前立腺から他の部位に転移した癌や、他の部位から転移した前立腺がんについて、特徴や治療法をまとめました。
前立腺がんは他の癌と比べて進行が遅いです。他の部位に転移する前に発見・治療ができれば再び起こらないよう寛解することも可能だと言われています。
しかし、初期症状がほとんどないのも前立腺がんの特徴。発見が遅れてしまうと、血液やリンパ液に乗って他の部位に転移してしまう恐れがあります。特に多く見られるのは、骨や骨盤リンパ節への転移。ほとんどの癌は末期になってから転移し始めるのですが、前立腺の近くにはたくさんの骨があるため、早期に骨へ転移してしまう可能性があります。
前立腺がんは、前立腺の細胞が正常な細胞増殖機能を失い、無秩序に自己増殖することにより発生します。早期に発見すれば治癒することが可能です。また、多くの場合比較的ゆっくり進行します。 近くのリンパ節や骨に転移することが多いですが、肺、肝臓などに転移することもあります。
また、このように、リンパ節や骨以外の部分の転移として、肺や肝臓などへの転移も考えられます。前立腺がんの進行は遅いですが、転移してしまうとその部位で進行が早まる可能性もあるでしょう。
それでは骨・リンパ節・脳、それぞれへ転移した前立腺がんの特徴や治療法を見ていきましょう。
前立腺がんの転移先でも多いのが骨への転移です。特に腰椎や骨盤に転移しやすいのですが、時には背骨や肋骨などにも転移します。
転移したかどうかは、骨の癌に集まる性質を持った放射性物質を注射し、特殊なカメラで撮影する「骨シンチグラフィ検査」で骨への転移の有無を調べることができます。
骨に転移した前立腺がんは、ほとんど初期症状がありません。転移に気づかないまま癌が進行してしまうと癌細胞が骨の中の神経を刺激し、痛みや麻痺といった症状を起こします。なかには、骨のカルシウムが血液中に流れ出る「高カルシウム血症」を引き起こすこともあり、食欲不振や吐き気、意識障害などが起こることも。また、癌が転移している骨は徐々に弱くなっていくので、些細な負荷で骨折しやすくなります。
前立腺がんが骨へ転移した場合はホルモン療法や化学療法での治療が一般的です。よく使用される「ゾレドロン酸」や「デノスマブ」といった抗ホルモン剤は骨を破壊する細胞を抑制し、癌の進行を抑えてくれます。
転移先が骨のみの場合「ゾーフィゴ」という放射線医薬品を使った治療も有効です。
ゾーフィゴには、アルファ線という放射線を放出する放射性物質「ラジウム-223」が含まれています。ゾーフィゴを体内に注射すると、ラジウム-223が癌に転移した骨に運ばれ、アルファ線が癌細胞の増殖を抑えてくれます。
骨の次に前立腺がんが転移しやすい部位がリンパ節です。特に多く見られるのが、前立腺の周りにあるリンパ節への転移。リンパ節への転移を調べるには、CT検査や腹部エコーなどが使用されます。
前立腺がんがリンパ節へ転移するとリンパの流れが悪くなり、下半身がむくむようになります。他にもリンパ管が炎症を起こし痺れといった症状が出たり、排尿が困難になったりします。転移がさらに悪化した場合は下半身麻痺を引き起こす危険性もあります。
前立腺がんがリンパ節へ転移した場合は、ホルモン療法で癌の進行を抑制する治療法が一般的です。しかし、長期間継続して抗ホルモン剤を使用すると、期待できる効果が徐々に薄れてしまうことも。その場合は、別のホルモン剤を追加したり、他の治療法への切り替えを検討しましょう。
また、前立腺がんが骨盤リンパ節へ転移してしまった場合、遠隔転移する可能性が高いです。その場合は、ホルモン療法と放射線治療を併用することもあります。
前立腺がんが末期まで進行してしまった場合、脳に転移する可能性があります。前立腺がんが脳に転移するのはとても珍しいケースです。
前立腺がんが脳に転移した場合、頭痛やめまい、吐き気、麻痺などといった神経障害や言語障害・意識障害を引き起こす可能性があります。
前立腺がんが脳に転移した場合、放射線治療を用いて症状を緩和させます。転移した癌の数や症状によって放射線の強さを変えて対応します。
また、脳に転移した癌の数が少ない場合、切除といった外科的処置をとることもあります。
他の臓器から前立腺に癌が転移するケースはほとんどありません。前立腺に癌が転移した場合、どの部位から転移したのかによって治療法が異なるため、しっかりと検査を受けることが重要です。
前立腺がんの転移は骨やリンパ節などの特殊な部位に現れやすいため、麻痺やしびれなどの症状が現れることもあります。転移した癌の治療は難しいとされていますが、癌に加えてこれらの症状が現れると、より一層治療が困難になってしまうでしょう。
転移した癌は根治ができないとする意見もありますが、より効果的な治療法を探すためにも、より生活の質を向上させるためにも、セカンドオピニオンが重要となります。特に、骨転移した場合の生存期間は、治療方法の選択によって大きく変わるとされます。
セカンドオピニオンによって、より有効な治療方法が見つかる可能性もあるため、前立腺がんの転移が見つかった場合は、がん治療や転移がん治療で評判の高い医院で相談してみてはいかがでしょうか。
前立腺がんの主な治療法は、監視療法、手術(外科治療)、放射線治療、内分泌療法(ホルモン療法)、化学療法です。このがんでは骨や肺、リンパ節への転移が多いとされています。それぞれの転移先、進行度合いによって適切な治療法は異なりますので、担当医と他の病院、クリニックによるセカンドオピニオンを受けて慎重に選択しましょう。
転移が確認できるD期(4期)の主な治療法はホルモン治療、放射線治療。リンパ節転移、遠隔転移があるがんの場合は手術、放射線、ホルモン治療による治療が難しく、化学療法(抗がん剤)の選択が一般的です。※1
精嚢以外の隣接組織に浸潤したり、リンパ節やほかの臓器に転移がみられる段階でもあるため、基本的には内分泌療法で全身的な治療を行います。なお、転移による痛み、神経の麻痺に対しては放射線療法などが併用されることもあります。※2
※1情報参照元:国立がん研究センターがん情報サービス「図4 前立腺がんの治療の選択」(https://ganjoho.jp/public/cancer/prostate/treatment.html)
※2情報参照元:アストラゼネカ「Whats?前立腺がん」(https://www.zenritsusen.jp/treatment/)
そこで、ここでは薬物療法と放射線療法でそれぞれおすすめのクリニック、病院をご紹介いたします。セカンドオピニオンを受ける際の参考になれば幸いです。
ここでは、当サイトで治療医師として掲載している日本医学放射線学会放射線治療専門医が所属する癌放射線治療専門クリニックをご紹介します。(2021年11月時点)
CTで得られたデータを元に、正常な細胞への影響を低く抑えながらがんの病巣に対する放射線照射を行うトモセラピーによる治療を提供しているクリニック。多発転移のがんの場合でも、単一の病巣と同じように治療できます。手術などによる体への負担がなく、治療期間も比較的短く済む点も特徴です。
「放射線治療専門医(※2)」が「トモセラピー(※1)の治療をする」「放射線治療専門クリニック」というのは、関東で唯一クリニックC4のみ。
(※1)参照元:Radixact 公式サイト(https://radixact.com/treatment centers/)
(※2)参照元:公益社団法人日本医学放射線学会 公式サイト(http://www.radiology.jp/specialist/list_t.html)
電話番号:03-6407-9407
前立腺癌の症例
・前立腺癌進行期(D2) リンパ節転移(64歳男性)
・前立腺癌 遠隔肝転移(D2)(74歳男性)
青木 幸昌クリニックC4 院長
クリニックC4の院長でありがん治療に30年以上取り組んできた青木医師。東京大学医学部医学科卒業後、東京大学医学部附属病院分院放射線科講師病棟医長や放射線医学総合研究所特別研究員、総理府技官、国際医療福祉大学保健学部放射線・情報科学科教授などを務め、2008年にクリニックC4を設立。
きめ細やかな診療をもとにした放射線治療を行う苑田会放射線クリニック。同クリニックでは、30年以上の経験を持つ常勤放射線治療専門医が治療を担当。患者の状態に応じ、高精度放射線治療から緩和治療まで対応します。また、「リニアック」と呼ばれる汎用機を導入しており、放射線治療の実施が可能となっています。
電話番号:03-5851-5751
前立腺癌の症例
ホームページへの掲載がありませんでした。
齋藤 勉苑田会放射線クリニック 院長
苑田会放射線クリニックの院長を務める斎藤医師は、1976年に日本大学医学部を卒業後、国立病院医療センターや日本大学、苑田診療所を経て2013年に苑田会放射線クリニック院長に就任。日本医学放射線学会 放射線治療専門医、日本がん治療認定医機構 暫定教育医の資格を持つドクター。日本医学放射線学会、日本放射線腫瘍学会、日本癌治療学会、日本頭頚部癌学会、日本緩和医療学会、日本定位放射線治療学会などに所属。
PET-CTを中心としたがんの画像診断から高精度放射線治療を提供することを目的として開設された東京ベイ先端医療・幕張クリニック。がん専門病院で経験を積んだスタッフが在籍しており、放射線治療は2名の日本医学放射線学会放射線治療専門医が担当しています。四次元PET-CT画像やMRI画像などを用いた新たな高精度放射線治療にも取り組んでいます。
電話番号:043-299-2000
前立腺癌の症例
ホームページに掲載がありませんでした。
長町 茂樹東京ベイ先端医療・幕張クリニック 院長
院長を務める長町茂樹医師は、宮崎医科大学医学部医学科を卒業後、宮崎県立日南病院放射線科副医長、宮崎医科大学放射線部准教授を経て、福岡大学病院放射線部第二教授を務めてきた放射線医学の専門家です。日本医学放射線学会放射線診断専門医、日本核医学会専門医、PET核医学認定医などの資格を有し、核医学分野を中心に研究・診療に従事。日本心臓核医学会や日本がん検診・診断学会の評議員・理事、複数の学術誌編集委員も務めています。
ここでは、当サイトで治療医師として掲載している日本血液学会血液専門医かつ日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医の所属する病院をご紹介します。(2021年11月時点)
「Human-based Medicine(HBM:人を中心とした医療)」をスローガンとして掲げ、さまざまながんの治療に当たっている虎ノ門病院臨床腫瘍科。同院には循環器や呼吸器などさまざまな分野における専門家やスタッフがおり、それぞれのつながりが非常に強い点が特徴。このつながりを活用し、チームとして患者により良い治療を提供していくことをミッションとしています。
電話番号:03-3588-1111(代表)
前立腺癌の症例
多数実績あり
三浦 裕司虎の門病院 先生
腫瘍内科医として泌尿器や消化器のがんを中心として診療を行っている三浦医師。さまざまな固形腫瘍の診療・治療に取り組んでおり、中でも腎がんや膀胱がん、前立腺がんなどの泌尿器腫瘍に対する薬物療法が専門です。治療においては標準治療はもちろん、新薬の治験まで対応。日本臨床腫瘍学会 がん薬物療法専門医・指導医、日本血液学会 血液専門医、日本内科学会 認定内科医、日本泌尿器腫瘍学会 代議員、腎癌研究会 世話人。
大前提として、前立腺は男性のみにある臓器です。栗の実のような形をした小さな臓器で、男性の尿道の一部を包み込むように存在しています。役割は精液の一部である前立腺液を作ること。前立腺液は、精子に栄養を与えたり精子を保護したりします。
この前立腺に生じる癌が前立腺癌。前立腺の細胞が正常な増殖機能を失い、秩序なく増殖を続けている状態が前立腺癌です。男性ホルモンの影響により細胞が増殖することで知られ、リスク因子として年齢、家族歴、食習慣、人種などがあるとされています。
早期の前立腺癌には、ほとんど自覚症状がありませんが、癌が進行すると前立腺肥大症に似た症状が現れるようになります。
具体的には、排尿のしにくさ、尿の頻度の増加、残尿感、排尿時の痛み、下腹部の不快感など。さらに癌が進行すると、尿閉(排尿できない症状)に至ることもあります。
また、癌が転移した場合には、血尿や尿失禁、転移した部位(骨など)の痛みなどが見られることがあります。
前立腺がんは癌の発生リスクを高める要因として、前立腺がんの家族歴や加齢に伴う影響などが明らかにされています。家族に前立腺がん患者がいる人や年齢を重ねてきた人であれば特に前立腺がんの予防や早期発見を意識することが大切です。ただし、家族に前立腺がん患者がいるからといって、必ず前立腺がんになるとは限らないため、過度なストレスを抱えることは避けましょう。
またその他の原因として、肥満や食生活、喫煙習慣など生活習慣に関わるものが研究されており、医学的に特定の原因は明らかにされていないものの、一般論として癌予防を心がけることも重要です。
日本人を対象とした癌研究の結果から定められている「日本人のためのがん予防法」では、禁煙や節酒、適切な食生活や体重管理といった生活習慣の改善が、癌の予防に有効であると示唆されています。
なお、前立腺がんでない癌の中には明確に生活習慣の悪化などが発生リスクを高めると発見されているものもあり、他の癌からの転移リスクや再発リスクを低減するためにも生活習慣の改善は無視できません。
前立腺がんに対して明確な予防法は発見されていないからこそ、日頃から生活習慣を健全に保つことで全身的な癌リスクを低減しつつ、定期的な癌検診で早期発見を叶えられるように意識することが肝要です。
前立腺がんのリスクを高める要因として、前立腺がんの家族歴、高年齢が明らかにされています。その他にも肥満、食品(カルシウムの過剰摂取など)、喫煙などについて多くの研究が行われていますが、まだ明らかではありません。
日本人の癌リスクや癌予防を科学的に考えていく中で、まず「たばこ・喫煙」は明確な癌リスクとして知られています。
例えば喫煙によってリスクが増大する癌として肺癌や食道癌、膵臓癌などが知られていますが、そもそも喫煙者はあらゆる癌に関してたばこを吸わない人よりも癌リスクがおよそ1.5倍も高まってしまうことも認められています。そのため前立腺がんの予防やリスク回避を考える上でもたばこの本数を減らしたり禁煙したりといった取り組みは効果的です。
なお、たばこのリスク回避に取り組む際は自分でたばこを吸わないというだけでなく、他人が吸っているたばこの煙(副流煙)を吸い込まないということも必要です。
また前立腺がん以外の癌が発生することで癌の転移リスクも高まるため、いずれにしても禁煙に取り組んだり副流煙の回避に努めたりすることは大切といえるでしょう。
飲酒は喫煙と同様に癌のリスク因子として知られており、特に食道癌や大腸癌、肝臓癌などと強い関連性が認められています。また、その他の癌についても飲酒の習慣が発生リスクを高めると考えられており、原則としてアルコールの摂取量を減らせば減らすほど癌の予防として意味があると言えます。そのため可能であれば禁酒によって飲酒習慣そのものをなくすことがベストです。
ただし飲酒によるストレス緩和やアルコールを介したコミュニケーションがQOL向上に寄与することもあり、どうしても禁酒・断酒でストレスが増えてしまうというような場合、せめて飲酒量を減らしたり、アルコール度数の低いお酒に変えたりといった工夫を考えましょう。
従来の研究によって塩分過多の食事や栄養バランスの悪い食事、熱すぎる食事などが癌のリスクを高めると報告されています。
そのため、癌の予防としてのみならず健康的な生活習慣を実現するためにも食生活の改善や食習慣の見直しをすることは大切です。
塩分の多い食事は胃癌や高血圧症、循環器疾患などのリスクにつながるとされており、減塩メニューは癌予防に加えて健康的な暮らしの追求に効果的です。また果物や野菜を意識的に食べることで食物繊維やビタミンなどの摂取に寄与し、癌や脳卒中、心筋梗塞といった生活習慣病の予防の助けにもなります。
その他、熱すぎる食べ物や飲料は口内や食道の粘膜を傷つける恐れがあるため、少し冷まして口にするように意識してください。
ことさらスポーツなどの運動をしていない人でも、日常的に仕事や家事、遊びなどである程度の身体活動量を確保している人であれば心疾患の予防や一部の癌の予防につながると考えられています。
どれくらいの運動量・身体活動量が必要とされるかは年齢や性別などによって異なりますが、例えば厚生労働省では「健康づくりのための身体活動基準2013」において以下のような身体活動量の目安を推奨していることも覚えておきましょう。
※参照元:国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html)
過去の研究によって、肥満度の指標として用いられている「BMI値」が癌のリスクに関係していると認められています。
BMI(Body Mass Index)はその人の体重(kg)を、その人の身長(m)を2乗した数字で割って得られる数字であり、一般的に男性であればBMIが「21.0~26.9」の範囲で癌による死亡リスクを抑えられるとされています。
癌の予防として体重に注意する際は、肥満といった過体重を避けることはもちろん、過度に体重が軽すぎることもリスクになると覚えておいてください。
なお、ダイエットや食事制限、運動習慣の見直しといった理由もなく急に体重が減少する場合、癌を含めて何らかの病気の可能性があるため速やかに医師へ相談してください。
※参照元:国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html)
肝臓癌(肝細胞癌)や胃癌、子宮頸癌といった一部の癌についてウイルスや細菌による感染がリスクを高めると知られています。
癌には転移のリスクがあり、前立腺癌の予防やリスク低減としてもウイルスや細菌への感染に気をつけることで前向きな影響をもたらすことが期待できます。
前立腺癌の検査方法には、主に次の4種類があります。
前立腺から分泌される前立腺液には、PASと呼ばれるタンパク質の一種が存在していますが、がん等によって前立腺組織が乱れると、このPASが余分に血中に流れ出ます。血液検査でPASの濃度を調べた際、一定以上の濃度が確認されれば前立腺癌が疑われます。
医師が肛門から指を挿入し、前立腺の状態を検査する方法が直腸診です。前立腺の表面の状態や左右の形、大きさなどに違和感があった場合には、前立腺癌を疑います。
また、専用器具(プローブ)を肛門から挿入し、超音波の反射で前立腺の状態を確認する方法が経直腸エコーです。
PSA検査や直腸診、経直腸エコーなどを通じて前立腺癌が疑われた場合、細い針を刺して前立腺組織の一部を採取。採取した組織を顕微鏡で詳しく調べ、癌細胞の有無を確認する方法が前立腺生検です。
リンパ節や肺への転移の有無を調べるCT検査、前立腺外への癌細胞の浸潤を調べるMRI検査、骨転移の有無を調べる骨シンチグラフィなど、主に転移の状況を調べる際に各種画像診断が行われます。
前立腺がんの早期発見を叶えるためには定期的な癌検診やスクリーニングを受けることが大切ですが、一方で前立腺がんの検査やスクリーニングそのものにリスクや課題がある点も覚えておかなければなりません。
偽陰性とは、本来であれば「陽性(癌がある)」と診断されるべき検査やスクリーニングで、「陰性(癌がない)」という結果が出てしまっている状態です。当然ながら癌検診やスクリーニングは癌の発見を目指して行うものであり、偽陰性が出てしまうと、そもそも検診やスクリーニングの意味がありません。
また、前立腺がんはそもそも自覚症状の出にくい癌であり、偽陰性によって自分には癌がないと安心してしまい、そのまま治療せずに過ごすことで、改めて症状を自覚した時にはすでに癌が進行してしまっているといった可能性もゼロではありません。
偽陰性のリスクを低減するためには、1つの検査結果のみを信用するのでなく、複数の検査やスクリーニングを併用するとよいでしょう。
偽陽性は偽陰性の反対であり、体内に癌がないにもかかわらず「陽性」として診断されてしまう状態です。
体の中に癌がないため、偽陽性は偽陰性よりも安心できる誤診だと考えられがちですが、誤診によって自分に癌があると思って強いストレスを感じてしまったり、本来は不要であるにもかかわらず前立腺生検などで体を傷つけたりと、色々なリスクが発生することは無視できません。
偽陰性であれ偽陽性であれ、あらゆる検査やスクリーニングではそれらのリスクがあることも事実です。そのため、偽陽性リスクを低減するためにも、やはり複数の検査を行って多角的に検証する必要があります。
未発見の癌を見つけるためのスクリーニングを行って、実際に癌が見つけられたとしても、それは常に早期発見であると限らないことも事実です。自覚症状の出にくい前立腺癌は知らない間に進行しているケースも少なくなく、仮にスクリーニングで癌を発見できたとしても、その時点ですでに癌が相応に進行していることも考えられます。
癌が進行していても治療によって根治や改善を目指せることはありますが、反対にスクリーニングの検査結果が出た時点ですでに治療が困難になっているケースもあり得るでしょう。
そのため、スクリーニングはあくまでも体の現在の状態を正しく把握して、リスクの管理や今後の治療のプランニングへ役立てるための過程であると理解することが大切です。
偽陰性や偽陽性、結果によるストレスといったリスクの他にも、生検のために針を刺して細胞を採取する際に痛みを感じたり、血液検査のための注射によって体にダメージを与えたりといったリスクがあります。また、その際に感染や過度な出血といった副作用が生じる恐れもあるため、検査の際はきちんと医師や看護師の指示に従ってリスクを低減するように心がけましょう。
前立腺がんの治療後や手術後、体の状態が安定すれば食事や運動についての制限はありません。しかし、前立腺がんの手術の副作用として尿失禁や性機能障害といった副作用があることも事実です。そのため前立腺がん患者のQOLを低下させないためには、生活の中で尿失禁の対策を考えたり、性機能障害についてのケアを考えたりすることも重要となります。
加えて、癌が再発しないよう生活習慣についても注意していくようにしましょう。
前述したように、前立腺がんの明確なリスク要因として具体的な食材や生活習慣についての解明はなされていません。しかし、国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策研究所の多目的コホート研究の中では、前立腺がんの発生に乳製品などの食材の摂取が関連していると示唆する研究結果も報告されています。
同研究は、45~74歳の男性約4万3千人を対象としたものであり、最長で平成7年から平成16年までの期間で追跡調査を行ったところ、牛乳やチーズ、ヨーグルトといった乳製品の摂取量が多い人ほど前立腺がんのリスクが高くなるという結果が得られました。
また欧米の研究でも乳製品と前立腺がんの発生要因について関連性を示唆する報告が発表されており、他にも赤身肉や加工肉の摂取が癌発生に関連するという調査報告もあります。
とはいえ、これらはあくまでも可能性の1つであり、必ずしも乳製品や肉類が前立腺がんの原因になるとは医学的に証明されていません。しかしいずれの場合も過剰摂取は健康に悪影響を及ぼすため、食事のバランスや摂取量は適正に意識することが大切です。
※参照元:国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策研究所予防関連プロジェクト|乳製品、飽和脂肪酸、カルシウム摂取量と前立腺がんとの関連について(https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/317.html)
前立腺がんの手術後の尿失禁は、尿道周りの筋肉を鍛える骨盤底筋体操などリハビリによって改善効果を得られるとされています。またその他にも排尿トレーニングなどが考案されており、主治医にも相談して正しくリハビリを継続することで、尿失禁を改善できる期待があるでしょう。
性機能障害は男性としての自信や暮らしの幸福感に影響するものであり、QOL低下の要因になります。また前立腺癌で精管を切除した場合、手術後の射精はできなくなります。そのためパートナーと妊娠について計画していたり、性生活の充実を目指したりする場合は、事前に人工授精や体外受精について医師も交えて相談したり、適切な性機能障害治療を受けたりといったことも重要です。
前立腺がんの手術では、精管が切断されるため、手術後、射精をすることができません。ただし、まったく妊娠不可能なわけではなく、事前に精子を採取し配偶者間で人工授精を行う、もしくは手術後でも精巣内から精子を採取し配偶者間で体外受精をする方法などがあります。
また、医療機関によっては、前立腺内にとどまる前立腺がんに対し、フォーカルセラピーの1つである高密度焦点式超音波療法を用いた局所療法(前立腺部分治療)を実施しているところもあります。
この局所療法は、メスを使用せず、超音波エネルギーを集中させ、がんを熱凝固とキャビテーションといわれる物理的作用によって破壊させるものです。治療時間は30分ほどであり、多くは治療後24時間以内に、尿道カテーテルを抜去し、退院が可能です。アンケート調査が行われた結果、退院後の経過は良好であるケースが多く、排尿障害や性機能障害などの合併症が起きることも少なく、QOL温存を示唆する回答が見られたということです。
癌リスクの軽減のために適度な運動の重要性は広く知られており、癌患者の治療中のケアや治療後の再発予防に日常的な運動習慣を取り入れて心身の健康状態を改善していくことで、結果として患者のQOLの維持・向上にも役立ちます。
ただし癌の治療中や治療後の心身の状態は患者によって様々であり、いきなり過度な運動をすることでケガをしたり逆に体力が減少して治療計画が遅れたりと悪影響が生じる恐れは無視できません。そのため、まずはどのようなペースや内容の運動を生活に取り入れていけば良いのか、担当医に相談して適切な管理をしていくことが大切です。
癌になることで様々なことが変化し、時には思い通りに治療を進められなかったり、癌である自分の未来に不安を抱いてしまったりすることもあるでしょう。またそのような精神的負担や不安が日々の言動にも悪影響を及ぼし、ついつい攻撃的な態度をとってしまったり、乱暴な口調になってしまったりすることも少なくありません。
あるいは、そのような自分を意識するあまり他者との会話やコミュニケーションを避けるようになることも考えられます。
しかし癌の不安や苦しみは一人で抱えることで改善するものでなく、むしろ解決できない悩みとして大きなストレスにつながることが珍しくありません。そのため癌の苦しみや不安については担当医や家族、パートナーなど信頼できる相手と共有して一緒に考えることが大切です。
また前立腺癌の患者において重要な性機能の問題など、特にプライベートな悩みについても担当医や専門医へ相談し、適切なケアを受けられるように環境を整えることが前向きな結果につながります。
癌患者や家族にとってQOLを悪化させる要因の1つが、癌の治療やケアなどにかかるお金の問題です。癌の治療や予防に関しては一度で高額な治療費がかかるものから、単価は少額ながら継続的かつ長期の治療によって総合的に大きな負担になるものまで様々な種類があり、実際にどのような治療が必要になるかは癌患者それぞれで異なります。
加えて、患者の状態や生活環境によっては介護や支援を受けなければならないこともあり、必要に応じて公的支援や経済的支援といったサポートを活用していくことが肝要です。
高額療養費制度とは、月ごとに医療費の自己負担額の上限が設定され、それを超過した分の費用について払い戻してくれる公的支援制度です。保険診療では3割負担や1割負担で治療を受けられるものの、治療によっては極めて高額な費用が設定されていることもありますが、高額療養費制度を活用することで色々な治療手段を選択肢に組み込めることがポイントです。
なお前もって保険診療の費用が上限を超えると分かっている場合、医療機関などでの窓口での支払いを上限額までに抑えるといった手続きもあります。
具体的な設定額は年収や年齢によって異なるため、まずは地域の「がん相談センター」やソーシャルワーカーなどに相談して制度の内容を確認しておきましょう。
高額医療・高額介護合算療養費制度は年間に支払った医療費や介護費の総額に対して、あらかじめ設定されている上限を超過した場合に、超過分の払い戻しを受けられる制度です。高額療養費制度が月ごとの支払いであった点に対して、高額医療・高額介護合算療養費制度は年間の医療サービスや介護サービスにかかった費用の総額についての制度である点が違いとなります。
一度に支払う金額はそこまで大きくなくとも、継続的・長期的な治療では結果的に高額な費用負担になることもあり、同制度はそのような際にサポートしてもらえることが重要です。
癌の治療や影響によって4日以上、仕事を休まなければならなくなった際や、入院による休職を検討する際、勤め先の企業や事業主から十分な給料や報酬を受けられない場合に傷病手当金を受け取ることが可能となります。
企業にとっても従業員の雇用を継続しながら費用負担を軽減できる制度であり、まずは協会けんぽや健康保険組合、企業の担当課などに相談してください。
癌の進行状態に応じ、主に次の6種類の治療法が選択的に行われます。
癌が見つかったものの勢いが弱く、治療を行わなくても余命に影響がないと判断される場合には、定期的にPAS検査や前立腺生検を行いながら経過観察(監視)を行います。「何もしない」「放置する」という趣旨ではなく、無用な治療を極力避けて患者のQOLの維持・向上を目指すという正式な治療法の一種です。
高密度焦点超音波療法(HIFU)や凍結療法、小線源療法などの治療を行いながら、一方で正常組織を可能な限り残すという治療法です。治療と身体機能の維持の両方を同時に目指すという点で、監視療法ともその他の療法とも区別されます。
開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット手術などにより、前立腺を摘出する手術を行います。前立腺だけではなく、精のう、膀胱、周囲のリンパ節を同時に取り除くこともあります。
放射線を照射し癌細胞を小さくする治療です。体の外から前立腺に向けて放射線を照射する方法を「外放射療法」と言い、放射線を照射する小さなカプセル状の物体を前立腺の中に入れる方法を「組織内照射療法(密封小線源療法)」と言います。
前立腺癌の癌細胞は、アンドロゲン(男性ホルモン)の影響により増殖する性質があります。薬物を使い、このアンドロゲンの分泌や働きを抑える治療法が、前立腺癌の内分泌療法(ホルモン療法)です。
注射や内服などの方法で薬剤を投与し、癌細胞を小さくしたり消滅させたりする治療法が化学療法です。いわゆる「抗がん剤」による治療となります。 一般に前立腺癌の場合、内分泌療法の効果が弱くなってきた患者や前立腺癌の転移が見られる患者に化学療法が適用されます。
がんにかからないようにするためにはどのようにすればいいのか、そして、スクリーニングとはどのようなものなのかということについて解説します。
まず、予防についてですが、糖尿病・高血圧・高LDLコレステロール血症といった生活習慣病や喫煙・肥満は前立腺がんのリスクを高めるといわれているため、生活習慣に課題のある方は改善しましょう。
適度な運動、バランスの取れた食事、適切な体重の維持・定期的ながん検診の受診などを心がけていくことが大切です。
国立がん研究センターがん予防・検診研究センターより発表された「がんを防ぐための新12か条」と呼ばれるものがあります。この新12か条は、日本人を対象とした疫学調査や現時点で妥当な研究方法で明らかにされている根拠をもとにまとめられたものです。がんを防ぐための新12か条は、以下をご覧ください。
前立腺がんは、特定の食品を食べていれば予防できるといったものではありません。食生活と前立腺がん罹患の関係を調べた研究が行われた結果、欧米型食事パターンのスコアが1番高いグループは、最少スコアのグループと比べて前立腺がんのリスクが22%増加することが判明しました。野菜・果物・豆類・海藻などの食品を心がけて摂るようにするのは、がん予防につながります。
上記のほかには、動物性脂肪に多く含有されている飽和脂肪酸の摂り過ぎに注意をする必要があります。食生活においては、魚に含まれているDHA・EPAをしっかりとりいれたり、節酒したりするのも予防には効果的です。食事以外では、運動習慣にも気を付ける必要があります。過去実施された研究によりますと、身体活動量が多いグループほど、がんを発症するリスクは低いということでした。
前立腺がんの診断を行うためには、スクリーニング検査を行います。スクリーニング検査とは、前立腺がんの可能性がある人を発見するための検査のことです。採血のみのPSA検査や、直腸内触診、画像検査を併用する場合があります。
前立腺がんに関連したスクリーニングにはさまざまな方法があり、この章では前立腺がんのスクリーニングの方法と概要を解説していますので、チェックしてみてください。
PSA検査は前立腺がんを早期発見するための有効な検査です。がんや炎症によって前立腺組織が壊れてしまうと、血中にPSAが漏れ出して増加します。血液検査でPSA値を測定すると、前立腺がんの可能性を調べられます。
PSAの基準値は、一般的に0~4ng/mLとされています。(※年齢によって基準値を下げる場合もあり)
PSA値が4~10ng/mLをグレーゾーンといい、25~40%の確率でがんが発見されます。しかし、PSA値が10ng/mL以上の場合でも前立腺がんが発見されないケースもありますが、4ng/mL以下でも前立腺がんが発見されることもあります。
PSAが100ng/mLを超える場合は、前立腺がんの疑いが強く、転移も疑われる状態です。
直腸診は、医師が患者の肛門から指を挿入し、前立腺の状態を調べる検査です。前立腺の表面に凹凸がある・左右非対称という場合には、前立腺がんが疑われます。
経直腸エコーは、プローブという超音波を発する器具を肛門から挿入し、前立腺の形・大きさを調べる検査です。
画像診断ではCT検査・MRI検査・骨シンチグラフィ検査といった検査を必要に応じて行います。
CT検査では、リンパ節転移の有無・肺転移の有無を確認するために行われるのが特徴です。MRI検査では、がんが前立腺のどこにあるのか、前立腺の外へ浸潤していないか、リンパ節へ転移していないかなどを確認します。骨シンチグラフィ検査は、骨転移の有無を調べます。
CT検査やMRI検査は、造影剤を使用するため、アレルギー反応が起こる可能性があります。薬剤によるアレルギー反応を起こしたことがある場合、あらかじめ主治医に伝えておきましょう。
前立腺がんの有無やリスクを調べる方法として、上述のスクリーニングは有効な方法です。しかし、スクリーニングを行うことで、患者に対しさまざまな負担やリスクが生じるおそれがあります。スクリーニングには、偽陰性や偽陽性といった誤診のリスクがあります。
偽陰性とは、実際にがんが存在していても存在しないと判定されたことを言います。例え症状があったとしても、偽陰性という結果を手にすると、医師の診察を受けるのが遅くなってしまう傾向性があります。
また、がんが発見しにくい場所や形をしている場合には、早期発見できないケースがあります。
PSA検査は80~90%と高い確率でがんが発見できますが、陰性と判定されたとしても、その後に直腸診・超音波検査などで、ごくわずかの方にがんが発見されたり、反対に陽性と判定された人にがんはなかったりするケースも時々あります。グレーゾーンは、陰性とも陽性とも判定できないケースであるため、その後の精密検査が大切です。
検査結果が偽陽性と出る可能性もあります。実際にがんが存在していなかったとしても、スクリーニング検査の結果が異常と判定されてしまうケースです。偽陽性という判定がでると、不安を抱える方も多いです。早期発見・早期治療のためには、ある程度やむをえないことではありますが、大きなストレスになるおそれがあります。
また、通常偽陽性では、確定診断をするための検査(生検)を受けることになるため、身体的なリスクもあります。
前述の通り、前立腺がんの検査法には、PSA検査・触診・超音波検査などがあります。しかし上記の検査も疑いにとどまり、確定には至りません。前立腺がんの確定診断には、前立腺の一部を採取して顕微鏡で確認する前立腺生検が必要です。
前立腺生検は、超音波による画像で前立腺の状態を確認しながら、細い針で前立腺を穿刺し組織を採取していきます。初回の生検では、10~12カ所の組織採取を実施します。前立腺生検でがんの発見に至らなかった場合にも、PSA検査を継続的に行い、PSA値が上昇する場合には再度生検を行うこともあります。
生検を受けると、出血・感染・排尿困難といった合併症が生じる場合があります。頻度の高いものとして、血尿・血便・精液に血が混じる血精液が挙げられます。重篤な感染症はまれだといわれていますが、生検後に発熱などの症状が見られる場合には、主治医へ速やかに報告するようにしましょう。
前立腺がんは初期段階における自覚症状に乏しく、患者自身が日常生活を送っている中で気付きにくい癌であることが課題です。そのため前立腺がんそのものをセルフチェックで発見することは難しいと言わざるを得ません。
ただし前立腺がんは併存疾患として前立腺肥大症などがあり、例えば前立腺肥大症の症状を意識することで前立腺がんのリスクを早期に発見し、改めて癌検診などによって前立腺がんの早期発見・早期治療へつなげられる可能性はあります。
普段から気をつけておきたい身体や生活の変化として以下のようなものがあります。
トイレに行く回数が増えたり、一度に十分な量の尿を排出できなかったりと排尿に関する問題や変化が現れれば、泌尿器科などを受診して医師へ相談することがおすすめです。
また、尿意はあるのにトイレに行っても尿が出なかったり、これまで以上に排尿で力が必要になったりといったケースも要注意です。なお排尿の問題や尿のトラブルは加齢による影響でも生じるため、排尿に関する違和感があったからといって過度に不安やストレスを抱えることは避けましょう。
排尿は可能であるものの、尿を出す際に痛みを感じたり、何度も尿が途中で途切れたりする場合も注意すべきかもしれません。また、痛みを感じずとも排尿時に性器や尿道へ熱を感じるような場合も医師へ相談することを検討してください。
前立腺がんや前立腺肥大症の影響として、勃起の有無といった性機能の変化が生じることもあります。
性機能の変化や機能不全は肉体的な問題だけでなく、精神的な負担や問題にもつながりかねず、QOLを低下させる要因にもなり得るため、おかしいと感じたら恥ずかしがらずに医師へ相談することが大切です。
癌の発生や転移には様々な要因や機序が関わっており、例えば健康的な暮らしや健全な生活習慣を心がけていても癌になってしまう人がいます。このような理由としては色々なものが考えられますが、その1つとして知られているものが個人の体質(遺伝的特性)です。
人の体は両親から受け継いだ遺伝子によって構築されますが、一部の癌に関して特定の遺伝子の変異や欠損といった異常が高リスク化へつながると知られており、個人の遺伝子をゲノム解析によって調べることで癌リスクにつながる遺伝子変異を発見したり、どのような治療に適性があるのか遺伝的に検討したりすることができます。
遺伝子検査(がん遺伝子検査)とは、患者の組織や血液などから細胞を採取し、その中に含まれている遺伝子をゲノム解析することで特定の遺伝子変異や親から受け継いだ遺伝子の種類・組み合わせなどを調べる検査です。
癌の遺伝子検査や遺伝子の変異型については世界中で医学的に研究が進められており、すでに特定の癌遺伝子や変異型の有無が一部の癌の発生に関与していることが分かっています。つまり、遺伝子検査によってそのようなリスク因子となる癌遺伝子の存在を調べることで、患者の癌の性質や種類の同定につながったり、将来的な癌の再発や転移の予防治療を検討したりすることも可能となります。
なお、癌の遺伝子検査は標準治療として保険診療で受けられるものがある一方、自費診療として受けるものもあり、前立腺癌の治療として保険適用で遺伝子検査を受けるには主治医へ相談して必要性を認めてもらわなければなりません。
前立腺癌の患者において遺伝子検査を行う場合、まず採血か生検による癌組織の採取が必要です。なお、採血だけでは遺伝子変異の同定が不十分となることもあり、可能な限り前立腺がんの組織・細胞を使って検査することが望ましいでしょう。
前立腺がんに関連した癌遺伝子はすでに様々なものが発見されており、例えばBRCA遺伝子の変異の有無によって転移性去勢抵抗性前立腺癌の治療方針が検討されるといったこともあります。
保険適用の遺伝子検査は日本全国の病院で受けることができますが、がんゲノム医療やがん遺伝子検査といった専門分野については専門資格を有する医師や専門診療科を有する医療機関へ相談することも大切です。
なお、市販の遺伝子検査キットや自由診療のクリニックなどで行われる遺伝子検査に関しては、その結果だけで癌の確定診断を下すことができないため、結果を参考材料の1つとして改めて医師に相談して適切な検査を受けることも肝要です。
※参照元:福岡大学医学部腎泌尿器外科学講座|がんゲノム(https://www.med.fukuoka-u.ac.jp/urology/cancer_genome.html)
ホルモン療法などが効きにくい前立腺がんの患者に対して、特定の遺伝子変異が認められた場合、2021年から前立腺癌治療薬(オラパリブ)を使用した治療を保険適用で受けられるようになっています。一方、条件となる遺伝子変異が認められない場合は保険適用にならない点も重要です。
このように遺伝子検査を行って遺伝子変異の有無を調べることにより、保険診療として使用できる治療薬や治療法を選定したり、他の治療薬や治療法を検討したりといったことが可能となります。
また分子標的薬の中には治療効果を十分に発揮する条件として特定遺伝子の分子分類が必要になることもあり、個別化治療の品質向上に遺伝子検査が役立っています。
前立腺がんのステージや状態によって、例えば細胞障害性抗がん薬の「イリノテカン」が使用されることもありますが、イリノテカンは患者の体質によって副作用の症状に個人差が生じることも特徴です。
そのためイリノテカンの副作用リスクを検証する際に血液検査・遺伝子検査が行われることもあります。
細胞障害性抗がん薬の一つであるイリノテカンを使う前に血液検査を行い、体質によって重い副作用が出る可能性がないか遺伝子検査で調べます。検査の結果によって、副作用が出やすい人は、薬の量を調節して治療を行うことがあります。
引用元:国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービス|がん医療における遺伝子検査 もっと詳しく
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/genomic_medicine/gentest02.html
前述したように、遺伝子検査を保険診療で受けるためには医師の診断など条件が設定されており、まずは遺伝子検査の必要性などについて主治医へ相談することが大切です。
また遺伝子検査で変異型の有無を診断できても、それだけで癌のリスクや特徴を100%断定することは困難です。遺伝子検査はあくまでも癌の治療や予防の戦略を考える材料の1つであり、適切に検査した上で正しい活用法を考えることが肝要となります。
前立腺がんの治療では主として外科治療(手術)と放射線治療、そして化学療法(薬物療法)があり、さらにどのような治療法を選択すべきかは各患者の癌のステージ(病期)や既往歴などを総合的に考慮して検討されます。
前立腺がんの治療を選択する基準として、前立腺がんがどの程度進行しているのか事前に正確な診断をすることが不可欠です。
前立腺がんの進行度は「ステージ(病期)」による分類で評価され、特に前立腺がんでは病期分類の方法として「TNM分類」を用いられることが一般的となっています。
ここでは前立腺がんにおけるTNM分類を始めとして、ステージ分類やその他の分類方法についてまとめましたので、まずは治療選択の基準を理解する前提として把握しておきましょう。
TNM分類は前立腺がんの進行の度合いを評価する分類法として広く採用されており、「T・N・M」という3種類のカテゴリーに照らし合わせながら総合的な評価によってステージを診断することがポイントです。
TNM分類における各カテゴリーの内容は以下のように設定されています。
また、それぞれのカテゴリーはさらに癌の状態に応じて細分化されており、例えばTカテゴリーであれば合計11段階、Nカテゴリーであれば2段階、そしてMカテゴリーであれば5段階に区別されることも特徴です。
Tカテゴリーは前立腺がん本体となる原発巣についての項目であり、その大きさや広がりなどによって細分化されています。
特にT1~T1bに関しては前立腺肥大症などの他の疾患の治療をきっかけとして偶然に発見された癌となっており、患者本人の自覚症状などが存在していないため、早期発見癌として速やかに治療を行うことでリスクをコントロールしやすいこともポイントです。
Nカテゴリーは所属リンパ節への転移の有無によって分類されます。なお、所属リンパ節は前立腺からリンパ液が流入する、骨盤内のリンパ節を指しています。
Nカテゴリーの詳細は以下の通りです。
Mカテゴリーは、前立腺から離れた場所にある臓器や組織に対する転移(遠隔転移)についての分類であり、また細分化の項目によっては転移先として「骨転移」などが指定されていることもあります。
Mカテゴリーは以下のように合計5つの項目によって評価されます。
前立腺がんはTNM分類の他に、進行度を「ステージ(病期)」によって分類されることもあり、またステージの分類に関しては上述したTNM分類の結果を複合的に考慮して評価されることが重要です。
前立腺がんのステージは「Ⅰ期~Ⅳ期」の4段階で構成されており、Ⅰ期~Ⅲ期については等しく所属リンパ節への転移や遠隔転移がない「N0・M0」であることが前提となります。なお、Ⅳ期については所属リンパ節への転移がある「N1」のケースと、所属リンパ節への転移の有無にかかわらず遠隔転移がある「M1」のケースで分類されることも特徴です。
前立腺がんのステージⅠ~Ⅲ期の分類とTNM分類(Tカテゴリー)との相関性は以下のようになります。
さらにⅣ期については以下のように分類されます。
組織学的分類(グリーソンスコア)は前立腺がんの「悪性度」を示す指標の1つであり、その癌がどの程度の増えやすさや広がりやすさを有しているのか、数字によって判定するために利用される分類法です。
グリーソンスコアは、まず前立腺生検によって組織を観察し、組織内に存在する腫瘍細胞について「3~5」の3段階で悪性度をグレード判定します。そして組織内において最も数の多いグレードの腫瘍と、2番目に多いグレードの腫瘍をピックアップし、それぞれのグレードの合計によって「6~10」まで5段階のスコアを分類します。なお、グレード1と2については現在使用されていません。
つまり、病理診断によって発見される腫瘍細胞のグレードが全て3のみであれば、最多グレードが3、2番目に多いグレードも3となって「3+3=6」というグリーソンスコアとなります。また、最も多いグレードが4で、2番目に多いグレードが5であれば、「4+5=9」というグリーソンスコアとなります。
グリーソンスコアが高いほど、組織内で悪性の腫瘍細胞の割合が大きくなるため、必然的に癌の悪性度も深刻になるという評価です。
実際に前立腺がんがどの程度の「脅威度(リスク)」を持っているのかは、Tカテゴリーやグリーソンスコアなど5つの因子によって評価され、最終的に癌のリスク分類に合わせて治療法が選択されるという流れです。これを「NCCN:National Comprehensive Cancer Network」と呼びます。
NCCNのリスク分類は以下の5因子によって総合的に評価され、また結果として「超低リスク~超高リスク」の5段階に分けられることが特徴です。
さらにNCCNのリスク分類は以下のようになります。
前立腺がんの治療としてどのような方法を選択するかは、NCCNのリスク分類を前提としつつ、患者の希望やライフステージ、ライフスタイル、また心身の状態や既往歴といったものを総合的に考慮して検討されます。
ただし、一般的に治療の選択肢とリスク分類に相関性があることも事実であり、例えば「監視療法」は高リスクや超高リスクの前立腺がんで通常採用されず、あるいは薬物療法が超低リスクの前立腺がんで採用されることも通常はありません。
以下では一般的に目安とされるリスク分類と治療法の選択肢についてまとめましたので、自分にとっての前立腺がん治療を検討する際の参考としてご活用ください。
TカテゴリーがT1cでグリーソンスコアが6、さらにPSA密度が0.15未満といった「超低リスク」に該当する限局性の前立腺がんに関しては、薬物療法を除いてあらゆる治療法が選択候補になります。
そのため監視療法やフォーカルセラピー、手術(前立腺全摘除術)、さらに放射線治療といった治療法から、主治医と相談して患者ごとに適切なものが検討されることになるでしょう。なお拡大リンパ節郭清や化学放射線療法といった治療法は通常候補になりません。
T1~T2aでグリーソンスコア9、PSA値10といった「低リスク」の癌については、超低リスク分類の候補へさらに薬物療法も追加されます。そのため、低リスクの前立腺がんは最も治療の選択肢が多い状態であり、患者の希望や状態に合わせて検討できる幅も広いことは見逃せません。
ただし、超低リスクの場合と同様に拡大リンパ節郭清や化学放射線療法といった併用治療が選択されることは通常ありません。
T2b~T2cでグリーソンスコアが7、さらにPSA値が10~20といった中間リスクの前立腺がんでは、癌の程度によって治療候補から監視療法が除外され、フォーカルセラピーを含めた標準治療による対処が一般的となります。また手術では拡大リンパ節郭清が行われ、さらに放射線治療でも内分泌療法と外照射の併用(トリモダリティ療法)といった集学的治療が選択されることもあるでしょう。
T3aでグリーソンスコアが8~10となる限局性がんは、前立腺がんとして高リスクに分類され、治療法としては手術・放射線治療・化学療法の3種類が基本となります。また状態に応じて集学的治療などが選択されることも通常です。
局所進行性がんは全て超高リスクに分類され、高リスクの場合と同様に標準治療による治療が基本となります。
N1やM1といったリンパ節転移や遠隔転移を伴う癌については、内分泌療法や細胞障害性抗がん薬を利用した薬物療法が中心となります。
ただし、実際にどのような治療を行うかは個々の癌の状態や癌の悪性度によって異なってくるため、まずはしっかりと主治医に相談しながら自己の状態や要望について情報共有を行うことを念頭においてください。
東京都渋谷区に本社を構えるファイザー株式会社は、2026年3月に「ターゼナ」について、国内の「遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がん」に対する製造販売承認事項一部変更承認の取得を行ったと発表しました。
前立腺がんは、世界で2番目に多い男性のがんです。がんによる死亡原因としては、5番目となっており、 2022年には世界全体でおよそ140万件の人々が新たに前立腺がんと診断を受けたと推定 されている状況です。アメリカでは、前立腺がんは男性で1番多く診断されているがんです。
転移性去勢抵抗性前立腺がんは、前立腺がんが前立腺の外側へ転移し、テストステロンを低下させる治療(内科的治療や外科的治療)を行っても病状が進行した状態をいいます。前立腺がんと診断されたおよそ10~20%の方は、診断より5~7年以内に転移性去勢抵抗性前立腺がんへ進行すると考えられています。
ターゼナは日本で、前立腺がんに対し「BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移のある去勢抵抗性前立腺がん」を効能効果として、2024年1月に承認、同年4月に発売となりました。今回発表された一部変更承認は、相同組換え修復遺伝子変異にかかわらず遠隔転移のある去勢抵抗性前立腺がん患者を対象とした、国際共同第3相試験(TALAPRO-2試験)に関しての全生存期間(OS)の最終解析結果等に則ったものです。
神戸大学大学院医学研究科外科系講座の三宅 秀明教授は以下のように述べています。「国際共同第3相試験で、転移性去勢抵抗性前立腺がんの1次治療としてタラゾパリブとエンザルタミドを併用した治療法が評価され、死亡リスクの減少が認められました。
上記の適応拡大により、この併用療法は、相同組換え修復遺伝子変異の有無に関わらず、予後不良と考えられるすべての転移性去勢抵抗性前立腺がんの方に対する新たな治療選択肢となります」。
※参照元:ファイザー株式会社|抗悪性腫瘍剤「ターゼナ®カプセル」、 去勢抵抗性前立腺がんに対する適応追加承認取得(https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2026/2026-03-23-01)
アメリカのファイザー社は、2026年3月19日に相同組み換え修復(HRR)遺伝子変異陽性の転移の見られるホルモン感受性前立腺がんに対し、PARP阻害薬タラゾパリブとアンドロゲン受容体経路阻害薬エンザルタミドを併用すると、プラセボとエンザルタミドを併用するより、画像診断の結果、無増悪生存期間(rPFS)を有意に延長できると発表しました。
TALAPRO-3試験と呼ばれる国際第III相試験は、mCSPCでARPIと併用あり・なしのアンドロゲン除去療法(外科的もしくは化学的)を実施してから3か月以下の患者599人を対象とした多施設無作為化二重盲検フェーズ3試験です。
アメリカやカナダ、南米、欧州、日本も合わせたアジア~太平洋地域より、HRR12遺伝子パネルで1個またはそれ以上のHRR遺伝子変異のある患者が登録されています。患者は、1日あたりタラゾパリブ 0.5mg・エンザルタミド 160mgを投与する群と、プラセボと1日あたりエンザルタミド 160mgを投与する群に無作為に割り付けが行われました。
主要評価項目は、治験を担当する医師の評価による無増悪生存期間(rPFS)。副次評価項目は、以下をご覧ください。
ファイザー社からの発表によると、rPFSのハザード比はあらかじめ規定していた標的値の0.63を超える有効性が確認され、今回の解析時点において、多くの患者が無増悪状態でした。
また、効果はHRR遺伝子がBRCA遺伝子・非BRCA遺伝子のいずれにおいても確認できました。中間解析時点では、OSもタラゾパリブとエンザルタミド併用群にて改善傾向が強く確認できたということです。
タラゾパリブとエンザルタミド併用群では、奏効割合やDOR、そしてPSA増悪までの期間も良好です。タラゾパリブとエンザルタミドの併用療法は、がんの進行リスクを大幅に低下できる可能性があるとわかっています。
※参照元:がんナビ|HRR遺伝子変異陽性のmCSPCにタラゾパリブとエンザルタミド (https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/news/202603/592525.html)
根治的前立腺摘除術を実施した後の前立腺がんに対する放射線療法に、ホルモン療法を上乗せして全生存期間(OS)が延長できるのは、放射線療法前に測定したPSA値が0.5 ng/mL以上の場合に限定される可能性がわかったとの発表です。
複数のランダム化比較試験(RCT)に参加したそれぞれの患者データをメタ解析した研究の結果より判明しました。ホルモン療法を実施した期間について、患者の多くは短期間(4~6か月)投与して十分な治療効果が出る傾向についても確認されている状況です。
2月26日~28日、アメリカサンフランシスコで行われた米国臨床腫瘍学会泌尿器癌シンポジウムにて、カリフォルニア大学のAmar Kishan氏が発表しました。
術後前立腺がんへの放射線療法に対してホルモン療法を上乗せすると、PSAなどのバイオマーカーの改善につながることは知られています。しかし、根治的放射線療法に対しての上乗せとは異なり、それらの改善がOSの延長に関連しているかは、はっきりと確認されていませんでした。
研究グループは、欧米ならびにオーストラリアで実施された、術後に放射線療法だけを受けた患者と、放射線療法+ホルモン療法を受けた患者を比較した6つのランダム化比較試験(RTOG 9601・GETUG-16・RADICALS・RTOG 0534)へ参加したそれぞれの患者データを集め、ホルモン療法の上乗せと、投与期間が予後に与える影響に関するメタ解析を実施しました。
OSについて全体集団では、有意差は確認されませんでした。ホルモン療法の期間でわけた2つのコホートにおいて、ホルモン療法の上乗せ効果は確認できなかったとされています。
年齢・グリソンスコア・病理学的Tステージで調節した多変量解析では、放射線療法前のPSAが 0.5 ng/mL以上の場合のみ、ホルモン療法+放射線療法が放射線療法を単独で行った人と比べて、OSが有意に良好となっています。
また、多変量解析においては、ホルモン療法の治療効果と治療期間の関連については確認できませんでした。
Kishan氏は、対象患者の治療期間が長期にわたったこと(1998年~2015年)、ホルモン療法による早期エンドポイントの改善が患者にとって有意義に働くケースがあることも補足しながらも、前立腺摘出後の患者ではPSAが0.5ng/mLを下回るケースが多く、術後放射線療法にホルモン療法を上乗せすることで死亡リスク低減などの可能性は低いと話しています。
※参照元:がんナビ|全摘除術後の前立腺癌に対する放射線療法にホルモン療法を上乗せすることはPSA高値症例以外ではOSの延長効果を認めず、メタ解析の結果より【ASCO GU 2026】 (https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/news/202603/592417.html)
転移の見られる去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)の方に対し、放射線治療薬(225Ac-PSMA)は効果が見込めるのか試験が行われました。その結果、良好な忍容性を示し、効果も見込めることがPAnTHa試験(フェーズ1試験)の用量漸増部分の結果で判明。
2026年2月26日~28日にかけてアメリカサンフランシスコで開催された米国臨床腫瘍学会泌尿器癌シンポジウム (ASCO GU 2026)にて、カナダモントリオール大学病院の研究センターのFred Saad氏らが発表した内容です。
フェーズ1試験において今回は、用量漸増部分の結果についての報告です。対象は、以下の通りとなっています。
放射線治療薬(225Ac-PSMA)を6週間おきに1日目に静脈内投与を4サイクル実施しました。主要目的は、放射線治療薬(225Ac-PSMA)の安全性と有効性、用量拡大部分への推奨用量(RDE)を決定することでした。
放射線治療薬(225Ac-PSMA)は、治療に伴う副作用や有害事象が薬剤の減量・休薬・支持療法などの対応によって許容可能な範囲内に収まる状態だということが判明。治療中の有害事象はすべての患者に認められ、グレード3以上が44%となっています。治療中止は6%(3人)であり、死亡事例は見られませんでした。
最も高頻度で見られた有害事象は、口渇であり、グレード1が56%、グレード2が30%、グレード3以上は0%という結果でした。2%以上の方に確認されたグレード3以上のT有害事象は、リンパ球減少症と貧血でした。
探索的解析(結果を裏付けるために行う解析)の結果、ベースラインにてPSMA発現が高い患者ではPSA50奏効率は93%と高値であり、中等度の患者(6<SUVmean≦10)は57%、低い患者(SUVmean≦6)は22%という結果でした。
試験では、用量拡大部分が開始されている状況であり、推奨用量投与で3つのコホート(化学療法後・化学療法歴なし・177Lu-PSMA治療後の患者)において検討されることとなっています。
※参照元:がんナビ|転移のある去勢抵抗性前立腺癌に新規の放射性リガンド療法225Ac-PSMA-Trilliumは良好な忍容性と有望な効果を示す【ASCO GU 2026】(https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/news/202602/592293.html)
転移のある去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対し、アンドロゲン除去療法にプラスして、食事と一緒にEZH2(enhancer of zeste homolog 2)阻害薬であるmevrometostatとエンザルタミドを投与することが有効な可能性について判明しました。
フェーズ1試験にて、食事と一緒にエンザルタミドを内服した2つのパートの結果、抗腫瘍効果が期待できる可能性と忍容性(副作用が生じても治療を継続できる程度)が確認できました。アメリカサンフランシスコで行われた米国臨床腫瘍学会泌尿器癌シンポジウムにて、国立がん研究センター東病院の松原氏が発表した内容です。
フェーズ1試験では、アンドロゲン除去療法を受けている患者がmevrometostat 1250mgを1日2回空腹時に投与、エンザルタミド160mgを1日1回投与する群(mevrometostat群)、エンザルタミドのみを投与する群に1対1に割り付けが行われました。
その結果、mevrometostat群の方が良好な抗腫瘍効果が見られ、忍容性が認められることが2025年の米国臨床腫瘍学会泌尿器癌シンポジウムで発表されています。
今回、食事と一緒にmevrometostat 875mgの1日2回投与とエンザルタミド投与が行われた2つのパート(2Aと2C)の結果発表がありました。
確定奏効率は、2Aが25.0%、2Cが16.7%という結果となっています。2Aと2Cともに、各1人部分奏効が確認されています。
なお投薬中に、多く確認された副作用は、以下の通りです。
今回、転移のある去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対し、アンドロゲン除去療法にプラスして、食事と一緒にEZH2(enhancer of zeste homolog 2)阻害薬mevrometostatとエンザルタミドを投与することが有効な可能性が判明しましたが、今後も更なる研究が期待されている状況です。
※参照元:がんナビ|mCRPCに対してADTに加えて食事とともにEZH2阻害薬mevrometostatとエンザルタミドの投与は有効な可能性【ASCO GU 2026】(https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/news/202602/592273.html)
腫瘍微小環境(がんの発生部位に形成される組織環境)でのみ活性化されるようにつくられた前立腺特異的膜抗原(PSMA)とCD3に対する二重特異性抗体のVIR-550(AMX-500)が、転移のある去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に有効である可能性が判明しました。用量漸増フェーズ1試験にて忍容性が確認され、一定用量以上を投与された患者において、有効な可能性が示されました。米国臨床腫瘍学会泌尿器癌シンポジウムで発表された内容です。
用量漸増試験では、1ライン以上のタキサン系抗がん薬と1ライン以上のアンドロゲン受容体経路阻害薬(ARPI)の投与歴のある転移性去勢抵抗性前立腺がん患者を対象に実施されました。
58人において、重篤な治療関連副作用が見られたのは29.3%、グレード3以上の治療関連副作用が見られたのは12.1%、副作用で投薬中止となったのは3.4%の方です。
3週サイクルで3000μg/kg以上を投与された22人で確認された治療関連副作用は、サイトカイン放出症候群(CRS)で13人(59%)に見られました。データカットオフ(解析対象の情報範囲を時間的に区切り、その時点における薬剤の有効性・安全性を解析する目的で行われるもの)は、2026年1月9日。
投与量が多い患者においてPSA値の急速で大きな減少が確認されました。
3週サイクルで3000μg/kg以上を投与された患者でPSA評価が可能な17人で、PSA値が減少したのは88%(15人)、50%以上減少が見られたのは82%(14人)、90%以上減少したのは53%(9人)、99%以上減少したのは5人(29%)という結果でした。
RECIST v1.1(治療効果判定のためのガイドライン)により評価可能と判定された11人において、以下のことが明らかになっています。
今回、腫瘍の近くでのみ働く次世代の抗体薬が高い効果を示すことが判明しましたが、今後も更なる研究が期待されている状況です。
※参照元:がんナビ|2026/02/27 腫瘍微小環境でのみ活性化されるPSMAとCD3に対する二重特異性抗体VIR-5500がmCRPCに有用な可能性【ASCO GU 2026】(https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/news/202602/592283.html)
がんや炎症によって前立腺組織が破壊されると、PSA(前立腺特異抗原)が血中に漏れ出し始めます。そのため、血液検査でPSA値を測定すれば、前立腺がんかどうかチェックすることが可能となっています。
ただ、PSAはがん特異的腫瘍マーカーではないため、PSA検査のみで前立腺がんを診断するのは難しく、グレーゾーン以上になったらあらためて直腸診やMRI検査を実施し、さらに前立腺針生検などの確定診断を行う必要がありました。
また、PSA値は前立腺がんに罹患した場合だけでなく、前立腺肥大症や前立腺炎といった良性疾患にかかった時も上昇することが確認されています。
さらに近年、養毛剤や前立腺肥大症の治療薬として5α還元酵素阻害剤が発売されていますが、これらを使用するとPSA値が表面上、約半分程度に低下することが判明しています。従来のPSA検査にはこうした問題点があり、前立腺がんの早期発見には限界があると言われてきました。
そこで新たな診断法として期待されているのが血漿中アミノ酸濃度の変化を利用した前立腺がんの診断です。血漿中のアミノ酸濃度は生理学的な代謝状態を反映することが明らかとなっており、肝機能障害やさまざまながんを発症すると血漿中のアミノ酸濃度が変化すると言われています。
そこで前立腺がん患者と、人間ドック受診者の血漿中アミノ酸濃度を測定し、両者を比較。前立腺がん患者を判別する判別式「アミノインデックス」を導き出し、前立腺がんの診断に活用できるかどうかの評価を行いました。
すると、前立腺がん患者の血漿中アミノ酸濃度では、アラニンとヒスチジン、アスパラギン、プロリンといった計4種のアミノ酸が増加する一方、トリプトファンが減少する傾向が確認されました。
アラニンとプロリンについては肺がん患者でも増加することが確認されていますが、トリプトファンについては肺がんや乳がん患者では変化が見られず、アミノ酸の変動はがんの種類ごとに共通性と多様性があることがわかりました。
なお、アミノインデックスはPSA値とは独立した変動であることから、前立腺肥大症との鑑別や、養毛剤などの影響による診断難などに対して有用な診断法となることが期待されています。[注1]
前立腺がんを含む様々ながんの治療で、放射線をがん細胞にあててDNAを傷付け、がん細胞を死滅させる放射線治療が有用です。
放射線の種類や照射方法は複数存在しますが、中でも先進的な放射線治療のひとつとして知られるのがX線を強度変調放射線治療(IMRT)と呼ばれる方法で照射する「トモセラピー」です。
従来の放射線治療に比べて照射野の幅を3段階に設定できるのが特徴で、最大160cmの広範囲治療が可能とされています。
ただ、そのぶん全身照射などの広範囲治療や、一路に大線量を投与する治療の場合、照射時間が著しく増加するのが難点と言われてきました。
そこで愛知県がんセンター中央病院放射線治療部をはじめとする研究チームは、トモセラピーのパラメータ設定による照射時間の短縮検討を開始。
前立腺がんの患者4名に対し、さまざまなパラメータ設定による照射を行ったところ、FW(回転中心における頭尾方向の照射野の長さ)の増加と、MF(左右方向の開口部を制限するMLCの動きの複雑度)の減少におって照射時間を短縮させられることが確認されました。
特にFWの増加は照射時間の短縮に有用であることが明らかになり、前立腺がんの放射線治療の負担軽減が期待されています。[注2]
前立腺がんでは、骨転移を併発することが多く、しかも転移してからの生存期間が長いと言われているのが特徴です。
骨転移が進行すると、疼痛や骨折といった骨合併症が出現するため、患者の生活の質(QOL)が長期にわたって低下するケースが多く存在します。
そこで藤田保健衛生大学坂文種報徳会病院にて、多発性骨転移を有する前立腺がん患者さんに対し、ドセタキセルおよびビスフォスフォネート製剤の一種である「ゾレドロネート」の投与を行い、患者さんの痛みとQOLの評価を実施。
すると、投与前に比べて身体機能や身体の痛み、全体的な健康感、活力、社会生活機能などのレベルに改善傾向が見られたことが報告されています。
身体的な痛みは長引けば長引くほど患者さんのQOLを著しく低下させる傾向にあります。
化学療法やゾレドロネートの投与によって疼痛が緩和されたことは、骨転移を有する前立腺がん患者さんはもちろん、今後転移する可能性のある前立腺患者さんにとっても有意義な治療法となり得るでしょう。[注3]
MRIと超音波を用いた革新的な前立腺がん治療法「タルサ治療」が、従来の放射線療法や手術に代わる低侵襲かつ効果的な選択肢として注目を集めています。
UCLAのSteven Raman教授らの研究では、タルサ治療を受けた患者の76%が1年後の追跡生検でがん細胞の消失を確認。この治療法は、尿道から挿入したカテーテル状の器具を用いて、MRIガイド下でがん病変部を正確に特定し、超音波で加熱することでがん細胞を死滅させます。
MRIによる温度監視により、周囲の神経への影響を最小限に抑えつつ、がん組織のみを効果的に治療できるのが特徴です。
臨床試験では、115人の前立腺がん患者がタルサ治療を受け、1年後の前立腺サイズは92%縮小、5年後のPSA値は基準値レベルまで低下。さらに、従来の治療法と比較して副作用が少なく、5年後には92%の患者が膀胱機能を維持し、87%が良好な勃起機能を保持。タルサ治療は、外来施設で2~3時間で実施可能であり、患者のQOL向上に大きく貢献する可能性を秘めています。
参照元:carenet「超音波とMRIによる新治療法が前立腺がん治療に革命を起こす?」
大阪大学の研究チームは、標準治療抵抗性の前立腺がんに対する新たなアルファ線治療薬「[At-211]PSMA-5」を用いた医師主導治験を開始しました。
この治療薬は、前立腺がん細胞に特異的に発現するPSMAを標的とし、アルファ線放出核種アスタチン(At-211)を結合させることで、がん細胞をピンポイントで攻撃します。
前立腺がんは国内男性で最も罹患数の多いがんであり、標準治療抵抗性の場合は予後不良となるため、新たな治療法の開発が急務でした。研究チームは、大阪大学核物理研究センターおよび理化学研究所からのAt-211の供給を受け、大阪大学放射線科学基盤機構と連携して[At-211]PSMA-5の標識製造に成功。動物モデルでの有効性を確認後、AMEDの支援を受け、治験に必要な非臨床試験を完了。大阪大学医学部附属病院核医学診療科内の施設で治験薬GMP基準を満たす製造体制を確立し、治験審査委員会承認、PMDAへの治験計画届提出を経て、今回の治験開始に至りました。
この治療薬は、従来のベータ線治療よりも強力なアルファ線を放出するため、より高い治療効果が期待されます。また、アルファ線の飛距離が短いため、周囲の正常組織への影響も抑えられます。アスタチンは国内製造が可能であり、治療薬も阪大内の施設で製造できるため、実用化後の安定供給が見込まれます。
参照元:大阪大学大学院医学系研究科・医学部「難治性前立腺がんに対する医師主導治験を開始 ~アスタチン標識薬を用いた革新的アルファ線治療~」
治療抵抗性の前立腺がんにおいて、OCT4遺伝子が増加し、タンパク質と集合体を形成することでがんが悪性化する遺伝子活性を制御するメカニズムが、東京都健康長寿医療センター研究所の研究で明らかになりました。
この集合体形成を抑制する薬剤リバビリンは、OCT4高発現がんへの抗がん剤効果を高める可能性を示し、新たな治療法開発への期待が高まっています。
前立腺がんは高齢男性の死亡原因として増加しており、ホルモン療法への抵抗性が課題です。研究チームは、治療抵抗性組織と初期がん組織を比較解析し、OCT4がアンドロゲン受容体(AR)やNRF1と複合体を形成し、がん悪性化や抗がん剤耐性を誘導することを発見。
特に、OCT4とNRF1の複合体はDNA修復を阻害し、抗がん剤耐性に寄与します。また、OCT4増加が転写因子複合体の相分離を促進し、がん遺伝子活性を高めることも判明。リバビリンはこの相分離を抑制し、抗がん剤効果を増強します。これらの発見は、転写因子複合体の形成と相分離ががん悪性化と治療抵抗性に関与する新たな治療標的を示唆し、リバビリンを用いた治療戦略が治療抵抗性前立腺がんの克服に貢献する可能性を示しています。
参照元:Gem Med「治療抵抗性の前立腺がんに対する「新たな治療法」の確立に向けた研究進む」
ノバルティス ファーマは、前立腺特異的膜抗原(PSMA)陽性の転移を有する去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)の日本人患者を対象に、未承認薬である177Lu-PSMA-617を投与する拡大治験の治験計画書を医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出しました。
この治験は、人道的見地から実施され、承認獲得のための治験の参加基準に満たない患者にも治療機会を提供することを目的としています。対象となるのは、1種類以上の新規抗アンドロゲン経路標的薬と2種類のタキサン系抗癌薬による治療歴がある、または1種類のタキサン系抗癌薬による治療歴があり2種類目のタキサン系抗癌薬治療が適応とならないmCRPC患者です。
この拡大治験では、177Lu-PSMA-617の投与に加え、68Ga-PSMA-11を用いた画像診断へのアクセスも提供されます。
実施施設は、金沢大学附属病院、北海道大学病院、福島県立医科大学附属病院、京都大学医学部附属病院、横浜市立大学附属病院、神戸市立医療センター中央市民病院、国立がん研究センター東病院、千葉県がんセンターなどに限定されます。この治験は、PSMAを標的とした放射線リガンド療法を求めて海外渡航する患者もいる現状を踏まえ、国内での治療を望む患者への新たな選択肢となることが期待されます。
参照元:がんナビ「日本人のPSMA陽性mCRPC患者を対象に177Lu-PSMA-617を投与する拡大治験が開始」
テリックスは、バイエルとの提携で、前立腺がんの第3相ARASTEP試験に画像診断の薬であるIlluccix®を提供します。この試験は、ホルモン感受性前立腺がん患者を対象に、ダロルタミドとアンドロゲン遮断療法(ADT)の併用療法とADT単独療法を比較するグローバル試験です。
対象は、従来の画像診断で転移が見られず、PSMA-PET/CT検査で陽性だった高リスクの生化学的再発患者です。日本を含む世界中の施設で最大750人を登録予定です。PSMA-PET/CTは、従来のCTやMRIより高感度で、隠れたがん病巣の検出に期待されています。テリックスは、この画像診断が診断だけでなく、疾患管理ツールになる可能性を示唆しています。
参照元:テリックスファーマ公式HP「テリックスはバイエルの前立腺がん治療薬グローバル第3相試験に日本を含む地域にIlluccix® を供給」
住友ファーマ株式会社のカナダ子会社Sumitomo Pharma Canada社は、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)受容体阻害剤「ORGOVYX®(レルゴリクス)」が、進行性前立腺がんを適応症としてカナダ保健省に承認されたことを発表しました。
この承認は、少なくとも1年間のアンドロゲン除去療法(ADT)を受けた1,000人以上の患者を対象とした国際共同フェーズ3試験(HERO試験)の結果に基づいています。HERO試験では、本剤はリュープロレリン酢酸塩注射剤と比較して、48週間にわたりテストステロンの去勢レベルへの抑制を持続的に示し、主要評価項目を達成しました。
本剤は、カナダで初めてかつ唯一の経口GnRH受容体阻害剤であり、1日1回の経口投与が可能です。投与群で多く見られた有害事象は、ホットフラッシュ、筋・骨格系の痛み、倦怠感、便秘、軽度から中等度の下痢でした。モントリオール大学のフレッド・サード医師は、本剤が迅速かつ持続的なテストステロン抑制を示し、カナダの進行性前立腺がん患者に安全で効果的な選択肢を提供すると述べています。Sumitomo Pharma Canada社は、2023年度第4四半期にカナダで本剤を発売する予定であり、患者への新たな治療選択肢の提供を目指しています。
参照元:住友ファーマ公式HP「進行性前立腺がん治療剤「ORGOVYX」(レルゴリクス)のカナダにおける承認取得について」
アステラス製薬とファイザーが共同開発した経口アンドロゲン受容体阻害剤「XTANDI®(エンザルタミド)」が、米国食品医薬品局(FDA)から、生化学的再発(BCR)リスクの高い非転移性去勢感受性前立腺がん(nmCSPC)の適応追加承認を取得しました。
この承認は、FDAの迅速開発審査プログラムに基づき、XTANDI®が同適応症で初の承認薬となったことを意味します。
BCRリスクの高いnmCSPC患者は、XTANDI®単独またはアンドロゲン除去療法(ADT)との併用で治療可能です。この承認は、根治治療後にBCRを経験する患者の20~40%が10年以内に転移性進行し、約3割が再発で死亡するという深刻な状況に対処するものです。第III相EMBARK試験の結果に基づき、XTANDI®がBCRリスクの高い患者に新たな治療選択肢を提供することが示されました。
参照元:アステラス製薬公式HP「前立腺がん治療剤XTANDI® 米国で適応追加に関する承認を取得」
米国で開催された全米臨床腫瘍学会泌尿生殖器シンポジウムにて、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)に対するターゼナ+イクスタンジ併用療法の有効性・安全性を検証した第3相TALAPRO-2試験コホート1の最終データが発表されました。
本試験では、相同組み換え関連遺伝子異常の有無に関わらず、併用群がイクスタンジ単剤群と比較して全生存期間(OS)を有意に延長し、画像評価による無増悪生存期間(rPFS)も改善しました。特にHRR遺伝子異常を有する患者群ではOSの改善効果が顕著でしたが、BRCA変異がない患者やHRR遺伝子異常がない患者群でもOSが改善する傾向が見られました。
併用群における主な有害事象は貧血と好中球減少症でしたが、概ね管理可能でした。これらの結果から、ターゼナ+イクスタンジ併用療法は、mCRPCの初回治療において新たな治療選択肢となる可能性が示されました。
参照元:がん情報サイトオンコロ「転移性去勢抵抗性前立腺がんにおける初回治療としてのターゼナ+イクスタンジ併用療法の最終解析」
東京医科大学や東京慈恵会医科大学、国立がん研究センターなどが共同研究するグループによって、前立腺癌から骨へと癌が転移する機構に関して新たな進展機構(破骨細胞の分化誘導)が明らかにされました。
本研究は2023年3月に発表されており、研究内容によれば前立腺癌細胞に由来するエクソソームが破骨細胞の分化へ関与することが解明されており、エクソソームによって骨転移が誘導・進展されることが報告されています。また、この理由としてエクソソームの細胞膜上に存在する分子「CDCP1」が分化誘導因子になっていることも同定されました。
この研究結果によって、前立腺癌から骨転移へと進行する機構の一部が解明されただけでなく、今後はこのエクソソームやCDCP1を標的とした治療薬を開発することで、将来的には前立腺癌から骨転移を予防する再発予防薬など新しい治療薬の実現が期待されています。
参照元:国立研究開発法人国立がん研究センター|前立腺癌における新たな骨転移進展機構を解明
2024年3月、神戸大学大学院保健学研究科の博士課程に在籍する平田悠人氏や、同研究科の重村克巳教授、大谷亨教授らによって構成される研究チームが、北里大学や早稲田大学の研究グループなどと連携して、放線菌に由来する新規物質「nanaomycin K」を発見したと発表しました。なお、同研究成果は2023年5月10日付けで「Cancers (Basel)」において報告されています。
同物質は放線菌によって生産される物質であり、前立腺癌の増殖における上皮間葉転換 (EMT:Epithelial-mesenchymal transition)に作用してこの機序を抑制し、結果として前立腺癌の増殖や転移についても抑制効果を発揮するということが解明されました。
また、さらにnanaomycin Kは複数種類の前立腺癌に対して、全てで癌細胞の増殖を抑制しており、今後は同物質を活用した前立腺癌の治療薬の開発などにも貢献することが期待されています。
参照元:神戸大学|放線菌由来新規物質nanaomycin Kが前立腺がんの増殖と転移を抑制することを発見
金沢大学がん進展制御研究所の河野晋特任助教や髙橋智聡教授らによって構成される研究グループが、進行前立腺癌の特性へアプローチすることで、新しい前立腺癌治療薬の開発に成功したと発表しました。
同研究では、まず進行前立腺癌の10~30%において発生するRB1遺伝子欠失と、それに付随して発生するSUCLA2遺伝子欠失へ着目し、これをターゲットにした治療薬の開発が進められました。そして約2000の化合物をサンプルとして比較検証した結果、チモキノンという化合物がSUCLA2遺伝子欠失の進行前立腺癌に対して治療効果を発揮すると発見されたそうです。
通常、遺伝子欠失は正常な細胞の分化などを妨げて癌の増殖や転移をサポートするものと考えられていますが、今回のケースでは逆にSUCLA2遺伝子欠失がターゲットになって癌細胞への治療効果を高められるようになった事例です。これにより今後はさらに新薬開発の幅が広がることも期待できるでしょう。
2019年9月1日~2022年3月31日の期間中、大阪大学医学部附属病院において、前立腺癌の再発や転移に対して、特異的抗体を使ったPET診断によって高精度に分析する技術の臨床研究が行われました。また、これによって従来のCT検査や骨シンチといったスクリーニングでは同定できなかった再発癌・転移癌についても高精度で検出することに成功しており、今後の前立腺癌の検査や癌スクリーニングの発展に寄与することが示唆されています。また、試験に使用されたPET装置は阪大病院と住友重機械工業が共同開発した「F-18 PSMA-1007標識合成装置」であり、同機器についての医療機器承認も叶うことで、一層に臨床研究の幅が広がり、国産医療機器が世界のスクリーニング品質を向上させることも期待されています。
なお、試験対象の患者は成人男性かつ前立腺癌と診断を受けており、全身の転移検索を行おうとしている患者、もしくは前立腺癌の治療後に再発・転移のリスクが懸念される患者とされました。
参照元:大阪大学大学院医学系研究科・医学部|前立腺がんの再発・転移を高精度で検出する最先端画像診断~阪大病院で臨床研究を開始~
前立腺がんに対する比較的新しい臨床試験・治療法について解説していきます。転移性去勢抵抗性前立腺がんに対する治験情報や「ダヴィンチ」を用いたロボット手術などをご紹介します。
転移性去勢抵抗性前立腺がんに対する治験情報です。アビラテロンの投与歴がない、もしくはアビラテロンに不耐容であった、または疾患進行が認められた患者が対象です。ペムブロリズマブ+エンザルタミドとプラセボ+エンザルタミドを比べて、有効性と安全性で評価する臨床試験です。
治験の主な情報は以下です。
全生存期間や無増悪生存期、PSA奏効率、奏効率、奏効期間、有害事象といった項目を確認して評価を行います。
前立腺がんの手術は、前立腺と精のうを摘出し、膀胱と尿道をつなぎ合わせる手術が必要で、術式を「前立腺全摘除術」と呼んでいます。がんの広がり具合によっては、前立腺周囲にあるリンパ節も切除します。手術の方法には、開腹手術・腹腔鏡手術・ロボット手術があります。
手術の対象となる方は、期待余命が10年以上あるとみられる患者で治療成績は高いとされています。超高齢化社会を迎え、70代後半で手術される方も珍しくなくなってきました。転移がなければ、悪性度の高いがんほど手術する意義も高いと考えられいるのです。
前立腺がんに対しては、2012年4月にほかのがんに先駆けて、手術支援ロボット「ダヴィンチ」を用いたロボット手術が保険適用になり、急速に全国へ広がりました。現在では、前立腺全摘除術のほとんどをロボット手術で行っている医療機関もあるほど普及しています。
ロボット手術のメリットは、およそ15倍に拡大された3次元画像を確認しながら、微細な操作ができ、出血量が少ない点です。そのうえ、腹腔鏡手術の鉗子には関節がないことから操作がしにくかったと言われていますが、ダヴィンチの鉗子には複数の関節があるため、膀胱と尿道の吻合や性機能に関する神経の温存も高精度で行えるようになりました。出血量が少ないため、手術後に貧血になるケースがほとんどなく、回復が早いのもメリットです。
2024年5月にアメリカのテキサス州で開催された米国泌尿器科学会(AUA 2024)において、未治療の高リスク局所進行前立腺がん(HRLPC)の術後治療法として、アンドロゲン受容体阻害薬(AR阻害薬)の「アパルタミド」と「アンドロゲン除去療法(ADT)」の併用が、術後再発リスクを有意に抑制するという研究結果が報告されました。
同研究はアパルタミド+アンドロゲン除去療法の有効性や安全性について検証する、第2相のApa-RP試験の結果として発表され、24ヶ月無生化学的再発率に関して100%という主要評価項目が達成されています。
※参照元:オンコロ|未治療の高リスク局所進行前立腺がんに対する術後療法としてのアパルタミド+アンドロゲン除去療法、再発抑制効果を示す
2024年8月22日付けの医学誌「JAMA Oncology」において、前立腺摘除術を行った後の高リスク生物化学的再発前立腺がんに対する、PARP阻害剤リムパーザ(一般名:オラパリブ)単剤療法の抗腫瘍効果の安全性や優位性が発表されました。
同研究結果はJohns Hopkins University School of Medicineに所属するCatherine H. Marshall氏らのグループによって報告されており、51人の患者を対象として1日2回のリムパーザ300mgの単剤療法を実施したところ、PSA値で50%以上の低下を達成した患者が13人(26%)、さらにHRR遺伝子変異陽性症例(27人)においては13人(48%)、BRCA2遺伝子変異陽性症例に関しては11人(100%)という結果が得られています。
これにより、特にBRCA2遺伝子変異陽性患者に対する有用性が顕著であると報告されました。
※参照元:オンコロ|前立腺摘除術後の高リスク生物化学的再発の前立腺がんに対するリムパーザ、良好な抗腫瘍効果を示す
2024年4月23日、ファイザー株式会社は新しい抗悪性腫瘍剤として「PARP阻害薬ターゼナ(一般名:タラゾパリブトシル酸塩)」の発売開始を発表しました。
同剤はイクスタンジ(一般名:エンザルタミド)と併用した「BRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がん」の治療薬として、日本国内において2024年1月18日に承認を取得しており、同年4月17日に薬価基準に収蔵されていたという経緯があります。
なお、同剤の使用はコンパニオン診断薬でBRCA遺伝子変異を確認することが前提となります。
※参照元:オンコロ|【販売開始】新たなPARP阻害薬ターゼナが乳がんと前立腺がんの適応で発売
アメリカのFred Hutchinson Cancer CenterのLisa F. Newcomb氏らによる研究チームは、「JAMA誌(2024年6月25日号)」において、低リスク前立腺癌の患者に対する監視療法と、その10年後の病勢進行率に関してまとめたデータ及び検証結果を発表しました。
そもそも未治療の低リスク前立腺癌の患者に関しては、プロトコルにもとづいた監視療法(active surveillance)が選択され、およそ49%の患者が前立腺癌と診断されてから10年が経過した時点まで治療を開始しておらず、病勢の進行がないといったことがポイントです。
同研究は「Canary PASS研究」として、アメリカとカナダにある10の施設において観察が行われ、対象者は2008年から2022年の間に低リスク前立腺癌として診断された治療歴のない男性患者2,155例でした。そして全患者に対して標準化されたプロトコルにもとづいた前立腺特異抗原(PSA)の測定および前立腺生検による監視療法が実施されています。
結果として、2,155例中374例が悪性度の高い癌として早期に分類され、また404例はその後の生検によって悪性度が高くなったと再分類されました。また10年後の生検では悪性度再分類は43%となっており、49%の患者で治療が行われていました。一方、前立腺癌特異的死亡率は0.1%で転移発生率は1.4%となっており、監視療法の有効性が指摘されています。
参照元:ケアネット|低リスク前立腺がんの監視療法、10年後の病勢進行率は?/JAMA
手術支援ロボット「ダビンチ」は、内視鏡手術のような低侵襲性と、開腹手術のような治療効果を同時に追求できる新しい外科治療システムとして開発され、日本国内でも様々な医療機関がダビンチなどの手術支援ロボットを活用したロボット支援下手術を実施しており、その対象症例には前立腺癌の外科治療も含まれています。
そのような背景がある中、2023年に韓国高麗大学のジュン博士らによる研究グループは、そもそも前立腺癌の外科治療に対するダビンチ手術の有用性を、従来の根治的前立腺全摘術の治療データと相互参照した結果を発表しました。なお、対象症例は2009年から2017年までの間に前立腺癌として診断・治療された15,501例となっており、その中の12,268例においてダビンチ手術が実施され、3,223例において従来の根治的前立腺全摘術が実施されました。
結論からいえば、ダビンチ手術では一部の高齢者症例で合併症リスクが高く、生存率も従来手術よりやや劣る傾向が見られました。期待されたほどの有用性が得られませんでした。
この理由について、研究グループはそもそもハイリスクな高齢者に対する治療としてダビンチ手術の増加を挙げており、高齢の前立腺癌患者に対してはいずれの治療法を選択するにせよ、一層に緻密で繊細な手術やケアが必要と指摘されています。
参照元:東京都医学総合研究所|韓国における前立腺癌に対するダビンチ手術の成績
2022年9月28日付けの「Artificial Intelligence in Oncologyの特集号」において、福岡県福岡市にあるメドメイン株式会社は、人工知能(AI)技術のディープラーニングの転移学習を活用することで、前立腺の経尿道的前立腺切除術検体から作成した病理組織デジタル標本を使って、前立腺癌の高精度な検出ができる人工知能の開発に成功したという研究結果を掲載しました。
これは2021年から継続的に研究開発が行われている、様々な臓器の病理組織デジタル標本から癌組織形態を検出するための病理AI技術の一環として実現した成果であり、技術ベースとしては2021年7月に国際発表された「Partial fine-tuning法」が利用されています。
前立腺癌の病理AI検出に関してはすでに技術開発が行われていましたが、経尿道的前立腺切除術検体を使用したスクリーニングでは精度の不十分さが指摘されており、今回の研究ではようやく十分な検出精度を備えた病理AIが新たに開発されたということです。
経尿道的前立腺切除術は前立腺癌の治療として普及しており、術後の回復が早いことから、これを標本としたスクリーニング精度の向上は患者にとって有益と考えられます。
参照元:PR TIMES|監視療法および根治的治療の対象となる前立腺癌を検出可能にする人工知能の開発に成功 ~BMC Cancerに論文が掲載~
2023年5月、デジタル病理支援ソリューション「PidPort」を提供しているメドメイン株式会社は、人工知能(AI)技術として「深層学習(ディープラーニング)」を活用することにより、根治的治療の必要性が考えられる前立腺癌をデジタル標本から高精度に検出・スクリーニングできる医療用AIの開発に成功したと発表しました。
これは前立腺癌の患者に対して経直腸的超音波ガイド下針生検を実施し、病理組織検査を行った際のデータを活用して、前立腺針生検病理組織デジタル標本をデータベースとして活用したAI技術の応用であり、数多くのデジタル標本をAIに深層学習させることで前立腺癌の特徴を高精度に検出することが可能となっています。また、デジタル標本を用いたAIの検出精度は、複数の病理医によるアノテーションデータによって正確性が追求されており、結果的に監視療法や根治的治療の必要性が認められる前立腺癌を、バーチャルスライドレベルでスクリーニングできるようになったことは重要です。
なお、今後はさらに深層学習型人工知能モデルについて、複数の施設で大規模な検証試験が予定されています。
参照元:PR TIMES|監視療法および根治的治療の対象となる前立腺癌を検出可能にする人工知能の開発に成功 ~BMC Cancerに論文が掲載~
アメリカのDean and Betty Gallo前立腺癌研究センターの研究によって、たとえ前立腺癌と診断された癌患者であっても、診断時点でPSA値が「4.0ng/mL以下」という低い数値であった場合、その半分以上において遠隔転移のリスクや高悪性度が低くなるということが判明しました。
本研究とデータが発表されるまで、前立腺癌と診断された患者はその時点のPSA値の高低に関係なく、4.0~20.0ng/mLの範囲であれば積極的な局所治療を等しく受けており、本研究によってより患者ごとの適切な治療計画の立案や実践が進められると示唆されています。
そもそも現代は前立腺癌の早期発見・早期治療が可能となっており、患者の5年生存率もほぼ100%という実績を誇っています。反面、早期発見・早期治療を推奨するあまり、本来であれば治療が不要と思われる患者に対しても、積極的な治療を行うことで過剰診断・過剰治療のリスクが懸念されていました。
そこで本研究は改めて診断時点のPSA値を調査し、PSA値が低かった患者の追跡調査の結果、その多くが低リスクであることが確認されました。
参照元:日経メディカル|PSA低値の前立腺癌患者の半分以上が低リスク
限局性前立腺癌の治療法として、根治的前立腺全摘除術の他に、放射線照射による放射線治療も選択されます。本研究はアメリカのVanderbilt大学の研究チームが、限局性前立腺癌の患者に対してそれぞれ全摘除術と放射線治療を実施した後、15年後の両グループにおける排泄機能や性機能の状態を比較検証したものであり、「NEJM誌(2013年1月31日)」にその結果が掲載されました。
研究の前提として、限局性前立腺癌はそもそも予後が良好な癌であり、どの治療法を選択しても死亡リスクを抑制できることがポイントです。一方、治療法によって排泄機能や性機能に差が生じる場合、それらは患者のQOLに影響する要素として治療選択の参考になるでしょう。
1994年から1995年に前立腺癌と診断された男性患者1,655人を対象に追跡調査した結果、治療から2年後、5年後の時点において、全摘グループ1,164人では排尿障害と勃起障害のリスクが上昇し、放射線グループ491人では排便障害のリスクが上昇していました。しかし15年後になると、両者の間にあった有意差は解消されており、長期的なQOLを考えればどちらも選択肢になり得ることがまとめられました。
参照元:日経メディカル|限局性前立腺癌の全摘と放射線治療で15年後の排泄機能と性機能に有意差なし
京都大学医学部附属病院泌尿器科の畑野翔太郎をチームリーダーとする研究チームが、2024年11月30日刊行の「泌尿器科紀要 70 (11), 367-372, 2024-11-30(泌尿器科学術研究会)」において、ハイリスク前立腺癌の患者に対してロボット支援前立腺全摘除術を用いた結果や、さらにその際にリンパ郭清術を実施すべきかどうかといった症例比較についての研究結果を掲載しました。
臨床比較の対象となった症例は、同病院において前立腺癌に対するロボット支援根治的前立腺摘除術を受けた543例であり、まずリンパ節転移の有無に関係なく「非郭清群・限定郭清群・拡大郭清群」の3群に分類されました。その中でリンパ節転移は8例が確認され、さらにその内の7例が「拡大郭清群」に集まっていたという事実が重要です。加えて、特筆すべき事項として8例全ての症例に関して生検のグリーソンスコアが4+4以上となっており、その内の7例において初期の前立腺特異抗原(PSA)濃度は10ng/ml以上となっていました。
特に限局性前立腺癌のハイリスク患者集団においては、限定郭清群におけるリンパ節転移が希少だったものの、拡大郭清群ではリンパ節転移の陽性症例における予後が悪かったことは明らかであり、リンパ節転移の可能性が高いと見込まれる患者においては拡大郭清を行うべきとまとめられています。
参照元:CiNii Research「ハイリスク前立腺癌に対するロボット支援前立腺全摘除術時のリンパ郭清術に関する臨床的検討」
滋賀県立総合病院泌尿器科の八田原広大氏や橋本勇輝氏らによる研究チームは、80歳以上の高齢前立腺癌患者に関して、各患者の予後を調査して前立腺癌による死亡やリスク因子についての分析を行いました。なお、同研究の結果は2024年10月31日刊行の「泌尿器科紀要 70 (10), 309-315, 2024-10-31(泌尿器科紀要刊行会)」において掲載されています。
研究背景として、高齢化が進む日本社会では高齢前立腺癌患者も増加しており治療を必要としている一方、高齢者では合併症のリスクも高く、それぞれの状態やリスクが治療方針を決定する上で困難となる原因にもなっています。
そこで研究チームは、同病院において80歳以上かつ前立腺癌と診断された患者90名の症例を対象として54ヶ月間(中央値)の観察を実施し、それぞれの結果を比較検討しました。
結果として、14.4%の患者が前立腺癌で亡くなり、全体の5年癌特異的生存率は86.7%でした。また局所性前立腺癌患者に関してもハイリスク患者の8.9%が前立腺癌により死亡しています。
上記のデータから、高齢の前立腺癌患者に対しては前立腺癌による死亡のリスクがあることを本人や家族へ説明した上で、それぞれの患者の余命なども考慮して根治的治療を検討することも選択肢の1つであるとまとめられています。
参照元:CiNii Research「80歳以上の前立腺癌患者の予後についての検討」
東海大学医学部外科学系泌尿器科学の医療チームによって、腎細胞癌から前立腺へ転移した症例に関する報告が行われ、その内容は論文として泌尿器科紀要刊行会が刊行した「泌尿器科紀要 57 (12), 705-708, 2011-12」においても掲載されています。
症例の対象となっている患者は当時71歳の男性であり、2005年4月の時点で右の腎細胞癌に対する腎摘出術が根治的治療として実施されていました。なお、病理組織的学所見によって、腎臓癌の中でも一般的な淡明細胞癌であると認められています。またその3年後、孤立性脳転移が生じたため、腫瘍を摘出するために開頭手術が施行されました。
そのような既往歴を前提として、患者は2008年10月に東海大学医学部付属病院を受診、その際の主訴は「尿閉」であり、超音波検査や直腸指診によって前立腺肥大症と診断されています。
初期の治療としては尿道カテーテルが選択されましたが、血尿でカテーテルの閉塞が頻発したため、経尿道的前立腺切除術を行い、その後の病理組織的学所見によって腎細胞癌を原発とする前立腺転移であると診断されました。
腎細胞癌から前立腺への転移はレアケースとなっており、本研究における症例報告は全国的にも腎細胞癌の前立腺転移を考える上で有用なデータになると指摘されています。
参照元:CiNii Research「前立腺転移を来たした腎細胞癌の1例」
市立福知山市民病院外科の吉川徹二氏や庄田勝俊氏、また京都府立医科大学大学院医学研究科細胞分子機能病理学の田中秀央氏などによる研究グループによって、大腸癌から前立腺へ転移した転移癌として日本国内で2例目となる症例報告がなされました。なお同報告は2011年に一般社団法人日本消化器外科学会から刊行された医学雑誌「日本消化器外科学会雑誌 44 (4), 482-489, 2011」においても掲載されています。
症例の経緯として、まず2006年11月に51歳の男性が前立腺印環細胞癌として診断され、放射線療法とホルモン療法による治療が行われました。その後、2007年6月に腸閉塞の症状が出現し、下部消化管内視鏡検査が実施された結果、消化管内における印環細胞癌が発見されました。そして外科的検査の結果により広範囲の腹膜播種が認められ、回盲部切除術が実施されています。
その上で、前立腺と腸から採取した腫瘍細胞を病理学的に確認したところ、改めて盲腸印環細胞癌からの前立腺転移であったという診断が下されました。なお、その後の治療は「FOLFOX+ベバシズマブ」と「FOLFIRI」を用いた術後化学療法が行われ、27ヶ月後に原発性疾患で亡くなっています。
このように大腸癌から前立腺癌への転移は症例報告が少なく、文献的考察も推奨されています。
参照元:CiNii Research「前立腺転移を伴い,2年間の長期生存が得られた大腸印環細胞癌の1例」
「St Vincent's Hospital」に所属しているLouise Emmett氏らによる研究チームが、68Ga-PSMA PET/CT陽性転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)の初回治療として、「放射性リガンド療法(177Lu-PSMA-617)」と「アンドロゲン受容体拮抗薬イクスタンジ(一般名:エンザルタミド)」の併用療法が安全性・有効性ともに良好な結果を示した第2相ENZA-p試験のデータを発表しました。また、本発表は「The Lancet Oncology」において2025年3月に記事として掲載されています。
本研究ではまずmCRPC患者162人を対象として、その初回治療にイクスタンジを単独で投与するグループと、併用療法を実施するグループなどに分類し、それぞれの完全奏効率や全生存期間を比較しました。そして研究の結果、イクスタンジ単剤療法よりも併用療法の方が完全奏効率を優位に改善し、さらに全生存期間においても良好な数値を示したことが明らかになっています。
参照元:オンコロ|転移性去勢抵抗性前立腺がんに対する[177Lu]Lu-PSMA-617+イクスタンジ、生存期間および生活関連QOLを有意に改善
2025年2月13日から同月15日にかけてアメリカのサンフランシスコで開催された「全米臨床腫瘍学会泌尿生殖器がんシンポジウム(ASCO-GU)」において、転移性去勢抵抗性前立腺癌の患者に対する「PARP阻害剤ターゼナ(一般名:タラゾパリブ)」と「アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害剤イクスタンジ(一般名:エンザルタミド)」の併用療法に関する第3相TALAPRO-2試験コホート1の最終データが発表されました。
これは転移性去勢抵抗性前立腺癌の患者として合計805人を対象に行われた試験の結果であり、患者の初回治療としてイクスタンジ単剤療法を行ったグループと、イクスタンジにターゼナを組み合わせた併用療法を行ったグループの無増悪生存期間などを比較したものとなっています。
結論として、単剤療法のグループよりも併用療法のグループにおいて、無増悪生存期間で有意な延長効果が認められており、有効性や安全性について総合的に良好な結果を得られたことが重要です。
参照元:オンコロ|転移性去勢抵抗性前立腺がんにおける初回治療としてのターゼナ+イクスタンジ併用療法の最終解析
2025年2月13日から2月15日にかけて米国サンフランシスコで開催された「2025 ASCO Genitourinary Cancers Symposium(ASCO GU 2025)」において、転移性(M1)ホルモン感受性前立腺癌の患者に対する「エストラジオールの経皮投与(tE2)パッチ」と、「アンドロゲン受容体経路阻害薬(ARPI)」の併用療法に関する報告が行われました。
本研究発表では、「LHRHアナログ+ARPI」の併用療法と比較してどのような効果の違いが生じるかを分析したデータが報告されており、治療開始24週以内に前立腺特異抗原(PSA)で0.2ng/mL以下を達成した患者が、「エストラジオール経皮投与パッチ+ARPI」と「LHRHアナログ+ARPI」のそれぞれの併用療法でおよそ同等であったことを示しています。
なお新たなリスクや安全面の問題も確認されず、経皮投与パッチを併用療法に組み込んだ治療法の有用性が期待されています。
参照元:日経メディカル|M1転移性ホルモン感受性前立腺癌にエストラジオール経皮投与パッチとARPIの併用療法がLHRHアナログとARPIの併用療法と同等のPSA減少効果の可能性【ASCO GU 2025】
男性ホルモンであるテストステロンは前立腺癌の危険因子の1つとして考えられており、テストステロンによって前立腺癌が刺激されて大きくなるといった報告がすでにされていました。一方、2025年2月にアメリカのサンフランシスコで開催された「ASCO GU 2025」において、カナダの研究グループがハイリスク前立腺癌の患者における治療後のテストステロンの回復に関する研究報告を行いました。
研究グループによると、ハイリスク前立腺癌の患者で、長期のアンドロゲン除去療法(ADT)と放射線療法を受けていた人のうち、治療後にテストステロンの値が正常な値まで回復することで、全生存期間(OS)に有意な改善をもたらしたという研究結果が得られたとしています。
これはテストステロンが予後の改善に影響している可能性を示唆しており、テストステロンがリスク因子である一方で、治療に重要な役割を担っていると考えられることは重要です。
参照元:日経メディカル|高リスク前立腺癌で長期ADTと放射線療法後のテストステロンの回復はOSの有意な改善に影響する【ASCO GU 2025】
アメリカのサンフランシスコで2025年2月に開催された「ASCO GU 2025」において、イギリスの複数の研究者や機関によって結成された研究グループが、魚油カプセルを活用した食事指導によって前立腺癌の癌の状態が改善する可能性を報告しました。
本研究では、魚油カプセルとして「高オメガ3脂肪酸+低オメガ6脂肪酸」を含有している食品を使って、積極的監視療法下の前立腺癌の患者の食事指導を実施したところ、癌の憎悪リスクや転移リスクを示すとされている「Ki-67値」の結果が、食事指導を行っていない患者グループよりも改善する可能性があることを報告しています。
これにより、今後は前立腺癌の患者に対する食事療法や、日々の生活習慣における癌リスクのコントロールについても新たな可能性が生まれると期待されています。
参照元:日経メディカル|魚油カプセルを用いた高オメガ3脂肪酸低オメガ6脂肪酸の食事指導が積極的監視療法下の前立腺癌患者でKi-67値を減少させる可能性【ASCO GU 2025】
前立腺癌の中でも、相同組換修復(HRR)遺伝子の異常を有する転移去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)において、「PARP阻害薬タラゾパリブ」と「エンザルタミド」を組み合わせた併用療法が、エンザルタミドを単独で利用した場合よりも死亡率をおよそ37.8%も軽減できる可能性が発表されました。なお、同研究の報告はアメリカのサンフランシスコで2025年2月13~15日に開催された「ASCO GU 2025」において、フランスのInstitut Gustave Roussyの研究者によって行われています。
本研究では比較対象として、エンザルタミドとプラセボを併用した患者グループと、タラゾパリブ+エンザルタミドを併用した患者グループを用意し、それぞれの死亡リスクなどを検証しました。そしてフェーズ3試験である「TALAPRO-2試験」の結果として、患者の全生存期間(OS)を比較したところ、プラセボ群よりもタラゾパリブ併用群で37.8%の数値改善が認められたということです。
参照元:日経メディカル|相同組み換え修復遺伝子異常がある転移を有する去勢抵抗性前立腺癌へのタラゾパリブとエンザルタミドの併用は死亡リスクを37.8%低減【ASCO GU 2025】
2025年5月30日から6月3日の期間に米国シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2025)において、転移性ホルモン感受性前立腺癌(mHSPC)の治療として「エンザルタミド+アンドロゲン除去療法(ADT)」の併用療法が全生存期間(OS)を有意に延長させたという研究報告が発表されました。
同研究は2018年10月から追跡期間中央値14.4ヶ月の期間で実施された臨床研究であり、mHSPC患者を、エンザルタミド+ADTを併用した群(エンザルタミド群)と、プラセボ+ADT(プラセボ群)をランダムで振り分け両者の病態進行や死亡リスクなどを比較したものです。
研究の結果、プラセボ群に対してエンザルタミド群はmHSPC患者の死亡リスクを30%低減させており、また5年OSを有意については66%という結果を示しました。
これらの結果からmHSPC患者に対する治療としてはADT単独でなくエンザルタミドとの併用療法が効果を期待できると考えられています。
引用元:がんナビ|mHSPCに対するエンザルタミド+ADTは5年追跡でも腫瘍量や前治療、転移様式にかかわらずOSリスクを有意に低減、5年OSは66%【ASCO 2025】
アメリカのJohns Hopkins University School of MedicineのTheodore DeWeese氏らによる研究チームは、シカゴで2025年5月30日から6月3日に開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2025)において、新規診断の中/高リスクの限局性前立腺癌の治療に際して、「アデノウイルス製剤CAN-2409+プロドラッグ」の併用療法が、放射線照射(外照射)と組み合わせられることで、再発率や死亡リスクを30%低下させたという研究データを報告しました。
前提として、中程度および高リスクの限局性前立腺癌では手術もしくは外照射±アンドロゲン除去療法(ADT)が標準治療となっていますが、外照射の後およそ30%の患者で再発が懸念されます。
同研究では合計745人の患者を対象として、「アデノウイルス製剤CAN-2409+プロドラッグ+外照射」のCAN-2409群と、プラセボ群に2:1で分け、それぞれの無病生存期間(DFS)や全生存期間(OS)などを比較検証しました。結果的にCAN-2409群はプラセボ群よりも有意にリスクを低下させ、新しい治療法として期待されています。
引用元:がんナビ|中/高リスク限局性前立腺癌にCAN-2409+プロドラッグは外照射との併用で再発または死亡リスクを30%低下【ASCO 2025】
オランダのRadboud University Medical CenterのBastiaan M. Prive氏による研究チームは、2025年5月の米国臨床腫瘍学会(ASCO 2025:シカゴ)において、特定条件のホルモン感受性前立腺癌(HSPC)の治療に関して、前立腺特異的膜抗原(PSMA)をターゲットにする「ルテチウム-177(177Lu)-PSMA-617」の使用が、最大30週間の監視療法と比較して無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したという研究結果を発表しました。
同研究は、オリゴ転移があり外科治療と放射線治療が不適応となっている、前立腺特異抗原(PSA)倍加時間が6カ月以下のHSPCを対象としたものであり、合計58人の患者を対象として、177Lu-PSMA-617群の29人と、監視療法群の29人の比較検証などが行われました。
結果的に177Lu-PSMA-617群は有意なPFS延長を示し、前立腺癌の中心的治療になっているアンドロゲン除去療法(ADT)とは異なる治療選択肢の可能性を示唆しています。
引用元:がんナビ|オリゴ転移を有するPSA倍加時間が6カ月以下のHSPCに対し177Lu-PSMA-617が最大30週間の監視療法に比べてPFSを延長【ASCO 2025】
ここでは実際に前立腺がんの患者として治療を受けたり、術後の生活を送ったりしている人の声を集めましたので、前立腺がんとの向き合い方や術後のライフスタイルの参考にしてみてください。
前立腺がんが見つかったのは72歳のとき。前立腺肥大症から腎不全になり、精密検査を受けたのがきっかけでした。PSA検査の数値は20ng/mL。前立腺生検の結果、がんと確定しました。私はインターネットが使えず、病気についてまったくわからなかったのですが、娘が診察に同行し、詳しく調べて教えてくれたので、安心して治療を受けることができました。(後略)
人間ドックがきっかけで、41歳のときに前立腺がんが見つかりました。この若さでと驚きましたが、父も前立腺がんで、ある程度知識があり、少しは冷静に対応できました。(中略)職場には術後1か月ほどで復帰しました。しばらくは尿もれパッドを付けていましたが、サポートタイプの下着でパッドがずれず、膨らまないように工夫したので、心配することなくスーツを着て仕事ができました。(後略)
49歳のときに告知されました。10年前から排尿しにくい感じがあり、定期的にPSA検査を受けていました。数値は少し高いものの、「40代前半でがんの可能性はほとんどない」と言われて安心していたので、告知されたときは大きな衝撃でした。(中略)それから約4年、3か月に1回の検査で、PSA値を見ながら経過観察を続けています。日々の生活を見直し、食事療法や代替療法も取り入れながら療養中です。
58歳のときにステージB2の前立腺がんが見つかり、ホルモン療法で腫瘍を小さくした後、全摘除術を受けました。術後の経過は良好でしたが、下がっていたPSA値が微増してきて、約1年後に再発。初発のときは知識がなく、がんという言葉の重さと恐怖に押しつぶされそうでしたが、再発のときは勉強して知識を得ていたので、冷静に対策を考えることができました。病気と向き合ううえでは、偏りのない正しい情報を知ることが大切だと実感しています。(後略)
とにかく今は、「尿漏れ手術を受けてよかった!」と実感しています。旅行が好きで温泉も大好きなのに、とてもじゃないけど行けなかったのですから。人工尿道括約筋は外からまったく見えないので、安心して大浴場にも入れます。手術後は、何度も温泉に行っていますし、最近では沖縄旅行にも行って来ました。
私は自分の意識を変えることが大切だと思います。体操の継続も、“意識してする”。そして、「尿漏れは恥ずかしいことではない。病気なのだから仕方がない。漏れたら漏れていいのだ、漏れてもいいやー」という意識になること。私はそのように思います。
前立腺がんが見つかったのは72歳のとき。前立腺肥大症から腎不全になり、精密検査を受けたのがきっかけでした。PSA検査の数値は20ng/ml。前立腺生検の結果、がんと確定しました。私はインターネットが使えず、病気についてまったくわからなかったのですが、娘が診察に同行し、詳しく調べて教えてくれたので、安心して治療を受けることができました。
治療法としては、腎不全のために留置した尿管のカテーテルを外したいという望みもかけて、前立腺の全摘除術を選択。結果、カテーテルを外せたうえ、病気になる前から行っていた中学生への野球の指導も続けられて、自分が選んだ治療に満足しています。
引用元:キャンサーネットジャパン
排尿時の尿線の細さと頻尿が気になり泌尿器科へ。検査の結果、PSA値は147ng/mL、グリーソン・スコアは9、皮膜外浸潤もあり、手術は困難と診断されました。 納得できずに受けたセカンドオピニオンでは、5年生存率は2割といわれました。途方に暮れながらも、連日インターネットで情報を集め、泌尿器科医と放射線科医による「前立腺がん専門外来」を見つけ、サードオピニオンに。ホルモン療法+放射線療法(IMRT)なら根治率50%といわれ、その違いに驚きましたが、結局、そこで治療を受けることにしました。
前立腺がん治療にセカンドオピニオンは必須。放射線科医にも意見を聞くほうがよいでしょう。医師への遠慮は無用です。私は7年目にPSA値が再発ラインを超え、現在はまた投薬治療を受けています。気に病むような副作用はなく、健康な人と変わらない日常を送っています。
引用元:キャンサーネットジャパン
59歳の時、頻尿が気になり近くの病院を受診したところ、前立腺がんの疑いを指摘されました。がん診療連携拠点病院で精密検査を受けた結果は前立腺がんでリンパ節転移あり。「手術も放射線ももうだめ。内分泌療法しかない」と告げられ、大変落ち込みました。
その後は、腫瘍内科で内分泌療法を続けていますが、治療開始の8年目、担当医から「放射線療法をしてみようか」と思わぬ提案が。放射線技術が向上し、私の病状でも治療効果が期待できるようになったとのこと。あきらめていた治療が受けられることに希望を感じました。37回の放射線照射を終え、今は病状も安定。スポーツクラブに通う毎日です。
振り返ってみて良かったと思うのは、自分が納得できる病院を選び、正しい情報を得る努力をしてきたこと。
引用元:バイエルベターライフナビ
介護施設で働いていた53歳の時にステージ4の前立腺がんが見つかりました。最初はその現実をなかなか受け入れられませんでしたが、病院のがんサロンで同病の人と話すことで、心が楽になっていきました。
治療は内分泌療法と抗がん剤が中心。骨転移が原因の激しい痛みで夜も眠れなかった時には緊急入院し、薬物治療と放射線内照射治療で痛みを緩和させました。脊椎管狭窄症にも悩まされましたが、2度の整形手術を受け、現在は何とか歩ける程度まで回復しています。小さな痛みや症状も主治医に伝えることは、より良い治療を受けるためには不可欠だと考えています。
引用元:バイエルベターライフナビ
定期的に受けていたPSA検査の結果を見て、生体検査~骨シンチグラフィーの検査を受けました。結果はT2bN0M0で、グリーソンスコア8という結果でした。ホルモン療法による治療を1年半おこない、重粒子線による治療もおこない、約4年経過しています。
現在のPSAの数値は、1~3の範囲で推移しています。いつか数値が上がってくるかもしれないと思うと多少の不安がありますが、前向きに毎日を過ごしたいと思っています。
引用元:アストラゼネカ
2021年1月に針生検の上、前立腺がん確定。グリーソンスコアは3+4の7、T2程度との結果で大学病院を紹介いただく。2021年3月末にロボット支援根治的前立腺全摘除術(RARP)実施。病理診断でT3となり、経過観察を継続中。PSA検査の存在を知らなかった勉強不足を後悔するよりも、早期発見で治るがんがあることをひとりでも多くの方へ伝えたい49歳です。(中略)
病状ごとの統計を見て、データを気にしすぎて落ち込む日々は身体に良くないと気づきました。目の前の治療をがんばるだけと、前向きに生き始めたらだいぶ楽になりました。
引用元:アストラゼネカ
告知されましたときは、もう本当に慌てましたけども、まあ、ここで慌てたら男じゃないというようなことで、まあ、年相応の対応は表面上できたと思うんですけれども、頭ん中は真っ白でした。あの、お医者さんの話も、恐らく半分程度しか理解できなかったと思います。
(中略)後で考えると、「何とこの、そういうときに仕事のことしか頭に浮かばないっていうのは、退屈なつまらないやつだな」と自分で思うようになりまして(笑)、じっくりその後の人生、治療も含めて考えたとき「やはりこれからは、残り少ない人生自分らしく、やりたいように生きてみたいな」というように、まあ(そんな)感じにだんだん自分の気持ちも変わってまいりました。
引用元:NPO法人 健康と病いの語り ディペックス・ジャパン
よくね、がんと言われたときに、どんなに思った?って言われます。まあ、よく頭が真っ白になったって、こう言いますけどね、私はね、まず一番にきたのは「なんで自分が、なんでおれががんか?」と。それがもう一番でしたね。そんなに他の人はないのにおれがどうして? というのが一番と、ものすごく気分が悪かった。なんか気分が悪いという思いがもうありましたね。
もう頭真っ白じゃないです、気分が悪いのと、なんでおれがっていうふうな思いがずっと続いて。(中略)自分もまあ、高分化型*と言うんだからと先生が言ってくれている一縷(いちる)の望みもありましたけれど、まあまあ、そういう気持ちがあっても落ち込んでいきました。
引用元:NPO法人 健康と病いの語り ディペックス・ジャパン
主治医の先生から「病状をはっきり知りたいですか」って聞かれましたんで。わたしは、そんなこと思っていませんでしたから「はい、知りたいです」って言ったんですよ。はい。そうしたらですね、「もう数ヶ月の命です」って言われたんですよ。「え、何ですか」って言ったら「もう、前立腺がんのがん細胞が、全身に転移していますんで」っていう理由で言われましたけども。そのときはね、とにかく、えー? と思いましたね。ショックが大きかったですね
。本当に、ええ。でも一番、そのときに思ったのは、まず、家族の生活が心配だなということは思いましたけど。(中略)薬が効いて長生きさせてくれたなと。また勝手な考え方で(笑)。そうですよ、ほんとにね、人間って勝手な、いいもんで。うん、自分の都合のいいふうに考えますんで、ええ。まあ今は幸せですねえ。はい。
引用元:NPO法人 健康と病いの語り ディペックス・ジャパン
「ああ、がんか。がんならイコール死ぬことや」って。「ああ、死にたくないや。なら…死ぬまでに何か片付けとかないかん。身辺整理、あれせにゃいかん、これせにゃいかん」。そっちのほうばっかりですね。要するにパニックですね。
(中略)…でも、死にたくない。人間はもう必ず100%、間違いなく死ぬというのは、それはもう当たり前のことですし、頭のどっかじゃあ分かっとるんですが、それが現実、目の前に、「もうあんた、確実に死にまっせ」というふうに突きつけられた。でも、死にたくない。何とか助かりたいという。まあ、その繰り返しでしたね。
引用元:NPO法人 健康と病いの語り ディペックス・ジャパン
(前略)余命半年っていうことなので、この半年をどういうふうに過ごすかなと思ったんですよ。で、私は、余命半年っていうときに、もう「お棺の中に、半年経ったら、あの狭いお棺の中に入れられるんだな」っていうのがはっきりしたわけなのでね、死んだときにこう、家族で体をこう拭いたりするのに、あまり汚くては…。「あ、これはまず水虫を治さなくちゃいけないな(笑)。(中略)お棺に入るときに、足が汚くちゃ嫌だな」と思ったので、早速、家内の車で皮膚科へ行って、水虫を治しました。
引用元:NPO法人 健康と病いの語り ディペックス・ジャパン
(前略)告知を受けたときに何が大切かっていうことは、自分はもう解決済みっていうか、答えは出ていたのでね、あきらめてしまっているわけではありません、今でもね。あきらめてしまっているわけではないけども、何が大切かっていうことも分かっていましたし、気持ちをどう切り替えたらいいのかっていうことは分かって、今います。どんな悪いときでも、悪いことでもね、その裏にいいことが必ずあります。
引用元:NPO法人 健康と病いの語り ディペックス・ジャパン
(前略)手術できないと言われたときにね。あとは残りの1年のうち、何日健康で過ごせたか、過ごせるか。そのうちの大半を病人で過ごすんだったら私はもう、そうなっちゃった自分の存在、尊厳さ、それは考えたくない、認めたくない。命を、放射線かけないでやったら、私は寿命を縮めるかもしれないけど、その寿命の中でね、私がいかに私らしく生きられるかっていうことを私流に考えた選択が「放射線は勘弁してください」っていう。
引用元:NPO法人 健康と病いの語り ディペックス・ジャパン
(前略)症候的にも前立腺がんっていうのはあまり驚かなくてもいい。だいたい老人が(なる)、病気も緩慢に進むような、というようなね、一般的なあれがありますよね。だもんだから、そういう知識もあって、あまり驚かなかったです。まあ「いい友だちが来たんだから、適当に付き合っていこうや」っていうような気持ちで。
引用元:NPO法人 健康と病いの語り ディペックス・ジャパン
(前略)先生はですね、やっぱり「そんなことまず言わないで、ステップを踏んで検査しましょう」ということだったんですね。そしたらたまたま、そういうがんだったんですよ。だからビクとも、わたしは、検査というかね、PSAの数値を見て、そういうことを思っていましたんで、やっぱりわたしは、決してそういう恐怖感はありませんでしたね。ただ一点だけね、がんになった以上は、まあ初期ですから、もうね1日も早く手術して治りたいということを、願っていましたね。
引用元:NPO法人 健康と病いの語り ディペックス・ジャパン
(前略)がん仲間で前立腺がんをやった人がおるんだけども、前立腺がんで死ぬよりも肺炎で死ぬ人もおったし、なかなか前立腺がんで死んだっていうのは、私の親せきが一人おるぐらいで、それも、もうD期とか、もう末期だったんですけどね。うん。それで、まあそんなに慌てることはないなというのが、私の考え。
引用元:NPO法人 健康と病いの語り ディペックス・ジャパン
血尿と 尿が出にくいのが 気になったのでいつもかかってる 明海大学の 泌尿器科を 受診した
最初に前立腺癌の時に高い値が出る血液の検査を受けたら明らかに高かった
つぎにCTとMRIの画像検査を受けたら明らかに異常な所見が出たから入院して前立腺の組織を取って検査しましょうといわれた
入院して前立腺の組織を10個取って組織の検査を検査したら癌の所見がでた(中略)放射線は骨盤に照射したが副作用で食欲がなくなり食道の違和感があったが決められた回数を無事に照射できた
抗がん剤の副作用は吐き気と髪の毛が抜けてツルツルになってしまったが、これもどちらかで中止しなくてすんだ
痛みもけっこう強かった
入院の期間は約2ヶ月間と長期間になってしまった
今後は定期的に外来でのフォローになるけど他の臓器の転移が心配になるけどあまり気にしないで普通の生活を送ろうと思う
東京女子医大河田本院にて手術しました。
H23年から前立腺肥大症にかかっており、PSA検査を6か月に一度は
行っておりました。
やはり、排尿痛があり、前立腺の生検を2回おこないましたが、
最後の生検でがんが発見されました。
それからですが、全身のCTスキャン・MRI・PETなど最新の検査を
行いました。
幸い、ほかにはガンの転移もないとの検査結果でした。(後略)
これまでに10年以上前から高血圧で通院しておりましたが 5ヶ月ほど前から尿に血液が混じり始めていましたが、そのうちに混じらなくなると思いそのままにしていた所 先月あたりから梅干の革のようなものが混じり始めこれは少しおかしいなと思い通っている主治医の先生に相談した所 なんでもう少し早く相談しなかったかと怒られてしまいました。実はこの10年の間1度も尿検査はしていなかったのです。(中略)結果は尿管からの前立腺検査とMRI検査で前立腺のガンが見つかりました。入院1週間すごく辛かったですがこれからはがん治療がもっと辛いと思いますがガンに負けず頑張っていこうと思っています。
血液検査を4年ほど前(平成21年)から2か月に1回のペースで測定しておりました。
PSA値が気になっておりましたから3~7くらいを繰り返しており癌の疑いありとゆうことで前立腺の針生検を勧められ2年半くらい前(平成23年)に受けました。
18か所から組織を採って検査しましたが見つからずホッとしました。
しかしPSAの値が安定せず去年6月(平成25年)に再度今度は会陰部から針生検を同じく18か所から組織を採取したところ3か所に癌が見つかりグリンソンスコアが4+3=7の進行がんと診断されました。(後略)