神奈川の地域がん診療連携拠点病院、昭和大学藤が丘病院
昭和大学藤が丘病院は2016年度に神奈川県知事から地域がん診療連携指定病院として認定され、2021年3月には改めて厚生労働省から地域がん診療連携拠点病院として指定されたうえ、2023年にも指定更新がなされた総合病院です。手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」や内視鏡を使用した低侵襲手術、腫瘍センターを開設して行う化学療法、そして高精度放射線照射装置を使った放射線治療など、複数のアプローチによって癌治療の品質向上を目指しています。
今井敦医師は昭和大学藤が丘病院の放射線治療科において診療科長を務める医師。日本医学放射線学会放射線治療専門医やがん治療認定医といった癌患者への放射線治療に関する専門資格を取得しているプロフェッショナルです。また日本医学放射線学会研修指導者として後進の育成にも当たっており、昭和大学の教授として将来の医師や放射線治療医を導いています。
癌を含めた悪性腫瘍を主な治療対象としつつ、良性疾患の治療なども幅広く行っています。また、チーム医療を重視しており、安全管理についても機器の点検やカンファレンス、品質管理委員会といった多角的な取り組みを行っています。
神奈川県内の癌患者に対する治療ネットワークの基盤として、厚生労働省から治療品質や医療環境などについて認められている地域がん診療連携拠点病院です。地域の基幹病院として癌患者の他にも様々な病気やケガで苦しむ患者のために救急外来を含めた総合診療体制を構築しており、医療環境を充実させるために治療機器や医療設備の積極的な導入にも取り組んでいます。
2016年12月には放射線治療装置を刷新し、高精度放射線治療として強度変調放射線治療や定位放射線治療といった放射線治療を実施できる環境も整いました。
昭和大学藤が丘病院では従来の放射線照射だけでなく、治療効果や安全性を追求して2016年に高精度放射線照射装置を導入しています。これにより強度変調放射線治療(IMRT)や定位放射線治療(SRT)といった高精度放射線治療が実現。被曝によって癌患者の正常な臓器を傷つけるリスクを抑えつつ、癌細胞への治療効果を向上させています。
昭和大学藤が丘病院において放射線治療は放射線治療に精通した医師だけでなく、放射線技師や看護師、医学物理士などの専門家が一丸となってチーム医療を実践。治療中の痛みもほとんどないとされており、1回の治療時間が基本的に10~15分程度で終わるとされています。
2016年12月に最新放射線治療装置への入れ替えを行い、最新の放射線照射(強度変調放射線治療(Intensity modulated radiation therapy: IMRT)、定位放射線治療)を行うことが可能になりました。IMRTは、前立腺癌や頭頸部癌で主に用いられる放射線治療法です。正常臓器の放射線量をより低減し、腫瘍にはより多くの放射線量を照射することが可能な照射方法で、副作用を増加させることなく、より強い放射線を腫瘍に照射することが可能となりました。
引用元:昭和大学藤が丘病院|内科系診療センター 放射線治療科
https://www.showa-u.ac.jp/SUHF/department/list/internal_med/rad_oncology.html
癌患者の体内にある腫瘍組織の形状やサイズに合わせて、リアルタイムで放射線の照射レベルを調節しながら放射線治療を行う強度変調放射線治療。癌組織は綺麗な形をしておらず、歪な形状で体内に存在していることが大半です。そのため、強度変調放射線治療では事前の画像診断とリアルタイムのモニタリングによって癌組織の状態を視覚化。その形状に合わせて患者の体外から必要に応じて放射線照射を行います。これにより周辺の健康な臓器や細胞への被曝ダメージを抑え、従来の放射線治療よりも副作用のリスクを抑えられるようになったことが強みです。
事前に癌患者の体内のどこに悪性腫瘍が存在しているのかを正確に診断した上で、リアルタイムで腫瘍組織を追跡しつつ、患者の体へ多方向から複数の放射線を照射する治療法です。
1本当たりの放射線の強度は患者の肉体へ被曝ダメージを与えない低レベルなものですが、多方から癌組織へ複数照射し、癌の位置でピンポイントに収束。これにより、それぞれの放射線は患者の体へダメージを与えない状態を保ちつつ、癌組織に対しては治療に必要な強度の放射線レベルを獲得しています。
定位放射線治療は放射線治療による副作用や被曝リスクを抑えながら、患者の癌細胞を効果的に治療できる高精度放射線治療の1つです。大量の放射線を一度にまとめてピンポイント照射できることで微少な肺癌や脳転移した癌などに対しても治療効果を発揮します。
定位放射線治療は小さな肺癌や脳転移巣に対して、一回に大量の放射線をピンポイントで照射する技術です。
引用元:昭和大学藤が丘病院|内科系診療センター 放射線治療科
https://www.showa-u.ac.jp/SUHF/department/list/internal_med/rad_oncology.html
昭和大学藤が丘病院では患者の肉体的負担を軽減することで、手術による合併症のリスクを抑えつつ早期の社会復帰を叶えられるよう低侵襲手術に取り組んでいます。
低侵襲手術の例として、手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」を活用したロボット支援下手術や腹腔鏡手術など各種内視鏡を使った手術が挙げられます。さらに特定の個人だけでなく医局内の全ての医師が主治医・担当医となって患者の治療計画の立案やカンファレンスへ参加しています。
特に昭和大学藤が丘病院の泌尿器科では手術治療を主体としており、日常的な外来通院による治療は地域の医療機関に通ってもらい、高度な手術治療について昭和大学藤が丘病院が請け負うといった、地域全体での癌治療ネットワークを形成しています。
質の高い医療を目指して指導医がスタッフの診療をサポートします。また、患者さんのニーズを考慮した治療法を検討し、医師全員が主治医・担当医としてカンファレンスを行い最適な治療を選択できるようにしています。手術療法では腹腔鏡による手術やダ・ヴィンチによるロボット手術を導入して、患者さんの負担が少ない治療を行っています。
引用元:昭和大学藤が丘病院|外科系診療センター 泌尿器科
https://www.showa-u.ac.jp/SUHF/department/list/surgery/urology.html
昭和大学藤が丘病院で外来通院によって放射線治療を受ける流れをまとめました。
放射線治療医が癌患者の診察を行ったうえで、放射線治療や治療計画などを説明。副作用についてもきちんと解説し、患者が納得して治療へのぞめるよう寄り添ってくれます。
治療計画用のCT撮影を行って、放射線治療を受ける体勢の時に体内で癌がどのようになっているのかを正確に画像診断。また、患者の体へ目印となる印を描き、具体的な治療計画を作成します。
放射線照射は治療計画に則って行われます。照射は平日に毎日、週5日に行われ、状況によっては休日や祝日でも臨時の治療日を設定されることもあります。なお、入院治療は行われていません。
昭和大学藤が丘病院の放射線治療科では直接の予約を受け付けておらず、まず地域の医療機関やかかりつけ医から医療連携室へ連絡して、放射線治療外来の受診日時を予約します。予約時に直接の相談が必要となる場合は、放射線治療外来へ医師から電話して放射線治療医と話し合うことも可能です。
基本的に外来通院かつ保険診療による治療が行われています。治療費は放射線照射の回数や治療期間などによって異なるため、詳細は診察時に確認しておきましょう。
昭和大学 藤が丘病院 | |
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診療科目 | 内科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科、血液内科、糖尿病内科、代謝内科、内分泌内科、腎臓内科、リウマチ科、腫瘍内科、疼痛緩和内科、脳神経内科、呼吸器外科、心臓血管外科、消化器外科、乳腺外科、小児外科、整形外科、脳神経外科、形成外科、美容外科、精神科、小児科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻いんこう科、リハビリテーション科、放射線科、放射線治療科、病理診断科、臨床検査科、救急科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科 |
診療時間 | 8:00~14:00 |
休診日 | 日曜・祝日、創立記念日(11月15日)、年末年始(12月29日~1月3日) |
所在地 | 神奈川県横浜市青葉区藤が丘1丁目30番地 |
電話番号 | 045-971-1151 |
ベッド数 | 584床 |
年間治療患者数 | 1日平均患者数 外来:958.1人、入院:452.7人(2022年度) 手術件数:5,093件(2022年度) |
対応可能な治療方法 | 手術治療、放射線治療、化学療法 |
設備 | 手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」、高精度放射線照射装置、CT、MRIなど |
URL | https://www.showa-u.ac.jp/SUHF/ |