このページでは、口腔がん・舌がんの基礎知識や症状、治療法などについて詳しく解説しています。
口腔がんとは口の中にできる癌のことを指し、その代表的なものが舌にできる舌がんです。症状が口内炎に似ているため見過ごしやすく、本人が視認しにくい口内にできるため、気付いたら癌が進行しているというケースが多くあります。
発症の過程も口内炎に似ており、口内を不衛生にしたり、傷つけたりすることで発症リスクが高まります。具体的には、喫煙やアルコールの過剰摂取、雑菌の繁殖、尖った歯や挿入具(入れ歯や差し歯)による口内の損傷など、様々な要因が複合し発症することが考えられます。
口内は粘膜でおおわれている箇所が多く、外に露出している皮膚に比べて、痛みや刺激に敏感な箇所です。発声や食事など活動する回数も非常に多く、痛みや違和感があっても刺激を抑えるのが難しい部位です。
主に40代以降の発症率が高く、喫煙の関連性から男性の罹患比率が高いがんですが、近年(2015年時点)では男女ともに罹患数が増えています。
男性 | 女性 | 合計 | |
---|---|---|---|
2004年 | 7,139 | 2,980 | 10,119 |
2014年 | 13,272 | 5,741 | 19,013 |
参考:
国立がん研究センターがん情報サービス『がん登録・統計 年次推移』
国立がん研究センターの年次推移を見てみると、2004年と2014年で罹患者数はほぼ倍増しており、それ以降も毎年増加傾向にあります。
病変部位の腫れや腫瘍による痛みが生じます。ただ、この症状は口内炎と酷似しており、病状が悪化して病院を受診した際には、すでに進行がんとなり転移をはじめているケースも多くあります。
腫瘍以外には以下のような症状が見られるので、口内に複数の違和感を感じた場合は、医療機関を受診するようにしてください。
治療方法は他の癌治療と同じく、大きく3種類。外科治療(手術)・放射線治療・化学療法(抗がん剤)になります。
外科治療(手術)の場合は、病変箇所を周辺部位と一緒に切除する必要があり、そのままだと術後生活に支障をきたすので、再建手術も同時に行われます。舌や頬の場合は体内の別の組織を移植するケースが多く、骨の場合はプレートや骨移植をして再建を行います。
放射線治療と化学療法(抗がん剤)は併用されるケースが一般的です。体外から患部に向けて放射線を照射し、癌細胞を破壊します。抗がん剤は服薬や注射で摂取し、癌の縮小させたり転移を抑える役目があります。個人差はありますがともに副作用が生じ、皮膚炎や食欲不振、吐き気、抜け毛などが見られます。
病期 | 説明 |
---|---|
ステージ0 | 上皮内にがんがとどまっている場合 |
ステージⅠ | がんの最大径が2cm未満かつ深さが5mm以下でリンパ節への転移がない場合 |
ステージⅡ | がんの最大径が4cm未満かつ深さが10mmでリンパ節への転移がない場合 |
ステージⅢ | リンパ節への転移がなく、がんの最大径が4cmを未満だが深さが10mmを超えているもの、または最大径が4cm以上だが深さが10mm未満のもの。リンパ節への転移があるものの、がんの最大径が4cm未満、かつ10mm以下である場合 |
ステージⅣA | がんの広がりについては、最大径が4cmを超え、深さが10mm以上ある、もしくはがんが下あごや上あごの骨を貫通するか上顎洞にまで広がっている、またはがんが顔の皮膚にまで広がっている場合。リンパ節への転移については、転移したがんの数や大きさ、広がり方により判断。 |
ステージⅣB | がんの広がりについては、噛むことに関連する筋肉と下あごの骨、それらに関連する神経や血管が存在する領域・あごを動かす筋肉と頭蓋底がつながっている部分・頭蓋底のいずれかにまで広がっている。リンパ節への転移については、転移したがんの数や大きさ、広がり方により判断。 |
ステージⅣC | がん細胞の大きさや広がりなどに関係なく、遠くの臓器に転移がある場合 |
舌がんの病期は、「TNM分類」によって決められるのが一般的です。TNM分類とは、「Tカテゴリー(がんの広がり)」、「Nカテゴリー(リンパ節への転移の有無・大きさ・個数)」、「Mカテゴリー(遠くの臓器への転移の有無)」の3つのカテゴリーの略称のこと。それぞれの分類について詳しく見ていきましょう。
まずTカテゴリーについてですが、全部で6つに分類されます。「Tis」は、上皮内がん、「T1」は、がんの最大径が2cm以下かつ深さが5mm以下。「T2」は、がんの最大径が2cm以下で深さが5mmを超えるもしくはがんの最大径が2cmを超えるが4cm以下で深さが10mmの場合です。「T3」は、がんの最大径が2cmを超えるが4cm以下で深さが10mmを超えている、またはがんの最大径が4cmを超え深さが10mm以下の場合となります。「T4a」は、がんの最大径が4cmを超えて深さも10mmを超えている、またはがんが下あごもしくは上あごの骨を貫通するか上顎洞に広がっている、またはがんが顔の皮膚にまで広がっているケースです。「T4b」は、がんが噛むことに関連した筋肉と下あごの骨とそれらに関連する神経や血管が存在する領域・あごを動かす筋肉と頭蓋底がつながっている部分・頭蓋底のいずれかにまで広がっている、またはがんが内頚動脈の周りを囲んでいる場合となります。
Nカテゴリーは7つに分類されます。「N0」はリンパ節への転移がない場合です。「N1」は、がんと同じ側のリンパ節に3cm以下の転移が1個でリンパ節の外にはがんが広がっていないケースとなります。「N2a」は、がんと同じ側のリンパ節に3cmを超えるが6cm以下の転移が1個でリンパ節の外にがんが広がっていない場合です。「N2b」は、がんと同じ側のリンパ節に6cm以下の転移が2個以上でリンパ節の外にがんが広がっていない状態。「N2c」は、両側またはがんがある側とは反対側のリンパ節に6cm以下の転移があり、リンパ節の外にがんが広がっていない浸潤度です。「N3a」は、リンパ節に6cmを超える転移があり、リンパ節の外にはがんが広がっていない場合。「N3b」は、リンパ節に1個以上の転移があり、リンパ節の外の組織にがんが広がっている場合となります。
最後のMカテゴリーは、遠くの臓器に転移があるかないかの2つで、転移がなければ「M0」、転移があれば「M1」となります。
舌がんの治療は、他のがん治療と同様に外科治療(手術)、放射線治療、化学療法(抗がん剤)の3つの中からステージや患者の健康状態を総合的に判断して最適なものが採用されます。外科治療(手術)の場合は、病変箇所を周辺部位と一緒に切除する必要があるため、そのままだと術後生活に支障をきたしてしまうことも。そのため、再建手術も同時に行われるのが一般的です。放射線治療と化学療法(抗がん剤)は併用されるケースが多く見られます。
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