談することが重要です。
乳癌は肺へ転移することもあります。肺転移は、画像検査で発見されることもあれば、咳や息切れなどの症状をきっかけに見つかることもあります。
風邪や気管支炎と似た症状が出ることもあるため、乳癌の治療歴がある人で呼吸器症状が続く場合には、自己判断せず医療機関へ相談しましょう。
肺転移がある場合は、乳癌が全身に広がっている可能性を考慮し、薬物療法が中心となります。ホルモン受容体陽性、HER2陽性、トリプルネガティブなど、乳癌のサブタイプに応じて、ホルモン療法、抗HER2療法、抗がん剤、免疫チェックポイント阻害薬などが検討されます。
肺転移による症状が強い場合や、限局した病変に対して症状緩和が期待できる場合には、放射線治療や局所治療が検討されることもあります。ただし、治療方針は転移の数や位置、全身状態、これまで受けた治療内容によって異なります。
乳癌が肝臓へ転移することもあります。肝臓は沈黙の臓器とも呼ばれ、転移があっても初期には自覚症状が出にくいことがあります。
肝転移が進行すると、肝機能の低下によって全身状態に影響することがあります。血液検査や画像検査で状態を確認しながら治療方針を決めることが重要です。
肝転移に対しては、基本的に薬物療法が中心となります。乳癌のサブタイプに応じて、ホルモン療法、分子標的薬、抗がん剤、免疫療法などを組み合わせて治療を進めます。
転移が限局している場合や、症状緩和を目的とする場合には、放射線治療や局所治療が検討されることもあります。ただし、肝臓全体の機能や他臓器への転移状況も含めて判断する必要があります。
乳癌の中でも、HER2陽性乳癌やトリプルネガティブ乳癌では脳転移が問題になることがあります。脳転移は、転移の位置や大きさによって症状が大きく異なります。
脳転移は日常生活への影響が大きく、症状が急に悪化することもあります。上記のような症状が出た場合には、早急に医療機関へ相談する必要があります。
脳転移の治療では、転移の数、大きさ、場所、症状の有無、全身の病状を踏まえて、手術、定位放射線治療、全脳照射、薬物療法などが検討されます。
単発で手術可能な位置にある脳転移では、外科手術が検討される場合があります。複数の小さな転移や手術が難しい病変に対しては、定位放射線治療や全脳照射が選択されることがあります。
また、HER2陽性乳癌などでは、脳転移に対する効果が期待される薬物療法が検討されることもあります。どの治療を優先するかは、脳の病変だけでなく、全身の乳癌の状態を含めて判断されます。
乳癌の治療は、大きく分けて手術、放射線治療、薬物療法、緩和ケア/支持療法があります。転移がない乳癌では根治を目指した局所治療が中心になりますが、遠隔転移がある乳癌では、全身に作用する薬物療法を中心に、症状を和らげる治療を組み合わせることが一般的です。
乳がんの治療には、手術(外科治療)、放射線治療、薬物療法があります。また、診断されたときから、がんに伴う心と体のつらさなどを和らげるための緩和ケア/支持療法を受けることができます。
引用元:国立がん研究センター がん情報サービス|乳がん 治療
https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/treatment.html
手術は、乳房内の癌を切除する治療です。癌の大きさや広がり、乳房内での位置、患者の希望などを踏まえて、乳房部分切除術または乳房全切除術が検討されます。
乳房部分切除術は、癌のある部分とその周囲を切除し、乳房を可能な範囲で残す手術です。乳房温存手術とも呼ばれます。術後には、残った乳房内の再発リスクを下げる目的で放射線治療が行われることがあります。
乳房全切除術は、乳房全体を切除する手術です。癌が広範囲にある場合、乳房部分切除では十分な切除が難しい場合、再発リスクや遺伝的背景を踏まえて選択される場合などがあります。
リンパ節転移の有無を確認するために、センチネルリンパ節生検が行われることがあります。リンパ節転移が明らかな場合や転移範囲が広い場合には、腋窩リンパ節郭清が検討されます。
リンパ節郭清は再発リスクを評価・治療するうえで重要な一方、リンパ浮腫や腕の動かしにくさなどの合併症につながることがあります。治療の必要性と術後の生活への影響を含めて、医師と相談することが大切です。
放射線治療は、癌細胞に放射線を照射して増殖を抑える治療です。乳房部分切除術後の再発予防、リンパ節領域への照射、骨転移や脳転移などによる症状緩和を目的として行われることがあります。
転移乳癌では、放射線治療は根治目的というよりも、痛み、神経症状、出血、圧迫症状などを和らげる目的で行われることがあります。特に骨転移による痛みや、脳転移による神経症状に対しては、症状緩和のための重要な選択肢となります。
薬物療法は、全身に作用する治療です。遠隔転移がある乳癌では、薬物療法が治療の中心になります。乳癌のサブタイプや遺伝子変異、過去の治療歴、全身状態、副作用の出方などを踏まえて、治療薬が選択されます。
ホルモン受容体陽性の乳癌では、女性ホルモンの働きを抑えるホルモン療法が検討されます。閉経前か閉経後かによって使用される薬が異なり、LH-RHアゴニスト製剤、抗エストロゲン薬、アロマターゼ阻害薬、フルベストラントなどが用いられることがあります。
ホルモン療法は比較的長期にわたって行われることが多く、ほてり、関節痛、骨密度低下、気分の落ち込みなどが起こることがあります。副作用がつらい場合も自己判断で中止せず、主治医へ相談しましょう。
HER2陽性乳癌では、HER2を標的とした分子標的薬が検討されます。抗HER2薬は、抗がん剤や他の薬剤と組み合わせて使われることがあります。
HER2陽性乳癌では薬物療法の選択肢が増えており、進行・再発乳癌に対しても複数の治療ラインが検討されます。ただし、心機能への影響や間質性肺疾患など、薬剤ごとの副作用にも注意が必要です。
細胞障害性抗がん薬は、癌細胞の増殖を抑える薬です。トリプルネガティブ乳癌や、ホルモン療法・分子標的薬だけでは十分な効果が期待しにくい場合などに使用されることがあります。
副作用として、脱毛、吐き気、倦怠感、口内炎、下痢、白血球減少、貧血、手足のしびれなどが起こることがあります。副作用を軽減する薬や支持療法もあるため、つらさを我慢せず医療者へ伝えることが大切です。
一部のトリプルネガティブ乳癌では、免疫チェックポイント阻害薬が検討されることがあります。免疫チェックポイント阻害薬は、免疫が癌細胞を攻撃する働きを助ける薬です。
ただし、免疫チェックポイント阻害薬はすべての乳癌に使えるわけではありません。適応は乳癌のタイプや検査結果、治療歴などによって異なります。また、免疫関連副作用として肺炎、肝機能障害、内分泌障害、皮膚障害などが起こることがあります。
骨転移がある場合には、骨折や脊髄圧迫などの骨関連事象を抑える目的で、ビスホスホネート製剤やデノスマブなどの骨修飾薬が検討されます。
骨修飾薬を使う際には、顎骨壊死のリスクを考慮し、治療前後の歯科管理や口腔ケアが重要になります。
緩和ケアは、終末期だけに行う医療ではありません。乳癌と診断された時点から、痛み、吐き気、倦怠感、不安、気分の落ち込み、治療に伴う副作用などを和らげるために受けられるケアです。
転移乳癌では、癌を小さくする治療だけでなく、生活の質を保ちながら治療を続けることも重要です。痛みや不安、生活上の困りごとがある場合は、主治医、看護師、薬剤師、がん相談支援センターなどへ相談しましょう。
乳癌の治療方針は、ステージによって大きく変わります。ステージは、癌の大きさ、リンパ節転移、遠隔転移の有無などを総合して判断されます。
0期は、癌が乳管内や小葉内にとどまっている非浸潤癌の段階です。主な治療は手術であり、乳房部分切除術または乳房全切除術が検討されます。乳房部分切除術を行う場合は、術後に放射線治療が行われることがあります。
I期〜II期では、癌の大きさやリンパ節転移の有無に応じて、手術、放射線治療、薬物療法が組み合わされます。ホルモン受容体やHER2の状態によって、ホルモン療法、抗HER2療法、抗がん剤などが検討されます。
III期では、乳房やリンパ節への広がりが大きくなっていることがあります。手術だけでなく、術前薬物療法、手術、放射線治療、術後薬物療法を組み合わせた集学的治療が検討されます。
骨、肺、肝臓、脳などへの遠隔転移がある場合は、IV期とされます。IV期の乳癌では、基本的に全身治療である薬物療法が中心となります。
IV期であっても、治療によって癌の進行を抑えたり、症状を和らげたり、生活の質を維持したりすることを目指せる場合があります。治療の目的は、根治だけでなく、延命、症状緩和、QOL維持など、患者の状況によって異なります。
乳癌の薬物療法では、ステージだけでなく、乳癌のサブタイプを確認することが重要です。代表的な分類には、ホルモン受容体の有無、HER2の有無、トリプルネガティブかどうかがあります。
ホルモン受容体陽性乳癌は、女性ホルモンの影響を受けて増殖しやすいタイプです。ホルモン療法が治療の中心となり、進行・再発例では分子標的薬などと組み合わせて使われることもあります。
HER2陽性乳癌では、HER2を標的とした薬剤が検討されます。抗HER2薬の登場により、HER2陽性乳癌の治療選択肢は広がっています。
トリプルネガティブ乳癌は、ホルモン受容体とHER2がいずれも陰性のタイプです。ホルモン療法や抗HER2療法が効きにくいため、抗がん剤や免疫チェックポイント阻害薬、抗体薬物複合体などが検討されることがあります。
乳癌の転移が見つかった場合、主治医の説明を受けても、治療方法に迷うことがあります。そのようなときは、セカンドオピニオンを活用することで、診断内容や治療方針を別の医師の視点から確認できます。
セカンドオピニオンは、現在の主治医を否定するためのものではありません。治療方針に納得し、安心して治療に向き合うための手段です。
特に転移乳癌では、治療選択肢が複数ある一方で、治療の目的や優先順位が患者ごとに異なります。治療効果だけでなく、副作用、通院負担、仕事や家庭生活、妊娠・出産への希望なども含めて相談することが大切です。
乳癌を完全に予防する方法は確立されていませんが、リスクを下げるために意識できる生活習慣はあります。また、乳癌は早期に発見できれば治療選択肢が広がる可能性があるため、検診やセルフチェックも重要です。
乳癌の発生には、女性ホルモンであるエストロゲンが関わることが知られています。また、飲酒、閉経後の肥満、運動不足なども乳癌リスクと関連するとされています。
乳がんを予防するためには、飲酒を控え、閉経後の肥満を避けるために体重を管理し、適度な運動を行うことがよいと考えられています。
引用元:国立がん研究センター がん情報サービス|乳がん 予防・検診
https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/prevention_screening.html
乳癌検診では、マンモグラフィが推奨されています。年齢や乳房の状態、家族歴、過去の検査結果によって、超音波検査などを組み合わせることもあります。
厚生労働省の指針では、がん検診の死亡率減少効果が確実で、検診の不利益(偶発症、過剰診断、偽陰性・偽陽性)が少ない検診だけが推奨されています。現時点で乳がん検診では、マンモグラフィが推奨されています。
引用元:国立がん研究センター がん情報サービス|乳がん 予防・検診
https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/prevention_screening.html
乳癌の早期発見には、日頃から自分の乳房の状態を知っておくことも大切です。月に1回程度、入浴時や着替えの際に、乳房やわきの下の変化を確認しましょう。
セルフチェックで異常がなくても、乳癌がないとは言い切れません。反対に、しこりがあっても良性の病変であることもあります。気になる変化があれば、自己判断せず医療機関で検査を受けましょう。
乳癌の治療では、癌そのものへの治療だけでなく、治療後の生活や気持ちの変化にも向き合う必要があります。乳房の切除、脱毛、ホルモン療法による体調変化、リンパ浮腫、再発への不安など、患者によって悩みはさまざまです。
乳房を切除する治療は、身体的な変化だけでなく、心理的にも大きな負担になることがあります。乳房再建を希望する場合は、乳癌手術と同時に行う一次再建、時間をおいて行う二次再建などの選択肢があります。
乳房再建にはメリットもありますが、感染、壊死、インプラントに関する合併症などのリスクもあります。治療効果、見た目、生活への影響、将来の検査のしやすさなどを含めて、主治医や形成外科医と相談しましょう。
腋窩リンパ節郭清や放射線治療後には、腕がむくむリンパ浮腫が起こることがあります。腕の重だるさ、むくみ、皮膚の張り、感染しやすさなどが気になる場合には、早めに医療者へ相談しましょう。
リンパ浮腫の予防や軽減には、スキンケア、無理のない運動、圧迫療法、専門的なリンパドレナージなどが検討されることがあります。
乳癌の治療は、手術だけで終わらず、薬物療法や放射線治療が長く続くことがあります。仕事や家事、育児、介護との両立に悩む場合は、医療ソーシャルワーカーやがん相談支援センターへ相談することで、利用できる制度や調整方法を確認できます。
治療費の負担が大きい場合には、高額療養費制度、傷病手当金、障害年金、自治体の助成制度、民間保険などを確認しましょう。制度によって対象や手続きが異なるため、病院の相談窓口や加入している保険者へ早めに相談することが大切です。
ここでは、乳癌の診断や治療を経験した方の体験談をテーマ別に紹介します。記載されている治療法や薬剤名は体験者が治療を受けた時点のものです。最新の医療情報については、医師にご相談ください。
ある日、自身で右側の乳房のしこりに気づきました。幸い年内に市の定期検診で乳がん検査を申し込みしていました。その時にやっぱり精密検査と言われ、年明けに乳腺外科へ行きました。結果は、ステージ2の乳がんでした。まだ、リンパ節等には転移は見られず、大学病院を受診してから、今後の治療方針を決めていきます。
引用元:アストラゼネカ株式会社|がんになっても
https://www.az-oncology.jp/taiken/taiken_detail.asp?id=276&type=12
手術の際に確定診断となったが、手術前に他の病院にっていれば、もっと早く分かり事前の情報収集もできたかと思う。
引用元:静岡がんセンター
https://www.scchr.jp/cancerqa/kjyogen_10101.html
月経前後の胸の張りがいつもと違い、検査に行きました。親にも言えず、検査待ちの1週間が一番つらかったです。結果、乳がん宣告を受け、紹介状と検体を持って大学病院へ。(中略)家族にも報告し、「クヨクヨせず、一緒に頑張ろう」と前向きに受け入れてくれ、手術の覚悟ができました。
引用元:アストラゼネカ株式会社|がんになっても
https://www.az-oncology.jp/taiken/taiken_detail.asp?id=301&type=12
2009年4月、会社の健康診断で要精密検査の指示を受けた母。近所のかかりつけ医で検査したところ、左胸に白く写る影がありました。 石灰化の可能性と言われながらも念のため、紹介状を書いていただき大きい病院へ。(中略)私が持病の関係で通っていた病院を紹介してもらったので、私の診察の時に一緒に行ったことが幸いしました。(後略)
引用元:アストラゼネカ株式会社|がんになっても
https://www.az-oncology.jp/taiken/taiken_detail.asp?id=264&type=12
数年前に耳下腺腫瘍と乳がんに罹患しました。先にわかったのは耳下腺です。最初何気なく触った耳の下にしこりを見つけ、内科に行ったら「疲れからくるものだ」と言われ、何回か行っても治らず、大学病院への紹介状を書いてもらいました。内科を受診したら、「これは耳鼻科だよ」と言われ、そこで耳下腺腫瘍と診断されたのですが、「手術できない」と言われました。主人に調べてもらい、医療センターに行き手術をしました。それが夏のことです。
その後、右の脇に違和感を感じ、右の胸にしこりがあって乳腺外科に行ったら乳がんでした。(中略)
私は性格上、気になると病院に行きたくなるのでそれがよかったのだと思います。みなさんも気になったら早めがいいと思います。今は元気に第2の人生を楽しんでいます。
引用元:アストラゼネカ株式会社|がんになっても
https://www.az-oncology.jp/taiken/taiken_detail.asp?id=387&type=12
乳癌の治療は、サブタイプごとの薬物療法や遺伝子検査の活用によって進歩しています。特にHER2陽性乳癌、ホルモン受容体陽性HER2陰性乳癌、トリプルネガティブ乳癌では、新しい薬剤や治療の組み合わせに関する研究が進められています。
HER2陽性乳癌では、抗HER2薬や抗体薬物複合体など、HER2を標的にした治療の研究が進んでいます。進行・再発乳癌だけでなく、術前・術後治療への応用も検討されています。
トリプルネガティブ乳癌では、従来の抗がん剤に加えて、免疫チェックポイント阻害薬や抗体薬物複合体などが治療選択肢として検討されるようになっています。ただし、適応は検査結果や治療歴によって異なります。
乳癌では、BRCA1、BRCA2、HER2、PIK3CAなど、治療選択に関わる遺伝子やバイオマーカーが確認されることがあります。遺伝子検査の結果によって、使用できる薬剤や治験の選択肢が変わる場合もあります。
ただし、遺伝子検査は万能ではありません。検査結果だけで治療方針が決まるわけではなく、癌の状態、全身状態、標準治療の有無、患者本人の希望を含めて総合的に判断されます。
乳癌は、リンパ節、骨、肺、肝臓、脳などへ転移することがあります。転移が見つかった場合でも、治療方法がないと決まるわけではありません。乳癌のサブタイプ、転移先、症状、全身状態、これまでの治療歴によって、薬物療法、放射線治療、手術、緩和ケアなどを組み合わせた治療が検討されます。
一方で、転移乳癌の治療は長期にわたることもあり、治療効果だけでなく、副作用、生活の質、仕事や家庭との両立、心の負担も含めて考える必要があります。
主治医の説明を聞いても判断に迷う場合や、他の治療選択肢を知りたい場合には、セカンドオピニオンを活用することも選択肢のひとつです。納得して治療を選ぶためにも、乳癌の状態と治療の目的を整理し、専門医へ相談してみましょう。