いちから分かる癌転移の治療方法ガイド

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外陰がんの症状や転移、治療法について

外陰から他の部位に転移したがんや、他の部位から転移した外陰がんについて、特徴や治療方法をまとめました。

外陰がんの症状

外陰がんでは、外陰部にかゆみや痛みが現れたり、押さえると痛みを感じることがあります。また、外陰部に小豆ほどの大きさのしこりができることもあります。

性交時に痛みを感じたり、外陰部から不正出血や異常なおりものが見られることもあります。さらに、外陰部の皮膚に白い斑点が出現したり、ほくろの大きさや色、質感が変化することもあります。

患部の皮膚が引きつれる、しわができるといった変化もみられます。黒色腫の場合には、青黒色や茶色のただれやイボのような病変が現れることもあります。

外陰がんは、赤みやかゆみを伴うことが多いため、腟炎やナプキン・下着によるかぶれと間違われることがあり、発見が遅れるケースもあります。症状が現れた場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。

がんが進行すると、しこりやただれた部分から水っぽい分泌物が出たり、出血することもあります。大陰唇や小陰唇、クリトリス(陰核)などにも病変が広がる可能性があります。

さらに、腟や尿道、肛門などに浸潤し、リンパ節へ転移するリスクもあります。

外陰がんの予防やスクリーニングに関する情報

外陰がんの予防や早期発見について考える場合、まずは外陰がんの原因やパターンについて把握することが大切です。

前提として、外陰がんは「ヒトパピローマウイルス(HPV:human papillomavirus)」への感染に起因する癌と、HPVに関連しない癌で大別されており、例えばHPV感染に関連した外陰がんであればHPVへの感染予防といった観点からも対策に取り組む必要があります。

ここでは一般的に考えられる外陰がんの予防や対策、また外陰がんの早期発見につながるスクリーニングや検査方法についてまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

外陰がんの予防について

外陰がんの発生要因に関してはまだ研究段階にあり、全ての発生原因が解明されているわけではありません。ただし、一部の組織型はHPV感染が関連していると考えられており、そのため上述したように、外陰がんはまず「HPV感染に関連する癌」と「HPV感染に関連しない癌」に大別されることがポイントです。

外陰がんの予防ではHPV感染に対する予防法と、癌の発生リスクを増大する要因として科学的に認められている要因についての対策をそれぞれ区別した上で検討することが肝要です。

HPVワクチンを接種する

外陰がんの中でも、外陰部に発生する扁平上皮癌の中にはHPV感染に起因する「外陰上皮内腫瘍(VIN)」があり、この予防にはまずHPVワクチンの接種といった予防策が考えられます。

HPVの感染経路は主として性交渉となっており、一般的にHPV感染を予防するためにHPVワクチンを接種するのは初めての性交渉を経験する前であることが望ましいとされています。しかし、HPVにも複数の型があり、例えば性交渉を経験していてもHPVワクチン接種で予防可能なHPVに感染していない場合、性交渉経験後でもHPVワクチンを接種することで一定の予防効果を期待することは可能です。

ただし、言い換えればHPVワクチンを接種していても、必ずしも全てのHPV感染を予防できるとは限らないため、適切なワクチン接種を行った上で定期的ながん検診などによる健康管理や早期発見への備えに取り組んでいくことが重要となります。

なお、HPVワクチンの接種は小学校6年生から高校1年生の女子を対象として定期的に実施されており、国や自治体の制度を活用してワクチン接種を受けることも肝要です。

※参照元:がん情報サービス|ヒトパピローマウイルス(https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/HPV.html

安全な性交渉を心がける

前述したように、HPV感染は性交渉によって感染リスクが増大するものですが、ウイルス自体は外陰部だけでなく肛門などにも潜んでいることがポイントです。そのため、例えばコンドームなどの避妊具を利用して性感染症の予防に取り組む場合、性交渉において一貫してコンドームを使用するといった意識が大切となります。また、HPV感染は性器接触だけでなく、性器周辺の皮膚が触れ合うことで感染することもあるため、性器の挿入等を行わなければ大丈夫といったこともありません。

しかし安全管理や避妊について正しい意識を持って性交渉にのぞむことはHPV感染に限らず心身の健康や安全を守る上で大切なポイントです。なお、不特定多数の相手との性交渉は必然的にウイルス感染の経路をふやすことにつながるため避けることが無難です。

外陰部の衛生を保つ・皮膚疾患を治療する

外陰部や性器が傷付いたり、感染症などで炎症を起こしたりしていると、外陰がんだけでなく様々な病気や健康リスクの懸念が拡大します。そのため日常的に外陰部や周辺を清潔に保つように心がけるようにしてください。

その他、生理用品や下着についても自分の体質に適したものを選んで使用することが重要です。

なお、皮膚炎やかゆみなどが長期にわたって持続するような場合、恥ずかしがらずに婦人科を受診して医師の治療を受けることも身を守る上で大切な方法であることを覚えておきましょう。

禁煙する

外陰がんのリスク因子として、HPV感染の他に指摘されているものが「喫煙」です。

そもそもタバコは男女ともに様々な癌の発生リスクを増大させる要因として科学的に知られており、禁煙に取り組むことは外陰がんを含めて様々な癌の予防につなげられることが重要です。

実際、国立研究開発法人国立がん研究センターが運営しているWebサイト「がん情報サービス」において、喫煙は日本人男性の癌の原因として第1位、日本人女性でも「感染」に次いで第2位の癌原因とされています。

喫煙が直接的に影響する癌は複数ありますが、その他の癌に関しても、喫煙者と非喫煙者では癌の発生リスクに1.5倍の差が生じるともされており、可能な限りタバコを吸わないようにすることが癌の予防に貢献します。なお、タバコのリスクは周囲の喫煙者から届く副流煙を吸い込んでも発生するため、自分だけでなく家族や周囲の人々も一緒に禁煙へ取り組む意識が大切です。

※参照元:がん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防法(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html

食生活を改善・禁酒

外陰がんのリスクとして、HPV感染や喫煙の他に指摘されているものの1つが「食生活の乱れ」です。

まず、科学的根拠にもとづいて外陰がんの予防に取り組む場合、お酒を飲まないよう生活スタイルを整えることが重要となります。「酒は百薬の長」といった言葉もあり、日々の娯楽としてストレス解消につながる人も沢山いますが、基本的に癌予防の観点から考えた場合、お酒は1滴も飲まないことがベストな選択となります。そのため可能であれば禁酒をし、どうしてもお酒が好きな人はせめて酒量を減らしたり、アルコール度数の低いお酒に変えたりするといった取り組みが肝要です。

また塩分の多い食事は高血圧や脳卒中といった生活習慣病だけでなく癌のリスクも増大することが指摘されており、野菜や果物といった食材が少なくなるとビタミンや食物繊維などの栄養が不足して、これも癌リスクの増大に関与します。

禁酒や食事内容の改善に取り組み、食生活を健全化することで、外陰がんの発生リスクを低減できる可能性もあるでしょう。

運動する習慣を持つ

適度な運動習慣を日常に取り入れることは、外陰がんを含めてあらゆる癌の発生リスクの低減につながることが知られています。

癌予防として必要とされる運動量は性別や年齢によっても異なりますが、基本的には「今より少しでも多く体を動かす」ということが大切になります。

具体的な身体活動の目安としては、成人女性であれば歩行かそれ以上の運動を毎日60分以上行い、さらに息が弾んで汗をかく程度の運動を週に60分以上行うことが有効です。一方、高齢者であれば歩行か同等以上の運動を毎日40分以上、さらに有酸素運動や筋力トレーニング、柔軟運動などを週3日以上行うことが肝要とされています。

※参照元:がん情報サービス|科学的根拠に基づくがん予防法(https://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause_prevention/evidence_based.html

外陰がんのスクリーニング・検査について

若年層であればHPVワクチンの接種などの予防対策があり、その他の世代でも禁酒・禁煙や運動習慣など様々な方法で外陰がんの予防に取り組むことが可能です。しかし、それらを実行しても全ての癌リスクを完全にゼロとすることは困難なため、定期的ながん検診などで健康状態をチェックし、癌の早期発見につながる可能性を高めておくことが欠かせません。

ここでは一般的に外陰がんの検査や発見に用いられる方法についてまとめていますので、自身のがん検診や健康診断を考える時にご活用ください。

視診・触診(鼠径リンパ節の腫れの確認含む)

外陰がんは女性の外陰部に発生する悪性腫瘍の総称であり、まず基本的な検査法としては医師による視診と触診が挙げられます。

医師によって外陰部の状態を診察してもらい、何らかの異常が認められればさらに精密な検査へ進むといったことも大切です。なお、外陰部の形状などについては個人差があり、自身の外陰部の形などが他の女性と違っていたとしても、それは必ずしも異常や病気ではないという点を覚えておいてください。

拡大鏡診(コルポスコープ診)

視診や触診の他に、外陰がんの検査法としては「コルポスコープ診」と呼ばれる診察方法があります。

コルポスコープは病変部を拡大して細部まで観察するための「拡大鏡」であり、外陰部の状態を詳細に診察するだけでなく、子宮頸部や膣、また肛門周辺などの病変についても精密検査をすることが可能です。

組織診(生検)

視診・触診やコルポスコープ診によって癌の疑いがあると診断された場合、改めて病変部の皮膚や皮下組織を採取して、顕微鏡で細胞の形状などを詳細に調べる「生検」が行われます。

生検のために皮膚や組織を採取する場合、あらかじめ局所麻酔などを使って痛みをコントロールした上で、必要最小限の範囲を切除して検体を採取することになります。なお、採取した組織片は病理医によって調べられ、生検によって癌と認められれば確定診断になることも重要です。

超音波検査

超音波検査は画像診断の1種であり、被検者の皮膚の上から超音波を発生させる装置を当てて、体内に超音波を発振し、反響してきた音波を画像化することで体内の状態を視覚的に確認することが可能です。

超音波検査では患者の体内の状態をチェックして転移の有無を調べられる上、放射線による被曝リスクといったデメリットもないため、例えば妊娠中の女性などでも利用できることがポイントになります。反面、超音波検査では患者の体内の深部を検査することは難しく、また超音波検査で異常が発見されてもそれ自体で癌の確定診断になることはありません。

CT・MRI検査(リンパ節転移や広がりを調べる)

CT検査やMRI検査といった画像検査では、外陰がんから体内へ転移している癌の有無を調べたり、癌のサイズや範囲を調べたりといった精密診断が可能となります。

CTはレントゲン撮影のように放射線を使って、被検者の体内を断面的に撮影する画像診断です。癌の状態を詳しく調べられる反面、放射線被曝のリスクがあるため、女性によっては使用できないことも重要です。

一方、MRIも精密な画像診断を行う検査法ですが、MRIでは放射線でなく強力な磁気を使って撮影を行うことが特徴となります。

MRIは放射線による被曝リスクがない反面、検査精度を高めるために使用する造影剤へのアレルギーリスクが考えられたり、閉所恐怖症などの事情を抱えている人によっては撮影が難しかったりといったデメリットもあります。

PET-CT検査(遠隔転移の有無を調べる)

PET-CT検査は、PET検査とCT検査を組み合わせた画像検査で、がんの広がりや他の臓器への転移、再発の有無などを調べる目的で行われることがあります。

多くのがん細胞には、通常の細胞よりも多くのブドウ糖を取り込む性質があります。PET検査では、放射性フッ素を付加したブドウ糖に似た薬剤(FDG)を静脈から投与し、FDGが多く集まる部位を画像化。FDGが特定の部位に集積している場合、その部位にがんや腫瘍組織が存在する可能性があります。

外陰がんを含むさまざまながんで、必要に応じて転移や再発の診断に用いられることがあります。ただし、炎症などが原因でFDGが集まることもあり、PET-CT検査だけで診断が確定するわけではありません。また、放射性物質やCTによる被ばくを伴うため、妊娠中または妊娠の可能性がある人は、検査前に必ず医師へ伝える必要があります。

腫瘍マーカー検査

癌にはそれぞれ特有の物質を産生するものがあり、そのような物質が血液中に存在していれば、癌が発生する疑いが高まります。このような物質を「腫瘍マーカー」と呼び、外陰がんのスクリーニングの一環として腫瘍マーカー検査が行われることもあります。

外陰がんのスクリーニングのリスク

外陰がんのスクリーニングや検査は早期発見・早期治療を目指す上で重要ですが、一方でスクリーニングそのものに誤診や肉体的負担といったリスクがあることも覚えておくべきポイントです。

そのため外陰がんのスクリーニングでは単一の方法で結果を決定するのでなく、必要と思われる検査やデータを複合的に検証することで、状態の正しい診断につなげることが肝要となります。

検査結果が偽陰性の可能性がある

偽陰性とは、本来は「陽性」として診断されるべきなのに、誤って「陰性」の結果が出てしまった状態です。偽陰性になると、速やかに精密検査や治療を行わなければならない状態にもかかわらず、癌がないと判断してしまい、結果的に治療の開始が遅れるリスクが増大します。

検査結果が偽陽性の可能性がある(不要な生検による心身の負担)

偽陽性は、検査で陰性になるべきところで陽性の結果が出てしまった状態です。

偽陽性は癌の見落としこそないものの、本来は不要な生検などを行うことで患者の肉体へダメージを与えてしまうことにつながります。また、自分が癌であるという誤解は大きな精神的ストレスになりQOLの低下も招きます。

過剰診断の可能性がある

過剰診断とは、検査システムの高精度化により、従来は問題無しや「経過観察」とされてきたようなリスクなどについても「陽性」や「治療が必要」と診断されてしまうものです。

癌細胞は日常的に体内で発生しており、それらは必ずしも治療を行うべきとは限りません。しかし過剰診断になってしまうと不要な治療を受けることになり、経済的にも肉体的にも精神的にも大きな負担になりかねないことが問題です。

また、必要のない治療を行うことは別の副作用や合併症のリスクを増大させることにつながるため、癌診断や癌治療においては「念のための治療」が必ずしも良好な結果を導くとは限らない点も覚えておきましょう。

外陰がんの治療法

外陰がんの治療方法は、がんのステージや症状に応じて、外科手術、放射線治療、化学療法を組み合わせる方法が取られます。

治療の中心は手術であり、外陰部を切除してがんを取り除きます。手術には、レーザー手術、広範囲局所切除術、根治的局所切除術、超音波外科用吸引(CUSA)などの方法があります。

局所治療には、免疫応答調整薬(例:イミキモドクリームなど)を患部に塗布する方法もあり、症状の緩和が期待されています。なお、これらは抗がん剤ではなく、免疫療法薬に分類されます。

放射線治療では、高エネルギーのX線を用いてがん細胞を死滅させます。治療には体外から照射する外照射療法と、ワイヤーやカテーテルに放射性物質を入れてがん組織内部から攻撃する内照射療法があります。

これらの治療法は、手術と組み合わせる場合もあれば、患者の状態やがんの進行度によっては放射線治療や化学療法のみで根治を目指す場合もあります。

外陰がんの転移・再発

外陰がんが鼠径(そけい)リンパ節に転移すると、リンパ液の流れに乗ってがん細胞が広がることがあります。この場合、鼠径部や骨盤のリンパ節に転移しやすくなります。

がんが外陰部以外の部位に転移した場合には、陰核や骨盤内臓器を含めた「骨盤内臓摘出術」により摘出する必要が生じることもあります。

再発については、初回手術後も2年から5年程度、長期間にわたり経過観察が必要です。一度がんを切除した後は、再発する確率は比較的低く、仮に再発しても局所にとどまることが多いとされています。

再発時にがんが広がっている場合は、外陰部全体を切除する手術が行われますが、小規模な再発であれば再発部分のみを切除する方法が取られます。

外陰がんのステージ分類

病期 説明
ⅠA期 がんが外陰または会陰に限局し、最大径2cm以下、間質浸潤の深さが1mm以下で、リンパ節転移がない場合
ⅠB期 がんが外陰または会陰に限局し、最大径2cmを超えるか、間質浸潤の深さが1mmを超えるもの。リンパ節転移がない場合
Ⅱ期 隣接する組織(尿道下1/3、腟下1/3、肛門)に浸潤しているが、リンパ節転移はない場合
ⅢA期 5mm以上のリンパ節転移が1個、または5mm未満のリンパ節転移が1~2個認められる場合
ⅢB期 5mm以上のリンパ節転移が2個以上、または5mm未満のリンパ節転移が3個以上ある場合
ⅢC期 被膜外浸潤を伴うリンパ節転移が認められる場合
ⅣA期 上部尿道、腟粘膜、膀胱粘膜、直腸粘膜、骨盤骨への浸潤がある場合、または潰瘍を形成した鼠径リンパ節転移が認められる場合
ⅣB期 骨盤リンパ節や遠隔臓器への転移が認められる場合

ステージの分類方法

日本産科婦人科学会によると、2021年時点では「FIGO2021手術進行期分類」が使用されています。上記の表はこれに基づいて整理したものです。

ステージ分類は、がんの広がり具合、浸潤の深さ、遠隔転移の有無など、総合的な所見によって判断されます。

【PDF】参照元:日本産科婦人科学会/日本産科婦人科学会雑誌第73巻第6号

ステージで異なる治療方針

外陰がんでは、腫瘍の浸潤具合や大きさによって治療方針が選ばれます。根治を目指す場合、外科手術による病巣と鼠径リンパ節の切除が第一選択となります。

ただし、手術は合併症を引き起こすリスクがあるため、患者一人ひとりの進行度や年齢、生活の質などを考慮し、放射線治療や薬物療法を含めた総合的な治療計画が立てられます。

手術

手術には、レーザー照射で細胞内の水分を気化させる「レーザー蒸散術」、腫瘍周囲の正常組織を含めて切除する「局所切除術」、外陰全体の皮膚を切除する「単純外陰切除術」などがあります。

放射線治療

放射線治療は体外から照射する「外部照射」が主流ですが、腫瘍の状態に応じて、組織内に放射性物質を直接挿入する「組織内照射」と組み合わせる場合もあります。

投薬治療

薬物療法については、対象となる患者数が少ないため、標準的な化学療法の治療計画は確立されていません。ただし、局所進行した外陰がんに対して、術前に放射線治療と併用して化学療法を行い、腫瘍を縮小させた上で根治手術を目指す方法が注目されています。

また、近年では免疫チェックポイント阻害薬(PD-1/PD-L1抗体)を使った治療の臨床試験も進められていますが、2025年時点ではまだ標準治療とはなっていません。

外陰がん患者の声・体験談

セカンドオピニオンを納得できるまで考えたい

(前略)正直 主治医に余命宣告を聞く勇気が 今の私には まだありません
延命治療は ないのかなぁ

ゆっくりもしていられないアセアセ汗
納得いくまでセカンドピニオンを選択してみよう(後略)

引用元:Ameba|Junko and Kelly's Three Dogs

みんなのおかげで今も生きられている

(前略)本当に有り難いことに
何事も無く
今を迎えることができています
これは主治医をはじめとする
信頼している病院の方々のお陰
そしてapricotさんを通して
知り合えた
素敵な病院仲間たちや
同病友だちのお陰でもあります(後略)

引用元:Ameba|婦人科系希少ガンの闘病記〜外陰がん

図々しいくらいで丁度良い

(前略)穏やかそうな30代後半ぐらいに見える男性医師。
その先生に、4月は痛かったけど今は無痛なことや
重いウェイトで筋トレしても痛くないことなどをペラペラ喋る。
先生、ウンウンと聞いてくれてますが興味無さそう。
でも大丈夫。
私には、相手がいかに興味なさそうにしてても
自分の言いたいことは笑顔で喋り切る図々しさがあるのです。(後略)

引用元:Ameba|外陰がんと診断されたけど何故かあまり落ち込まないのよホント

未来が分からないからこそ今を懸命に生きたい

(前略)同病者が亡くなるって本当につらいです。
正直、明日は我が身?
と不安にもなります。
私はたまたま今元気に暮らせているけれど、
ステージ3Bに変わりはないし、
いつ何が起こるのかわからない。
だからこそ、今を大切に生きたい。(後略)

引用元:Ameba|人生はジェットコースター~外陰がん闘病録

情報が少ないからこそ自分から発信したい

(前略)2018年春頃から外陰部に違和感を感じ始め、秋頃に受診。
バルトリン腺嚢胞だろうとの診断を受けました。(中略)検索しても同病の方のブログなどは皆無で、珍しいみたいなので、これからどうなっていくのか想像つきませんが、違和感に気づいた頃のことなどから、備忘録を兼ねて書いていこうと思います。(後略)

引用元:Ameba|himawariのブログ *外陰がんから永久ストマへ*

大変なこともあるけれど今の日常を生きています

(前略)今でも2,3ヶ月に1回は病院行くし(今日は形成外科、来月は婦人科の診察もあります)、太もものしびれは残ってるし、リンパ浮腫にも気をつけてるし、あそこの傷は痛くはないけどやっぱり怖くて主人とはいまだにできないでいるし(何を?とやぼなことは聞かないでいただきたい…)…
そんなこんなでガンのことを忘れることはないのですが、なんといいいましょうか…そういうこと全てがもう日常生活の一部になってる感じですかね〜(後略)

引用元:Ameba|外陰がんになって〜女性に知ってもらいたい病気〜

外陰がんや治療法に対する研究・論文

ウイルス由来の外陰がんにオプジーボが有効となる可能性

2015年10月から2018年5月の期間において、外陰扁平上皮がんや頭頸部扁平上皮がん、メルケル細胞がん、子宮頸がんなどヒトパピローマウイルスやポリオーマウイルスなどのウイルス由来の癌や腫瘍に対して、PD-1抗体ニボルマブ「オプジーボ」が有効であるか検証する臨床試験(第1/2相試験)が実施されました。

そもそも人の免疫機能は体外から侵入した異物や体内の異常に対して攻撃を行いますが、癌は人の免疫細胞の攻撃を回避する特性を備えています。一方、免疫チェックポイント阻害薬として知られるオプジーボは、その癌の免疫回避機能を無効化する医薬品として考えられており、オプジーボを使用して免疫機能の正常な動作をサポートしてやることで、免疫細胞が癌細胞を攻撃できるようになります。

本試験では外陰がんを含めて、ヒトパピローマウイルス(HPV)などのウイルスが発癌に関わっている癌腫の患者に対して、オプジーボを使用することでどのような効果や安全性に対する評価が得られるかという分析・検証を目的として実施されました。

参照元:オンコロ|ウイルス関連腫瘍(胃がん、上咽頭がん、子宮頸がん、膣又は外陰がん、メルケル細胞がん) オプジーボの第1/2相試験

外陰がんに対して「テクネフチン酸キット」が適応拡大承認を取得

2023年3月27日、PDRファーマ株式会社は外陰がんや子宮頸がん・子宮体がん、甲状腺がんを除く頭頸部がんにおいて、「センチネルリンパ節の同定およびリンパシンチグラフィ」を効能・効果とする「テクネフチン酸キット」の適応拡大の承認を取得したと発表しました。

テクネフチン酸キットに含まれるフィチン酸テクネチウムは、患者体内のカルシウムイオンとの結合によりキレート化合物を形成し、コロイド化することが特性です。テクネフチン酸キットはフィチン酸テクネチウム注射液の調整に用いる凍結乾燥注射剤であり、画像診断装置と併用することでセンチネルリンパ節を特定することが可能です。

センチネルリンパ節は外陰がんや子宮頸がんなどで原発巣に最も近いリンパ節であり、癌細胞が転移する際に最初に到達するリンパ節です。そのため、センチネルリンパ節の腫瘍細胞の有無を調べることで、リンパ節郭清の要不要を検証できることがポイントとなります。

リンパ節郭清は患者の術後の生活にも影響する治療であり、もしセンチネルリンパ節に腫瘍細胞がないと認められれば、外陰がん患者でリンパ節郭清を省略できるとされています。

参照元:オンコロ|センチネルリンパ節の同定およびリンパシンチグラフィに用いるテクネフチン酸キット、子宮頸がんなどで適応拡大を取得

外陰がんの外科治療(手術)と再建術についての課題

2023年3月3日、国立がん研究センター希少がんセンターは「外陰・腟がんの手術について」というテーマでオンラインセミナーを開催しました。

前提として、外陰がんや膣がんは女性の外陰部に発生すると同時に、発症率が100万人あたり5~10人と希少であること。また治療法としては手術による腫瘍の切除が原則となっており、大半の患者が手術を受けることもポイントです。

一方、外陰部の病巣や周辺組織、鼠径リンパ節などの切除は術後の患者のQOLに影響することもあり、国立がん研究センター希少がんセンター/中央病院では手術による治療効果の追求と同時に、形成外科的アプローチによる外陰部再建術についても積極的に取り組んでいます。

なお、外陰部の傷などは排泄物による感染リスクを高める上、股関節の可動性に関しても重要な課題があるため、再建術では合併症予防といったリスク管理も徹底しなければなりません。

参照元:がんナビ|国立がん研究センター・希少がんセミナー2023より 6 外陰・腟がんの手術と再建術

外陰部病変に局所外用薬「イミキモド」が手術と同様の有効性を持つ?

2022年4月、オーストリアのグラーツ医科大学のGerda Trutnovsky博士らによる研究チームが「The Lancet誌」において、外陰がんの前がん病変である外陰部高悪性扁平上皮内病変(vHSILs)の一次治療として局所外用薬「イミキモド」を使用することで、手術と同様の治療効果を得られたという臨床研究の結果を発表しました。

vHSILsはそもそもヒトパピローマウイルス(HPV)によって発生する前がん病変であり、HPV由来の癌として知られる外陰がんや子宮頸がんなどの早期治療では見逃すことができない疾患です。

本研究ではオーストリアのvHSILs患者110人を対象として、自己管理下でイミキモドを使用する群と、手術を受ける群に分け、それぞれの効果を比較検証しました。

結論として、イミキモド群では治療開始から6ヶ月後の完全奏効率が80%となり、一方の手術介入(1回)では79%と、ほぼ同等のデータが得られたそうです。

この結果は外陰がんなどの患者にとって、治療の選択肢を広げられる可能性を示唆しています。

参照元:海外がん医療情報リファレンス|局所外用薬イミキモドは、HPV関連の外陰部病変に対して手術同様に有効

外陰がん患者の肛門転移リスクを低減できる可能性

2021年10月、アメリカのカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の研究者による大規模第3相試験の結果が発表され、肛門がんの前がん病変の治療によって肛門がんのリスクを大きく低減できたというデータが示されました。

これはHIVに感染した患者4,446人を対象とするランダム化臨床試験(ANCHOR試験:Anal Cancer/HSIL Outcomes Research)として実施され、肛門へ発生した高度扁平上皮内病変(HSIL)を除去することにより、その後に肛門がんへ進行するリスクを有意に減少できたというものです。

また、本研究はHIV感染者が試験対象になりましたが、これは前がん病変の治療によって肛門がんリスクを下げられることを示唆しており、結果的に外陰がんや子宮頸がんといった肛門がんに近い場所へ発生する腫瘍などにおいても肛門がん予防の取り組みが可能であるという可能性につながっています。

参照元:海外がん医療情報リファレンス|前がん病変治療でHIV感染者の肛門がんリスクが大幅に低減

癌予防の啓蒙は家族内のHPVワクチン接種の話し合いで重要

2018年にアメリカの疾病管理予防センター(CDC)や大統領府がん諮問委員会などがまとめた新規研究の結論として、ヒトパピローマウイルス(HPV)のワクチン接種を予定している9~12歳の小児と保護者がワクチン接種や病気について話し合う際、癌の予防につながると強調することで、最も小児や保護者に対する説得効果が生まれるというデータが得られました。

HPV感染は外陰がんを含めてさまざまな癌のリスク因子として知られており、アンケート調査の結果、多種多様な保護者や家庭環境において等しく、小児のワクチン接種のモチベーションを高める上で、「癌の予防につながる」と伝えられることが最善の動機に結びついたとのことです。

もちろん、実際に小児科医や大人が児童や思春期の患者と向き合う上で、十分な信頼関係が構築されていることも必要ですが、このような調査結果は伝え方やメッセージの内容に関して考えるきっかけの1つとなるでしょう。

参照元:海外がん医療情報リファレンス|がん予防というメッセージは、保護者とのHPVワクチン接種に関する話し合いにとって重要である

手術不能局所進行外陰扁平上皮がんに
「シスプラチン+ゲムシタビン+強度変調放射線治療」が有用

手術が困難な局所進行外陰扁平上皮がんの治療に関して、2024年4月4日付けの医学誌「Journal of Clinical Oncology」において、Dana-Farber Cancer InstituteのNeil S. Horowitz氏らによる研究チームが「シスプラチン+ゲムシタビン+強度変調放射線治療(IMRT)」の有効性や安全性に関する研究結果を発表しました。

これは52人の登録患者(25~58歳)を対象とした「第2相NRG Oncology/GOG-279試験(NCT01595061)」の結果に基づいており、手術不能局所進行外陰扁平上皮がん患者に対する「シスプラチン」と「ゲムシタビン」の併用療法に加えて、高精度放射線治療であるIMRTを実施した際の完全奏効率や無増悪生存期間、全生存期間などを比較検証したものです。検査の結果、「シスプラチン+ゲムシタビン+強度変調放射線治療」の併用療法において病理学的完全奏効率の改善が認められました。

※参照元:オンコロ|手術不能局所進行外陰扁平上皮がんに対するシスプラチン+ゲムシタビン+強度変調放射線治療、良好な病理学的奏効を示す(https://oncolo.jp/news/240423y01

デュアルT細胞アゴニストの「Invikafusp alfa」が
MSI-H外陰がんでT細胞を8%から42.6%に増加

2025年4月25日から同月30日までの期間、アメリカのシカゴで開催された「American Association for Cancer Research Annual Meeting 2025(AACR 2025)」において、米国の研究チームが、抗PD-1/PD-L1抗体を含む治療歴を有する固形がん患者に対して、T細胞受容体β鎖をターゲットとした「デュアルT細胞アゴニストのInvikafusp alfa(STAR0602)」が有用であると示唆する研究結果を発表しました。

Invikafusp alfaはT細胞受容体と結合して活性化し、メモリー様のエフェクターT細胞の増加にも寄与すると考えられています。

研究では外陰がんを含めた21種類の癌患者52人が登録され、MSI-H外陰がんの被験者においてはCD8陽性Vβ6/Vβ10 T細胞が8%から42.6%に増加したという結果が得られました。

※参照元:がんナビ|抗PD-1/PD-L1抗体抵抗性の固形癌にも選択的デュアルT細胞アゴニストinvikafusp alfaは有望【AACR 2025】(https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/news/202505/588529.html

外陰がん手術の選択肢として再建術が有用である可能性

2025年5月16日付けの「International Journal of Gynecological Cancer誌」において、フィンランドのタンペレ大学病院の研究チームが、外陰がんの手術治療における再建術の影響などに関する研究結果を発表しました。

研究は2005年から2018年までの期間、同病院で原発性外陰扁平上皮癌手術を受けた患者126例(再建術群37例・直接閉鎖群89例)を対象として、術後の再発リスクや全生存期間、再発までの期間などが比較検証されたものです。

研究の結果、再建術の患者は腫瘍規模の大きいケースが多かったものの、再建術群と直接閉鎖群では再発率などに統計的有意差は認められませんでした。また補助療法の必要性についても差異がなく、これらの結果から、研究チームは外陰がんの手術治療では腫瘍外科医と形成外科医が連携し、適切な再建術を含めた検討をすることの有用性を示唆しています。

※参照元:Academia|外陰癌手術における再建術の有無が腫瘍学的転帰に与える影響(https://academia.carenet.com/share/news/4d2374df-26bb-4bdf-aa49-9b043558c1db