今でこそ本人に癌を告知するのが当たり前になりつつありますが、そうなったのはここ20~30年のことです。その理由は「患者の知る権利」が広まったことが背景にあり、進行した癌であっても多くの人が告知を受けるようになっています。自分の病気なのだから、自分自身で受け止めたいということなのでしょう。
この流れは家族やパートナーにとっても大きなことです。どうやって本人に癌を告知し、それを共有していくか、ここで考えていきましょう。
医師から告知を受ける際には、必ず家族やパートナーが同席するようにしましょう。医師から診断結果を聞くときは緊張するものですが、とくに癌の告知ともなると当然ショックで激しい動揺をもたらします。
このような状態で医師の説明を理解するのは不可能といっても過言ではありません。言葉としては耳に入っても、後でまったく思い出せないということもあり得ます。そんなときに家族やパートナーの存在は心強いだけではなく、医師の説明をしっかり受け止めるという意味でも非常に重要です。
最近では医師の説明を受けたら内容を記した文書をもらえることもありますが、同席者も重要だと思ったことはメモを取っておいたほうが良いでしょう。また、わからないことは説明の途中であっても質問し、きちんと確認するべきです。
医師もわかりやすい説明を心がけているものですが、無意識に専門用語を使ってしまうこともあります。他でもない、あなたの大切な人のことなのですから、そのまま聞き流すことはせず、理解・納得できるまで確認しましょう。
告知の場では緊張と動揺で、医師に質問する心の余裕はないかもしれません。その場合は、後から本人と同席者で告知の内容を共有し、不明な点などは改めて確認するようにしましょう。
もちろん、本人のショックや動揺が落ち着いてからで問題ありません。
当然ながら、癌の告知は強いショックを受けるものです。頭が真っ白になって、自分で告知を望んでいたとしても「聞きたくなかった」という思いにとらわれるなど、激しく動揺せざるを得ないでしょう。
こればかりは時間による解決しかないかもしれません。ショックや動揺が少しずつ和らいでいくことで、癌の状態や治療の内容を受け入れることができるようになります。
そんなとき、家族やパートナーの存在が本人の支えになります。本人がショックや動揺から立ち直り、治療に前向きな気持ちになっていく過程に寄り添うことができるのは家族でありパートナーです。