サイバーナイフは脳腫瘍や頭頸部がん、脊髄腫瘍、肺がん、肝臓がんなどに適応を持つ、いわば「切らずに済む高精度ながん治療法」です。高精度ロボットアームに高エネルギー放射線照射装置を組み合わせた定位放射線治療装置で、巡航ミサイルに用いられる目標を自動的に追尾するシステムを搭載。身体の動きによって治療中に目標であるがん組織の位置がずれたとしても、自動的に照射位置を補正して治療を続けることができます。
同院では6軸のロボット寝台によって患者さんの位置を正確に調整し、照射をコントロールする可変コリメータや呼吸追尾システムなどの機能を搭載することで患者さんにより高度で確実性の高い放射線治療を提供しています。
県南地域初のサイバーナイフ導入
つくばセントラル病院では、県南地域初となるサイバーナイフを使用した定位放射線治療を実施しています。導入されている装置はサイバーナイフG4という新しい機種で、ロボット制御による治療台も装備。フルオプションでの導入は国内2台目で、従来よりも正確で迅速な治療を可能としました。治療は二十数年の経験を持つ脳神経外科医が担当し、患者さんの満足度が高い治療を心がけています。
サイバーナイフは困難な脳神経外科手術の代替にもなり得る治療法で、しかも患者さんの身体的負担も少ないことから、この定位放射線治療には大きな期待が寄せられています。
つくばセントラル病院のがん治療方法
放射線
治療
短期間かつ少ない副作用で
高い治療効果を目指す
サイバーナイフのロボットアームの先端には小型化された高エネルギー放射線照射装置が搭載されており、治療中は患者さんの周囲を自由に動くことができます。ロボットアームはそれぞれ6つもの関節を持ち、最大1,200方向から照射できるので、がんの形状に合わせた放射線照射が可能です。
多方向からがん組織に十分な放射線を照射する一方、周囲の正常組織へのダメージを極力減らすことができるのが大きなメリット。その誤差は1ミリ以下という精度であり、短期間かつ少ない副作用で高い治療効果を期待できるのです。
治療室の天井には2基のX線装置が設置されており、患者さんの微細な動きも随時把握してロボットマニピュレータが照射位置を修正するため、常に正確な照射が可能です。脳腫瘍や頭頸部がんの治療では、着脱可能なメッシュ状の固定具を使用します。
従来の定位放射線治療装置では局所麻酔を施して金属フレームの固定具を使用していましたが、患者さんにとって非常に苦痛でした。サイバーナイフではそういったことはありません。固定具を着脱できるので治療を数日に分けることもでき、従来の定位放射線治療装置では困難だった腫瘍への照射も可能です。
つくばセントラル病院の施術について
つくばセントラル病院は以下のような流れでサイバーナイフによる定位放射線治療を行なっています。
1.外来受診
まず放射線腫瘍科の外来を受診し、サイバーナイフによる放射線治療の適応の有無を検討します。その際には病状や照射歴を把握するため、主治医からの詳細な紹介状や検査データが必要です。
サイバーナイフの治療適応があると判断されると、後日改めて放射線治療計画を立案するための検査を受けることになります。
2.放射線治療計画用の検査
サイバーナイフによる放射線治療の前に、病巣や正常組織の位置の把握や放射線の照射方向・照射量を決定するためCT検査とMRI検査を行ないます。まずは患者さんの顔に合わせたメッシュ状の固定具を作製し、それを装着した状態で造影剤を使用したCT検査を実施します。病巣の状態によっては、同じく造影剤を使用したMRI検査が追加される場合があります。
問題なければ通常は翌日から治療が開始されますが、病状によっても異なります。
3.治療
当日は検査時に作成した固定具を装着して治療を行ないます。がんの種類によって異なりますが、治療時間は通常20~60分程度です。リラックスして治療を受けられるように、治療中は好きな音楽を聴くこともできます。
サイバーナイフのロボットアームはコンピューターの命令に従って作動し、放射線照射装置は患者さんから約30センチ離れたところから移動と停止を繰り返しつつ放射線を照射します。
治療後はすぐに帰宅でき、普段どおりの生活を送ることができます。がんの種類や状態にもよりますが、治療期間は1~10日間程度、通常は通院で治療を行ないますが、入院治療も可能です。
4.経過観察
治療の効果はすぐに出るものではありません。治療後はがんの縮小などを確認するため、定期的にMRI検査などを行ないます。